説明

走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法

探針20を備えるカンチレバー21と、探針・試料間の物理量を測定する測定部を備え、試料表面を測定する走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法である。走査型プロープ顕微鏡は、カンチレバーの取付け部22と、カンチレバーカセット30と、カンチレバーカセットを移動させるXYステージ14とZステージ15と、光学顕微鏡18を備える。上記の走査型プローブ顕微鏡において、カンチレバー取付け部とカンチレバーカセットの間の位置合せを行い、カンチレバーカセットからカンチレバーを選んでカンチレバー取付け部に装着する第1ステップと、カンチレバー装着後に、光学顕微鏡装置を移動させ、装着されたカンチレバーを観察視野の所定位置に設定する第2ステップとを含む。第2ステップでは、光学顕微鏡側またはカンチレバー側を移動させて位置調整を行うステップを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法に関し、特に、探針の交換を短時間でかつ高い位置決め精度で自動的に交換するのに適した走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法に関する。
【背景技術】
走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、従来、原子のオーダまたはサイズの微細な対象物を観察できる測定分解能を有する測定装置として知られている。近年、走査型プローブ顕微鏡は、半導体デバイスが作られた基板やウェハの表面の微細な凹凸形状の測定など各種の分野に適用されている。測定に利用する検出用物理量に応じて各種のタイプの走査型プローブ顕微鏡がある。例えばトンネル電流を利用する走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力を利用する原子間力顕微鏡(AFM)、磁気力を利用する磁気力顕微鏡等があり、それらの応用範囲も拡大しつつある。
上記のうち原子間力顕微鏡は、試料表面の微細な凹凸形状を高分解能で検出するのに適し、半導体基板、ディスクなどの分野で実績を上げている。最近ではインライン自動検査工程の用途でも使用されてきている。
原子間力顕微鏡は、基本的な構成として、原子間力顕微鏡の原理に基づく測定装置部分を備える。通常、圧電素子を利用して形成されたトライポッド型あるいはチューブ型のXYZ微動機構を備え、このXYZ微動機構の下端に、先端に探針が形成されたカンチレバーが取り付けられている。探針の先端は試料の表面に対向している。上記カンチレバーに対して例えば光てこ式光学検出装置が配備される。すなわち、カンチレバーの上方に配置されたレーザ光源(レーザ発振器)から出射されたレーザ光がカンチレバーの背面で反射され、光検出器より検出される。カンチレバーにおいて捩れや撓み等の変形で変位が生じると、光検出器におけるレーザ光の入射位置が変化する。従って探針およびカンチレバーで変位が生じると、光検出器から出力される検出信号で当該変位の方向および量を検出できる。上記の原子間力顕微鏡の構成について、制御系として、通常、比較器、制御器が設けられる。比較器は、光検出器から出力される検出電圧信号と基準電圧とを比較し、その偏差信号を出力する。制御器は、当該偏差信号が0になるように制御信号を生成し、この制御信号をXYZ微動機構内のZ微動機構の部分に与える。こうして、試料と探針の間の距離を一定に保持するフィードバックサーボ制御系が形成される。上記の構成によって探針を試料表面の微細凹凸に追従させながら走査し、その形状を測定することができる。
原子間力顕微鏡が発明された当時は、その高分解能性を利用してnm(ナノメートル)以下のオーダの表面微細形状の測定が中心課題であった。しかし現在では、走査型プローブ顕微鏡は半導体デバイスのインライン製作装置の途中の段階で検査を行うインライン自動検査までその使用範囲が拡大してきている。このような状況になると、実際の検査工程では、基板またはウェハの上に作られた半導体デバイスの表面の微細凹凸形状において非常に急峻な凹凸を測定することが要求される。
次に従来の原子間力顕微鏡の探針の取付け構造を説明する。通常、探針はカンチレバーの先端部に下面に形成されている。カンチレバーは所要の弾性を有する片持ち梁状のレバー部材である。従って探針の取付け構造は、すなわちカンチレバーの取付け構造であり、カンチレバーの取付け構造と実質的に同じ技術内容となる。前述の通り、カンチレバーは、XYZ微動機構の下端、特にZ微動機構の部分の下端に取り付けられる。
カンチレバーの取付け構造を詳細に説明する。カンチレバーは、先端部の下面に探針を有すると共に、その後端部(基部)にカンチレバーホルダを有する。カンチレバーホルダは、カンチレバーの部分とサイズおよび形状の観点で比較すると、比較的に面積の大きな例えば矩形平板状の部分となっている。Z微動機構の下側にはカンチレバーを取り付けるためのカンチレバー取付け部を備えている。このカンチレバー取付け部は、例えば空気吸引機構による吸引作用(真空吸着)によってカンチレバーホルダを吸着することにより、カンチレバーをZ微動機構の下部に固定・装着している。
上記原子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡における大きな問題は探針の交換である。現状の技術では、探針と試料の接触状態をできるだけ少なくするために各種の測定モードが提案されている。しかしながら、探針と試料の接触は完全になくすことはできず、探針先端の磨耗は避けることができない。そのため、探針が磨耗すれば、走査型プローブ顕微鏡の取付け部からカンチレバーを取り外して新しいカンチレバーと交換しなければならない。また測定対象の多様化によって、異なる種類のカンチレバー(探針)を予め用意し、状況に応じてカンチレバーを適宜なタイミングで交換することも必要となる。特に、半導体製造ラインに走査型プローブ顕微鏡によるインライン検査工程を設ける場合には探針交換の自動化が重要となる。この場合において、特に、探針を備えたカンチレバーをカンチレバー取付け部に取り付けるための仕組みが重要である。
走査型プローブ顕微鏡において自動的に探針を交換する技術としては特許第3176931号公報に開示された技術がある。この特許第3176931号公報に記載された走査型プローブ顕微鏡では、自動的に探針の交換を行いかつその位置合せを行う構成および機能を有している。特許第3176931号公報による走査型プローブ顕微鏡では、試料ステージ上の試料ホルダの近傍であって試料ステージ上にカンチレバーカセット設置台(設置ポート)が設けられ、この設置台にカンチレバーカセットが備えられる。カンチレバーカセットは、複数の収容部を有し、複数のカンチレバーがそれぞれの収容部に収容されている。また、走査型プローブ顕微鏡の微動機構部(スキャナ)の下部には、吸引機構を有するカンチレバー取付け部が設けられ、これによる吸引作用に基づきカンチレバーが取り付けられ、装着されている。
上記の構成において、微動機構部の下部に装着されているカンチレバーを交換するときには、例えば試料ステージを移動させることにより相対的に微動機構部をカンチレバーカセットの設置箇所に移動させ、吸引作用を解除してカンチレバーカセットの空き収容部にそれまで使用していたカンチレバーを取り外して置き、次に微動機構部を新たなカンチレバーの箇所に移動させ、再び吸引作用に基づき新たなカンチレバーを装着する。
上記のカンチレバーの交換では、微動機構部と、カンチレバーカセットの所定の空き収容部や新たなカンチレバー等との位置合せは、例えば光学顕微鏡による観察に基づいて行われる。具体的には、観察視野の画像をテレビカメラで取得し、当該画像を元にカンチレバーの存在位置を自動的に認識し、取付けのための位置を確定し、試料ステージ内のZステージにより接近動作を行い、吸引装置による吸着作用に基づきカンチレバーの取付けを完了する。
以上によって、走査型プローブ顕微鏡においてカンチレバーの自動交換すなわち探針の自動交換を実現することができる。なお、実際には、その後において次のSPM測定が行えるように、レーザ光をカンチレバーの背面に照射するための光学検出装置の位置等の設定、光軸合せが行われる。
上記特許第3176931号公報に記載された探針の自動交換方法では、探針交換に時間がかかるという問題がある。その第1の理由は、取付け方法として真空吸着方式を利用するが、吸着の際に取付け位置がずれ、最悪の場合には一度取り外して取り付けなおすことが少なからず発生することである。第2の理由は、探針の取付け前に位置を確定する方式であるため、位置決めの正確さが要求され、また取付けの動作が複雑になるため、交換に時間を要することである。これらの理由は複合的に絡んでいる。
特許第3176931号公報による探針の自動交換方法でカンチレバーを取り付けるプロセスをステップで示すと、次の通り9段階で表される。
(1)XY移動: 取り付けようとするカンチレバーの位置をカンチレバー取付け部の位置に合わせる。
(2)Zステージによる移動: カンチレバーホルダがカンチレバー取付け部に接触しない状態で試料ステージのZステージによって位置調整する。先端部の位置合せのため非接触状態にされる。
(3)光学顕微鏡によるフォーカス: カンチレバーの背面に光学顕微鏡の焦点を合わせる。
(4)カンチレバーの位置の認識: カメラで取得した画像を利用したパターン認識でカンチレバーの位置を確認する。
(5)XYステージの微調整: ステップ(4)の結果に従ってカンチレバーが光学顕微鏡の観察視野における所定位置(通常は中心位置)になるように試料ステージのXYステージを微調整する。
(6)カンチレバーの取付け: Zステージを上昇させ、カンチレバーを取り付ける。通常は真空吸着を用いる。
(7)光学顕微鏡によるフォーカス: カンチレバーの背面に光学顕微鏡の焦点を合わせる。
(8)カンチレバーの位置の認識・確認: カメラによる画像を利用してカンチレバーの取付け状態での位置を確認する。
