説明

超臨界重合方法における相分離器及びモノマーの再利用

本願発明はオレフィンの重合方法であって、以下の工程を含む。
(a)1以上の反応器中に、高密度流体均質重合系において、重合系の結晶化温度より高温でかつ重合系の曇り点圧力より10MPa低い圧力以上200MPa未満の圧力で、(反応器中のモノマー及びコモノマーの重量を基に)30重量%以上で存在する3以上の炭素原子を有するオレフィンモノマーと、1)1以上の触媒化合物、2)1以上の活性剤、3)(反応器中のモノマー量及びコモノマー量を基に)0乃至50モル%コモノマー、及び4)(重合系の重量を基に)0乃至40重量%の希釈剤又は溶媒とを、接触させる工程であって、前記重合系が、前記モノマー、存在する任意のコモノマー、存在する任意の希釈剤又は溶媒、存在する任意のスカベンジャー及びポリマー生成物を含む工程、
(b)ポリマー−モノマー混合物を含む反応器流出物を形成する工程、
(c)任意で、反応器から流出した後、かつ、(e)工程で圧力が減少する前又は減少した後に(b)工程のポリマー−モノマー混合物を加熱する工程、
(d)分離容器に(b)工程のポリマー−モノマー混合物を収集する工程、
(e)分離容器中にポリマー−モノマー混合物を収集する前又は収集した後のいずれかにおいて、(b)工程のポリマー−モノマー混合物を含む反応器流出物の圧力を曇り点圧力より低い圧力に減少し、高濃度ポリマー相及び高濃度モノマー相を含む二相混合物を形成する工程であって、反応器中(又は2以上使用されている場合に、少なくとも1の反応器において)の前記圧力が、分離容器中の圧力より7乃至100MPa高く、及び分離容器中の温度がポリマーの結晶化温度より高いか、又はポリマーに結晶化温度がない場合に80℃より高いかの、どちらかより高い温度である工程、
(f)高濃度ポリマー相から高濃度モノマー相を分離する工程、
(g)(a)工程の1以上の反応器へ分離された高濃度モノマー相を再利用する工程、及び
(h)高濃度ポリマー相からポリマーを回収する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2007年3月6日付出願の米国特許出願第11/714,546号の一部継続出願であり、2006年12月20日付出願の米国特許出願第60/876,193号の優先権を主張する、2007年9月13日付出願の米国特許出願第11/854,936号、および2007年3月6日付出願の米国特許出願第60/905,247号の優先権を主張するものである。
【0002】
技術分野
本願発明は、超臨界条件下で、3以上の炭素原子を主鎖モノマーに有するオレフィンモノマーの重合に関する。特に、本願発明は、重合系において低分子量成分から、重合生成物を分離し、前記低分子量成分を重合系で再利用する発明に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
1980年代半ばよりメタロセン触媒は主にエチレン骨格ポリマー(エチレンが主鎖モノマーであるポリオレフィン)の製造のために高圧反応器で使用された。該メタロセン触媒には、プロピレン、ブテン、およびヘキセンのうち1以上を含むコモノマーと、4−メチル−1,5−ヘキサジエン等の他の特殊なモノマーとから成るエチレンコポリマーが含まれる。例えば、Langhausenらに与えられた米国特許5,756,608号は、架橋メタロセン触媒を用いたC乃至C10の1−アルケンを重合する方法を伝えている。最近まで、均質超臨界条件下でのポリプロピレンの製造は、非現実的で実行不可能であると見られてきた。臨界温度を超過し、固体−液体相転移温度を超えた温度で、商業的に有用なポリプロピレンを製造出来る触媒系がなかったためである。しかしながら、商業的に有用なポリプロピレン(及び、その他関連ポリマー)の高圧系での製造方法は、現在国際公開番号WO2004/026921で開示されている。国際公開番号WO2004/026921では、触媒生産性の増加、処理能力の向上、滞留時間の削減等の有利な点を提供する。同様に、調整された組成物及び/又は分子量分布を有する新規のプロピレン系ポリマーが開示される。従って、現在当該技術分野において、重合工程における低分子量成分からポリマーを分離する経済的かつ効率的に改善された新規な工程であって、好ましくは、さらに前記低分子量成分を重合系供給体へ経済的に再利用する工程を開発する技術の必要がある。
【0004】
[先行技術文献]
国際公開番号WO1993/11171は、反応器中にオレフィンモノマーおよびメタロセン触媒系を連続的に供給することから成るポリオレフィン製造方法を開示している。モノマーは連続的に重合されてモノマー・ポリマー混合物を作り出す。反応条件はこの混合物をその系の曇り点圧力未満の圧力に維持する。これらの条件から高濃度ポリマーおよび高濃度モノマーの相から成る二相反応混合物が作られる。また、当該反応温度は、ポリマーの融点を超えるように維持される。
【0005】
国際公開番号WO1992/14766は、(a)オレフィンモノマーおよび触媒系を、メタロセン成分および共触媒成分とともに、反応器に連続的に供給する工程;(b)高い圧力下において重合ゾーン型反応器中で前記モノマーを連続的に重合する工程;(c)該反応器からポリマー/モノマー混合物を連続的に取り出す工程;(d)溶融ポリマーからモノマーを連続的に分離する工程;(e)高濃度モノマーおよび高濃度ポリマーの相を形成するように圧力を下げる工程;および(f)反応器からモノマーを分離する工程から成る方法を開示している。国際公開番号WO1992/14766は、高濃度エチレンポリマーのための触媒停止系(catalyst killing system)に焦点を合わせている。一方で、いずれにおいても商業的に有用なプロピレン系ポリマーの製造に用いられる単相重合条件、及び、超臨界条件下でのプロピレン系ポリマーの流体液体相分離を用いた、エネルギー消費及び設備投資を低下に抑え、経済的利益を得る方法に関しては開示していない。
【0006】
国際出願WO2004/026921は、存在するコモノマー、存在する希釈剤又は溶剤、ポリマー生成物から成り、オレフィンが40重量%以上で存在する重合系において、重合系の結晶化温度より高温でかつ重合系の曇り点圧力より10MPa低い圧力以上の圧力において、3以上の炭素原子を有するオレフィンを触媒化合物(例えばメタロセン)、活性剤、および任意で希釈剤又は溶剤を有する3以上の炭素原子を有するオレフィン群及び任意の広範囲のオレフィン及び/又はジオレフィンコモノマーの重合方法を開示している。従って、国際公開番号WO2004/026921は、単相及び二相の両相の反応系を含む、広範囲の超臨界作用条件下で、不活性溶媒成分を用いて、又は、用いずに、商業的に有用な高濃度プロピレン(又は、高濃度のより高級なアルファ−オレフィン)ポリマーを作成する重合方法を開示する。ここで、ポリマーが溶液内、すなわち、ポリマーが単相反応溶剤、又は、大部分が二相系のうちの一相に溶解されている。本願発明は、反応溶剤のより低い分子量成分からポリマーを効果的で経済的に分離する方法、及び、より低い分子量成分を国際公開番号WO2004/026921で記載される重合系で有用な、重合系供給体へ経済的に再利用する方法を提供する。
【0007】
米国特許第6,881,800号,米国特許第7,163,989号及び国際公開番号WO2002/034795(Friedersdorfによる)は、メタロセン触媒系を用いる、高濃度プロピレンポリマーを含む、多様なポリオレフィンポリマーのための重合系について記載する。しかしながら、記載される系は、溶媒ベースの系であることから、開示される重合系圧力範囲が7.5乃至20MPaと、本願発明の圧力範囲(20乃至200MPa)より低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの当該分野における進歩にかかわらず、ポリマーからのモノマーの経済的な分離、すなわち、低い資本投資及び低いエネルギー消費による分離を提供し、従って優れた生成物分離及びモノマー再利用を提供する一方で、他よりもより高温かつ高い生産性で調製され、特に、高分子量及び高結晶化度を有する、商業的に有用な高濃度プロピレンポリマーを提供する重合方法の必要性が残る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、オレフィンの重合方法に関連し、以下の工程を含む、
(a)1以上の反応器中に、高密度流体均質重合系において、重合系の結晶化温度より高温でかつ重合系の曇り点圧力より10MPa低い圧力以上(好ましくは1MPa以上)200MPa未満の圧力で、(反応器中のモノマー及びコモノマーの重量を基に)30重量%以上で存在する3以上の炭素原子を有するオレフィンモノマーと、1)1以上の触媒化合物、2)1以上の活性剤、3)(反応器中のモノマー量及びコモノマー量を基に)0乃至50モル%コモノマー、及び4)(重合系の重量を基に)0乃至40重量%の希釈剤又は溶媒とを、接触させる工程であって、前記重合系が、前記モノマー、存在する任意のコモノマー、存在する任意の希釈剤又は溶媒、存在する任意のスカベンジャー及びポリマー生成物を含む工程、
(b)ポリマー−モノマー混合物を含む反応器流出物を形成する工程、
(c)任意で、反応器から流出した後、かつ、(e)工程で圧力が減少する前又は減少した後に(b)工程のポリマー−モノマー混合物を加熱する工程、
(d)分離容器に(b)工程のポリマー−モノマー混合物を収集する工程、
(e)分離容器中にポリマー−モノマー混合物を収集する前又は収集した後のいずれかにおいて、(b)工程のポリマー−モノマー混合物を含む反応器流出物の圧力を曇り点圧力より低い圧力に減少し、高濃度ポリマー相及び高濃度モノマー相を含む二相混合物を形成する工程であって、反応器中(又は2以上使用されている場合に、少なくとも1の反応器において)の前記圧力が、分離容器中の圧力より7乃至100MPa高く、及び分離容器中の温度がポリマーの結晶化温度より高いか、又はポリマーに結晶化温度がない場合に80℃より高いかの、どちらかより高い温度である工程、
(f)高濃度ポリマー相から高濃度モノマー相を分離する工程、
(g)(a)工程の1以上の反応器へ分離された高濃度モノマー相を再利用する工程、及び
(h)高濃度ポリマー相からポリマーを回収する工程。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、ビノーダル(binodal)境線及びスピノーダル(spinodal)境線における熱力学的定義の図式的描写を表す。
【図2】図2は、本願発明に係る典型的な重合溶剤の状態図を表す。
【図3】図3は、Polymer Achieve(商標) 1635の曇り点等温線を表す。(Achieve 1635は、エクソンモービル・ケミカル・カンパニー、ヒューストン、テキサス州から商業的に入手可能な32g/10分のメルト・フロー・インデックス(Melt Flow Index)(I10/I−ASTM 1238、190℃、2.16kg)を有するメタロセン触媒アイソタクチックポリプロピレンである。)
【図4】図4は、アイソタクチックポリプロピレン(アイソタクチックPP)ポリマー及びプロピレンモノマーの混合物から形成された高濃度モノマー相及び高濃度ポリマー相の密度を表す。
【図5】図5は、本願発明に係る相分離器を含む重合方法の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願発明及びその特許請求の範囲において、触媒系は1以上の触媒前駆体化合物及び1以上の活性剤及び任意の共活性剤の組み合わせとして定義される。触媒系の任意部分は、任意で固体粒子に支持され得る。この場合でも、前記の支持は触媒系の一部である。
【0012】
純物質及び混合物の臨界特性
全ての種類の炭化水素を含め純物質は、物質の温度及び圧力に依存した亜臨界状態又は超臨界状態のいずれかで存在し得る。超臨界状態にある物質は、本願発明で十分に引き出される所望の物理的特性及び熱力学的特性を有する。特に、超臨界流体が圧力の大規模な変化を受ける場合、広範囲で流体の密度及びポリマーの溶解作用が変化する。超臨界状態にするため、物質は、臨界温度(Tc)より高温かつ臨界圧力(Pc)より高圧である必要がある。モノマーの混合物、ポリマー、及び任意で溶媒を含め炭化水素の混合物は、多くの系が混合物成分の対応する臨界特性(Tc又はPc)のモル分率重量平均で近似され得る疑似臨界温度(Tc)及び疑似臨界圧力(Pc)を有する。疑似臨界温度より高温及び疑似臨界圧力より高圧の混合物は、超臨界状態又は超臨界相にあると言える。超臨界混合物の熱力学的作用は、超臨界純物質と類似する。本願発明の範囲において、本願発明に係る所定の純物質の臨界温度(Tc)及び臨界圧力(Pc)は、化学および物理のハンドブック(Handbook of Chemistry and Physics)、David R.Lide、編集長、第82版2001年−2002年、CRCプレス,LLC.ニューヨーク州、2001年で見られる温度及び圧力である。特に、選択物質のTc及びPcは以下である。
【表1】

【0013】
相作用
例えば、開示される方法の1以上の分離器中の重合系から形成される重合系又は高濃度ポリマー又は高濃度モノマー相、又はモノマー及びポリマーを含む任意の他の混合物等の炭化水素の相又は炭化水素の混合物は、重要な熱力学的特性である。混合物の相は、固体、気体、液体、又は超臨界流体のいずれかになり得る。本願発明の範囲において、超臨界流体相は時に、単に流体相で示される。臨界温度又は疑似臨界温度を超えた温度かつ臨界圧力又は疑似臨界圧力を超えた圧力である場合に、混合物は超臨界流体相にあると決定される。
【0014】
混合物の温度、圧力、及び/又は組成物の変化の効力により混合物の相が変化する場合、相境線を超えた(cross)と言える。前記境線は、曲線が特定の組成物の混合物に適用する、温度−圧力略図上の点(曲線)の軌跡として示される。本願発明の範囲において、流体相及び液体相間の前記相境線は、流体−液体相境線と呼ばれ、前記境線を超える温度又は圧力の転移は、流体−液体転移と示される。本願発明の範囲において、単均質流体及び二流体(流体−流体)相間の相境線は、曇り点曲線と呼ばれる。均質単流体(液体又は超臨界流体)混合物が曇り点を越える場合、前記混合物は異なる密度及び組成物の二相へ変換される。曇り点曲線上の特定の点は、曇り点圧力により示される。前記曇り点圧力は、J. Vladimir Oliveira、C.Dariva及びJ.C.Pinto、Ind.Eng,Chem.Res.29(2000年)4627で記載されるように特定の温度で、曇り点以下は重合系が濁るような圧力として実験的に決定され得る。本願発明およびその特許請求の範囲において、曇り点は、特定の温度に対して、曇り点セルの選択した重合系を通してフォトセル上にレーザを光らせて、光散乱が急増する開始時の圧力を記録することにより測定する。図解のために、曇り点曲線の典型的な重合溶剤を図2(1バー=100kPa)に表す。
