説明

超音波センサの取付け方法、及び超音波センサ取付けホルダ

【課題】超音波センサの被測定物への結合及び取付けを容易かつ短時間で可能にするとともに、乾燥等の経時変化を抑制し、超音波が長期間にわたって確実に伝搬されるようにすることで、高い検出精度と信頼性とが得られる超音波センサの取付け方法、及び超音波センサ取付けホルダを提供すること。
【解決手段】容器内に保持された液体を検出する超音波センサSの取付けホルダ1であって、前記超音波センサ10の検出面S1に密着自在とされるとともに、前記超音波センサSに接する面10Aと前記容器に接する面の両面に粘着層11A、を有する両面テープ10と、前記両面テープ10を保持するとともに、前記超音波センサSの検出面S1を、前記両面テープ10を介して前記容器の外表面に対向配置する取付け部材2とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器内に保持された液体を超音波センサで検出する場合の、超音波センサの取付け方法、及び超音波センサ取付けホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波を用いて容器内に保持された液体のレベルや有無を検出する場合、容器側面の表面に取り付けられた超音波センサの検出面から超音波を発信し、容器壁部及び液体を介して反響する反射波の伝搬状態によって、液体のレベルや有無を検出することが一般的に行なわれている。
【0003】
このように超音波センサによって液面を検出する場合、超音波センサの検出面と容器表面との間に、例えば空気層等、超音波の伝搬に対する障害が存在すると、超音波が容器内にある液体のレベルや有無を確実に検出することができないため、検出面と容器表面との間に液体又はジェルからなる結合媒質(以下、カプラントという)を充たすことで検出面と容器とを音響的に結合して超音波の散乱や減衰を抑制することで、検出に充分な超音波が確実に伝搬するようにしている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開昭62−189744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の超音波センサと容器との結合方法によると、カプラントが液体又はジェルであるため、カプラントの取扱い、超音波センサの検出面の結合、取付けが煩雑で個人差やバラツキが生じやすく、また長期間にわたる使用により乾燥等の経時変化が生じて超音波の確実な伝搬が困難となり検出精度や信頼性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、超音波センサの被測定物への結合及び取付けを容易かつ短時間で可能にするとともに、乾燥等の経時変化を抑制し、超音波が長期間にわたって確実に伝搬されるようにすることで、高い検出精度と信頼性とが得られる超音波センサの取付け方法、及び超音波センサ取付けホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、容器内に保持された液体を検出する超音波センサの取付け方法であって、可撓性を有する固体からなり、前記超音波センサの検出面を前記固体の一方側の面に密着させる第1の密着手段と、前記容器の外表面を前記固体の一方側の面の反対側に位置し、前記一方側の面に対向配置される他方側の面に密着させる第2の密着手段とを備えた超音波伝搬媒質を介して、前記超音波センサの検出面と前記容器の外表面とを接続させることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る超音波センサの取付け方法によれば、超音波伝搬媒質は、可撓性を有する固体から構成され、超音波センサの検出面及び容器の外表面に沿って変形、密着可能とされる。また、超音波伝搬媒質は、超音波センサの検出面を密着させる第1の密着手段と、容器の外表面を密着させる第2の密着手段とを備えているので、超音波センサの検出面と容器の外表面とが超音波伝搬媒質を介して密着し、超音波センサの検出面と容器の外表面との間の超音波伝搬の阻害要因がなくなるので、液体又はジェル状のカプラントを用いることなく超音波センサの検出面が容器に音響的に結合される。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の超音波センサの取付け方法であって、前記超音波伝搬媒質はシート状に形成され、前記第1の密着手段と前記第2の密着手段とは、粘着層からなることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る超音波センサの取付け方法によれば、超音波伝搬媒質が固体のシート状であるため、液体又はジェル状のカプラントに比較して取扱が容易、繰返して使用できるので、ランニングコストを抑制することができる。
