説明

走行体の走行制御システム及び走行体の走行制御方法

【課題】給電線へ電力を供給する電源の出力を走行体が走行できる出力に変更しても、出力の変更に必要な時間に基づく時間的損失を低減ことができる走行体の走行制御システム及び走行体の走行制御方法の提供。
【解決手段】物品を搭載して走行軌道11を走行する走行体20と、走行軌道11に沿って敷設される給電線18と、給電線18に高周波電流を供給する電源19と、走行体へ高周波電流を非接触給電する給電機構と、物品Wを搬送する物品搬送手段12と、物品搬送手段における物品Wの有無を検知する物品検知手段13と、搬送指示に基づき走行体を走行させる制御を行う制御手段26と、を有し、制御手段は物品検知手段の検知信号に基づいて走行体に搬送指示を与え、制御手段は、走行体に搬送指示を与える以前に、検知信号に基づき、電源19の出力を省電力出力から通常出力へ変更するように電源19を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行体の走行制御システム及び走行体の走行制御方法に関し、特に、走行軌道に沿う給電線から非接触給電を受けて走行する走行体の走行制御システム及び走行体の走行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等では、予め設定された経路を走行する走行体により、物品を移送することがある。
こうした走行体の走行制御システム(単に「走行制御システム」と表記する。)では、電源に接続された給電線から走行体へ非接触給電を行うものが知られている。
【0003】
例えば、図7(a)及び図7(b)に示す従来の走行制御システム50は、物品Wを搭載して所定の走行軌道51を走行する走行体としての有軌道台車60と、有軌道台車60の走行軌道51に沿って敷設される給電線58と、給電線58に高周波電流を供給する電源59と、給電線58から有軌道台車60へ高周波電流を非接触給電する給電機構と、搬送指示に基づき有軌道台車60を走行させる制御を行う制御手段としての地上コントローラ66とを有している。
この走行制御システム50では、給電線58に高周波の交流電流が流れており、給電機構であるピックアップコア64(受電コア)を有する有軌道台車60は、ピックアップコイル64(受電コア)との給電線58との電磁誘導作用により給電線58からの電力を非接触により得ている。
【0004】
この走行制御システム50では、図7(b)に示すように物品搬送手段としての入庫用コンベア52が走行軌道51の近傍に設けられ、入庫用コンベア52は有軌道台車60の荷台61に搭載すべき物品Wを搬送する。
入庫用コンベア52は、コンベア制御部55と、搬送すべき物品Wの有無を検知する物品検知手段としての在荷センサ53を備えている。
在荷センサ53は入庫用コンベア52の下流端付近(走行軌道51側)に設けられている。
地上コントローラ66は、検知信号に基いて有軌道台車60に搬送指示を与えるほか、電源59の出力を省電力出力から通常出力へ変更するように電源59を制御する。
【0005】
この種の走行制御システム50では、例えば、有軌道台車60が長く停止しているときには、電源59の出力を省電力出力とし、有軌道台車60に搭載すべき物品Wが入庫用コンベア52において検知されたとき、電源59の出力を省電力出力から通常出力に変更し、有軌道台車60が走行できるようにしている。
つまり、この種の走行制御システム50では、有軌道台車60が長時間走行しない場合には、無駄な電力の損失を防止するために電源59の出力を最低の省電力出力に設定し、有軌道台車60が走行する場合には、走行に必要な通常出力に対応する電力を給電線58に供給する。
従って、有軌道台車60に搭載すべき物品Wを検知した場合、地上コントローラ66は電源59の出力を省電力出力から通常出力に変更するとともに、搬送指示を有軌道台車60に与える。
このとき、図8に示すように、在荷センサ53が物品Wを検知した後、電源59の出力が省電力出力から通常出力に変更され、給電線58に通常出力に対応した電力が供給するまでに、例えば、数秒〜10秒程度の時間を必要としている。
因みに、電源59の出力を省電力出力から通常出力に対応するまでに必要な時間を無くしたり、この時間を短縮化することは現実的には困難である。
【0006】
なお、この種の走行制御システムにおいて給電線に電力を供給する電源の出力を変更する技術は、例えば、特許文献1及び特許文献2にも開示されている。
【特許文献1】特開2000−60034号公報
【特許文献2】特開2001−19120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の走行制御システムでは、物品が検知され、電源の出力が省電力出力から通常出力へ変更されても、実際には、給電線において通常出力に対応した電力となるまでに時間がかかる。
物品を検出して給電線の電力が通常出力に対応するまでの時間、すなわち、電源の出力の変更に必要な時間が、走行制御システムにおける時間的損失となって反映するという問題がある。
