説明

走査型電子顕微鏡

【課題】リターディング電圧印加方式によってナノインプリント用フォトマスク上のパターン寸法を正確に測定することができる微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)等の荷電粒子線装置を提供することにある。
【解決手段】ナノインプリント用フォトマスクをホールダに装着するためのアタッチメントを用いる。倍率ずれを求め、それを用いて、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定結果を修正する。倍率ずれは、ホールダの寸法校正用試料とナノインプリント用フォトマスクの寸法校正用試料を用いて求める。更に、倍率ずれは、ナノインプリント用フォトマスクの帯電電圧から求めてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ又はフォトマスク上のパターンを測定する微小寸法測定走査電子顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ウェーハ上のパターンを測定するために、微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM: Critical Dimension Scanning Electron Microscope)等の荷電粒子線装置が用いられる。近年、試料の観察方式として、リターディング電圧印加方式が用いられている。リターディング電圧印加方式の試料観察では、試料、又は、試料を支持するホールダに、リターディング電圧を印加する。それによって、試料表面に照射する荷電粒子線の照射エネルギー強度を制御する。
【0003】
ウェーハのパターンの寸法測定では、試料の表面の帯電が問題となる。試料の表面が帯電している状態で、対物レンズを用いてフォーカスを合わると、試料表面よりずれた位置にて、結像する。この状態で、対物レンズの励磁電流を用いて倍率計算を行うと、実際の像の倍率とは異なる値が得られる。これを倍率ずれと称する。
【0004】
倍率ずれの問題を解決するには、試料の帯電量、即ち、試料の表面電位を測定する必要がある。試料の表面電位を測定したら、表面電位を打ち消すようにリターディング電圧を制御すればよい。それによって、ウェーハに照射する電子線などの荷電粒子を所望のエネルギーに制御することができる。特許文献1、2、3には、試料の表面電位を求める手法が提案されている。
【0005】
リターディング電圧印加方式の試料観察は、ウェーハの観察だけでなく、フォトリソグラフィの原版であるフォトマスクの観察においても、使用されている。フォトマスクは、石英ガラスの上に遮光用パターンを形成したものである。フォトマスクには、従来、プレートサイズ152x152x6.35mmの6025と呼ばれるフォトマスクが用いられている。しかしながら、近年、プレートサイズ65x65x6.35mmのナノインプリント用フォトマスクが用いられている。
【0006】
微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)によって、フォトマスク上のパターン寸法を測定する場合、フォトマスクをホールダと称する搬送台に装着する。しかしながら、従来のホールダでは、プレートサイズ152x152x6.35mmの6025フォトマスクを搭載することはできるが、プレートサイズ65x65x6.35mmのナノインプリント用フォトマスクを搭載することはできなかった。更に、リターディング電圧は、6025フォトマスクに直接印加するのではなく、ホールダに印加する。そのため、6025フォトマスクの帯電量を直接測定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2003/007330
【特許文献2】特開2001−52642号公報
【特許文献3】特開2007−257969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、ウェーハのパターンの寸法測定において、倍率ずれの問題に対する解決手段として、試料の表面電位を測定する方法が提案されている。しかしながら、このような方法は、ウェーハのパターンの寸法測定に好適であるが、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法測定に適用することはできない。
【0009】
本発明の目的は、リターディング電圧印加方式によってナノインプリント用フォトマスク上のパターン寸法を正確に測定することができる微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)等の荷電粒子線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、ナノインプリント用フォトマスクをホールダに装着するためのアタッチメントを用いる。アタッチメントの外形寸法は、6025フォトマスクの外形寸法と同一である。従って、従来のホールダに、ナノインプリント用フォトマスクを装着したアタッチメントを装着することができる。従来のホールダにリターディング電圧を印加する。
【0011】
本発明によると、倍率ずれを求め、それを用いて、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定結果を修正する。倍率ずれは、ホールダの寸法校正用試料とナノインプリント用フォトマスクの寸法校正用試料を用いて求める。更に、倍率ずれは、ナノインプリント用フォトマスクの帯電電圧から求めてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、リターディング電圧印加方式によってナノインプリント用フォトマスク上のパターン寸法を正確に測定することができる微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)等の荷電粒子線装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)の構成例を示す図である。
【図2A】ホールダに6025フォトマスクを装着した状態を示す説明図である。
【図2B】ホールダにアタッチメントを装着した状態を示す説明図である。
【図3A】本発明によるアタッチメントの平面構成を示す図である。
【図3B】本発明によるアタッチメントの側面構成を示す図である。
