説明

走査型バックライトLCD用のバックライトモジュール

【課題】輝度を保ちながらモーションブラーの問題を改善することが可能なバックライトモジュールを提供する。
【解決手段】バックライトモジュール20は、蛍光ランプ32、LEDモジュール30、コントローラ22、ランプインバータ26、及びLEDドライバ24を有する。コントローラ22は、表示信号に従って第1及び第2の制御信号S_CFL、S_LEDを生成する。ランプインバータ26は、第1の制御信号S_CFLに従って蛍光ランプ32を駆動する。LEDドライバ24は、第2の制御信号S_LEDに従ってLEDモジュール30を駆動する。LEDモジュール30は、オン及びオフ時の蛍光ランプ32の輝度を補償するために、蛍光ランプ32に近接して組み込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCDのバックライトモジュールに関し、より具体的に、バックライトの蛍光ランプがオン及びオフをされるときに蛍光ランプの輝度を補償するようLEDモジュールを用いるバックライトモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLCD用バックライトモジュールは、時間によって変化しない一定の輝度を有するので、モーションブラーの問題を起こしやすい。その場合に、斯かる問題を解決すべく、走査型バックライトモジュールが用いられる。図1を参照すると、図1には、LCDの従来の走査型バックライトモジュールが表されている。図1に示されるように、LCDパネル110は3つの走査区間112、114及び116を有しており、各走査区間は、バックライト源としての専用のランプ120に対応する。この走査型バックライトモジュールを駆動する方法は次の通りである。最初の動作時に、残りのランプはオフされている状態で、走査区間112に対応するランプ120a及び120bがオンされる。第2の動作時に、残りのランプはオフされている状態で、走査区間114に対応するランプ120c及び120dがオンされる。第3の動作時に、残りのランプがオフされている状態で、走査区間116に対応するランプ120e及び120fがオンされる。続けて、この動作は繰り返される。各走査区間に関し、フレーム時間の間の前述の表示メカニズムは、ブランクフレームを挿入することと等価であり、これにより、モーションブラーの問題は改善可能である。
【0003】
図2を参照すると、図2には、LCDの従来の走査型バックライトモジュールの信号波形が表されている。図2に示されるように、信号S1はバックライトモジュールの制御信号を表し、期間Dは信号S1のデューティサイクルを表し、周波数Fは信号S1の周波数を表し、信号ILはランプの動作電流を表し、信号LSはランプの輝度を表し、存続時間Trは輝度の立ち上がり時間を表し、存続時間Tfは輝度の立ち下がり時間を表す。バックライトモジュールのオン/オフ動作は信号S1によって制御され、バックライトモジュールがオン/オフをされている比はデューティサイクルDによって決まる。バックライトモジュールが信号S1によってオンされるとき、ランプは、安定した輝度に達するための時間Trを必要とする。バックライトモジュールが信号S1によってオフされるとき、ランプは存続時間Tf後に暗くなる。輝度の立ち上がり/立ち下がりのためにランプが必要とする時間が比較的長いことに起因して、モーションブラーの問題を改善するためにブラックフレーム挿入法を用いる効果は制限される。
【0004】
上述されるように、LCDの走査型バックライトモジュールの駆動方法は、全てのランプ120を同時にオンしない。故に、LCDの全体な輝度は、従来のバックライトモジュールを備えるLCDの全体的な輝度より低い。例えば、図1に示されるように、走査型バックライトモジュールを備えるLCDの全体的な輝度及び電力消費は、従来のバックライトモジュールを備えるLCDの全体的な輝度及び電力消費のおよそ3分の1である。
【0005】
