走行支援方法、走行支援装置及び走行支援プログラム
【課題】車両における燃料消費量及び二酸化炭素排出量を低減する。
【解決手段】車両検出部が車両の情報を検出(ステップS6)した結果から、情報取得部が、車両が通過する交差点の情報と、交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する(ステップS8)。そして、取得された情報と、車両の情報とから、無停止速度算出部が、交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する(ステップS10)とともに、燃料消費量推定部が、車両が現行の速度を維持して走行し、交差点で停止する場合と、無停止速度で走行する場合の燃料消費量を推定する(ステップS16)。更に、推奨速度決定部が、燃料消費量推定部の推定結果に基づいて、現行の速度又は無停止速度のいずれかを推奨速度として決定し(ステップS14,S20)、推奨速度送信部が、推奨速度を車両に対して送信する(ステップS22)。
【解決手段】車両検出部が車両の情報を検出(ステップS6)した結果から、情報取得部が、車両が通過する交差点の情報と、交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する(ステップS8)。そして、取得された情報と、車両の情報とから、無停止速度算出部が、交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する(ステップS10)とともに、燃料消費量推定部が、車両が現行の速度を維持して走行し、交差点で停止する場合と、無停止速度で走行する場合の燃料消費量を推定する(ステップS16)。更に、推奨速度決定部が、燃料消費量推定部の推定結果に基づいて、現行の速度又は無停止速度のいずれかを推奨速度として決定し(ステップS14,S20)、推奨速度送信部が、推奨速度を車両に対して送信する(ステップS22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、走行支援方法、走行支援装置及び走行支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路上を走行する車両が、交差点で停止しないための走行速度を推奨するシステムが考案されている(例えば、特許文献1、2参照)。以下、従来における推奨速度(v)の算出方法の一例について説明する。
【0003】
図20(a)、図20(b)は、時刻tcにおいて信号0が配置されている交差点を通過した車両が、次の交差点(信号1)に向かう場合の、車両の速度(傾きで示される)と次の交差点を通過するときの信号1の色(青、黄、赤)との関係を示す。図20(a)に示すように、次の交差点までの距離dが、推奨速度の最大値(規制速度)vmaxと、現在時刻(tc)から黄信号に変わる時刻(tY)までの時間(tY−tc)との積よりも小さい場合、すなわち、d<vmax×(tY−tc)の場合、従来は、推奨速度vを次式(1)より求めていた。
v=vmax …(1)
【0004】
一方、上記以外の場合、すなわち、図20(b)に破線にて示すように、d≧vmax×(tY−tc)の場合には、推奨速度vを、次式(2)より求めていた(図20(b)の実線参照)。なお、次式(2)において用いている時刻tGは、信号1が青に変わる時刻を意味する。
v=vr=d/(tG−tc) …(2)
【0005】
上記の推奨速度決定方法では、車両を停止させないことを最優先にして推奨速度を決定している。このため、上記方法では、必ずしも燃費向上や二酸化炭素(CO2)排出量の抑制が適切に行われているとはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−31573号公報
【特許文献2】特開2006−251836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料消費量及びCO2排出量を低減させるという観点からは、車両が非常に低速な状態で走行を継続して交差点を青信号で通過するよりも、速い速度で交差点まで到達し、赤信号で一旦停止したほうが好ましい場合もある。
【0008】
しかしながら、推奨速度の下限値を一意に設定するのは困難である。例えば、図21(a)に示すように、信号0を通過した時刻(tc)における車両の時速が60km/hであった場合には、曲線L1のようにそのままの速度(vmax=60km/h)で走行して次の交差点(信号1)で赤信号で停止したほうが、直線L2のように速度vrで次の交差点(信号1)を青信号で通過する場合よりも、燃料消費量が低減される。その一方で、図21(b)に示すように、信号0を通過した時刻(tc)における時速が30km/hであった場合には、曲線L1のようにそのままの速度vmaxで走行して次の交差点(信号1)で赤信号で停止するほうが、直線L2のように速度vrで次の交差点(信号1)を青信号で通過するよりも、燃料消費量が多くなる。このように、図21(a),図21(b)によれば、推奨速度の下限値は、時刻tcにおける速度に依存するなどの理由から、一意には決まらないのである。
【0009】
そこで本件は上記の課題に鑑みてなされたものであり、車両における燃料消費量の低減及びCO2排出量の抑制を図ることが可能な走行支援方法、走行支援装置及び走行支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に記載の走行支援方法は、コンピュータが、対象車両の情報を検出する車両検出工程と、前記車両検出工程で検出された前記対象車両の情報から、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得工程と、前記情報取得工程で取得された情報と、前記車両検出工程で検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出工程と、前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定工程と、前記燃料消費量推定工程における推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定工程と、前記推奨速度決定工程で決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信工程と、を実行する走行支援方法である。
【0011】
本明細書に記載の走行支援装置は、対象車両の情報を検出する車両検出部と、交差点の情報及び交差点に設けられた信号機の設定情報を格納する情報格納部と、前記車両検出部により検出された前記対象車両の情報に基づいて、前記情報格納部から、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された情報と、前記車両検出部により検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出部と、前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定部と、前記燃料消費量推定部による推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定部と、前記推奨速度決定部により決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信部と、を備える走行支援装置である。
【0012】
本明細書に記載の走行支援プログラムは、コンピュータを、対象車両の情報を検出する車両検出部、前記車両検出部により検出された前記対象車両の情報に基づいて、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得部、前記情報取得部により取得された情報と、前記車両検出部により検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出部、前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定部、前記燃料消費量推定部による推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定部、及び前記推奨速度決定部により決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信部、として機能させる走行支援プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に記載の走行支援方法、走行支援装置及び走行支援プログラムは、燃料消費量の低減及びCO2排出量の抑制を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る走行支援システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図2(a)は、走行支援センターのハードウェア構成図であり、図2(b)は、走行支援センターの機能ブロック図である。
【図3】図3(a)は、信号状態情報を示す図であり、図3(b)は、信号設定情報を示す図である。
【図4】図4(a)は、ノード情報を示す図であり、図4(b)は、リンク情報を示す図であり、図4(c)は、リンク、ノード、信号の配置例を示す図である。
【図5】速度別単位時間燃料消費量の表である。
【図6】車載装置の機能ブロック図である。
【図7】第1の実施形態に係る走行支援センターの処理を示すフローチャートである。
【図8】図8(a)は、図7のステップS8を説明するための図であり、図8(b)は、図7のステップS10を説明するための図である。
【図9】図7のステップS16を説明するための図である。
【図10】第2の実施形態に係る走行支援センターの機能ブロック図である。
【図11】第2の実施形態に係る走行支援センターによる燃料消費量の推定方法について説明するための図である。
【図12】第3の実施形態に係る走行支援センターの処理を示すフローチャートである。
【図13】図13(a)〜図13(c)は、図12のステップS36を説明するための図である。
【図14】図14(a)、図14(b)は、図12のステップS44を説明するための図(その1)である。
【図15】図12のステップS44を説明するための図(その2)である。
【図16】第3の実施形態の作用効果を示す図である。
【図17】第4の実施形態に係る走行支援センターの機能ブロック図である。
【図18】第4の実施形態に係る走行支援センターの処理を示すフローチャートである。
【図19】図18のステップS44−2を説明するための図である。
【図20】図20(a)、図20(b)は、従来技術を示す図(その1)である。
【図21】図21(a)、図21(b)は、従来技術を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
≪第1の実施形態≫
以下、走行支援方法、走行支援装置及び走行支援プログラムの第1の実施形態について、図1〜図9に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1には、本件の走行支援方法により車両の走行を支援するための走行支援システム100の構成が模式的に示されている。走行支援システム100は、より具体的には、路上を走行している車両20における燃料消費量及びCO2排出量を低減しつつ、車両20が道路を走行できるように支援するためのものである。この走行支援システム100は、走行支援装置としての走行支援センター10と、路上に配置された複数のビーコン装置30と、路上を走行する車両20に搭載された車載装置60と、を備える。
【0017】
走行支援センター10は、サーバ等の情報処理装置を含み、走行支援プログラムを実行して、支援対象の車両(以下、「車両」と呼ぶ)20の推奨速度を決定し、ビーコン装置30を介して車両20の車載装置60に送信する。
【0018】
図2(a)には、走行支援センター10のハードウェア構成が示されている。この図2(a)に示すように、走行支援センター10は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)91、RAM(Random Access Memory)92、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive)とする)93、入出力部94等を備えており、走行支援センター10の構成各部は、バス95を介して接続されている。
【0019】
走行支援センター10では、CPU90がRAM92又はHDD93に格納された走行支援プログラムを実行することで、図2(b)に示す各部の機能を実現する。また、HDD93は、走行支援センター10内で得られたデータ等を記憶したり、図2(b)の信号情報格納部46、道路情報格納部48、燃料消費量DB54として機能する。入出力部94は、外部接続される入力インタフェース等との通信を行う入出力ポートである。
【0020】