【0015】
固体及び流体間(すなわち、固体及び液体間又は固体及び超臨界流体間)の相境線は、固体−流体(又は流体相が液体の場合、固体−液体)相境線と呼ばれる。固体−流体(又は固体−液体)相境線を超えることは、固体−流体(又は固体−液体)転移と呼ばれる。固体−流体(又は固体−液体)相境線上の一点は、固体−流体(又は固体−液体)転移温度として示される。しかしながら、本開示で示される混合物の多くは、相変化の方向に依存した、2の異なる固体−流体(又は固体−液体)相境線を示す。一方は、融解に用いられ、すなわち、相変化の方向が固体から又は固体−流体混合物から固体のない流体相(1以上の液体又は、超臨界流体相)への場合であり、他方は、結晶化に用いられ、すなわち、相変化の方向が無固体流体(1以上の液体又は、超臨界流体)相から固体相を含む相への場合である。前記2種類の転移間で区別する必要がある場合、融解及び結晶化の語が使用され、相境線上の一点は、融解温度又は結晶化温度として示される。本願発明およびその特許請求の範囲において、固体−流体(又は固体−液体)及び流体−固体(又は液体−固体)相転移は、特定の温度に対して、セルの選択した重合溶剤を通してフォトセル上にヘリウムレーザを光らせて、(特定の圧力での)固体相の形成(結晶化)を示す光散乱が急増する開始時の温度又は(特定の圧力での)固体相の消失(融解)を示す光散乱が急減する開始時の温度を記録することにより、決定される。図解のために、典型的な重合溶剤における結晶化の種類及び融解の種類の両方の固体−流体(固体−超臨界流体又は、固体−液体)相境線を図2に示す。
【0016】
相密度
上述のように、相境線の測定値は、J. Vladimir Oliveira、C.Dariva及びJ.C.Pinto、Ind.Eng,Chem.Res.29(2000年)4627で記載される実験方法を用いた、特定の組成物混合物に用いられる多様な温度での複数の曇り点圧力測定により決定される。当該相境線データは、状態方程式(Equation of State、EOS)モデルに適合するよう使用され、個々の相の熱力学的特性及び物理的特性、すなわち、1の温度及び圧力の範囲における流体、液体、固体、及び/又は気体が予測される。本願発明を支持する実験研究において、SAFT1(H.Adidharma、M.Radosz、Ind.&Eng.Chem.Res.37(1998年)4453)と呼ばれる統計関連流体理論(Statistically Associating Fluid Theory、SAFT)EOSの1バージョンが目的のために使用されてきた。相分離実験が高温及び高圧で行われるために、複数相の混合物中の個々の相をサンプルし、それらの組成物又は物理的特性を決定することは通常非現実的である。従って、これらの相の予測された特性は、本願発明の支持において、直接的に測定された測定値の代わりに使用されてきた。当該アプローチは、パイロット設備及び商業用設備からの物質収支が、SAFT1 EOS予測をバリデートするために使用される他の事例において有効とされてきた。一例として、米国特許第6,881,800号及び米国特許第7,163,989号で記載される、本願発明といくらか同等のポリマー、モノマー、及び触媒を含むが比較的多量のアルカン溶媒を重合溶剤に含み、本願発明より低い圧力で作動される、重合系及び液体−液体分離系のSAFT1 EOSモデルが物質収支の前記種類により有効とされてきた。
【0017】
スピノーダル分解
例えば重合溶剤等の混合物の相境線は、図2で図解される一定の組成物混合物における温度−圧力(T、P)略図として示され得る。又は、前記相境線は一定の圧力で混合物における(図1のビノーダル曲線により概念的に図解されるような)T,c略図、又は一定の温度で混合物におけるP、c略図として示され得る。ここで記号cは、組成物を示すために使用される。複数成分の混合物において、前記組成物は、組成物変数Ciの連続により指定される。ここで、iは、混合物中の各成分を示すが、2変数の混合物において、単一変数cは、組成物を適当に示す。一般的に、本願発明の重合溶剤は、複数成分の混合物であるが、今日の我々の図解の目的において、重合溶剤がポリマーの2変数混合物及び単一低分子量炭化水素であるという考えにより失われる一般論はなく、前記組成物変数cがポリマー濃度を示すために取得され得る。一例として、図1で表されるような、Tで表される相境線、定数Pにあるcを取得した場合、流体−液体相境線は曲線(当該技術分野において、以下の用語が一般的に用いられ、我々は前記曲線をビノーダル曲線と指定している)で現れる。この場合、温度の最小値(この値は、より低い臨界溶液温度(Lower Critical Solution Temperature)又はLCSTとも一般的に呼ばれる)は、臨界ポリマー濃度(Ccrit)と呼ばれる濃度である。二相(流体−液体)相境線を表す当該ビノーダル曲線は、単相重合溶剤が高濃度モノマー及び高濃度ポリマー相の二相混合物と平衡となる点の軌跡である。Tでの水平線により表される任意の特定の温度及び圧力において、重合溶剤と平衡にある二混合物組成物があり、従ってお互いに平衡であることは、図1から明らかである。前記混合物組成物の一は高濃度モノマー組成物であり、他は高濃度ポリマー組成物(前記二組成物は図1上でc’及びc’’で示される)である。図1の下位は、T(全ての他のT値において、同様の曲線が構成され得ることに留意されたい)と同等の温度におけるc関数としての2変数混合物の化学ポテンシャル(Δμ)を表す曲線を図解する。また、二混合物が平衡であることにおいてそれらの化学ポテンシャルが同等であることから、Δμ(c’)=Δμ(c’’)であることに留意されたい。当該曲線上の他のc値について、当該他の組成物はc’及びc’’で平衡ではないことから、Δμは他の値であると見なされる。当該Δμ曲線に沿って、組成物に関してΔμの第一導関数はゼロである(∂Δμ/∂c=0)という、2つの他の特有な点がある。これは、図1中の図式構造で図解されるように、スピノーダル境線を定義する熱力学的基準(thermodynamic criterium)である。前記スピノーダル境線上又は境線内の組成物において、高濃度モノマー相及び高濃度ポリマー相の前記組成物は、平衡状態とは十分に異なり、二相のうちの一方が他方の相の隣接部分中に溶滴として分散している形態よりはむしろ共に連続した形態を形成する傾向のある、熱力学的に不安定な二相混合物を形成する。図1中の斜交平行領域内において、前記混合物は、二相のうちの一方が他方の相の隣接部分中に分散している形態を形成する傾向がある。重合溶剤中のポリマー濃度がCcritより高い場合、高濃度ポリマー相は連続的であり、重合溶剤中のポリマー濃度がCcritより低い場合、高濃度モノマー相は連続的である。本願発明に係る多くの実施形態において、当該重合溶剤は、熱力学的状態(T、P、c)が図1上のビノーダル境線の外側の単相領域内に位置するような単相流体である。スピノーダル分解の過程は、温度又は圧力の急激な変化が生じ、系の熱力学的状態がビノーダル境線及びスピノーダル境線の両方からスピノーダル境線の内側の点に渡って移動する過程を示す。当該変化が所望の共に連続的な形態を生成するのに有効な場合において、系の熱力学的状態がビノーダル境線及びスピノーダル境線間の領域(図1の斜交平行領域内)に存在する時間は、所望でない形態が形成されるまでの十分な時間がない程短い。当該基準を満たす具体的な時間は、各重合溶剤に対して実験的に決定される。スピノーダル境線も図2で図解されるように、定数組成物で圧力対温度をプロットした相略図で表され得る。当該概要の全取り扱いは、文献「低エネルギー溶媒分離方法(A Low−Energy Solvent Separation Method)」、T.G.Gutowski他、ポリマー工学及び科学(Polymer Engineering and Science)、1983年3月、v.23、No.4で見られる。
【0018】
「高濃度モノマー相」又は、「高濃度モノマーストリーム」の語は、当該方法中のストリーム又はアップストリーム設備内で存在するモノマーを濃縮する相又はストリームを意味するとと定義される。例えば、本開示の相分離器における前記高濃度モノマー相は、反応器又はその流出物中に存在したモノマーを濃縮する。本開示の相分離器から流出した高濃度モノマーストリームは、反応器流出物中に存在するモノマーより高濃度のモノマーを含む。特に、前記高濃度モノマーストリームは、反応器の流出口で流出物中に存在するモノマーの濃度と比べて少なくとも10%多く、好ましくは少なくとも20%多く、好ましくは少なくとも30%多く、好ましくは少なくとも40%多く、好ましくは少なくとも50%多く、未反応のモノマーを有する。同様に、「高濃度ポリマー相」又は「高濃度ポリマーストリーム」の語は、方法中のストリーム又はアップストリーム設備内で存在するポリマーを濃縮する相又はストリームを意味すると定義される。例えば、本開示の相分離器における前記高濃度ポリマー相は、反応器又はその流出物中に存在したポリマーを濃縮する。本開示の相分離器から流出した高濃度ポリマーストリームは、流出物中に存在するポリマーより高濃度のポリマーを含む。特に、前記高濃度ポリマーストリームは、反応器の流出口で流出物中に存在するポリマーの濃度と比べて少なくとも10%多く、好ましくは少なくとも20%多く、好ましくは少なくとも30%多く、好ましくは少なくとも40%多く、好ましくは少なくとも50%多く、ポリマーを有する。本開示の図4はさらに、高濃度モノマー相及び高濃度ポリマー相及びそれらのストリームの意義を図解している。
【0019】
重合系
より高級なα−オレフィン又はより高級なアルファ−オレフィンは4以上の炭素原子を有するアルファ−オレフィンと定義される。
【0020】
重合は、例えば同質重合(homopolymerization)及び共重合等の任意の重合反応を含むと定義される。
【0021】
共重合は、2以上のモノマーの任意の重合反応を含むと定義される。
【0022】
ポリマーがオレフィンを含むと見なされる場合、ポリマー中に存在するオレフィンはオレフィンの重合形成である。
【0023】
触媒系は1以上の触媒前駆体化合物(触媒又は触媒化合物とも呼ばれる)及び1以上の活性剤の組み合わせであると定義される。触媒系の任意の部位は、任意で固体粒子上に支持され得る。この場合、前記支持は触媒系の一部でもある。
【0024】
重合系は、モノマーかつコモノマーかつポリマーかつ任意の不活性溶媒/希釈剤かつ任意のスカベンジャーを含む反応系と定義される。便宜上の理由及び明瞭性のため、触媒系は常に、反応系中に存在する他の成分とは別個の議論として取り扱われる。この点において、ここでの重合系は、典型的に重合系の一部として触媒系が考慮される重合の当該技術分野における慣習より狭く定義される。今日の定義において、重合反応器及びその流出物に存在する混合物は、重合系かつ触媒系から成る。
【0025】
重合溶剤は、未反応モノマーかつコモノマーかつポリマーかつ任意の不活性溶媒/希釈剤かつ触媒残渣かつ任意のスカベンジャーを含む重合系からの流出物混合物として定義される。特別言及されない限り、重合溶剤の温度及び圧力は、重合系の温度及び圧力と同等とみなされる。
【0026】
本願発明の範囲において、溶媒及び希釈剤の語は同様の意味で用いられ、重合系中の不活性成分、すなわち、重合系中の反応を受けない成分として定義される。
【0027】
流体の語は、液体状態又は超臨界状態にある物質を表す。
【0028】
高密度流体は、300kg/mより高い密度の液体状態又は超臨界状態にある流体溶剤として定義される。
【0029】
均質重合系は、分子レベルで分散及び混合された全ての成分を含む。我々の議論において、均質重合系は、単密度相、すなわち液体相又は(超臨界)流体相のいずれかの相中にある。我々の重合系の定義において、触媒系は含まれず、従って前記触媒系は、重合系中に均質に溶解され得るか、又は溶解され得ないことを留意されたい。均質系は、濃度勾配のある領域を有するが、当該系内で組成物のマイクロメーターレベルの急で非連続的な変化はないものとする。1以上の相に分配する場合、重合系は均質ではなく、不均質系と呼ばれる。
【0030】
以下の略語において、Meはメチルと、Phはフェニルと、Etはエチルと、Prはプロピルと、iPrはイソプロピルと、n−Prは直鎖プロピルと、Buはブチルと、iBuはイソブチルと、tBuは三級ブチルと、p−tBuはパラ三級ブチルと、TMSはトリメチルシリルと、TIBAはトリイソブチルアルミニウムと、MAOはメチルアルミノキサンと、pMeはパラメチルと、fluはフルオレニルと、cpはシクロペンタジエニルと定義される。
【0031】
連続的とは、中断又は中止なく作動する系を意味する。例えば、ポリマーの連続的製造方法は、反応物質が1以上の反応器へ連続的に導入される方法であり、ポリマー生成物は連続的に回収される。
【0032】
スラリー重合は、少なくとも1の付加的な相を含む重合溶剤中に(例えば、粒状の)固体ポリマー相が形成される重合方法を示す。重合溶剤中の付加的な相は気体相、液体相、(超臨界)流体相、液体/液体相又は流体/液体相を含む。前記重合溶剤が気体相及び液体相から成る場合、前記ポリマーは液体相中に存在する。
【0033】
溶液重合は、ポリマーが液体重合溶剤又は(超臨界)流体重合溶剤中に溶解されている重合方法を示し、前記重合溶剤が未反応モノマー、1以上の不活性溶媒、又はそれらの配合物を含み得る。溶液重合は均質重合系を含む。
【0034】
超臨界重合は、重合溶剤が超臨界流体相である重合方法を示す。
【0035】
バルク重合は、流体重合系が40重量%未満の不活性溶媒又は希釈剤を含む重合方法を示す。好ましくは前記バルク重合が30重量%未満、又は、20重量%未満、又は、10重量%未満、又は、5重量%未満、又は、1重量%未満の不活性溶媒又は、希釈剤を含む。前記生成物ポリマーは重合溶剤中に溶解され得るか、又は、スラリー重合と同様に分離固体相の形態と成り得る。当該用語において、固体ポリマー粒子状物質が40重量%未満の不活性溶媒又は希釈剤を含む液体重合溶剤又は流体重合溶剤を形成するスラリー重合溶剤は、バルクスラリー重合方法又はバルク不均質重合方法として示される。重合生成物が40重量%未満の不活性溶媒又は希釈剤を含む液体相重合溶剤又は流体相重合溶剤中に溶解される前記重合方法は、バルク均質重合方法として示される。重合生成物が40重量%未満(好ましくは30重量%未満、又は、20重量%未満、又は、10重量%未満、又は、5重量%未満、又は、1重量%未満)の不活性溶媒又は希釈剤を含む液体相重合溶剤又は流体相重合溶剤中に溶解される前記重合方法は、バルク溶液重合方法として示される。重合生成物が40重量%未満(好ましくは30重量%未満、又は、20重量%未満、又は、10重量%未満、又は、5重量%未満、又は、1重量%未満)の不活性溶媒又は希釈剤を含む(超臨界)流体重合溶剤中に溶解される前記重合方法は、バルク均質超臨界重合方法として示される。
