説明

超電導コイルの電源装置

【課題】電源装置の小型化が可能なスイッチング制御を採用し、スイッチングした際発生するスイッチングノイズを低減させることができる超電導コイルの電源装置を提供する。
【解決手段】超電導コイル2を励磁する電源装置101を、交流電力を直流電力にする直流電源手段51と、スイッチング信号に基づいて直流電力を交流状のスイッチング電力とする第1・第2スイッチング部52・53を並列接続したスイッチング手段56と、スイッチング電力を一定電圧の平滑化電力にして超電導コイル2に出力する平滑手段55と、第1・第2スイッチング部52・53に対して、所定の周波数でスイッチング信号をそれぞれ出力することにより所定の平滑化電力を形成し、第2スイッチング部53に出力するスイッチング信号を第1スイッチング部52に出力するスイッチング信号に対して位相差を持たせて出力するスイッチング制御手段54とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導コイルを励磁する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超電導コイル用の電源装置には、特許文献1にあるように所望の電圧を超電導コイルに与えるためにトランジスタで制御したものが用いられてきた。この特許文献1に記載された電源装置は、電源から負荷に電力を供給する電力供給回路の一部が複数本の分岐経路とされていて、複数本の分岐経路それぞれにトランジスタが設けられ、電力供給経路に流れる電流の値が電流値検出部により検出され、この検出された電流値が一定となるように電圧制御部によりトランジスタの制御端子に与えられる電圧値が制御されるように構成されている。
【0003】
しかしながら、上記のように所望の電圧を超電導コイルに与えるためにトランジスタを使用して制御する場合、トランジスタにおいて絶えず熱消費が行われるため、比較的消費電力も増加するとともに放熱手段が大型化してしまうという問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、特許文献2の装置では、充放電用変換器を使用して、充放電及び保持のタイミングや、時間を全て掌握しスイッチング制御することにより所望の電圧を超電導コイルに与えている。このようにON・OFFのスイッチングをしてOFFの期間を設けて制御するため消費電力(熱消費)を抑制することが可能となり、放熱手段の小型化も可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−98885号公報
【特許文献2】特開2010−118453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
もっとも、上記のように電圧制御の際に、パワー素子等のON・OFFを切り替えてスイッチング制御するため、スイッチングする際に電流リプル等のスイッチングノイズが発生してしまう。この電流リプル等のスイッチングノイズが増大すると通電した超電導コイルや永久電流の温度が上昇し、液体ヘリウムで冷却する超電導マグネットにおいて液体ヘリウムが蒸発してしまう。また、冷凍機で冷却するものは、超電導コイルを通電した回路の温度が上昇し、超電導コイルの冷却能力が下がりクエンチ現象を発生させてしまう場合があり不都合である。また、永久電流スイッチの場合はそのヒータを切っても電流リプル等のスイッチングノイズによる発熱のため超電導化しない問題が生じることもある。
【0007】
そこで、本発明は上記の様な状況に着目してなされたものであり、その目的は、電源装置の小型化が可能なスイッチング制御を採用しつつ、スイッチングした際発生するスイッチングノイズを低減させることができる超電導コイルの電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するための本発明に係る超電導コイルの電源装置は、交流電力を直流電力に変換する直流電源手段と、スイッチング信号に基づいて前記直流電力を出力許可と出力禁止とにスイッチングすることにより交流状のスイッチング電力とするスイッチング部を前記直流電源手段に複数並列接続したスイッチング手段と、前記各スイッチング部から出力された前記スイッチング電力を平滑化することにより一定電圧の平滑化電力にして前記超電導コイルに出力する平滑手段と、前記各スイッチング部に対して、所定の周波数で前記スイッチング信号をそれぞれ出力することにより所定の前記平滑化電力を形成すると共に、少なくとも一つの前記スイッチング信号を他のスイッチング信号に対して位相差を持たせて出力するスイッチング制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、各スイッチング部のそれぞれに対して、所定の周波数でスイッチング信号を出力することにより直流電力を出力許可と出力禁止とにスイッチングして交流状のスイッチング電力を出力し、出力されたスイッチング電力を平滑化することにより一定電圧の平滑化電力にして超電導コイルに出力する。ここで、直流電力をスイッチング電力に変換する際にスイッチングのタイミングで発生するスイッチングノイズは、スイッチング電力を平滑手段によって一定電圧の平滑化電力にしたとしてもわずかに残る。そこで、少なくとも一つのスイッチング部に対して出力するスイッチング信号を他のスイッチング部に対して出力するスイッチング信号に対して位相差を持たせて出力することにより、各スイッチング部から出力される平滑化電力に残ったスイッチングノイズの発生タイミングをそれぞれ位相差分ずれさせることができる。これによれば、並列接続された各スイッチング部から出力されたスイッチングノイズの発生タイミングが分散された平滑化電力を合流させることになるので、大きなノイズにはならずスイッチングノイズを低減させることができる。また、スイッチング部を使用してスイッチング制御をしているため、消費電力を抑えることができ、電源装置の小型化が可能となる。
【0010】
また、本発明は、上記発明に係る超電導コイルの電源装置であって、前記スイッチング手段のスイッチング部は、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子、及び、第4スイッチング素子を具備し、前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とが接続され、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との間から前記超電導コイルに接続されており、前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とが接続され、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子との間から前記超電導コイルに接続されるフルブリッジ回路であり、前記平滑手段は、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との間と前記超電導コイルとの間に接続した第1リアクトルを接続と、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間に接続した第2リアクトルと、前記第1リアクトルと前記超電導コイルとの間を一端とし、前記第2リアクトルと前記超電導コイルとの間を他端として接続した平滑コンデンサであり、前記スイッチング制御手段は、前記超電導コイルに流れる電流値を検出する電流検出器と、目標とする電流値を設定して、設定した電流値に移行するように指令する電流指令値を出力する目標値設定器と、前記電流検出器が検出した電流値と前記目標値設定器が出力した電流指令値との差分の値を出力する電流制御回路と、位相差を付けたパルス信号を複数発生させる基本パルス生成器と、前記基本パルス生成器が発生させたパルス信号を積分した値から前記電流制御回路が出力した値を減算して、マイナスの値であればオンに、プラスの値であればオフに前記第1〜第4スイッチング素子をスイッチングするスイッチング信号としてのPWM信号に変換する、各フルブリッジ回路に対応する複数の信号変換器であることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、基本パルス生成器から位相差を付けたパルス信号を各信号変換器にそれぞれ出力し、各信号変換器はそのパルス信号を積分した値から電流制御回路が出力した値を減算して、マイナスの値であればオンに、プラスの値であればオフに第1〜第4スイッチング素子をスイッチングするPWM信号に変換する。こうすることにより、各信号変換器は各々位相差を持ったPWM信号に変換する。そして、この位相差を持ったPWM信号によって、フルブリッジ回路毎に第1〜第4スイッチング素子が位相差を持ってオン・オフされることによりスイッチング制御される。こうすることにより、各フルブリッジ回路から出力される平滑化電力に残ったスイッチングノイズの発生タイミングをそれぞれ位相差分ずれさせることができる。これによれば、並列接続された各フルブリッジ回路から出力されたスイッチングノイズの発生タイミングが分散された平滑化電力を合流させることになるので、大きなノイズにはならずスイッチングノイズを低減させることができる。また、フルブリッジ回路のスイッチング素子を使用してスイッチング制御をしているため、消費電力を抑えることができ、電源装置の小型化が可能となる。
【0012】
また、本発明は、上記発明に係る超電導コイルの電源装置であって、前記スイッチング手段のスイッチング部は、第1スイッチング素子、第1ダイオード、第2ダイオード、及び、第2スイッチング素子を具備し、前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に第1スイッチング素子と第1ダイオードとが接続され、第1スイッチング素子と第1ダイオードとの間から前記超電導コイルに接続されており、前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に第2ダイオードと第2スイッチング素子とが接続され、第2ダイオードと第2スイッチング素子との間から前記超電導コイルに接続される混合ブリッジ回路であり、前記平滑手段は、前記第1スイッチング素子と前記第1ダイオードとの間と前記超電導コイルとの間に接続された第1リアクトルと、前記第第2ダイオードと前記第2スイッチング素子との間に接続された第2リアクトルと、前記第1リアクトルと前記超電導コイルとの間を一端とし、前記第2リアクトルと前記超電導コイルとの間を他端として接続された平滑コンデンサであり、前記スイッチング制御手段は、前記超電導コイルに流れる電流値を検出する電流検出器と、目標とする電流値を設定して、設定した電流値に移行するように指令する電流指令値を出力する目標値設定器と、前記電流検出器が検出した電流値と前記目標値設定器が出力した電流指令値との差分の値を出力する電流制御回路と、位相差を付けたパルス信号を複数発生させる基本パルス生成器と、前記基本パルス生成器が発生させたパルス信号を積分した値から前記電流制御回路が出力した値を減算して、マイナスの値であればオンに、プラスの値であればオフに前記第1〜第2スイッチング素子をスイッチングするスイッチング信号としてのPWM信号に変換する、各混合ブリッジ回路に対応する複数の信号変換器であることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、基本パルス生成器から位相差を付けたパルス信号を各信号変換器にそれぞれ出力し、各信号変換器はそのパルス信号を積分した値から電流制御回路が出力した値を減算して、マイナスの値であればオンに、プラスの値であればオフに第1〜第2スイッチング素子をスイッチングするPWM信号に変換する。こうすることにより、各信号変換器は各々位相差を持ったPWM信号に変換する。そして、この位相差を持ったPWM信号によって、混合ブリッジ回路毎に第1〜第2スイッチング素子が位相差を持ってオン・オフされることによりスイッチング制御される。こうすることにより、各混合ブリッジ回路から出力される平滑化電力に残ったスイッチングノイズの発生タイミングをそれぞれ位相差分ずれさせることができる。これによれば、並列接続された各混合ブリッジ回路から出力されたスイッチングノイズの発生タイミングが分散された平滑化電力を合流させることになるので、大きなノイズにはならずスイッチングノイズを低減させることができる。また、混合ブリッジ回路のスイッチング素子を使用してスイッチング制御をしているため、消費電力を抑えることができ、電源装置の小型化が可能となる。