また、乾燥等、取付け後の経時変化が小さいため、長期間にわたる多数回の使用に対して、安定した検出を維持することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の超音波センサの取付け方法であって、前記超音波伝搬媒質は、アクリル樹脂であることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る超音波センサの取付け方法によれば、シート状のアクリル樹脂から構成されているので、超音波の減衰が抑制されて効率よく伝搬されるとともに、音響的結合を確実に行なうことができる。
また、透明なシート状のアクリル樹脂を用いることにより容器表面の状態を、また、容器が透明又は半透明の場合には容器内を容易に確認することが可能であり、取付け作業や確認作業を容易かつ確実にすることができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3記載の超音波センサの取付け方法であって、前記超音波伝搬媒質は、前記超音波センサとの接触部に粘着抑制手段を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る超音波センサの取付け方法によれば、超音波センサの検出面が、超音波伝搬媒質の超音波センサ側の粘着層に必要以上に強く粘着されることがなく、超音波センサを取り外す際に、超音波センサに大きな外力が加わることが抑制され超音波センサの損傷を抑制することができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、容器内に保持された液体を検出する超音波センサの取付けホルダであって、前記超音波センサの検出面に密着自在とされるとともに、前記超音波センサに接する面と前記容器に接する面の両面に粘着層を有するシート状の超音波伝搬媒質と、前記シート状の超音波伝搬媒質を保持するとともに、前記超音波センサの検出面を、前記シート状の超音波伝搬媒質を介して前記容器の外表面に対向配置する取付け部材とを備えることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る超音波センサの取付けホルダによれば、超音波伝搬媒質が、超音波センサに接する面と容器に接する面の両面に粘着層を有しているので、超音波伝搬媒質がホルダに確実に保持されるとともに、超音波伝搬媒質が容器及び超音波センサに密着し易く、また、容器と超音波センサの検出面とがシート状の超音波伝搬媒質を介して確実に対向配置されるので、液体又はジェル状のカプラントを用いることなく、容器と超音波センサとが音響的に確実に結合される。また、超音波伝搬媒質が固体のシート状であるため、経時変化が小さく長期間にわたり安定した検出を維持することができる。
【0016】
また、取付けホルダを用いることにより、検出面を容器の表面に容易に対向配置させることができ、短時間に取り付け可能とされ、また、個人差や取付け時の作業のばらつきが発生し難くい。
また、超音波伝搬媒質の粘着層を取付けホルダに粘着させることにより、長期間の使用や取付け取り外しを繰返した場合でも、超音波伝搬媒質の変形が抑制され、検出面を正確に容器表面に対向させ続けることができるとともに、長期間にわたって安定した検出精度と信頼性を維持することができる。
したがって、液体又はジェル状のカプラントに比較して取扱が容易で、かつランニングコストを抑制される。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項5記載の超音波センサの取付けホルダであって、前記超音波伝搬媒質は、アクリル樹脂から構成されていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係る超音波センサの取付けホルダによれば、超音波伝搬媒質がシート状のアクリル樹脂から構成されているので、超音波の減衰が抑制されて効率よく伝搬されて、音響的結合を確実に行なうことができ、また、透明なシート状のアクリル樹脂を用いた場合、容器表面の状態や容器内を容易に確認することが可能であり、取付け作業や超音波センサを使用する場合の確認作業を容易かつ確実にすることができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項5又は請求項6に記載の超音波センサの取付けホルダであって、前記超音波伝搬媒質は、前記超音波センサとの接触部に粘着抑制手段を備えていることを特徴とする。
【0020】
この発明に係る超音波センサの取付けホルダによれば、容器側が粘着層とされ、超音波伝搬媒質を取付けホルダに容易かつ確実に保持させることができ、さらに、検出面に粘着抑制部を備えているので、超音波センサの検出面が必要以上に強く粘着されることがなく、超音波センサを取り外す際に必要以上に大きな外力が加わるのが抑制され、超音波センサの損傷が抑制される。