具体的には、走行台車が搬送指示を受けても、電源の出力変更中は給電線における電力が十分ではないことから、省電力出力から通常出力に対応するまでに必要な時間が走行体の待機時間となって反映されてしまい、走行体が直ちに走行できず、物品を走行体に搭載するまでの時間がかかってしまう。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、給電線へ電力を供給する電源の出力を走行体が走行できる出力に変更しても、出力の変更に必要な時間に基づく時間的損失を低減することができる走行体の走行制御システム及び走行体の走行制御方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため、請求項1記載の発明は、物品を搭載して所定の走行軌道を走行する走行体と、前記走行体の走行軌道に沿って敷設される給電線と、前記給電線に高周波電流を供給する電源と、前記給電線から前記走行体へ高周波電流を非接触給電する給電機構と、前記走行軌道の近傍に設けられ、前記走行体に搭載すべき前記物品を搬送する物品搬送手段と、前記物品搬送手段における前記物品の有無を検知する物品検知手段と、搬送指示に基づき前記走行体を走行させる制御を行う制御手段と、を有し、前記制御手段は前記物品検知手段の検知信号に基づいて走行体に搬送指示を与える走行体の走行制御システムであって、 前記制御手段は、前記走行体に対して搬送指示を与える以前に、前記物品検知手段の検知信号に基づき前記給電線に対する電源の出力を省電力出力から通常出力へ変更するように前記電源を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、制御手段は、走行体に対して搬送指示を与える以前に、物品検知手段の検知信号に基づき給電線に対する電源の出力を省電力出力から通常出力へ変更するように電源を制御する。
従って、電源の出力の変更の指示と走行体への搬送指示が同時であっても、搬送手段による物品の搬送時間が十分に確保される場合、物品の搬送中において省電力出力から通常出力への電源の出力の変更を行えば、電源の出力の変更に必要な時間に基づく時間的損失無くすことができる。
電源の出力の変更を指示した後に走行体への搬送指示を行い、搬送手段による物品の搬送時間が十分に確保される場合には、物品の搬送中において省電力出力から通常出力への電源の出力の変更を行えば、電源の出力の変更に必要な時間に基づく時間的損失を無くしたり、低減することができる。
なお、走行体に対して搬送指示を与える以前とは、走行体に搬送指示を与えた時点を含み、かつ、走行体に搬送指示を与える前の時間的範囲を指す。
因みに、搬送指示は、特定の物品を指定する場所へ走行台車により搬送する動作を含む。
さらに言うと、搬送指示は、走行体に物品を移載する動作や、走行体から指定した場所へ物品を移載する動作を含む場合がある。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の走行体の走行制御システムにおいて、前記制御手段は、前記物品検知手段の検知信号に基づいて前記給電線の電力が通常出力に対応した後、前記走行体に対して搬送指示を与えることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、制御手段は、物品検知手段の検知信号に基づいて給電線の電力が通常出力に対応した後、走行体に対して搬送指示を与える。
従って、制御手段は、給電線の電力が通常出力に対応した後に、走行体に対して搬送指示を与えることから、走行体は搬送指示を受けると直ちに走行することができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の走行体の走行制御システムにおいて、前記物品検知手段は、前記電源の出力の制御に必要な物品の検知を行う第1物品検知体と、搬送指示に必要な物品の検知を行う第2物品検知体を有し、第1物品検知体は前記物品搬送手段の搬送上流側に備えられ、前記第2検知手段は前記物品搬送手段の搬送下流側に備えられることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、第1物品検知体と第2物品検知体の間に、一定の物品の搬送距離が設定される。
一定の物品の搬送距離が設定される場合、搬送距離に対応する物品の一定の搬送時間を確保することができる。
これにより、第1物品検知体による物品の検知から第2物品検知体の物品検知までの物品の搬送時間を、電源の出力の変更に必要な時間に充当することができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の走行体の走行制御システムにおいて、前記物品搬送手段の搬送上流側を臨む物品移載手段と、前記物品移載手段と前記制御手段との間で交信する通信手段とを有し、前記物品移載手段は前記物品検知手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、物品移載手段が物品搬送手段へ移載するとき、検知信号を含む通信が物品移載手段と制御手段との間で行われる。
従って、物品搬送手段に必ずしも物品検知手段を設ける必要がなく、物品の検知信号は通信手段により物品移載手段から制御手段に伝達することができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、走行軌道に沿って敷設される給電線から高周波電流が非接触給電される走行体と、前記走行軌道の近傍に設けられ、前記走行体に搭載すべき物品を搬送する物品搬送手段と、前記給電線に高周波電流を供給する電源の制御と、前記走行体の制御を行う制御手段を備え、前記物品が前記物品搬送手段における物品検知位置で検知されたとき、前記制御手段は、前記走行体に対して搬送指示を与える以前に、前記物品の検知に基づき、前記給電線に対する前記電源の出力を省電力出力から通常出力へ変更するように前記電源を制御することを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、物品が物品搬送手段における物品検知位置で検知されたとき、制御手段は、走行体に対して搬送指示を与える以前に、物品の検知に基づき、給電線に対する電源の出力を省電力出力から通常出力へ変更するように前記電源を制御する。
従って、電源の出力の変更の指示と走行体への搬送指示が同時であっても、搬送手段による物品の搬送時間が十分に確保される場合、物品の搬送中に給電線における電力の変更を行えば、電源の出力を省電力出力から通常出力へ変更するまでに必要な時間に基づく時間的損失無くすことができる。