(9)取外し: ステップ(8)でカンチレバーの取付けで失敗の時にはカンチレバーを取り外し、ステップ(2)に戻ってやり直す。
以上のように、従来の探針の自動交換方法によれば、真空吸着等を利用する方式においてはカンチレバー取付け時の取付け誤差をなくすことは難しく、位置ずれが生じやすい。位置ずれが大きい場合には、カンチレバーの位置が光学顕微鏡の観察視野の外側になる場合がある。このような場合には、カンチレバーの取付け作業をやり直すことになる。このような従来の探針の自動交換方法は、プロセスのステップが多くかつ複雑になっており、取付け位置に誤差が生じた場合には取付け作業のやり直しが必要となる。
また探針すなわちカンチレバーを交換した後には、カンチレバーの弾性歪みを検出する光学検出機構において、使用するレーザ光の照射位置を、レーザ光源を移動して設定する作業や、レーザ光源から発せられ、カンチレバーで反射したレーザ光を受光する光検出器の位置を移動して、光検出器上の検出位置を所定の位置に調整する作業などがあり、調整に多くの時間がかかっている。
従って、探針の交換作業には多くの時間がかかることになる。
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、短時間で高精度に探針の取付けあるいは交換を自動的に行うことができる走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、カンチレバー(探針)を取付けあるいは交換を自動的に行った後において、カンチレバーの取付け状態を自動的に判定し、さらにカンチレバーの変位を検出する光学的検出装置の光源と光検出器の各位置を自動的に調整できる走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法を提供することにある。
【発明の開示】
本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法は、上記目的を達成するために、次のように構成される。
第1の観点による走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法は、試料に対して探針が向くように設けられたカンチレバーと、探針が試料の表面を走査するとき探針と試料の間で生じる物理量を測定する測定部(光てこ式光学検出装置、フィードバックサーボ制御系、走査装置、XYZの微動機構、データ処理等の制御装置等から成る部分)を備え、この測定部で上記物理量を一定に保ちながら探針で試料の表面を走査して試料の表面を測定するように構成された走査型プローブ顕微鏡での上記探針の交換方法である。この走査型プローブ顕微鏡は、さらに、カンチレバーを着脱する機構(空気吸引装置等による真空吸着機構)を備えたカンチレバー取付け部と、複数のカンチレバーを収容・保管するカンチレバー保管部(カンチレバーカセット)と、カンチレバー保管部の位置を移動させる第1移動機構(XYステージとZステージ)と、装着状態のカンチレバーの位置を観察する観察装置とを備える。上記の走査型プローブ顕微鏡において、本発明に係る探針交換方法は、第1移動機構でカンチレバー取付け部とカンチレバー保管部との間の位置合せを行い、カンチレバー保管部から1つのカンチレバーを選んでカンチレバー取付け部に装着するステップと、カンチレバー装着後に、観察装置とカンチレバーの相対的な位置を変更させ、装着されたカンチレバーを観察装置の観察視野の所定位置に設定するステップと、を含んで成る方法である。これにより探針の交換は作業全体が少ないステップ数で自動的に行われる。
第2移動機構によって観察装置を移動させることにより、カンチレバーを観察装置の観察視野の所定位置に設定することを特徴とする。観察装置はその位置を第2移動機構によってXY平面内で移動するように構成されている。
上記の探針交換方法において、好ましくは、第1移動機構によって移動する位置決め機構によりカンチレバー側を移動させることにより、カンチレバーを観察装置の観察視野の所定位置に設定することを特徴とする。
上記の探針交換方法において、好ましくは、観察装置は光学顕微鏡であり、この光学顕微鏡およびTVカメラで得られる画像を利用してパターン認識処理を行って、装着されたカンチレバーの装着位置を特定する方法である。
上記の探針交換方法において、好ましくは、上記所定位置は観察視野の中心位置であることで特徴づけられる。
第2の観点による走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法は、先端に探針を有しかつ基端にカンチレバーホルダを有するカンチレバーと、探針が試料の表面を走査するとき探針と試料の間で生じる物理量を測定する測定部を備え、この測定部で物理量を一定に保ちながら探針で試料の表面を走査して前記試料の表面を測定するように構成される走査型プローブ顕微鏡に適用される。この走査型プローブ顕微鏡は、さらに、カンチレバーホルダを介してカンチレバーを脱着する機構を備えたカンチレバー取付け部と、複数のカンチレバーを保管するカンチレバー保管部と、カンチレバー保管部の位置を移動させる第1移動機構と、装着状態のカンチレバーの位置を観察する観察装置とを備える。さらに走査型プローブ顕微鏡は、第1移動機構によって移動する、カンチレバー取付け部に取り付けられたカンチレバーの位置を調整する位置決め機構を備える。以上の構成を有する走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法は、カンチレバー保管部との間の位置合せを行い、カンチレバー保管部から1つのカンチレバーを選んでこのカンチレバーをカンチレバーホルダを介してカンチレバー取付け部に装着するステップと、第1移動機構で、カンチレバーを装着したカンチレバー取付け部と位置決め機構との間の位置合せを行うステップと、選んだカンチレバーをカンチレバー取付け部に装着した後に、装着されたカンチレバーを観察装置で撮像するステップと、位置決め機構によりカンチレバー取付け部に対するカンチレバーの位置を変化させて観察装置の観察視野内で所定位置に移動させるステップと、を含む。
上記の探針交換方法において、好ましくは、位置決め機構は、カンチレバー取付け部に取り付けられたカンチレバーホルダの側面を押す押し部材を有する。
上記の探針交換方法において、好ましくは、押し部材は、平面形状が矩形のカンチレバーホルダの2辺の側面に接触するL字型押し部材である。
上記の探針交換方法において、好ましくは、カンチレバー取付け部に取り付けられたカンチレバーの取付け状態を判定するステップを含んでいる。
上記の探針交換方法において、好ましくは、カンチレバーの先端位置を検出してその座標値を記憶するステップと、記憶した座標値に基づいて、カンチレバーにレーザ光を照射しカンチレバーの撓みを検出するレーザ光を発生する光学検出装置のレーザ光源と光検出器の位置を光軸調整のため調整するステップと、を含む。
上記の探針交換方法において、好ましくは、観察装置は光学顕微鏡であり、この光学顕微鏡で得られる画像を利用してパターン認識および画像処理を行うステップと、カンチレバー取付け部に取り付けられたカンチレバーの取付け位置を特定するステップを備える。
上記の探針交換方法において、好ましくは、カンチレバーの取付け位置を特定する際、観察装置により得られる画像の画像処理を行うことによりカンチレバーの先端位置や中心軸の座標値を検出するステップと、座標値を記憶するステップを備える。
上記の探針交換方法において、好ましくは、記憶したカンチレバーの先端位置や中心軸の座標値に基づき、カンチレバーの種類に応じたレーザ光のカンチレバーへの照射目標位置範囲を計算するステップと、観察装置により得られる画像と光検出器からの出力信号とを用いて、第2移動機構でレーザ光源の位置を相対的に移動しながら、カンチレバーに照射するレーザ光の照射位置を照射目標範囲内の所定位置に自動的に設定するステップと、を備える。
上記の探針交換方法において、好ましくは、位置や中心軸の座標値に基づいて、第3移動機構で光検出器の位置を相対的に移動し、光検出器上でのレーザ光の受光位置を所定位置に自動的に設定するステップを備える。
原子間力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡によって例えば半導体デバイスが製作された基板等の試料をインライン自動検査工程で計測・検査する場合、自動計測のアルゴリズムに従って探針を走査して試料表面の凹凸形状を計測する。測定対象である試料は一定の時間間隔で継続して搬入されてくるので、例えば所定数の試料の自動計測が済むと、探針の先端が磨粍し、新しい探針への交換作業が必要となる。探針の交換では、使用中のカンチレバーをカンチレバー取付け部から取り外し、新しいカンチレバーをカンチレバー取付け部に取り付ける。複数のカンチレバーは、カンチレバー保管部に予め保管されている。取り外したカンチレバーはカンチレバー保管部の所定の空き収容部に収容され、新しいカンチレバーはカンチレバー保管部の複数のカンチレバーの中から1つが選択される。
カンチレバー保管部の複数のカンチレバーのそれぞれの位置は、試料ステージ上で設定された座標系において予め座標管理等の方法で確定しており、制御装置の記憶部でそれらの位置データは管理されている。新しいカンチレバーをカンチレバー取付け部に装着するとき、第1移動機構でカンチレバー保管部を移動させる。通常、XYステージで当該新しいカンチレバーが取付け部の位置に一致させられ、Zステージにより当該カンチレバーをカンチレバー取付け部の方向に接近移動させ、カンチレバーをカンチレバー取付け部に装着させる。カンチレバーを装着した後において、例えば第2移動機構で光学顕微鏡等を移動させてカンチレバーの位置をその観察視野の中心位置等に調整する。光学顕微鏡等の観察視野から外れた位置にカンチレバーがあるときには、探索アルゴリズムによってカンチレバーを発見し、最終的には同様に中心位置等に来るように位置調整を行う。
