説明

超電導モータ

【課題】超電導線材からなるコイルを効率よく迅速に冷却する。
【解決手段】超電導モータは、回転可能に支持されたロータと、ロータの周囲に設けられ、超電導線材74からなる複数のコイルがステータコア内周部に巻装されているステータと、コイルを冷却する冷却部58を有する冷凍機とを備える。冷凍機の冷却部58は、複数相のコイルの各一端部74U,74V,74Wに接触して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導モータに関し、特に、超電導線材からなるコイルを冷却する冷凍機を備えた超電導モータに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、車載の二次電池から電力を供給し、その電力により車載のモータを駆動して走行用動力を得る電気自動車(以下、EVということがある)がCO2を排出しないゼロエミッションの観点から注目されている。走行用動力源としてエンジンとモータとを併用するハイブリッド電気自動車(以下、HEVということがある)も普及が急拡大しつつある。
【0003】
上記のような電気自動車やハイブリッド車に搭載されるモータは、限られた狭いスペースに搭載されるために小型で且つ高出力であることが求められ、その出力性能を維持するにはモータの温度上昇を抑制すること、より具体的にはステータコイルの冷却が不可欠である。
【0004】
これに関連する先行技術文献として、特開2000−125512号公報(特許文献1)には、コイルエンド接触冷却型回転電機が開示されている。この回転電機では、ステータコイルの少なくともコイルエンドを、厚さ方向がステータコアの径方向に一致する姿勢でステータコアの端面から突出する細板状導体からなる各軸方向突出部を互いに径方向に重ねて構成している。そして、このコイルエンドの径方向最外側または径方向最内側の細板状導体の平坦な主面に電気絶縁されつつ直接に密着する平坦な冷却面を有する良熱伝導性の冷却部材を設けることによりコイルエンド部2dの冷却性を向上することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−125512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記EVやHEVに搭載されるモータとして、超電導モータを用いることが考えられる。超電導モータは、超電導線材からなる複数のコイルを有しており、このコイルを所定の極低温(例えば70K)に冷却して電流、厳密には直流電流を流すと電気抵抗が実質的にゼロになることから、モータひいてはEV等の低電費化を図るうえで有望である。
【0007】
しかし、冷凍機を用いて超電導モータのスタータコイルを冷却する場合、熱容量が大きいステータコア等のコイル以外の部材を介して超電導線材からなるコイルを所望の極低温に冷却すると、すべてのコイルを目標温度まで冷却するのに時間がかかることになる。また、冷凍機の冷却部をステータコアの外周面の一部にだけ接触させて冷却する構造では、その冷却位置から径方向に対向する位置にあるステータコアの部分およびそこに配置されたコイルまで一様に冷却するのは容易ではなく、各部の熱伝導率によっては周方向や軸方向に関して大きな温度勾配が発生することがある。
【0008】
本発明の目的は、超電導線材からなる複数相のコイルを所望の極低温に効率よく迅速に冷却することができる超電導モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る超電導モータは、回転可能に支持されたロータと、前記ロータの周囲に設けられ、超電導線材からなる複数のコイルがステータコア内周部に巻装されているステータと、前記コイルを冷却する冷却部を有する冷凍機とを備える超電導モータであって、前記冷凍機の冷却部が前記複数のコイルに接触して設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る超電導モータにおいて、前記複数のコイルは所定数ごとのコイルが直列接続されて複数相のコイルを構成し、前記複数相コイルの各一端部が互いに電気接続される中性点において各相コイルが前記冷凍機の冷却部と接触していてもよい。
【0011】
この場合、前記中性点において、前記複数相コイルの各一端部は直接に接続されておらず、導電性部材である前記冷却部を介して互いに電気接続されていてもよい。
【0012】
また、本発明に係る超電導モータにおいて、前記中性点はモータ軸方向に関して前記コイルの軸方向端部であるコイルエンド部に設けられ、前記コイルエンド部において前記複数相コイルの各一端部が前記冷凍機の冷却部に接続されるよう前記冷凍機が配置されていてもよい。
【0013】
また、本発明に係る超電導モータにおいて、前記複数のコイルのモータ軸方向端部に位置するコイルエンド部に接触して設けられる環状の伝熱部材を有し、前記冷凍機の冷却部は前記複数のコイルに接触して設けられると共に前記伝熱部材を介してコイルエンド部からも前記複数のコイルを冷却してもよい。
【0014】
また、本発明に係る超電導モータは、三相交流モータであってもよい。
