説明

走査文書のスキュー補正方法

【課題】印刷走査閉ループ処理を利用した走査処理において生じるスキューの補正方法を提供する。
【解決手段】オリジナル印刷文書はスキャナによって走査され、該オリジナル文書に対するスキュー(回転)を含む第1のデジタル画像が取得される。第1のデジタル画像はデジタル処理によりセンターラインを中心として反転され、第2のデジタル画像が取得され、該第2のデジタル画像が印刷されて第2の印刷文書が生成される。第2の印刷文書は同じスキャナによって走査され、第3のデジタル画像が取得される。第3のデジタル画像は、デジタル処理によりセンターラインを中心として反転され、スキャナにより生じたスキューを実質的に含まない最終的なデジタル画像が取得される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷文書の走査方法に関し、特に走査文書のスキュー補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナは、印刷文書をデジタル形式に変換するのに広く用いられる。しかし、走査処理は、しばしば走査された文書画像に種々のゆがみを生じさせる。ゆがみが生じるのは、用紙とスキャンベッドとのずれ、走査面に対して用紙が完全に平らに置かれなかったことや、CCDモジュールの位置のずれにより走査開始ラインを正確に検出することができないこと等に起因しうる。ゆがみの一例は、画像の回転(しばしばスキュー(skew)と呼ばれる)である。他の例としては、他の方向に対する一方向での圧縮又は拡大、不均一なゆがみ(文書中の異なる部分が異なるゆがみを有する)等がある。走査後のデジタル画像処理は、特定のゆがみを補正するために実行されうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、補正機構としての印刷走査閉ループ処理を利用した、走査処理において生じるスキューの補正方法を対象としている。
【0004】
本発明の付加的な特徴及び効果は、以下の記述において説明され、その一部は該記述より明らかであり、又は本発明の実施により理解されうる。本発明の目的及び他の効果は、特に、添付図面と共に、明細書の記載及びそのクレームにおいて示される構造によって実現され、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの及び/又は他の目的を達成するため、具現化され広義に記載されているように、本発明は、オリジナル印刷文書を走査する際にスキャナによって生じるスキューを補正する方法であって、前記スキャナを用いて前記オリジナル印刷文書を走査し、前記オリジナル印刷文書に対するスキューを含む第1のデジタル画像を取得する工程と、前記第1のデジタル画像をデジタル処理によりセンターラインを中心として反転させて第2のデジタル画像を取得する工程と、前記第2のデジタル画像を印刷して第2の印刷文書を生成する工程と、前記スキャナを用いて前記第2の印刷文書を走査し、前記第2の印刷文書に対するスキューを含む第3のデジタル画像を取得する工程と、前記第3のデジタル画像をデジタル処理により前記センターラインを中心として反転させて第4のデジタル画像を取得する工程と、を有するスキュー補正方法を提供する。
【0006】
他の側面では、本発明は、デジタル画像から印刷文書を生成する印刷部と、前記印刷文書を走査してデジタル画像を生成する走査部と、前記印刷部と前記走査部とを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記走査部がオリジナル印刷文書を走査して前記オリジナル印刷文書に対するスキューを含む第1のデジタル画像を取得するように制御し、前記第1のデジタル画像をデジタル処理によりセンターラインを中心として反転させて第2のデジタル画像を取得し、前記印刷部が前記第2のデジタル画像を印刷して第2の印刷文書を生成するように制御し、前記走査部が前記第2の印刷文書を走査して前記第2の印刷文書に対するスキューを含む第3のデジタル画像を取得するように制御し、前記第3のデジタル画像をデジタル処理によりセンターラインを中心として反転させて第4のデジタル画像を取得するようにプログラムされているデータ処理システムを提供する。
【0007】
前述の一般的記載及び後述の詳細な説明は、双方とも例示的かつ説明的であり、クレームされた発明について更なる説明を提供することを意図するものと理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図3は、本発明の実施形態によるスキュー補正方法が実施されうるデータ処理システムを概略的に示している。該データ処理システムは、通信リンク108により接続されたコンピュータ102、プリンタ104及びスキャナ106を備える。コンピュータ102、プリンタ104及びスキャナ106の各々は、当業者によく知られる標準的なハードウェア及びソフトウェアコンポーネントを備えており、これらの詳細な説明はここでは省略する。スキュー補正方法はプリンタ及びスキャナを用いて実施され、それに伴う種々のデジタル処理工程は、以後、より詳細に記載されるように、ソフトウェア又はファームウェアとして実施されることにより、コンピュータ102、プリンタ104及びスキャナ106の何れかのプロセッサにより実施される。これらは別々の構成部分として図示されているが、プリンタ104及びスキャナ106は、印刷機能及び走査機能の双方を備えるオールインワンデバイス(AIO,マルチファンクションデバイスとも呼ばれる)等の同じ物理的機器であってもよい(図4参照)。通信リンク108は、コンピュータと、プリンタとスキャナ又はAIOとの間にあって、いかなるネットワーク又は直接接続であってもよい。