図2(b)には、走行支援センター10の機能ブロック図が示されている。この図2(b)に示すように、走行支援センター10は、制御部42、車両検出部44、信号情報格納部46、情報格納部としての道路情報格納部48及び情報取得部49、無停止速度算出部50、燃料消費量推定部52、燃料消費量DB54、推奨速度決定部56、送信部としての推奨速度送信部58としての機能を有する。
【0021】
車両検出部44は、ビーコン装置30から送信される情報に基づいて、車両20の位置を検出する。なお、ビーコン装置30は、車両20との間で通信を行うものであり、車両検出部44は、ビーコン装置30が通信を行った車両に関する情報をビーコン装置30から受信し、当該情報から車両の位置や進行方向、速度などを検出する。
【0022】
信号情報格納部46は、図3(a)に示すような信号状態情報と、図3(b)に示すような信号設定情報と、を格納している。信号状態情報は、各信号機の状態を示す情報であり、図3(a)に示すように、「信号機ID」、「信号の状態」、「更新時刻」、「設定(ID、向き)」などの項目を含んでいる。項目「信号機ID」は、各信号機特有の識別符合であり、図3(a)では、アルファベット(A,B…)が割り当てられている。項目「状態」及び項目「更新時刻」は、更新時刻(ここでは、時刻ts)における各信号機の状態(色)を意味する。項目「設定」のうちの項目「ID」は、信号機の設定ID(P1,P2…)を意味する。なお、設定IDの詳細については後述する。また、項目「向き」は、東西や南北など、信号機が向いている方向を意味し、ここでは、向きとして、a,b,…が設定されている。
【0023】
信号設定情報は、図3(b)に示すように、「設定ID」、「状態(a側、b側)」、「継続時間」の項目を含んでいる。項目「設定ID」は、各交差点に設置されている複数の信号機がどのような設定となっているかを分類するためのIDである。項目「状態(a側、b側)」は、交差点が十字路の場合に、一方向(例えばa側)に延びる道路に設置された信号機の状態と、他方向(例えばb側)に延びる道路に設置された信号機の状態が、どのように切り替わるかを示している。項目「継続時間」は、状態(a側、b側)が切り替わるまでの時間を示している。
【0024】
図2(b)の道路情報格納部48は、図4(a)に示すようなノード情報と、図4(b)に示すようなリンク情報と、を格納している。
【0025】
ノード情報は、図4(a)に示すように、「ノード」、「緯度」、「経度」、「接続リンク(接続ノード、信号機ID)」等の項目を含んでいる。項目「ノード」は、交差点の位置を示す番号であり、図4(c)に示すように交差点のノードが1であれば、ノードの項目には「1」が入力される。項目「緯度」、「経度」は、ノードの絶対位置を示している。また、項目「接続リンク(接続ノード、信号機ID)」は、交差点のノードを一端として延びる道路(リンク)の他端のノードと、そのリンクに対応して設置された信号機のIDを意味する。図4(c)の交差点に配置された信号機のIDがA〜Dであれば、図4(a)に示すように、ノード情報に接続ノードと信号機IDが登録される。
【0026】
リンク情報は、図4(b)に示すように、「ノード1」、「ノード2」、「距離(m)」等の項目を含んでいる。項目「ノード1」は、リンクの一端に位置するノードの番号、項目「ノード2」は、リンクの他端に位置するノードの番号を意味する。また、項目「距離(m)」は、リンクの長さを意味する。
【0027】
図2(b)に戻り、情報取得部49は、車両検出部44の検出結果に基づいて、車両20が通過する交差点や信号に関する情報を、信号情報格納部46及び道路情報格納部48から取得する。
【0028】
無停止速度算出部50は、制御部42の指示の下、車両が次の交差点を、青信号で通過するために必要な速度(無停止速度v)を算出する。この無停止速度vの算出方法については、後述する。
【0029】
燃料消費量推定部52は、制御部42の指示の下、(i)無停止速度vで走行した場合と、(ii)車両が実際に走行している速度(道路の規制速度vmax等)で走行を継続して次の交差点で赤信号で停止する場合、の燃料消費量を推定する。なお、燃料消費量推定部52は、燃料消費量DB54が格納するデータに基づいて、燃料消費量の推定を行う。ここで、燃料消費量DB54は、図5に示すような、速度別の単位時間当たりの燃料消費量データとしての、速度別単位時間燃料消費量のデータ(表)を有している。この図5の表では、車両がある速度で走行しているときの、単位時間あたりの燃料消費量が定められている。なお、車両が減速している間は、一般的には速度0km/hと略同一の燃料消費量であるので、図5では、0km/hと減速時とが同一の燃料消費量と定められている。また、図5の表は、車種ごとに事前に作成され、燃料消費量DB54内に格納されているものとする。
【0030】
したがって、図2(b)の燃料消費量推定部52では、車両20の走行速度毎に、燃料消費量DB54に格納されている単位時間燃料消費量を取得する。そして、燃料消費量推定部52は、走行速度別に走行を行う時間と単位時間燃料消費量とを積算した値を求め、それらの値の総和を燃料消費量の推定結果とする。
【0031】
推奨速度決定部56は、制御部42の指示の下、燃料消費量推定部52の推定結果に基づいて、車両の推奨速度を決定する。具体的には、推奨速度決定部56は、燃料消費量推定部52において推定された2つの燃料消費量を比較し、値が小さい側の速度(無停止速度v又は現在の速度(例えば規制速度vmax))を、推奨速度として決定する。
【0032】
推奨速度送信部58は、制御部42の指示の下、推奨速度決定部56で決定された推奨速度を、車両20の車載装置60に、ビーコン装置30を介して送信する。
【0033】
制御部42は、上述した走行支援センター10の構成各部を統括的に制御する。
【0034】
図6は、車両20に搭載されている車載装置60の機能ブロック図である。この図6に示すように、車載装置60は、制御部62と、推奨速度受信部64と、車速制御部66と、表示部68と、を有する。
【0035】
推奨速度受信部64は、前述した走行支援センター10の推奨速度送信部58から送信される推奨速度を受信する。車速制御部66は、制御部62の指示の下、推奨速度受信部64にて受信された推奨速度の情報に基づいて、車両20のアクセル制御又はブレーキ制御を行い、車両20の速度を推奨速度に調整する。表示部68は、制御部62の指示の下、推奨速度受信部64で受信された推奨速度の情報を表示して、車両20に搭乗している人(運転者等)に対して推奨速度を認知させるものである。なお、表示部68は、視覚を通じて推奨速度を認知させることとしても良いし、聴覚を通じて認知させることとしても良い。制御部62は、上述した車載装置60の構成各部を統括的に制御する。
【0036】
次に、本第1の実施形態における走行支援方法について、図7〜図9に基づいて詳細に説明する。図7は、走行支援センター10の処理を示すフローチャートである。
【0037】
図7に示すように、まず、ステップS6では、車両検出部44が、車両20の情報を検出する。ここで検出される車両20の情報には、車両20の位置や進行方向、速度(移動方向を含む)が含まれている。これらの情報は、ビーコン装置30から送信される。なお、これに限らず、車両20側から、走行支援センター10に車両20の位置や速度などが直接送信されるようにしても良い。
【0038】
次いで、ステップS8では、情報取得部49が、検出された車両の位置に基づいて、信号情報格納部46及び道路情報格納部48から、車両20が通過する交差点に設けられた信号機の設定情報と、交差点の情報と、を取得する。なお、ステップS8において取得される情報は、図8(a)に示すような、信号間の距離dや、次の交差点の信号の色の時系列変化などの情報を含む。
【0039】
次のステップS10では、無停止速度算出部50(図2(b))が、無停止速度vを算出する。図8(b)は、時刻tcにおいて信号0の存在する交差点を通過した車両が、次の交差点(信号1)に向かう場合の、車両の速度と次の交差点を通過するときの信号1の色との関係を示している。ステップS10では、次の交差点までの距離dが、推奨速度の最大値(規制速度、又は現在走行中の速度が規制速度未満の場合には現在の速度)vmaxと、現在時刻(tc)から黄信号に変わる時刻(tY)までの時間(tY−tc)との積よりも小さい場合(d<vmax×(tY−tc))には、無停止速度算出部50は、無停止速度vを、次式(3)により求める。
v=vmax …(3)
【0040】
一方、無停止速度算出部50は、上記以外の場合、すなわち、図8(b)に破線にて示すように、d≧vmax×(tY−tc)の場合には、図8(b)の一点鎖線に基づき、無停止速度vを次式(4)から求める。なお、時刻tGは、信号1が青に変わる時刻を意味する。
v=vr=d/(tG−tc) …(4)
【0041】
図7に戻り、ステップS12では、推奨速度決定部56は、ステップS10で算出された無停止速度vがvmaxであるか否かを判断する。すなわち、推奨速度決定部56は、d<vmax×(tY−tc)の条件を満たしていたか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、推奨速度決定部56は、ステップS14において推奨速度をvmaxに決定して、ステップS22に移行する。一方、ステップS12の判断が否定された場合には、ステップS16に移行する。
【0042】
ステップS16では、燃料消費量推定部52が、無停止速度vで走行する場合の燃料消費量と、現在の速度での走行を次の交差点まで継続して停止する場合の燃料消費量を推定する。
【0043】
具体的には、図9に実線で示すように、車両20が無停止速度v(=vr)で走行する場合に関しては、燃料消費量推定部52は、燃料消費量DB54に格納されている速度別単位時間燃料消費量の表(図5)から、無停止速度v(=vr)における単位時間燃料消費量を取得する。そして、燃料消費量推定部52は、取得した単位時間燃料消費量と交差点を通過するまでに要する時間(tG−tc)との積から、燃料消費量を推定する。
【0044】
一方、図9に破線で示すように、車両20が現在の速度又は規制速度(vmax)での走行を継続して次の交差点で停止する場合に関しては、燃料消費量推定部52は、次式(5)から燃料消費量を推定する。なお、時間(tB−tc)は、速度vmaxでの走行時間を意味し、時間(tG−tB)は、減速開始から加速再開までの時間を意味する。
燃料消費量=速度vmaxの単位時間燃料消費量×(tB−tc)
+速度0(減速時)の単位時間燃料消費量×(tG−tB)
+発進時の燃料消費量 …(5)
【0045】
なお、上式(5)では、現在時刻tc、信号が青に変わる時刻tGのほか、減速開始時刻tBが分かっていれば良いことになる。すなわち、図9に破線で示すような車両の挙動については分からなくても良い。この場合、減速開始時刻tBについては、車両の現在の走行速度又は規制速度(vmax)から、車両が次の交差点で停止するまでに必要な距離を求め、当該距離から算出することができる。
【0046】
次いで、図7のステップS18では、推奨速度決定部56が、無停止速度v(=vr)で走行したほうが燃料消費量が小さいか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、推奨速度決定部56は、ステップS20において、推奨速度を無停止速度v(=vr)に決定する。一方、ステップS18の判断が否定された場合には、推奨速度決定部56は、推奨速度を、速度vmax、すなわち現在の速度又は道路の規制速度に決定する。
【0047】
その後、ステップS22に移行すると、推奨速度送信部58は、推奨速度を車両20の車載装置60(推奨速度受信部64)に送信し、図7の全処理を終了する。
【0048】
なお、車載装置60側では、推奨速度受信部64で受信した推奨速度に基づいて、制御部62の指示の下、車速制御部66が車両20の車速を推奨速度にするように、アクセル又はブレーキ制御を行う。また、表示部68は、制御部62の指示の下、推奨速度を表示する。なお、車載装置60では、車速制御部66による制御及び表示部68による表示のいずれかのみが実行されることとしても良い。例えば、表示部68への表示のみが実行される場合には、車両20を運転する運転者が、当該表示に基づいた運転を行うようにすれば、燃料消費量やCO2排出量を低減した適切な走行を行うことが可能となる。
【0049】