【0036】
均質超臨界重合は、例えば超臨界スラリー方法等の不均質超臨界重合とは区別されるべきである。後者は超臨界流体相で実施されるが、重合溶剤中の固体ポリマー粒子状物質から成る第二の相を形成する。同様に、バルク均質超臨界重合はバルク溶液重合とは区別されるべきである。後者は(超臨界)流体重合溶剤中とは対照的に液体中で実施される。
【0037】
ポリマーの結晶化温度及び融解温度は、TA Instruments 2920 DSCを用いた示差走査熱量測定法(Differential Scanning Calorimetry、DSC)を使用して測定される。10mgの成形ポリマー又は、可塑化ポリマーはアルミニウムパン中にシールされ、室温で機器に装入される。融解温度より少なくとも30℃高い温度、典型的には10℃/分の加熱速度で、ポリプロピレンに対し220℃でサンプルを熱することにより融解データ(第一熱)が得られる。サンプルは当該温度で少なくとも5分放置され、熱史(thermal history)を無効にさせる。結晶化データは、冷却速度20℃/分でサンプルを融解から少なくとも50℃低い結晶化温度、典型的にはポリプロピレンに対して−50℃で冷却することにより得られる。サンプルは、当該温度で少なくとも5分放置され、最後に10℃/分で加熱され、付加的な融解データ(第二熱)を得る。吸熱融解転移(第一熱及び第二熱)及び発熱結晶化転移は転移温度及びピーク温度の開始時に解析される。報告される融解温度は特に特定されない限り、第二熱からのピーク融解温度である。複数のピークを表示するポリマーにおいて、融解点(又は融解温度)は、DSC融解軌跡からのピーク融解温度(すなわち、当該温度範囲における最大の吸熱熱量測定反応と関連した)として定義される。同様に、結晶化温度は、DSC結晶化軌跡からピーク結晶化温度(すなわち、当該温度範囲における最大の発熱熱量測定反応と関連した)として定義される。DSC曲線の下側部分は、転移熱(融合熱、H、融解時(upon melting)又は結晶化熱、Hc、結晶化時(upon crystalization))を決定するのに使用される。
【0038】
本願発明は反応溶剤のより低い分子量成分からポリマーを経済的に分離し、重合系、好ましくは国際公開番号WO2004/026921で記載される重合系へ回収する方法に関連する。国際公開番号WO2004/026921で記載される重合方法は、重合系において、重合系の固体−液体転移温度より高温かつ重合系の曇り点圧力より10MPa低い圧力以上の圧力かつ200MPa未満で、3以上の炭素原子を有するオレフィンモノマー、及び任意で広範囲のオレフィンコモノマー及び/又はジオレフィンコモノマーと、1以上のメタロセン触媒化合物、1以上の活性剤及び任意の不活性希釈剤又は溶媒とを接触させる工程を含む。重合反応器由来の流出物、すなわち、重合溶剤は、存在する未反応モノマー及び任意のコモノマー、任意の希釈剤又は溶媒、及びポリマー生成物を含む。本願発明において、上述の重合工程から流出した重合溶剤は、圧力降下装置へ送られ、任意で予熱される。前記圧力降下装置は流体−液体相分離器の注入口に位置する。圧力降下装置は急速に重合溶剤の圧力を曇り点圧力より低圧に下げ、高濃度ポリマー相及び高濃度モノマー相を含む二相混合物を形成する。好ましい重合溶剤の前記温度は重合溶剤中のポリマー結晶化温度より高温である。前記高濃度モノマー相及び高濃度ポリマー相は流体−液体相分離器中で重力沈降により分離され、分離された高濃度モノマー相は最小限の工程で重合系に再利用される。
【0039】
(好ましくは曇り点圧力より低圧へ、かつポリマーの結晶化温度より高温、好都合に、結晶化温度より少なくとも10℃高温、又は、結晶化温度より少なくとも20℃高温、又は、結晶化温度より少なくとも50℃高温、又は、もしポリマーが結晶化温度を有さない場合、80℃より高温、好ましくは90℃より高温、好ましくは100℃より高温で)降下された後の重合溶剤中における高濃度モノマー相及び高濃度ポリマー相は通常、有意に異なる密度を有する。2つの密度の違いは通常、0.2g/mL以上、あるいは0.3g/mL以上、又は、0.4g/mL以上、又は、0.5g/mL以上、又は、0.6g/mL以上である。有用な実施形態において、ポリマーは相分離器から流出するまで溶液又は融解された状態で保たれる。好ましい実施形態において、反応器中(又は1以上の反応器が使用されている場合に少なくとも1の反応器中)の前記圧力は、分離容器(例えば高圧力分離器)中の圧力より7乃至100MPa、好ましくは15乃至75MPa及び25乃至50MPa高圧である。
【0040】
前記方法の一実施形態において、不活性溶媒を含まないことが好ましい前記重合系は、重合溶剤の結晶化温度より高温かつ重合溶剤の曇り点圧力より高圧で高濃度プロピレンポリマーを製造する。当該単相重合溶剤はさらに加熱されることなく、降下バルブ等の圧力減少装置へ送られる。圧力減少装置は急速に重合溶剤の圧力を通常2MPa/sec以上(好ましくは6MPa/sec以上)の速度で重合溶剤の曇り点圧力より低圧(さらに通常スピノーダル境線での圧力より低圧)に減少させ、高濃度ポリマー相及び高濃度モノマー相を含む二相混合物を形成する。高速での圧力降下の直接的な結果として、高濃度モノマー相及び高濃度ポリマー相は、容易に流体−液体相分離器中で重力沈降により分離され、分離された高濃度モノマー相は重合系へ、最小限の工程で再利用される。前記最小限の工程は任意で、ストリームの冷却、ストリームからの水素の除去、沈殿する任意の低分子量ポリマーの除去及び/又は乾燥剤ベッド上でのストリームの乾燥を含む。高濃度ポリマー相は残存する任意の未反応モノマー又は他の揮発性成分の除去のため、揮発分除去(devolatization)系へ送られる。
【0041】
特に、本明細書で開示される方法は、重合方法がバルク均質超臨界重合方法(例えば国際公開番号WO2004/026921の重合方法)であり、またポリマー生成物が例えば超臨界ポリプロピレン重合(SCPP)等の任意のコモノマーを有する主要のモノマーとしてプロピレンを有する実施形態における、重合溶剤の低分子量成分からポリマーを分離するための効果的な経路及びの高濃度モノマー再利用ストリーム中の低分子量成分を再利用するための効果的な経路を提供する。下記で詳述するように、モノマー及びポリマーの効果的分離は、関連のあるオレフィン又はオレフィン混合物、例えばポリプロピレン−プロピレン、ポリ(プロピレン−エチレン)−プロピレン−エチレン等の混合物において曇り点及び固体−液体相関係を好都合に利用することで達成される。
【0042】
好ましい実施形態において、本願発明は、国際公開番号WO2004/026921の発明で記載される任意の重合系に由来する重合溶剤を高濃度モノマー相及び高濃度ポリマー相に分離する方法、及びその後の揮発分除去方法でポリマーを回収する方法、及び経済的及び効果的方法で最小限の工程を用いて再度重合工程へ高濃度モノマー相を再利用する方法、それにより上述の重合工程の商業的な実施における最低限の実施設備及び運転費用を達成する方法に関する。当該重合方法に由来する重合溶剤は超臨界流体状態にあり、単一超臨界流体相又は二相流体−流体混合物又は流体−液体混合物から成り得る。重合溶剤の低分子量成分は重合の未反応モノマーのみを含み得るか、又は、任意で40重量%以下の濃度の不活性溶媒を含み得る。また、重合溶剤のポリマー成分は、単一ポリマー又は二以上ポリマー(例えば国際公開番号WO2004/20691に開示されるポリマー等)配合物のいずれかを含み得る。好ましい方法は一連の順次的な工程を含む、(a)曇り点圧力より低圧で、高濃度モノマー相の完全又は部分的な気化を避けるのに十分な高さの圧力へ圧力減少装置を経た重合溶剤の圧力を減少する工程であって、結果として、より低い密度の高濃度モノマー相及びより高い密度の高濃度ポリマー相の二相混合物を形成する工程、(b)圧力減少装置から流出した二相の流体−流体混合物又は流体−液体混合物を十分な滞留時間(典型的には1分以上、好ましくは1乃至30分間)、より好ましくは1乃至15分間、を提供するのに十分なサイズを有するよう設計された重力沈降装置へ移転する工程であって、二相を上層(高濃度モノマー相)及び下層(高濃度ポリマー相)へ離し、設置する工程、(c)高濃度ポリマー相をカスケードの絶えず減少する圧力を有するフラッシュ容器へ移転する工程であって、高濃度ポリマー相から徐々に残存するモノマー及び溶媒を回収する工程。前記容器は断熱的に作動され得るか、又はそれらのうちの一以上は、加熱溶剤を用いてポリマー溶液を加熱し、ポリマー中の残余揮発性物質を減少する。(d)高濃度モノマー相を追加の工程なしに重合供給体系に直接再利用する工程。当該一連の工程は、国際公開番号WO2004/02691の重合方法の全てのバージョンを含み、ポリマーを回収し、また高濃度モノマー相を再利用するのに必要な最小限数の工程のみを含む。これらの工程は、1)任意の工程を追加する、2)最適な範囲に作動条件を制限する、及び3)重合溶剤自体の組成物を制限することにより修飾され得る。各々については以下に議論する。
【0043】
任意の工程段階の付加
高濃度モノマー相との熱変換(すなわち、熱統合−以下参照)を含み得る加熱工程(以下の項を参照)であって、固体−液体相分離が流体−液体相分離器(高圧力分離器又はHPSとも呼ばれる)内又はアップストリームで起こることを防ぐのに十分な高さの温度に重合溶剤の温度を上昇させる工程である。さらに、前記加熱工程は圧力を圧力減少装置(降下バルブ)を通して減少させた場合に、高濃度モノマー相及び高濃度ポリマー相への重合溶剤の効果的分離が、高濃度モノマー相の完全な又は部分的な気化を防ぐのに十分な高さの圧力で起こり得るような圧力となるのに十分な高さの温度である。
【0044】
以下で記載される触媒停止工程。当該工程は任意で高濃度モノマー相再利用ストリームを乾燥する乾燥剤の使用を含む。
【0045】
以下に記載される水素除去は、すなわち、単一又は複数段階のフラッシュ容器、分別塔、又は、水素化ベッドを含み得るが、それらに限定されない。水素の除去に用いられる処理は、高濃度モノマー再利用ストリームの全体へ、又は、水素除去の必要条件が可能な場合に高濃度モノマー再利用ストリームの一部のみ、又は、スリップ−ストリームへ適用され得る。
【0046】
高濃度モノマー相の温度が重合系供給体の温度を超える場合に用いられる温度への高濃度モノマー相の冷却。当該工程は、冷却で高濃度モノマー相から沈殿するポリマーを移すためにノックアウトポット又はろ過と組み合わされ得る。当該工程についての詳細は以下を参照にされたい。
【0047】
作用条件の制限
相分離温度は、特に、任意で加熱が用いられる系へと修飾され得、したがって、温度制限は上述に加え、加熱工程が組み合わせれる。加熱器を用いた場合の温度範囲を狭める方法は、以下で概要を述べる。
【0048】
相分離圧力は、可能な最も高圧(曇り)点圧力と可能な最も低圧(高濃度モノマー相の完全な又は部分的な気化が起こる圧力)との間の最適な範囲を定義する目的に基づいて修飾され得る。第一の修飾は、スピノーダル境線の圧力に曇り点圧力が置換され、続く修飾は、徐々にスピノーダル境線より低い圧力の最高値、及び徐々気体圧力(高濃度モノマー相の完全な又は部分的な気化)より高い圧力の最低値を設定することで範囲を狭めることが可能である。これらの概要は、以下に図解される。圧力を最適化する利点は、生成物回収系及び高濃度モノマー相再利用系の全費用を最小化することにある。より高い圧力は生成物回収(フラッシュオフに多くのモノマーを必要とする)の費用を上げるが、高濃度モノマー相再利用の費用を下げる(より少ないポンプ、冷却費用を必要とする)。
【0049】
相分離を促進するためのスピノーダル分解の使用は、以下で概要を述べるような、分離圧力(上述の通り)及び圧力減少装置による圧力の減少率の両方における修飾の設定を含む。スピノーダル分解の利点は、圧力減少装置のダウンストリームへの二相のより早い遊離であって、従ってHPS容器の開発費用を抑える。
【0050】
高濃度モノマー相及び高濃度ポリマー相の密度の差は、分離圧力に関連し、以下の項で議論される。相密度差の範囲はHPS容器のより早い沈降や開発費用の節約と言った要求される利点から選択される。
【0051】
重合溶剤組成物の制限
重合溶剤はおよそ不活性溶媒含有量で修飾され得る。しかしながら、溶媒がないことが好ましい、すなわち、ポリマーが未反応モノマーの混合物中にある溶液内である場合が好ましい。
【0052】
重合溶剤はさらに、所望のポリマーが高濃度プロピレンポリマーであり、主要モノマー(すなわち、50モル%より多い)がプロピレンである、ポリマーの種類でおよそ修飾され得る。好ましい実施形態において、バルク液体スラリー工程中で作られることが出来ない低密度(0.915g/cm以下)ポリマーが本明細書で製造される。
【0053】
重合溶剤はさらに、単相超臨界流体の熱力学的状態へ修飾され得る。これらの3つの修飾を組み合わせることのにより、SCPPに関連した特に好ましい実施形態を可能とし、当該実施形態は相分離温度及び圧力の修飾と組み合わされ得、非常に正確なコントロールを可能とする。
【0054】
触媒系
本明細書で記載される方法は、本明細書で開示されるモノマーの重合を可能とする任意の重合触媒(触媒系(すなわち、触媒化合物(触媒前駆体としても示される)及び任意で共活性剤及び/又はスカベンジャーと用いる活性剤)とも呼ばれる)を、触媒系が本明細書で開示される重合条件下で十分に活性である場合に使用し得る。従って、グループ−3−10遷移金属は適した重合触媒を形成し得る。適したオレフィン重合触媒化合物はアルケニル不飽和物と配位又は結合することが出来る。典型的なオレフィン重合触媒化合物は、チーグラー・ナッタ(Ziegler Natta)触媒化合物、メタロセン触媒化合物、及び他の非メタロセン触媒化合物を含むが、それらに限られない。典型的な活性剤は、例えばメチルアルモキサン等のアルモキサン及び例えば非配位性アニオン等のイオン化活性剤を含むが、それらに限られない。有用な非配位性アニオンはホウ酸トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)、ホウ酸N、N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)、ホウ酸トリフェニルカルベニウムテトラ(ペルフルオロフェニル)、及びホウ酸N、N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペルフルオロフェニル)を含む。有用なアルモキサンは例えば、Akzo−Nobel Corporation等の商業的発信元から入手し得、メチルアルモキサン、MMA0−3A、MMAO−12、及びPMAO−IPを含む。アルモキサンの組み合わせ、非配位性アニオン活性剤の組み合わせ、及びアルモキサン及び非配位性アニオン活性剤の組み合わせが本願発明の実施に使用され得る。