【0021】
請求項8に係る発明は、容器内に保持された液体を検出する超音波センサの取付けホルダであって、前記容器の外表面と前記超音波センサの検出面とを対向配置させる可撓性の固体からなる超音波伝搬媒質と、前記超音波伝搬媒質に前記超音波センサの検出面を密着させる密着手段と、前記超音波伝搬媒質を前記容器の外表面に密着させる吸着手段とを備えていることを特徴とする。
【0022】
この発明に係る超音波センサの取付けホルダによれば、超音波伝搬媒質は、容器の外表面と超音波センサの検出面とを対向配置させるように、その対応する面同士が略平行に形成され、可撓性を有することで容器の外表面及び超音波センサの検出面に沿って密着可能な固体からなり、超音波センサの検出面を密着させる密着手段を備えているので、超音波伝搬媒質と超音波センサの検出面が確実に密着されるとともに、吸着手段を備えているので容器の外表面に密着され、その結果、超音波伝搬媒質を介して液体又はジェル状のカプラントを用いることなく超音波センサの検出面と容器とが音響的に確実に結合される。
また、容器の外表面側の密着手段が、吸着手段によるものであるので、取付け、取り外しが容易とされ、簡便に取り扱うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る超音波センサの取付け方法、及び取付けホルダによれば、超音波センサの被測定物への結合及び取付けを容易かつ短時間で確実に行なうことができる。また、経時変化を抑制し、長期間にわたって超音波を確実に伝搬可能にすることで、高い検出精度と信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2は、本発明に係る超音波センサの取付けホルダと超音波センサとの取付け関係を示す図であり、符号1は取付けホルダを、符号Sは超音波センサを、符号10は両面テープ(超音波伝達媒質)を示している。以下、図1、図2に基づいて、取付けホルダの構成について説明する。
【0025】
取付けホルダ1は、取付けホルダ本体(取付け部材)2と、両面テープ10とを備えており、取付けホルダ本体2は、略平板状に形成された主壁部3の中央部に超音波センサSが挿入可能とされる係合部4を備えている。
また、取付けホルダ本体2の主壁部3には、両面テープ10の一方側の面が粘着されることによって主壁部3が両面テープ10を堅固に保持し、両面テープ10の他方側の面が容器Vの表面にしっかりと固定、取付け可能とされている。
【0026】
係合部4は、円筒状に形成された円筒壁部5を備え、円筒壁部5はその軸線が容器Vの被測定部に対して垂直になるように取付けホルダ本体2に配置され、超音波センサSが挿入された場合に、検出面S1が容器V表面と対向配置されるようになっている。
【0027】
また、円筒壁部5の超音波センサSが挿入される側の開口部7は、例えば小判形に形成され、開口部7の形状と相補的に小判形に形成されたセンサ係合部S2が所定の向きで開口部7を通過可能とされ、センサ係合部S2が開口部7を通過した後、超音波センサSが軸線廻りに回動されることで、センサ係合部S2の長手方向端部に位置する円弧状の突部が、係合部6と係合することで超音波センサSが容器V側に押圧されるようになっている。
【0028】
係合部6は、円筒壁部5の周方向に延在する2つの孔から構成され、これら孔は円筒壁部5の軸線を中心点として点対称の位置に互いに対向して形成され、挿入された超音波センサSを軸線廻りの取付け方向、例えば右回転方向に回動することによって超音波センサSが容器V側に前進するように軸方向にリードを有するスリットされている。
この実施形態において、係合部6は円筒壁部5の内方から外方に貫通する2つの孔として形成されている。
主壁部3には、係合部4を介して挿入された超音波センサSの検出面S1が、両面テープ10の一方側の面10Aに当接可能に開口部が設けられている。
【0029】
両面テープ10は、一定の厚みを有しシート状に形成された透明かつ軟質のアクリル樹脂製のシートからなるテープ基体11と、アクリル系粘着剤からなる粘着層(第1の密着手段)11A、(第2の密着手段)11Bとを備えており、粘着層11Aはテープ基体11が超音波センサSの検出面S1と当接する側の面に、粘着層11Bはテープ基体11が容器Vと当接する側の面に設けられている。
ここで、軟質のアクリル樹脂としては、硬度0〜70(JIS K6253 デュロメータ タイプA)のものが望ましい。
また、粘着層11Bには、検出面S1に粘着するのを抑制するためのフッ素コート層(粘着抑制手段)15が設けられている。
【0030】
次に、図3に基づいて、取付けホルダ1の取付け方法について説明する。
