説明

超音波信号送受信装置、通信装置、ダイバー用通信装置、通信システム、および通信方法

【課題】超音波信号送受信装置の構成を簡素化する。
【解決手段】振動モードに応じて少なくとも2つの共振周波数を有する超音波振動部318Aと、前記2つの共振周波数の一方の周波数で第1の超音波信号を生成し、生成した前記第1の超音波信号を前記超音波振動部から送信する送信部314Aと、前記2つの共振周波数の他方の周波数で送信されてくる第2の超音波信号を前記超音波振動部から受信する受信部314Bと、を備える超音波信号送受信装置310Aとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は超音波信号を送受信するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波信号を送受信する装置としては、例えば、潜水中のダイバーが、他のダイバーや母船と通信する通信装置がある。このような通信装置では、水中でのダイバーの安全を確保したりダイバー同士での情報交換などを行ったりしている。なお、超音波信号送受信装置としては、下記特許文献1に示すような超音波による水中通信装置が提案されている。また、下記特許文献2に示すように、超音波を用いて水中で通信を行い、対象物との距離を計測する装置なども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−74848号公報
【特許文献2】特開平10−268049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記各特許文献に通信装置として開示された超音波信号送受信装置では、2台の水中通信装置間で全二重通信を行おうとすると、2つの周波数を使用する必要があり、それぞれの水中通信装置や装置は、送信用の周波数に対応した超音波振動子と、受信用の周波数に対応した超音波振動子の2つが必要であると共に、それぞれの超音波振動子を制御するための回路等も2系統必要になった。従って、超音波振動子に関して2系統の構成が必要であるため、装置の構成が複雑で、かつ大型となってしまう。すなわち、このような水中通信装置の小型化および製造コストの低減は難しかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波信号送受信装置の構成を簡素化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、その主たる発明は、振動モードに応じて少なくとも2つの共振周波数を有する超音波振動部と、
前記2つの共振周波数の一方の周波数で第1の超音波信号を生成し、生成した前記第1の超音波信号を前記超音波振動部から送信する送信部と、
前記2つの共振周波数の他方の周波数で送信されてくる第2の超音波信号を前記超音波振動部から受信する受信部と、
を備えることを特徴とする超音波信号送受信装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施例に係る超音波信号送受信装置となる通信装置を含む通信システムの機能構成を示す図である。
【図2】上記通信装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る超音波信号送受信装置の一実施形態であるダイブコンピュータを示す図であり、図1Aは、ダイブコンピュータの構成を説明するブロック図である。図1Bは、ダイブコンピュータが有する通信部の構成を説明するブロック図である。
【図4】上記ダイブコンピュータの正面図である。
【図5】上記ダイブコンピュータにおいて、2人が潜水している時における表示部の表示例を示す図である。
【図6】図4Aは、超音波振動子の外観を説明する斜視図である。図4Bは、超音振動子の利得特性を説明する図である。図4Cは、超音波の伝播損失を説明する図である。
【図7】トランスミッタの構成を説明するブロック図である。
【図8】トランスミッタの外観を説明する図である。
【図9】2人潜水時における各機器の通信を説明する図である。
【図10】図8Aは、ダイブコンピュータとトランスミッタのペアリング時の位置関係を説明する図である。図8Bは、ダイブコンピュータ同士のペアリング時の位置関係を説明する図である。
【図11】超音波振動子の利得特性の他の例を説明する図である。
【図12】図10Aは、円盤状の超音波振動子を説明する図である。図10Bは、矩形板状の超音波振動子を説明する図である。
【図13】2人潜水時における各機器の通信の他の例を説明する図である。
【0008】
バックモニタ
【図14】本発明の第3の実施例における超音波信号送受信装置である距離測定装置の概略図である。
【図15】上記第3の実施例における距離測定装置の機能ブロック構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
===本発明の分類分けについて==
本発明は上記主たる発明に加え、以下の特徴を備えた超音波信号送受信装置も本発明の範囲である。以下に、これらの超音波信号送受信装置の特徴を列挙し、必要に応じて作用、効果なども付記する。なお、ここでは、本発明の実施形態を以下に説明するのに当たり、その説明を平易するために、本発明を、主要な構成要件、あるいは発明のカテゴリ(装置、システム、方法)に応じ、便宜的に、以下の第1の発明〜第4の発明に分類することにした。
【0010】
<第1の発明>
第1の発明における超音波信号送受信装置は、通信装置であって、前記第1の超音波信号と第2の超音波信号は通信信号で、前記第1送信部での送信、および前記受信部での受信を非同期に制御する制御部を備えたこと。
このような構成によれば、超音波振動部の振動モードに応じた2つの共振周波数のうち、一方の周波数で第1の通信信号を送信し、他方の周波数で第2の通信信号を受信すると共に、送信および受信は非同期に制御される。従って、通信装置は、同一の超音波振動部で異なる周波数の信号を全二重に送受信できるため、通信装置の小型化および製造コストの低減を図れる。