【図4A】本発明による微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)システムの上面構成を示す図である。
【図4B】本発明による微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)システムの前面構成を示す図である。
【図4C】本発明による微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)システムの側面構成を示す図である。
【図5】本発明の微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)システムを用いた測定方法の第1の例を説明する図である。
【図6】本発明による微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)を用いた電位計測方法を説明する説明図である。
【図7】本発明の微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)システムを用いた測定方法の第2の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して本発明による走査型電子顕微鏡の例を説明する。本例の走査型電子顕微鏡は、一次電子線103を生成する電子源101、一次電子線103を加速する一次電子加速電極102、一次電子線103を集束させるコンデンサレンズ104、試料108aからの二次電子109を反射させる反射板105、一次電子線103を走査させる走査コイル106、一次電子線103を試料108a上に集束させる対物レンズ107、試料108aを保持するホールダ120を支持するステージ115、及び、試料108aからの二次電子109を検出する二次電子検出器110を有する。これらは、鏡筒100と試料室100a内に配置されている。走査型電子顕微鏡は、更に、一次電子加速電極102に電圧を供給する一次電子加速電源113、ホールダ120にリターディング電圧を印加するリターディング回路114、及び、表面電位推定部112を備えた制御コンピュータ111を有する。表面電位推定部112による帯電電圧の推定は、後に図6及び図7を参照して説明する。
【0015】
本発明の走査型電子顕微鏡は、リターディング電圧印加装置を備えている。リターディング電圧印加装置は、リターディング回路114を含む。
【0016】
電子源101からの一次電子線103は、一次電子加速電極102によって加速され、反射板105の中心孔を通過し、走査コイル106によって偏向走査され、対物レンズ107によって試料108a上に集束される。一次電子線103は、ホールダ120に印加されたリターディング電圧によって生成される電場によって減速されて、試料108aに照射される。試料108aに一次電子線103が照射されると、試料から二次電子109が発生する。二次電子109は、試料108aに印加されたリターディング電圧によって電子銃側に加速される。二次電子109は反射板105に衝突する。それによって、二次電子が発生する。この二次電子は、二次電子検出器110によって検出される。二次電子検出器110の出力は、制御コンピュータ111に送られる。制御コンピュータ111は、走査コイル106による電子ビームの走査に同期して二次電子検出器からの出力を画像信号に変換してディスプレイに表示する。それによって、試料表面の形状を二次元画像として表示する。表示された画像より、パターン寸法幅を測定することができる。
【0017】
ここで、リターディング電圧について簡単に説明する。走査電子顕微鏡では、電子線の照射によって、試料上の回路パターンの素子が損傷する可能性がある。そこで、試料上に照射する電子線を減速させるために、試料に電圧を印加し、電界を発生させる。この電圧をリターディング電圧と呼ぶ。リターディング電圧を制御することにより、電子線の照射エネルギー強度を制御することができる。尚、リターディング電圧は、試料に直接印加してもよいが、試料を支持するホールダに印加してもよい。
【0018】
制御コンピュータ111は、一次電子加速電源113及びリターディング回路114を制御するばかりでなく、試料の搬送も制御する。オペレータはマウスやキーボード、表示装置であるLCDディスプレイ画面上のボタンといったユーザーインターフェースを使って搬送動作の指示を出す。尚、試料の搬送については、後に説明する。
【0019】
本例の走査型電子顕微鏡は、微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM: Critical Dimension Scanning Electron Microscope)であってよい。本例では、試料は、6025フォトマスクと呼ばれるプレートサイズ152×152×6.35mmフォトマスク、又は、プレートサイズ65×65×6.35mmのナノインプリント用フォトマスクである。フォトマスクは、石英ガラスによって形成されたプレートであり、その上に遮光用パターンが形成されている。
【0020】
走査型電子顕微鏡によって鮮明な画像を得るためには、一次電子線103を試料の表面上で収束させなければならない。しかしながら、試料表面の高さの変動、試料表面に付着する電荷等のため、一次電子線103を試料表面で収束させるのは難しい。このため、近年の荷電粒子線装置は、オートフォーカス機構を搭載している。多くのオートフォーカス機構では、対物レンズの励磁もしくはリターディング電圧の調整により、荷電粒子線が焦点を結ぶ位置を変化させ、それぞれの焦点位置にて画像を取り込む。次に、これらの画像に対して、焦点評価用のフィルタ処理(微分、2次微分、ソーベル、ラプラシアン等)を施し、焦点評価画像を作成し、焦点評価値(鮮鋭度ともいう)を算出する。ここで、焦点評価値としては、焦点評価画像に対するフィルタ処理値の合計、その平均値、分散値等を用いることができる。ここまでの工程は、通常オートフォーカスとして実行され、焦点評価値の最大値の励磁電流値若しくはリターディング電圧を合焦点時の励磁電流若しくはリターディング電圧とする。
【0021】