【0014】
また、本発明は、上記発明に係る超電導コイルの電源装置であって、前記直流電源手段の電圧をコントロールする電圧制御手段を備えたことを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、直流電源手段の電圧をコントロールすることにより、スイッチング素子をスイッチングする際のスイッチングノイズが大きくならないように抑制することができる。
【0016】
また、本発明は、上記発明に係る超電導コイルの電源装置であって、前記電圧制御手段は、前記超電導コイルの電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部で検出した電圧値を絶対値化する絶対値化部と、前記絶対値化部で絶対値化された値に所定値を加算する電圧制御部と、を備えていることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、電圧検出部で検出した電圧値を絶対値化した値に所定値を加算した値を直流電源手段に出力することにより直流電圧手段の電圧を適正値にコントロールすることができる。これによれば、直流電源手段の電圧を必要最低限度まで低くすることにより、スイッチングで発生するオンとオフの電圧差を小さくできるので、スイッチング素子をスイッチングする際のスイッチングノイズとしての電流リプルが大きくならないように抑制することができる。
【0018】
また、本発明は、上記発明に係る超電導コイルの電源装置であって、前記電圧制御手段は、前記超電導コイルのリアクタンスの値を記憶する記憶部と、電流増減速度が設定される設定器と、前記記憶部に記憶されたリアクタンスの値に前記設定器で設定された電流増減速度を乗算して電圧値を算出する電圧演算器と、前記電圧演算器で算出した電圧値を絶対値化する絶対値化部と、前記絶対値化部で絶対値化された値に所定値を加算する電圧制御部と、を備えていることを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、超電導コイルのリアクタンスの値に設定器で設定された電流増減速度を乗算して電圧値を算出し、算出した電圧値を絶対値化した値に所定値を加算した値を直流電源手段に出力することにより直流電圧手段の電圧を適正値にコントロールすることができる。これによれば、直流電源手段の電圧を必要最低限度まで低くすることにより、スイッチングで発生するオンとオフの電圧差を小さくできるので、スイッチング素子をスイッチングする際のスイッチングノイズとしての電流リプルが大きくならないように抑制することができる。
【0020】
また、本発明は、上記発明に係る超電導コイルの電源装置であって、前記電圧制御手段は、前記スイッチング制御手段が出力した各パルス信号をフィルタで平均化した値を加算する加算器と、目標とする電圧目標値を設定する目標値設定器と、前記加算器で加算した値から前記目標設定器で設定した電圧目標値を減算し、マイナスであれば差分の値に相当するプラス出力をし、プラスであれば差分の値に相当するマイナス出力をする比較制御器とを備えていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、加算器で加算した値から目標設定器で設定した電圧目標値を減算し、マイナスであれば差分の値に相当するプラス出力を直流電源手段に出力し、プラスであれば差分の値に相当するマイナス出力を直流電源手段に出力することにより直流電圧手段の電圧を適正値にコントロールすることができる。これによれば、直流電源手段の電圧を必要最低限度まで低くすることにより、スイッチングで発生するオンとオフの電圧差を小さくできるので、スイッチング素子をスイッチングする際のスイッチングノイズとしての電流リプルが大きくならないように抑制することができる。
【0022】
また、本発明は、上記発明に係る超電導コイルの電源装置であって、前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に回生手段を更に設け、前記回生手段は、トランジスタと、前記トランジスタに直列接続された抵抗器と、前記直流電源手段の電圧を検出する直流電源電圧検出器と、閾値を設定する閾値設定器と、前記直流電源電圧検出器で検出した値が前記閾値設定器で設定した前記閾値を上回った場合に、前記トランジスタを導通させて前記抵抗器に電流を導通させるコンパレータと、を備えていることを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、超電導コイルを消磁する際において、直流電源電圧検出器で検出した値が閾値設定器で設定した閾値を上回った場合に、トランジスタを導通させて抵抗器に電流を導通させてエネルギーを消費させることにより直流電源手段の電圧を低下させることができる。
【0024】
また、本発明は、上記発明に係る超電導コイルの電源装置であって、前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に回生手段を更に設け、前記回生手段は、回生用スイッチング素子と、前記回生用スイッチング素子に直列接続された抵抗器と、前記直流電源手段の電圧を検出する直流電源電圧検出器と、閾値を設定する閾値設定器と、前記直流電源電圧検出器で検出した電圧値と前記閾値設定器で設定した閾値との差分の値を出力する回生制御手段と、基本となるパルス信号を発生させる基本パルス生成器と、前記基本パルス生成器が発生させたパルス信号を積分した値から前記回生制御手段が出力した値を減算して、マイナスの値であれば前記回生用スイッチング素子をオンに、プラスの値であれば前記回生用スイッチング素子をオフにスイッチングする信号に変換する回生用スイッチング素子制御回路と、を備えていることを特徴としている。
【0025】
上記の構成によれば、超電導コイルを消磁する際において、基本パルス生成器が発生させたパルス信号を積分した値から回生制御手段が出力した値を減算して、マイナスの値であれば回生用スイッチング素子をオンにして、回生用スイッチング素子を導通させて抵抗器に電流を導通させてエネルギーを消費させることにより直流電源手段の電圧を低下させることができる。また、本回生手段を使用すれば、直流電源手段の電圧の変動をより抑制できるので、超電導コイルの消磁時に発生する電流リプルを抑制することができる。
【0026】
また、本発明は、上記発明に係る超電導コイルの電源装置であって、前記超電導コイルに流れる電流値を検出する電流検出器と、目標とする電流値を設定して、設定した電流値に移行するように指令する電流指令値を出力する目標値設定器と、前記電流検出器が検出した電流値と前記目標値設定器が出力した電流指令値との差分の値を出力する電流制御回路と、各スイッチング部に対応しており、各スイッチング部に流れる電流値を検出するブリッジ電流検出器と、各ブリッジ電流検出器で検出した電流値の平均値を算出する平均値算出器と、各スイッチング部に対応しており、各ブリッジ電流検出器で検出した電流値から前記平均値算出器で算出した平均値を減算して、その値を出力する比較器と、各スイッチング部に対応しており、前記比較器から出力された値がプラスであれば、前記電流制御回路から出力された値を減少させる補正をし、前記比較器から出力された値がマイナスであれば、前記電流制御回路から出力された値を増加させる補正をする補正手段と、を備えていることを特徴としている。
【0027】
上記の構成によれば、各ブリッジ電流検出器で検出した電流値から平均値算出器で算出した平均値を減算した値がプラスであれば、電流制御回路から出力された値を減少させる補正をし、マイナスであれば、電流制御回路から出力された値を増加させる補正をすることができる。こうすることにより、各スイッチング部に流れる電流値を平均化することができる。これにより、一つのスイッチング部に電流が偏って流れる偏流現象を防止することができ、各種回路素子を保護することができる。
【発明の効果】
【0028】
電源装置の小型化が可能なスイッチング制御を採用しつつ、スイッチングした際発生するスイッチングノイズを低減させることができる超電導コイルの電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る超電導コイルの電源装置の構成を示す概略図である。
【図2】第1実施形態に係る超電導コイルの電源装置の構成図である。
【図3】第1実施形態に係る第1フルブリッジ回路及び第2フルブリッジ回路の構成図である。
【図4】第1実施形態に係る第1PWM信号変換器の構成図である。
【図5】第1実施形態に係る第1PWM信号変換器にゲイン調整器を追加した構成図である。
【図6】第1実施形態に係る第1PWM信号変換器での信号変換を説明した説明図である。
【図7】基本パルス生成器が出力する位相差を持ったパルス信号の説明図である。
【図8】例1に係る電圧制御手段を備えた超電導コイルの電源装置の構成図である。
【図9】例2に係る電圧制御手段を備えた超電導コイルの電源装置の構成図である。
【図10】例3に係る電圧制御手段を備えた超電導コイルの電源装置の構成図である。
【図11】第1実施形態に係る回生回路の構成図である。
【図12】回生回路の変形例に係る構成図である。
【図13】励磁時及び消磁時のスイッチングレギュレータの電圧変動を示した説明図である。
【図14】偏流防止機構を備えた超電導コイルの電源装置の構成図である。
【図15】第1実施形態に係るPWM信号を説明した説明図である。
【図16】変形例に係るPWM信号を説明した説明図である。