電源の出力の変更を指示した後に走行体への搬送指示を行い、搬送手段による物品の搬送時間が十分に確保される場合には、物品の搬送中において省電力出力から通常出力への電源の出力の変更を行えば、電源の出力の変更に必要な時間に基づく時間的損失を無くしたり、低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、給電線に対する電源の出力を走行体が走行できる出力に変更しても、出力の変更に必要な時間に基づく時間的損失を低減ことができる走行体の走行制御システム及び走行体の走行制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る走行体の走行制御システム(以下、単に「走行制御システム」と表記する)について図1〜図3に基づき説明する。
この実施形態の走行制御システムは、物品を運搬する有軌道台車を備えた物流設備に適用した例である。
図1は第1の実施形態に係る走行制御システム10を示す平面図である。
図2(a)は走行制御システム10の要部を概略的に示した構成図であり、図2(b)は給電機構の要部を示す断面図である。
【0021】
この実施形態に係る走行制御システム10は、主に、床面に敷設された走行軌道11と、走行軌道11を走行する走行体としての有軌道台車20と、物品Wの保管先である物品保管棚16と、走行軌道11に沿って敷設される給電線18と、給電線18に高周波電流を供給する電源19と、有軌道台車20に搭載すべき物品Wを搬送する物品搬送手段としての入庫用コンベア12と、有軌道台車20に搬送指示を与える制御手段としての地上コントローラ26から主に構成されている。
【0022】
図1に示すように、走行軌道11は有軌道台車20を案内する軌道であり、走行軌道11には有軌道台車20が走行自在に配置されている。
この実施形態では、走行軌道11の端部付近に有軌道台車20の待機位置HPが設定されており、有軌道台車20は物品Wを運搬しないときには待機位置HPにて待機する。
待機位置HPは有軌道台車20の位置情報の基礎となる基準位置である。
【0023】
図1においては、待機位置HPからやや離れた位置に物品搭載位置LPが設定されている。
物品搭載位置LPに対応して入庫用コンベア12が設置されており、入庫用コンベア12の下流側端は物品搭載位置LPを臨む状態にある。
物品搭載位置LPは、物品Wを有軌道台車20に搭載するために、有軌道台車20が停止する位置である。
【0024】
入庫用コンベア12は、有軌道台車20に搭載すべき物品Wを搬送するコンベアである。
入庫用コンベア12には、第1物品検知体としての第1在荷センサ13と、第2物品検知体としての第2在荷センサ14が備えられている。
この実施形態では、第1物品検知体及び第2物品検知体が物品検知手段を構成する。
さらに、入庫用コンベア12は、入庫用コンベア12の各部を制御するコンベア制御部15を有している。
【0025】
この実施形態では第1在荷センサ13は入庫用コンベア12の搬送上流側である上流端付近に設けられ、第2在荷センサ14は搬送下流側である下流端付近に設けられている。
第1在荷センサ13により物品Wが認識される位置を第1物品検知位置S1とし、また、第2在荷センサ14により物品Wが認識される位置を第2物品検知位置S2としている。
第1在荷センサ13及び第2在荷センサ14は、物品Wを認識したときに検知信号を発するものである。
第2在荷センサ20は、有軌道台車20が走行可能な状態となったときに、コントローラ26からの搬送指示を有軌道台車20へ出すことができるように設置されている。
つまり、第2在荷センサ14の設置位置は、入庫用コンベア12における物品Wの搬送時間との関係から、有軌道台車20が走行可能になる時間を考慮した位置に設置されている。
【0026】
物品搭載位置LPから離れた場所には、走行軌道11に沿うように物品保管棚16が設置されており、物品保管棚16は物品Wを保管する複数の収容部17を備えている。
有軌道台車20が収容部17に対応する位置で停止した場合に、入庫すべき物品Wを収容部17へ収容したり、出庫すべき物品Wを収容部17から取り出したりする。
なお、出庫すべき物品Wは、入庫すべき物品Wと同様に有軌道台車20により行われるが、出庫すべき物品Wの出庫先は図1において図示しない。
【0027】
一方、走行軌道11の側面には、図2(a)及び図2(b)に示されるように、リッツ線から構成される給電線18(18a、18b)が上下一対で互いに平行となるように敷設されている。
給電線18は電源19からの出力に基いて高周波の電流が流れるものとなっており、給電線18a、18bに互いに逆方向に電流が流れるように電源19は交流電源となっている。
電源19から給電線18に出力される電力は、主に有軌道台車20の走行のために利用される。
給電線18に電力を供給する電源19の出力は、有軌道台車20の走行が可能な通常出力と、最低値の電力である省電力出力の2段階に変更することが可能となっている。
【0028】
有軌道台車20は、物品Wを搭載するための荷台21と、有軌道台車20の各部の制御を図る台車制御部22と、地上コントローラ26と通信を行う送受信部23と、給電線18からの給電のための給電機構を有する。
因みに、有軌道台車20には、搭載すべき物品Wを入庫コンベア12から荷台21へ取り込んだり、荷台21から指定する場所(移載先)へ荷台21上の物品Wを送り出したりする移載機構(図示せず)が備えられている。
台車制御部22は、有軌道台車20における走行駆動系の要素を制御するほか、送受信部23及び給電機構を制御する。
台車制御部22の制御により、有軌道台車20の走行や適切な位置での停止を実現するものとなっている。
【0029】