【0015】
また、本発明に係る超電導モータにおいて、前記冷凍機は、シリンダ内で往復動するピストンにより膨張室内にある冷媒ガスを繰り返し圧縮および膨張させながら吸熱部材を介して前記冷媒ガスから吸熱および排熱して温度低下させ、これにより前記膨張室を内包する前記冷却部に所望の冷却温度を得ることができるスターリング冷凍機であってもよい。
【0016】
さらに、本発明に係る超電導モータにおいて、前記冷凍機は、前記冷却部に連結されるガス圧縮機を有しており、前記ガス圧縮機は前記冷却部の中間部または前記冷却部と前記ガス圧縮機との境界に設けられる絶縁部材によって前記複数のコイルに接触する前記冷却部の先端から電気絶縁されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る超電導モータによれば、冷凍機の冷却部が複数相コイルに接触して設けられていることにより、ステータコア等を介してではなく超電導線材からなる複数相コイルが直接的に冷却されるので、複数相コイルを所望の極低温まで効率よく迅速に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態(以下、実施形態という)である超電導モータの軸方向に沿った、一部側面を含む断面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】U相、V相、W相の各相コイルが中性点で電気接続される状態を模式的に示す図である。
【図4A】中性点を構成する各相コイルの各一端部の一例を示す図である。
【図4B】図4Aに示す中性点が冷凍機の冷却部に接続される状態を示す図である。
【図5A】中性点において各相コイルの各一端部が図4Bとは異なる構成で冷凍機の冷却部に接続される状態を示す図である。
【図5B】図5A中の矢印B方向から見た様子を示す図である。
【図6】中性点において各相コイルの各一端部が図4Bおよび図5A,5Bとは異なる構成で冷凍機の冷却部に接続される状態を示す図である。
【図7】冷凍機の冷却部の拡大側面図である。
【図8A】冷凍機の冷却部の中間部に環状の絶縁部材を設けた例を示す断面図である。
【図8B】冷凍機の冷却部の中間部に、絶縁抵抗を比較的大きくした環状の絶縁部材を設けた例を示す断面図である。
【図9】冷凍機の冷却部とガス圧縮機との境界に環状の絶縁部材を設けた例を示す断面図である。
【図10】複数の冷凍機を設けた第2の実施形態の超電導モータの軸方向に沿った一部側面を含む断面図である。
【図11】U相、V相、W相の各相コイルが2つの中性点で電気接続される状態を模式的に示す図である。
【図12】第3の実施形態の超電導モータの軸方向に沿った、一部側面を含む断面図である。
【図13】第4の実施形態の超電導モータの軸方向に沿った、一部側面を含む断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態である超電導モータ10をその軸方向に沿った断面(一部側面を含む)で示す。また、図2は、図1におけるA−A線に沿った断面図(ステータコアのハッチング省略)である。超電導モータ10は、回転可能に支持されたロータ12と、ロータ12の外周を覆って設けられる略円筒状のステータ14と、超電導モータ10の軸方向一端面に固定された冷凍機16とを備える。ここでの説明において、ロータ12の中心を貫通するロータシャフト18の回転中心軸Xに関し、これに沿う方向を軸方向(モータ軸方向)といい、回転中心軸Xと直交する放射方向を径方向といい、回転中心軸を中心点として上記放射方向を含む平面上に描かれる円形に沿う方向を周方向という。
【0021】
ロータ12は、例えば電磁鋼板を積層してカシメや溶接等により一体に構成される円筒状のロータコア20と、ロータコア20の中心穴を貫通して固定された丸棒鋼材等からなるロータシャフト18とを含む。ロータコア20の外周面には、複数(本実施形態では6つ又は6箇所)の永久磁石22が露出した状態で周方向に等間隔に固定されている。ただし、ロータコア20に設けられる永久磁石は、外周面に露出していなくてもよく、外周面近傍の内部に埋設されてもよい。
【0022】
ロータ12のロータシャフト18は、その両端部19a,19bにおいて、超電導モータ10の軸方向両端面を形成する円盤状のエンドプレート24,26に固定された軸受部材28によって回転可能に支持されている。これにより、ステータ14の内部に回転磁界が形成されると、これに伴ってロータコア20の永久磁石22がひきつけられて、ロータ12が回転駆動されるようになっている。
【0023】
ステータ14は、略円筒状をなす固定子鉄心であるステータコア30を含む。ステータコア30の内周部には、径方向内側へ突出する複数(本実施形態では9つ)のティース部32が周方向に等間隔に形成されており、ティース部32間には軸方向に延伸する空間からなるスロット33が形成いる。ステータコア30は、例えば複数の略円環状の電磁鋼板を軸方向に積層してカシメ、接着、溶接等によって一体に組み付けて構成されることができる。ただし、ステータコア30は、各々1つのティース部を有する9つの分割ステータコアを円環状に連ねて配置してその外側から筒状の締結部材により締め付けることによって構成されてもよい。上記分割ステータコアは、圧粉磁心により好適に形成されることができる。