【図17】図15及び図16に示したPWM信号によりスイッチング素子をスイッチング制御した場合の超電導コイル及びスイッチング素子に流れる電流を説明した第1説明図である。
【図18】図15及び図16に示したPWM信号によりスイッチング素子をスイッチング制御した場合の超電導コイル及びスイッチング素子に流れる電流を説明した第2説明図である。
【図19】図15及び図16に示したPWM信号によりスイッチング素子をスイッチング制御した場合の超電導コイル及びスイッチング素子に流れる電流を説明した第3説明図である。
【図20】第2実施形態に係る超電導コイルの電源装置における混合ブリッジ回路及び混合ブリッジ回路の構成図である。
【図21】変形例1に係る超電導コイルの電源装置の構成図である。
【図22】変形例1に係る第1ハーフブリッジ回路及び第2ハーフブリッジ回路の構成図である。
【図23】変形例4に係る超電導コイルの電源装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明に係る電源装置101は、図1に示すように超電導コイル2を励磁するための電源であって、交流電源50から出力される交流電力を直流電力に変換する直流電源手段51と、スイッチング信号に基づいて直流電力を出力許可と出力禁止とにスイッチングすることにより交流状のスイッチング電力とする第1スイッチング部52及び第2スイッチング部53を直流電源手段51に並列接続したスイッチング手段56と、第1スイッチング部52及び第2スイッチング部53から出力されたスイッチング電力を平滑化することにより一定電圧の平滑化電力にして超電導コイル2に出力する平滑手段55と、各第1スイッチング部52及び第2スイッチング部53に対して、所定の周波数でスイッチング信号をそれぞれ出力することにより所定の平滑化電力を形成すると共に、第2スイッチング部53に出力するスイッチング信号を第1スイッチング部52に出力するスイッチング信号に対して位相差を持たせて出力するスイッチング制御手段54とを主に備えた構成をしている。以下、より詳しい構成を説明する。
【0031】
(電源装置101の構成)
図2に示すように、電源装置101は、超電導コイル2に接続されている。そして、電源装置101は、交流電源50と接続されたスイッチングレギュレータ110(直流電源手段51)と、スイッチングレギュレータ110と接続された4つのスイッチング素子21〜24からなる第1フルブリッジ回路103(第1スイッチング部52)と、同じくスイッチングレギュレータ110と接続された4つのスイッチング素子31〜34からなる第2フルブリッジ回路104(第2スイッチング部53)と、第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104に対してスイッチング素子21〜24・31〜34をオン・オフするPWM信号を出力するスイッチング制御手段54と、スイッチング制御手段54と第1フルブリッジ回路103との間に接続された第1ドライバー部105と、スイッチング制御手段54と第2フルブリッジ回路104との間に接続された第2ドライバー部106と、図3に示すようにスイッチング素子21(第1スイッチング素子)とスイッチング素子22(第2スイッチング素子)との間と超電導コイル2との間に接続された第1リアクトル121と、スイッチング素子23(第3スイッチング素子)とスイッチング素子24(第4スイッチング素子)との間に接続された第2リアクトル122と、第1リアクトル121と超電導コイル2との間を一端41aとし、第2リアクトル122と超電導コイル2との間を他端41bとして接続された平滑コンデンサ41(平滑手段)と、同様にスイッチング素子31とスイッチング素子32との間と超電導コイル2との間に接続された第1リアクトル123と、スイッチング素子33とスイッチング素子34との間に接続された第2リアクトル124と、第1リアクトル123と超電導コイル2との間を一端42aとし、第2リアクトル124と超電導コイル2との間を他端42bとして接続された平滑コンデンサ42(平滑手段)と、スイッチングレギュレータ110のプラス側とマイナス側との間に接続された回生回路118(回生手段)とを具備している。
【0032】
超電導コイル2は、巻枠に超電導線材を略螺旋状に巻き付けることにより構成されており、液体ヘリウムにより極低温(約4.2K)に冷却した状態で電流を流すことで強磁場を発生させるようになっている。スイッチングレギュレータ110は、交流電源50から出力される交流電力を所定の直流電力に変換する役割を果たす装置である。なお、以後の説明では、超電導コイル2の2aから2bに電流が流れる方向を正方向とし、超電導コイル2の2bから2aに電流が流れる方向を逆方向とする。
【0033】
スイッチング制御手段54は、電流検出器111と、目標値設定器170と、電流制御回路112と、基本パルス生成器109と、第1PWM信号変換器107と、第2PWM信号変換器108とを主な構成要素としている。
【0034】
電流検出器111は、超電導コイル2の2b側と接続して超電導コイル2に流れる電流値を検出し、検出した電流値を電流制御回路112に出力できるように接続されている。また、目標値設定器170は、目標とする電流値を予め設定して、設定した電流値に移行するように指令する電流指令値を電流制御回路112に出力できるように接続されている。また、電流制御回路112は、電流検出器111が検出した電流値と目標値設定器170が出力した電流指令値との差分の値を電流誤差信号として第1PWM信号変換器107及び第2PWM信号変換器108に出力することができるように接続されている。また、基本パルス生成器109は、第1PWM信号変換器107及び第2PWM信号変換器108に位相差を付けたパルス信号を出力可能に接続されている。
【0035】
第1PWM信号変換器107は、図4に示すように、電流制御回路112が出力した電流誤差信号を正方向信号(プラス側)と逆方向信号(マイナス側)に分離する分離器131と、分離器131で分離された正方向信号と基本パルス生成器109から出力されたパルス信号とから正方向のPWM信号(スイッチング信号)を出力するPWM信号生成器132と、分離器131で分離された逆方向信号と基本パルス生成器109から出力されたパルス信号とから逆方向のPWM信号(スイッチング信号)を出力するPWM信号生成器133とを具備している。なお、第2PWM信号変換器108も第1PWM信号変換器107と同様の構成をしているため説明を省略する。
【0036】
PWM信号生成器132は、基本パルス生成器109が発生させたパルス信号を積分して三角波にする三角波発生器141と(図6参照)、分離器131で分離された正方向信号と三角波発生器141で発生させた三角波を比較し三角波の方が小さい間、スイッチング素子21〜24のいずれかをONにスイッチングするPWM信号に変換し、三角波の方が大きい間、スイッチング素子21〜24のいずれかをOFFにスイッチングするPWM信号に変換して第1ドライバー部105に出力するPWM信号発生器142と(図6参照)、で構成されている。同様に、PWM信号生成器133は、基本パルス生成器109が発生させたパルス信号を積分して三角波にする三角波発生器143と、分離器131で分離された逆方向信号と三角波発生器143で発生させた三角波を比較し三角波の方が小さい間、スイッチング素子21〜24のいずれかをONにスイッチングするPWM信号に変換し、三角波の方が大きい間、スイッチング素子21〜24のいずれかをOFFにスイッチングするPWM信号に変換して第1ドライバー部105に出力するPWM信号発生器144とで構成されている。なお、三角波発生器141と三角波発生器143とは全く同じ働きであるため1個にして共用しても良い。
【0037】
なお、PWM信号によるスイッチング制御の精度を上げたい場合、図5に示すように、電流制御回路112が出力する電流誤差信号に所定の倍率(ゲイン)を掛けて補正するゲイン調整器145を追加する。ここで、ゲイン調整器145は、スイッチングレギュレータ110から所定の倍率を指令する電圧制御信号が入力されてゲインを決めることになる。
【0038】
ここで、基本パルス生成器109は、第1PWM信号変換器107及び第2PWM信号変換器108に対して、所定の周波数で位相差を持ったパルス信号を出力する。具体的には、図7(a)に示すように、第1PWM信号変換器107に対して出力するパルス信号をパルス信号1としたら、第2PWM信号変換器108に出力するパルス信号はパルス信号1に対して180°の位相差を持ったパルス信号2となる。なお、スイッチング手段としてのフルブリッジ回路が4ユニットある構成であれば、図7(b)に示すように90°の位相差を持たせたパルス信号を発生させることになる。
【0039】
第1ドライバー部105は、図3に示すように、正方向駆動回路5と、逆方向駆動回路6と、ハイサイド駆動回路9と、ローサイド駆動回路10と、ハイサイド駆動回路11と、ローサイド駆動回路12とを具備している。そして、正方向駆動回路5は、駆動回路9及びローサイド駆動回路12にPWM信号発生器142から出力されたPWM信号を出力可能に接続されている。また、逆方向駆動回路6は、ローサイド駆動回路10及びハイサイド駆動回路11にPWM信号発生器144から出力されたPWM信号を出力可能に接続されている。なお、第2ドライバー部106も同様の構成をしている。
【0040】
第1フルブリッジ回路103は、4つのスイッチング素子21〜24を備えている。各スイッチング素子21〜24には、PチャンネルのパワーMOSFETを使用している。また、各スイッチング素子21〜24素子内には寄生ダイオード21a〜24dと称されるダイオードが内蔵されている。この寄生ダイオードはスイッチング素子がOFFの時、行き場のない電流を還流する役割を果たす。なお、本実施形態では、パワーMOSFETはすべてをPチャンネルで構成しているが、パワーMOSFETにNチャンネルのものを使用しても良い。また、NチャンネルとPチャンネルの両方を使用したコンプリメンタリ素子を使用しても良い。また、パワーMOSFETの代わりに通常のバイポーラトランジスタを使用してもよい。なお、第2フルブリッジ回路104も同様の構成をしている。
【0041】
そして、図3に示すように、第1フルブリッジ回路103において、スイッチングレギュレータ110のプラス側Vccからスイッチング素子21を介してスイッチング素子22に接続し、スイッチング素子22はスイッチングレギュレータ110のマイナス側GNDに繋がっている。また、スイッチング素子21とスイッチング素子22との間の接続点から第1リアクトル121を経て超電導コイル2の2aに接続されている。また、スイッチングレギュレータ110のプラス側Vccからスイッチング素子23を介してスイッチング素子24に接続し、スイッチング素子24はスイッチングレギュレータ110のマイナス側GNDに繋がっている。また、スイッチング素子23とスイッチング素子24との間の接続点から第2リアクトル122を経て超電導コイル2の2bに接続されている。