給電機構は給電線18からの電力を有軌道台車20に給電するための機構であり、この実施形態の給電機構はピックアップコア24を用いている。
ピックアップコア24は鉄心等の磁性体にコイルが巻装されたものであり、ピックアップコア24の縦断面は略E字状となっている。
給電線18a、18bはピックアップコア24における中央突部24aの上下に夫々位置するように臨んでいる。
ピックアップコア24は給電線18a、18bにおける電磁誘導作用を利用して中央突起部24aに設けられたコイル25から交流電流を得るようにしている。
【0030】
次に、制御手段としての地上コントローラ26について説明する。
この実施形態の地上コントローラ26は地上に設置されており、入庫用コンベア12における物品Wの検知に基き有軌道台車20に搬送指示を与えるほか、電源19の出力を制御する機能を有する。
地上コントローラ26は、第1在荷センサ13及び第2在荷センサ14の検知信号を認識できるように、入庫用コンベア12のコンベア制御部15と電気的に接続されている。
地上コントローラ26は送受信部27を備えており、有軌道台車20との無線通信を行うことができる。
地上コントローラ26は、電源19と電気的に接続されており、電源19の出力を省電力出力又は通常出力に変更するように電源19を制御する。
この実施形態では、地上コントローラ26は、第1在荷センサ13による物品Wの検知信号に基いて電源19の出力を省電力出力から通常出力に変更したり、有軌道台車20が長時間走行しない場合には、通常出力から省電力出力に変更する。
【0031】
次に、この実施形態の有軌道台車20の走行制御方法について説明する。
まず、有軌道台車20が待機位置HPに位置した状態、すなわち、有軌道台車20が物品Wを搭載せず待機している状態にあるとする。
この状態では、給電線18に電力を供給する電源19の出力は省電力出力となっている。
従って、走行制御システム10全体における電力消費を抑制する状態にあり、有軌道台車20は走行できない状態にある。
【0032】
次に、入庫用コンベア12の下流端側に有軌道台車20に搭載すべき物品Wが投入されると、第1在荷センサ13が第1物品検知位置S1において物品Wを認識し、第1在荷センサ13による検知信号はコンベア制御部15へ送られる。
コンベア制御部15は、物品Wの搬送を行うように入庫用コンベア12を制御するとともに、検知信号を受けたことを地上コントローラ26へ伝達する。
地上コントローラ26は、電源19による省電力出力を解除して、出力が通常出力となるように電源19を制御する。
電源19は地上コントローラ26の制御を受けて、省電力出力から通常出力へ変更するが、この実施形態では、電源19の出力の変更が完了して給電線18の電力が通常出力に対応し、有軌道台車20が走行可能な状態になるまでに数秒〜10秒程度の時間を必要とする。
つまり、地上コントローラ26が電源19に対する出力の変更を指示しても、給電線18における電力は直ちに省電力出力に対応する状態から通常出力に対応する状態に変更されるわけではない。
【0033】
有軌道台車20が走行可能な状態になるまでの間、物品Wは入庫用コンベア12により搬送される。
この実施形態では、電源19の出力が通常出力に変更され、有軌道台車20が走行可能な状態になったとき、第2物品検知位置S2において第2在荷センサ14により物品Wが再度認識され、第2在荷センサ14による検知信号がコンベア制御部15へ送られる。
そして、検知信号を受けたことを地上コントローラ26へ伝達し、地上コントローラ26は有軌道台車20に対して搬送指示を与える。
この実施形態では、有軌道台車20に移載機構が備えられていることから、搬送指示に基づいて有軌道台車20が走行するほか、有軌道台車20が備える移載機構による物品Wの移載を行う。
まず、有軌道台車20は無線通信により地上コントローラ26からの搬送指示を受け、入庫用コンベア12の下流側端を臨む位置へ向けて走行する。
図3は、第1在荷センサ13による物品Wの検知から、第2在荷センサ14による物品Wの検知及び有軌道台車20に搬送指示が与えられるまでのタイムチャート図である。
【0034】
有軌道台車20が入庫用コンベアの下流側端を臨む位置に達して停止すると、物品が有軌道台車20の荷台21に搭載され、その後、物品保管棚16へ向かって走行を再開する。
物品保管棚16に達した有軌道台車20は、搬送指示に基いて物品Wの入庫先である所定の収容部17と対峙し、物品Wを収容部17へ収容する。
【0035】
次に、入庫すべき物品Wが入庫用コンベア12に存在する場合には、次の搬送指示に基いて入庫用コンベア12へ向い物品Wを搭載して走行し、物品Wを物品保管棚16へ収容する。
物品Wの収容後に、次に取り扱うべき物品Wが存在しない場合には、有軌道台車20は待機位置HPへ復帰し待機する。
その後、所定の時間が経過しても地上コントローラ26から搬送指示を受けない場合には、電源19の出力が通常出力から省電力出力へ変更するように地上コントローラ26が電源19を制御する。
【0036】
このように、この実施形態では、物品Wが入庫用コンベア12における第1物品検知位置S1で第1在荷センサ13により検知されたとき、地上コントローラ26は、有軌道台車20に対して搬送指示を与える以前に、第1在荷センサ13による物品Wの検知に基づき、給電線18に対する電源19の出力を省電力出力から通常出力へ変更するように電源19を制御する。
【0037】
この実施形態によれば以下の効果を奏する。
地上コントローラ26による電源19の出力の変更の指示と有軌道台車20への搬送指示が同時であっても、第1在荷センサ13と第2在荷センサ14の間に、一定の物品Wの搬送距離が設定されることになり、このため、入庫用コンベア12による物品Wの搬送時間が十分に確保され、物品Wの搬送中において省電力出力から通常出力への電源19の出力の変更が行われ、電源19の出力の変更に必要な時間が時間的損失とならない。