第1の観点による走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法では、カンチレバーを取り付ける前にその位置を調整する方式ではなく、取り付けた後において装着されたカンチレバーの位置を観察装置で微調整するようにした方式であるので、取付け直しの作業が発生しない。従って取付け時の事前の位置微調整が省略でき、取付け後に取付け直しが不要となり、交換のための制御ステップ数が少なくて済み、極めて短時間で探針交換を行うことが可能となる。
第2の観点による走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法では、カンチレバーを取り付ける前にその位置を調整する方式ではなく、取り付けた後において装着されたカンチレバーの位置を観察装置で観察しながらカンチレバー取付け部に対するカンチレバーの取付け位置をカンチレバー側を移動し変化させて微調整するようにした方式であるので、取付け直しの作業が発生しない。従って取付け時の事前の位置微調整が省略でき、取付け後に取付け直しが不要となり、交換のための制御ステップ数が少なくて済み、極めて短時間で探針交換を行うことが可能となる。さらに光学検出装置の光軸調整も自動的にできるので正確な測定状態を作ることができる。
本発明によれば、走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法において、新しいカンチレバーを取付け部に取付け装着したとき、カンチレバーの取付け位置を光学顕微鏡等によって微調整して取付け誤差をなくすようにしたため、取付け部に装着したカンチレバーにおいて誤差が生じていたとしても取付け直しの作業は発生せず、交換のためのステップ数を減らすことができ、極めて短時間に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1実施形態に係る探針交換方法が適用される走査型プローブ顕微鏡の全体的な構成を示す構成図である。
図2は、本発明の第1実施形態における試料ステージの具体的な構成を示す斜視図である。
図3は、カンチレバーカセットの具体例の平面図である。
図4は、図3におけるA−A線断面図である。
図5は、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡がインライン自動検査工程として用いられる構成を示したブロック図である。
図6は、探針交換におけるカンチレバー取付け動作のプロセスを示すフローチャートである。
図7は、光学顕微鏡による観察視野の状況を説明する図である。
図8は、本発明の第2実施形態に係る探針交換方法が適用される走査型プローブ顕微鏡の全体的な構成を示す構成図である。
図9は、本発明の第2実施形態における試料ステージの具体的な構成を示す斜視図である。
図10は、位置決め機構の押し部材の平面図である。
図11は、位置決め機構の押し部材の側面図である。
図12は、位置決め機構の押し部材の動作状態を示す平面図である。
図13は、第2実施形態において取付け部に取り付けられたカンチレバーユニットを位置決め機構に移動させる状態を示す平面図である。
図14は、光学顕微鏡の観察視野における画面中心とカンチレバーとの位置合せを示す画面図である。
図15Aは、本発明の第2実施形態に係る自動的探針交換方法の前半の手順の流れを示すフローチャートである。
図15Bは、本発明の第2実施形態に係る自動的探針交換方法の後半の手順の流れを示すフローチャートである。
図16は、カンチレバーの自由端側から見た光学式検出装置の光軸系を示す図である。
図17は、光学式検出装置の光軸系の平面図である。
図18は、光検出器の受光面と受光状態を説明する図である。
図19は、光軸の自動調整を説明するための光学顕微鏡の観察画像を示す画面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図7を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。この第1実施形態では、走査型プローブ顕微鏡の自動的な探針交換方法において、光学顕微鏡およびTVカメラで得られる観察視野の画面で、カンチレバーの像と画面との相対的位置関係の調整で画面側に関係する構成部分を移動させて位置調整を行う方法が提案される。
図1に従って、本発明に係る探針交換方法が適用される走査型プローブ顕微鏡(SPM)の全体の構成を説明する。この走査型プローブ顕微鏡は代表的な例として原子間力顕微鏡(AFM)を想定している。しかし、走査型プローブ顕微鏡は原子間力顕微鏡に限定されるものではない。
図1において走査型プローブ顕微鏡の下側部分には試料ステージ11が設けられている。試料ステージ11の上に試料12が置かれている。試料ステージ11は、直交するX軸とY軸とZ軸で成る3次元座標系13において、試料12の位置を変えるための機構である。試料ステージ11はXYステージ14とZステージ15と試料ホルダ16とから構成されている。試料ステージ11は、通常、試料側で変位(位置変化)を生じさせる粗動機構部として構成される。試料ステージ11の試料ホルダ16の上面には、例えば比較的に大きな面積でかつ薄板形状の上記試料12が置かれ、保持されている。試料12は、例えば、表面上に半導体デバイスの集積回路パターンが製作された基板またはウェハである。試料12は試料ホルダ16上に固定されている。試料ホルダ16は試料固定用チャック機構を備えている。
図2を参照して上記試料ステージ11の具体的な構成例を説明する。図2で、14はXYステージであり、15はZステージである。XYステージ14は水平面(XY平面)上で試料を移動させる機構であり、Zステージ15は垂直方向(Z軸方向)に試料12を移動させる機構である。Zステージ15は、例えば、XYステージ14の上に搭載されて取り付けられている。
XYステージ14は、Y軸方向に向けて配置された平行な2本のY軸レール201とY軸モータ202とY軸駆動力伝達機構203から成るY軸機構部と、X軸方向に向けて配置された平行な2本のX軸レール204とX軸モータ205とX軸駆動力伝達機構206から成るX軸機構部とから構成されている。上記XYステージ14によって、Zステージ15はX軸方向またはY軸方向に任意に移動させられる。またZステージ15には、試料ホルダ16をZ軸方向に昇降させるための駆動機構が設けられている。図2では当該駆動機構は隠れており、図示されていない。試料ホルダ16の上には試料12を固定するためのチャック機構207が設けられる。チャック機構207には、通常、機械式、真空吸着や静電吸着等の作用を利用した機構が利用される。
再び図1で説明する。試料12の上方位置には、駆動機構17を備えた光学顕微鏡18が配置されている。光学顕微鏡18は駆動機構17によって支持されている。駆動機構17は、光学顕微鏡18を、Z軸方向に動かすためのフォーカス用Z方向移動機構部17aと、XYの各軸方向に動かすためのXY方向移動機構部17bとから構成されている。取付け関係として、Z方向移動機構部17aは光学顕微鏡18をZ軸方向に動かし、XY方向移動機構部17bは光学顕微鏡18とZ方向移動機構部17aのユニットをXYの各軸方向に動かす。XY方向移動機構部17bはフレーム部材に固定されるが、図1で当該フレーム部材の図示は省略されている。光学顕微鏡18は、その対物レンズ18aを下方に向けて配置され、試料12の表面を真上から臨む位置に配置されている。光学顕微鏡18の上端部にはTVカメラ(撮像装置)19が付設されている。TVカメラ19は、対物レンズ18aで取り込まれた試料表面の特定領域の像を撮像して取得し、画像データを出力する。
試料12の上側には、先端に探針20を備えたカンチレバーユニット21(広義のカンチレバー21)が接近した状態で配置されている。カンチレバーユニット21は取付け部22に固定されている。
カンチレバーユニット21(広義のカンチレバー21)は、片方の自由端に探針20を備える、弾性的に撓み可能なレバー部材21A(狭義のカンチレバー21A)と、レバー部材21Aの基部を支持するカンチレバーホルダ21−1とから構成される。なお詳しくは、レバー部材21Aとカンチレバーホルダ21−1の間の接続部にはシリコンベースが設けられる。カンチレバーホルダ21−1は例えば8mm角の矩形平板形状を有している。
また上記取付け部22は、カンチレバーユニット21のカンチレバーホルダ21−1を取りつけるための手段である。取付け部22は、例えば、空気吸引部(図示せず)が設けられると共に、この空気吸引部は空気吸引装置(図示せず)に接続されている。カンチレバーユニット21は、大きな面積部分を有するカンチレバーホルダ21−1が取付け部22の空気吸引部で吸着されることにより、真空吸着作用に基づいて固定され装着される。
上記の取付け部22は、Z方向に微動動作を生じさせるZ微動機構23に取り付けられている。さらにZ微動機構23はカンチレバー変位検出部24の下面に取り付けられている。なおカンチレバー変位検出部24は、後述するごとく、XY方向に微動動作を生じさせるXY微動機構29に取り付けられる。従って取付け部22は、Z微動機構23とXY微動機構29によって、X,Y,Zの各方向に微小距離で移動させることが可能となる。
カンチレバー変位検出部24は、支持フレーム25にレーザ光源26と光検出器27が所定の配置関係で取り付けられた構成を有する。レーザ光源26はレーザ光を発するレーザダイドード(LD)であり、光検出器27はレーザ光を受光するフォトダイオード(PD)である。カンチレバー変位検出部24とカンチレバーユニット21は一定の位置関係に保持され、レーザ光源26から出射されたレーザ光28はカンチレバー21Aの背面で反射されて光検出器27に入射されるようになっている。上記カンチレバー変位検出部24は光てこ式光学検出装置を構成する。この光てこ式光学検出装置によって、カンチレバー21Aで捩れや撓み等の変形が生じると、当該変形による変位を検出することができる。
上記のカンチレバー変位検出部24において、レーザ光源26と光検出器27のそれぞれは、支持フレーム25上でその位置を調整できる移動機構を備えている。