【0055】
超臨界重合条件を利用する場合、例えばメタロセン系触媒及び他の単一サイトの同種触媒化合物等の同種重合触媒は効果的となり得る。例えば、超臨界条件下でプロピレンを重合する場合、特に有用なメタロセン触媒及び非メタロセン触媒化合物が米国特許シリアルナンバー10/667,585及び米国特許第2006−0293474号で開示され、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
本明細書で有用な好ましい触媒及び活性剤化合物及びそれらの組み合わせは、国際公開番号WO2004/026921の21ページ乃至85ページで記載される。本明細書で有用な特に好ましい触媒化合物は、国際公開番号WO2004/026921の29ページ、第[0101]段落から66ページ、第4行目で記載される。本明細書で有用な好ましい活性剤化合物は、国際公開番号WO2004/026921の77乃至78ページ、第[00135]段落で記載されるものを含む。本明細書で有用な他の触媒化合物及び活性剤のグループ(例えば1以上の活性剤、及び、金属が元素周期表でグループ4、5、6、ランタニド系列、又はアクチニド系列から選ばれる1以上の非メタロセン金属が中心に位置する、ヘテロアリールリガンド触媒化合物を含む触媒系等)は、2007年3月6日付で出願された11/714,546で開示される。このような触媒化合物は、国際公開番号WO03/040095、WO03/040201、WO03/040202、WO03/040233、WO03/040442、及び米国特許第7,087,690号でもより詳細に記載される。
【0057】
さらに本明細書で有用な触媒化合物及び系は、米国特許第6,897,276号、米国特許第7,091,292号、国際公開番号WO2006/066126、高処理能力スクリーニング技術を用いて開発した溶液中のアイソタクチックプロペン重合に用いる非従来的触媒(Nonconventional catalysts for isotactic propene polymerization in solution developed by using high−throughput−screening technologies)、Boussie、Thomas R.他、Angewandte Chemie、国際版(2006年)、45(20)、3278ページ乃至3283ページで開示されるものを含む。
【0058】
特に有用な触媒は、rac−ジメチルシリル−ビス−(5、6、7、8−テトラハイドロ−5、5、8、8−テトラメチル−2−メチル−1H−ベンゾ(f)インデン)ハフニウムジメチル、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(ドデシルアミド)チタニウムジメチル、1、l’−ビス(4−トリエチルシリルフェニル)メチレン−(シクロペンタジエニル)(2、7−ジ−三級−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(テトラハイドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−5、7−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−エチル−5−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、及びジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオロエニル)ハフニウムジメチルを含む。有用な触媒は、上記で指定されたジアルキル(例えばジメチル)アナログの任意のジハライド触媒も含む。
【0059】
特に有用なメタロセン化合物は、MeSi−ビス(2−R、4−Phl−インデニル)MXを含む。ここで、Rはアルキルグループ(例えばメチル)、Phlはフェニル又は置換されたフェニル、MはHf、Zr又はTi、及びXはハロゲン又はアルキルグループ(例えばCl又はメチル)である。特に有用なメタロセン化合物は、ジメチルシリル−ビス(2−メチル、4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジメチル(又はジクロリド)、ジメチルシリル−ビス(2−メチル、4−(3’、5’−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデニル)ジルコニウムジメチル(又はジクロリド)、ジメチルシリル−ビス(2−メチル、4−ナフチル−インデニル)ジルコニウムジメチル(又はジクロリド)、及びジメチルシリル−ビス(2−メチル、4−(3’、5’−ジ−t−ブチル−ナフチル)−インデニル)ジルコニウムジメチル(又はジクロリド)を含む。
【0060】
好ましい実施形態において、本明細書で使用される前記触媒系は、活性剤(好ましくは、例えばホウ酸トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)、ホウ酸N、N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)、ホウ酸トリフェニルカルベニウムテトラ(ペルフルオロフェニル)、又は、ホウ酸N、N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペルフルオロフェニル)等の非配位性アニオン)及び以下の式で示される触媒化合物を含む。
【化1】

【0061】
ここでMは、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタラム、クロミウム、モリブデナム、又は、タングステン(好ましくはジルコニウム及び/又はハフニウム)から選ばれ、R及びRは同一か又は異なり、水素原子、C乃至C10アルキルグループ、C乃至C10アルコキシグループ、C乃至C10アリールグループ、C乃至C10アリールオキシグループ、C乃至C10アルケニルグループ、C乃至C40アルケニルグループ、C乃至C40アリールアルキルグループ、C乃至C40アルキルアリールグループ、C乃至C40アリールアルケニルグループ、OHグループ又はハロゲン原子、又は任意で、1以上のハイドロカルビル、トリ(ハイドロカルビル)シリルグループ又はハイドロカルビルトリ(ハイドロカルビル)シリルハイドロカルビルグループで置換された共役ジエン(好ましくはR及びRは例えばメチル又はエチル等のアルキル、又は、例えばクロリド等のハライドである。)から選択され、R乃至R12は同一か又は異なり、水素原子、ハロゲン原子、C乃至C10ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアルキルグループ、C乃至C10ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアリールグループ、C乃至C10ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアルケニルグループ、C乃至C40ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアリールアルキルグループ、C乃至C40ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアルキルアリールグループ、C乃至C40ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアリールアルケニルグループ、R’が一のハロゲン原子、C乃至C10アルキルグループ、又は、C乃至C10アリールグループである−NR’、−SR’、−OR’、−OSiR’又は−PR’ラジカルから選ばれるか、又は、二以上の隣接したラジカルR乃至Rとそれらを連結する原子と共に1以上の環(好ましくはRがメチル、エチル、又はブチル)を形成することができ、隣接したラジカルR11及びR12は、1以上の飽和又は芳香族環(好ましくはR11及びR12はフェニル環と結合し、置換された又は置換されていないナフチルグループを形成する)を形成することができ、
13は、
【化2】

【0062】
−B(R14)−、−Al(R14)−、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−N(R14)−、−CO−、−P(R14)− −P(O)(R14)−、−B(NR1415)−及び−B[N(SiR141516]−から選択され、R14、R15及びR16は個々に水素、ハロゲン、C乃至C20アルキルグループ、C乃至C30アリールグループ、C乃至C20アルコキシグループ、C乃至C20アルケニルグループ、C乃至C40アリールアルキルグループ、C乃至C40アリールアルケニルグループ及びC乃至C40アルキルアリールグループから選択されるか、又は、R14及びR15とそれらを連結する原子は環を形成し、Mは炭素、シリコン、ゲルマニウム及びスズから選択されるか、又は、R13は、以下の式として示される。
【化3】

【0063】
ここでR17乃至R24は、R及びRで定義された通りであるか、又は、R20及びR21を含め二以上隣接したラジカルR17乃至R24とそれらを連結する原子は、1以上の環を形成し、Mは炭素、シリコン、ゲルマニウム、又は、スズ(好ましくはR13はジメチルシリル又はジフェニルシリル)である。
【0064】
使用される触媒/活性剤の好ましいモル比は1:10,000乃至100:1、より好ましくは1:5000乃至10:1、最も好ましくは1:100乃至1:1の範囲である。一実施形態において、共触媒は各ハイドロカルビルグループ中で1乃至10炭素を有するトリ(ハイドロカルビル)アルミニウム化合物との組み合わせで使用されることが出来る。活性化共触媒の混合物も使用され得る。重合混合物から例えば酸素、水分、及びアルデヒド等の不純物を取り除く有益な能力から前記アルミニウム化合物を使用ことが可能である。好ましいアルミニウム化合物は、各アルキルグループで1乃至6炭素を有するトリアルキルアルミニウム化合物を含み、特に前記アルキルグループがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル又は、イソペンチルの場合のトリアルキルアルミニウム化合物である。金属錯体対アルミニウム化合物の好ましいモル比は、1:10,000乃至100:1、より好ましくは1:1000乃至10:1、最も好ましくは1:500乃至1:1である。最も好ましいボラン活性化共触媒は、強いLewis酸、特にトリ(ペンタフルオロフェニル)ボランを含む。他の実施形態において、二触媒化合物は、少なくとも一の活性剤及び共活性剤、例えばジエチル亜鉛又はトリエチルアルミニウム等と組み合わせることが出来る。
【0065】
本明細書で使用される前記触媒系、又は、任意のそれらの成分は、支持されることができ、典型的には、有機又は無機支持体上等で支持される。適した支持体は、シリカ、アルミナ、クレイ、ゼオライト、マグネシウムクロリド、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ペプチド等を含む。重合支持体は、架橋されるか、又は架橋されないことが出来る。好ましい支持体はシリカ及びヒュームド・シリカを含む。
【0066】
本明細書で記載される方法は通常、例えばプロピレン系ポリマー等のC3又はより高級なオレフィンのポリマーを調製するのに使用される。好ましいポリマーは、0乃至50モル%のコモノマー(好ましくは0.5乃至25モル%、好ましくは1乃至15モル%、好ましくは2乃至10モル%)を有するポリプロピレンを含み、前記コモノマーは、エチレン及び直鎖の、分鎖の又は、環状のC4乃至C30のオレフィン、好ましくはアルファオレフィンから成るグループから選択される。好ましいコモノマーは、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、ノルボルネン、3、5、5、−トリメチルヘキセン−1、スチレン、パラメチルスチレン、4−メチルペンテン−1、ジシクロペンタジエン等を含む。ジエンは唯一のコモノマーとして、又は、テル−又はテトラ−モノマーとして使用されることも出来る。有用なジエンは、ノルボルナジエン、ヘキサジエン、ブタジエン、オクタジエン、又は、任意の他のC4乃至C30の直鎖、分鎖又は、環状ジエンを含む。
【0067】
好ましいモノマー、コモノマー、溶媒及び希釈剤の重合溶剤は、55乃至100重量%プロピレンモノマーを含み、0乃至45重量%のコモノマー混合物が、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、4−メチルペンテン−1、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、C4乃至C2000α−オレフィン、C4乃至C2000α,内部ジオレフィン、及びC4乃至C2000α,ω−ジオレフィンから選択される少なくとも一のコモノマーを含み、前記コモノマーがエチレンである場合、0乃至20重量%(反応器内のモノマー及びコモノマーの重量を基に)で存在するように提供される。あるいは、C3又はより高級なモノマー(好ましくはプロピレン)は、40重量%以上(反応器内のモノマー及びコモノマーの重量を基に[あるいは、重合系の重量を基に40重量%以上])で存在し、前記コモノマーは、0乃至50モル%コモノマー(好ましくは1乃至45モル%)(モノマー供給体及びコモノマー供給体の組み合わせを基に、コモノマーがエチレンである場合、0.5乃至20モル%で存在する。)(あるいは、重合系の重量を基に0乃至50重量%で存在し、コモノマーがエチレンである場合、0.5乃至20重量%で存在する。)で存在するか、又は、あるいは、反応器内のモノマー及びコモノマーの重量を基に1乃至50重量%で、コモノマーがエチレンである場合、0.5乃至20重量%で存在する。
【0068】
本願発明の方法は、連続又は並行した任意数の反応器で1以上の触媒を使用することが出来る。任意数の触媒は、本願発明に係る重合反応器セクションの任意の反応器に配置され得る。実用的な理由から、任意特定の反応器内で好ましい触媒は、5以下であり、より好ましくは、3以下である。本願発明の方法は、本願発明に係る反応器セクションの異なる個々の反応器中で、同一の又は異なる触媒又は触媒混合物を使用し得る。実用的な理由から、本願発明に係る重合方法の前記配置において触媒は10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。