つまり、第1在荷センサ13と第2在荷センサ14の間に、一定の物品Wの搬送距離が設定されることから、第1在荷センサ13による物品Wの検知から第2在荷センサ14による物品Wの検知までの物品Wの搬送時間を、電源19の出力の変更に必要な時間に充当することができる。
【0038】
(第1の実施形態の別例1)
なお、この実施形態では、電源19の出力が省電力出力から通常出力へ完了した時点で有軌道台車20に搬送指示を与えるようにしたが、別例1として、例えば、図4(a)に示すように、有軌道台車20が走行可能な状態になるまでの間に、第2在荷センサ14による物品Wの検知を行うようにしてもよい。
この場合、有軌道台車20が走行不可能な状態のときに、地上コントローラ26から有軌道台車20へ搬送指示を与えることになるから、搬送指示を受けた有軌道台車20は、電源19の出力が通常出力に変更されて有軌道台車20が走行可能な状態になるまでの間、待機する必要がある。
しかしながら、有軌道台車20の待機中において物品Wは入庫用コンベア12による搬送を継続していることから、物品Wが電源19の出力の変更に伴う時間的損失を生じることはない。
なお、有軌道台車20が待機する時間は、例えば、待機時間に対応して予め設定されたタイマを用いればよい。
あるいは、地上コントローラ26と電源19との通信結果を地上コントローラ26から有軌道台車20へ逐次送信することにより、有軌道台車20が走行可能な状態になった時点を通信データに基づいて把握するようにしてもよい。
【0039】
(第1の実施形態の別例2)
さらに別例2として、図4(b)に示すように、第2在荷センサ14による物品Wの検知を、有軌道台車20が走行可能な状態になった後としてもよい。
この場合、第2在荷センサ14が物品Wを検知した時点では、給電線18の電力は通常出力に対応済みであり、有軌道台車20が既に走行可能な状態にあるから地上コントローラ26から有軌道台車20へ搬送指示を与えれば有軌道台車20は直ちに走行することができる。
【0040】
ただし、入庫用コンベア12による物品Wの搬送中に、第2在荷センサ14が物品Wを検知する必要がある。
これは、物品Wの搬送が終了してから有軌道台車20を走行させると、有軌道台車20が入庫用コンベア12に到達する間、物品Wが待機する状態となり、物品Wの待機による時間的損失が生じるためである。
【0041】
別例1及び別例2に係る有軌道台車20の走行制御方法では、第1の実施形態と同様に、物品Wの搬送中において省電力出力から通常出力への電源19の出力の変更が行われることから、第1在荷センサ13による物品Wの検知から第2在荷センサ14による物品Wの検知までの物品Wの搬送時間を、電源19の出力の変更に必要な時間に充当することができ、電源19の出力の変更に必要な時間が時間的損失とならない。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る有軌道台車20の走行制御方法について説明する。
第2の実施形態では、走行制御システム10の構成自体は、第2在荷センサ14が第2物品検知体として本発明における物品検知手段を構成しない点を除き、第1の実施形態と同一であるため符号を共通して用いる。
この実施形態では、第1在荷センサ13のみが物品検知手段を構成し、この実施形態では、第2在荷センサは物品検知手段を構成しない。
従って、第1在荷センサ13により物品Wを検知する位置は、物品検知位置に相当する。
因みに、第2在荷センサ14は、この実施形態では、物品Wを有軌道台車20へ移載可能か否かの判断することのみに使用されるセンサであり、有軌道台車20に対する搬送指示を出すために使用されるセンサではない。
図5は、第1在荷センサ13のみを物品検知手段として構成した場合、第1在荷センサ13による物品Wの検知から、この物品Wの検知に基いて有軌道台車20に搬送指示が与えられるまでのタイムチャート図を示す。
【0043】
図5(a)〜図5(c)は、第1在荷センサが物品Wの検知を行い、第1在荷センサ13の検知信号に基いて、地上コントローラ26が電源の出力を省電力出力から通常出力への変更する制御と、有軌道台車20に対する搬送指示を付与する点で共通している。
ただし、図5(a)〜図5(c)は、地上コントローラ26により搬送指示を有軌道台車20に与える時点がそれぞれ異なっている。
図5(a)の場合では、物品検知位置において第1在荷センサ13により物品Wが検知されると、第1在荷センサ13の検知信号に基いて、地上コントローラ26が電源19への出力を省電力出力から通常出力への変更するように電源19を制御するとともに、有軌道台車20に対して直ちに搬送指示を与える。
第1在荷センサ13による検知信号に基づき、地上コントローラ26による電源19の出力の制御と、有軌道台車20への搬送指示の付与が同時となる。
このため、有軌道台車20に搬送指示が与えられる時点では、給電線18は省電力出力に対応する状態にあって通常出力に対応する状態になく、有軌道台車20は直ちに走行可能な状態にない。
【0044】
そこで、図5(a)の例では、地上コントローラ26が電源19の出力を変更するように電源19を制御し、給電線18が通常電力に対応する状態となるまでに必要な時間と同じ長さの待機時間を有軌道台車20に設定する。
具体的には、有軌道台車20が待機する時間は、待機時間に対応して予め設定されたタイマにより設定してもよい。
あるいは、地上コントローラ26と電源19との通信結果を地上コントローラ26から有軌道台車20へ逐次送信することにより、有軌道台車20が走行可能な状態になった時点を把握するようにしてもよい。
これにより、有軌道台車20は、地上コントローラ26から搬送指示を受けても、直ちに走行されず、省電力出力から通常出力への変更が完了になるまで待機し、出力変更が完了すると直ちに有軌道台車20は走行する。