カンチレバー変位検出部24はXY微動機構29に取り付けられている。XY微動機構29によってカンチレバーユニット21および探針20等はXYの各軸方向に微小距離で移動される。このとき、カンチレバー変位検出部24は同時に移動されることになり、カンチレバーユニット21とカンチレバー変位検出部24の位置関係は不変である。
上記において、Z微動機構23とXY微動機構29は、通常、圧電素子で構成されている。Z微動機構23とXY微動機構29によって、探針20の移動について、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各々へ微小距離(例えば数〜10μm、最大100μm)の変位を生じさせる。
上記のXY微動機構29は、さらに、光学顕微鏡18に関するユニットが取り付けられる前述した不図示のフレーム部材に取り付けられている。
上記の取付け関係において、光学顕微鏡18による観察視野には、試料12の特定領域の表面と、カンチレバー21Aにおける探針20を含む先端部(背面部)とが含まれる。
試料ステージ11の上面において、試料ホルダ16の傍にカンチレバーカセット30が配置されている。カンチレバーカセット30には、他の複数のカンチレバーユニット21が収容され、保管されている。図1では、一例として、複数のカンチレバーユニット21は単純に一列に並べられたものが示されている。複数のカンチレバーユニット21は、新たに交換用として用意されているものである。各カンチレバーユニット21は、先端部の下側に探針20を備え、後端部(基部)にカンチレバーホルダ21−1を有している。カンチレバーカセット30には、複数のカンチレバーユニット21を収容すると共に、取付け部22に装着されたカンチレバーユニット21を外したときに、それを置くための収容スペースも用意されている。カンチレバーカセット30のこの収容スペースは、図1で示された装着中のカンチレバーユニット21が、取付け部22に取り付けられる前に元々収容されていたスペースである。
次に、走査型プローブ顕微鏡の制御系を説明する。制御系の構成としては、比較器31、制御器32、第1制御装置33、第2制御装置34が設けられる。制御器32は、例えば原子間力顕微鏡(AFM)による測定機構を原理的に実現するための制御器である。また第1制御装置33は複数の駆動機構等のそれぞれの駆動制御用の制御装置であり、第2制御装置34は上位の制御装置である。
比較器31は、光検出器27から出力される電圧信号Vdと予め設定された基準電圧(Vref)とを比較し、その偏差信号s1を出力する。制御器32は、偏差信号s1が0になるように制御信号s2を生成し、この制御信号s2をZ微動機構23に与える。制御信号s2を受けたZ微動機構23は、カンチレバーユニット21の高さ位置を調整し、探針20と試料12の表面との間の距離を一定の距離に保つ。上記の光検出器27からZ微動機構23に到る制御ループは、探針20で試料表面を走査するとき、光てこ式光学検出装置によってカンチレバーユニット21の変形状態を検出しながら、探針20と試料12との間の距離を上記の基準電圧(Vref)に基づいて決まる所定の一定距離に保持するためのフィードバックサーボ制御のループである。この制御ループによって探針20は試料12の表面から一定の距離に保たれ、この状態で試料12の表面を走査すると、試料表面の凹凸形状を測定することができる。
次に第1制御装置33は、走査型プローブ顕微鏡の各部を駆動させるための制御装置であり、次のような機能部を備えている。
光学顕微鏡18は、フォーカス用Z方向移動機構部17aとXY方向移動機構部17bとから成る駆動機構17によって、その位置が変化させられる。後述の画像において、Z方向移動機構部17aは画像焦点位置を変化させ、またXY方向移動機構部17bは画像のXY位置を変化させる。第1制御装置33は、上記のZ方向移動機構部17aとXY方向移動機構部17bのそれぞれの動作を制御するための第1駆動制御部41と第2駆動制御部42を備えている。
光学顕微鏡18によって得られた試料表面やカンチレバー21Aの像は、TVカメラ19によって撮像され、画像データとして取り出される。光学顕微鏡18のTVカメラ19で得られた画像データは第1制御装置33に入力され、内部の画像処理部43で処理される。
制御器32等を含む上記のフィードバックサーボ制御ループにおいて、制御器32から出力される制御信号s2は、走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡)における探針20の高さ信号を意味するものである。探針20の高さ信号すなわち制御信号s2によって探針20の高さ位置の変化に係る情報を得ることができる。探針20の高さ位置情報を含む上記制御信号s2は、前述のごとくZ微動機構23に対して駆動制御用に与えられると共に、制御装置33内のデータ処理部44に取り込まれる。
試料12の表面の測定領域について探針20による試料表面の走査は、XY微動機構29を駆動することにより行われる。XY微動機構29の駆動制御は、XY微動機構29に対してXY走査信号s3を提供するXY走査制御部45によって行われる。
また試料ステージ11のXYステージ14とZステージ15の駆動は、X方向駆動信号を出力するX駆動制御部46とY方向駆動信号を出力するY駆動制御部47とZ方向駆動信号を出力するZ駆動制御部48とによって制御される。
空気吸引に基づく真空吸着作用でカンチレバーユニット21を装着させる取付け部22で、この取付け部によるカンチレバーの取付けまたは取外しの着脱動作は、取付け部22に対して着脱信号s4を与える装着制御部49によって行われる。
なお第1制御装置33は、必要に応じて、設定された制御用データ、入力した光学顕微鏡画像データや探針の高さ位置に係るデータ等を記憶・保存する記憶部(図示せず)を備える。
上記第1制御装置33に対して上位に位置する第2制御装置34が設けられている。第2制御装置34は、通常の計測プログラムの記憶・実行および通常の計測条件の設定・記憶、自動計測プログラムの記憶・実行およびその計測条件の設定・記憶、計測データの保存、計測結果の画像処理および表示装置(モニタ)35への表示等の処理を行う。特に、本発明の場合には、自動計測において探針の交換を自動的に行う交換プロセスを含んでおり、カンチレバーカセット30から使用すべき探針を選択して取り付けること、あるいは装着状態にある探針を取り外してカンチレバー30の所定の収容部に置くこと等を実行するためのプログラムを備えている。また計測条件の設定では、測定範囲、測定スピードといった基本項目など、自動計測の条件の設定、それらの条件を設定ファイルに記憶する等の機能を有する。さらに通信機能を有するように構成し、外部装置との間で通信を行える機能を持たせることもできる。
特に、第2制御装置34は、本実施形態による探針の自動交換のために、試料ステージ11上のXY平面領域において任意の位置を定める座標系が設定されており、この座標系に基づく座標管理を行う機能を有している。この座標管理機能によれば、XYステージ14によるXY移動、XY移動機構部17bによる光学顕微鏡18のXY移動等において、移動量および移動方向の位置管理を行うことが可能となる。
第2制御装置34は、上記の機能を有することから、処理装置であるCPU51と記憶部52とから構成される。記憶部52には上記の各種のプログラムおよび条件データや位置データ等が保存されている。また第2制御装置34は、画像表示制御部53と通信部等を備える。加えて第2制御装置34にはインタフェース54を介して入力装置36が接続されており、入力装置36によって記憶部52に記憶される測定プログラム、測定条件、データ等を設定・変更することができるようになっている。
第2制御装置34のCPU51は、バス55を介して、第1制御装置33の各機能部に対して上位の制御指令等を提供し、また画像処理部43やデータ処理部44等から画像データ、探針の高さ位置に係るデータ、各移動部分の位置データを提供される。
次に上記走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡)の基本動作を説明する。
試料ステージ11上に置かれた半導体基板等の試料12の表面の所定領域に対してカンチレバーユニット21の探針20の先端を臨ませる。通常、探針接近用機構であるZステージ15によって探針20を試料12の表面に近づけ、原子間力を作用させてカンチレバー21Aに撓み変形を生じさせる。カンチレバー21Aの撓み変形による撓み量を、前述した光てこ式光学検出装置によって検出する。この状態において、試料表面に対して探針20を移動させることにより試料表面の走査(XY走査)が行われる。探針20による試料12の表面のXY走査は、探針20の側をXY微動機構29で移動(微動)させることによって、または試料12の側をXYステージ14で移動(粗動)させることによって、試料12と探針20の間で相対的なXY平面内での移動関係を作り出すことにより行われる。
探針20側の移動は、カンチレバーユニット21を備えるXY微動機構29に対してXY微動に係るXY走査信号s3を与えることによって行われる。XY微動に係る走査信号s3は第1制御装置33内のXY走査制御部45から与えられる。他方、試料側の移動は、試料ステージ11のXYステージ14に対してX駆動制御部46とY駆動制御部47から駆動信号を与えることによって行われる。
上記のXY微動機構29は、圧電素子を利用して構成され、高精度および高分解能な走査移動を行うことができる。またXY微動機構29によるXY走査で測定される測定範囲については、圧電素子のストロークによって制約されるので、最大でも約100μm程度の距離で決まる範囲となる。XY微動機構29によるXY走査によれば、狭域範囲の測定となる。他方、上記のXYステージ14は、通常、駆動部として電磁気モータを利用して構成するので、そのストロークは数百mmまで大きくすることができる。XYステージによるXY走査によれば、広域範囲の測定となる。