図2Aを参照して、ホールダの構造を説明する。試料ステージマスク台116に、ホールダ120が配置されている。ホールダ120上には、2つのマスクガイドブロック121、122が設けられ、更に2つのピン123、124が設けられている。2つのマスクガイドブロック121、122は互いに直交する方向に沿って延びている。正方形の6025フォトマスク108は、マスクガイドブロック121、122とピン123、124の間に挟まれて配置されている。6025フォトマスクの寸法は152×152×6.35mmである。即ち、6025フォトマスク108の隣接する2辺は、2つのマスクガイドブロック121、122に当接するように配置され、他の2辺は、2つのピン123、124によってそれぞれ保持されている。
【0022】
ホールダ120上には、更に、寸法校正用試料128が設けられている。寸法校正用試料128は、寸法が既知の標準試料である。例えば、「100nm」試料の場合、その寸法が正確に100nmであることが予め計測されている。
【0023】
試料ステージマスク台116とホールダ120の間には、ストッパ131と、リターディング電圧印加部132、133が設けられている。リターディング電圧印加部132、133を介して、ホールダ120にリターディング電圧が印加される。リターディング電圧は、ホールダ120を介して、6025フォトマスク108に印加される。
【0024】
本発明の走査型電子顕微鏡は、リターディング電圧印加装置を備えている。リターディング電圧印加装置は、リターディング電圧印加部132、133を含む。
【0025】
図2Bは、ホールダ120に本発明によるアタッチメント200を装着した状態を示す。本例のアタッチメント200の寸法は、6025フォトマスク108と同一寸法を有する。従って、正方形のアタッチメント200は、マスクガイドブロック121、122とピン123、124の間に挟まれて配置されている。アタッチメント200によって、ナノインプリント用フォトマスク108aが保持されている。アタッチメント200には、寸法校正用試料228が設けられている。アタッチメント200の構造は、後に、図3A及び図3Bを参照して説明する。
【0026】
リターディング電圧印加部132、133を介して、ホールダ120にリターディング電圧が印加される。リターディング電圧は、ホールダ120を介して、アタッチメント200に印加される。リターディング電圧は、更に、アタッチメント200を介して、ナノインプリント用フォトマスク108aに印加される。
【0027】
図3A及び図3Bを参照して、アタッチメント200の構造の例を説明する。図3Aは、アタッチメント200の平面構成を示し、図3Bは、アタッチメント200の断面構成を示す。本例のアタッチメント200は、ベース201と、ベース201の上に装着された2つのマスクガイドブロック221、222と、2つのマスク保持機構223、224と、寸法校正用試料228を有する。ベース201の平面寸法は、6025フォトマスクの平面寸法と同一であってよい。即ち、ベース201は、152×152mmの正方形である。尚、ベース201の厚さ寸法は、6025フォトマスクの厚さ寸法と同一であってよい。
【0028】
2つのマスクガイドブロック221、222は互いに直交する方向に沿って延びている。正方形のナノインプリント用フォトマスク108aは、マスクガイドブロック221、222とマスク保持機構223、224の間に挟まれて配置されている。ナノインプリント用フォトマスク108aの寸法は65×65×6.35mmである。
【0029】
マスク保持機構223は、押し付け部材2231、バネ2232、及び、支持部材2233を有する。支持部材2233は、例えばネジによって、ベース201に固定される。押し付け部材2231は、支持部材2233に対して可動である。即ち、押し付け部材2231を、支持部材2223から離れる方向又は近づく方向に移動させると、バネ2232が伸縮する。ナノインプリント用フォトマスク108aは、バネの弾性力によって、2つのマスクガイドブロック221、222に押し付けられている。マスク保持機構224は、マスク保持機構223と同様の構造を有する。
【0030】
図4A、図4B及び図4Cを参照して本発明の微小寸法測定走査電子顕微鏡システムについて説明する。図4Aは本例の微小寸法測定走査電子顕微鏡システムの上面構成を示し、図4Bは、その前面構成を示し、図4Cは、その側面構成を示す。本例の微小寸法測定走査電子顕微鏡システムは、微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM: Critical Dimension Scanning Electron Microscope)20とミニエンバイラメント方式の試料搬送装置11を有する。ここでミニエンバイラメント方式とは、所定の清浄度を有する局所的な空間又は環境を備えるという意味である。従って、ミニエンバイラメント方式の試料搬送装置11とは、試料の保管及び搬送を所定の清浄度を有する局所的な空間又は環境にて行うものである。微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)20は、鏡筒100と試料室100aを有する。鏡筒100内には、電子光学系が配置されている。試料搬送装置11と試料室100aの間に、ロードロック室(真空排気室)31が設けられている。
【0031】
本例の微小寸法測定走査電子顕微鏡システムは、6025フォトマスクを測定対象とするように構成されている。試料搬送装置11は、6025フォトマスクを支持したホールダ120を搬送するように構成されている。上述のように、ナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントの平面寸法は、6025フォトマスクの平面寸法と同一である。従って、本例の試料搬送装置11は、6025フォトマスクの代わりに、ナノインプリント用フォトマスクを微小寸法測定走査電子顕微鏡20に搬送することができる。本例の試料搬送装置11はナノインプリント用フォトマスクを支持したアタッチメントを支持したホールダ120を搬送することができる。
【0032】
試料搬送装置11内には、試料搬送ロボット15が設けられている。試料搬送装置11の前側にはBOLTS面12が設けられ、このBOLTS面12には、保管庫10とロードポート13が並んで設けられている。保管庫10内には、複数枚の6025フォトマスクを収納することができる。本例では、保管庫10内に、6025フォトマスクの代わりに、ナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントを収納する。ロードポート13には、スミフポッド14が配置される。スミフポッド14には、1枚の6025フォトマスクを収納することができる。本例では、スミフポッド14に、1枚のナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントを収納する。ロードポート13とスミフポッド14は、それぞれミニエンバイラメント方式の装置及び容器として既知であり、ここではその詳細な説明は省略する。