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、車両検出部44が、車両20の情報を検出し(ステップS6)、検出された車両の情報から、情報取得部49が、車両20が通過する交差点の情報と、交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する(ステップS8)。そして、取得された情報と、車両20の情報とから、無停止速度算出部50が、交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する(ステップS10)とともに、燃料消費量推定部52が、車両20が速度を維持して走行し、交差点で停止する場合の燃料消費量と、無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する(ステップS16)。更に、推奨速度決定部56が、燃料消費量推定部の推定結果に基づいて、前記現行の速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定し(ステップS14,S20)、推奨速度送信部58が、当該推奨速度を、車両20に対して送信する(ステップS22)。これにより、走行支援センター10は、単に無停止で交差点を通過できる速度を車両20に通知することなく、車両20の車載装置60に対して燃料消費量が小さく、二酸化炭素排出量の低減が可能となるような速度を送信することができる。したがって、車両20において、指示された速度での走行が実行されれば、車両20における燃料消費量を低減し、車両20からの二酸化炭素排出量を低減することが可能となる。
【0050】
また、本第1の実施形態では、燃料消費量推定部52が、燃料消費量を推定する際に、燃料消費量DB54に格納されている車両毎の速度別単位時間燃料消費量のデータに基づいて、燃料消費量を推定する。したがって、簡易な計算により、燃料消費量を推定することが可能となる。
【0051】
なお、上記実施形態では、車両20がアイドリングストップ機能を有している場合には、当該機能による燃料消費量についても考慮して、推奨速度を決定することもできる。具体的には、燃料消費量の推定において、次式(5)’を用いることとする。なお、次式(5)’では、アイドリングストップを行った時間をTとしている。
燃料消費量=速度vmaxの単位時間燃料消費量×(tB−tc)
+速度0(減速時)の単位時間燃料消費量×(tG−tB−T)
+エンジン始動時及び発進時の燃料消費量 …(5)’
【0052】
このように、アイドリングストップを行った時間も考慮することで、アイドリングストップした場合の燃料消費量を適切に推定し、推奨速度を適切に決定することが可能となる。なお、上式(5)’のエンジン始動時の燃料消費量は、5秒間のアイドリングを行った場合の燃料消費量とほぼ一致する。
【0053】
≪第2の実施形態≫
次に、第2の実施形態について、図10及び図11に基づいて説明する。本第2の実施形態は、走行支援センター10の機能ブロックの一部が異なり、これに伴い、燃料消費量の推定方法が異なっている。
【0054】
より具体的には、本第2の実施形態の走行支援センター10の機能ブロックを示す図10と、図2(b)とを比較すると分かるように、本第2の実施形態では、燃料消費量DB54に代えて、車両挙動模擬部54’が設けられている。
【0055】
車両挙動模擬部54’は、交通状況に基づくシミュレーション(交通流シミュレーション)により、車両の挙動を模擬する。すなわち、車両挙動模擬部54’は、シミュレーションにより、図11に実線で示すような車両の挙動、及び図11に破線で示すような車両の挙動を模擬する。
【0056】
そして、燃料消費量推定部52は、次式(6)に基づいて、燃料消費量Qを推定する。この式(6)は、公知文献(大口敬,片倉正彦,谷口正明:都市部道路交通における自動車の二酸化炭素排出量推計モデル.土木学会論文集,No.695/IV-54,pp.125-136,2002.)に基づくものである。なお、次式(6)では、Tは旅行時間(走行時間)、dは旅行距離(走行距離)、kは計測周期、vkは各周期毎の瞬間速度を意味する。また、δkには、加速時であれば1、それ以外の場合には0が代入される。
【0057】
【数1】
【0058】
本第2の実施形態では、図7の処理と同様に、ステップS6〜S12を行い、ステップS12の判断が否定されるとステップS16に移行する。そして、ステップS16では、車両挙動模擬部54’により図11のように模擬された車両の挙動に基づいて、燃料消費量推定部52が上式(6)に基づいて燃料消費量Qを推定する。
【0059】
なお、これ以外の処理は、上記第1の実施形態と同様である。
【0060】
以上説明したように、本第2の実施形態によれば、車両挙動模擬部54’による交通流シミュレーションにより模擬される車両の挙動に基づいて、燃料消費量推定部52が、燃料消費量を推定する。したがって、第1の実施形態のように予め速度別単位時間燃料消費量のデータ等を用意しなくとも適切に燃料消費量の推定を行うことが可能である。
【0061】
なお、上記第2の実施形態では、上式(6)に基づいて燃料消費量を推定する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、交通流シミュレーションにより模擬された車両の挙動と、上式(6)以外の推定式とを用いて、燃料消費量を推定することとしても良い。
【0062】
また、式(6)を用いる場合にも、上述した第1の実施形態と同様に、アイドリングストップを考慮して、燃料消費量を推定することとしても良い。
【0063】
≪第3の実施形態≫
次に、第3の実施形態について、図12〜図15に基づいて詳細に説明する。本第3の実施形態では、車両が次に通過する交差点の信号機のみならず、車両が順次通過する複数の交差点の信号機についても考慮した走行支援を行う。なお、走行支援センター10のハードウェア構成及び機能ブロックは、上述した第1の実施形態と同様であるものとする。
【0064】
図12は、本第3の実施形態の走行支援センター10の処理を示すフローチャートである。この図12に示すように、まず、ステップS30では、車両検出部44が、車両の情報(位置や進行方向、速度、進路情報など)を検出する。なお、車両20の進路情報は、車両20に設けられたナビゲーションシステムにおいてユーザにより予め設定された進路情報であるものとする。車両検出部44は、車両20の進路情報を、車両20から直接受信したり、あるいはビーコン装置30を介して受信する。
【0065】
次いで、ステップS32では、制御部42が、車両20の進路上に位置する交差点の順番(通過順)を示すパラメータiを1に設定する。
【0066】
次いで、ステップS34では、制御部42が、iがIよりも大きいか否かを判断する。ここで、Iはiの最大値であり、予め定められているものとする。なお、本実施形態では、一例として、Iが3である場合について説明する。
【0067】
ステップS34の判断が肯定された場合には、ステップS48に移行するが、否定された場合には、ステップS36に移行する。なお、ここでは、i=1であり、i>3ではないので、ステップS34の判断は否定される。
【0068】
ステップS36に移行した場合、情報取得部49が、車両の位置及び進路に基づいて、信号情報格納部46及び道路情報格納部48から図3、図4に示す情報を取得する。ここで、取得される情報からは、図13(a)に示すような距離d1と、信号1の変化と、が得られる。
【0069】
次いで、ステップS38では、ステップS36において得られた情報を用いて、無停止速度算出部50がvi(v1)を計算する。ここでは、上述した式(3)を用いることで、例えば、図14(a)に示すような速度v1(=vmax)が求められたものとする。
【0070】
次いで、ステップS40では、制御部42が、viがvi-1と一致するか否かを判断する。ここでは、v1がv0と一致するか否かを判断する。なお、v0は、vmax(規制速度、あるいは現在の走行速度が規制速度未満である場合には現在の速度)であるものとする。ここでの判断が肯定されると、ステップS42に移行する。ステップS42に移行した場合には、iを1インクリメント(i←i+1、すなわち、i←2)して、ステップS34に戻る。
【0071】
ステップS34に戻ると、制御部42が、再度、i(=2)がI(=3)よりも大きいか否かを判断する。ここでの判断が否定されると、ステップS36において、情報取得部49が、信号情報及び道路情報を取得する。ここで取得される情報からは、図13(b)に示すような距離d2と、信号2の変化とが得られる。
【0072】
次いで、ステップS38では、無停止速度算出部50が、ステップS36において得られた情報を用いてvi(=v2)を計算する。ここでは、上述した式(4)を用いることで、例えば、図14(b)に示すような速度v2が求められたものとする。
【0073】
次のステップS40では、制御部42が、viがvi-1と一致するか否かを判断する。ここでは、図14(b)に示すように、v2がv1と一致していないので、ステップS40の判断は否定され、ステップS44に移行する。
【0074】
ステップS44では、制御部42が、viで走行した場合、1〜(i−1)番目の交差点で停止しないか否かを判断する。ここでは、図14(b)に示すように、車両20が速度v2で走行した場合でも信号1を青信号で通過することができるので、ここでの判断は肯定されて、ステップS45に移行する。
【0075】
ステップS45では、燃料消費量推定部52が、速度vi(v2)で走行する場合の燃料消費量(Fi(F2))と、速度vi-1(v1)で走行する場合の燃料消費量(Fi-1(F1))とを推定する。ここでの燃料消費量の推定には、上記第1の実施形態のと同様の推定方法を用いることができる。
【0076】
次いで、ステップS46では、制御部42は、燃料消費量(Fi-1(F1))が、燃料消費量Fi(F2)よりも小さいか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合、すなわち、速度vi(v2)で走行した方が燃料消費量が少ない場合には、ステップS42に移行して、制御部42が、iを1インクリメントした後、ステップS34に戻る。一方、ステップS46の判断が肯定されると、ステップS48に移行する。なお、ここでは、ステップS46の判断が否定されたものとして説明する。
【0077】
ステップS46の判断が否定され、ステップS42において、iが1インクリメント(i←3)され、ステップS34に戻ると、ステップS34では、制御部42が、i>Iか否かを判断する。ここでの判断が否定されると、ステップS36において、情報取得部49が、信号情報と道路情報を取得する。ここで取得された情報からは、図13(c)に示すような距離d3と、信号3の変化とが得られる。
【0078】
次いで、ステップS38では、ステップS36において得られた情報を用いて、無停止速度算出部50がvi(=v3)を計算する。ここでは、上述した式(4)を用いることで、例えば、図15に示すような速度v3が求められたものとする。
【0079】
次いで、ステップS40では、制御部42が、viがvi-1と一致するか否かを判断する。ここでは、図15に示すように、v3がv2と一致していないので、ステップS40の判断は否定され、ステップS44に移行する。
【0080】
ステップS44では、制御部42が、vi(=v3)で走行した場合、1〜(i−1)番目の交差点で停止しないか否かを判断する。ここでは、図15に破線にて示すように、車両20が速度v3で走行すると信号1の交差点を青信号で通過することができない(×印で示している)ので、ここでの判断は否定されて、ステップS48に移行する。
【0081】
ステップS44の判断が否定された場合や、ステップS34の判断が肯定された場合、あるいはステップS46の判断が肯定された場合には、ステップS48において、推奨速度決定部56が、推奨速度を速度vi-1に決定する。すなわち、例えば、本実施形態のように、i=3のときにステップS44の判断が否定されてステップS48に移行した場合には、速度v2が推奨速度として決定される。
【0082】
その後、ステップS50に移行すると、推奨速度送信部58が、推奨速度(v2)を車両20の車載装置60に対して送信する。そして、車両20の車載装置60は、車両20の走行速度が推奨速度(v2)となるように、エンジン又はブレーキ制御を行ったり、表示部68に推奨速度を表示したりする。
【0083】
なお、ステップS44の判断が否定されると、iをそれ以上大きくしても、必ず、1〜(i−1)番目の交差点のいずれかで車両20は停止することになる。また、ステップS34の判断が肯定された場合には、i=I−1まで、ステップS44の判断が否定されなかったことを意味する。したがって、本実施形態では、車両20がi個の交差点全てを青信号で通過可能な無停止速度を全て算出し、かつ、算出された全ての無停止速度のうち、最も燃料消費量が少なくなる速度を、推奨速度として決定していることになる。
【0084】
以上説明したように、本第3の実施形態によると、車両検出部44が、車両20の進路の情報を検出し、情報取得部49が、車両の進路上に存在するi番目までの交差点の情報を取得する。そして、無停止速度算出部50では、iを変更しつつ、車両20がi個の交差点全てを青信号で通過可能な無停止速度を算出し、算出された無停止速度のうち、最も燃料消費量が少なくなる速度を、推奨速度とする。したがって、本第3の実施形態によれば、複数の交差点を通過でき、かつ燃料消費量を低減することが可能な速度で、車両20を走行させることが可能となる。図16は、第3の実施形態の作用効果を説明するための図である。この図16に示すように、(i)速度v1で信号1を通過して、信号2で停止する場合(実線)、(ii)信号0から信号1まで速度v1で走行して、信号2まで、速度v1'で走行する場合(破線)、(iii)信号0から信号2まで、速度v2で走行する場合(一点鎖線)、のうち、最も燃料消費量の小さい走行方法で、車両20を走行させることが可能となる。