上記のごとくして試料12の表面上の所定の測定領域を探針20で走査しながら、フィードバックサーボ制御ループに基づいてカンチレバー21Aの撓み量(撓み等による変形量)が一定になるように制御を行う。カンチレバー21Aの撓み量は、常に、基準となる目標撓み量(基準電圧Vrefで設定される)に一致するように制御される。その結果、探針20と試料12の表面との距離は一定の距離に保持される。従って探針20は、例えば、試料12の表面の微細凹凸形状(プロファイル)をなぞりながら移動(走査)することになり、探針の高さ信号を得ることによって試料12の表面の微細凹凸形状を計測することができる。
次に、前述したカンチレバーカセット30の具体的な構成例を図3と図4に従って説明する。図3は平面図、図4は図3中のA−A線断面図である。
このカンチレバーカセット30は平面形状が例えば正方形であり、側面形状は所望の厚みを有した平板状の部材で作られている。カンチレバーカセット30は、カセット台30aを有し、材質的には所要の強度と精度を有するプラスチック材、樹脂材、またはメタル等によって形成されている。カセット台30aの上面には、例えば16個のカンチレバーユニット21を配置する収容部(凹所)が形成が形成されている。カンチレバーホルダ21−1の平面形状は好ましくは正方形であり、比較的に大きな面積を有している。図4から明らかなように、カンチレバーホルダ21−1の前部の下面にカンチレバー21Aは取り付けられ、探針20の先端が下向きになるようにしてカンチレバー21Aおよびカンチレバーホルダ21−1は置かれている。カセット台30aの上面に形成された16個の収容部の各々でカンチレバーホルダ21−1が保管され、同一姿勢および同一方向に一定精度で並べて配列されている。
カセット台30aには、好ましくは、カンチレバーホルダ21−1が収容される凹所に対応する底部に貫通孔301が形成される。貫通孔301は、カンチレバーカセット30に保管されるカンチレバーユニット21の数に応じた数の分だけ形成されている。なお貫通孔301は凹みでもよい。
製造されたカンチレバーユニット21(探針20)およびカンチレバーカセット30はそれぞれ製造番号が付され、かつカンチレバーユニット21は所定の順序でカンチレバーカセット30に並べられる。従って、カンチレバーカセット30ごとに保管されるカンチレバーユニット21に関するデータを管理することができる。
上記のカンチレバーカセット30は、図2に示した試料ステージ11において、例えば2つのカセット設置ポート302,303に配置される。試料ステージ11において、カセット設置ポート302,303に配置されたカンチレバーカセット30上の各カンチレバーユニット21の位置は、第2制御装置34によって前述した座標系に基づき位置管理されている。
上記のごとき構成を有する走査型プローブ顕微鏡は、例えば、図5に示すごとく、半導体デバイス(LSI)のインライン製作装置の例えば途中段階で基板(ウェハ)の検査を行う自動検査工程62として組み込まれる。図示しない基板搬送装置によって、前段の製作処理工程61から検査対象である基板(試料12)を搬出し、自動検査工程62の上記走査型プローブ顕微鏡(SPM)の基板ホルダ16上に置くと、走査型プローブ顕微鏡により基板表面の所定領域の微細凹凸形状が自動的に計測され、前段での基板製作の処理内容の合否が判定され、その後、再び基板搬送装置によって後段の製作処理工程63へ搬出される。
次に、前述の各図と、図6および図7とを参照して、第1実施形態に基づく上記走査型プローブ顕微鏡による探針交換方法を説明する。図6は、所定時間の自動計測の継続によって探針が磨耗したカンチレバーユニット21をカンチレバーカセット30に設置した後において、新しい所定のカンチレバーユニット21を取付け部22に取り付ける手順を示している。カンチレバー21を取付け部22から取り外しカンチレバーカセット30の所定の収容部に設置するプロセスの図示は省略されている。カンチレバーカセット30を取付け部22の下方位置に移動させるのは、XYステージ14によって行われる。図7は、光学顕微鏡18の観察視野において位置合せを行う状態を示している。この位置合せは図6のステップS13〜S15の処理内容に対応している。この探針交換方法では、観察装置としての光学顕微鏡18を駆動機構17のXY移動機構部17bで移動させることにより、位置合せを行うようにしている。
図6に従って新しいカンチレバーユニット21を取付け部22を取り付ける手順を説明する。
最初のステップS11では、XYステージ14を駆動してカンチレバーカセット30を移動させる。この移動では、予めカンチレバーカセット30における各カンチレバーユニット21の位置を座標管理に基づき確定しておき、取付け部22に対して、カンチレバーカセット30の位置を、予め設定された所定のカンチレバーユニット21が選択されるように移動させる。
次に、取付け部22に対して、選択されたカンチレバーユニット21の取付けが行われる(ステップS12)。この取付けでは、Zステージ15を駆動し、図6の矢印71に示されるように選択されたカンチレバーユニット21のカンチレバーホルダ21−1を取付け部22に接触させ、かつ装着制御部49による指令信号s4に基づき取付け部22に真空吸着動作(矢印72)を行わせ、カンチレバーホルダ21−1を取付け部22に吸着させる。これにより、新しいカンチレバーユニット21を取付け部22に装着する。
取付け部22にカンチレバーユニット21が取り付けられた状態において、光学顕微鏡18をXY移動機構部17bで移動させ、かつZ移動機構部17aで焦点合せを行って光学顕微鏡18の対物レンズ18aの焦点をカンチレバーユニット21のカンチレバー21Aに合わせる(ステップS13)。焦点合せの位置は取付け位置のみであり、一度の位置合せ操作で行うことができる。
次のステップS14では、取り付けられたカンチレバーユニット21の位置を認識し、かつ確認する。この処理では、光学顕微鏡18による像をTVカメラ19で取り込み、カンチレバーユニット21のカンチレバー21Aの位置を特定し、認識する。
光学顕微鏡18で得られた画像に関して、取付け位置には誤差が含まれているので、光学顕微鏡18をXY移動機構部17bで移動させて光学顕微鏡18で得られる観察視野においてカンチレバー21Aの像の位置を所定の位置にセットする。このとき、上記光学顕微鏡18の移動量に相当するカンチレバーの取付け位置誤差を記憶しておけば、必要に応じて測定時のXY座標値の修正に用いることができる。
図7は、ステップS13〜S15による最終的な位置調整の状況を説明する光学顕微鏡18の観察視野の状況を示している。
図7の(A)は、理想的に正確にカンチレバーユニット21のカンチレバーホルダ21−1が取付け部22に装着された観察視野81の画像を示している。この場合において、光学顕微鏡18の観察視野81の中心位置82にカンチレバー21Aの像(83)における探針20がセットされている。
上記のステップS14で得られた光学顕微鏡18の観察視野で取付け位置に誤差があるときには、図7(B)に示された観察視野81の状態にある。ここではカンチレバー21Aの像83が観察視野81の中にあることを前提としている。この場合において、ステップS15を実行すると、矢印84で示すごとく観察視野81を符合81−1で表された場所まで移動させることにより、カンチレバー21Aの像83の先端位置が観察視野81−1の中心位置82に来るようにセットすることになる。この場合には光学顕微鏡18の側を移動させることにより観察視野81の側を移動させる。さらにこの場合、カンチレバー位置はパターン認識等の手法で検出され、上記セットが行われる。
なお図7の(C)は、取付け誤差が大きく、カンチレバー21Aの像83が観察視野81の外側に出てしまう状況を示している。この場合には、経験則で得られた、あるいは適宜に設定された所定の探索アルゴリズムに基づいてカンチレバー21Aの像83を探索する。この場合、例えば右方向に観察視野81の半分を移動させ(矢印85)、観察視野81−2とし、まだカンチレバー21Aの像83が観察できないときには上下方向に観察視野の半分を移動させて(矢印86)、観察視野81−3とする。この状態で、観察視野81−3内にカンチレバー21Aの像83が観察できるようになるので、上記と同様な手法により観察視野81−4の中心位置82に像83をセットする。当然観察視野を必要な精度に応じて切り換えてもよい。
なお、上記のTVカメラ19で得られた光学顕微鏡18による観察視野における、当該観察視野の画面中心とカンチレバー21Aの像の先端位置との位置合せは、カンチレバー変位検出部24のレーザ光源(LD)26と光検出器(PD)の取付け誤差等で決まる仮想中心に対して観察視野の画面中心とカンチレバー21Aの像の先端位置とが調整可能範囲にあることを前提として実施可能である。
以上のごとく、図6に示された第1実施形態に係る探針交換方法の取付け・装着において、ステップS11〜S15によれば、取付け前に位置を微調整する方式ではなく、カンチレバーユニット21のカンチレバーホルダ21−1を取付け部22に取り付けた後において、光学顕微鏡18側を移動させることによって微調整する方式である。このため、取付け部22に装着したカンチレバー21Aにおいて誤差が生じていたとしても取付け直しの作業は発生しない。従って、本実施形態による探針交換方法によれば、従来の探針交換方法に比較して少ない交換時間で高精度に探針交換を行うことができる。
以上の実施形態では、取付け誤差の修正を光学顕微鏡によって行ったが、カンチレバー側を移動させることによって行ってもよい。
インライン自動計測を行う場合には、試料12の所定箇所を自動的に測定することになる。この場合、探針と試料の位置関係が重要であるが、本方式によれば光学顕微鏡18の移動量が相対関係を表す指標になり、極めて容易に座標管理を行うことができる。
次に、図8〜図19を参照して本発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態では、走査型プローブ顕微鏡の自動的な探針交換方法において、新しいカンチレバーユニット21を取付け部22に取り付けた際に、真空吸着によって取付け部22に取り付けられた状態のカンチレバーユニットに対して所定方向から力を与え、カンチレバーユニット側を移動させることにより、カンチレバーユニット21の取付け位置を微調整して位置調整を行う方法が提案される。