【0033】
保管庫10には、前面の窓10a、上面の窓10b、及び、側面の窓10cが設けられている。これらの窓から、保管庫10の内部の状態を監視することができる。保管庫10はミニエンバイラメント方式の密閉容器より構成されている。
【0034】
試料搬送装置11では、フォトマスクが配置又は搬送される領域では、局所的に高いクリーン度が必要である。そのため、試料搬送装置11の全体は、箱によって覆われている。この箱の天井には、FFU(Fan Filter Unit)が設けられている。FFUを介して、箱の内部は、周囲より高圧の且つ高いクリーン度の空気が供給される。
【0035】
ロードロック室(真空排気室)31は密閉構造を有し、その内部は、真空排気されることができる。ロードロック室31の内部は、第1室と第2室の2つに分割されている。各室には、マスク台32A、32Bがそれぞれ設けられている。マスク台には、ホールダ120が配置される。
【0036】
本例の微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)には、図示しないコンピュータ、マウス、キーボード等の入力装置、LCDディスプレイを有する表示装置、記憶装置が接続されている。本例の微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)では、搬送動作を含む全ての動作をコンピュータによって制御する。オペレータは入力装置を介して、命令及びデータを入力する。オペレータは、表示装置に表示されたボタン等のユーザーインターフェースを用いて、搬送動作の指示を入力する。
【0037】
本例の微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)の動作を説明する。先ず、測定対象のナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントを収納したスミフポッド14を、オペレータが手動で、又は、無人搬送車(AGV: Automatic Guided Vehicle)によって、ロードポート13上に配置する。スミフポッド14には1つのアタッチメントが収納されている。オペレータは、入力装置を介して、保管庫10内のマスク収納棚の1つの段、即ち、保管位置を指定する。スミフポッド14はロードポート13によって開けられる。試料搬送ロボット15は、スミフポッド14よりアタッチメントを取り出し、保管庫10内の指定された位置に配置する。オペレータが手動で、又は、無人搬送車(AGV)によって、空のスミフポッド14を、測定対象のナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントを収納したスミフポッド14と交換する。同様に、スミフポッド14内のアタッチメントを保管庫10内の指定された位置に搬送する。これを繰返し、測定対象の全てのアタッチメントを保管庫10に保管する。保管庫10内に保管されたアタッチメントとその位置は、記憶装置に記憶され、且つ、表示装置に表示される。
【0038】
こうして、ロードポート13上のスミフポッド14内に収納されたナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントは、試料搬送ロボット15によって、外部に取り出されることなく、保管庫10内に搬送される。
【0039】
次に、オペレータは、入力装置を介して、ナノインプリント用フォトマスクの測定を実行する命令を入力する。試料搬送ロボット15は、保管庫10内の指定された位置よりアタッチメントを取り出し、それを、ロードロック室31内の2つの室のマスク台32A、32Bに配置されたホールダ120上に、それぞれ配置する。こうして、図3A及び図3Bに示したように、ナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントは、ホールダ120によって支持される。
【0040】
ロードロック室31を密閉し、2つの室内を真空排気する。ロードロック室31の2つの室内が規定の真空度に到達すると、ロードロック室31の第1室と微小寸法測定走査電子顕微鏡20の試料室100aの間の扉を開け、第1のマスク台32Aの上のホールダ120を、微小寸法測定走査電子顕微鏡20の試料ステージマスク台116に搬送する。次に、ロードロック室31の第1室と試料室100aの間の扉を閉じる。図2Bに示したように、ホールダ120にリターディング電圧を印加し、電子光学系によって、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法測定を行う。寸法測定では、ホールダ上の寸法校正用試料128とアタッチメント上の寸法校正用試料228を用いて、パターン寸法の測定の補正を行う。
【0041】
寸法測定が終了すると、ロードロック室31の第1室と試料室100aの間の扉を開け、試料ステージマスク台116の上のホールダを、ロードロック室31の第1のマスク台32Aに戻す。ロードロック室31の第1室と試料室100aの間の扉を閉じる。
【0042】
次に、ロードロック室31の第2室と試料室100aの間の扉を開け、第2のマスク台32Bの上のホールダを、試料ステージマスク台116の上に搬送する。ロードロック室31の第2室と試料室100aの間の扉を閉じ、電子光学系によって、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法測定を行う。
【0043】
一方、ロードロック室31の第1室を大気圧に戻し、第1のマスク台32A上のホールダ上の寸法測定が終了したアタッチメントを試料搬送ロボット15によって、保管庫10内の元の位置に戻す。微小寸法測定走査電子顕微鏡20における寸法計測が終了すると、ロードロック室31の第2室と試料室100aの間の扉を開け、寸法計測が終了したホールダを、第2のマスク台32Bの上に戻す。ロードロック室31の第2室と試料室100aの間の扉を閉じ、ロードロック室31の第2室を大気圧に戻す。寸法測定が終了した第2のマスク台32B上のホールダ上の寸法測定が終了したアタッチメントを試料搬送ロボット15によって、保管庫10内の元の位置に戻す。
【0044】