有軌道台車20が待機する間、入庫用コンベア12により物品Wの搬送を継続する。
これにより、電源19の出力の変更に必要な時間が、入庫用コンベア12による物品Wの搬送に利用される。
【0045】
次に、図5(b)の例について説明する。
図5(b)の場合では、第1在荷センサ13により物品Wが検知されると、第1在荷センサ13の検知信号に基いて、地上コントローラ26が電源19への出力を省電力出力から通常出力への変更するように電源19を制御する。
ただし、地上コントローラ26は検知信号を認識しても、有軌道台車20に対して直ちに搬送指示を与えず、所定の時間が経過した後に搬送指示を有軌道台車20に与えるようにしている。
この所定の時間は、地上コントローラ26が搬送指示を有軌道台車20に与えるまで待機する時間であって、この場合、給電線18における電力が省電力出力から通常出力に対応するまでに必要な時間よりも短い時間となっている。
地上コントローラ26における待機時間は、例えば、タイマにより予め設定しておけばよい。
【0046】
さらに、図5(b)では、地上コントローラ26が有軌道台車20に対して搬送指示を与えても、有軌道台車20の走行が待機される。
つまり、有軌道台車20には、搬送指示が与えられた後において、給電線18における電力が省電力出力から通常出力に対応するまでに必要な時間に相当する待機時間が設定されている。
有軌道台車20の走行開始のタイミングは、有軌道台車20の待機時間はタイマにより設定してもよいし、あるいは、地上コントローラ26と電源19との通信結果を地上コントローラ26から有軌道台車20へ逐次送信することにより、給電線18の状態が有軌道台車20の走行可能であるかどうかを把握し、有軌道台車20の走行可能な時点で設定するようにしてもよい。
【0047】
次に、図5(c)の例について説明する。
図5(c)の場合では、第1在荷センサ13により物品Wが検知されると、第1在荷センサ13の検知信号に基いて、地上コントローラ26が電源19への出力を省電力出力から通常出力への変更するように電源19を制御する。
ただし、地上コントローラ26は検知信号を認識しても、有軌道台車20に対して直ちに搬送指示を与えず、所定の時間が経過した後に搬送指示を有軌道台車20に与えるようにしている。
この所定の時間は、地上コントローラ26が搬送指示を有軌道台車20に与えるまで待機する時間であって、この場合、給電線18における電力が省電力出力から通常出力に対応するまでに必要な時間よりも長い時間となっている。
地上コントローラ26における待機時間は、例えば、タイマにより予め設定しておけばよい。
【0048】
この例では、地上コントローラ26の待機後には、有軌道台車20が走行可能な状態、つまり、給電線18における電力が省電力出力から通常出力に対応済みである。
従って、地上コントローラ26により有軌道台車20へ搬送指示を与えると有軌道台車20は直ちに走行する。
なお、給電線18における電力が省電力出力から通常出力に対応した時点と、地上コントローラ26が搬送指示を与える時点との時間差が少ない方が、電力損失を少なくすることができる。
従って、給電線18における電力が省電力出力から通常出力に対応した時点と、地上コントローラ26が搬送指示を与える時点が同時であることが好ましい。
【0049】
このように、第2の実施形態では、入庫用コンベア12の上流端側に設けた第1在荷センサ13のみの物品Wの検知に基いて、地上コントローラ26による電源19の出力の変更の指示と有軌道台車20に対する搬送指示を行うことができる。
地上コントローラ26による電源19の出力の変更の指示と有軌道台車20への搬送指示のタイミングが同時又は同時でない場合も、物品Wの検知後に物品Wの搬送が継続される。
このため、物品Wの搬送中において省電力出力から通常出力への電源19の出力の変更が行われ、電源19の出力の変更に必要な時間が時間的損失とならない。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の走行制御システム30について説明する。
第3の実施形態はスタッカクレーンを備えた自動倉庫に適用した例である。
図6に示すように、左右一対の物品保管棚36と、給電線38を有するスタッカクレーン40の走行軌道31と、走行軌道31を走行する走行体としてのスタッカクレーン40と、走行軌道31に沿う物品搬送手段としての入庫用コンベア32と、入庫用コンベア32の上流端を望むように走行する物品移載手段としての有軌道台車33と、制御手段としての地上コントローラ46と、給電線38と接続された電源39を有する。
【0051】
物品保管棚36は多段状に区画形成された多数の収容部37を有しており、収容部37は走行軌道31を臨む。
走行軌道31は物品保管棚36の間を通るように敷設されており、走行軌道31に沿って高周波の電流が供給される給電線38が備えられている。
スタッカクレーン40は、マスト(図示せず)を備えた走行台車41と、マストに沿って昇降するキャリッジ42、キャリジ42に備えられたフォーク(図示せず)を有し、フォークの進退により収容部37に対する物品Wの出し入れを行うようにしている。
この実施形態のスタッカクレーン40は、クリーンルーム用のスタッカクレーンであり、給電機構を有している。
給電機構は、図示しないが走行台車41に備えられ、基本的に第1の実施形態と同種の構成であり、ピックアップコア等から構成されている。
【0052】
スタッカクレーン40は、クレーン制御部44と、地上コントローラ46と無線通信する送受信部43を備えており、地上コントローラ46の搬送指示を受け、クレーン制御部44の制御により走行軌道31を走行する。
地上コントローラ46はスタッカクレーン40と無線通信する送受信部47を備え、スタッカクレーン40に搬送指示を与えるほか、電源39の出力を変更するように電源39を制御することができる。