【0009】
プリンタを用いてデジタル文書を印刷し、その後スキャナを用いて印刷文書を走査して走査デジタル文書を得る処理は、閉ループ処理とも呼ばれる。本発明の実施形態によるスキュー補正方法は、補正機構としての閉ループ処理自体を利用することにより、スキュー(回転エラー)を補正する。該処理は、図1及び図2a〜2fを参照して記載される。
【0010】
まず、図2aに概略的に示される第1の印刷文書21は、スキャナ106を用いて走査され、図2bに概略的に示される第1のデジタル画像22が得られる(図1のステップS11)。第1の印刷文書21、すなわちオリジナル印刷文書は、プリンタ104から印刷された文書、他のプリンタ又は複写機により印刷された文書、又はユーザが走査デジタルバージョンの取得を望む他のいかなる印刷物であってもよい。該文書は、テキスト、グラフィックス、イメージ等を含んでもよい。図2aの矢印21aは、オリジナル印刷文書21におけるテキスト、グラフィックス又はイメージ等のコンテンツの特徴を概略的に表している。図2bに示すように、第1のデジタル画像22では、走査処理におけるスキューエラーに起因し、該コンテンツの特徴が回転されて現れる。矢印22aは、第1のデジタル画像に見られるコンテンツの特徴を概略的に表しており、第1のデジタル画像において、矢印22bはスキューエラーがなかった場合にコンテンツの特徴があるべき位置を概略的に表している。その後、第1のデジタル画像22は、ページの垂直センターライン22cを中心としてデジタル処理により反転され、図2cに概略的に示される第2のデジタル画像23が得られる(ステップS12)。この工程はコンピュータ102により実行され、コンピュータ102は、種々の中間デジタル画像を(少なくとも一時的に)記憶する。矢印23aにより概略的に表される第2のデジタル画像のコンテンツの特徴は、矢印22aにより概略的に表される第1のデジタル画像22のコンテンツの特徴の鏡像である。
【0011】
次に、第2のデジタル画像23は、プリンタ104を用いて印刷され、図2dに概略的に示される第2の印刷文書24を生成する(ステップS13)。印刷処理では、ほとんどの場合、スキューエラーは生じないことから、第2の印刷文書のコンテンツの特徴は、矢印24aで表されるように、それらが第2のデジタル画像23において矢印23aで表されるように現れるのと同じ位置に現れる。その後、第2の印刷文書24は、同じスキャナ106を用いて再度走査され、図2eに概略的に示される第3のデジタル画像25が得られる(ステップS14)。同じスキャナ106を用いることから、この走査処理では、初めの走査処理において生じたのと同様の又は類似した回転エラーが生じる(すなわち、ステップS11)。このように、図2eに示すように、第3のデジタル画像25のコンテンツの特徴は、第2の印刷文書24と比較して回転されて現れる。矢印25aは、第3のデジタル画像に見られるコンテンツの特徴を概略的に表しており、矢印25bは、スキューエラーがなかった場合にコンテンツの特徴があるべき位置を概略的に表している。第3のデジタル画像25における矢印25a及び25bの間の回転量及び回転方向は、第1のデジタル画像における矢印22a及び22bの間の回転量と同様又は類似している。最後に、第3のデジタル画像25は、ページの垂直センターライン25cを中心としてデジタル処理により反転され、図2fに概略的に示される第4のデジタル画像26が得られる(ステップS15)。2つの走査処理及び2つのデジタル処理による反転操作の結果として、図2fに示される第4の(最終的な)デジタル画像は、大幅に回転しなくても図2aに示されるオリジナル文書の画像に酷似している。言い換えると、該補正方法は、スキャナにより生じた回転エラーを実質的に取り除く。
【0012】
最終的なデジタル画像は、保存、表示、他のコンピュータへの送信、又はコンテンツ抽出や認証等の種々の目的のために更なる処理を施す等、ユーザが望むように使用することができる(ステップS16)。
【0013】
上記の例において、デジタル反転は垂直センターラインを中心としてなされるが、画像は水平センターラインを中心として反転されてもよい。
【0014】