本例の微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)システムによると、ロードロック室31の内部には、2つのマスク台32A、32Bを設けるため、2つのホールダを同時に且つ順次に、試料ステージマスク台116に搬送することができる。そのため、ナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントを支持するホールダの搬送動作を効率的に行うことができる。
【0045】
本例の微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)システムによると、保管庫10内に保管されたナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントは、試料搬送ロボット15によって、ロードロック室31に搬送され、ホールダ上に装着される。ホールダは、微小寸法測定走査電子顕微鏡20の試料室100a内に搬送され、そこでナノインプリント用フォトマスクの寸法計測が行われる。ホールダは、微小寸法測定走査電子顕微鏡20の試料室100aから、ロードロック室31に搬送される。ナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントは、ロードロック室31から保管庫10に戻される。この間に、ナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントは、外部に取り出されることはない。ナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメント及びそれを支持するホールダ120は、高いクリーン度の雰囲気にて、即ち、ミニエンバイラメント方式の環境にて、搬送される。
【0046】
図5を参照して、本発明によるナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法測定の方法の第1の例を説明する。ステップS101にて、スミフポッド14より、測定対象のナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントを取り出す。上述のように、アタッチメントを取り出すのは試料搬送ロボット15である。ステップS102にて、アタッチメントを、ロードロック室31のマスク台32Aの上のホールダ120上に搬送し、ホールダ120に装着する。ステップS103にて、アタッチメントを支持するホールダを、微小寸法測定走査電子顕微鏡20の試料ステージマスク台116の上に搬送する。ステップS104にて、ホールダに、リターディング電圧を印加する。ステップS105にて、ホールダの寸法校正用試料128の寸法を測定する。この測定値を、Mhとする。ステップS106にて、アタッチメントの寸法校正用試料228の寸法を測定する。この測定値を、Maとする。ステップS107にて、倍率ずれがあるか否かを判定する。Mh=Maならば倍率ずれがないと判定する。Mh≠Maならば倍率ずれがあると判定する。ここで倍率ずれは、ホールダの寸法校正用試料128に対するアタッチメントの寸法校正用試料228の倍率ずれである。即ち、ナノインプリント用フォトマスクの倍率ずれである。倍率ずれがない場合にはステップS108に進み、倍率ずれがある場合にはステップS109に進む。ステップS108にて、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法測定を行う。このとき、予め設定されたリターディング電圧を印加して、寸法測定を行う。ステップS109にて、倍率ずれを演算する。倍率ずれは、ホールダの寸法校正用試料128を基準として、アタッチメントの寸法校正用試料228の測定値の偏奇量として算出する。従って倍率ずれΔMは、例えば、次の式によって表される。
ΔM=(Mh−Ma)/Mh×100(%)、又は、ΔM=Ma/Mh…式(1)
【0047】
ステップS110にて、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法測定を行う。このとき、予め設定されたリターディング電圧を印加して、寸法測定を行う。ステップS111にて、倍率ずれΔMを用いて、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定結果を修正する。先ず、倍率ずれの補正係数kを求める。倍率ずれの補正係数kを、例えば、倍率ずれの逆数1/ΔM=Mh/Maとして求めてよい。ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定値がXの場合、測定値Xに倍率ずれの補正係数k=1/ΔMを乗算することにより、真の測定値X1が得られる。
X1=X×(Mh/Ma) …式(2)
【0048】
X1は、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法測定値となる。本例では、ホールダの寸法校正用試料128を基準として、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定値を補正する。
【0049】
ナノインプリント用フォトマスクの倍率ずれについて考察する。一般に、倍率ずれは、試料の帯電によって起きる。試料が帯電していると、試料表面よりずれた位置に結像し、焦点ずれが起きる。倍率は、対物レンズの励磁電流から演算する。そのため、焦点ずれが起きた状態で倍率を計算すると、倍率ずれが発生し、正しい寸法測定値が得られない。そこで、試料の帯電量が判れば、それ寸法測定値にフィードバックすることにより、正しい測定値が得られる。
【0050】
更に、リターディング電圧を印加しない状態では、試料表面の帯電がないが、リターディング電圧を印加すると、試料表面の帯電が発生する例が知られている。このような帯電現象は、従来から知られているウェーハ帯電とは異なる現象である。
【0051】
リターディング電圧はホールダに印加されているため、アタッチメントに印加されている電圧は不明である。そのためホールダ側とフォトマスクが載っているアタッチメントで電位差が生じる可能性があり、フォトマスクにフォーカスを合わせるとフォーカスにずれが起き、倍率ずれが発生し、測定の再現性に悪影響を及ぼす。
【0052】