【0085】
なお、上記第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の構成を採用し、図12のステップS45では、第1の実施形態と同様の方法で燃料消費量を推定することとしたが、これに限られるものではない。例えば、第2の実施形態と同様の構成を採用し、ステップS45で第2の実施形態と同様の方法で燃料消費量を推定することとしても良い。
【0086】
≪第4の実施形態≫
次に、第4の実施形態について、図17〜図19に基づいて詳細に説明する。
【0087】
図17には、第4の実施形態に係る走行支援センター10の機能ブロック図が示されている。この図17に示すように、本第4の実施形態では、第1の実施形態の走行支援センター10の機能構成に加えて、判定部としての影響車両判定部55が追加されている。
【0088】
図18には、第4の実施形態に係る走行支援センター10の処理がフローチャートにて示されている。この図18の処理では、ステップS44以外は、上記第3の実施形態と同様の処理を実行するが、ステップS44においては、3つの判断(ステップS44−1、S44−2、S44−3)を実行する。
【0089】
具体的には、ステップS44−1では、制御部42が、車両20が速度viで走行した場合に、1〜(i−1)番目の交差点で停止しないか否かを判断する。この判断は、上述した第3の実施形態のステップS44と同様の判断であるので説明は省略する。
【0090】
ステップS44−1における判断が否定された場合には、ステップS48に移行するが、肯定された場合には、ステップS44−2に移行する。このステップS44−2では、影響車両判定部55が、車両20が速度viで走行した場合に、車両20の後続車が1〜(i−1)番目の交差点を通過できなくなる可能性があるか否かを判断する。なお、後続車の存在の有無やそれらの位置等については、ビーコン装置30などのインフラ側に設けられた感知器や、車両20に搭載された車載センサ、あるいは走行支援センター10と後続車との通信などから、車両検出部44が検出する。
【0091】
このステップS44−2では、具体的には、図19に示すように、車両20が速度viで走行すると、車両20の後を走行する後続車も間隔を維持しつつ、速度viで走行することが予想される(図19の一点鎖線参照)。この場合、図19に示すように、後続車の一部が信号1において停止しなければならないような事態が生じるおそれがある(×印を付して示している)。このような場合には、ステップS44−2の判断が肯定され、ステップS48に移行する。ステップS48では、後続車への影響が無い速度vi-1が推奨速度として決定されることになる。
【0092】
一方、ステップS44−2の判断が否定された場合、すなわち、後続車への影響がないと判断された場合には、ステップS44−3に移行する。ステップS44−3では、影響車両判定部55が、後続車が(i−1)番目の交差点を同じ青信号フェーズで右左折するか否かを判断する。なお、「同じ青信号フェーズで右左折する」とは、車両20が通過する青信号が黄色に変わる前に後続車が右左折することを意味する。また、後続車が右左折をするか否かの情報は、後続車に搭載されたナビゲーションシステムで設定された予定進路の情報に含まれている。車両検出部44は、当該情報をビーコン装置30を介して取得する。
【0093】
このように後続車が同じ青信号フェーズで右左折するような場合には、そのような後続車にとって、右左折する交差点よりも先の信号は一切無関係である。このため、車両20がi番目の交差点までの全ての交差点を青信号で通過するために速度を低下してしまうと、右左折する後続車が、右左折する交差点に到着するまでに無駄な時間を要してしまうおそれがある。
【0094】
このような場合には、ステップS44−3の判断が肯定されて、ステップS48に移行するようになっており、ステップS48では、推奨速度をvi-1に決定することとする。
【0095】
一方、ステップS44−3の判断が否定された場合には、ステップS45に移行する。なお、これ以外の処理は、上記第3の実施形態と同様である。
【0096】
以上説明したように、本第4の実施形態によると、影響車両判定部55が、ステップS44−2、S44−3において無停止速度での走行により、後続車に影響が与えられるか否かを判定し、推奨速度決定部56は、判定の結果、影響が与えられると判定された無停止速度を推奨速度とはしないこととしている。したがって、本実施形態によれば、走行支援の対象となる車両20の速度を変更することにより後続車に影響が生じるのを抑制することができる。これにより、速度低下による交通容量の減少を抑制し、円滑な交通を実現することが可能となる。
【0097】
また、本第4の実施形態によると、影響車両判定部55は、車両20が無停止速度で走行することで、後続車が交差点の信号で停止するか否かを判定する。したがって、車両20が無停止速度で走行することに起因して後続車が交差点で停止するのを回避することができ、ひいては道路交通の円滑化を図ることができる。
【0098】
また、本第4の実施形態によると、影響車両判定部55は、後続車がi番目までの交差点のいずれかを右左折するか否かを判定し、右左折すると判定された場合に、無停止速度算出部50は、右左折する交差点以降の交差点を考慮せずに、推奨速度を算出することとしている。これにより、右左折する車両を無駄に減速させることなく、道路交通の円滑化を図ることができる。
【0099】
なお、上記第4の実施形態では、特に説明をしていないが、後続車の定義としては、例えば、支援対象の車両から所定距離内に位置する車両とすることとしても良い。また、図18のステップS44−2,S44−3を行わずに、後続車が存在していた場合には、一律、次の交差点のみを考慮するような処理を行うこととしても良い。
【0100】
なお、上記第4の実施形態では、影響車両判定部55が、ステップS44−2,ステップS44−3を順次実行する場合について説明したが、これに限らず、ステップS44−2のみを実行することとしても良い。
【0101】
なお、上記各実施形態では、走行支援センター10において、走行支援方法を実行する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、走行支援センター10の機能を、車載装置60に搭載することとしても良い。この場合、車載装置60は、自車の情報を、ビーコン装置30を用いずに直接検出することとしても良い。また、上述した第4の実施形態を実施する場合には、車載装置60は、後続車と車々間通信を行うことで、後続車の情報を取得(検出)することとしても良い。
【0102】
また、上記各実施形態では、車載装置60と走行支援センター10との間の通信を、ビーコン装置30を介して行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、車載装置60と走行支援センター10とが直接通信を行うこととしても良い。この場合、車載装置60は、自己の位置をGPS(Global Positioning System)などの測位装置を用いて計測し、当該計測結果を走行支援センター10に送信することとすれば良い。
【0103】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0104】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0105】
プログラムを実行するコンピュータ(上記各実施形態の走行支援センター10)は、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置(HDD93)に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0106】
上述した各実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0107】
10 走行支援センター(走行支援装置)
20 車両(対象車両)
44 車両検出部
46 信号情報格納部(情報格納部)
48 道路情報格納部(情報格納部)
49 情報取得部
50 無停止速度算出部
52 燃料消費量推定部
56 推奨速度決定部
58 推奨速度送信部(送信部)
【技術分野】
【0001】
本件は、走行支援方法、走行支援装置及び走行支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路上を走行する車両が、交差点で停止しないための走行速度を推奨するシステムが考案されている(例えば、特許文献1、2参照)。以下、従来における推奨速度(v)の算出方法の一例について説明する。
【0003】
図20(a)、図20(b)は、時刻tcにおいて信号0が配置されている交差点を通過した車両が、次の交差点(信号1)に向かう場合の、車両の速度(傾きで示される)と次の交差点を通過するときの信号1の色(青、黄、赤)との関係を示す。図20(a)に示すように、次の交差点までの距離dが、推奨速度の最大値(規制速度)vmaxと、現在時刻(tc)から黄信号に変わる時刻(tY)までの時間(tY−tc)との積よりも小さい場合、すなわち、d<vmax×(tY−tc)の場合、従来は、推奨速度vを次式(1)より求めていた。
v=vmax …(1)
【0004】
一方、上記以外の場合、すなわち、図20(b)に破線にて示すように、d≧vmax×(tY−tc)の場合には、推奨速度vを、次式(2)より求めていた(図20(b)の実線参照)。なお、次式(2)において用いている時刻tGは、信号1が青に変わる時刻を意味する。
v=vr=d/(tG−tc) …(2)
【0005】
上記の推奨速度決定方法では、車両を停止させないことを最優先にして推奨速度を決定している。このため、上記方法では、必ずしも燃費向上や二酸化炭素(CO2)排出量の抑制が適切に行われているとはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−31573号公報
【特許文献2】特開2006−251836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料消費量及びCO2排出量を低減させるという観点からは、車両が非常に低速な状態で走行を継続して交差点を青信号で通過するよりも、速い速度で交差点まで到達し、赤信号で一旦停止したほうが好ましい場合もある。
【0008】
しかしながら、推奨速度の下限値を一意に設定するのは困難である。例えば、図21(a)に示すように、信号0を通過した時刻(tc)における車両の時速が60km/hであった場合には、曲線L1のようにそのままの速度(vmax=60km/h)で走行して次の交差点(信号1)で赤信号で停止したほうが、直線L2のように速度vrで次の交差点(信号1)を青信号で通過する場合よりも、燃料消費量が低減される。その一方で、図21(b)に示すように、信号0を通過した時刻(tc)における時速が30km/hであった場合には、曲線L1のようにそのままの速度vmaxで走行して次の交差点(信号1)で赤信号で停止するほうが、直線L2のように速度vrで次の交差点(信号1)を青信号で通過するよりも、燃料消費量が多くなる。このように、図21(a),図21(b)によれば、推奨速度の下限値は、時刻tcにおける速度に依存するなどの理由から、一意には決まらないのである。
【0009】
そこで本件は上記の課題に鑑みてなされたものであり、車両における燃料消費量の低減及びCO2排出量の抑制を図ることが可能な走行支援方法、走行支援装置及び走行支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に記載の走行支援方法は、コンピュータが、対象車両の情報を検出する車両検出工程と、前記車両検出工程で検出された前記対象車両の情報から、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得工程と、前記情報取得工程で取得された情報と、前記車両検出工程で検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出工程と、前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定工程と、前記燃料消費量推定工程における推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定工程と、前記推奨速度決定工程で決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信工程と、を実行する走行支援方法である。
【0011】