例えば、血液リザーバをはじめとする血液や体液保持された容器Vの、容器V内に保持された検出対象の液体Lを検出するのに適した対象部位、例えば、容器Vの外表面の液体Lと気体の境界付近に、両面テープ10の他方側の面10Bを密着させて取付けホルダ1を貼り付ける。
【0031】
この場合、容器V内に保持された液体Lは、所定量が静置状態で容器V内に保持されていてもよく、容器Vに流入口、流出口のいずれかが設けられて流入、流出のいずれか又は双方が行なわれて液位が変化するものであってもよい。
また、容器Vが透明又は半透明で内部の物質の高さが確認できる場合には、必要に応じて、係合部4の開口部7と透明な両面テープ10を通して視認しながら容器V内部の液体Lの高さに合わせて取付けホルダ1を粘着してもよい。
【0032】
次に、超音波センサSの小判形のセンサ係合部S2と、係合部4に形成された小判形に形成された開口部7の位置を合わせて、開口部7に超音波センサSを挿入するとともに、超音波センサSを回動させる。
超音波センサSが軸線廻りに取付け方向に回動されると、センサ係合部S2の長手方向端部に位置する円弧状の突部が係合部6と係合し、さらに回動されると係合部6の軸方向に形成されたリードによって、超音波センサSが容器V側に軸方向に進行するとともに押圧され、検出面S1が両面テープ10の一方側の面10Aに密着される。
【0033】
このようにすることで、超音波センサSの検出面S1と、容器Vの外表面とが接続されるとともに、音響的に結合される。
この状態で、超音波センサSの検出面S1から超音波を発信し、両面テープ10を介して、容器Vの外表面から超音波を容器V内方向に通過させて、液体Lの有無による反響波形により液体の有無を検出する。
【0034】
取付けホルダを容器Vから取り外す場合には、超音波センサSが取付けられ又は取り外された状態にて、取付けホルダ1を容器から離間する方向に引張り、両面テープ10の粘着層11Aを容器Vの表面から剥がして離間することで、取付けホルダ1を容器Vから取り外すことができる。
【0035】
上記実施の形態の取付けホルダ1によれば、超音波伝搬媒質が、シート状のアクリル樹脂からなり、検出面S1と容器Vを両面テープ10の両側の面10A、10Bに密着させ、音響的に安定して結合されるとともに、超音波の減衰を抑制して、超音波を効率よく伝播させることができる。
【0036】
その結果、検出面を容器の表面に容易に対向配置させることができ、短時間に取り付け可能とされ、また、個人差や取付け時の作業のばらつきが発生し難く、液体やジェルのカプラントに比較して取扱いが容易なため、取付けに際して個人差が生じにくく安定した取付けが可能である。
また、カプラントが液体やジェル状でないため、複数回繰返して使用可能であり、ランニングコストを大幅に削減することができる。
【0037】
超音波センサSを係合部材4への取付けに際して、係合部材4の開口部から超音波センサSを挿入し、回動させることによって取付け可能とされるので、工具等を用いることなく手作業で取付け、取り外しが可能で、取扱いが容易である。
【0038】
また、容器Vから取付けホルダ1を容易に取り外すことが可能であるため、超音波センサSによる測定位置を短時間、かつ容易に変更することができる。
両面テープ10は、振動吸収作用があるため、超音波センサSが振動で動くことによって生ずる位置ずれや傾きを防ぐことができる。
また、アクリル樹脂からなる両面テープ10は、透明であるので容器Vに粘着する際に超音波センサSの位置が接する位置を確認しながら取付けることが容易にできる。
【0039】
また、両面テープ10の粘着層11Bには、フッ素コート層15が設けられているので、超音波センサSの検出面S1が、両面テープ10の粘着層11Bに必要以上に強く粘着されることがなく、超音波センサSを取り外す際に、超音波センサSに必要以上に大きな外力が加わるのが抑制されるので、超音波センサSの損傷を抑制することができる。
【0040】
また、両面テープ10の粘着層11Bを取付けホルダ1に粘着させることにより、長期間の使用や取付け取り外しを繰返した場合でも、両面テープ10の変形が抑制され、また、両面テープ10の一方側の面10Aが取付けホルダ本体2の主壁部3の平面部に堅固に保持されているので、取付けホルダ1を取付け、取外しする際に両面テープ10が変形し難く、検出面10を正確に容器Vの外表面に対向させ続けることができるとともに、長期間にわたって安定した検出精度と信頼性を維持することができる。
【0041】
次にこの発明の第2の実施形態について図4に基づいて説明する。
図4は、第2の実施形態に係る超音波センサの取付けホルダ1を示す図である。この実施の形態において、第1の実施形態と構成が同一とされ、同一の部分については同一の符号を付すとともに説明を省略する。
【0042】