【0024】
ステータコア30のティース部32には、超電導線材からなるコイル34が巻装されている。超電導線材は、矩形断面形状を有するテープ状のものが好適に用いられる。また、超電導線材を構成する超電導材料は、例えば、イットリウム系超電導材料やビスマス系超電導材料などが用いられる。ただし、超電導材料は、これらに限定されるものではなく、他の公知の超電導材料、あるいは、将来開発される、より高温で超電導特性を発現する超電導材料であってもよい。
【0025】
コイル34は、隣接するティース部32間に形成されるスロット33内に位置する部分35と、ステータコア30の軸方向両端面から外側へそれぞれ突出するコイルエンド部36とを含む。たとえば三相同期型交流モータである超伝導モータ10の各コイル34は、2つ置きごとのコイル34と直列接続されてU相,V相およびW相の各相コイルを構成する。
【0026】
なお、本発明に係る超電導モータは、三相交流モータに限定されるものではなく、二相または四相等の複数相コイルを有する交流モータであってもよいし、あるいは、単相の交流モータまたは直流モータであってもよい。
【0027】
図3に示すように、各相コイル34U,34V,34Wの各一端部は、中性点70において互いに電気接続され、各相コイル34U,34V,34Wの他端部は各相電流導入端子72U,72V,72Wにそれぞれ接続されている。中性点70の構成、およびコイル34を形成する超電導線材の構造については後述する。
【0028】
図1,2を再び参照すると、超電導モータ10は、円筒状のモータケース40を有している。モータケース40内に、ロータ12およびステータ14が収容されている。モータケース40の軸方向の両端部は、エンドプレート24,26の外周縁部に気密状態で連結されている。モータケース40およびエンドプレート24,26は、例えばステンレス等の非磁性材料から形成される。なお、モータケース40は、エンドプレート24または26と一体のものとして形成されてもよい。
【0029】
モータケース40内には、各々円筒状をなす内筒部材42および外筒部材44がロータ12と同心上に配置されている。内筒部材42および外筒部材44の軸方向両端部は、エンドプレート24,26の内面に気密状態を保持可能に連結されている。内筒部材42は、磁界の通過を妨げず且つ非導電性である非金属材料により形成されるのが好ましい。一方、外筒部材44は、低熱伝導率材料(例えばFRP等)で形成されるのが好ましく、低熱伝導率の非磁性材料で形成されるのがより好ましい。
【0030】
内筒部材42は、ロータ12のロータコア20よりも若干大きい内径を有し、ロータコア20の外周面との間に周方向に一様な隙間が形成されている。また、内筒部材42と外筒部材44との間には、筒状空間からなる第1真空室46が形成されている。第1真空室46内には、コイル34を含むステータ14が収容されている。ステータ14のステータコア30の外周面が、外筒部材44の内周面上に密着して固定されている。
【0031】
第1真空室46は、冷凍機16を含めて超電導モータ10が組み立てられた後に、エンドプレート24,26の少なくとも何れかに形成された図示しない空気抜き穴から真空引きされて、真空状態に維持される。このように、熱伝導率が低い内筒部材42および外筒部材44で区画形成し、かつ、内部を真空とすることで、第1真空室46内に収容されたコイル34を含むステータ14への断熱性を高めることができる。
【0032】
さらに、外筒部材44とモータケース40との間には、筒状空間からなる第2真空室48が形成されている。第2真空室48もまた、第1真空室46と同様に真空状態になっている。これにより、第1真空室46内に収容されたコイル34を含むステータ14が第2真空室48によってモータ外部と隔てられることで、コイル34を含むステータ14に対する断熱効果をより一層高めることができる。
【0033】
超電導モータ10において、軸方向の一端側に位置するエンドプレート24には冷凍機16が設けられている。冷凍機16は、気密状態を確保しつつエンドプレート24の貫通穴の周囲に固定された筒状のブラケット50を介して取り付けられている。
【0034】
冷凍機16は、シリンダ52内でピストン54が直線的に往復移動して冷媒ガス(例えば、Heガス)の圧縮および膨張を繰り返し行うガス圧縮機56をそれぞれ有する。また、冷凍機16は、筒状のブラケット50内からエンドプレート24の貫通穴を介して第1真空室46まで延伸した段付き円柱状外形を有する冷却部58を備える。冷却部58の平坦な先端面は、伝熱部材60を介してコイルエンド部36に接触している。ここで、コイルエンド部36と伝熱部材60との間、および、伝熱部材60と冷却部58との間の少なくともいずれか一方に絶縁紙等の絶縁部材を介在させて、コイル34と冷凍機16,17間の電気絶縁が確保されてもよい。
【0035】