本明細書に記載の走行支援装置は、対象車両の情報を検出する車両検出部と、交差点の情報及び交差点に設けられた信号機の設定情報を格納する情報格納部と、前記車両検出部により検出された前記対象車両の情報に基づいて、前記情報格納部から、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された情報と、前記車両検出部により検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出部と、前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定部と、前記燃料消費量推定部による推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定部と、前記推奨速度決定部により決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信部と、を備える走行支援装置である。
【0012】
本明細書に記載の走行支援プログラムは、コンピュータを、対象車両の情報を検出する車両検出部、前記車両検出部により検出された前記対象車両の情報に基づいて、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得部、前記情報取得部により取得された情報と、前記車両検出部により検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出部、前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定部、前記燃料消費量推定部による推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定部、及び前記推奨速度決定部により決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信部、として機能させる走行支援プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に記載の走行支援方法、走行支援装置及び走行支援プログラムは、燃料消費量の低減及びCO2排出量の抑制を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る走行支援システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】図2(a)は、走行支援センターのハードウェア構成図であり、図2(b)は、走行支援センターの機能ブロック図である。
【図3】図3(a)は、信号状態情報を示す図であり、図3(b)は、信号設定情報を示す図である。
【図4】図4(a)は、ノード情報を示す図であり、図4(b)は、リンク情報を示す図であり、図4(c)は、リンク、ノード、信号の配置例を示す図である。
【図5】速度別単位時間燃料消費量の表である。
【図6】車載装置の機能ブロック図である。
【図7】第1の実施形態に係る走行支援センターの処理を示すフローチャートである。
【図8】図8(a)は、図7のステップS8を説明するための図であり、図8(b)は、図7のステップS10を説明するための図である。
【図9】図7のステップS16を説明するための図である。
【図10】第2の実施形態に係る走行支援センターの機能ブロック図である。
【図11】第2の実施形態に係る走行支援センターによる燃料消費量の推定方法について説明するための図である。
【図12】第3の実施形態に係る走行支援センターの処理を示すフローチャートである。
【図13】図13(a)〜図13(c)は、図12のステップS36を説明するための図である。
【図14】図14(a)、図14(b)は、図12のステップS44を説明するための図(その1)である。
【図15】図12のステップS44を説明するための図(その2)である。
【図16】第3の実施形態の作用効果を示す図である。
【図17】第4の実施形態に係る走行支援センターの機能ブロック図である。
【図18】第4の実施形態に係る走行支援センターの処理を示すフローチャートである。
【図19】図18のステップS44−2を説明するための図である。
【図20】図20(a)、図20(b)は、従来技術を示す図(その1)である。
【図21】図21(a)、図21(b)は、従来技術を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
≪第1の実施形態≫
以下、走行支援方法、走行支援装置及び走行支援プログラムの第1の実施形態について、図1〜図9に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1には、本件の走行支援方法により車両の走行を支援するための走行支援システム100の構成が模式的に示されている。走行支援システム100は、より具体的には、路上を走行している車両20における燃料消費量及びCO2排出量を低減しつつ、車両20が道路を走行できるように支援するためのものである。この走行支援システム100は、走行支援装置としての走行支援センター10と、路上に配置された複数のビーコン装置30と、路上を走行する車両20に搭載された車載装置60と、を備える。
【0017】
走行支援センター10は、サーバ等の情報処理装置を含み、走行支援プログラムを実行して、支援対象の車両(以下、「車両」と呼ぶ)20の推奨速度を決定し、ビーコン装置30を介して車両20の車載装置60に送信する。
【0018】
図2(a)には、走行支援センター10のハードウェア構成が示されている。この図2(a)に示すように、走行支援センター10は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)91、RAM(Random Access Memory)92、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive)とする)93、入出力部94等を備えており、走行支援センター10の構成各部は、バス95を介して接続されている。
【0019】
走行支援センター10では、CPU90がRAM92又はHDD93に格納された走行支援プログラムを実行することで、図2(b)に示す各部の機能を実現する。また、HDD93は、走行支援センター10内で得られたデータ等を記憶したり、図2(b)の信号情報格納部46、道路情報格納部48、燃料消費量DB54として機能する。入出力部94は、外部接続される入力インタフェース等との通信を行う入出力ポートである。
【0020】
図2(b)には、走行支援センター10の機能ブロック図が示されている。この図2(b)に示すように、走行支援センター10は、制御部42、車両検出部44、信号情報格納部46、情報格納部としての道路情報格納部48及び情報取得部49、無停止速度算出部50、燃料消費量推定部52、燃料消費量DB54、推奨速度決定部56、送信部としての推奨速度送信部58としての機能を有する。
【0021】
車両検出部44は、ビーコン装置30から送信される情報に基づいて、車両20の位置を検出する。なお、ビーコン装置30は、車両20との間で通信を行うものであり、車両検出部44は、ビーコン装置30が通信を行った車両に関する情報をビーコン装置30から受信し、当該情報から車両の位置や進行方向、速度などを検出する。
【0022】
信号情報格納部46は、図3(a)に示すような信号状態情報と、図3(b)に示すような信号設定情報と、を格納している。信号状態情報は、各信号機の状態を示す情報であり、図3(a)に示すように、「信号機ID」、「信号の状態」、「更新時刻」、「設定(ID、向き)」などの項目を含んでいる。項目「信号機ID」は、各信号機特有の識別符合であり、図3(a)では、アルファベット(A,B…)が割り当てられている。項目「状態」及び項目「更新時刻」は、更新時刻(ここでは、時刻ts)における各信号機の状態(色)を意味する。項目「設定」のうちの項目「ID」は、信号機の設定ID(P1,P2…)を意味する。なお、設定IDの詳細については後述する。また、項目「向き」は、東西や南北など、信号機が向いている方向を意味し、ここでは、向きとして、a,b,…が設定されている。
【0023】
信号設定情報は、図3(b)に示すように、「設定ID」、「状態(a側、b側)」、「継続時間」の項目を含んでいる。項目「設定ID」は、各交差点に設置されている複数の信号機がどのような設定となっているかを分類するためのIDである。項目「状態(a側、b側)」は、交差点が十字路の場合に、一方向(例えばa側)に延びる道路に設置された信号機の状態と、他方向(例えばb側)に延びる道路に設置された信号機の状態が、どのように切り替わるかを示している。項目「継続時間」は、状態(a側、b側)が切り替わるまでの時間を示している。
【0024】
図2(b)の道路情報格納部48は、図4(a)に示すようなノード情報と、図4(b)に示すようなリンク情報と、を格納している。
【0025】
ノード情報は、図4(a)に示すように、「ノード」、「緯度」、「経度」、「接続リンク(接続ノード、信号機ID)」等の項目を含んでいる。項目「ノード」は、交差点の位置を示す番号であり、図4(c)に示すように交差点のノードが1であれば、ノードの項目には「1」が入力される。項目「緯度」、「経度」は、ノードの絶対位置を示している。また、項目「接続リンク(接続ノード、信号機ID)」は、交差点のノードを一端として延びる道路(リンク)の他端のノードと、そのリンクに対応して設置された信号機のIDを意味する。図4(c)の交差点に配置された信号機のIDがA〜Dであれば、図4(a)に示すように、ノード情報に接続ノードと信号機IDが登録される。
【0026】
リンク情報は、図4(b)に示すように、「ノード1」、「ノード2」、「距離(m)」等の項目を含んでいる。項目「ノード1」は、リンクの一端に位置するノードの番号、項目「ノード2」は、リンクの他端に位置するノードの番号を意味する。また、項目「距離(m)」は、リンクの長さを意味する。
【0027】
図2(b)に戻り、情報取得部49は、車両検出部44の検出結果に基づいて、車両20が通過する交差点や信号に関する情報を、信号情報格納部46及び道路情報格納部48から取得する。
【0028】
無停止速度算出部50は、制御部42の指示の下、車両が次の交差点を、青信号で通過するために必要な速度(無停止速度v)を算出する。この無停止速度vの算出方法については、後述する。
【0029】
燃料消費量推定部52は、制御部42の指示の下、(i)無停止速度vで走行した場合と、(ii)車両が実際に走行している速度(道路の規制速度vmax等)で走行を継続して次の交差点で赤信号で停止する場合、の燃料消費量を推定する。なお、燃料消費量推定部52は、燃料消費量DB54が格納するデータに基づいて、燃料消費量の推定を行う。ここで、燃料消費量DB54は、図5に示すような、速度別の単位時間当たりの燃料消費量データとしての、速度別単位時間燃料消費量のデータ(表)を有している。この図5の表では、車両がある速度で走行しているときの、単位時間あたりの燃料消費量が定められている。なお、車両が減速している間は、一般的には速度0km/hと略同一の燃料消費量であるので、図5では、0km/hと減速時とが同一の燃料消費量と定められている。また、図5の表は、車種ごとに事前に作成され、燃料消費量DB54内に格納されているものとする。
【0030】
したがって、図2(b)の燃料消費量推定部52では、車両20の走行速度毎に、燃料消費量DB54に格納されている単位時間燃料消費量を取得する。そして、燃料消費量推定部52は、走行速度別に走行を行う時間と単位時間燃料消費量とを積算した値を求め、それらの値の総和を燃料消費量の推定結果とする。
【0031】
推奨速度決定部56は、制御部42の指示の下、燃料消費量推定部52の推定結果に基づいて、車両の推奨速度を決定する。具体的には、推奨速度決定部56は、燃料消費量推定部52において推定された2つの燃料消費量を比較し、値が小さい側の速度(無停止速度v又は現在の速度(例えば規制速度vmax))を、推奨速度として決定する。
【0032】
推奨速度送信部58は、制御部42の指示の下、推奨速度決定部56で決定された推奨速度を、車両20の車載装置60に、ビーコン装置30を介して送信する。
【0033】
制御部42は、上述した走行支援センター10の構成各部を統括的に制御する。
【0034】
図6は、車両20に搭載されている車載装置60の機能ブロック図である。この図6に示すように、車載装置60は、制御部62と、推奨速度受信部64と、車速制御部66と、表示部68と、を有する。
【0035】
推奨速度受信部64は、前述した走行支援センター10の推奨速度送信部58から送信される推奨速度を受信する。車速制御部66は、制御部62の指示の下、推奨速度受信部64にて受信された推奨速度の情報に基づいて、車両20のアクセル制御又はブレーキ制御を行い、車両20の速度を推奨速度に調整する。表示部68は、制御部62の指示の下、推奨速度受信部64で受信された推奨速度の情報を表示して、車両20に搭乗している人(運転者等)に対して推奨速度を認知させるものである。なお、表示部68は、視覚を通じて推奨速度を認知させることとしても良いし、聴覚を通じて認知させることとしても良い。制御部62は、上述した車載装置60の構成各部を統括的に制御する。
【0036】
次に、本第1の実施形態における走行支援方法について、図7〜図9に基づいて詳細に説明する。図7は、走行支援センター10の処理を示すフローチャートである。