【0042】
同様に、第2フルブリッジ回路104において、スイッチングレギュレータ110のプラス側Vccからスイッチング素子31を介してスイッチング素子32に接続し、スイッチング素子32はスイッチングレギュレータ110のマイナス側GNDに繋がる。また、スイッチング素子31とスイッチング素子32との間の接続点から第1リアクトル123を経て超電導コイル2の2aに接続されている。また、スイッチングレギュレータ110のプラス側Vccからスイッチング素子33を介してスイッチング素子34に接続し、スイッチング素子34はスイッチングレギュレータ110のマイナス側GNDに繋がっている。また、スイッチング素子33とスイッチング素子34との間の接続点から第2リアクトル124を経て超電導コイル2の2bに接続されている。
【0043】
ここで、PWM信号生成器132から出力された正方向のPWM信号は、正方向駆動回路5及びハイサイド駆動回路9とローサイド駆動回路12を経てスイッチング素子21及びスイッチング素子24のON・OFFを制御する。この系統がONであるときは超電導コイル2の2aから2bに電流が流れる。また、PWM信号生成器133から出力された逆方向のPWM信号は、逆方向駆動回路6及びローサイド駆動回路10とハイサイド駆動回路11を経てスイッチング素子22及びスイッチング素子23のON・OFFを制御する。この系統がONであるときは超電導コイル2の2bから2aに電流が流れる。なお、図4では交流(サインカーブ)を入力しているが、実際の超電導マグネットではこのような使い方をすることはほとんどなく、あくまでPWMの動作の説明のためである。
【0044】
平滑コンデンサ41は、第1リアクトル121と超電導コイル2との間を一端41aとし、第2リアクトル122と超電導コイル2との間を他端41bとして接続されている。同様に平滑コンデンサ42は、第1リアクトル123と超電導コイル2との間を一端42aとし、第2リアクトル124と超電導コイル2との間を他端42bとして接続されている。このように超電導コイル2の2aに第1リアクトル121と第1リアクトル123を経由してひとまとめに接続するのは第1フルブリッジ回路103と第2フルブリッジ回路104の短絡・干渉防止のためである。また、平滑コンデンサ41を設けるとリアクトル121・122との間でローパスフィルタになりスイッチングノイズを軽減する。なお、平滑コンデンサ42も同様である。
【0045】
回生回路118は、図2に示すように、スイッチングレギュレータ110のプラス側とマイナス側との間に接続されている。この回生回路118は、図11に示すように、トランジスタ151と、トランジスタ151に直列接続された抵抗器152と、スイッチングレギュレータ110の電圧を検出する電圧検出器154(直流電源電圧検出器)と、閾値を設定する閾値設定器155と、電圧検出器154で検出した値が閾値設定器155で設定した閾値を上回った場合に、トランジスタ151を導通させて抵抗器152に電流を導通させるコンパレータ153とを備えている。
【0046】
(電源装置101の動作)
次に、本実施形態に係る電源装置101の動作について説明する。まず、超電導コイル2の励磁時の電源装置101の動作を説明した後に、超電導コイル2の消磁時の電源装置101の動作について説明する。
【0047】
まず、超電導コイル2を励磁するにあたり、目標値設定器170において、励磁時における目標とする電流値を設定する。これにより、目標値設定器170は、設定した電流値に移行するように指令する電流指令値を電流制御回路112出力することになる。
【0048】
そして、スイッチングレギュレータ110の電源をオンにすることにより交流電源50から出力された交流電力を直流電力に変換する。これにより、超電導コイル2の励磁が開始される。
【0049】
次に、電流検出器111は、超電導コイル2に流れる電流値を検出してその値を電流制御回路112にフィードバックする。そして、電流制御回路112は、電流検出器111が検出した電流値と目標値設定器170が出力した電流指令値との差分の値を電流誤差信号として第1PWM信号変換器107及び第2PWM信号変換器108に出力する。
【0050】
そして、第1PWM信号変換器107に出力された電流誤差信号は、分離器131によって正方向信号(プラス側)と逆方向信号(マイナス側)に分離される(図4参照)。そして、分離器131によって分離された正方向信号はPWM信号生成器132のPWM信号発生器142に入力される。また、分離器131によって分離された逆方向信号はPWM信号生成器133のPWM信号発生器144に入力される。なお、第2PWM信号変換器108に出力された電流誤差信号においても同様の処理がなされる。
【0051】
一方、基本パルス生成器109は、第1PWM信号変換器107及び第2PWM信号変換器108に対して、位相差を持ったパルス信号を出力する。具体的には、図7(a)に示すように、第1PWM信号変換器107に対して出力するパルス信号をパルス信号1としたら、第2PWM信号変換器108に出力するパルス信号はパルス信号1に対して180°の位相差を持ったパルス信号2である。
【0052】
そして、第1PWM信号変換器107に出力されたパルス信号1は、PWM信号生成器132の三角波発生器141において、積分されて三角波信号に変換されて(図6参照)、PWM信号発生器142に出力される。同様に、パルス信号1は、PWM信号生成器133の三角波発生器143において、積分されて三角波信号に変換されて(図6参照)、PWM信号発生器144に出力される。
【0053】
次に、PWM信号発生器142は、分離器131で分離された正方向信号と三角波発生器141で発生させた三角波信号を比較し三角波信号の方が小さい間、スイッチング素子21・24をONにスイッチングするPWM信号に変換し、三角波の方が大きい間、スイッチング素子21・24をOFFにスイッチングするPWM信号に変換する(図6参照)。また、PWM信号発生器144は、分離器131で分離された逆方向信号と三角波発生器143で発生させた三角波信号を比較し三角波信号の方が小さい間、スイッチング素子22・23をONにスイッチングするPWM信号に変換し、三角波の方が大きい間、スイッチング素子22・23をOFFにスイッチングするPWM信号に変換する(図6参照)。
【0054】
そして、PWM信号生成器132のPWM信号発生器142から出力された正方向のPWM信号は、第1ドライバー部105の正方向駆動回路5及びハイサイド駆動回路9とローサイド駆動回路12を経てスイッチング素子21及びスイッチング素子24のON・OFFを制御する。また、PWM信号生成器133のPWM信号発生器144から出力された逆方向のPWM信号は、逆方向駆動回路6及びローサイド駆動回路10とハイサイド駆動回路11を経てスイッチング素子22及びスイッチング素子23のON・OFFを制御する。
【0055】
同様に、第2PWM信号変換器108は、パルス信号1に対して180°の位相差を持ったパルス信号2と電流制御回路112が出力した電流誤差信号からスイッチング素子31〜34をON・OFFにスイッチングするPWM信号に変換する。そして、第2PWM信号変換器108から出力された正方向のPWM信号は、第2ドライバー部106の正方向駆動回路7及びハイサイド駆動回路13とローサイド駆動回路16を経てスイッチング素子31及びスイッチング素子34のON・OFFを制御する。また、第2PWM信号変換器108から出力された逆方向のPWM信号は、逆方向駆動回路8及びローサイド駆動回路14とハイサイド駆動回路15を経てスイッチング素子32及びスイッチング素子33のON・OFFを制御する。
【0056】
そして、スイッチングレギュレータ110から出力された直流電力は、スイッチング素子21〜24のオン・オフが制御された第1フルブリッジ回路103を介して交流状のスイッチング電力として出力される。そして、スイッチング電力は、第1リアクトル121又は第2リアクトル122を経由して平滑化電力として超電導コイル2に供給されることになる。同様に、スイッチングレギュレータ110から出力された直流電力は、スイッチング素子31〜34のオン・オフが制御された第2フルブリッジ回路104を介して交流状のスイッチング電力として出力される。そして、スイッチング電力、は第1リアクトル123又は第2リアクトル124を経由して平滑化電力として超電導コイル2に供給されることになる。なお、第1フルブリッジ回路103から出力された平滑化電力と第2フルブリッジ回路104から出力された平滑化電力は合流して超電導コイル2に供給される。また、超電導コイル2の2aに第1リアクトル121と第1リアクトル123を経由してひとまとめにするのは第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104の短絡・干渉防止のためでもある。また、平滑コンデンサ41・42は、リアクトル121〜124との間でローパスフィルタになりスイッチングノイズを軽減する役割を果たす。
【0057】
次に、図15及び図17を参照して、図15に示すPWM信号によりスイッチング素子21〜24のON・OFFをスイッチング制御した場合の超電導コイル2及びスイッチング素子21〜24に流れる電流に関して説明する。なお、前述したようにスイッチング素子21〜24には寄生ダイオード21a〜24dと呼ばれるダイオードを備えているが、図17では分かりやすくするために、分離して表記している。また、図17には出力付近のリアクトル121〜124、平滑コンデンサ41・42などを省略して表記している。また、コンデンサ600はスイッチングレギュレータ110に内蔵されている出力コンデンサで代用する場合と図17(a)のようにスイッチングレギュレータ110に内蔵されている出力コンデンサとは別にスイッチング素子近傍に追加する場合とがある。ここでは、いずれにしても、コンデンサの機能説明のため取り出して表記している。
【0058】
まず、図15に示すようにスイッチング素子21及びスイッチング素子24がON、スイッチング素子22及びスイッチング素子23がOFFである期間Aの間、図17(a)に示すように、電流はスイッチング素子21から超電導コイル2を経由してスイッチング素子24に流れる。その後、全てのスイッチング素子21〜24がOFFにした場合(期間B)、超電導コイル2に電流が流れ続けようとするため、図17(b)に示すように、電流は寄生ダイオード22bから超電導コイル2を経由して寄生ダイオード23bに流れる。この時は負荷側からコンデンサ600が充電されることになる。このように従来の流れとは逆方向に流れる事を転流と称するが、寄生ダイオード21a〜24dのON電圧などのロスがあるので戻って来るエネルギーは供給されたエネルギー100%ではない。上記のような電流の流れがスイッチング素子21〜24のON・OFFにより繰り返されることにより、コンデンサ600の充電放電が繰り返されることになる。
【0059】