冷凍機16は、超電導線材からなるコイル34が超電導特性を発現する所望の極低温(例えば、約70K)まで冷却可能な冷却性能を有し、ピストン54のストロークを制御することによって冷却温度を調節することができる。超電導モータ10が電気自動車等の電動車両に走行用動力源として搭載される場合、設置スペースの制約や車両重量の軽量化のため冷凍機16は小型で軽量のものであることが好ましい。例えば、冷凍機16には、蓄冷型であるスターリング冷凍機が好適に用いられる。
【0036】
ここでスターリング冷凍機について簡単に説明する。スターリング冷凍機と、リニアモータ駆動によりシリンダ52内で直線状に往復動するピストン54を含む。さらに、シリンダ54内には、上記ピストン54と機械的に連結されていないもう1つのフリーピストン(図示しない)が配置されており、このフリーピストンとピストン54との間に冷媒ガスが充填された圧縮室が区画形成されるとともに、上記フリーピストンとシリンダ54の端面との間には冷媒ガスが充填された膨張室が区画形成される。そして、これら膨張室と圧縮室との間には熱伝達手段である吸熱部材が設けられており、上記ピストン54の作動によって所定の位相差をもって往復動するフリーピストンによって膨張室内で圧縮・膨張が繰り返し行われる冷媒ガスから吸熱部材が吸熱して外部に排熱することにより、上記膨張室を内包する冷却部58(蓄冷部とも呼ばれる)の先端が冷やされるようになっている。
【0037】
なお、設置スペースおよび重量の制約が緩い場合、例えば、超電導モータ10が電車や船舶等の大型の移動体の動力源として、あるいは、設置位置が固定された機械の動力源として用いられる場合には、上記のような冷却性能を有する冷凍機であれば、体格が大きくて重い冷凍機であっても構わない。
【0038】
冷凍機16の冷却部58の軸方向先端面が接触する伝熱部材60は、例えば熱伝導性が良好な金属板で形成され、周方向に連なった円環状をなして軸方向一方側に位置する全てのコイルエンド部36に接触している。一方、軸方向他方側に位置するコイルエンド部36にも、同様の伝熱部材60が配置されている。このように軸方向両端のコイルエンド部36に円環状の伝熱部材60がそれぞれ接触配置されていることで、周方向に配置される複数のコイル34をコイルエンド部36から迅速かつ均等に冷却するのに有効である。
【0039】
伝熱部材60のコイル対向面には、コイルエンド部36が嵌合する凹部または溝が形成されている。このようにすることで、コイルエンド部36と伝熱部材60との接触面積が増加し、コイル34の冷却効率を上げることができる。
【0040】
また、伝熱部材60は、絶縁性樹脂材料を成型することによってコイルエンド部36に一体に形成されてもよい。これにより、コイル34と冷凍機16の冷却部58間の電気絶縁性がより向上する。この場合、伝熱部材60の熱伝導性を良好にするために、金属製の粒子または粉末を上記絶縁性樹脂材料に分散させるのが好ましい。
【0041】
次に、図4A,4Bを参照して上記中性点70の構造およびコイル34を構成する超電導線材74について説明する。図4Aは中性点70を構成する各相コイル34U,34W,34Wの各一端部74U,74V,74Wの一例を示す図であり、図4Bは、図4Aに示す中性点70が冷凍機16の冷却部58に接続された状態を示す図である。
【0042】
本実施形態のコイル34は、矩形断面形状を有するテープ状または帯状の超電導線材74が巻回されて構成されている。超電導線材74は、基材76、中間層78、超電導層80および被覆層82をこの順序に積層して形成されている。
【0043】
超電導線材74は、例えば次のようにして製造される。基材76には、例えばハステロイ製テープ基材が好適に用いられる。この基材76を長手方向に一定速度で搬送しながら上記中間層78、超電導層80および被覆層82が順次に積層および接合されていく。基材76の表面には、例えばイオンビームアシスト蒸着法によって酸化物(例えば、Gd2Zr27)からなる中間層78が成膜される。次いで中間層78の表面に、例えばイットリウム系酸化物またはビスマス系酸化物からなる超電導材料をパルスレーザ蒸着法によって成膜することにより超電導層80が形成される。そして最後に、超電導層80の表面に、例えば銀またはその合金をスパッタリングにより成膜して被覆層82が形成される。被覆層82は、超電導層80を覆って保護する機能を有するとともに、コイルエンド部36において伝熱部材60と接触する表面を構成する。
【0044】
なお、本発明における超電導線材を構成する各層の材質および積層方法は、上述したものに限定されず、公知の又は今後開発されるどのような材質および積層方法であってもよい。また、超電導線材は、矩形断面を有するものに限らず、通常の電線のように中央部に芯状の超電導材料が設けられてその周囲に樹脂等からなる絶縁被覆材が形成された丸線であってもよい。
【0045】