図8は第1実施形態の図1に対応し、図9は第1実施形態の図2に対応している。図8では図1で説明した要素と同一の要素には同一の符号を付し、図9では図2で説明した要素には同一の符号を付しており、先に説明した内容については説明を省略し、特徴的な構成のみを説明する。
図8と図9において、試料ステージ11の上面において、試料ホルダ16の傍に、カンチレバーユニット21のカンチレバーホルダ21−1を取付け部22に真空吸着で取り付ける際、取付け部22における取付け位置を調整・設定する位置決め機構101が設けられている。位置決め機構101は、試料ステージ11上において位置合せポートとして設けられている。
位置決め機構101の拡大図を図10〜図12に示す。図10は位置決め機構101の平面図を示し、図11は側面図を示し、図12は位置合せ実施状態の平面図を示す。位置決め機構101は、カンチレバーユニット21のカンチレバーホルダ21−1で設定された基準面に合致する形状を有する2つの基準面102aを有するL字型押し部材102で形成される。この押し部材101はほぼ直角な角度で折り曲げられたL字形状を有する部材である。基準面102aは押し部材102の内面側に形成されている。押し部材102は、図11に示す状態で、試料ステージ11の上面に固定されている。試料ステージ11のXYステージ14およびZステージ15によって試料ステージ11をX,Y,Zの各方向に移動させるとき、試料ステージ11の動作に応じて一緒に移動する。従って、位置決め機構101の移動動作、すなわち押し部材102の移動動作は試料ステージ11の移動動作に伴って行われる。
位置決め機構101の押し部材102の2つの基準面102aは、図12に示すごとくカンチレバーユニット21のカンチレバーホルダ21−1の図12中左側と下側の辺の側面に接触する。この場合、カンチレバーユニット21のカンチレバーホルダ21−1の図12中左側と下側の辺の側面が基準面として設定されている。
新しいカンチレバーユニット21が取付け部22に真空吸着された状態で、試料ステージ11が移動動作を行い、図12に示すごとくカンチレバーユニット21は位置決め機構101の箇所にセットされる。この移動状態を図13に示す。
図13において、104は他の形態のカンチレバーカセットであり、105はカセット台である。カンチレバーカセット104およびカセット台105の構造は、先に説明したカンチレバーカセット30およびカセット台30aとそれぞれ実質的に同じものである。カンチレバーカセット104では12個のカンチレバーユニット21が配置されている。その中の上段左端の1つのカンチレバーユニット21が取付け部22に取り付けられ、矢印106に示すごとく位置決めポート107にある位置決め機構101の箇所に移動され、所定位置関係でセットされる。
上記のセット状態において、さらに図12に示すように、位置決め機構101で試料ステージ11の移動に基づいて押し部材102が、矢印103のごとく破線で示す位置P1から実線で示す位置P2に移動すると、カンチレバーホルダ21−1を押して取付け部22に対するカンチレバーユニット21の位置を調整することが可能となる。カンチレバーユニット21は取付け部22に固定されているが、真空吸着作用に基づく位置調整可能な固定力である。
図12において、108はシリコンベース、21Aは前述したレバー部材すなわち狭義のカンチレバーである。また109は光学顕微鏡18による観察視野の領域を示したものであり、110は取付け部22による吸引領域である。その他の構成に関しては図1および図2で説明した構成と実質的に同じである。
次に、前述した図8〜図13、図14、図15Aおよび図15Bを参照して、第2実施形態に係る走査型プローブ顕微鏡による探針交換方法を説明する。図14は上記観察視野109を拡大して示し、図15Aおよび図15Bは、計測作業によって探針20が磨耗したカンチレバーユニット21をカンチレバーカセット30に設置した後において、新しい所定のカンチレバーユニット21を取付け部22に自動的に取り付ける手順を示している。
使用済みのカンチレバーユニット21を取付け部22から取り外し、カンチレバーカセット30の所定の収容部に設置する工程の図示は省略されている。カンチレバーカセット30を取付け部22の下方位置に移動させるのは、XYステージ14によって行われる。図14では、光学顕微鏡18の観察視野109において位置合せを行う状態を示している。この探針交換方法では、位置決め機構101の押し部材102をXYステージ14で移動させることにより、カンチレバーホルダ21−1の基準面を押し部材102の基準面102aで押し、カンチレバーホルダ21−1と取付け部22との間の相対的位置を変化させて、光学顕微鏡18の観察視野109の中心点109Aにカンチレバー21Aの先端部111の位置合せを行うようにしている。
図15Aと図15Bに従って新しいカンチレバーユニット21を取付け部22に取り付ける手順を説明する。なお図15Aと図15Bは結合子で繋がれた一連のフローチャートを示している。
最初のステップS111では、XYステージ14を駆動してカンチレバーカセット30を移動させる。この移動では、予めカンチレバーカセット30における各カンチレバーユニット21の位置を座標管理に基づき確定しておき、取付け部22に対して、カンチレバーカセット30の位置を、予め設定された所定のカンチレバーユニット21が選択させるように移動を行う。
ステップS111で設定する取付け位置は、その後のステップにおいて、カンチレバーホルダ21−1と取付け部22の相対的位置を調整する位置決めステップS114〜S117を行うために十分な調整代と、カンチレバーカセット30内に収納されたカンチレバーユニット21の収納位置のばらつきによる取付け位置の誤差を十分に見込んだ取付け範囲内であればよい。
次に、取付け部22に対して、選択された新しいカンチレバーユニット21の取付けが行われる(ステップS112)。この取付け作業では、Zステージ15を駆動し、前述した図6の矢印71に示されるごとく、選択されたカンチレバーユニット21のカンチレバーホルダ21−1を取付け部22にバネ機構、センサ等(図示せず)を利用して接触させ、かつ装着制御部49による指令信号s4に基づき取付け部22に真空吸着動作(図6の矢印72)を行わせ、カンチレバーホルダ21−1を取付け部22に吸着させる。これにより、カンチレバーユニット21を取付け部22に装着する。
ステップS113においては、取付け部22にカンチレバーユニット21が取り付けられた状態において、Zステージ15を下方に下げ、次にXYステージ14を駆動して位置決め機構101を取付け部22の下側に移動させる。移動させる位置は、カンチレバーユニット21を取り付けた取付け誤差範囲と、位置決め機構101の押付け代等を計算した座標位置とする。
位置決め機構101がカンチレバーユニット21に対して相対的に計算された座標位置の場所に移動したら、Zステージ15を、位置決め機構101における押し部材102の基準面102aがカンチレバーホルダ21−1の基準面を押付け可能な高さになり、かつカンチレバーホルダ21−1の底面と押し部材102とが接触しない位置まで、上昇させる。
ステップS114では、位置決め機構101の押し部材102の基準面102aをカンチレバーホルダ21−1の基準面に向かって、所定の送り量でXYステージ14を駆動してX軸およびY軸の各方向に微小距離で移動(微動)させる。このとき、カンチレバーホルダ21−1と押し部材102の基準面102aが接触すると、押し部材102の機械的な押し力により、取付け部22に真空吸着されたカンチレバーホルダ221−1と取付け部22との間の相対的位置の関係が変化する。
ステップS115では、カンチレバーホルダ21−1と取付け部22との相対的位置が変化して、光学顕微鏡18の観察視野内にカンチレバー21Aの画像が現れたら、光学顕微鏡18で取り込んだカンチレバー21Aの画像に対して画像処理を行ってカンチレバー21Aの先端部111の位置を検出し、さらにステップS116において、当該検出座標を参照しながら、位置決め機構101を、XYステージ14を駆動して光学顕微鏡18の観察視野109の中心点109Aに向けて微動させ、カンチレバー21Aの先端部111の位置が観察視野109の中心点109Aの位置になるように設定する(ステップS117)。
XYステージ14を駆動して位置決め機構101を或る程度移動しても、カンチレバー21Aの画像が光学顕微鏡18の観察視野内で検出できない場合には、位置決め機構101を、予め把握している、カンチレバー21Aがカンチレバーホルダ21−1に支持される部分の機械的寸法情報を基に、カンチレバー21Aの先端部111が、光学顕微鏡18の観察視野109の中心点109Aに設定される位置までXYステージ14を駆動することによって移動させる。この動作が有効になるように、カンチレバー21Aの自由端は、カンチレバーホルダ21−1に対して機械的に所定の精度範囲内に入る位置に支持されている。
以上により、ステップS114〜S117に基づき、新しいカンチレバーユニット21を取付け部22に装着した時、カンチレバー21Aの先端部111の位置を光学顕微鏡18の観察視野109の中心点109Aの位置に設定する工程を完了する。
ステップS118では、光学顕微鏡18の観察視野109の中心点109Aに位置しているカンチレバー21Aの取付け部22への取付け状況の認定および確認をパターン認識等の画像処理を利用して行う。画像からカンチレバー21Aの中心軸112(図14に示す)と先端部111の位置を検出し、検出した当該中心軸112と先端部111の位置座標が設定された所定範囲内に入っているかどうかを認定および確認する(判断ステップS119)。なお、以上において、観察視野を変更して所定の機能を実現してもよい。
判断ステップS119でNOであるときには異常警告および処理の停止が実行される(ステップS120)。また判断ステップS119でYESのときには次のステップS121に移行する。