さらに、地上コントローラ46は別の送受信部48を備え、有軌道台車33と無線通信することができる。
なお、電源39は給電線38と接続され、スタッカクレーン40の状況に応じて省電力出力及び通常出力いずれかを選択的に出力する構成となっており、スタッカクレーン40が長時間走行されない場合には、省電力出力となり、スタッカクレーン40が走行する場合には通常出力となる。
【0053】
入庫用コンベア32は、入庫すべき物品Wをスタッカクレーン40側へ向けて搬送するコンベアである。
入庫用コンベア32は、図示しないコンベア制御部やセンサを備えており、コンベア制御部やセンサ等は入庫すべき物品Wを搬送するための入庫用コンベア32を制御する要素である。
物品Wは入庫用コンベア32の下流端においてスタッカクレーン40に搭載される。
入庫用コンベア32の上流端は、有軌道台車33の走行経路34を臨んでおり、物品Wは有軌道台車33から入庫用コンベア31へ移載される。
【0054】
有軌道台車33は物品移載手段に相当し、所定の走行経路34を走行する無人搬送車であり、物品Wを搭載する荷台35と、物品Wを入庫用コンベア32へ送り込む移載機構(図示せず)を備えている。
従って、地上コントローラ46における送受信部48と、有軌道台車33における送受信部45は、制御手段と物品移載手段との通信手段を構成する。
この有軌道台車33は地上コントローラ46と無線通信できるように送受信部45を備えている。
この実施形態では、物品検知手段として第1物品検知体が、有軌道台車33に備えられてる。
具体的には、第1物品検知体は、有軌道台車33における移載機構であり、移載機構が物品Wを移載するために作動した時点で、検知信号を地上コントローラ46へ伝達する構成としている。
このため、入庫用コンベア32の搬送上流側の端部付近が物品検知位置に相当する。
【0055】
この実施形態の走行制御システム30では、有軌道台車33が物品Wを入庫用コンベア32へ移載した時点において、移載機構の作動に基く信号が検知信号として地上コントローラ46へ伝達され、地上コントローラ46において入庫すべき物品Wの存在を認識することになる。
このとき、地上コントローラ46は電源39を出力を省電力出力から通常出力へ変更する電源39の制御を行う。
給電線38の電力が省電力出力から通常出力に対応する間、物品Wは入庫用コンベア32により搬送され、通常出力に対応した時点で、地上コントローラ46がスタッカクレーン40に搬送指示を与える。
つまり、地上コントローラ46は給電線38の電力が省電力出力から通常出力に対応することを待って、スタッカクレーン40に搬送指示を与える。
【0056】
この実施形態では、地上コントローラ46では物品Wを認識してから待機する時間がタイマ等により予め設定されており、地上コントローラ46は設定された時間を経過した後に搬送指示を与えることになる。
従って、入庫用コンベア32が物品Wを搬送している間に、スタッカクレーン40の走行が可能となるように、給電線38の電力が省電力出力から通常出力に対応するから、電源39の出力の変更に伴う時間的損失がなくなる。
なお、地上コントローラ46が搬送指示を与えた時点で、入庫用コンベア32が物品Wの搬送を続け、その後、スタッカクレーン40が入庫用コンベア32の下流端付近に達したときに、物品Wの搬送を完了するようにすれば、物品Wがスタッカクレーン40の到着を待つ時間損失を削減あるいは解消することも可能となる。
【0057】
この実施形態では、有軌道台車33における移載機構の作動に基く信号を検知信号とし、検知信号に基いて地上コントローラ46に物品Wの存在を認識させて電源39の出力の変更を行い、所定の時間が経過した後にスタッカクレーン40に搬送指示を与えるようにしたが、スタッカクレーン40に搬送指示を与えるタイミングは、電源39の出力変更と同時でもよく、この場合、搬送指示を受けたスタッカクレーン40は、給電線38の電力が省電力出力から通常出力に対応するまで待機する必要がある。
あるいは、給電線38の電力が省電力出力から通常出力に対応した以降に、地上コントローラ46がスタッカクレーン40に搬送指示を与えてもよい。
この場合、給電線38の電力が省電力出力から通常出力に対応した時点からスタッカクレーン40に搬送指示を与えるまでの時間は、電力損失を抑えるために短い方がよい。
【0058】
また、入庫用コンベア32の下流端側に物品検出手段としての第2物品検知体としての在荷センサを設け、移載機構の作動に基く検知信号により、電源39の出力を変更するように電源39を制御し、入庫用コンベア32による物品Wの搬送中において、第2物品検知体による物品Wの検知信号に基き、スタッカクレーン40に搬送指示を与えるようにしてもよい。
つまり、この場合、移載機構が第1物品検知体に相当し、物品検知手段は第1物品検知体と第2物品検知体から構成される。
この場合、第2物品検知体の検知信号に基いて地上コントローラ46が物品Wを認識する構成が必要となり、例えば、入庫用コンベア32と地上コントローラ46との電気的な接続を図ればよい。
【0059】
なお、本発明は、上記した第1〜第3の実施形態(別例等を含む)に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 第1〜第3の実施形態では、制御手段としての地上コントローラが走行体に搬送指示を与えるとしたが、搬送指示は上位のコンピュータからの入力や、オペレータによる直接入力でもよい。
○ 第1、第2の実施形態では、走行体としての有軌道台車を1台としたが、複数の有軌道台車を用いてもよく、この場合、有軌道台車の台数に応じた待機位置を設定すればよい。