図4Aに示すように、上記各相コイル34U,34V,34Wの各一端部74U,74V,74Wは、コイル34の軸方向一方側端部であるコイルエンド部36に各矩形状端面が横並びにそろった状態、すなわち互いに接触した状態で引き出されて中性点70を構成している。そして、中性点70をなす各一端部74U,74V,74Wは、伝熱部材60に形成された開口部61(図5B参照)を貫通して、図4Bに示すように冷凍機16の冷却部58の端部に形成された扁平矩形開口部を有する1つの嵌合穴59に圧入されている。また、上記各一端部74U,74V,74Wが嵌合穴59に挿入された後に冷却部58をかしめる等によって接続状態を強固にして、超電導線材74が冷却部58から抜け出るのを防止するのが好ましい。
【0046】
このように本実施形態の超伝導モータ10では、各相コイル34U,34V,34Wを構成する超電導線材74の各相端部74U,74V,74Wを中性点70において冷凍機16の冷却部58に接続して直に接触させている。これにより、各相コイル34U,34V,34Wのコイル34について、熱容量が大きいステータコア30や、クライオスタット、ベアリング、ロータ等の他のモータ構成部材に冷却を分散させてしまうことなく、熱伝導性が良好な被覆材82を介して超電導線材74の超電導層80を直接的に、効率よく、且つ迅速に冷却することができる。そのため、超電導モータ10の始動時間の短時間化、および、冷凍機16の消費電力の低減を図れる。
【0047】
また、本実施形態の超電導モータ10では、各相コイル34U,34V,34Wはほぼ同一長さの超電導線材74によって構成されることから、各相コイル34U,34V,34Wを中性点70から冷却することによって均等に冷却することができる。これにより、三相コイルのうちいずれか一相コイルの温度をセンサで検出して監視すれば、各相コイルの超電導状態を簡易に把握することができる。
【0048】
さらに、本実施形態の超電導モータ10では、冷凍機16の冷却部58に接触した環状の伝熱部材60が周方向に均等配置された複数のコイル34のコイルエンド部36に接触して設けられているので、これによっても各コイル34を軸方向両側のコイルエンド部36から均等に且つ迅速に冷却する効果が向上する。
【0049】
次に、図5A,5Bを参照して中性点70の別の構成について説明する。図5Aは中性点70において各相コイル34U,34V,34Wの各一端部74U,74V,74Wが図4Bとは異なる構成で冷凍機16の冷却部58に接続される状態を示す図であり、図5Bは図5A中の矢印B方向から見た様子を示す図である。
【0050】
図5Aを参照すると、各相コイル34U,34V,34Wの各一端部74U,74V,74Wは、コイル34の軸方向一方側端部であるコイルエンド部36へ互いに接触していない状態で引き出されている。そして、各一端部74U,74V,74Wは、図5Bに示すように、伝熱部材60の開口部61を貫通して、冷凍機16の冷却部58の端部に形成された3つの嵌合穴59U,59V,59Wにそれぞれ圧入されている。嵌合穴59U,59V,59Wは、冷却部58の端面上に正三角形の三辺に略相当する位置に形成されている。また、上記各一端部74U,74V,74Wが嵌合穴59U,59V,59Wにそれぞれ挿入された後に冷却部58をかしめる等によって接続状態を強固にして、超電導線材74が冷却部58から抜け出るのが防止されている。ここで、互いに接触しない状態で冷却部58に接続される上記各相コイル34U,34V,34Wの各一端部74U,74V,74Wの配置は、上記のような略正三角形をなすものに限られず、他の配置、例えば図6に示すように間隔をあけて横一列(または縦一列)に配置されてもよい。
【0051】
上記各相コイル34U,34V,34Wの各一端部74U,74V,74Wは、直接には電気接続されておらず、導電性部材である例えば銅製の冷却部58を介して互いに電気接続されて中性点70を構成している。三相交流モータにおいて三相コイルが互いに電気接続される中性点70の電位は通常ではゼロであることから、上記のように導電性の冷却部58を介して超電導線材74の各一端部74U,74V,74Wを互いに電気接続しても冷却部58およびガス圧縮機56に電流が流れることはない。ただし、例えばインバータのスイッチング素子のオープン故障等に起因してモータ電流に乱れが生じた場合に中性点電位がゼロでなくなることもあり得るので、そのようなときに冷却部58からガス圧縮機56へ電流が流れるのを防止するための絶縁部材または絶縁構造を設けてもよい。この絶縁部材については後述する。
【0052】
このように互いに電気接続されていない状態で各相コイル34U,34V,34Wの各一端部74U,74W,74Wが冷凍機16の冷却部58に接触していても、各相コイル34U,34V,34Wの冷却に関して上記と同様の作用効果を奏することができる。また、上記のように各一端部74U,74V,74Wが互いに分離した状態で冷却部58にそれぞれ圧入されていることで、すべての一端部74U,74V,74Wが長手方向端面と四方周囲側面とで冷却部58に接触することができるため、各相コイル34U,34V,34Wに対するより均一で且つ高効率な冷却が可能になる。
【0053】