判断ステップS119で、カンチレバー21Aの画像が光学顕微鏡18の観察視野109内になかったり、たとえ観察視野109内にあったとしても、検出したカンチレバー21Aの中心軸112や先端部111の座標位置が所定範囲に入っていなかったりすると、カンチレバーユニット21の脱落やカンチレバー21Aのカンチレバーホルダ21−1に対する取付け不良、またはカンチレバー21Aの曲がりなどが考えられる。そこで、このような場合には、探針の自動取付け処理を中断する(ステップS120)。この操作により、破損等の不良のカンチレバーユニット21を自動的に検出することができる。
次のステップS121において、検出したカンチレバー21Aの中心軸112や先端部111の座標位置が、設定された所定範囲内に入っていた場合には、この座標位置の値をシステムに登録する登録処理を行う。この登録処理は、カンチレバーユニットの交換のたびに行われる。
以上のステップS118〜S121によって取付け部22におけるカンチレバーユニット21の取付け状態の判定および先端登録処理の工程が完了する。
次に、次の段階の図15Bに示されるステップS125〜S133と図16〜図19とに従って、前述した光てこ式光学検出装置における光軸の自動調整を行う手順を説明する。
図16に、カンチレバー21Aの自由端の側から見たレーザ光源26と光検出器27から成る光軸系の配置図を、また図17に、光学顕微鏡18の観察方向から見た同光軸系の配置図をそれぞれ示す。
レーザ光源26は、詳しくは、レーザ光源26をレーザ光28の光軸に対して垂直な面方向に移動可能な移動機構26−1に支持されている。これにより、カンチレバー20Aの背面におけるレーザ光28の照射位置を変更することができる。
光検出器27は、詳しくは、当該光検出器27を検出面に平行な面方向に移動可能な移動機構27−1に支持されている。これにより、光検出器27の検出位置を変更することができる。
ステップS121で登録したカンチレバー21Aの中心軸112と先端部111の座標位置データを用いて、レーザ光源26の移動機構26−1と光検出器27の移動機構27−1を駆動して、レーザ光源(図中「LD」と記す)26と光検出器(図中「PD」と記す)27の位置を調整する(ステップS125)。レーザ光源26の位置は、カンチレバー21Aの種類によって変化する、レーザ光の計算上の照射位置になるように設定される。光検出器27の位置は、カンチレバー21Aの面から反射したレーザ光の計算上の受光位置になるように設定される。
次のステップS126において、移動機構26−1を駆動してレーザ光源26の位置を変化させ、カンチレバー21Aの計算上のレーザ光照射目標範囲内でレーザ光の照射位置をスキャンする。このスキャン動作はカンチレバー21Aの背面に関して中心軸112に対して垂直な幅方向に行われる。
次の判断ステップS127では、光検出器27の出力信号Vdを監視し、出力信号が予め設定した所定値以上であるか否かの判定を行う。光検出器27の受光面は4分割されているので、光検出器27の出力信号Vdは、4分割された各受光領域の和信号として出力される。出力信号Vdが所定値以上である場合にはステップS131に移行し、出力信号Vdが所定値未満である場合には次のステップS128に移行する。ステップS131ではレーザ光源26の詳細設定処理が実行される。
ステップS128〜S130から成る工程は、カンチレバー21Aの個々の形状のばらつきなどの理由により、実際のレーザ光28の光軸が、計算上のレーザ光の光軸と異なっていた場合の自動調整の工程である。この自動調整工程では、まず、光学顕微鏡18の画像と光検出器27の出力信号Vdとを監視しながら、移動機構26−1を駆動して、上記で検出したカンチレバー21Aの中心軸112と先端部111の座標位置の周辺にレーザ光が照射されるようにレーザ光源26から照射されるレーザ光の照射位置を変化させる(ステップS128)。次に、光学顕微鏡18の画像上でカンチレバー21A上のレーザ光照射点が最大輝度になるようにレーザ光源26の位置を粗く調整する(ステップS129)。最後に、光検出器27の位置を移動機構27−1で駆動して調整する(ステップS130)。
ステップS131,S132から成る工程では、光学顕微鏡18の画像と光検出器27の出力信号Vdを監視することにより、移動機構26−1を駆動してレーザ光源26から照射されるレーザ光の照射位置を制御し(ステップS131)、さらに移動機構27−1を駆動して光検出器27の位置を変化して、光検出器27におけるレーザ光の受光面が、光検出器27の中心位置になるように詳細調整を行う(ステップS132)。
ここで、図18を参照して、レーザ光源26から照射されたレーザ光がカンチレバー21Aの背面上で反射して光検出器27に受光されたとき、レーザ光28の受光位置を光検出器27の中心位置に設定する方法を説明する。
図18の(A)は光検出器27をレーザ光の受光面から見た図である。光検出器27は4分割された受光素子A,B,C,Dにより構成される。光検出器27の各受光素子は、レーザ光を受けると、当該レーザ光のエネルギに応じて受信信号を出力する機構を備えている。
ここで、前述した出力信号Vdが所定値以上であるというのは、図18の(B)に示すように、光検出器27のいずれかの受光素子が所定値以上のレーザ光(レーザスポット121)を受けている状態である。また出力信号Vdが所定値未満というのは、図18の(C)に示すように、受光しているレーザ光(レーザスポット121)のエネルギが所定の値よりも少ない場合である。
光検出器27は、受光面で受けたレーザ光の位置情報を知るために、受光素子A〜Dの受信信号の各出力電圧について、差信号と呼ばれる{(A+D)−(B+C)}、摩擦信号と呼ばれる{(A+B)−(D+C)}、さらに和信号と呼ばれる(A+B+C+D)の演算を行う。
例えば図12の(D)に示すレーザ光の受光状態において上記の差信号と摩擦信号の演算を行うと、レーザ光の受光点(レーザスポット121)を演算可能であることは自明であり、移動機構27−1を駆動してレーザ光の受光点を光検出器27の中心点に設定可能であることが分かる。
次に判断ステップS133を説明する。判断ステップS133は、光学顕微鏡18およびTVカメラ19で得られる画像を、画像処理を用いて、上記で設定したレーザ光28の光軸が、カンチレバー21Aの適正な位置に照射されているかを最終的に確認するステップである。図19を参照して、レーザ光28がカンチレバー21A上の事前に設定された適正な位置に照射されているか否かを確認するステップを説明する。
図19は、ステップS125〜S132によってなされた光軸調整の最終的な位置確認の状況を説明するための光学顕微鏡18の観察視野の状況を示している。
図19の(A)は、レーザ光28がカンチレバー21A上の適正な位置に照射されている状態を示す。スポット122はレーザ光28の反射画像である。レーザ光28がカンチレバー21A上の適正な位置に照射されている状態とは、レーザ光の照射中心点が、カンチレバー21A上のカンチレバー中心軸の付近にあり、さらになるべく先端位置111に近い位置にあることである。
図19の(B)に示すように、光学顕微鏡18の観察視野109内でカンチレバー21A上の適正なレーザ光照射位置を検出するレーザ照射範囲ウィンドウ123を設定する。
図19の(C)に示すように、まず光学顕微鏡18の全観察視野を用いて、画像輝度情報の二値化などの手法により、カンチレバー21A上でレーザ光が照射されている部分の全面積を求め、さらに上記の画像処理ウィンドウ123内でのレーザ光照射部分の面積を求め、その比を演算する。これにより、全照射面積における適正な照射範囲内に照射されたレーザ光の照射割合を求める。求めた割合が所定値以上であればレーザ光28がカンチレバー21Aの背面上において適正な位置に照射されているものとする。
上記の手法によれば、カンチレバー21Aの種類や個々の表面形状のばらつきに起因する反射の輝度むらなどや、カンチレバー21Aの形状により、図19の(D)に示すようなエッジ部分124しか反射しないケースであっても、正確にレーザ光28の照射位置を検出することができる。この技術により、上記光学系におけるレーザ光28の光軸の自動調整が最終的に可能になる。上記判断ステップS133でYESと判定されたときには探針自動交換の作業を終了し、NOと判定されたときには異常警告・処理の停止のステップS134が実行される。
以上のごとく、図15A,15Bに示された探針交換方法におけるカンチレバーユニットの取付け・装着、および光軸の自動調整において、上記の各ステップによれば、取付け前に位置を微調整する方式ではなく、取付け部22にカンチレバーホルダ21−1を取り付け、その後において位置決め機構101の押し部材102によって取付け部22に対するカンチレバーホルダ21−1の位置を微調整する方式である。
さらに、位置決め機構101によって正確に求められたカンチレバー21Aの中心軸112および先端位置111の位置座標を用いて、従来手動で行っていた光軸調整を自動で行うものである。
上記の構成のため、取付け部22に装着したカンチレバーユニット21において誤差が生じていたとしても、取付け直しの作業は発生しない。従って、第2実施形態に係る自動探針交換方法によれば、従来の探針交換方法に比較して少ない交換時間で高精度に探針交換を行うことができる。
なおインライン自動計測を行う場合には、試料12の所定箇所を自動的に測定することになる。この場合、探針と試料の位置関係が重要であるが、本方式によればカンチレバー21Aの先端および中心軸の位置座標が一意に決定されるので、極めて容易に座標管理を行うことができる。
前述の第2実施形態において、位置決め機構101の押し部材102の形状やカンチレバーホルダに対する押付け方向は任意に変更することができる。
前述の各実施形態の説明では、広域観察として光学顕微鏡を用いたが、その代わりに、走査型電子顕微鏡やレーザ顕微鏡などの各種のものを使用することができる。
上記の各実施形態で説明される構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、以下に説明される実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