図6を参照して、試料の表面電位計測方法の原理を説明する。図6の実線の曲線61は、試料が帯電していない場合のリターディング電圧Vrと、試料から放出される二次電子の関係を示し、横軸は、リターディング電圧Vr、縦軸は、二次電子検出器の出力Iである。電子線の加速電圧を−V1とする。加速電圧−V1は、電子顕微鏡によって決まる固定値である。電子は負電荷を有するので、リターディング電圧Vrは負の電位である。
【0053】
図6の参照符号601は、リターディング電圧Vrが、電子線の加速電圧−V1より小さい場合(Vr<−V1)を示す。この場合、一次電子は試料には到達できない。一次電子は試料に到達する前に電子銃の方向に反転する。反転した一次電子は、反射板105に到達する。それによって反射板105から二次電子が発生し、二次電子検出器110によって検出される。一次電子は、反射板を通過するときの速度で反射板に戻ってくる。そのため、反射板で発生する二次電子はリターディング電圧によらず一定の量である。したがって、二次電子検出器の出力はリターディング電圧によらずほぼ一定の値になる。
【0054】
図6の参照符号602は、リターディング電圧Vrが、電子線の加速電圧−V1に略等しい場合(Vr=−V1)を示す。この場合、加速電圧−V1による加速と、リターディング電圧Vrによる減速は略同一である。従って、一次電子のエネルギーは試料表面上で0[eV]になる。そのため、試料から二次電子を発生させることができない。二次電子検出器の出力は低下する。
【0055】
図6の参照符号603は、リターディング電圧Vrが、電子線の加速電圧−V1より大きい場合(Vr>−V1)を示す。この場合、一次電子線は試料表面に到達し、試料から二次電子が発生し、その二次電子は二次電子検出器110によって検出される。リターディング電圧Vrを高くすることにより、試料への到達する電子のエネルギーが大きくなる。従って、リターディング電圧Vrをプラス方向に上昇させるにしたがい二次電子の発生量が増える。試料の測定時に用いるリターディング電圧Vrの値は、この範囲(Vr>−V1)にて、設定される。
【0056】
図6の破線の曲線62は、試料が帯電している場合のVr−I特性を示す。ここでは、試料の帯電電圧を−0.2kvとする。試料が帯電している場合のVr−I特性は、試料が帯電していない場合のVr−I特性と同様であるが、帯電電圧に相当する量だけシフトしている。Vr−I曲線のシフト量を求めることによって、試料の帯電電圧を求めることができる。
【0057】
以上より、リターディング電圧Vrを変化させると、二次電子検出器110の出力Iが極小となる電圧値が存在する。これをVr minとする。帯電電圧ΔVがゼロの場合、この電圧値Vr minは、電子線の加速電圧−V1に等しい。即ち、Vr min=−V1である。帯電電圧ΔVがゼロでない場合、この電圧値Vr minは、電子線の加速電圧V1に等しくない。即ち、Vr min=−V1−ΔVである。従って、帯電電圧−ΔVは次の式によって得られる。
−ΔV=Vr min+V1 …式(3)
【0058】
Vr minは、二次電子検出器110の出力Iが極小となるときのリターディング電圧、−V1は電子線の加速電圧である。電圧値Vr minが電子線の加速電圧−V1に等しい場合には、帯電電圧ΔVはゼロであることが判る。こうして、リターディング電圧Vrを増減させ、二次電子検出器110の出力Iを検出することによって、帯電電圧の値が判る。
【0059】
しかしながら、本例では、ナノインプリント用フォトマスクはアタッチメントに支持され、アタッチメントはホールダによって支持されている。ホールダにリターディング電圧Vrを印加するとき、ホールダとナノインプリント用フォトマスクに均一な帯電が発生するか否か不明である。
【0060】
図7を参照して、本発明によるナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法測定の方法の第2の例を説明する。ステップS201にて、図2Bに示すように、ナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントを、ホールダに装着し、このホールダを試料ステージマスク台に装着する。ステップS202にて、リターディング電圧Vrを変化させ、二次電子検出器110の出力Iが最小となる電圧値Vr minを求める。ステップS203にて、上述の式(3)によって帯電電圧−ΔVを求める。ステップS204にて、ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法測定を行う。このとき、予め設定されたリターディング電圧を印加して、寸法測定を行う。ステップS205にて、帯電電圧値−ΔVから、倍率ずれΔMを求め、求めた倍率ずれによって測定結果を修正する。
【0061】
例えば、帯電電圧値−ΔVと倍率ずれΔMの間の関係を予め求めておく。帯電電圧値−ΔVを求めたら、この関係より、倍率ずれΔMが得られる。倍率ずれの補正係数kは、上述のように、倍率ずれの逆数として求めてよい。こうして、倍率ずれの補正係数kが得られたら、それによって測定値を修正することができる。尚、ここで求めた倍率ずれΔMは、ナノインプリント用フォトマスクの帯電電圧に起因した倍率ずればかりでなく、アタッチメントを用いたことに起因する倍率ずれを含むものである。
以上、本発明を微小寸法測定走査電子顕微鏡(CD-SEM)を例として説明したが、本発明は走査型荷電粒子線装置に適用可能である。
【0062】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0063】
10…保管庫、10a…前面の窓、10b…上面の窓、10c…側面の窓、11…試料搬送装置、12…BOLTS面、13…ロードポート、14…SMIFポッド、15…試料搬送ロボット、31…ロードロック室、32A、32B…マスク台、100…鏡筒、100a…試料室、101…電子源、102…一次電子加速電極、103…一次電子、104…コンデンサレンズ、105…反射板、106…走査コイル、107…対物レンズ、108…6025フォトマスク、108a…ナノインプリント用フォトマスク(試料)、109…二次電子、110…二次電子検出器、111…制御コンピュータ、112…表面電位推定部、113…一次電子加速電源、114…リターディング回路、115…ステージ、116…試料ステージマスク台、120…ホールダ、121、122…マスクガイドブロック、123、124…ピン、128…寸法校正用試料、131…ストッパ、132、133…リターディング電圧印加部、200…アタッチメント、201ベース、221、222…マスクガイドブロック、223、224…マスク保持機構、228…寸法校正用試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次電子線を生成する電子源と、該一次電子線に対する加速電圧を供給する一次電子加速電源と、一次電子線を走査させる走査コイルと、一次電子線を試料上に集束させる対物レンズと、試料からの二次電子を検出する二次電子検出器と、試料を保持するホールダを装着するためのステージと、前記ホールダを介して試料にリターディング電圧を印加するリターディング電圧印加装置と、を有する走査型電子顕微鏡において、