なお、上記の超電導モータ10では、各相コイル34U,34V,34Wの各一端部74U,74V,74Wを中性点70において冷凍機16の冷却部58に接続して各コイル34を中性点70側から冷却する構成と、冷凍機16の冷却部58に接触する環状の伝熱部材60を介して各コイル34をコイルエンド部36から冷却する構成の両方を備えるものとして説明したが、本発明に係る超電導モータはこれに限定されるものではなく、いずれか一方の構成によって各コイル34を冷却するものとしてもよい。すなわち、中性点70側から冷却する構成のみとすれば伝熱部材60が省略されてもよく、他方、伝熱部材60により冷却する構成のみとすれば各相コイル34U,34V,34Wの各一端部74U,74V,74Wが互いに電気接続される中性点70を冷凍機16の冷却部58から離れた位置に設けてもよい。
【0054】
また、上記においては各相コイル34U,34V,34Wが互いに電気接続される中性点70において冷凍機16の冷却部58を接触させるものとしたが、これに限定されず、中性点以外のコイルエンド部において冷凍機の冷却部を各相コイル間の電気絶縁を確保しつつ複数のコイルに接触させるものしてもよい。
【0055】
さらに、上記においては各相コイル34U,34V,34Wの各一端部74U,74V,74Wを冷凍機16の冷却部58に嵌入して接触させるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、熱伝達に寄与する接触面積が比較的小さくなるものの上記各一端部74U,74V,74Wの長手方向等の一端面だけが冷凍機の冷却部に接触する構成としてもよい。
【0056】
続いて、図7から図9を参照して冷凍機16の絶縁構造について説明する。図7は、冷凍機16の冷却部58の拡大側面図である。図8Aは、上記冷却部58の中間部に環状の絶縁部材84を設けた例を示す断面図である。図8Bは、上記冷却部58の中間部に、絶縁抵抗を比較的大きくした環状の絶縁部材84aを設けた例を示す断面図である。図9は、ガス圧縮機56と上記冷却部58との境界に環状の絶縁部材84bを設けた例を示す断面図である。
【0057】
図7を参照すると、冷凍機16は、ガス圧縮機56と冷却部58とから構成され、冷却部58の先端部(図中の右側)において上記各相コイル各相コイル34U,34V,34Wの中性点70に接触している。冷却部58は、先端部が閉じた段付き円筒形状をなしており、その軸方向(図中の左右方向)の中間部分に環状またはリング状の絶縁部材84が組み込まれている。
【0058】
図8Aを参照すると、冷却器16の冷却部58は、例えば熱伝導性および導電性が良好な銅等から形成される先端部86と、例えばステンレス製の円筒状の中間部材88と、例えばセラミック等の絶縁材料で形成される短尺円筒状の絶縁部材84と、フランジ部92によりガス圧縮機56に気密状態で連結される例えばステンレス製の円筒状の基端部90とから構成される。上記先端部86、中間部材88、絶縁部材84および基端部90は、例えば金ろう、銀ろう、ニッケルろう等の金属ろうを用いて気密性を確保しつつそれぞれ接合されている。また、絶縁部材84は、低熱伝導材料で形成されることが好ましく、セラミックの中でも特にアルミナによって好適に形成される。
【0059】
このように冷却部58について、コイル34に接触する先端部86とガス圧縮機56に接続される基端部90との間に絶縁部材84からなる絶縁構造を設けることで、何らかの原因でモータ電流に乱れが生じて中性点70の電位がゼロでなくなった場合でも、冷却部58からガス圧縮機56に大電流が流れるのを防止することができ、リニアモータ等を内蔵する冷凍機16を保護することができる。
【0060】
また、図8Bに示すように、内径を中間部材88および基端部90と同一にしつつ径方向外側へ迂回するように延面距離を長くした絶縁部材84aを用いれば、絶縁抵抗がより大きくなって絶縁性能がより向上する。
【0061】
さらに、図9に示すように、冷却部58の中間部分ではなく、冷却部58の基端部90が連結されるガス圧縮機56の取付部57と上記基端部90との間に短尺筒状の絶縁部材84bを配置して、冷却部58とガス圧縮機56との境界に絶縁構造を設けてもよい。このようにすれば金属ろうを用いての接合箇所が少なくなり、冷却部58の製造が容易になるという利点がある。
【0062】
次に、図10,11を参照して、本発明の第2の実施形態である超電導モータ10aについて説明する。ここでは、上述した第1の実施形態の超電導モータ10と異なる構成およびその作用効果について主として説明することとし、同一または類似の構成要素には同一または類似の符合を付して重複することとなる説明を援用により省略する。
【0063】
図10は、本実施形態の超電導モータ10aの軸方向に沿った断面図(一部側面を含む)であり、図11は図10に示す超電導モータ10aにおいて、U相、V相、W相の各相コイル34が2つの中性点70a,70bでそれぞれ電気接続される状態を模式的に示す図である。
【0064】
本実施形態の超電導モータ10aは、冷凍機(以下、第1の冷凍機という)16に加えて、もう1つの冷凍機(以下、第2の冷凍機)17を備えている。第2の冷凍機17は、軸方向の他端側に位置するエンドプレート26に、第1の冷凍機16と同様の構造で取り付けられている。
【0065】