【0037】
図7に示すように、まず、ステップS6では、車両検出部44が、車両20の情報を検出する。ここで検出される車両20の情報には、車両20の位置や進行方向、速度(移動方向を含む)が含まれている。これらの情報は、ビーコン装置30から送信される。なお、これに限らず、車両20側から、走行支援センター10に車両20の位置や速度などが直接送信されるようにしても良い。
【0038】
次いで、ステップS8では、情報取得部49が、検出された車両の位置に基づいて、信号情報格納部46及び道路情報格納部48から、車両20が通過する交差点に設けられた信号機の設定情報と、交差点の情報と、を取得する。なお、ステップS8において取得される情報は、図8(a)に示すような、信号間の距離dや、次の交差点の信号の色の時系列変化などの情報を含む。
【0039】
次のステップS10では、無停止速度算出部50(図2(b))が、無停止速度vを算出する。図8(b)は、時刻tcにおいて信号0の存在する交差点を通過した車両が、次の交差点(信号1)に向かう場合の、車両の速度と次の交差点を通過するときの信号1の色との関係を示している。ステップS10では、次の交差点までの距離dが、推奨速度の最大値(規制速度、又は現在走行中の速度が規制速度未満の場合には現在の速度)vmaxと、現在時刻(tc)から黄信号に変わる時刻(tY)までの時間(tY−tc)との積よりも小さい場合(d<vmax×(tY−tc))には、無停止速度算出部50は、無停止速度vを、次式(3)により求める。
v=vmax …(3)
【0040】
一方、無停止速度算出部50は、上記以外の場合、すなわち、図8(b)に破線にて示すように、d≧vmax×(tY−tc)の場合には、図8(b)の一点鎖線に基づき、無停止速度vを次式(4)から求める。なお、時刻tGは、信号1が青に変わる時刻を意味する。
v=vr=d/(tG−tc) …(4)
【0041】
図7に戻り、ステップS12では、推奨速度決定部56は、ステップS10で算出された無停止速度vがvmaxであるか否かを判断する。すなわち、推奨速度決定部56は、d<vmax×(tY−tc)の条件を満たしていたか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、推奨速度決定部56は、ステップS14において推奨速度をvmaxに決定して、ステップS22に移行する。一方、ステップS12の判断が否定された場合には、ステップS16に移行する。
【0042】
ステップS16では、燃料消費量推定部52が、無停止速度vで走行する場合の燃料消費量と、現在の速度での走行を次の交差点まで継続して停止する場合の燃料消費量を推定する。
【0043】
具体的には、図9に実線で示すように、車両20が無停止速度v(=vr)で走行する場合に関しては、燃料消費量推定部52は、燃料消費量DB54に格納されている速度別単位時間燃料消費量の表(図5)から、無停止速度v(=vr)における単位時間燃料消費量を取得する。そして、燃料消費量推定部52は、取得した単位時間燃料消費量と交差点を通過するまでに要する時間(tG−tc)との積から、燃料消費量を推定する。
【0044】
一方、図9に破線で示すように、車両20が現在の速度又は規制速度(vmax)での走行を継続して次の交差点で停止する場合に関しては、燃料消費量推定部52は、次式(5)から燃料消費量を推定する。なお、時間(tB−tc)は、速度vmaxでの走行時間を意味し、時間(tG−tB)は、減速開始から加速再開までの時間を意味する。
燃料消費量=速度vmaxの単位時間燃料消費量×(tB−tc)
+速度0(減速時)の単位時間燃料消費量×(tG−tB)
+発進時の燃料消費量 …(5)
【0045】
なお、上式(5)では、現在時刻tc、信号が青に変わる時刻tGのほか、減速開始時刻tBが分かっていれば良いことになる。すなわち、図9に破線で示すような車両の挙動については分からなくても良い。この場合、減速開始時刻tBについては、車両の現在の走行速度又は規制速度(vmax)から、車両が次の交差点で停止するまでに必要な距離を求め、当該距離から算出することができる。
【0046】
次いで、図7のステップS18では、推奨速度決定部56が、無停止速度v(=vr)で走行したほうが燃料消費量が小さいか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、推奨速度決定部56は、ステップS20において、推奨速度を無停止速度v(=vr)に決定する。一方、ステップS18の判断が否定された場合には、推奨速度決定部56は、推奨速度を、速度vmax、すなわち現在の速度又は道路の規制速度に決定する。
【0047】
その後、ステップS22に移行すると、推奨速度送信部58は、推奨速度を車両20の車載装置60(推奨速度受信部64)に送信し、図7の全処理を終了する。
【0048】
なお、車載装置60側では、推奨速度受信部64で受信した推奨速度に基づいて、制御部62の指示の下、車速制御部66が車両20の車速を推奨速度にするように、アクセル又はブレーキ制御を行う。また、表示部68は、制御部62の指示の下、推奨速度を表示する。なお、車載装置60では、車速制御部66による制御及び表示部68による表示のいずれかのみが実行されることとしても良い。例えば、表示部68への表示のみが実行される場合には、車両20を運転する運転者が、当該表示に基づいた運転を行うようにすれば、燃料消費量やCO2排出量を低減した適切な走行を行うことが可能となる。
【0049】
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、車両検出部44が、車両20の情報を検出し(ステップS6)、検出された車両の情報から、情報取得部49が、車両20が通過する交差点の情報と、交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する(ステップS8)。そして、取得された情報と、車両20の情報とから、無停止速度算出部50が、交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する(ステップS10)とともに、燃料消費量推定部52が、車両20が速度を維持して走行し、交差点で停止する場合の燃料消費量と、無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する(ステップS16)。更に、推奨速度決定部56が、燃料消費量推定部の推定結果に基づいて、前記現行の速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定し(ステップS14,S20)、推奨速度送信部58が、当該推奨速度を、車両20に対して送信する(ステップS22)。これにより、走行支援センター10は、単に無停止で交差点を通過できる速度を車両20に通知することなく、車両20の車載装置60に対して燃料消費量が小さく、二酸化炭素排出量の低減が可能となるような速度を送信することができる。したがって、車両20において、指示された速度での走行が実行されれば、車両20における燃料消費量を低減し、車両20からの二酸化炭素排出量を低減することが可能となる。
【0050】
また、本第1の実施形態では、燃料消費量推定部52が、燃料消費量を推定する際に、燃料消費量DB54に格納されている車両毎の速度別単位時間燃料消費量のデータに基づいて、燃料消費量を推定する。したがって、簡易な計算により、燃料消費量を推定することが可能となる。
【0051】
なお、上記実施形態では、車両20がアイドリングストップ機能を有している場合には、当該機能による燃料消費量についても考慮して、推奨速度を決定することもできる。具体的には、燃料消費量の推定において、次式(5)’を用いることとする。なお、次式(5)’では、アイドリングストップを行った時間をTとしている。
燃料消費量=速度vmaxの単位時間燃料消費量×(tB−tc)
+速度0(減速時)の単位時間燃料消費量×(tG−tB−T)
+エンジン始動時及び発進時の燃料消費量 …(5)’
【0052】
このように、アイドリングストップを行った時間も考慮することで、アイドリングストップした場合の燃料消費量を適切に推定し、推奨速度を適切に決定することが可能となる。なお、上式(5)’のエンジン始動時の燃料消費量は、5秒間のアイドリングを行った場合の燃料消費量とほぼ一致する。
【0053】
≪第2の実施形態≫
次に、第2の実施形態について、図10及び図11に基づいて説明する。本第2の実施形態は、走行支援センター10の機能ブロックの一部が異なり、これに伴い、燃料消費量の推定方法が異なっている。
【0054】
より具体的には、本第2の実施形態の走行支援センター10の機能ブロックを示す図10と、図2(b)とを比較すると分かるように、本第2の実施形態では、燃料消費量DB54に代えて、車両挙動模擬部54’が設けられている。
【0055】
車両挙動模擬部54’は、交通状況に基づくシミュレーション(交通流シミュレーション)により、車両の挙動を模擬する。すなわち、車両挙動模擬部54’は、シミュレーションにより、図11に実線で示すような車両の挙動、及び図11に破線で示すような車両の挙動を模擬する。
【0056】
そして、燃料消費量推定部52は、次式(6)に基づいて、燃料消費量Qを推定する。この式(6)は、公知文献(大口敬,片倉正彦,谷口正明:都市部道路交通における自動車の二酸化炭素排出量推計モデル.土木学会論文集,No.695/IV-54,pp.125-136,2002.)に基づくものである。なお、次式(6)では、Tは旅行時間(走行時間)、dは旅行距離(走行距離)、kは計測周期、vkは各周期毎の瞬間速度を意味する。また、δkには、加速時であれば1、それ以外の場合には0が代入される。
【0057】
【数1】
【0058】
本第2の実施形態では、図7の処理と同様に、ステップS6〜S12を行い、ステップS12の判断が否定されるとステップS16に移行する。そして、ステップS16では、車両挙動模擬部54’により図11のように模擬された車両の挙動に基づいて、燃料消費量推定部52が上式(6)に基づいて燃料消費量Qを推定する。
【0059】
なお、これ以外の処理は、上記第1の実施形態と同様である。
【0060】
以上説明したように、本第2の実施形態によれば、車両挙動模擬部54’による交通流シミュレーションにより模擬される車両の挙動に基づいて、燃料消費量推定部52が、燃料消費量を推定する。したがって、第1の実施形態のように予め速度別単位時間燃料消費量のデータ等を用意しなくとも適切に燃料消費量の推定を行うことが可能である。
【0061】
なお、上記第2の実施形態では、上式(6)に基づいて燃料消費量を推定する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、交通流シミュレーションにより模擬された車両の挙動と、上式(6)以外の推定式とを用いて、燃料消費量を推定することとしても良い。
【0062】
また、式(6)を用いる場合にも、上述した第1の実施形態と同様に、アイドリングストップを考慮して、燃料消費量を推定することとしても良い。
【0063】
≪第3の実施形態≫
次に、第3の実施形態について、図12〜図15に基づいて詳細に説明する。本第3の実施形態では、車両が次に通過する交差点の信号機のみならず、車両が順次通過する複数の交差点の信号機についても考慮した走行支援を行う。なお、走行支援センター10のハードウェア構成及び機能ブロックは、上述した第1の実施形態と同様であるものとする。
【0064】
図12は、本第3の実施形態の走行支援センター10の処理を示すフローチャートである。この図12に示すように、まず、ステップS30では、車両検出部44が、車両の情報(位置や進行方向、速度、進路情報など)を検出する。なお、車両20の進路情報は、車両20に設けられたナビゲーションシステムにおいてユーザにより予め設定された進路情報であるものとする。車両検出部44は、車両20の進路情報を、車両20から直接受信したり、あるいはビーコン装置30を介して受信する。
【0065】
次いで、ステップS32では、制御部42が、車両20の進路上に位置する交差点の順番(通過順)を示すパラメータiを1に設定する。
【0066】
次いで、ステップS34では、制御部42が、iがIよりも大きいか否かを判断する。ここで、Iはiの最大値であり、予め定められているものとする。なお、本実施形態では、一例として、Iが3である場合について説明する。
【0067】
ステップS34の判断が肯定された場合には、ステップS48に移行するが、否定された場合には、ステップS36に移行する。なお、ここでは、i=1であり、i>3ではないので、ステップS34の判断は否定される。
【0068】
ステップS36に移行した場合、情報取得部49が、車両の位置及び進路に基づいて、信号情報格納部46及び道路情報格納部48から図3、図4に示す情報を取得する。ここで、取得される情報からは、図13(a)に示すような距離d1と、信号1の変化と、が得られる。
【0069】