超音波センサの取付けホルダ1において、超音波伝搬媒質12は、多段円柱形状に形成され、超音波センサSの検出面S1を超音波伝搬媒質に密着させる密着手段13と、超音波伝搬媒質の容器V側の面を容器Vに密着させる吸盤(吸着手段)14を備え、例えば、上記第1の実施形態で説明した可撓性を有する軟質のアクリル樹脂から構成されている。
ここでいう可撓性とは、第1の実施形態で望ましいとした軟質のアクリル樹脂において硬度0〜70(JIS K6253 デュロメータ タイプA)とされる性質を指すものであり、第2の実施形態でいう多段の円柱形状の超音波伝搬媒質12自体が撓むことを必ずしも意味しない。
【0043】
また、密着手段13は超音波センサSの外径と略同径に形成された凹部12Aとされ、凹部12Aは、底面(一方側の面)10Aと、可撓性を有する壁部12Bとを備えており、底面(一方側の面)10Aと、容器Vの外表面に密着される面(他方側の面)10Bとは略平行に形成され対向配置されている。
吸盤14は、超音波伝搬媒質12の円柱形状の外周に取付けられ、多段円柱形状の大径部に、吸盤14の中央部の貫通孔内周に形成された環状大径部が係合することにより超音波伝搬媒質12と一体化されるようになっており、超音波伝搬媒質12と同材質の軟質のアクリル樹脂によって構成されている。
【0044】
次に、図4に基づいて、第2の実施形態における取付けホルダ1の取付け方法について説明する。
容器V内に保持された液体Lを検出するのに適した対象部位、例えば、容器Vの外表面の液体Lと気体の境界付近に、吸盤14を容器Vに押付けて、吸盤14内部の空気を排出させることによって、取付けホルダ1を容器Vに吸着させる。
【0045】
次いで、凹部12Aを構成する壁部12Bをわずかに拡大させて超音波センサSを凹部12A内に挿入し、超音波センサSの検出面S1は、壁部12Bの収縮力によって凹部12Aの底面(一方側の面)10Aに引きつけられて密着される。
この状態で、超音波センサSの検出面S1と容器Vの外表面は、接合されるとともに音響的に結合される。
【0046】
以上のように構成された超音波センサの取付けホルダ1は、超音波伝搬媒質12は、超音波センサSの検出面S1を密着させる密着手段を備えているので、超音波伝搬媒質12が超音波センサSがしっかりと保持され、超音波伝搬媒質12に超音波センサSの検出面S1が底面10Aに密着されるとともに、吸盤14により容器Vの外表面が超音波伝搬媒質12の他方側の面10Bに密着させられる。
【0047】
その結果、液体又はジェル状のカプラントを用いることなく超音波センサSの検出面S1と容器Vの外表面とを超音波伝搬媒質12を介して接続させ、音響的に確実に結合することができる。
また、容器Vの外表面側の密着手段が、吸盤14であるので、容器Vへの取付け、取り外しが容易である。
また、超音波センサSの密着手段が軟質のアクリル樹脂の可撓性を用いたものであり、簡便で機械的な外力に対して堅固であるとともに、接着剤等を用いる必要がなく、コストが削減可能である。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、両面テープ10がアクリル樹脂の場合について説明したが、アクリル樹脂以外の材質、例えば、シリコン、ウレタンを用いてもよい。また、粘着層11A、11Bを構成する粘着剤についても、アクリル系粘着剤に限定されるものではない。
また、超音波センサSが粘着層11Aに強く貼着するのを防止する粘着防止手段として、粘着層11Aの表面にフッ素コート層15が設けられている場合について説明したが、その範囲のみ粘着剤を塗布しないことによって粘着防止手段としてもよい。
【0049】
また、図1では、主壁部3が略長方形の場合について示したが、主壁部3の形状については、円形、多角形、その他取付部の形状に対応した任意の形状に形成可能なことはいうまでもなく、また係合部4の構成に関しても、上記実施の形態に限定されるものではない。
また、上記実施の形態においては、超音波センサS側の粘着層11Aにおける粘着抑制手段の例として、粘着層11Aにフッ素コート層15が形成された場合について説明したが、他の剥離性が良好な材料、例えば、ウレタンをコーティングしてもよい。
【0050】
また、上記第2の実施形態においては、超音波伝搬媒質12と吸盤14とがともに、軟質のアクリル樹脂からなる場合について説明したが、これらは、例えば、シリコン、ウレタンによって構成されてもよく、それぞれ異なる材質から構成されてもよく、吸盤14については、ゴム等の超音波伝搬が必ずしも良好でない材質で構成することもできる。
また、超音波伝搬媒質12と吸盤14とが別々に形成され、係合させて一体化する構成としたが、一体成形された構造であってもよい。
【0051】
また、密着手段13として、凹部12Aを、吸着手段として吸盤14を用いた場合について説明したが、これ以外の密着手段、吸着手段を用いてもよい。
【0052】