第1および第2の冷凍機16,17は、各ピストン54の移動方向が同一直線上となるように対向配置されている。すなわち、第1および第2の冷凍機16,17は、軸方向に対向して設けられている。そして、第1および第2の冷凍機16,17では、各ピストン54が互いに反対方向に移動するようにガス圧縮機56を駆動する。換言すれば、第1および第2の冷凍機16,17は、ピストン54bによる圧縮ストロークと膨張ストロークとが互いに同期するように駆動される。このような配置および駆動にすることで、ピストン54の移動によって第1および第2の冷凍機16,17が超電導モータ10に及ぼす回転モーメントが相殺されて、振動や騒音を抑制できる。
【0066】
また、超電導モータ10aは、図11に示すように、2つの中性点70a,70bを有している。すなわち、各相コイル34U,34V,34Wが2つのグループに分けられて並列に接続されており、一方のグループの各相コイル34U,34V,34Wが第1の中性点70aにおいて互いに電気接続され、他方のグループの各相コイル34U,34V,34Wが第2の中性点70bにおいて互いに電気接続されている。そして、第1の中性点70aは上述した第1実施形態の超伝導モータ10における中性点70に対応し、第2の中性点70bは軸方向他端側のコイルエンド部36に設けられて第2の冷凍機17の冷却部58によって冷却されるようになっている。その他の構成は、上記超電導モータ10と同様である。
【0067】
このように本実施形態の超電導モータ10aでは、2つの冷凍機16,17によって、熱容量が大きいステータコア30等を介在させることなく、各相コイル34U,34V,34Wのコイル34を軸方向両側の中性点70a,7bから効率よく迅速に所望の極低温まで冷却することができる。そのため、超電導モータ10aの始動時間の短時間化、および、冷凍機の消費電力の低減を図れる。
【0068】
また、超電導モータ10aでは、第1および第2の冷凍機16,17は、各ピストン54の移動方向が同一直線上となるように配置され、かつ、各ピストン54が互いに反対方向に移動するようにガス圧縮機56が駆動されることで、ピストン54の移動によって第1および第2の冷凍機16,17が超電導モータ10に及ぼす回転モーメントが相殺されて振動や騒音を抑制できる。
【0069】
次に、図12を参照して第3の実施形態の超電導モータ10bについて説明する。本実施形態の超電導モータ10bは、上述した第2の実施形態の超電導モータ10aと冷凍機16,17の配置が異なるだけであるため、その相違点のみについて説明することとし、他の同一構成については同一符号を付して重複する説明を援用により省略する。
【0070】
超電導モータ10bでは、第1および第2の冷凍機16,17のガス圧縮機56がモータケース40の外周側壁上に取り付けられ、各ガス圧縮機56からそれぞれ延伸する冷媒ガス流路管62が各冷却部58にそれぞれ接続されている。この場合においても、第1および第2の冷凍機16,17の各ピストン54は互いに反対方向に移動するように駆動される。これ以外の構成は、上記超電導モータ10aと同様である。
【0071】
本実施形態の超電導モータ10bによれば、上記第2の実施形態の超電導モータ10と同様の作用効果を奏するのに加えて、軸方向のモータ幅を小さくすることができ、車両搭載性を向上させることができる。
【0072】
次に、図13を参照して第4の実施形態である超電導モータ10cについて説明する。本実施形態の超電導モータ10cは、上述した第2の実施形態の超電導モータ10aと冷凍機16,17の配置が異なるだけであるため、その相違点のみについて説明することとし、他の同一構成については同一符号を付して重複する説明を援用により省略する。
【0073】
超電導モータ10cでは、第1および第2の冷凍機16,17が、14ステータの径方向に対向する位置に配置されると共に、各ピストン54が互いに同一方向に移動するようにガス圧縮機56が駆動されるようになっている。この場合でも、第1および第2の冷凍機16,17内の各ピストン54は、上記超電導モータ10aのように同一直線上ではないものの、軸方向に沿って往復移動する。これ以外の構成は、上記超電導モータ10aと同様である。
【0074】
より詳細には、超電導モータ10cでは、第1の冷凍機16が、第2の冷凍機17に対して周方向に180度ずれた位置において第2の冷凍機17と対向して設けられている。この場合、第1の冷凍機16のピストン54が圧縮ストロークで図中右側へ移動するときには第2の冷凍機17のピストン54が膨張ストロークで図中右側へ移動し、第1の冷凍機16のピストン54が膨張ストロークで図中左側へ移動するときには第2の冷凍機17のピストン54が圧縮ストロークで図中左側へ移動するというように、各ピストン54が互いに同一方向に移動する。このように第1および第2の冷凍機16,17のガス圧縮機56が駆動されることで、ピストン54の移動によって第1および第2の冷凍機16,17が超電導モータ10bに及ぼす回転モーメントが相殺または減殺されて振動や騒音を抑制できる。
【0075】