また、図15に示すPWM信号によりスイッチング素子31〜34のON・OFFをスイッチング制御した場合にも上記説明と同様に超電導コイル2及びスイッチング素子31〜34に電流が流れる。この場合、第2PWM信号変換器108に出力するパルス信号2はパルス信号1に対して180°の位相差を持っているため、スイッチング素子31〜34のON・OFFのタイミングは、スイッチング素子21〜24のON・OFFのタイミングに対してずれることから、スイッチング素子21〜24及びスイッチング素子31〜34のON・OFFのタイミングが分散されることになる。
【0060】
以上超電導コイル2の励磁時の電源装置101の動作を説明した。次に、超電導コイル2の消磁時の電源装置101の動作について説明する。
【0061】
超電導コイル2の消磁時、コンパレータ153は、電圧検出器154で検出した値が閾値設定器155で設定した閾値(本実施形態では、13.5V)を上回った場合に、トランジスタ151を導通させて抵抗器152に電流を導通させて電源装置101内のエネルギーを消費させてスイッチングレギュレータ110の電圧を低下させる。なお、コンパレータ153は、電圧検出器154で検出した値が所定の値(本実施形態では、12.5V)を上回った場合に、トランジスタ151の導通を中止する。図13に示すように、励磁時はスイッチングレギュレータ110側からエネルギーが供給されてコントロールされているので電圧は12Vで一定している。一方、消磁時にはエネルギーが電源装置101内を還流し電圧を上昇し、回生開始閾値13.5Vに達するとトランジスタ151を導通させて抵抗器152に電流を導通させエネルギーを消費させる。また、回生停止閾値12.5に達するとトランジスタ151の導通を中止する。このように二つの閾値を持ち応差(ヒステリシス)を持った動作をさせている。このような回生制御の結果、消磁時の電圧は、図13に示すように12.5Vと13.5Vの間を往来したギザギザした波形になる。このようして、超電導コイル2の消磁時には、回生回路118を用いてスイッチングレギュレータ110の電圧上昇を抑制する。
【0062】
以上に説明した構成によれば、第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104のそれぞれに対して、所定の周波数でPWM信号を出力することにより直流電力を出力許可(オン)と出力禁止(オフ)とにスイッチングして交流状のスイッチング電力を出力し、出力されたスイッチング電力を平滑化することにより一定電圧の平滑化電力にして超電導コイル2に供給する。ここで、直流電力をスイッチング電力に変換する際にスイッチングのタイミングで発生するスイッチングノイズは、スイッチング電力を平滑コンデンサ41・42等によって一定電圧の平滑化電力にしたとしてもわずかに残る。そこで、第2フルブリッジ回路104に対して出力するPWM信号を第1フルブリッジ回路103に対して出力するPWM信号に対して位相差を持たせて出力することにより、第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104から出力される平滑化電力に残ったスイッチングノイズの発生タイミングをそれぞれ位相差分ずれさせることができる。これによれば、並列接続された第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104から出力されたスイッチングノイズの発生タイミングが分散された平滑化電力を合流させることになるので、大きなノイズにはならずスイッチングノイズを低減させることができる。また、スイッチング制御をしているため、消費電力を抑えることができ、電源装置101の小型化が可能となる。
【0063】
また、位相差を持ったPWM信号に変換するのに以下の手法を使用している。基本パルス生成器109から180°の位相差を付けたパルス信号を第1PWM信号変換器107及び第2PWM信号変換器108に対してそれぞれ出力し、第1PWM信号変換器107及び第2PWM信号変換器108はそのパルス信号を積分した値から電流制御回路112が出力した値を減算して、マイナスの値であればオンに、プラスの値であればオフにそれぞれのスイッチング素子21〜24・31〜34をスイッチングするPWM信号に変換する。こうすることにより、第1PWM信号変換器107及び第2PWM信号変換器108は各々位相差を持ったPWM信号に変換する。そして、この位相差を持ったPWM信号によって、第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104毎にスイッチング制御される。こうすることにより、第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104から出力される平滑化電力に残ったスイッチングノイズの発生タイミングをそれぞれ位相差分ずれさせることができる。
【0064】
また、上記の構成によれば、第1フルブリッジ回路103(第2フルブリッジ回路104)に第1リアクトル121(123)と第2リアクトル122(124)と平滑コンデンサ41(42)を接続しているため、スイッチング素子21〜24(31〜34)をスイッチングする際のスイッチングノイズとしての電流リプルをカットして低減させることができる。
【0065】
また、上記の構成によれば、超電導コイル2を消磁する際において、電圧検出器154で検出した値が閾値設定器155で設定した閾値を上回った場合に、トランジスタ151を導通させて抵抗器152に電流を導通させてエネルギーを消費させることによりスイッチングレギュレータ110の電圧を低下させることができる。
【0066】
以上、第1実施形態について説明したが、本発明は更に下記構成を追加・変更して実施することができるものである。
【0067】
例えば、電源装置101に、スイッチングレギュレータ110の電圧をコントロールする電圧制御手段を更に追加した構成にすることも可能である。
【0068】
(電圧制御手段の例1)
具体的には、図8に示すように、電源装置101は、電圧制御手段として、電圧検出部113と、絶対値化部114と、電圧制御部115とを備えた構成とする。電圧検出部113は、超電導コイル2の両端に接続して超電導コイル2の電圧を検出し、絶対値化部114に検出した値を出力可能に接続されている。絶対値化部114は、電圧検出部113で検出した電圧値を絶対値化し、電圧制御部115に絶対値化された値を出力可能に接続されている。電圧制御部115は、絶対値化部114で絶対値化された値に所定値を加算した値をスイッチングレギュレータ110に出力可能に接続されている。
【0069】
第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104を使用して超電導コイル2にプラス電圧を与える場合もマイナス電圧を与える場合も元の電圧はプラスのみでよい。例えば、出力が±10V必要な場合、内部のロス(例えば1V)を考慮して元電源は11Vの単一電源でよい。このため、超電導コイル2の電圧を電圧検出部113で計測し、絶対値化部114で絶対値化して、電圧制御部115でロス分(1V)に余裕分(1V)を加えた値2V(例)を加算してスイッチングレギュレータ110の電圧制御ができるようになる。
【0070】
上記の構成によれば、電圧検出部113で検出した電圧値を絶対値化した値に所定値を加算した値をスイッチングレギュレータ110に出力することによりスイッチングレギュレータ110の電圧を適正値にコントロールすることができる。これによれば、スイッチングレギュレータ110の電圧を必要最低限度まで低くすることにより、スイッチングで発生するオンとオフの電圧差を小さくできるので、スイッチング素子21〜24・スイッチング素子31〜34をスイッチングする際のスイッチングノイズとしての電流リプルが大きくならないように抑制することができる。
【0071】
(電圧制御手段の例2)
また、スイッチングレギュレータ110の電圧をコントロールする電圧制御手段として、図9に示すように、記憶部117と、電圧演算器116と、目標値設定器170と、絶対値化部114と、電圧制御部115とを備えた構成とする。記憶部117は、超電導コイル2のリアクタンスの値を記憶し、必要に応じて電圧演算器116に超電導コイル2のリアクタンスの値を電圧演算器116に出力可能に接続されている。目標値設定器170は、電流増減速度が設定可能とされ、必要に応じて電圧演算器116に電流増減速度を出力可能に接続されている。電圧演算器116は、記憶部117に記憶されたリアクタンスの値に目標値設定器170で設定された電流増減速度を乗算して電圧値を算出し、絶対値化部114に算出した電圧値を出力可能に接続されている。絶対値化部114は、電圧演算器116で算出した電圧値を絶対値化し、電圧制御部115に絶対値化した値を出力可能に接続されている。電圧制御部115は、絶対値化部114で絶対値化された値に所定値を加算した値をスイッチングレギュレータ110に出力可能に接続されている。
【0072】
電圧演算器116は、記憶部117に記憶された超電導コイル2リアクタンスの値に目標値設定器170で設定された電流増減速度を乗算して電圧値を算出する。そして、電圧演算器116で算出された電圧値を絶対値化部114で絶対値化して、電圧制御手段の例1同様に、電圧制御部115でロス分に余裕分を加えた値を加算してスイッチングレギュレータ110を電圧制御する。
【0073】
上記の構成によれば、超電導コイル2のリアクタンスの値に目標値設定器170で設定された電流増減速度を乗算して電圧値を算出し、算出した電圧値を絶対値化した値に所定値を加算した値をスイッチングレギュレータ110に出力することによりスイッチングレギュレータ110の電圧を適正値にコントロールすることができる。これによれば、スイッチングレギュレータ110の電圧を必要最低限度まで低くすることにより、スイッチングで発生するオンとオフの電圧差を小さくできるので、スイッチング素子21〜24・スイッチング素子31〜34をスイッチングする際のスイッチングノイズとしての電流リプルが大きくならないように抑制することができる。
【0074】
(電圧制御手段の例3)
また、スイッチングレギュレータ110の電圧をコントロールする電圧制御手段として、図10に示すように、加算器165と、目標値設定器163と、比較回路164と、更に、参照電圧を出力する参照電圧器166と、電圧制御回路167とを備えた構成とする。加算器165は、第1PWM信号変換器107から出力された正方向のPWM信号および逆方向のPWM信号を合成してフィルタ161によって平均化した値と、第2PWM信号変換器108から出力された正方向のPWM信号および逆方向のPWM信号を合成してフィルタ162によって平均化した値とを加算した値を比較回路164に出力可能に接続されている。目標値設定器163は、目標とする電圧目標値が設定可能とされ、必要に応じて比較回路164に電圧目標値を出力可能に接続されている。比較回路164は、加算器165で加算した値から目標値設定器163で設定した電圧目標値を減算し、マイナスであれば差分の値に相当するプラス出力を電圧制御回路167に出力し、プラスであれば差分の値に相当するマイナス出力を電圧制御回路167に出力可能に接続されている。参照電圧器166は参照電圧を電圧制御回路167に出力可能に接続されている。電圧制御回路167は、参照電圧器166の参照電圧を参照して、比較回路164から出力されたプラス出力又はマイナス出力をスイッチングレギュレータ110に出力可能に接続されている。