走査型バックライトモジュールを備えるLCDの全体的な輝度の低下を改善するための解決法として、ランプ120の輝度を高めることがある。しかし、ランプ120の輝度を高めるということは、ランプ120がより高い電気的状態(例えば、より大きいランプ電流)で駆動されなければならないことを意味し、結果的に、ランプの寿命は短くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、輝度を保ちながらモーションブラーの問題を改善することが可能なバックライトモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の光源と、前記第1の光源に近接して組み込まれ、前記第1の光源がオン及びオフをされるときに該第1の光源の輝度を補償する第2の光源と、表示信号に従って第1の制御信号及び第2の制御信号を生成するコントローラと、前記第1の光源に電気的に接続され、前記第1の制御信号に従って前記第1の光源を駆動する第1の光駆動部と、前記第2の光源に電気的に接続され、前記第2の制御信号に従って前記第2の光源を駆動する第2の光駆動部とを有するバックライトモジュールを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、輝度を保ちながらモーションブラーの問題を改善することが可能なバックライトモジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来のLCD用走査型バックライトを表す図である。
【図2】従来のLCD用走査型バックライトの信号波形を表す図である。
【図3】本発明のバックライトモジュールを表すブロック図である。
【図4】バックライトモジュールにおける蛍光ランプ及びLEDモジュールの配置を表す図である。
【図5】本発明のバックライトモジュールの第1実施例に係る制御信号を表す波形図である。
【図6】本発明のバックライトモジュールの第2実施例に係る制御信号を表す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の上記の及び他の目的は、本願の図面に現れている好ましい実施形態に関する以下の詳細な記載を読むことで当業者に明らかになるであろう。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲を通して特定の構成要素を表すために特定の用語が用いられる。当業者には明らかなように、斯かる構成要素は、電子装置製造者の間では別の名称で呼ばれることがある。本明細書は、機能は同じであるが名称が異なる構成要素を区別する意図はない。以下の記載及び特許請求の範囲において、語「有する」は、何ら限定することなく用いられ、「〜を有するが、〜に限定されない」ことを意味すると解されるべきである。また、語「電気的に接続される」は、間接的又は直接的な電気接続のいずれも意味するものである。然るに、1の装置が他の装置に結合される場合に、その接続は直接的な電気接続を介するものであっても、あるいは、他の装置及び接続を通る間接的な電気接続であってもよい。
【0012】
一般に、LCDのバックライトモジュールの蛍光ランプには、熱陰極蛍光ランプ(HCFL)及び冷陰極蛍光ランプ(CCFL)がある。一例としてCCFLについて述べると、相対輝度を90%から10%へ低下させるには約3ミリ秒(ms)を要し、相対輝度を10%から90%へ高めるには約3msを要し、相対輝度を100%から0%へ低下させるには約10msを要し、相対輝度を0%から100%へ高めるには約10msを要する。CCFLと比較して、発光ダイオード(LED)の輝度立ち上がり/立ち下がり時間はおよそ1マイクロ秒(μs)である。CCFLは比較的長い輝度立ち上がり/立ち下がり時間(すなわち、緩やかな輝度応答)を必要とするので、CCFLが走査型バックライトモジュールのブラックフレーム挿入法で利用される場合は、モーションブラーを改善する効果は制限される。従って、本発明のバックライトモジュールは、バックライトモジュールは、ブラックフレーム挿入に係る輝度不足及びフリッカの問題を改善するために、CCFLの緩やかな輝度応答を補償すべくLEDの高速な輝度応答を利用する。
【0013】
図3を参照すると、図3は本発明のバックライトモジュール20を表すブロック図である。バックライトモジュール20は、コントローラ22と、LEDドライバ24と、ランプインバータ26と、フィードバック回路28と、LEDモジュール30と、蛍光ランプ32とを有する。本発明のバックライトモジュール20は2つの光源を有する。第1の光源は蛍光ランプ32であり、第2の光源はLEDモジュール30である。バックライトモジュール20がLCDの走査型バックライトに適用される場合に、コントローラ22は第1の制御信号S_CFL及び第2の制御信号S_LEDを生成する。ランプインバータ26は、第1の制御信号S_CFLに従って蛍光ランプ32を駆動する。LEDドライバ24は、第2の制御信号S_LEDに従ってLEDモジュール30を駆動する。フィードバック回路28は、ランプインバータ26とコントローラ22との間に電気的に接続されている。コントローラ22は、蛍光ランプ32を駆動する動作を安定させるために、フィードバック回路28によって発せられたフィードバック信号FBに従って第1の制御信号S_CFLを調整する。