前記ホールダは、所定の寸法のフォトマスクを支持するための支持装置を有しており、該支持装置は、上記フォトマスクの寸法と同一の寸法を有するアタッチメントを支持することが可能であり、該アタッチメントは、前記フォトマスクの寸法より小さい寸法を有するナノインプリント用フォトマスクを支持するように構成されていることを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項2】
請求項1記載の走査型電子顕微鏡において、
前記ホールダには寸法が既知の第1の寸法校正用試料が装着されており、前記アタッチメントには寸法が既知の第2の寸法校正用試料が装着されていることを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項3】
請求項1記載の走査型電子顕微鏡において、
前記アタッチメントは、ベースと、該ベースの上に装着され互いに直交する方向に沿って配置された2つのマスクガイドブロックと、該ベースの上に装着された2つのマスク保持機構と、を有し、前記ナノインプリント用フォトマスクは前記ベースの上に配置され前記2つのマスクガイドブロックと前記2つのマスク保持機構によって支持されるように構成されていることを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項4】
請求項1記載の走査型電子顕微鏡において、
前記ベースの平面寸法は、前記フォトマスクの平面寸法と同一であり、前記ベースは前記ホールダによって保持されるように構成されていることを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項5】
請求項3記載の走査型電子顕微鏡において、
前記マスク保持機構の各々は、前記ベースに固定された支持部材と、前記支持部材に対して可動な押し付け部材と、前記押し付け部材と前記支持部材の間に設けられたバネと、を有し、前記バネの弾性力によって、前記ナノインプリント用フォトマスクは、前記2つのマスクガイドブロックに押し付けられるように構成されていることを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項6】
請求項1記載の走査型電子顕微鏡において、
前記ホールダの支持装置は、互いに直交する方向に沿って配置された2つのマスクガイドブロックと、該2つのマスクガイドブロックに対向するように配置された2つのピンを有し、前記フォトマスクは、前記フォトマスクの隣接する2辺が前記2つのマスクガイドブロックに当接するように配置され、前記フォトマスクは、前記マスクガイドブロックと前記ピンの間に挟まれて配置されるように構成されていることを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項7】
請求項2記載の走査型電子顕微鏡において、
前記ホールダの寸法校正用試料の寸法の測定値Mhと前記アタッチメントの寸法校正用試料の寸法の測定値Maを求め、前記ホールダの寸法校正用試料の寸法の測定値Mhに対する前記アタッチメントの寸法校正用試料の寸法の測定値Maの偏差を倍率ずれとして算出し、該倍率ずれに基づいて、前記ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定値を補正することを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項8】
請求項1記載の走査型電子顕微鏡において、
前記ホールダに印加するリターディング電圧Vrを変化させ、前記二次電子検出器の出力Iが極小となるときのリターディング電圧Vr minを求め、該リターディング電圧Vr minより一次電子線に対する加速電圧V1を減算することによって、電圧値−ΔVを求め、この電圧値−ΔVに対応する倍率ずれを、予め求めた、電圧値−ΔVと倍率ずれの関係から求め、該求めた倍率ずれに基づいて、前記ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定値を補正することを特徴とする走査型電子顕微鏡。
【請求項9】
走査型電子顕微鏡を用いたナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定方法において、
所定の寸法のフォトマスクを保持するように構成されたホールダを用意するステップと、
ナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントを、前記所定の寸法のフォトマスクの代わりに前記ホールダに装着するステップと、
前記ホールダにリターディング電圧Vrを印加して、前記ホールダに設けた寸法校正用試料の寸法を測定しその測定値Mhを得るステップと、
前記ホールダにリターディング電圧Vrを印加して、前記アタッチメントに設けた寸法校正用試料の寸法を測定しその測定値Maを得るステップと、
倍率ずれを、前記寸法校正用試料の寸法の測定値の比(Ma/Mh)として算出するステップと、
前記倍率ずれから、倍率ずれの補正係数を、前記倍率ずれの逆数(Mh/Ma)として算出するステップと、
前記ホールダにリターディング電圧Vrを印加して、前記ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法を測定しその測定値Xを得るステップと、
前記パターンの寸法の測定値Xに前記倍率ずれの補正係数(Mh/Ma)を乗算することによって、前記パターンの寸法の寸法をX1=X×(Mh/Ma)として算出するステップと、
を有するナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定方法。
【請求項10】
前記アタッチメントは前記所定の寸法のフォトマスクの外形寸法と同一の外形寸法を有することを特徴とする請求項9記載のナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定方法。