上述したスキュー補正方法において、デジタル反転操作(ステップS12及びS15)は、コンピュータ102によって実行される。或いは、それらは、スキャナ又はプリンタのプロセッサにより実行されうる。これは、プリンタ及びスキャナが同じオールインワンデバイス(AIO)にある場合に特に便利である。この場合、AIOは第1の走査(ステップS11)、デジタル反転(ステップS12)、及び印刷(ステップS13)をユーザが介入することなく実行するようにプログラムされてもよい。その後、ユーザは、第2の印刷文書を再びスキャナに送り(AIOはユーザに文書を送るよう促す指示を表示するようにプログラムされてもよい)、AIOは第2の走査(ステップS14)及び第2のデジタル反転(ステップS15)を実行して、最終的なデジタル画像を得る。その後、最終的なデジタル画像は、保存又は更に利用するために他のコンピュータに送信されてもよい。言い換えると、コンピュータ102、プリンタ104及びスキャナ106の機能性が同じAIOに位置してもよく、ユーザはAIOにいながら全体の操作を実行することができる。AIOの構成は、図4に概略的に示される。AIO200は、印刷部204、走査部206及び制御部202(プロセッサ等)、メモリ208、及び図4に示されない他の必要な又は任意の構成部分を備える。
【0015】
本発明の実施形態によるスキュー補正方法の効果の一つは、走査後の複雑なデジタル画像処理の必要性を排除することである。デジタル反転は、複雑な計算を要しない簡易な操作である。
【0016】
上述の補正方法は、スキュー(回転エラー)に加えて、所定の他の種類のエラーに適用することができる。
【0017】
本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、本発明のスキュー補正方法に種々の改良及び変更を加えうることは、当業者において明らかである。このように、本発明は、添付のクレーム及びその均等物の範囲内において生じる改良及び変更を網羅することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施形態による走査文書画像におけるスキュー補正方法を示すものである。
【図2a】前記スキュー補正方法の各種工程における文書及び画像を示す。
【図2b】前記スキュー補正方法の各種工程における文書及び画像を示す。
【図2c】前記スキュー補正方法の各種工程における文書及び画像を示す。
【図2d】前記スキュー補正方法の各種工程における文書及び画像を示す。
【図2e】前記スキュー補正方法の各種工程における文書及び画像を示す。
【図2f】前記スキュー補正方法の各種工程における文書及び画像を示す。
【図3】図3は、コンピュータ、プリンタ及びスキャナを含むシステムであって、本発明の実施形態によるスキュー補正方法を実施しうるシステムを概略的に示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態によるスキュー補正方法を実施しうるオールインワンデバイスを概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナル印刷文書を走査する際にスキャナによって生じるスキューを補正する方法であって、
前記スキャナを用いて前記オリジナル印刷文書を走査し、前記オリジナル印刷文書に対するスキューを含む第1のデジタル画像を取得する工程と、
前記第1のデジタル画像をデジタル処理によりセンターラインを中心として反転させて第2のデジタル画像を取得する工程と、
前記第2のデジタル画像を印刷して第2の印刷文書を生成する工程と、
前記スキャナを用いて前記第2の印刷文書を走査し、前記第2の印刷文書に対するスキューを含む第3のデジタル画像を取得する工程と、
前記第3のデジタル画像をデジタル処理により前記センターラインを中心として反転させて第4のデジタル画像を取得する工程と、
を有することを特徴とするスキュー補正方法。
【請求項2】
前記センターラインは垂直センターラインであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第4のデジタル画像を表示、記憶又は送信する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
デジタル画像から印刷文書を生成する印刷部と、
前記印刷文書を走査してデジタル画像を生成する走査部と、
前記印刷部と前記走査部とを制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記走査部がオリジナル印刷文書を走査して前記オリジナル印刷文書に対するスキューを含む第1のデジタル画像を取得するように制御し、前記第1のデジタル画像をデジタル処理によりセンターラインを中心として反転させて第2のデジタル画像を取得し、前記印刷部が前記第2のデジタル画像を印刷して第2の印刷文書を生成するように制御し、前記走査部が前記第2の印刷文書を走査して前記第2の印刷文書に対するスキューを含む第3のデジタル画像を取得するように制御し、前記第3のデジタル画像をデジタル処理によりセンターラインを中心として反転させて第4のデジタル画像を取得するようにプログラムされていることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項5】
前記センターラインは垂直センターラインであることを特徴とする請求項4に記載のデータ処理システム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−111970(P2009−111970A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−204340(P2008−204340)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】