また、粘着層11Aの超音波センサの検出部に粘着層11Aを設けないようにしてもよく、また、対象部に粘着性が弱い材料を塗布し、又は粘着層11Aの表面を、例えば網掛け状等にコーティングして粘着層の粘着力を抑制するようにしてもよい。また、粘着抑制手段を形成する範囲については、検出面S1の全部でも一部であってもよい。
また、上記実施の形態においては、容器Vとして、血液リザーバをはじめとする血液や体液保持された医療用の容器Vの場合について説明したが、その他の用途の容器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る取付けホルダと超音波センサとの取付け関係を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る取付けホルダの容器側からの斜視図である。
【図3】本発明に係る第1の実施形態の取付けホルダを容器に取付けた状態を示す図である。
【図4】本発明に係る第2の実施形態の取付けホルダを容器に取付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 取付けホルダ
2 取付けホルダ本体(取付け部材)
4 係合部材
10 両面テープ(超音波伝搬媒質)
10A 一方側の面
10B 他方側の面
11 テープ基体
11A、11B 粘着層(密着手段)
12 超音波伝搬媒質
12A 密着手段
14 吸盤(吸着手段)
15 フッ素コート層(粘着抑制手段)
L 液体
S 超音波センサ
S1 検出面
V 容器




【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に保持された液体を検出する超音波センサの取付け方法であって、
可撓性を有する固体からなり、前記超音波センサの検出面を前記固体の一方側の面に密着させる第1の密着手段と、前記容器の外表面を前記固体の一方側の面の反対側に位置し、前記一方側の面に対向配置される他方側の面に密着させる第2の密着手段とを備えた超音波伝搬媒質を介して、
前記超音波センサの検出面と前記容器の外表面とを接続させることを特徴とする超音波センサの取付け方法。
【請求項2】
請求項1記載の超音波センサの取付け方法であって、
前記超音波伝搬媒質はシート状に形成され、
前記第1の密着手段と前記第2の密着手段とは、粘着層からなることを特徴とする超音波センサの取付け方法。
【請求項3】
請求項2記載の超音波センサの取付け方法であって、
前記超音波伝搬媒質は、アクリル樹脂であることを特徴とする超音波センサの取付け方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の超音波センサの取付け方法であって、
前記超音波伝搬媒質は、前記超音波センサとの接触部に粘着抑制手段を備えることを特徴とする超音波センサの取付け方法。
【請求項5】
容器内に保持された液体を検出する超音波センサの取付けホルダであって、
前記超音波センサの検出面に密着自在とされるとともに、前記超音波センサに接する面と前記容器に接する面の両面に粘着層を有するシート状の超音波伝搬媒質と、
前記シート状の超音波伝搬媒質を保持するとともに、
前記超音波センサの検出面を、前記シート状の超音波伝搬媒質を介して前記容器の外表面に対向配置する取付け部材とを備えることを特徴とする超音波センサの取付けホルダ。
【請求項6】
請求項5記載の超音波センサの取付けホルダであって、
前記超音波伝搬媒質は、アクリル樹脂から構成されていることを特徴とする超音波センサの取付けホルダ。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の超音波センサの取付けホルダであって、
前記超音波伝搬媒質は、前記超音波センサとの接触部に粘着抑制手段を備えていることを特徴とする超音波センサの取付けホルダ。
【請求項8】
容器内に保持された液体を検出する超音波センサの取付けホルダであって、
前記容器の外表面と前記超音波センサの検出面とを対向配置させる可撓性の固体からなる超音波伝搬媒質と、
前記超音波伝搬媒質に前記超音波センサの検出面を密着させる密着手段と、
前記超音波伝搬媒質を前記容器の外表面に密着させる吸着手段とを備えていることを特徴とする超音波センサの取付けホルダ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−139437(P2007−139437A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329882(P2005−329882)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000200677)泉工医科工業株式会社 (56)
【Fターム(参考)】