説明

走査型熱顕微鏡のプローブ

【課題】本発明は、走査型熱顕微鏡のプローブに関する。
【解決手段】本発明に係る走査型顕微鏡のプローブは、カンチレバーと、該カンチレバーに形成される第一導電層と、該第一導電層に形成され、穴が設けられる絶縁層と、該絶縁層の表面に形成される第二導電層と、熱電対と、該熱電対の端部に設置されるカーボンナノチューブと、を含む。前記第一導電層は前記絶縁層の穴を通して前記第二導電層と接触して、前記熱電対が形成される。前記カーボンナノの一端は前記熱電対に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型熱顕微鏡のプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
走査型熱顕微鏡(Scanning Thermal Microscope,SThM)は、走査型顕微鏡に温度計測機能を付加し、試料表面形状と温度や熱物性値分布を微小スケールで同時に計測するという装置である。一般に、SThMに取り付けられた試料プローブは視野内の表面上の所定位置に配置される。それから、局所熱量測定はその位置で局部相転移を誘発し検出することによって行われる。これはプローブに電流を流すことによりプローブの温度に勾配をつけることによって達成される。プローブ電流に変調成分を加えることにより、その温度勾配に小さな温度振動(temperature oscillation)が重ねられる。試料表面を走査することによって、試料上の特定位置に対応してコントラストが生じて特定位置における試料の熱的性質の画像をつくりだすことができる。
【0003】
一般に、プローブの末端には抵抗素子が設置される。その抵抗素子の抵抗値は温度によって変動する。逆に言えば、その温度はその中に適切な値の電流を通すことによって設定できる。プローブはその中に電流を流すことによって高度に局在化した熱源として使用される。プローブが試料表面に近づくとプローブから試料に熱が流れる。流れる熱の量はプローブ下の位置における試料の様々な性質に従って変動する。この変動する熱流は抵抗素子の温度を変化させ、それによって、その抵抗を変化させる。前記温度の変化により、被走査領域にわたる熱伝導度及び/又は拡散率の変動がコントラストで表され、熱的性質の画像が描かれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のSThMのプローブにより、20nm以上の空間分解能で熱画像計測が可能であるので、被観測物の寸法に制限されるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る走査型顕微鏡のプローブは、カンチレバーと、該カンチレバーに形成される第一導電層と、該第一導電層に形成され、穴が設けられる絶縁層と、該絶縁層の表面に形成される第二導電層と、熱電対と、該熱電対の端部に設置されるカーボンナノチューブと、を含む。前記第一導電層は前記絶縁層の穴を通して前記第二導電層と接触して、前記熱電対が形成される。前記カーボンナノの一端は前記熱電対に接続される。
【0006】
前記カーボンナノチューブは前記熱電対に垂直に設置される。
【0007】
前記カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブであり、単層カーボンナノチューブであることが好ましい。
【0008】
前記カーボンナノチューブはCVD法又はアーク放電法で前記熱電対に成長され、又は、接着剤で前記熱電対に接着されることができる。
【発明の効果】
【0009】
従来技術と比べて、従来技術と比べて、本発明に係るSThMのプローブにより、高空間分解能で試料の熱的性質の画像が描かれる。また、本発明に係るSThMのプローブは寿命が長くになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る走査型熱顕微鏡(SThM)のプローブについて詳しく説明する。
【0011】
図1を参照すると、SThMのプローブ10は、カンチレバー16と、該カンチレバー16の表面に形成された第一導電層11と、該第一導電層11の表面に形成される絶縁層12と、該絶縁層12に形成される第二導電層13と、熱電対14と、該熱電対14の端部に設置されるカーボンナノチューブ15と、を含む。
【0012】
前記第一導電層11は、タングステン、銅、シリコン、マグネシウムのいずれか一種又はその合金からなる。前記第二導電層13は、金、ニッケル、クロムのいずれか一種又はそれらの合金からなる。前記第一導電層11及び前記第二導電層13は、前記絶縁層12で分離される。前記第二導電層13の厚さは40〜80nm程度に形成される。
【0013】
前記絶縁部12は厚さが80〜120nmに形成され、その中間の部分に穴が形成される。前記熱電対14は、前記第一導電層11の中間部が前記絶縁部12の穴を通して突出して前記第二導電層13と接触する部分である。前記熱電対14は、前記第二導電層13の一部が前記絶縁部12の穴を通して突出して前記第一導電層11と接触して構成されてもよい。
【0014】
前記カーボンナノチューブ15は、前記カンチレバー16に対して垂直に前記熱電対14の端部に設置される。前記カーボンナノチューブ15は、単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブであってもよいが、単層カーボンナノチューブであることが好ましい。単層カーボンナノチューブを利用する場合、前記SThMのプローブで10nm以下の試料を測定することができる。
【0015】
前記カーボンナノチューブ15を前記熱電対14に設置する方法は、直接成長方法及び組み合わせ方法がある。直接成長方法は、CVDで前記熱電対14の端部に前記カーボンナノチューブ50を直接的に成長させるという方法である。組み合わせ方法によれば、前記カーボンナノチューブ50が前記熱電対14に吸着され、又は、接着剤などを利用して前記カーボンナノチューブ50を前記熱電対14に接着させる。なお、前記カーボンナノチューブ15は、長さが1μm、直径が10nm程度に成長されることが好ましい。
【0016】
従来技術と比べて、本発明に係るSThMのプローブにカーボンナノチューブ15を設置するので、カーボンナノチューブの良好な熱伝導性及び小さな寸法という特性を利用して、高空間分解能で試料の熱的性質の画像が描かれる。また、前記カーボンナノチューブ15は径方向での電気伝導性が低く、微小な直径が有するので、前記カーボンナノチューブ15と試料との間に過多の電流が漏れることを防止することができる。さらに、カーボンナノチューブは良好な機械性能を有するので、SThMのプローブの寿命が長くになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例に係る走査型熱顕微鏡のプローブの模式図である。
【符号の説明】
【0018】
10 走査型熱顕微鏡のプローブ
11 第一導電層
12 絶縁層
13 第二導電層
14 熱電対
15 カーボンナノチューブ
16 カンチレバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンチレバーと、該カンチレバーに形成される第一導電層と、該第一導電層に形成され、穴が設けられる絶縁層と、該絶縁層の表面に形成される第二導電層と、熱電対と、該熱電対の端部に設置されるカーボンナノチューブと、を含み、
前記第一導電層は前記絶縁層の穴を通して前記第二導電層と接触して、前記熱電対が形成され、
前記カーボンナノチューブの一端は前記熱電対に接続されることを特徴とする走査型熱顕微鏡のプローブ。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブは前記熱電対に垂直に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の走査型熱顕微鏡のプローブ。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブであることを特徴とする、請求項2に記載の走査型熱顕微鏡のプローブ。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブはCVD法又はアーク放電法で前記熱電対に成長され、又は、接着剤で前記熱電対に接着されることを特徴とする、請求項3に記載の走査型熱顕微鏡のプローブ。



【図1】
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【公開番号】特開2007−86079(P2007−86079A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257548(P2006−257548)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【Fターム(参考)】