【0069】
本願発明に係る方法で配置された触媒は、重合溶剤中で均質に溶解されるか、又は、反応器中で不均質固体相を形成し得る。均質に溶解された触媒による実施が好ましい。前記触媒が重合反応器中で固体相として存在する場合、支持されるか又は支持されないことが出来る。本願発明に係る方法は、重合反応器セクションの1以上の個々の反応器中に同時に存在する任意の組み合わせの均質及び不均質触媒が使用され得る。すなわち、本願発明に係る重合セクションの任意の反応器は、1以上の均質触媒及び1以上の不均質触媒を同時に含み得る。
【0070】
本願発明に係る方法は、本願発明に係る重合反応器セクション中に配置された任意の組み合わせの均質及び不均質触媒を使用出来る。これらの組み合わせは、いくつかの又は全ての反応器が単触媒を使用する場合及びいくつかの又は全ての反応器が2以上の触媒を使用する場合を含む。本願発明に係る方法で配置される1以上の触媒は、流体重合溶剤中で分散された粒子上か、又は、固定された触媒ベッド中に含まれた粒子上に支持され得る。
【0071】
支持された触媒粒子が重合溶剤中で分散された場合、当該粒子は重合生成物中に残るか、又は、重合反応器セクションのダウンストリームに位置する流体−液体分離工程中の反応器流出物から回収される前の生成物から分離し得る。触媒粒子が回収された場合、当該粒子は、分散されるか、又は、再生と共に又は再生なしに再利用されることが出来る。前記触媒は、例えば直線の又は、蛇行したチャンネル、反応器壁、内部管等を含むモノリス等の構造化支持体上に支持されることも出来る。
【0072】
触媒が支持された場合、分散された粒子を用いた実施が好ましい。触媒が分散された粒子上に支持される場合、触媒の回収をしない実施が好ましい、すなわち、前記触媒は、本願発明に係る方法の重合生成物中に残される。流体反応溶剤中に溶解された、支持されていない触媒が最も好ましい。触媒は、反応器へ任意数の方法で導入されることが出来る。例えば、触媒は、モノマー含有供給体と共に又は別個に導入されることが出来る。
【0073】
加えて、前記触媒は、一の又は複数のポートを通して反応器へ導入されることが出来る。触媒の導入に複数のポートが使用される場合、これらのポートは、反応器の長さに沿って、本質的に同一の、又は、異なる位置に置くことが出来る。触媒の導入に複数のポートが使用される場合、個々のポートを通る組成物及び触媒供給体の量は、同一又は異なることが出来る。異なるポートを通る触媒の量及び種類の調節は、例えば分子量分布、組成物、組成物分布、結晶化度等のポリマー特性の調節を可能にする。
【0074】
有用な反応器は、管状、ループ状及び/又はオートクレーブ反応器を含む。これらの反応器は、2以上が使用される場合、任意の順序で配置される。好ましい実施形態において、(同一又は異なる種類の反応器となり得る)二以上反応器は、並行に配置され、各反応器の流出物は、同一の相分離容器に導入される。好ましくは全ての反応器が高圧力で作動し、好ましくは単相(例えば超臨界相)である。好ましい実施形態において、超臨界相で作動する二の反応器(好ましくは両方の反応器が管状反応器)があり、流出物ストリームは圧力降下の前又は後に組み合わされ、当該組み合わされたストリームは、例えばミキサー等の内部攪拌手段を有するか、又は、有さない相分離容器へ導入される。
【0075】
本明細書で記載される重合は、管状反応器及びオートクレーブ(攪拌槽反応器とも呼ばれる)中で良く作用する。オートクレーブ反応器は、バッチ又は連続的モードで作動され得る。より良い生産性を提供し、生成費用を下げるために、商業的作動では連続的作動が好ましい。管状反応器は、連続的モードで作動することが好ましい。典型的には、オートクレーブ反応器は、長さ対直径の比が1:1乃至20:1(好ましくは4:1乃至20:1)で、典型的には高速(2000RPM以下)多翼攪拌器に適合する。オートクレーブの長さ対直径の比が低い(例えば4未満)場合、供給体ストリームは通常、反応器の長さに沿って1ヶ所に注入される。直径が大きい反応器は、反応器の長さに沿ってほぼ同じ位置に複数の注入ポートを有し得るが、半径方向に分布し、供給体成分と反応器含有物とのより早い混合を可能にする。攪拌槽反応器の場合、触媒の分離導入は可能であり、多くの場合に好ましい。このような導入は、反応器の混合点及び攪拌領域間の攪拌されていない供給体領域中におけるホットスポットの形成の可能性を防ぐ。反応器の長さに沿った2ヶ所以上の注入も、可能であり、時より好ましい。例えば、長さ対直径の比が約4:1乃至20:1である反応器において、好ましい反応器は、6以下の異なる注入ポイントを含むことが出来る。加えて、より大きいオートクレーブにおいて、1以上の側面固定装置は、高速攪拌器を支持する。これらの固定装置は、オートクレーブを二以上の領域に分割することも出来る。攪拌器上の混合羽根は、領域から領域で異なることができ、分離領域において、主として独立的に異なる度合いの栓流及び逆混合を可能にする。1以上の領域を有する二以上のオートクレーブは、一連のカスケードに連結され、滞留時間を増加させるか、ポリマー構造を調整することが出来る。上述の通り、連続反応器カスケードは通常、一連に連結された二以上の反応器を有し、少なくとも一のアップストリーム反応器の流出物は、カスケード中の次の反応器ダウンストリームへ供給される。アップストリームの反応器の流出物に加えて、連続カスケード中の任意の反応器の供給体は、任意の組み合わせの付加的なモノマー、触媒、又は、溶媒の新しい又は再利用された供給体ストリームと共に増加させられ得る。二以上の反応器は、並行型に配置されることも出来る。そのような並行型配置の個々の腕(arms)は、反応器トレイン(train)として示される。同様にこれらの反応器トレイン自体は、一の反応器又は連続及び並行反応器の組み合わせを設置する反応器連続カスケードを含み得る。
【0076】
管状反応器は、本明細書で開示される方法で使用されることもでき、さらに具体的に管状反応器は約350MPa以下で作動し得る。管状反応器は、外部冷却及び(管状)反応領域に沿った1以上の注入ポイントに適合される。オートクレーブと同様に、これらの注入点は、モノマー(例えばプロピレン)、1以上のコモノマー、触媒、又は、それらの混合物に用いられる入り口として仕える。低い表面積対容積の割合が任意の有意な熱除去を防ぐオートクレーブに対し、管状反応器において外部冷却は、多くの場合において、モノマー転換の増大を可能とする。管状反応器は、圧力衝撃波を管に沿って後方へ送ることが出来る特別な出口(outlet)バルブを有する。衝撃波は、作動中に反応器壁上に形成された任意のポリマー残渣を除去するのを助ける。あるいは、管状反応器は、壁堆積物に対処するため、滑らかで磨かれていない内表面を用いて製造され得る。管状反応器は通常、360Mpa以下の圧力で作動し、100乃至2000メーター又は100乃至4000メーターの長さを有し、12.5cm未満(あるいは10cm未満)の内部直径を有し得る。典型的な管状反応器は、長さ対直径の比が10:1乃至50、000:1であり、その長さに沿って、10以下の異なる注入ポイントを含み得る。
【0077】
オートクレーブと管状反応器とをつなぐ反応器トレインも発明の方法に供給され得る。この場合、オートクレーブは通常、管状反応器の前方に置かれるか、又は、二の種類の反応器は、並行した反応器配置の分離トレインを形成する。このような系は、オートクレーブ内、より具体的には管長に沿ったいくつかの箇所で付加的な触媒及び/又は供給体成分を注入し得る。
【0078】
オートクレープと管状反応器の両方において、注入の際に、供給体は、最大作動温度の限界内で最大の冷却とその結果最大のポリマー生産性を提供する周囲温度に近い温度又はその温度未満に好ましくは冷却される。オートクレープの作動において、予熱器は開始時に作動するが、最初の混合領域にいくつかの逆混合性がある場合に、反応が安定状態に達した後はその限りでない。管状反応器において、二重ジャケット(double−jacketed)の管類における最初の区分は、冷却されるよりもむしろ加熱され、連続的に作動する。有益な管状反応器は栓流によって特徴付けられる。栓流とは、最小半径流量差を有するフローパターンを意味する。複数領域のオートクレープと管状反応器の両方において、触媒は注入口のみ以外に、任意で反応器に沿った1以上のポイントで注入されることができる。注入口と他の注入ポイントで注入された触媒供給体は、含有物、密度、濃度等において同一であるか、又は異なることが出来る。異なる触媒供給体を選択することにより、ポリマーの設計の調整を可能にする。反応器の出口バルブにおいて、圧力は、臨界相分離が起こるレベル未満まで下がる。したがって、ダウンストリームの分離器は高濃度ポリマー相と低濃度ポリマー相を含み得る。通常、この分離器の条件は超臨界のままで残り、温度はポリマー生成物の結晶化温度を越えた温度で残る。オートクレープ又は管状反応器流出物は、高圧分離器(HPS)に入る時に減圧される。
【0079】
本明細書で記載される複数の反応器系のいずれかにおいて、1の反応器系のみ、超臨界状態又は固体−流体相転移圧力と温度(好ましくは流体−流体相転移圧力と温度を超えた圧力と温度)を超えた圧力と温度で作業される必要がある。しかしながら、全ての反応器系が、超臨界状態又は固体−流体相転移圧力と温度(好ましくは流体−流体相転移圧力と温度を超えた圧力と温度)を超えた圧力と温度で作業されることも出来る。
【0080】
溶剤/希釈剤
本願発明の一の実施形態は、不活性溶媒も希釈剤も含まないバルク重合溶剤からのポリマーの分離と回収である。好ましい実施形態において重合溶剤は、未反応モノマーと残渣触媒成分の混合物の中に溶解したポリマーから成る。好ましくは溶媒も希釈剤も使用されない。
【0081】
他の実施形態において、溶媒/希釈剤は、商業的に有益な生成物の生産、触媒成分の可溶化、重合溶剤の粘着性の減少、又は他の目的のために重合系で使用される。溶媒/希釈剤が使用される実施形態において、商業的に有益な生成物の生産、触媒成分の可溶化、重合溶剤の粘着性の減少の所望の効果を達成するのに必要な最小量の溶媒/希釈剤が使用される。好ましい実施形態において、重合溶剤でこれらの効果の達成に必要とされる溶媒の濃度は、0.1乃至40重量%、又は0.2乃至20重量%、又は0.3乃至10重量%、又は0.4乃至5重量%、又は0.5乃至1重量%である。
【0082】
本願発明で有益な希釈剤は、例えば、エタン、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、混合ヘキサン、イソヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の1以上のC乃至C24のアルカン類、トルエンやキシレン等の一員環芳香族化合物を含む。いくつかの実施形態において、希釈剤はこれらの希釈剤の混合物を含む。いくつかの実施形態において、好ましい希釈剤は再利用可能である。
【0083】
いくつかの実施形態において、希釈剤はC乃至C150のイソパラフィン、好ましくはC乃至C100のイソパラフィン、好ましくはC乃至C25のイソパラフィン、より好ましくはC乃至C20のイソパラフィンを含む。これらのイソパラフィンの好ましい密度(ASTM 4052、15.6/15.6℃)は0.67乃至0.83g/cmの範囲、流動点は−40℃以下、好ましくは−50℃以下であり、粘着性(ASTM 445、25℃)は25℃で0.5乃至20cStで、平均分子量は100乃至300g/molの範囲である。いくつかの適したイソパラフィンは、商号ISOPAR(エクソン・モービル・ケミカル社、ヒューストン、テキサス)として商業的に入手可能であり、例えば、米国特許第6,197,285号、第3,818,105号、および第3,439,088号で記載され、ISOPARシリーズのイソパラフィンとして商業的に販売される。また、他の適したイソパラフィンは商号SHELLSOL(シェル(shell)による)、SOLTROL(シェブロンフィリップス(Chevron Phillips)による)、およびSASOL(サソール(Sasol)株式会社による)として商業的に入手可能である。SHELLSOLは、例えばShellsol TM(沸点=215乃至260℃)等のロイヤルダッチ/シェルグループ会社(Royal Dutch/Shell Group of Companies)の製品である。SOLTROLは、例えばSOLTROL 220(沸点=233乃至280℃)等のシェブロンフィリップスケミカル社LPの製品である。SASOLは、例えばSASOL LPA−210、SASOL−47(沸点=238乃至274℃)等のサソール株式会社(ヨハネスブルグ(南アフリカ))の製品である。
【0084】
別の実施形態において、希釈剤は、0.1重量%未満、好ましくは0.01未満重量%の芳香族化合物を有するC乃至C25のn−パラフィン、好ましくはC乃至C20のn−パラフィン、好ましくはC乃至C15のn−パラフィンを含む。いくつかの適したn−パラフィンは、商号NORPAR(エクソン・モービルケミカル社、ヒューストンテキサス)として商業的に入手可能であり、n−パラフィンのNORPARシリーズとして商業的に販売される。別の実施形態において、好ましい希釈剤は、直鎖パラフィン、イソパラフィン、およびシクロパラフィンの混合物を含む脱芳香化(dearomaticized)脂肪族炭化水素を含む。それらは通常、C乃至C25の直鎖パラフィン、イソパラフィン、およびシクロパラフィンの混合物であり、好ましくはC乃至C18、好ましくはC乃至C12である。それらは非常に低いレベルの芳香族炭化水素を含み、好ましくは0.1未満、好ましくは0.01未満の芳香族化合物である。適した脱芳香化脂肪族炭化水素は、商号EXXSOL(エクソン・モービルケミカル社、ヒューストンテキサス)として商業的に入手可能であり、脱芳香化脂肪族炭化水素のEXXSOLシリーズとして商業的に販売される。
【0085】
有益な希釈剤に関する付加情報は、国際公開番号WO2004/026921の11ページ乃至13ページで見られる。
【0086】
高圧の分離器、再利用系、およびダウンストリーム処理。
【0087】