次いで、ステップS38では、ステップS36において得られた情報を用いて、無停止速度算出部50がvi(v1)を計算する。ここでは、上述した式(3)を用いることで、例えば、図14(a)に示すような速度v1(=vmax)が求められたものとする。
【0070】
次いで、ステップS40では、制御部42が、viがvi-1と一致するか否かを判断する。ここでは、v1がv0と一致するか否かを判断する。なお、v0は、vmax(規制速度、あるいは現在の走行速度が規制速度未満である場合には現在の速度)であるものとする。ここでの判断が肯定されると、ステップS42に移行する。ステップS42に移行した場合には、iを1インクリメント(i←i+1、すなわち、i←2)して、ステップS34に戻る。
【0071】
ステップS34に戻ると、制御部42が、再度、i(=2)がI(=3)よりも大きいか否かを判断する。ここでの判断が否定されると、ステップS36において、情報取得部49が、信号情報及び道路情報を取得する。ここで取得される情報からは、図13(b)に示すような距離d2と、信号2の変化とが得られる。
【0072】
次いで、ステップS38では、無停止速度算出部50が、ステップS36において得られた情報を用いてvi(=v2)を計算する。ここでは、上述した式(4)を用いることで、例えば、図14(b)に示すような速度v2が求められたものとする。
【0073】
次のステップS40では、制御部42が、viがvi-1と一致するか否かを判断する。ここでは、図14(b)に示すように、v2がv1と一致していないので、ステップS40の判断は否定され、ステップS44に移行する。
【0074】
ステップS44では、制御部42が、viで走行した場合、1〜(i−1)番目の交差点で停止しないか否かを判断する。ここでは、図14(b)に示すように、車両20が速度v2で走行した場合でも信号1を青信号で通過することができるので、ここでの判断は肯定されて、ステップS45に移行する。
【0075】
ステップS45では、燃料消費量推定部52が、速度vi(v2)で走行する場合の燃料消費量(Fi(F2))と、速度vi-1(v1)で走行する場合の燃料消費量(Fi-1(F1))とを推定する。ここでの燃料消費量の推定には、上記第1の実施形態のと同様の推定方法を用いることができる。
【0076】
次いで、ステップS46では、制御部42は、燃料消費量(Fi-1(F1))が、燃料消費量Fi(F2)よりも小さいか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合、すなわち、速度vi(v2)で走行した方が燃料消費量が少ない場合には、ステップS42に移行して、制御部42が、iを1インクリメントした後、ステップS34に戻る。一方、ステップS46の判断が肯定されると、ステップS48に移行する。なお、ここでは、ステップS46の判断が否定されたものとして説明する。
【0077】
ステップS46の判断が否定され、ステップS42において、iが1インクリメント(i←3)され、ステップS34に戻ると、ステップS34では、制御部42が、i>Iか否かを判断する。ここでの判断が否定されると、ステップS36において、情報取得部49が、信号情報と道路情報を取得する。ここで取得された情報からは、図13(c)に示すような距離d3と、信号3の変化とが得られる。
【0078】
次いで、ステップS38では、ステップS36において得られた情報を用いて、無停止速度算出部50がvi(=v3)を計算する。ここでは、上述した式(4)を用いることで、例えば、図15に示すような速度v3が求められたものとする。
【0079】
次いで、ステップS40では、制御部42が、viがvi-1と一致するか否かを判断する。ここでは、図15に示すように、v3がv2と一致していないので、ステップS40の判断は否定され、ステップS44に移行する。
【0080】
ステップS44では、制御部42が、vi(=v3)で走行した場合、1〜(i−1)番目の交差点で停止しないか否かを判断する。ここでは、図15に破線にて示すように、車両20が速度v3で走行すると信号1の交差点を青信号で通過することができない(×印で示している)ので、ここでの判断は否定されて、ステップS48に移行する。
【0081】
ステップS44の判断が否定された場合や、ステップS34の判断が肯定された場合、あるいはステップS46の判断が肯定された場合には、ステップS48において、推奨速度決定部56が、推奨速度を速度vi-1に決定する。すなわち、例えば、本実施形態のように、i=3のときにステップS44の判断が否定されてステップS48に移行した場合には、速度v2が推奨速度として決定される。
【0082】
その後、ステップS50に移行すると、推奨速度送信部58が、推奨速度(v2)を車両20の車載装置60に対して送信する。そして、車両20の車載装置60は、車両20の走行速度が推奨速度(v2)となるように、エンジン又はブレーキ制御を行ったり、表示部68に推奨速度を表示したりする。
【0083】
なお、ステップS44の判断が否定されると、iをそれ以上大きくしても、必ず、1〜(i−1)番目の交差点のいずれかで車両20は停止することになる。また、ステップS34の判断が肯定された場合には、i=I−1まで、ステップS44の判断が否定されなかったことを意味する。したがって、本実施形態では、車両20がi個の交差点全てを青信号で通過可能な無停止速度を全て算出し、かつ、算出された全ての無停止速度のうち、最も燃料消費量が少なくなる速度を、推奨速度として決定していることになる。
【0084】
以上説明したように、本第3の実施形態によると、車両検出部44が、車両20の進路の情報を検出し、情報取得部49が、車両の進路上に存在するi番目までの交差点の情報を取得する。そして、無停止速度算出部50では、iを変更しつつ、車両20がi個の交差点全てを青信号で通過可能な無停止速度を算出し、算出された無停止速度のうち、最も燃料消費量が少なくなる速度を、推奨速度とする。したがって、本第3の実施形態によれば、複数の交差点を通過でき、かつ燃料消費量を低減することが可能な速度で、車両20を走行させることが可能となる。図16は、第3の実施形態の作用効果を説明するための図である。この図16に示すように、(i)速度v1で信号1を通過して、信号2で停止する場合(実線)、(ii)信号0から信号1まで速度v1で走行して、信号2まで、速度v1'で走行する場合(破線)、(iii)信号0から信号2まで、速度v2で走行する場合(一点鎖線)、のうち、最も燃料消費量の小さい走行方法で、車両20を走行させることが可能となる。
【0085】
なお、上記第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の構成を採用し、図12のステップS45では、第1の実施形態と同様の方法で燃料消費量を推定することとしたが、これに限られるものではない。例えば、第2の実施形態と同様の構成を採用し、ステップS45で第2の実施形態と同様の方法で燃料消費量を推定することとしても良い。
【0086】
≪第4の実施形態≫
次に、第4の実施形態について、図17〜図19に基づいて詳細に説明する。
【0087】
図17には、第4の実施形態に係る走行支援センター10の機能ブロック図が示されている。この図17に示すように、本第4の実施形態では、第1の実施形態の走行支援センター10の機能構成に加えて、判定部としての影響車両判定部55が追加されている。
【0088】
図18には、第4の実施形態に係る走行支援センター10の処理がフローチャートにて示されている。この図18の処理では、ステップS44以外は、上記第3の実施形態と同様の処理を実行するが、ステップS44においては、3つの判断(ステップS44−1、S44−2、S44−3)を実行する。
【0089】
具体的には、ステップS44−1では、制御部42が、車両20が速度viで走行した場合に、1〜(i−1)番目の交差点で停止しないか否かを判断する。この判断は、上述した第3の実施形態のステップS44と同様の判断であるので説明は省略する。
【0090】
ステップS44−1における判断が否定された場合には、ステップS48に移行するが、肯定された場合には、ステップS44−2に移行する。このステップS44−2では、影響車両判定部55が、車両20が速度viで走行した場合に、車両20の後続車が1〜(i−1)番目の交差点を通過できなくなる可能性があるか否かを判断する。なお、後続車の存在の有無やそれらの位置等については、ビーコン装置30などのインフラ側に設けられた感知器や、車両20に搭載された車載センサ、あるいは走行支援センター10と後続車との通信などから、車両検出部44が検出する。
【0091】
このステップS44−2では、具体的には、図19に示すように、車両20が速度viで走行すると、車両20の後を走行する後続車も間隔を維持しつつ、速度viで走行することが予想される(図19の一点鎖線参照)。この場合、図19に示すように、後続車の一部が信号1において停止しなければならないような事態が生じるおそれがある(×印を付して示している)。このような場合には、ステップS44−2の判断が肯定され、ステップS48に移行する。ステップS48では、後続車への影響が無い速度vi-1が推奨速度として決定されることになる。
【0092】
一方、ステップS44−2の判断が否定された場合、すなわち、後続車への影響がないと判断された場合には、ステップS44−3に移行する。ステップS44−3では、影響車両判定部55が、後続車が(i−1)番目の交差点を同じ青信号フェーズで右左折するか否かを判断する。なお、「同じ青信号フェーズで右左折する」とは、車両20が通過する青信号が黄色に変わる前に後続車が右左折することを意味する。また、後続車が右左折をするか否かの情報は、後続車に搭載されたナビゲーションシステムで設定された予定進路の情報に含まれている。車両検出部44は、当該情報をビーコン装置30を介して取得する。
【0093】
このように後続車が同じ青信号フェーズで右左折するような場合には、そのような後続車にとって、右左折する交差点よりも先の信号は一切無関係である。このため、車両20がi番目の交差点までの全ての交差点を青信号で通過するために速度を低下してしまうと、右左折する後続車が、右左折する交差点に到着するまでに無駄な時間を要してしまうおそれがある。
【0094】
このような場合には、ステップS44−3の判断が肯定されて、ステップS48に移行するようになっており、ステップS48では、推奨速度をvi-1に決定することとする。
【0095】
一方、ステップS44−3の判断が否定された場合には、ステップS45に移行する。なお、これ以外の処理は、上記第3の実施形態と同様である。
【0096】
以上説明したように、本第4の実施形態によると、影響車両判定部55が、ステップS44−2、S44−3において無停止速度での走行により、後続車に影響が与えられるか否かを判定し、推奨速度決定部56は、判定の結果、影響が与えられると判定された無停止速度を推奨速度とはしないこととしている。したがって、本実施形態によれば、走行支援の対象となる車両20の速度を変更することにより後続車に影響が生じるのを抑制することができる。これにより、速度低下による交通容量の減少を抑制し、円滑な交通を実現することが可能となる。
【0097】
また、本第4の実施形態によると、影響車両判定部55は、車両20が無停止速度で走行することで、後続車が交差点の信号で停止するか否かを判定する。したがって、車両20が無停止速度で走行することに起因して後続車が交差点で停止するのを回避することができ、ひいては道路交通の円滑化を図ることができる。
【0098】
また、本第4の実施形態によると、影響車両判定部55は、後続車がi番目までの交差点のいずれかを右左折するか否かを判定し、右左折すると判定された場合に、無停止速度算出部50は、右左折する交差点以降の交差点を考慮せずに、推奨速度を算出することとしている。これにより、右左折する車両を無駄に減速させることなく、道路交通の円滑化を図ることができる。
【0099】
なお、上記第4の実施形態では、特に説明をしていないが、後続車の定義としては、例えば、支援対象の車両から所定距離内に位置する車両とすることとしても良い。また、図18のステップS44−2,S44−3を行わずに、後続車が存在していた場合には、一律、次の交差点のみを考慮するような処理を行うこととしても良い。
【0100】
なお、上記第4の実施形態では、影響車両判定部55が、ステップS44−2,ステップS44−3を順次実行する場合について説明したが、これに限らず、ステップS44−2のみを実行することとしても良い。
【0101】
なお、上記各実施形態では、走行支援センター10において、走行支援方法を実行する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、走行支援センター10の機能を、車載装置60に搭載することとしても良い。この場合、車載装置60は、自車の情報を、ビーコン装置30を用いずに直接検出することとしても良い。また、上述した第4の実施形態を実施する場合には、車載装置60は、後続車と車々間通信を行うことで、後続車の情報を取得(検出)することとしても良い。
【0102】