LEDモジュール30は、蛍光ランプ32がオン及びオフをされるときに蛍光ランプ32の輝度応答を改善するために、蛍光ランプ32に近接して組み込まれている。蛍光ランプ32の比較的緩やかな輝度応答時間により、モーションブラーを改善すべくブラックフレーム挿入を用いる効果は制限される。従って、本発明のバックライトモジュール20は、LEDモジュール30を用いて蛍光ランプ32の輝度を補償し、これにより、バックライトモジュール20の輝度応答の波形は矩形波と同じようである。LEDモジュール30を用いて蛍光ランプ32の輝度応答を補償することで、モーションブラーは、更なる効率を有するブラックフレーム挿入法により改善され得る。また、元の走査型バックライトモジュールの輝度が保持され得る。
【0014】
図4を参照すると、図4は、バックライトモジュール20における蛍光ランプ32及びLEDモジュール30の配置を表す図である。バックライトモジュール20は、LCDの表示パネルの下にある光源として組み込まれている。蛍光ランプ32はバックライトモジュール20の主光源である。LEDモジュール30は、蛍光ランプ32の輝度を補償するために蛍光ランプ32の下に組み込まれている。蛍光ランプ32の輝度応答時間は比較的長いので、蛍光ランプ32がオンした後蛍光ランプ32が安定した輝度に達するまでの時間期間が必要とされる。同様に、蛍光ランプ32がオフされるときは、蛍光ランプ32が完全に暗くなるまでの時間期間が必要とされる。蛍光ランプ32とは対照的に、LEDモジュール30の輝度応答は比較的即時である。従って、本発明のバックライトモジュール20は、蛍光ランプ32がオンされるときにLEDモジュール30をオンし、LEDモジュール30は、蛍光ランプ32が安定した輝度に達したときにオフされる。他方で、本発明のバックライトモジュール20は、蛍光ランプ32がオフされるときにLEDモジュール30をオンし、LEDモジュール30は、蛍光ランプ32が完全に暗くなるときにオフされる。LEDモジュール30を用いて蛍光ランプ32の輝度応答を補償することで、本発明のバックライトモジュール20は、LCDの走査型バックライトモジュールに適用される場合に、モーションブラーの問題を効果的に改善するとともに、輝度不足の問題を防ぐ。
【実施例1】
【0015】
図5を参照すると、図5は、本発明のバックライトモジュール20の第1実施例に係る制御信号を表す波形図である。波形FSはLCDのフレーム信号を表す。波形LCは液晶の応答曲線を表す。波形S_CFLは蛍光ランプ32の制御信号を表す。波形L_CFLは蛍光ランプ32の輝度応答曲線を表す。波形S_LEDはLEDモジュール30の制御信号を表す。波形L_LEDはLEDモジュール30の輝度応答曲線を表す。波形LBはバックライトモジュール20の輝度応答曲線を表す。本発明の第1実施例で、LEDモジュール30は、蛍光ランプ32がオフされるときに蛍光ランプ32の輝度応答を改善すべく用いられる。コントローラ22が表示信号に従って時間t3でバックライトモジュール20をオフするために、コントローラ22は、(蛍光ランプ32の比較的長い応答時間に起因して)時間t2で予め蛍光ランプ32をオフし、同時にLEDモジュール30をオンする。蛍光ランプ32の輝度は、蛍光ランプ32の輝度立ち下がり時間tfの後に完全に暗くなり、そのとき、コントローラ22はLEDモジュール30をオフする。LEDモジュール30を用いてバックライトモジュール20の輝度を補償することで、バックライトモジュール20の輝度応答の波形は、バックライトモジュール20がオフされているときに、矩形波と同じようである。
【実施例2】
【0016】
図6を参照すると、図6は、本発明のバックライトモジュール20の第2実施例に係る制御信号を表す波形図である。本発明の第2実施例で、LEDモジュール30は、蛍光ランプ32がオン及びオフをされるときに蛍光ランプ32の輝度応答を改善すべく用いられる。コントローラ22は、表示信号に従って時間t1でバックライトモジュール20をオンする。また、コントローラ22は、同時にLEDモジュール30をオンする。蛍光ランプ32の比較的緩やかな応答時間のために、蛍光ランプ32の輝度は、輝度立ち上がり時間trの期間の後に時間t2で安定レベルに達する。そのとき、コントローラ22はLEDモジュール30をオフする。更に、コントローラ22は、表示信号に従って時間t4でバックライトモジュール20をオフする。蛍光ランプ32の比較的長い応答時間のために、コントローラ22は、時間t3で蛍光ランプ32をオフし、同時にLEDモジュール30をオンする。輝度立ち下がり時間tfの後、蛍光ランプ32の輝度は時間t4で完全に暗くなる。そのとき、コントローラ22はLEDモジュール30をオフする。LEDモジュール30の輝度補償を通して、バックライトモジュール20は矩形波に類似する波形を発生させることができる。従って、本発明のバックライトモジュール20は、蛍光ランプ32の緩やかな輝度応答の問題を効果的に改善することができる。更に、本発明のバックライトモジュール20は、元の走査型バックライトモジュールの輝度を犠牲にすることなく、モーションブラーの問題に対抗すべくブラックフレーム挿入を用いる効果を高める。