本願発明の一の実施形態において、重合は、国際公開番号WO2004/026921(例えば、重合溶剤へ用いられる曇り点圧力より高圧である)で記載される通りであり、重合溶剤は連続的に、(減圧バルブと成り得る)減圧装置に(好ましくは、非加熱で)移され、圧力は雲り点圧力より低圧に減少される(好ましい温度は重合溶剤中のポリマーの結晶点を越えた温度で保たれる)。これの結果、より密度の高い高濃度ポリマー相及びより密度の低い高濃度モノマー相を形成し、次に、高圧分離器(HPS)と呼ばれる流体−液体分離器(相分離器とも呼ばれる)に移される。HPSでは、高濃度モノマー相と高濃度ポリマー相が、通常重力沈降を経て、2つの層に分けられる。好ましい実施形態において、反応器(又は2以上が使用される場合に少なくとも1の反応器)中の圧力は、(高圧分離器等の)分離器中の圧力より7乃至100MPa、好ましくは15乃至75MPa、好ましくは25乃至50MPa高圧である。
【0088】
別の実施形態において、減圧装置(減圧バルブ)よりアップストリームの加熱装置を用いて重合溶剤の温度を上昇させ、HPS中の高濃度ポリマー相の固体−液体相転移(結晶化)を防ぐか、高圧でのHPSの作動を可能にし、それにより高濃度モノマー相の完全な又は部分的な気化を避ける。前記固体−液体相転移は、ポリマー濃度が増加するか、溶剤が冷えるのに従って起こる。次に、高濃度ポリマー相が通常、第1相分離器よりダウンストリームの1以上の任意の低圧相分離器(LPS)へ供給され、結局、LIST乾燥機(DTB)や揮発分除去押出機等の連結した揮発分除去装置へ再利用されると同時に、高濃度モノマー相はHPSの先端から反応器へ通常再利用される。分離器の作動圧力は一般に、分離器カスケードで減少し、ダウンストリームに位置する分離器中の高濃度ポリマー相のポリマーをより濃縮し、アップストリームの対応する相濃度と比較して、モノマーや任意の不活性溶媒希釈剤等の重合系の軽質分を減少する。
【0089】
相分離温度
本願発明の実施形態において、圧力降下装置よりアップストリームの重合溶剤の任意の加熱は、重合溶剤における状態図により課された制限の中で最小限に留まる。効率的な相分離において、減圧装置(減圧バルブ)への入り口における重合溶剤の温度は、固体−液体相分離が流体−液体相分離器(HPS)よりアップストリーム、又はHPS中で行われるのを防ぐのに十分な程、高温である。また、効率的な相分離温度は、圧力が減圧装置(減圧バルブ)を通して減少された時に、高濃度モノマー相と高濃度ポリマー相への重合溶剤の分離が、高濃度モノマー相の完全な又は部分的な気化を防ぐのに十分な高圧で効率的に起こることが出来る圧力となるのに十分な程、高温である。これらの基準を満たす適切な作動範囲の温度と圧力は、(図2で示された種類等の)重合溶剤の温度圧力状態図から決定され得る。重合溶剤の加熱が開発費用(加熱器の導入)を上げ、また、作動費用(加熱ユーティリティの消費)も上げることから、重合系が効率的な相分離温度基準を超える温度で既に作動している場合、当該方法の好ましい実施形態は一般に、非加熱で行われる。あるいは、また、重合溶剤がそれが効率的な相分離基準を満たすのに必要とされる温度より低温である実施形態では、加熱を用いて、減圧装置(減圧バルブ)の注入口での温度を、効率的な相分離のために必要な最低限の温度より0乃至100℃、5乃至50℃、又は10乃至30℃高温に上げる。
【0090】
効率的な相分離温度基準を考慮して、以下の温度で本願発明の方法を実施し得る。一の実施形態において、重合系の温度は、反応器圧力でポリマー含有流体反応溶剤の固体−流体相転移温度より高温で、好ましくは、反応器圧力でポリマー含有流体反応溶剤の固体−流体相転移温度より少なくとも5℃高温、より好ましくは、反応器圧力でポリマー含有流体反応溶剤の固体−流体相転移温度より少なくとも10℃高温である。別の実施形態において、前記温度は50乃至350℃、又は、60乃至250℃、又は、70乃至200℃、又は、80乃至180℃、又は、90乃至160℃、又は、100乃至140℃である。
【0091】
スピノーダル分解
本願発明の好ましい実施形態において、減圧装置は、二相の浸透ネットワークの相形態(同時連続した形態とも呼ばれる)を結果として生じるスピノーダル分解の工程を経て、圧力を十分急速に最適の圧力まで落とし、高濃度ポリマー相と高濃度モノマー相とを容易に分離し、急速に(HPS等の)流体−液体重力分離器に沈降する所望の結果を有するよう設計される。スピノーダル分解は、連続した高濃度ポリマー相中に高濃度モノマー相の溶滴が分散した形態を有する、高濃度モノマー相と高濃度ポリマー相との混合物が非常に低速で分離し、低速で沈降するのを防ぐ。前記形態は、流体中のポリマー濃度が臨界値を超えている場合、及び、相分離器中の温度と圧力が流体−液体相境界(ビノーダル境界)と図2で斜交平行領域により図解されるスピノーダル境界との間の状態図の領域にある場合に自然に起こる傾向がある。本願発明の好ましい実施形態において、重合溶剤中のポリマー濃度は常に、上述(及び、図1で概念的に図解される)される臨界濃度より高く、従って、重力沈降問題を避けるために、これらの実施形態はスピノーダル分解の工程を利用する。超臨界の重合系(国際公開番号WO2004/026921で記載されるもの等)に用いられるスピノーダル分解工程の一の実施形態において、減圧装置(減圧バルブ)を通した減圧の速度は、1MPa/秒以上、2MPa/秒以上、又は4MPa/秒以上、又は6MPa/秒以上である。
【0092】
相分離圧力
本願発明の全ての実施形態において、減圧装置(減圧バルブ)よりダウンストリームで、(HPS等の)流体−液体相分離器内の圧力は、流体−液体相分離が行われるのを確実とするために曇り点圧力より低圧であり、高濃度モノマー相の完全な又は部分的な気化を防ぐために高濃度モノマー相の気化圧より高圧であるように選択される。好ましい実施形態において、急速な相分離と沈降を引き起こすため、(HPS等の)流体−液体相分離器中の圧力はスピノーダル境界圧力より低圧である。この好ましい圧力範囲、すなわち、スピノーダル境界圧力より低圧で高濃度モノマー相の気化圧より高圧である範囲内において、作動圧力は、最も経済的であると示すものを選び得る。より高い圧力は、再利用に用いられる高濃度モノマー相のポンプ又は圧縮費用を削減するが、より高い圧力は、相離脱率も減少させ、高濃度ポリマー相と高濃度モノマー相との密度差を減少させる高濃度モノマー相のより高い密度を結果して生じる。それにより、(HPS等の)流体−液体相分離器中の沈降速度を下げ、結局、より大きい容器を必要とする。本願発明の一の実施形態において、減圧装置(減圧バルブ)よりダウンストリームで、流体−液体相分離器(HPS)内の圧力は、スピノーダル境界圧力より低圧、又はスピノーダル境界圧力より少なくとも1MPa低圧、5MPa低圧、又はスピノーダル境界圧力より少なくとも10MPa低圧である。一の実施形態において、前記圧力は高濃度モノマー相の気化圧以上、高濃度モノマー相の気化圧より0.2MPa以上、上記気化圧より1MPa以上、又は上記気化圧より10MPa以上である。別の実施形態において、高濃度ポリマー相と高濃度モノマー相との密度差は、少なくとも0.1g/mL、又は、少なくとも0.2g/mL、又は、少なくとも0.3g/mL、又は、少なくとも0.4g/mL、又は、少なくとも0.5g/mL、又は、少なくとも0.6g/mLである。任意特定の圧力及び温度での相密度は、簡易な容積法、例えば、相の重量と既知の容積を測定することによって測られる。別の実施形態において、前記圧力は、(HPS等の)相分離器において、2乃至40MPa、5乃至30MPa、7乃至20MPa、又は10乃至18MPaである。別の実施形態において、HPSは、138MPaを超えた圧力、好ましくは150MPaを超えた圧力、好ましくは200MPaを超えた圧力で作動する。
【0093】
反応器出口バルブにおいて、前記圧力は落とされ、ポリマーと、未反応のモノマー、コモノマー、エタンやプロパン等の不活性成分、ヘキサンやトルエン等の溶媒との分離を開始する。分離器の温度は、ポリマー生成物の結晶化温度より高温(又は、ポリマー生成物が結晶点を有さない場合、80℃より高温)で維持されるが、圧力は臨界点未満に成り得る。前記圧力は、例えば、プロピレン等のモノマーが標準の冷却水に対して凝縮できる程度の高圧であることのみを必要とされる。次に、液体再利用ストリームは、ポリエチレン単位に必要とされる超圧縮器の代わりに液体ポンプ装置を有する反応器へ再利用され得る。この分離器中のより低い圧力は、はるかに低い重合速度を結果として生じる液体ポリマー相中のモノマー濃度を減少させる。いくつかの実施形態におけるこの重合速度は、触媒毒又は「キラー(停止剤)」を加えずにこの系を作動するのに十分な程、低くなり得る。触媒キラーを必要とする場合(例えば、高圧再利用での反応を防ぐため)、例えば、固定ベッド吸着剤の使用やアルミニウムアルキルを用いた除去による等、再利用された高濃度プロピレンモノマーストリームから、任意の潜在的触媒毒を除去するための対策が必要になる。
【0094】
あるいは、分離器は、モノマーかモノマー配合物の臨界圧上であり、モノマー/ポリマー二相内で作動され得る。これは、ポリマーが改造された高圧ポリエチレン(HPPE)設備で製造される場合、経済的に好ましい方法である。再利用された分離器の塔頂生成物は、第2圧縮器の吸引に戻される前に、冷却及び脱ろうされる。
【0095】
この分離器からのポリマーは次に、別の減圧工程を通り、低圧分離器に向かうことが出来る。この分離器の温度は、ポリマー融点より高温で維持され、この分離器からのポリマーは、液体として直接押出機か静的ミキサーへ供給され得る。この分離器の圧力は、圧縮器を用いて低く保たれ、未反応モノマー等が凝縮装置及びポンプ装置へ回収される。
【0096】
ポリマーの回収
高濃度ポリマー相は、直接連結された揮発分除去系へ送られることが出来る。前記揮発分除去系は、1以上のフラッシュ器、又は各々が継続的により低い圧力で作動する連続した低圧分離器(LPS)を含み得る。また、前記揮発分除去系は、最終工程として、揮発分除去押出機かシャーロット(ノースカロライナ)のLIST USA Inc.から入手可能なLIST DTB等の他の揮発分除去装置を含み得る。低圧分離器は、断熱的に作動するか、任意で、薄いフィルムか落下ストランド(falling strand)型の内部加熱器を有し得る。この揮発分除去工程は、水蒸気蒸留等の、より古くて、効率の悪い処理に頼ることなし、最終的なポリマーから残渣の揮発性物質を分離するための分離工程である。最終的な揮発分除去装置(押出機、LIST DTB等)は、強い減圧の下で作動し、任意で水か窒素等の剥離剤を使用することで、さらにポリマーの揮発性含有物が削減され得る。いったん揮発分除去されると、生成物は最終的な揮発分除去工程を出て、次に造粒やパッケージ等の更なる処理のために移動させられる。
【0097】
高濃度モノマー相の効率的かつ経済的再利用
本願発明の好ましい実施形態において、高濃度モノマー相は最小の処理で重合系に再利用され、再利用設備における高価な投資、加熱媒体(蒸気、ホットオイル、電気等)と冷却媒体(冷却水、塩水、冷却空気等)を含む高価なユーティリティの消費を避ける。実施形態において、(HPS等の)流体−液体分離器中の高濃度モノマー相の温度が重合系供給体温度より高い場合、高濃度モノマー相の何らかの冷却が必要とされる。水か他の極性染物質の除去が重合系における経済的な触媒の生産性を維持するのに必要でない場合、重合系供給体温度への高濃度モノマー再利用ストリームの冷却が、必要とされる全てであり得る。この種類の一の実施形態は、高濃度モノマー再利用ストリームを−40乃至100℃、又は−20乃至90℃、又は0乃至90℃、又は20乃至90℃、又は50乃至90℃に冷却することを含む。水か極性物質の除去が重合系における経済的な触媒の生産性を維持するのに必要である場合、次に、乾燥剤ベッドを通した乾燥が使用され、高濃度モノマー再利用ストリームは、重合供給体温度より低い温度か乾燥剤が水及び/又は他の極性不純物(例えば、触媒毒)の除去に許容される能力を有する温度より低い温度まで冷却される。乾燥剤による乾燥が必要である場合、一の実施形態は、高濃度モノマー再利用ストリームを−40乃至80℃、又は−20乃至60℃、又は0乃至40℃、又は20乃至40℃に冷却することを含む。高濃度モノマー再利用ストリームを冷却する場合、高濃度モノマーストリーム中に存在する低いか非常に低い分子量ポリマーは、任意にフィルタ、「ノックアウト」ポット等を通して除去され得る固体として沈殿するか、生成物必要条件や生成物中の低分子量ポリマー部分の定常状態濃度に依存する返送ストリーム(return stream)中に残留し得る。
【0098】
熱統合
本願発明の実施形態において、重合溶剤の加熱と高濃度モノマー再利用ストリームの冷却が両方必要である場合、熱統合交換器をインストールすることは多くの場合で有利である。前記熱統合交換器は、流体−液体分離器から流出する高濃度モノマー相と減圧装置のアップストリームにある重合溶剤との間の熱を交換する任意の装置として定義される。この熱交換は同時に、重合溶剤を加熱し、高濃度モノマー再利用ストリームを冷却する。実施形態において、熱交換が重合溶剤を所望温度まで上昇、及び/又は高濃度モノマー再利用ストリームを所望温度にまで冷却するのに不十分な場合、補足の加熱系および冷却系が熱統合交換器に連結して使用され得る。そのような実施形態において、重合溶剤に用いられる好ましい加熱媒体は、蒸気、ホットオイル系、および電気加熱系を含むが、それらに制限されない。高濃度モノマー再利用ストリームに用いられる好ましい補足の冷却媒体は、淡水冷却系、塩水冷却系、空冷交換器等を含むが、それらに制限されない。
【0099】
二相重合系への適用
本願発明の別の実施形態において、(国際公開番号WO2004/026921で記載されるもの等の)重合系は曇り点圧力より低圧で、直接重量測定分離器に輸送された二相(流体−液体)重合溶剤を用いて、また任意で高濃度ポリマー相と高濃度モノマー相の相分離の促進が望まれている場合に、圧力をさらに減少する圧力減少装置を通して、作動される。この実施形態において、高濃度モノマー相は、上記曇り点圧力を作動する重合系で記載されるのと同様の方法で重合系に再利用される。本願発明の他の局面において、スピノーダル分解も含め、高濃度モノマー再利用ストリームの補足の冷却、高濃度モノマー再利用ストリームの乾燥剤による乾燥、高濃度モノマー再利用ストリームから沈殿する低分子量ポリマーの除去、水素除去、および触媒停止も本実施形態で使用され得る。
【0100】
高濃度モノマー再利用ストリームからの水素除去