また、上記各実施形態では、車載装置60と走行支援センター10との間の通信を、ビーコン装置30を介して行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、車載装置60と走行支援センター10とが直接通信を行うこととしても良い。この場合、車載装置60は、自己の位置をGPS(Global Positioning System)などの測位装置を用いて計測し、当該計測結果を走行支援センター10に送信することとすれば良い。
【0103】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0104】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0105】
プログラムを実行するコンピュータ(上記各実施形態の走行支援センター10)は、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置(HDD93)に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0106】
上述した各実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0107】
10 走行支援センター(走行支援装置)
20 車両(対象車両)
44 車両検出部
46 信号情報格納部(情報格納部)
48 道路情報格納部(情報格納部)
49 情報取得部
50 無停止速度算出部
52 燃料消費量推定部
56 推奨速度決定部
58 推奨速度送信部(送信部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
対象車両の情報を検出する車両検出工程と、
前記車両検出工程で検出された前記対象車両の情報から、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程で取得された情報と、前記車両検出工程で検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出工程と、
前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定工程と、
前記燃料消費量推定工程における推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定工程と、
前記推奨速度決定工程で決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信工程と、を実行することを特徴とする走行支援方法。
【請求項2】
前記燃料消費量推定工程では、前記車両検出工程で検出される前記対象車両の種類と、車種毎に用意された速度別の単位時間当たりの燃料消費量データとに基づいて、前記燃料消費量を推定することを特徴とする請求項1に記載の走行支援方法。
【請求項3】
前記燃料消費量推定工程では、前記対象車両の挙動を交通状況に基づくシミュレーションにより特定し、当該特定された前記対象車両の挙動に基づいて、前記燃料消費量を推定することを特徴とする請求項1に記載の走行支援方法。
【請求項4】
前記対象車両がアイドリングストップ機能を有する場合に、
前記燃料消費量推定工程では、前記アイドリングストップにより節約された燃料消費量に基づいて、前記燃料消費量を推定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の走行支援方法。
【請求項5】
前記車両検出工程では、前記対象車両の進路の情報を検出し、
前記情報取得工程では、前記対象車両の進路上に存在するi(iは1以上の整数)番目までの交差点の情報を取得し、
前記無停止速度算出工程では、iを変更しつつ、前記対象車両がi個の交差点全てを青信号で通過可能な無停止速度を算出し、前記算出された無停止速度のうち、最も燃料消費量が少なくなる速度を、前記推奨速度とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の走行支援方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、
前記各無停止速度での走行により、前記対象車両の後方に位置する車両に影響が与えられるか否かを判定する判定工程を更に実行し、
前記推奨速度決定工程では、前記判定工程で前記影響が与えられると判定された無停止速度は、前記推奨速度としないことを特徴とする請求項5に記載の走行支援方法。
【請求項7】
前記判定工程では、前記対象車両が前記各無停止速度で走行することで、前記対象車両の後方に位置する車両が前記交差点の信号で停止するか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の走行支援方法。
【請求項8】
前記判定工程では、前記対象車両の後方に位置する車両が、i番目までの交差点のいずれかを右左折するか否かを判定し、
前記無停止速度算出工程では、前記判定工程において右左折すると判定された場合に、前記右左折する交差点以降の交差点を考慮せずに、前記推奨速度を算出することを特徴とする請求項6又は7に記載の走行支援方法。
【請求項9】
対象車両の情報を検出する車両検出部と、
交差点の情報及び交差点に設けられた信号機の設定情報を格納する情報格納部と、
前記車両検出部により検出された前記対象車両の情報に基づいて、前記情報格納部から、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された情報と、前記車両検出部により検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出部と、
前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定部と、
前記燃料消費量推定部による推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定部と、
前記推奨速度決定部により決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信部と、を備える走行支援装置。
【請求項10】
コンピュータを、
対象車両の情報を検出する車両検出部、
前記車両検出部により検出された前記対象車両の情報に基づいて、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得部、
前記情報取得部により取得された情報と、前記車両検出部により検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出部、
前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定部、
前記燃料消費量推定部による推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定部、及び
前記推奨速度決定部により決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信部、として機能させることを特徴とする走行支援プログラム。
【請求項1】
コンピュータが、
対象車両の情報を検出する車両検出工程と、
前記車両検出工程で検出された前記対象車両の情報から、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程で取得された情報と、前記車両検出工程で検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出工程と、
前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定工程と、
前記燃料消費量推定工程における推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定工程と、
前記推奨速度決定工程で決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信工程と、を実行することを特徴とする走行支援方法。
【請求項2】
前記燃料消費量推定工程では、前記車両検出工程で検出される前記対象車両の種類と、車種毎に用意された速度別の単位時間当たりの燃料消費量データとに基づいて、前記燃料消費量を推定することを特徴とする請求項1に記載の走行支援方法。
【請求項3】
前記燃料消費量推定工程では、前記対象車両の挙動を交通状況に基づくシミュレーションにより特定し、当該特定された前記対象車両の挙動に基づいて、前記燃料消費量を推定することを特徴とする請求項1に記載の走行支援方法。
【請求項4】
前記対象車両がアイドリングストップ機能を有する場合に、
前記燃料消費量推定工程では、前記アイドリングストップにより節約された燃料消費量に基づいて、前記燃料消費量を推定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の走行支援方法。
【請求項5】
前記車両検出工程では、前記対象車両の進路の情報を検出し、
前記情報取得工程では、前記対象車両の進路上に存在するi(iは1以上の整数)番目までの交差点の情報を取得し、
前記無停止速度算出工程では、iを変更しつつ、前記対象車両がi個の交差点全てを青信号で通過可能な無停止速度を算出し、前記算出された無停止速度のうち、最も燃料消費量が少なくなる速度を、前記推奨速度とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の走行支援方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、
前記各無停止速度での走行により、前記対象車両の後方に位置する車両に影響が与えられるか否かを判定する判定工程を更に実行し、
前記推奨速度決定工程では、前記判定工程で前記影響が与えられると判定された無停止速度は、前記推奨速度としないことを特徴とする請求項5に記載の走行支援方法。
【請求項7】
前記判定工程では、前記対象車両が前記各無停止速度で走行することで、前記対象車両の後方に位置する車両が前記交差点の信号で停止するか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の走行支援方法。
【請求項8】
前記判定工程では、前記対象車両の後方に位置する車両が、i番目までの交差点のいずれかを右左折するか否かを判定し、
前記無停止速度算出工程では、前記判定工程において右左折すると判定された場合に、前記右左折する交差点以降の交差点を考慮せずに、前記推奨速度を算出することを特徴とする請求項6又は7に記載の走行支援方法。
【請求項9】
対象車両の情報を検出する車両検出部と、
交差点の情報及び交差点に設けられた信号機の設定情報を格納する情報格納部と、
前記車両検出部により検出された前記対象車両の情報に基づいて、前記情報格納部から、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された情報と、前記車両検出部により検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出部と、
前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定部と、
前記燃料消費量推定部による推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定部と、
前記推奨速度決定部により決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信部と、を備える走行支援装置。
【請求項10】
コンピュータを、
対象車両の情報を検出する車両検出部、
前記車両検出部により検出された前記対象車両の情報に基づいて、当該対象車両が通過する交差点の情報と、前記交差点に設けられた信号機の設定情報を取得する情報取得部、
前記情報取得部により取得された情報と、前記車両検出部により検出された対象車両の情報とから、前記交差点を青信号で通過するための速度である無停止速度を算出する無停止速度算出部、
前記車両が前記交差点で停止する速度で走行した場合の燃料消費量と、前記無停止速度で走行する場合の燃料消費量とを推定する燃料消費量推定部、
前記燃料消費量推定部による推定結果に基づいて、前記交差点で停止する速度又は前記無停止速度のいずれかを推奨速度として決定する推奨速度決定部、及び
前記推奨速度決定部により決定された前記推奨速度を、前記車両に対して送信する送信部、として機能させることを特徴とする走行支援プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−248542(P2011−248542A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119899(P2010−119899)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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