【0075】
仮に、第1フルブリッジ回路103および第2フルブリッジ回路104の正方向を制御するデューティが80%で、第1フルブリッジ回路103および第2フルブリッジ回路104の逆方向を制御するデューティが0%とすると、仮にパルス高さが5Vで設計されていれば正方向80%+逆方向0%の合計80%を平均化してフィルタ161の出力が4Vになり、同様にフィルタ162の出力も4Vであるため、加算器165が出力する信号は8Vとなる。目標値設定器163では、電圧目標値を比較回路164に出力し、比較回路164は、加算器165から得た値の方が電圧目標値より小さければプラスの出力、加算器165から得た値の方が電圧目標値より大きければマイナスの出力を電圧制御回路167に出力して調整する。なお、166は参照電圧器であり、通常スイッチングレギュレータ110の定格電圧の半分程度、例えば5Vなどに相当する参照電圧にする。上記加算器165の両フィルタ信号が加算され、倍化されているので、この参照電圧も倍化し、5×2=10Vなどに設定する。このようにして、電圧制御回路167の出力はデューティ比80%で運転するようにPWM信号から得た電圧をフィードバック信号としてスイッチングレギュレータ110の電圧制御をし、平均的なデューティ比80%で運転するように制御する。
なお、正常に制御していればフィルタ161の出力とフィルタ162の出力は同値なので、片方を省略しても良い。また、第1PWM信号変換器107から出力された正方向のPWM信号および逆方向のPWM信号を合成してフィルタ161によって平均化する代わりに、正方向のPWM信号をフィルタで平均化し、逆方向のPWM信号を別のフィルタで平均化しあと加算し、フィルタ161を省略する方法を採用しても良い。
【0076】
上記の構成によれば、加算器165で加算した値から目標値設定器163で設定した電圧目標値を減算し、マイナスであれば差分の値に相当するプラス出力をスイッチングレギュレータ110に出力し、プラスであれば差分の値に相当するマイナス出力をスイッチングレギュレータ110に出力することによりスイッチングレギュレータ110の電圧を適正値にコントロールすることができる。これによれば、スイッチングレギュレータ110の電圧を必要最低限度まで低くすることにより、スイッチングで発生するオンとオフの電圧差を小さくできるので、スイッチング素子21〜24・スイッチング素子31〜34をスイッチングする際のスイッチングノイズとしての電流リプルが大きくならないように抑制することができる。
【0077】
(回生回路118の変形例)
また、第1実施形態で説明した図11に示した回生回路118に代えて、図12に示した回生回路118に変更してもよい。
【0078】
図12に示す回生回路118は、回生用スイッチング素子174と、抵抗器152と、電圧検出器154(直流電源電圧検出器)と、閾値設定器655と、回生制御手段171と、基本パルス生成器173と、回生用スイッチング素子制御回路172とを備えた構成をしている。回生用スイッチング素子174は、スイッチングレギュレータ110のプラス側とマイナス側との間に接続され、オン・オフにより直列に接続した抵抗器152に電流を導通させるか導通させないかをコントロールする役割を果たす。抵抗器152は、回生用スイッチング素子174に直列接続され、導通された電流を通過させてエネルギーを消費させる役割を果たす。電圧検出器154は、スイッチングレギュレータ110のプラス側とマイナス側に接続してスイッチングレギュレータ110の電圧を検出し、検出した電圧値を回生制御手段171に出力可能に接続されている。閾値設定器655は、予め所定の回生開始閾値や最大回生閾値を設定し、必要に応じて設定した回生開始閾値や最大回生閾値を回生制御手段171に出力可能に接続されている。回生制御手段171は、電圧検出器154で検出した電圧値と閾値設定器655で設定した回生開始閾値、例えば12.5Vとの差分の値を回生用スイッチング素子制御回路172に出力可能に接続されている。パルス生成器173は、パルス信号を回生用スイッチング素子制御回路172に出力可能に接続されている。回生用スイッチング素子制御回路172は、基本パルス生成器173が発生させたパルス信号を積分した値から回生制御手段171が出力した値を減算して、マイナスの値であれば回生用スイッチング素子174をオンに、プラスの値であれば回生用スイッチング素子174をオフにスイッチングするPWM信号に変換し、そのPWM信号を回生用スイッチング素子174に出力可能にするように接続されている。なお、回生制御手段171などでは閾値設定器655で設定した最大回生閾値、例えば13.5VでPWM信号が最大の状態(例えば常にオンになる状態)で制御される。また、基本パルス生成器173には、基本パルス生成器109を流用してもよい。
【0079】
上記の構成によれば、超電導コイル2を消磁する際において、基本パルス生成器173が発生させたパルス信号を積分した値から回生制御手段171が出力した値を減算して、マイナスの値であれば回生用スイッチング素子174をオンにして、回生用スイッチング素子174を導通させて抵抗器152に電流を導通させてエネルギーを消費させることによりスイッチングレギュレータ110の電圧を低下させることができる。また、閾値との差分に応じてPWM信号のオンとオフの比率を変化させてスイッチングするので回生動作時のスイッチングの電圧変動を小さくできる。図13ののこぎり型変動をほとんどなくし、消磁に伴うエネルギー吸収の状況に応じて、この例では12.5Vと13.5Vの間のどこかのバランス点(電圧)でほぼ一定の電圧になるように回生動作が制御される。これにより、超電導コイル2の消磁時にスイッチングレギュレータ110の電圧が回生動作で変動するために生じる電流リプルを抑制することができる。
【0080】
(偏流防止機構)
また、電源装置101に、第1フルブリッジ回路103又は第2フルブリッジ回路104に電流が偏って流れる偏流現象を防止することができる機構を更に追加した構成にすることも可能である。
【0081】
具体的には、図14に示すように、電源装置101において、電流検出器111と、目標値設定器170と、電流制御回路112と、ブリッジ電流検出器501と、ブリッジ電流検出器502と、平均値算出器503と、比較器504と、比較器505と、指令値補正手段506(補正手段)と、指令値補正手段507とを備えた構成にする。
【0082】
電流検出器111は、超電導コイル2の2b側と接続して超電導コイル2に流れる電流値を検出し、検出した電流値を電流制御回路112に出力できるように接続されている。目標値設定器170は、目標とする電流値を予め設定して、設定した電流値に移行するように指令する電流指令値を電流制御回路112に出力できるように接続されている。電流制御回路112は、電流検出器111が検出した電流値と目標値設定器170が出力した電流指令値との差分の値を電流誤差信号として指令値補正手段506及び指令値補正手段507に出力することができるように接続されている。ブリッジ電流検出器501は、第1フルブリッジ回路103に接続して第1フルブリッジ回路103に流れる電流値を検出し、検出した電流値を平均値算出器503に出力できるように接続されている。ブリッジ電流検出器502は、第2フルブリッジ回路104に接続して第2フルブリッジ回路104に流れる電流値を検出し、検出した電流値を平均値算出器503に出力できるように接続されている。平均値算出器503は、ブリッジ電流検出器501及びブリッジ電流検出器502で検出した電流値の平均値を算出し、算出した平均値を比較器504及び比較器505に出力できるように接続されている。比較器504は、ブリッジ電流検出器501で検出した電流値から平均値算出器503で算出した平均値を減算して、その値を指令値補正手段506に出力できるように接続されている。比較器505は、ブリッジ電流検出器502で検出した電流値から平均値算出器503で算出した平均値を減算して、その値を指令値補正手段507に出力できるように接続されている。指令値補正手段506は、比較器504から出力された値がプラスであれば、電流制御回路112から出力された値を減少させる補正をし、比較器504から出力された値がマイナスであれば、電流制御回路112から出力された値を増加させる補正をして、補正した値を第1PWM信号変換器107に出力できるように接続されている。指令値補正手段507は、比較器505から出力された値がプラスであれば、電流制御回路112から出力された値を減少させる補正をし、比較器505から出力された値がマイナスであれば、電流制御回路112から出力された値を増加させる補正をして、補正した値を第2PWM信号変換器108に出力できるように接続されている。なお、比較器504及び比較器505にリミッタを設け、リミッタに達した場合は内部異常扱いとして、電流の供給を停止する保護モードの構成を追加してもよい。
【0083】
上記の構成によれば、各ブリッジ電流検出器501・502で検出した電流値から平均値算出器503で算出した平均値を減算した値がプラスであれば、電流制御回路112から出力された値を減少させる補正をし、マイナスであれば、電流制御回路112から出力された値を増加させる補正をすることができる。こうすることにより、第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104に流れる電流値を平均化することができる。これにより、第1フルブリッジ回路103又は第2フルブリッジ回路104の一方に電流が偏って流れる偏流現象を防止することができ、各種回路素子を保護することが可能となる。
【0084】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る電源装置101がバイポーラタイプ、即ち超電導コイル2に流れる電流が2aから2bと2bから2aとのいずれでも流れるタイプであるの対して、図20に示す第2実施形態に係る電源装置201は、ユニポーラタイプ、即ち超電導コイル2に流れる電流が2aから2b方向にのみ流れる構成をしている。
【0085】
具体的には、図20に示す第2実施形態に係る電源装置201は、第1実施形態の電源装置101のスイッチング素子22の代わりにダイオード222を設け、スイッチング素子23の代わりに、ダイオード223を設けている。そして、逆方向のPWM信号がないので、電源装置101における逆方向駆動回路6、ローサイド駆動回路10、ハイサイド駆動回路11は設けていない。同様に、第1実施形態の電源装置101のスイッチング素子32の代わりにダイオード232を設け、スイッチング素子33の代わりに、ダイオード233を設けている。そして、逆方向のPWM信号がないので、電源装置101における逆方向駆動回路8、ローサイド駆動回路14、ハイサイド駆動回路15は設けていない。スイッチング素子22・23及びスイッチング素子32・33を省いたのは、正方向の電流だけ流れるのであれば、スイッチング素子22・23及びスイッチング素子32・33はONになることがないから不要となったためであり、逆にダイオード222・223及びダイオード232・233が必要なのは、スイッチング素子22・23及びスイッチング素子32・33がOFFしたタイミングでの電流の逃げ道がなくなるのでこれを逃がすためである。