本明細書で有益な触媒系の多く(国際公開番号WO2004/026921で開示されたもの等)が重合反応の副生成物として少量の水素を生成する。さらに、水素は本明細書で記載される重合方法に用いられる反応器供給体となり得る。したがって、重合方法の実施形態において、水素が重合方法で完全に消費されない場合、少量の水素が重合溶剤中にあり、この水素の大部分は(HPS等の)流体−液体相分離器から流出した高濃度モノマー相に残る。一の実施形態において、高濃度モノマー再利用ストリームのこの量の水素は、重合方法と組み合わされた供給体ストリームへ加えられる水素の量より少なく、この実施形態において、重合方法供給体への水素の新たな補給は、この再利用された水素を補うために減少され、他の更なる水素を除去する高濃度モノマー再利用ストリームの処置は必要とされない。別の実施形態において、高濃度モノマー再利用ストリームにおける水素の量は、重合方法と組み合わされた供給体ストリームで望まれる水素の全量より多く、この実施形態において、追加の処理工程が高濃度モノマー相の再利用に用いられる工程へ加えられ得る。当該追加処理工程は、単一又は複数工程フラッシュ容器、分別塔、又は水素化ベッドを含み得るが、それらに限られない。水素の除去に用いられる処理は、全体の高濃度モノマー再利用ストリームへ適用され得るか、又は高濃度モノマー再利用ストリームの一部のみ又はスリップストリームで水素除去必要条件が揃う場合で適用され得る。
【0101】
触媒停止
本明細書で記載される方法の使用は重合溶剤と比例して液体高濃度ポリマー相中のモノマー濃度を減少し、その結果徐々に、高濃度ポリマー相中のはるかに低い後重合速度(post−polymerization rate)を生じる。当該重合速度は触媒毒か「キラー」を加えずにこの系を作動できる程度に低くなり得る。停止化合物が全く加えられない場合、キラー除去工程は削除され得る。触媒キラーを必要とする場合、再利用された高濃度モノマーストリームから潜在的な触媒毒を除去する対策(例えば、乾燥剤ベッドの使用かアルミニウムアルキルを用いた除去によって等)が必要になる。水、アルコール又はナトリウム/ステアリン酸カルシウム等の極性種が、停止剤として使用され得る。停止剤の選択と量は、停止剤の揮発性が低い場合、生成物の特性と同様に再利用プロピレンとコモノマーの除去の必要性に依存する。
【0102】
プロピレン供給体純度の選択
プロピレンは99.5%の純粋ポリマーグレードと約93乃至95%の化学グレードの2つのレベルで商業的に入手可能である。供給体の選択は、再利用で必要な浄化レベルで設定し、不活性なプロパンによる供給体の過剰希釈を避ける。
【0103】
ポリマー生成物
発明方法で分離されて、回収されたポリマーは、ブロック、直鎖、ラジカル、星状、分岐、およびこれらの組み合わせを含む任意の構造をも持ち得る。いくつかの発明の実施形態は、独自のミクロ構造でポリプロピレンと、ポリプロピレンのコポリマーとを分離し、回収する。本願発明の工程は、新規のアイソタクチック及びシンジオタクチックポリマー組成物の生成に使用され得る。他の実施形態において、発明の方法は、結晶性ポリマーの生成に使用され得る。
【0104】
開示される方法のいくつかの実施形態は、70乃至165℃の融点、及び/又は2,000乃至1,000,000、10,000乃至1,000,000、15,000乃至500,000、25,000乃至250,000、又は、35,000乃至150,000g/molの量平均分子量で、ポリマー、通常プロピレンポリマーを分離し、回復する。
【0105】
本願発明のいくつかの実施形態は、融解熱、1乃至30J/g、2乃至20J/g、又は3乃至10J/gのΔHでポリマーを分離し、回収する。別の実施形態において、本願発明の方法は、110J/g以下、好ましくは50乃至110J/g、及び、より好ましくは70乃至100J/gのΔHを有するポリマーを生じる。
【0106】
別の実施形態において、本明細書で分離され、回収されるポリマーは、ブルックフィールド粘着性計上で測定し180℃で10,000センチポイズ未満の溶融の粘着性、又は、いくつかの実施形態(パッケージや接着剤等)において1,000乃至3,000cPs、及び他の適用において好ましくは5,000乃至10,000cPsを有する。
【0107】
本願発明は、以下に関連する、
1.オレフィンの重合方法であって、
(a)1以上の反応器中に、高密度流体均質重合系において、重合系の結晶化温度より高温でかつ重合系の曇り点圧力より10MPa低い圧力以上(好ましくは1MPa以上)好ましくは200MPa未満の圧力で、(反応器中のモノマー及びコモノマーの重量を基に)30重量%以上で(又は、代替的に重合系の重量を基に40重量%以上で)存在する3以上の炭素原子を有するオレフィンモノマーと、1)1以上の触媒化合物、2)1以上の活性剤、3)(反応器中のモノマー量及びコモノマー量を基に)0乃至50モル%コモノマー(好ましくは、1乃至45モル%)(又は、代替的に重合系の重量を基に0乃至50重量%で)、及び4)(重合系の重量を基に)0乃至40重量%(好ましくは、0乃至25重量%、より好ましくは、0乃至10重量%)の希釈剤又は溶媒とを、接触させる工程であって、前記重合系が、前記モノマー、存在する任意のコモノマー、任意のスカベンジャー、存在する任意の希釈剤又は溶媒及びポリマー生成物を含む工程、
(b)ポリマー−モノマー混合物を含む反応器流出物を形成する工程、
(c)任意で、反応器から流出した後、かつ、(e)工程で圧力が減少する前又は減少した後に(b)工程のポリマー−モノマー混合物を加熱する工程、
(d)分離容器に(b)工程のポリマー−モノマー混合物を収集する工程、
(e)分離容器中にポリマー−モノマー混合物を収集する前又は収集した後のいずれかにおいて、(b)工程のポリマー−モノマー混合物を含む反応器流出物の圧力を曇り点圧力より低い圧力に減少し、高濃度ポリマー相及び高濃度モノマー相を含む二相混合物を形成する工程であって、反応器中(又は2以上使用されている場合に、少なくとも1の反応器において)の前記圧力が、分離容器中の圧力より7乃至100MPa高く、及び分離容器中の温度がポリマーの結晶化温度より高いか、又は前記ポリマーに結晶化温度がない場合に80℃より高いかの、どちらかより高い温度である工程、
(f)高濃度ポリマー相から高濃度モノマー相を分離する工程、
(g)(a)工程の1以上の反応器へ分離された高濃度モノマー相を再利用する工程、及び
(h)高濃度ポリマー相からポリマーを回収する工程
を含む、前記方法。
【0108】
2.分離器中でポリマー−モノマー混合物を加熱する(好ましくは、加熱し、高濃度ポリマー相の結晶化を防ぐ)か、又は分離器に流動的に連結した外部加熱輪(outside heating loop)でポリマーを加熱する(好ましくは、それにより、高濃度ポリマー相の結晶化を防ぐ)工程をさらに含む、段落1に記載の方法。
【0109】
3.工程(d)で収集されたポリマー−モノマー混合物が減圧する前に、曇り点圧力より高圧で、かつ、ポリマー−モノマー混合物の結晶化温度より高温である、段落1又は2に記載の方法。
【0110】
4.高濃度ポリマー相から揮発性物質を分離する工程をさらに含む、段落1、2、又は3に記載の方法。
【0111】
5.高濃度ポリマー相を結合した揮発分除去装置へ供給し、ポリマーから揮発性物質を分離する工程をさらに含む、段落1、2、3又は4に記載の方法。
【0112】
6.前記結合した揮発分除去装置が揮発分除去装置への高濃度ポリマー相の勢いの良い流出を可能にする低い減圧下で作動する、段落5に記載の方法。
【0113】
7.前記結合した揮発分除去装置が揮発分除去押出機である、段落5又は6に記載の方法。
【0114】
8.分離工程(f)が重合系の雲り点未満で、かつ、(f)工程の高濃度ポリマー相の結晶化温度より高温で実施される、段落1、2、3、4、5、6、又は7に記載の方法。
【0115】
9.前記分離器が重量測定分離器である、段落8の方法。
【0116】
10.工程(g)で再利用された分離高濃度モノマー相から低分子量ポリマー(例えば、10,000g/mol未満、好ましくは5000g/mol未満、好ましくは1000g/mol未満の量平均分子量(Mw))を回収する工程をさらに含む、段落1乃至9のいずれか1段落の方法。
【0117】
11.前記低分子量ポリマーが少なくとも1のノックアウトポットの使用を通して回収される、段落10の方法。
【0118】
12.前記オレフィンモノマーが重合系中に55重量%以上、好ましくは75重量%以上で存在する、段落1乃至11のいずれか1段落に記載の方法。
【0119】
13.重合系の圧力が約140MPa未満、好ましくは100MPa未満、好ましくは15乃至140MPa、好ましくは15乃至50MPaである、段落1乃至12のいずれか1段落に記載の方法。
【0120】
14.前記温度が60乃至180℃、好ましくは85乃至180℃、好ましくは95乃至180℃、好ましくは100乃至180℃である、段落1乃至13のいずれか1段落に記載の方法。
【0121】
15.前記高濃度モノマー相が約0.1重量%未満の低分子量ポリマーを含む、段落1乃至14のいずれか1段落に記載の方法。
【0122】
16.前記高濃度モノマー相が約0.3乃至約0.4グラム/mLの密度を有する、段落1乃至15のいずれか1段落に記載の方法。
【0123】
17.前記高濃度ポリマー相が約0.6乃至約0.7グラム/mLの密度を有する、段落1乃至16のいずれか1段落に記載の方法。
【0124】
18.工程(e)において、前記圧力が少なくとも約2MPa/秒、好ましくは少なくとも3MPa/秒、好ましくは少なくとも4MPa/秒、好ましくは少なくとも5MPa/秒、好ましくは少なくとも6MPa/秒、好ましくは少なくとも7MPa/秒の速度で落ちる、段落1乃至17のいずれか1段落に記載の方法。
【0125】
19.工程(a)が単一液体相で実施される、段落1乃至18のいずれか1段落に記載の方法。
【0126】
20.前記重合系の温度と圧力が流体−固体相転移温度と圧力より高い値で保持される、段落19に記載の方法。
【0127】
21.工程(a)が二相の流体−流体系で実施される、段落1乃至18のいずれか1段落に記載の方法。
【0128】
22.前記重合系の温度が曇り点温度より低い値、かつ、重合系の流体−固体相転移温度より高い値で保持される、段落21に記載の方法。
【0129】
23.溶媒及び/又は希釈剤が重合系中に10重量%未満、好ましくは1重量%未満で存在する、段落1乃至22のいずれか1段落に記載の方法。
【0130】
24.前記3以上の炭素原子を有するオレフィンモノマーがプロピレンを含む、段落1乃至23のいずれか1段落に記載の方法。
【0131】
25.重合系が55乃至100重量%のプロピレンモノマー及びエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、4−メチルペンテン−1、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、C4乃至C2000α−オレフィン、C4乃至C2000α,内部ジオレフィン、C4乃至C2000α,ω−ジオレフィン、好ましくは1以上のエチレン、ブテン、ヘキセン、又はオクテン、から選ばれる少なくとも1のコモノマーを含む0乃至45重量%のコモノマー混合物を含む、段落1乃至24のいずれか1段落に記載の方法。
【0132】
26.前記触媒化合物が以下の式で示される、段落1乃至25のいずれか1段落に記載の方法であって、
【化4】

【0133】
は、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタラム、クロミウム、モリブデナム、又はタングステン(好ましくはジルコニウム及び/又はハフニウム)から選ばれ、
及びRは同一か又は異なり、水素原子、C乃至C10アルキルグループ、C乃至C10アルコキシグループ、C乃至C10アリールグループ、C乃至C10アリールオキシグループ、C乃至C10アルケニルグループ、C乃至C40アルケニルグループ、C乃至C40アリールアルキルグループ、C乃至C40アルキルアリールグループ、C乃至C40アリールアルケニルグループ、OHグループ又はハロゲン原子、又は任意で、1以上のハイドロカルビル、トリ(ハイドロカルビル)シリルグループ又はハイドロカルビルトリ(ハイドロカルビル)シリルハイドロカルビルグループで置換された共役ジエン(好ましくはR及びRは例えばメチル又はエチル等のアルキル、又は、例えばクロリド等のハライドである。)から選択され、
乃至R12は同一か又は異なり、水素原子、ハロゲン原子、C乃至C10ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアルキルグループ、C乃至C10ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアリールグループ、C乃至C10ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアルケニルグループ、C乃至C40ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアリールアルキルグループ、C乃至C40ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアルキルアリールグループ、C乃至C40ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアリールアルケニルグループ、R’が一のハロゲン原子、C乃至C10アルキルグループ、又は、C乃至C10アリールグループである−NR’、−SR’、−OR’、−OSiR’又は−PR’ラジカルから選ばれるか、又は、二以上の隣接したラジカルR乃至Rとそれらを連結する原子と共に1以上の環(好ましくはRがメチル、エチル、又はブチル)を形成することができ、隣接したラジカルR11及びR12は、1以上の飽和又は芳香族環(好ましくはR11及びR12はフェニル環と結合し、置換された又は置換されていないナフチルグループを形成する)を形成することができ、
13は、
【化5】

【0134】
−B(R14)−、−Al(R14)−、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−N(R14)−、−CO−、−P(R14)− −P(O)(R14)−、−B(NR1415)−及び−B[N(SiR141516]−から選択され、R14、R15及びR16は個々に水素、ハロゲン、C乃至C20アルキルグループ、C乃至C30アリールグループ、C乃至C20アルコキシグループ、C乃至C20アルケニルグループ、C乃至C40アリールアルキルグループ、C乃至C40アリールアルケニルグループ及びC乃至C40アルキルアリールグループから選択されるか、又は、R14及びR15とそれらを連結する原子は環を形成し、Mは炭素、シリコン、ゲルマニウム及びスズから選択されるか、又は、R13は、以下の式として示され、
【化6】

【0135】
ここでR17乃至R24は、R及びRで定義された通りであるか、又は、R20及びR21を含め二以上の隣接したラジカルR17乃至R24とそれらを連結する原子は、1以上の環を形成し、Mは炭素、シリコン、ゲルマニウム、又は、スズ(好ましくはR13はジメチルシリル又はジフェニルシリル)である、
前記方法。
【0136】