【0017】
最後に、本発明のバックライトモジュールは第1の光源及び第2の光源を有する。第2の光源の輝度応答時間は第1の光源の輝度応答時間より短い。従って、本発明のバックライトモジュールは、第2の光源を用いて、第1の光源をオン及びオフする動作の間、第1の光源の輝度を補償する。本発明の実施形態に従って、本発明のバックライトモジュールは、蛍光ランプと、LEDモジュールと、コントローラと、ランプインバータと、LEDドライバとを有する。コントローラは、表示信号に従って第1の制御信号及び第2の制御信号を生成する。ランプインバータは、第1の制御信号に従って蛍光ランプを駆動する。LEDドライバは、第2の制御信号に従ってLEDモジュールを駆動する。LEDモジュールは、オン及びオフをされているときの蛍光ランプの輝度を補償するために、蛍光ランプに近接して組み込まれている。結果として、LCDの走査型バックライトに適用される場合に、本発明のバックライトモジュールによって発せられる輝度波形は矩形波に類似しており、LCDの走査型バックライトモジュールを用いる場合にモーションブラーを改善する効果を改善する。
【0018】
当業者には容易に想到されるように、本発明の教示を維持しながら当該装置及び方法の多数の変形例及び代替例は実施可能である。
【符号の説明】
【0019】
20 バックライトモジュール
22 コントローラ
24 LEDドライバ
26 ランプインバータ
28 フィードバック回路
30 LEDモジュール(第2の光源)
32 蛍光ランプ(第1の光源)
FB フィードバック信号
S_CFL 第1の制御信号
S_LED 第2の制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と、
前記第1の光源に近接して組み込まれ、前記第1の光源がオン及びオフをされるときに該第1の光源の輝度を補償する第2の光源と、
表示信号に従って第1の制御信号及び第2の制御信号を生成するコントローラと、
前記第1の光源に電気的に接続され、前記第1の制御信号に従って前記第1の光源を駆動する第1の光駆動部と、
前記第2の光源に電気的に接続され、前記第2の制御信号に従って前記第2の光源を駆動する第2の光駆動部と
を有するバックライトモジュール。
【請求項2】
前記第1の光源は蛍光ランプであり、前記第2の光源はLEDモジュールである、請求項1記載のバックライトモジュール。
【請求項3】
前記第1の光駆動部はランプインバータであり、前記第2の光駆動部はLEDドライバである、請求項1記載のバックライトモジュール。
【請求項4】
前記ランプインバータと前記コントローラとの間に電気的に接続されるフィードバック回路を更に有する、請求項3記載のバックライトモジュール。
【請求項5】
前記第2の光源は、前記第1の光源がオンされるときにオンされ、前記第1の光源の輝度が安定するとオフされる、請求項1記載のバックライトモジュール。
【請求項6】
前記第2の光源は、前記第1の光源がオフされるときにオンされ、前記第1の光源の輝度が完全に暗くなるとオフされる、請求項1記載のバックライトモジュール。
【請求項7】
前記第2の光源の輝度応答時間は前記第1の光源の輝度応答時間より短い、請求項1記載のバックライトモジュール。
【請求項8】
前記第1の光源の輝度応答時間はおよそ3ミリ秒である、請求項1記載のバックライトモジュール。
【請求項9】
前記第2の光源の輝度応答時間はおよそ1マイクロ秒である、請求項1記載のバックライトモジュール。
【請求項10】
LCDの走査型バックライトモジュールで利用される請求項1記載のバックライトモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−164940(P2010−164940A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194889(P2009−194889)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(502352807)中華映管股▲ふん▼有限公司 (84)
【Fターム(参考)】