【0086】
電源装置201では、スイッチング素子21(第1スイッチング素子)、ダイオード222(第1ダイオード)、ダイオード223(第2ダイオード)、及び、スイッチング素子24(第2スイッチング素子)からなるスイッチング手段を混合ブリッジ回路203としている。また、スイッチング素子31(第1スイッチング素子)、ダイオード232(第1ダイオード)、ダイオード233(第2ダイオード)、及び、スイッチング素子34(第2スイッチング素子)からなるスイッチング手段を混合ブリッジ回路204としている。
【0087】
上記の構成によれば、基本パルス生成器109は、第1PWM信号変換器107及び第2PWM信号変換器108に対して、位相差を持ったパルス信号を出力する。具体的には、第1実施形態同様に、図7(a)に示すように、第1PWM信号変換器107に対して出力するパルス信号をパルス信号1としたら、第2PWM信号変換器108に出力するパルス信号はパルス信号1に対して180°の位相差を持ったパルス信号2である。そして、第1PWM信号変換器107はパルス信号1を積分した値から電流制御回路112が出力した値を減算して、マイナスの値であればオンに、プラスの値であればオフにスイッチング素子21・24をスイッチングするPWM信号に変換する。同様に、第2PWM信号変換器108はパルス信号2を積分した値から電流制御回路112が出力した値を減算して、マイナスの値であればオンに、プラスの値であればオフにスイッチング素子31・34をスイッチングするPWM信号に変換する。そして、第1PWM信号変換器107及び第2PWM信号変換器108は各々位相差を持ったPWM信号を出力する。そして、この位相差を持ったPWM信号によって、混合ブリッジ回路203及び混合ブリッジ回路204毎にスイッチング制御される。こうすることにより、混合ブリッジ回路203及び混合ブリッジ回路204から出力される平滑化電力に残ったスイッチングノイズの発生タイミングをそれぞれ位相差分ずれさせることができる。これによれば、並列接続された混合ブリッジ回路203及び混合ブリッジ回路204から出力されたスイッチングノイズの発生タイミングが分散された平滑化電力を合流させることになるので、大きなノイズにはならずスイッチングノイズを低減させることができる。また、スイッチング素子を使用してスイッチング制御をしているため、消費電力を抑えることができ、電源装置の小型化が可能となる。
【0088】
また、上記の構成によれば、第1実施形態同様に、混合ブリッジ回路203(混合ブリッジ回路204)に第1リアクトル121(123)と第2リアクトル122(124)と平滑コンデンサ41(42)を接続しているため、スイッチング素子21・24(31・34)をスイッチングする際のスイッチングノイズとしての電流リプルをカットして低減させることができる。
【0089】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0090】
(変形例1)
例えば、第1実施形態では、スイッチング手段として、フルブリッジ回路である第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104を使用している。しかし、これに限らず、図21に示すように、ハーフブリッジ回路である第1ハーフブリッジ回路603及び第2ハーフブリッジ回路604を使用した構成にしてもよい。この場合、図22に示すように、第1ハーフブリッジ回路603は、スイッチング素子621素子及びスイッチング素子622の2つのスイッチング素子から構成されている。同様に、第2ハーフブリッジ回路604もスイッチング素子631素子及びスイッチング素子632の2つのスイッチング素子から構成されている。また、直流電源手段にはプラス・マイナス電源が必要で、スイッチングレギュレータ110及びスイッチングレギュレータ610の2段構えの構成としている。そして、スイッチングレギュレータ110とスイッチングレギュレータ610の中点(図ではGND)に超電導コイル2を接続する。
【0091】
上記の構成によっても、第1ハーフブリッジ回路603及び第2ハーフブリッジ回路604に対してそれぞれ位相差を付けてスイッチング制御することができる。即ち、第1ハーフブリッジ回路603及び第2ハーフブリッジ回路604毎によって、スイッチング素子621・622及びスイッチング素子631・632のオン・オフのタイミングが分散されることになる。これにより、スイッチング素子621・622及びスイッチング素子631・632のオン・オフのタイミングが分散されるので、スイッチング素子621・622及びスイッチング素子631・632をスイッチングする際のスイッチングノイズを低減させることができる。また、スイッチング素子621・622及びスイッチング素子631・632を使用してスイッチング制御をしているため、消費電力を抑えることができる。
【0092】
(変形例2)
また、第1実施形態では、図2及び図3に示したように、電源装置101を2組のフルブリッジ回路(第1フルブリッジ回路103及び第2フルブリッジ回路104)で構成する例で説明したが、フルブリッジ回路は3組、4組やそれ以上、たとえば8組構成としても良い。もっとも、フルブリッジ回路の構成数が多い方がスイッチングノイズは減少するが、回路構成の複雑化する。また、第1実施形態では、1つのフルブリッジ回路(例えば、第1フルブリッジ回路103)に4つのスイッチング素子21〜24を使用しているが、これに限らず、2つのスイッチング素子を並列で使用して合計8つのスイッチング素子でフルブリッジ回路を構成してもよい。
【0093】
(変形例3)
また、第1実施形態ではスイッチング素子21〜24のON・OFFをスイッチング制御するために図15で示したPWM信号を使用している。スイッチング素子21とスイッチング素子24は同じPWM信号でON/OFFし、スイッチング素子22とスイッチング素子23はOFFのままとなっている。しかしながら、これに限らず、図15のようなPWM信号以外に種々のものが実現できる。図16(a)、図16(b)、図16(c)はその変形例である。
【0094】
(変形例3−1:図16(a))
図16(a)では、スイッチング素子21に対するPWM信号とスイッチング素子22に対するPWM信号とは補完関係にあり、スイッチング素子23に対するPWM信号とスイッチング素子24に対するPWM信号とも補完関係にある。
【0095】
(変形例3−2:図16(b))
また、図16(b)では、スイッチング素子21に対するPWM信号とスイッチング素子22に対するPWM信号とは補完関係にあり、スイッチング素子23に対するPWM信号とスイッチング素子24に対するPWM信号とも補完関係にあるが、スイッチング素子21に対するPWM信号とスイッチング素子24に対するPWM信号とは異なる信号である。
【0096】
次に、図17〜図19を参照して図16(b)に示すPWM信号によりスイッチング素子21〜24をON・OFFした場合の超電導コイル2およびスイッチング素子21〜24に流れる電流を説明する。
【0097】
まず、スイッチング素子21・24がONでスイッチング素子22・23がOFFである期間Aでは、電流は図17(a)のようにスイッチング素子21から超電導コイル2を経由してスイッチング素子24に流れる。次に、スイッチング素子21・23がONでスイッチング素子22・24がOFFである期間Bでは、電流は図18(b)のようにスイッチング素子21から超電導コイル2を経由してスイッチング素子23に流れて還流することになる。再びスイッチング素子21・24がONでスイッチング素子22・23がOFFである期間Cでは、電流は図17(a)のようにスイッチング素子21から超電導コイル2を経由してスイッチング素子24にながれる。次に、スイッチング素子22・24がONで21・23がOFFである期間Dでは、電流は図19のようにスイッチング素子22から超電導コイル2を経由してスイッチング素子24に流れて還流することになる。
【0098】
上記のように超電導コイル2に電流が流れ続けるが、スイッチングレギュレータ110からコンデンサ600に溜まった電流が放電されながら供給される状態と、スイッチングレギュレータ110やコンデンサ600からほとんど電流が供給されずに還流している状態とを繰り返す。
【0099】
スイッチング素子21〜24のON・OFFをスイッチング制御するために図15で示したPWM信号を使用した場合、コンデンサ600がスイッチング毎に充放電を繰り返すので、コンデンサ600の性能により制御特性が悪くなることや、繰り返す充放電でコンデンサ600の寿命が短くなる場合がある。しかしながら、スイッチング素子21〜24のON・OFFをスイッチング制御するために図16(b)で示したPWM信号を使用した場合、スイッチング素子21〜24の応答性や内部抵抗で性能が決まるため、コンデンサ600の性能に左右する場合と比べて制御性能の向上が期待できる。また、コンデンサ600の寿命の問題も軽減される。
【0100】
(変形例3−3:図16(c))
また、図16(c)では、スイッチング素子21に対するPWM信号とスイッチング素子22に対するPWM信号とは補完関係にあり、スイッチング素子23に対するPWM信号とスイッチング素子24に対するPWM信号とも補完関係にあるが、スイッチング素子21に対するPWM信号とスイッチング素子22に対するPWM信号とはそれぞれデューティ比50%で位相差を持っている。
【0101】
この場合も、コンデンサ600の充放電の繰り返し、寄生ダイオード21a〜24dの還流を回避できるので、効率・制御性能・部品寿命を良くするこができる。
【0102】
(変形例4)
また、図23に示すように、超電導コイル2の2a端、2b端をそれぞれスイッチングレギュレータ110のマイナス側にコンデンサ541・542を挿入し交流的に接地するのもよい。このコンデンサ541・542は図23のように平滑コンデンサ41・42と併用するのも良いが、設計次第では平滑コンデンサ41・42を廃止してコンデンサ541・542のみでもよい。なお、接地はスイッチングレギュレータ110のプラス側でも良い。このコンデンサ541・542によれば超電導コイル2の2a端、2b端に乗る同相ノイズを吸収できる。同相の電圧ノイズが超電導コイル2に乗ると、超電導コイル2に大きな静電容量が地面との間にある場合には、電流リプルが発生することがあるため、これを除去できる。
【符号の説明】
【0103】
2 超電導コイル
21〜24・31〜34 スイッチング素子