○ 第3の実施形態では、物品移載手段としての有軌道台車を用いた場合を説明したが、物品移載手段はフォークリフトでもよく、物品移載手段がフォークリフトの場合、フォークリフトと地上コントローラとの通信を行う通信手段を設け、フォークリフトの荷役装置が移載機構として物品を入庫用コンベアに移載した時点で検知信号を出すようにし、検知信号に基いて地上コントローラが物品を認識するようにすればよい。
○ 第3の実施形態では、物品移載手段における移載機構の作動を示す信号が、検知信号としての役割を果たしたが、例えば、物品移載手段である有軌道台車の位置を示す位置データを、検知信号としての機能を持たせるようにしてもよい。例えば、有軌道台車が入庫用コンベア付近の特定の位置に達したとき、特定の位置データを地上コントローラに伝達し、特定の位置データにより地上コントローラにおいて入庫すべき物品の存在を認識させる。このように物品検知手段は直接的に物品の存在を確かめる手段だけでなく、物品の存在を確かめることができる間接的な手段を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の実施形態に係る走行体の走行制御システムを示す平面図である。
【図2】(a)は第1の実施形態に係る走行体の走行制御システムの要部を示す概略構成図であり、(b)は給電機構の要部を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る走行体の走行制御を説明するタイムチャート図である。
【図4】第1の実施形態の別例1、2に係る走行体の走行制御を説明するタイムチャート図である。
【図5】第2の実施形態に係る走行体の走行制御を説明するタイムチャート図である。
【図6】第3の実施形態に係る走行体の走行制御システムを示す平面図である。
【図7】(a)は従来の走行体の走行制御システムの要部を示す概略構成図であり、(b)は従来の走行体の走行制御システムを示す平面図である。
【図8】従来の走行体の走行制御を説明するタイムチャート図である。
【符号の説明】
【0061】
10、30 走行制御システム
11、31、51 走行軌道
12、32、52 入庫用コンベア
13 第1在荷センサ
14 第2在荷センサ
15 コンベア制御部
16、36 物品保管棚
18(18a、18b)、38 給電線
19、39、59 電源
20、33、60 有軌道台車
22、62 台車制御部
23、45、63 送受信部(有軌道台車側)
24、64 ピックアップコア
24a 中央突起部
25 コイル
26、46、66 地上コントローラ
27、47、48、67 送受信部(地上コントローラ側)
40 スタッカクレーン
41 走行台車
43 送受信部(スタッカクレーン側)
53 在荷センサ
HP 待機位置
LP 物品搭載位置
S1 第1物品検知位置
S2 第2物品検知位置
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搭載して所定の走行軌道を走行する走行体と、前記走行体の走行軌道に沿って敷設される給電線と、前記給電線に高周波電流を供給する電源と、前記給電線から前記走行体へ高周波電流を非接触給電する給電機構と、前記走行軌道の近傍に設けられ、前記走行体に搭載すべき前記物品を搬送する物品搬送手段と、前記物品搬送手段における前記物品の有無を検知する物品検知手段と、搬送指示に基づき前記走行体を走行させる制御を行う制御手段を有し、前記制御手段は前記物品検知手段の検知信号に基づいて走行体に搬送指示を与える走行体の走行制御システムであって、
前記制御手段は、前記走行体に対して搬送指示を与える以前に、前記物品検知手段の検知信号に基づき、前記給電線に対する電源の出力を省電力出力から通常出力へ変更するように前記電源を制御することを特徴とする走行体の走行制御システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記物品検知手段の検知信号に基づいて前記給電線の電力が通常出力に対応した後、前記走行体に対して搬送指示を与えることを特徴とする請求項1記載の走行体の走行制御システム。
【請求項3】
前記物品検知手段は、前記電源の出力の制御に必要な物品の検知を行う第1物品検知体と、搬送指示に必要な物品の検知を行う第2物品検知体を有し、第1物品検知体は前記物品搬送手段の搬送上流側に備えられ、前記第2検知手段は前記物品搬送手段の搬送下流側に備えられることを特徴とする請求項1又は2記載の走行体の走行制御システム。
【請求項4】
前記物品搬送手段の搬送上流側を臨む物品移載手段と、前記物品移載手段と前記制御手段との間で交信する通信手段とを有し、前記物品移載手段は前記物品検知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の走行体の走行制御システム。
【請求項5】
走行軌道に沿って敷設される給電線から高周波電流が非接触給電される走行体と、前記走行軌道の近傍に設けられ、前記走行体に搭載すべき物品を搬送する物品搬送手段と、前記給電線に高周波電流を供給する電源の制御と、前記走行体の制御を行う制御手段を備え、
前記物品が前記物品搬送手段における物品検知位置で検知されたとき、
前記制御手段は、前記走行体に対して搬送指示を与える以前に、前記物品の検知に基づき、前記給電線に対する前記電源の出力を省電力出力から通常出力へ変更するように前記電源を制御することを特徴とする走行体の走行制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−125996(P2007−125996A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320232(P2005−320232)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】