さらに、超電導モータ10cでは、第1および第2の冷凍機16,17が径方向に対向する位置に設けられていることで、各冷却部58もまた径方向に対向する位置(すなわち周方向に180度ずれた位置)で中性点70a,70bをそれぞれ構成するとともに伝熱部材60に接触している。これにより、上記第2の実施形態の超電導モータ10aに比べて、周方向に配列された複数のコイル34全体を所望の極低温まで一様に冷却するのに要する時間をより短縮することが可能になる。
【0076】
なお、上記各実施形態の超電導モータ10a,10b,10cにおいては、2つの冷凍機16,17を用いて超電導線材からなるコイル34を軸方向両側から冷却する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以上の冷凍機を用いてコイルを軸方向両側から冷却するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10,10a,10b,10c 超電導モータ、12 ロータ、14 ステータ、16 第1の冷凍機、17 第2の冷凍機、18 ロータシャフト、20 ロータコア、22 永久磁石、24,26 エンドプレート、28 軸受部材、30 ステータコア、32 ティース部、33 スロット、34 コイル、34U,34V,34W 各相コイル、35 スロット内に位置するコイル部分、36 コイルエンド部、40 モータケース、42 内筒部材、44 外筒部材、46 第1真空室、48 第2真空室、50 ブラケット、52 シリンダ、54 ピストン、56 ガス圧縮機、58 冷却部、59,59U,59V,59W 嵌合穴、60 伝熱部材、62 冷媒ガス流路管、70,70a,70b 中性点、74 超電導線材、74U,74V,74W 各相コイルの一端部、76 基材、78 中間層、80 超電導層、82 被覆層、84 絶縁部材、86 先端部、88 中間部材、90 基端部、92 フランジ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持されたロータと、前記ロータの周囲に設けられ、超電導線材からなる複数のコイルがステータコア内周部に巻装されているステータと、前記コイルを冷却する冷却部を有する冷凍機とを備える超電導モータであって、
前記冷凍機の冷却部が前記複数のコイルに接触して設けられていることを特徴とする超電導モータ。
【請求項2】
請求項1に記載の超電導モータにおいて、
前記複数のコイルは所定数ごとのコイルが直列接続されて複数相のコイルを構成し、前記複数相コイルの各一端部が互いに電気接続される中性点において各相コイルが前記冷凍機の冷却部と接触していることを特徴とする超電導モータ。
【請求項3】
請求項2に記載の超電導モータにおいて、
前記中性点において、前記複数相コイルの各一端部は直接に接続されておらず、導電性部材である前記冷却部を介して互いに電気接続されることを特徴とする超電導モータ。
【請求項4】
請求項2または3に記載の超電導モータにおいて、
前記中性点はモータ軸方向に関して前記コイルの軸方向端部であるコイルエンド部に設けられ、前記コイルエンド部において前記複数相コイルの各一端部が前記冷凍機の冷却部に接続されるよう前記冷凍機が配置されていることを特徴とする超電導モータ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の超電導モータにおいて、
前記複数のコイルのモータ軸方向端部に位置するコイルエンド部に接触して設けられる環状の伝熱部材を有し、前記冷凍機の冷却部は前記複数のコイルに接触して設けられると共に前記伝熱部材を介してコイルエンド部からも前記複数のコイルを冷却することを特徴とする超電導モータ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の超電導モータにおいて、
前記モータは三相交流モータであることを特徴とする超電導モータ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の超電導モータにおいて、
前記冷凍機は、シリンダ内で往復動するピストンにより膨張室内にある冷媒ガスを繰り返し圧縮および膨張させながら吸熱部材を介して前記冷媒ガスから吸熱および排熱して温度低下させ、これにより前記膨張室を内包する前記冷却部に所望の冷却温度を得ることができるスターリング冷凍機であることを特徴とする超電導モータ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の超電導モータにおいて、
前記冷凍機は、前記冷却部に連結されるガス圧縮機を有しており、前記ガス圧縮機は前記冷却部の中間部または前記冷却部と前記ガス圧縮機との境界に設けられる絶縁部材によって前記複数のコイルに接触する前記冷却部の先端から電気絶縁されていることを特徴とする超電導モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−244529(P2011−244529A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112094(P2010−112094)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】