41・42 平滑コンデンサ
50 交流電源
51 直流電源手段
52 第1スイッチング手段
53 第2スイッチング手段
54 スイッチング制御手段
101 電源装置
103 第1フルブリッジ回路
104 第2フルブリッジ回路
105 第1ドライバー部
106 第2ドライバー部
107 第1PWM信号変換器
108 第2PWM信号変換器
109 パルス生成器
110 スイッチングレギュレータ
111 電流検出器
112 電流制御回路
118 回生回路
121・123 第1リアクトル
122・124 第2リアクトル
170 目標値設定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導コイルの電源装置であって、
交流電力を直流電力に変換する直流電源手段と、
スイッチング信号に基づいて前記直流電力を出力許可と出力禁止とにスイッチングすることにより交流状のスイッチング電力とするスイッチング部を前記直流電源手段に複数並列接続したスイッチング手段と、
前記各スイッチング部から出力された前記スイッチング電力を平滑化することにより一定電圧の平滑化電力にして前記超電導コイルに出力する平滑手段と、
前記各スイッチング部に対して、所定の周波数で前記スイッチング信号をそれぞれ出力することにより所定の前記平滑化電力を形成すると共に、少なくとも一つの前記スイッチング信号を他のスイッチング信号に対して位相差を持たせて出力するスイッチング制御手段と、
を備えたことを特徴とする超電導コイルの電源装置。
【請求項2】
前記スイッチング手段のスイッチング部は、
第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子、及び、第4スイッチング素子を具備し、前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とが接続され、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との間から前記超電導コイルに接続されており、前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に第3スイッチング素子と第4スイッチング素子とが接続され、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子との間から前記超電導コイルに接続されるフルブリッジ回路であり、
前記平滑手段は、
前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との間と前記超電導コイルとの間に接続した第1リアクトルを接続と、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間に接続した第2リアクトルと、
前記第1リアクトルと前記超電導コイルとの間を一端とし、前記第2リアクトルと前記超電導コイルとの間を他端として接続した平滑コンデンサであり、
前記スイッチング制御手段は、
前記超電導コイルに流れる電流値を検出する電流検出器と、
目標とする電流値を設定して、設定した電流値に移行するように指令する電流指令値を出力する目標値設定器と、
前記電流検出器が検出した電流値と前記目標値設定器が出力した電流指令値との差分の値を出力する電流制御回路と、
位相差を付けたパルス信号を複数発生させる基本パルス生成器と、
前記基本パルス生成器が発生させたパルス信号を積分した値から前記電流制御回路が出力した値を減算して、マイナスの値であれば出力許可のオンに、プラスの値であれば出力禁止のオフに前記第1〜第4スイッチング素子をスイッチングするスイッチング信号としてのPWM信号に変換する、各フルブリッジ回路に対応する複数の信号変換器であることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイルの電源装置。
【請求項3】
前記スイッチング手段のスイッチング部は、
第1スイッチング素子、第1ダイオード、第2ダイオード、及び、第2スイッチング素子を具備し、前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に第1スイッチング素子と第1ダイオードとが接続され、第1スイッチング素子と第1ダイオードとの間から前記超電導コイルに接続されており、前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に第2ダイオードと第2スイッチング素子とが接続され、第2ダイオードと第2スイッチング素子との間から前記超電導コイルに接続される混合ブリッジ回路であり、
前記平滑手段は、
前記第1スイッチング素子と前記第1ダイオードとの間と前記超電導コイルとの間に接続された第1リアクトルと、前記第第2ダイオードと前記第2スイッチング素子との間に接続された第2リアクトルと、
前記第1リアクトルと前記超電導コイルとの間を一端とし、前記第2リアクトルと前記超電導コイルとの間を他端として接続された平滑コンデンサであり、
前記スイッチング制御手段は、
前記超電導コイルに流れる電流値を検出する電流検出器と、
目標とする電流値を設定して、設定した電流値に移行するように指令する電流指令値を出力する目標値設定器と、
前記電流検出器が検出した電流値と前記目標値設定器が出力した電流指令値との差分の値を出力する電流制御回路と、
位相差を付けたパルス信号を複数発生させる基本パルス生成器と、
前記基本パルス生成器が発生させたパルス信号を積分した値から前記電流制御回路が出力した値を減算して、マイナスの値であれば出力許可のオンに、プラスの値であれば出力禁止のオフに前記第1〜第2スイッチング素子をスイッチングするスイッチング信号としてのPWM信号に変換する、各混合ブリッジ回路に対応する複数の信号変換器であることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイルの電源装置。
【請求項4】
前記直流電源手段の電圧をコントロールする電圧制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の超電導コイルの電源装置。
【請求項5】
前記電圧制御手段は、
前記超電導コイルの電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部で検出した電圧値を絶対値化する絶対値化部と、
前記絶対値化部で絶対値化された値に所定値を加算する電圧制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項4に記載の超電導コイルの電源装置。
【請求項6】
前記電圧制御手段は、
前記超電導コイルのリアクタンスの値を記憶する記憶部と、
電流増減速度が設定される設定器と、
前記記憶部に記憶されたリアクタンスの値に前記設定器で設定された電流増減速度を乗算して電圧値を算出する電圧演算器と、
前記電圧演算器で算出した電圧値を絶対値化する絶対値化部と、
前記絶対値化部で絶対値化された値に所定値を加算する電圧制御部と、
を備えていることを特徴とする請求項4に記載の超電導コイルの電源装置。
【請求項7】
前記電圧制御手段は、
前記スイッチング制御手段が出力した各パルス信号をフィルタで平均化した値を加算する加算器と、
目標とする電圧目標値を設定する目標値設定器と、
前記加算器で加算した値から前記目標設定器で設定した電圧目標値を減算し、マイナスであれば差分の値に相当するプラス出力をし、プラスであれば差分の値に相当するマイナス出力をする比較制御器と、
を備えていることを特徴とする請求項4に記載の超電導コイルの電源装置。
【請求項8】
前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に回生手段を更に設け、
前記回生手段は、
トランジスタと、
前記トランジスタに直列接続された抵抗器と、
前記直流電源手段の電圧を検出する直流電源電圧検出器と、
閾値を設定する閾値設定器と、
前記直流電源電圧検出器で検出した値が前記閾値設定器で設定した前記閾値を上回った場合に、前記トランジスタを導通させて前記抵抗器に電流を導通させるコンパレータと、
を備えていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の超電導コイルの電源装置。
【請求項9】
前記直流電源手段のプラス側とマイナス側との間に回生手段を更に設け、
前記回生手段は、
回生用スイッチング素子と、
前記回生用スイッチング素子に直列接続された抵抗器と、
前記直流電源手段の電圧を検出する直流電源電圧検出器と、
閾値を設定する閾値設定器と、
前記直流電源電圧検出器で検出した電圧値と前記閾値設定器で設定した閾値との差分の値を出力する回生制御手段と、
基本となるパルス信号を発生させる基本パルス生成器と、
前記基本パルス生成器が発生させたパルス信号を積分した値から前記回生制御手段が出力した値を減算して、マイナスの値であれば前記回生用スイッチング素子をオンに、プラスの値であれば前記回生用スイッチング素子をオフにスイッチングする信号に変換する回生用スイッチング素子制御回路と、
を備えていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の超電導コイルの電源装置。
【請求項10】
前記超電導コイルに流れる電流値を検出する電流検出器と、
目標とする電流値を設定して、設定した電流値に移行するように指令する電流指令値を出力する目標値設定器と、
前記電流検出器が検出した電流値と前記目標値設定器が出力した電流指令値との差分の値を出力する電流制御回路と、
各スイッチング部に対応しており、各スイッチング部に流れる電流値を検出するブリッジ電流検出器と、
各ブリッジ電流検出器で検出した電流値の平均値を算出する平均値算出器と、
各スイッチング部に対応しており、各ブリッジ電流検出器で検出した電流値から前記平均値算出器で算出した平均値を減算して、その値を出力する比較器と、
各スイッチング部に対応しており、前記比較器から出力された値がプラスであれば、前記電流制御回路から出力された値を減少させる補正をし、前記比較器から出力された値がマイナスであれば、前記電流制御回路から出力された値を増加させる補正をする補正手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の超電導コイルの電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−39857(P2012−39857A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155455(P2011−155455)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(502147465)ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー株式会社 (56)
【Fターム(参考)】