【請求項11】
走査型電子顕微鏡を用いたナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定方法において、
所定の寸法のフォトマスクを保持するように構成されたホールダを用意するステップと、
ナノインプリント用フォトマスクを支持するアタッチメントを、前記所定の寸法のフォトマスクの代わりに前記ホールダに装着するステップと、
前記ホールダに印加するリターディング電圧Vrを変化させ、二次電子検出器の出力Iが極小となるときのリターディング電圧Vr minを求めるステップと、
前記極小リターディング電圧Vr minより一次電子線に対する加速電圧V1を減算しその差電圧値−ΔVを求めるステップと、
差電圧値−ΔVと倍率ずれの間の関係を予め求めるステップと、
前記差電圧値−ΔVと倍率ずれの関係から、前記減算結果として得た差電圧値−ΔVに対応する倍率ずれを求めるステップと、
前記倍率ずれを用いて、前記ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定値Xを修正するステップと、
を有するナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定方法。
【請求項12】
前記アタッチメントは前記所定の寸法のフォトマスクの外形寸法と同一の外形寸法を有することを特徴とする請求項11記載のナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定方法。
【請求項13】
所定の寸法のフォトマスクを保持するホールダを装着可能な走査型電子顕微鏡用ステージに装着可能なアタッチメントであって、
前記フォトマスクの寸法より小さい寸法を有するナノインプリント用フォトマスクを支持するように構成され、前記フォトマスクの代わりに前記ホールダに装着可能であり、
ベースと、該ベースの上に装着された2つのマスクガイドブロックと、該ベースの上に装着された2つのマスク保持機構と、を有し、前記ナノインプリント用フォトマスクは前記ベースの上に配置され前記2つのマスクガイドブロックと前記2つのマスク保持機構によって支持されるように構成され、
前記ベースの平面寸法は、前記フォトマスクの平面寸法と同一であり、前記ベースは前記ホールダによって保持されるように構成されていることを特徴とすることを特徴とするアタッチメント。
【請求項14】
請求項13記載のアタッチメントにおいて、
前記マスク保持機構の各々は、前記ベースに固定された支持部材と、前記支持部材に対して可動な押し付け部材と、前記押し付け部材と前記支持部材の間に設けられたバネと、を有し、前記バネの弾性力によって、前記ナノインプリント用フォトマスクは、前記2つのマスクガイドブロックに押し付けられるように構成されていることを特徴とするアタッチメント。
【請求項15】
請求項13記載のアタッチメントにおいて、
更に寸法が既知の寸法校正用試料を備えたことを特徴とするアタッチメント。
【請求項16】
一次荷電粒子線を生成する荷電粒子源と、該一次荷電粒子線に対する加速電圧を供給する加速電源と、一次荷電粒子線を走査させる走査コイルと、一次荷電粒子線を試料上に集束させる対物レンズと、試料からの二次荷電粒子を検出する二次荷電粒子検出器と、試料を保持するホールダを装着するためのステージと、前記ホールダを介して試料にリターディング電圧を印加するリターディング電圧印加装置と、を有する走査型荷電粒子装置において、
前記ホールダは、所定の寸法のフォトマスクを支持するための支持装置を有しており、該支持装置は、上記フォトマスクの寸法と同一の寸法を有するアタッチメントを支持することが可能であり、該アタッチメントは、前記フォトマスクの寸法より小さい寸法を有するナノインプリント用フォトマスクを支持するように構成されて
前記ホールダには寸法が既知の寸法校正用試料が装着されており、前記アタッチメントには寸法が既知の寸法校正用試料が装着されていることを特徴とする走査型荷電粒子装置。
【請求項17】
請求項16記載の走査型荷電粒子装置において、
前記ホールダの寸法校正用試料の寸法の測定値Mhと前記アタッチメントの寸法校正用試料の寸法の測定値Maを求め、前記ホールダの寸法校正用試料の寸法の測定値Mhに対する前記アタッチメントの寸法校正用試料の寸法の測定値Maの偏差を倍率ずれとして算出し、該倍率ずれに基づいて、前記ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定値を補正することを特徴とする走査型荷電粒子装置。
【請求項18】
請求項16記載の走査型荷電粒子装置において、
前記ホールダに印加するリターディング電圧Vrを変化させて、前記二次荷電粒子検出器の出力Iが極小となるときのリターディング電圧Vr minを求め、前記極小リターディング電圧Vr minより前記一次荷電粒子線に対する加速電圧V1を減算し、その差電圧値−ΔVを求め、予め求めた差電圧値−ΔVと倍率ずれの間の関係から、前記減算結果として得た差電圧値−ΔVに対応する倍率ずれを求め、該倍率ずれに基づいて、前記ナノインプリント用フォトマスク上のパターンの寸法の測定値を補正することを特徴とする走査型荷電粒子装置。
【請求項19】
請求項16記載の走査型荷電粒子装置において、
前記アタッチメントは、ベースと、該ベースの上に装着され互いに直交する方向に沿って配置された2つのマスクガイドブロックと、該ベースの上に装着された2つのマスク保持機構と、を有し、前記ナノインプリント用フォトマスクは前記ベースの上に配置され前記2つのマスクガイドブロックと前記2つのマスク保持機構によって支持されるように構成されていることを特徴とする走査型荷電粒子装置。
【請求項20】
請求項16記載の走査型荷電粒子装置において、
前記ベースの平面寸法は、前記フォトマスクの平面寸法と同一であり、前記ベースは前記ホールダによって保持されるように構成されていることを特徴とする走査型荷電粒子装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−13196(P2011−13196A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160143(P2009−160143)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】