本発明は、多数の試料を順次に継続して測定する走査型プローブ顕微鏡において磨粍した探針の交換、異なる種別への交換、または装置セットアップ等の装着等を短時間にかつ高い位置決め精度の装着で自動的に行うのに利用される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】



【図16】

【図17】

【図18】

【図19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料(12)に対して探針(20)が向くように設けられたカンチレバー(21)と、前記探針が前記試料の表面を走査するとき前記探針と前記試料の間で生じる物理量を測定する測定部(24,31,32)を備え、この測定部で前記物理量を一定に保ちながら前記探針で前記試料の表面を走査して前記試料の表面を測定するように構成され、
前記カンチレバー(21)を着脱する機構を備えたカンチレバー取付け部(22)と、複数のカンチレバーを保管するカンチレバー保管部(30)と、前記カンチレバー保管部の位置を移動させる第1移動手段(11)と、装着状態のカンチレバーの位置を観察する観察手段(18,19)とを備える走査型プローブ顕微鏡において、
前記第1移動手段(11)で前記カンチレバー取付け部(22)と前記カンチレバー保管部(30)との間の位置合せを行い、前記カンチレバー保管部から1つのカンチレバーを選んで前記カンチレバー取付け部に装着するステップ(S11,S12;S111,S112)と、
カンチレバー装着後に、装着された前記カンチレバーを前記観察手段(18,19)の観察視野の所定位置に設定するステップ(S13,S14,S15;S114−S117)と、
を含むことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項2】
第2移動手段(17)によって前記観察手段を移動させることにより、前記カンチレバーを前記観察手段の観察視野の所定位置に設定することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項3】
前記第1移動手段(11)によって移動する位置決め機構(101)により前記カンチレバーを移動させることにより、前記カンチレバーを前記観察手段の観察視野の所定位置に設定することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項4】
前記観察手段は光学顕微鏡(18)であり、この光学顕微鏡で得られる画像を利用してパターン認識処理を行って、装着された前記カンチレバーの装着位置を特定することを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項5】
前記所定位置は前記観察視野の中心位置であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項6】
先端に探針(20)を有しかつ基端にカンチレバーホルダ(21−1)を有するカンチレバー(21)と、前記探針が試料(12)の表面を走査するとき前記探針と前記試料の間で生じる物理量を測定する測定部(24,31,32)を備え、この測定部で前記物理量を一定に保ちながら前記探針で前記試料の表面を走査して前記試料の表面を測定するように構成され、
前記カンチレバーホルダ(21−1)を介して前記カンチレバー(21)を脱着する機構を備えたカンチレバー取付け部(22)と、複数のカンチレバーを保管するカンチレバー保管部(30)と、このカンチレバー保管部の位置を移動させる第1移動手段(11)と、装着状態のカンチレバー(21)の位置を観察する観察手段(18,19)とを備える走査型プローブ顕微鏡において、
走査型プローブ顕微鏡は、さらに、前記第1移動手段(11)によって移動する、前記カンチレバー取付け部(22)に取り付けられた前記カンチレバー(21)の位置を調整する位置決め機構(101)を備え、
前記第1移動手段(11)で前記カンチレバー取付け部(22)と前記カンチレバー保管部(30)との間の位置合せを行い、前記カンチレバー保管部から1つのカンチレバーを選んでこのカンチレバーを前記カンチレバーホルダ(21−1)を介して前記カンチレバー取付け部(22)に装着するステップ(S111,S112)と、
前記第1移動手段(11)で、前記カンチレバーを装着した前記カンチレバー取付け部(22)と前記位置決め機構(101)との間の位置合せを行うステップ(S113)と、
選んだ前記カンチレバーを前記カンチレバー取付け部(22)に装着した後に、装着された前記カンチレバーを前記観察手段(18,19)で撮像するステップ(S115)と、
前記位置決め機構(101)により前記カンチレバー取付け部に対する前記カンチレバーの位置を変化させて前記観察手段の観察視野内で所定位置に移動させるステップ(S116,S117)と、
を含むことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項7】
前記位置決め機構(101)は、前記カンチレバー取付け部に取り付けられた前記カンチレバーホルダ(21−1)の側面を押す押し部材(102)を有することを特徴とする請求の範囲第6項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項8】
前記押し部材(102)は、平面形状が矩形の前記カンチレバーホルダの2辺の側面に接触するL字型押し部材であることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項9】
前記カンチレバー取付け部に取り付けられた前記カンチレバーの取付け状態を判定するステップ(S118,S119)を含むことを特徴とする請求の範囲第6項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項10】
前記カンチレバーにレーザ光を照射し前記カンチレバーの撓みを検出するレーザ光を発生する光学検出装置のレーザ光源(26)と光検出器(27)の位置を光軸調整のため調整するステップ(S125−S132)を含むことを特徴とする請求の範囲第6項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項11】
前記カンチレバーの先端位置を検出してその座標値を記憶するステップ(S118,S121)を含み、
前記記憶した座標値に基づいて、前記カンチレバーにレーザ光を照射し前記カンチレバーの撓みを検出するレーザ光を発生する光学検出装置のレーザ光源(26)と光検出器(27)の位置を光軸調整のため調整することを特徴とする請求の範囲第10項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項12】
前記観察手段は光学顕微鏡(18)であり、この光学顕微鏡で得られる画像を利用してパターン認識および画像処理を行うステップ(S118)と、前記カンチレバー取付け部に取り付けられた前記カンチレバーの取付け位置を特定するステップ(S119)を備えることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項13】
前記カンチレバーの前記取付け位置を特定する際、前記観察手段により得られる画像の画像処理を行うことにより前記カンチレバーの先端位置や中心軸の座標値を検出するステップ(S118)と、前記座標値を記憶するステップ(S121)を備えることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項14】
記憶した前記カンチレバーの前記先端位置や前記中心軸の座標値に基づき、前記カンチレバーの種類に応じた前記レーザ光の前記カンチレバーへの照射目標位置範囲を計算するステップ(S125)と、
前記観察手段により得られる画像と前記光検出器からの出力信号とを用いて、第2移動手段で前記レーザ光源の位置を相対的に移動しながら、前記カンチレバーに照射する前記レーザ光の照射位置を前記照射目標範囲内の所定位置に自動的に設定するステップ(S128,S129)と、
を備えることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項15】
記憶した前記カンチレバーの前記先端位置や前記中心軸の座標値に基づいて、第3移動手段で前記光検出器の位置を相対的に移動し、前記光検出器上でのレーザ光の受光位置を所定位置に自動的に設定するステップ(S130,S132)を備えることを特徴とする請求の範囲第14項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。
【請求項16】
前記観察手段の全観察視野を用いてかつ所定手法に基づき、前記カンチレバー上でレーザ光が照射されている部分の全面積を求めるステップと、画像処理ウィンドウ内でのレーザ光照射部分の面積を求めるステップと、その比を演算することにより全照射面積における適正な照射範囲内に照射されたレーザ光の照射割合を求めるステップと、この照射割合が所定値以上であることを条件にしてレーザ光のカンチレバーの背面上での照射位置を決めるステップを含むことを特徴とする請求の範囲第14項に記載の走査型プローブ顕微鏡の探針交換方法。

【国際公開番号】WO2005/010502
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【発行日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511974(P2005−511974)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003851
【国際出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【出願人】(300007280)日立建機ファインテック株式会社 (52)
【Fターム(参考)】