27.前記活性剤が、アルモキサン(好ましくは、メチルアルモキサン)及び非配位性アニオン(好ましくは、ホウ酸トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)、ホウ酸N、N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)、ホウ酸トリフェニルカルベニウムテトラ(ペルフルオロフェニル)、又は、ホウ酸N、N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペルフルオロフェニル))から選択される、段落1乃至26のいずれか1段落に記載の方法。
【0137】
28.水素と余分な触媒キラーが1以上の重合反応器へ再利用される前に高濃度モノマー相から回収される、段落1乃至27のいずれか1段落に記載の方法。
【0138】
29.高濃度モノマー相と高濃度ポリマー相とが密度において少なくとも0.2g/mLの差がある、段落1乃至28のいずれか1段落に記載の方法。
【0139】
30.重合系が単一相の超臨界液体である、段落1乃至29のいずれか1段落に記載の方法。
【0140】
31.分離器内での滞留時間が1分乃至30分、好ましくは1乃至15分である、段落1乃至30のいずれか1段落に記載の方法。
【0141】
本明細書で記載されるすべての書類は、優先権主張書類及び/又は試験手順書まで含めて当該文章と矛盾しない程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。上述の全般的記載及び特定の実施形態から明らかであるように、本願発明の形式は、具体化され、記載されてきた一方で、様々な修飾が、本願発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、行われる。従って、それらによって本願発明が限定されることを意図しない。同様に、「を含む(comprising)」の語は、オーストラリアの法の目的において「を含む(including)」の語と同義であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンの重合方法であって、
(a)1以上の反応器中に、高密度流体均質重合系において、重合系の結晶化温度より高温でかつ重合系の曇り点圧力より10MPa低い圧力以上の圧力で、(反応器中のモノマー及びコモノマーの重量を基に)30重量%以上で存在する3以上の炭素原子を有するオレフィンモノマーと、1)1以上の触媒化合物、2)1以上の活性剤、3)(反応器中のモノマー量及びコモノマー量を基に)0乃至50モル%コモノマー、及び4)(重合系の重量を基に)0乃至40重量%の希釈剤又は溶媒とを、接触させる工程であって、前記重合系が、前記モノマー、存在する任意のコモノマー、任意のスカベンジャー、存在する任意の希釈剤又は溶媒及びポリマー生成物を含む工程、
(b)ポリマー−モノマー混合物を含む反応器流出物を形成する工程、
(c)任意で、反応器から流出した後、かつ、(e)工程で圧力が減少する前又は減少した後に(b)工程のポリマー−モノマー混合物を加熱する工程、
(d)分離容器に(b)工程のポリマー−モノマー混合物を収集する工程、
(e)分離容器中にポリマー−モノマー混合物を収集する前又は収集した後のいずれかにおいて、(b)工程のポリマー−モノマー混合物を含む反応器流出物の圧力を曇り点圧力より低い圧力に減少し、高濃度ポリマー相及び高濃度モノマー相を含む二相混合物を形成する工程であって、反応器中(又は2以上使用されている場合に、少なくとも1の反応器において)の前記圧力が、分離容器中の圧力より7乃至100MPa高く、及び分離容器中の温度がポリマーの結晶化温度より高いか、又は前記ポリマーに結晶化温度がない場合に80℃より高いかの、どちらかより高い温度である工程、
(f)高濃度ポリマー相から高濃度モノマー相を分離する工程、
(g)(a)工程の1以上の反応器へ分離された高濃度モノマー相を再利用する工程、及び
(h)高濃度ポリマー相からポリマーを回収する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
分離器中でポリマー−モノマー混合物を加熱するか、又は分離器に流動的に連結した外部加熱輪(outside heating loop)でポリマーを加熱する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(d)で収集されたポリマー−モノマー混合物が減圧する前に、曇り点圧力より高圧で、かつ、ポリマー−モノマー混合物の結晶化温度より高温である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
高濃度ポリマー相から揮発性物質を分離する工程をさらに含む、請求項1、2、又は3に記載の方法。
【請求項5】
高濃度ポリマー相を結合した揮発分除去装置へ供給し、ポリマーから揮発性物質を分離する工程をさらに含む、請求項1、2、3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記結合した揮発分除去装置が揮発分除去装置への高濃度ポリマー相の勢いの良い流出を可能にする低い減圧下で作動する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記結合した揮発分除去装置が揮発分除去押出機である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
分離工程(f)が重合系の雲り点未満で、かつ、(f)工程の高濃度ポリマー相の結晶化温度より高温で実施される、請求項1、2、3、4、5、6、又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記分離器が重量測定分離器である、請求項8の方法。
【請求項10】
工程(g)で再利用された分離高濃度モノマー相から10,000g/mol未満の量平均分子量(Mw)を有するポリマーを回収する工程をさらに含む、請求項1乃至9のいずれか1項の方法。
【請求項11】
前記低分子量ポリマーが少なくとも1のノックアウトポットの使用を通して回収される、請求項10の方法。
【請求項12】
前記オレフィンモノマーが重合系中に55重量%以上で存在する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
重合系の圧力が約140MPa未満である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記温度が60乃至180℃である、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記高濃度モノマー相が約0.1重量%未満の低分子量ポリマーを含む、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記高濃度モノマー相が約0.3乃至約0.4グラム/mLの密度を有する、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記高濃度ポリマー相が約0.6乃至約0.7グラム/mLの密度を有する、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
工程(e)において、前記圧力が少なくとも約2MPa/秒の速度で落ちる、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
工程(a)が単一液体相で実施される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記重合系の温度と圧力が流体−固体相転移温度と圧力より高い値で保持される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
工程(a)が二相の流体−流体系で実施される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記重合系の温度が曇り点温度より低い値、かつ、重合系の流体−固体相転移温度より高い値で保持される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
溶媒及び/又は希釈剤が重合系中に10重量%未満で存在する、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記3以上の炭素原子を有するオレフィンモノマーがプロピレンを含む、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
重合系が55乃至100重量%のプロピレンモノマー及びエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、4−メチルペンテン−1、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、C4乃至C2000α−オレフィン、C4乃至C2000α,内部ジオレフィン、C4乃至C2000α,ω−ジオレフィン、好ましくは1以上のエチレン、ブテン、ヘキセン、又はオクテン、から選ばれる少なくとも1のコモノマーを含む0乃至45重量%のコモノマー混合物を含む、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記触媒化合物が以下の式で示される、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の方法であって、
【化7】

は、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタラム、クロミウム、モリブデナム、又はタングステンから選ばれ、
及びRは同一か又は異なり、水素原子、C乃至C10アルキルグループ、C乃至C10アルコキシグループ、C乃至C10アリールグループ、C乃至C10アリールオキシグループ、C乃至C10アルケニルグループ、C乃至C40アルケニルグループ、C乃至C40アリールアルキルグループ、C乃至C40アルキルアリールグループ、C乃至C40アリールアルケニルグループ、OHグループ又はハロゲン原子、又は任意で、1以上のハイドロカルビル、トリ(ハイドロカルビル)シリルグループ又はハイドロカルビルトリ(ハイドロカルビル)シリルハイドロカルビルグループで置換された共役ジエンから選択され、
乃至R12は同一か又は異なり、水素原子、ハロゲン原子、C乃至C10ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアルキルグループ、C乃至C10ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアリールグループ、C乃至C10ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアルケニルグループ、C乃至C40ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアリールアルキルグループ、C乃至C40ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアルキルアリールグループ、C乃至C40ハロゲン化された又はハロゲン化されていないアリールアルケニルグループ、R’が一のハロゲン原子、C乃至C10アルキルグループ、又は、C乃至C10アリールグループである−NR’、−SR’、−OR’、−OSiR’又は−PR’ラジカルから選ばれるか、又は、二以上の隣接したラジカルR乃至Rとそれらを連結する原子と共に1以上の環を形成することができ、隣接したラジカルR11及びR12は、1以上の飽和又は芳香族環を形成することができ、
13は、
【化8】

−B(R14)−、−Al(R14)−、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−N(R14)−、−CO−、−P(R14)− −P(O)(R14)−、−B(NR1415)−及び−B[N(SiR141516]−から選択され、R14、R15及びR16は個々に水素、ハロゲン、C乃至C20アルキルグループ、C乃至C30アリールグループ、C乃至C20アルコキシグループ、C乃至C20アルケニルグループ、C乃至C40アリールアルキルグループ、C乃至C40アリールアルケニルグループ及びC乃至C40アルキルアリールグループから選択されるか、又は、R14及びR15とそれらを連結する原子は環を形成し、Mは炭素、シリコン、ゲルマニウム及びスズから選択されるか、又は、R13は、以下の式として示され、
【化9】

ここでR17乃至R24は、R及びRで定義された通りであるか、又は、R20及びR21を含め二以上の隣接したラジカルR17乃至R24とそれらを連結する原子は、1以上の環を形成し、Mは炭素、シリコン、ゲルマニウム、又は、スズである、
前記方法。
【請求項27】
前記活性剤が、アルモキサン及び非配位性アニオンから選択される、請求項1乃至26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
水素と余分な触媒キラーが1以上の重合反応器へ再利用される前に高濃度モノマー相から回収される、請求項1乃至27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
高濃度モノマー相と高濃度ポリマー相とが密度において少なくとも0.2g/mLの差がある、請求項1乃至28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
重合系が単一相の超臨界液体である、請求項1乃至29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
分離器内での滞留時間が1分乃至30分である、請求項1乃至30のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−513684(P2010−513684A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543007(P2009−543007)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/085365
【国際公開番号】WO2008/076589
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【出願人】(503310475)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (4)
【Fターム(参考)】