【0011】
上記通信装置において、前記超音波振動部と前記送信部との間および前記超音波振動部と前記受信部との間の少なくとも1つに、所定の周波数帯域の信号を選択的に透過するフィルタ部を備えること。そして、このような構成によれば、所望の周波数帯域の通信信号を選択的に透過できることにより、通信信号の品質が向上する。
【0012】
前記超音波振動部と前記送信部との間および前記超音波振動部と前記受信部との間の少なくとも1つに、インピーダンスを整合する整合部を備えること。このような構成によれば、整合部を設けることによりインピーダンスを整合できるため、通信信号の品質が向上する。
【0013】
<第2の発明>
第2の発明は、主たる発明に、さらに、前記第1の超音波信号を前記超音波振動部から受信する第2の受信部と、前記第2の超音波信号を前記超音波振動部により送信する第2の送信部と、を備えることを特徴としている。このような超音波信号送受信装置によれば、超音波振動部が有する2つの共振周波数毎に異なる相手と通信するので、装置構成の簡素化が図れる。
【0014】
上記超音波信号送受信装置は、通信装置であって、前記第1の超音波信号と第2の超音波信号は通信信号で、前記一方の共振周波数を用いて当該通信装置とは異なる種別の通信装置と通信するとともに、前記他方の共振周波数を用いて当該通信装置と同種の通信装置との間で通信する通信部と、を備えること。
そして、前記通信部は、前記超音波振動部における厚み方向の振動モードの共振周波数と、前記厚み方向と交差する交差方向の振動モードの共振周波数を用いて通信することを特徴とする通信装置。このような通信装置によれば、厚み方向の振動モードの共振周波数と、交差方向の振動モードの共振周波数を用いるので、それぞれの相手と確実に通信できる。
【0015】
前記厚み方向の振動モードの共振周波数は、前記交差方向の振動モードの共振周波数よりも高いこと。この特徴によれば、超音波振動部の厚みを薄くできるので、装置の小型化に適する。
【0016】
上記第2の発明に属するいずれかの通信装置において、前記通信部は、前記2つの共振周波数のうちの利得特性が低い方の共振周波数をより近距離での通信に使用すること。
【0017】
そして、前記通信装置は、ダイバー用通信装置であって、前記通信部は、前記一方の共振周波数を用いてタンクとの間で通信し、他方の共振周波数を用いて他のダイバー用通信装置と通信すること。
【0018】
前記ダイバー用通信装置であって、前記通信部は、前記2つの共振周波数のうちの利得特性が低い方の共振周波数を用いて前記タンクとの間で通信すること。このようなダイバー用通信装置によれば、他のダイバー用通信装置よりも近い場所にあることが多いタンクとの通信に、利得特性が低い方の共振周波数を用いるので効率がよい。このようなダイバー用通信装置によれば、他のダイバー用通信装置よりも近い場所にあることが多いタンクとの通信に、水中で減衰し易い方の共振周波数を用いるので効率がよい。
【0019】
前記ダイバー用通信装置であって、前記タンクから送られてきた残量情報、及び、前記他のダイバー用通信装置を通じて送られてきた他のタンクの残量情報を表示する表示部を、さらに備えること。このようなダイバー用通信装置によれば、タンクの残量情報が表示されるので、残量不足を抑制できる。
【0020】
<第3の発明>
また本発明は、通信システムや通信方法にも及んでいる。第3の発明は、これら通信システムや通信方法に関わる発明であり、上記第1及び第2の発明のそれぞれに対応する通信システムや通信方法が存在する。そして、通信システムに係る発明は、
複数の通信装置間で通信する通信システムであって、
一方の通信装置は、
振動モードに応じて少なくとも2つの共振周波数を有する超音波振動部と、
前記2つの共振周波数の一方の周波数で第1の通信信号を生成し、生成した前記第1の通信信号を前記超音波振動部から送信する送信部と、
前記2つの共振周波数の他方の周波数で送信される第2の通信信号を前記超音波振動部から受信する受信部と、
を備え、
他方の通信装置は、
振動モードに応じて少なくとも前記2つの共振周波数を有する超音波振動部と、
前記2つの共振周波数の他方の周波数で前記第2の通信信号を生成し、生成した前記第2の通信信号を前記超音波振動部から送信する送信部と、
前記2つの共振周波数の一方の周波数で送信される前記第1の通信信号を前記超音波振動部から受信する受信部と、
を備える
当該通信システムにおいて、前記2つの共振周波数のうち、前記一方の周波数の利得特性は前記他方の周波数の利得特性よりも低く、前記一方の通信装置は、前記他方の通信装置よりも送信出力が大きい通信システム。さらに、前記2つの共振周波数のうち、前記一方の周波数の伝播損失は前記他方の周波数の伝播損失よりも大きく、前記一方の通信装置は、前記他方の通信装置よりも送信出力が大きい通信システムも本発明の範囲である。
【0021】
また、通信方法に係る発明は、第1の通信信号を生成し、生成した前記第1の通信信号を、1つの超音波振動部の振動モードに応じた2つの共振周波数の一方の周波数で前記超音波振動部から送信する送信工程と、
前記2つの共振周波数の他方の周波数で送信される第2の通信信号を前記超音波振動部から受信する受信工程と、
を備えることを特徴とする。
【0022】
なお、第2の発明に属する前記ダイバー用通信装置を含む通信システムも第3の発明に含まれている。当該通信システムは、タンクに設けられたタンク用通信装置と、ダイバーに装着されるダイバー用通信装置とを有する通信システムであって、
前記ダイバー用通信装置は、
振動モードに応じて少なくとも2つの共振周波数を有する超音波振動部と、
前記2つの共振周波数のうちの一方の共振周波数を用いて前記タンク用通信装置との間で通信するとともに、前記2つの共振周波数のうちの他方の共振周波数を用いて他のダイバー用通信装置との間で通信する通信部と、
を備えることを特徴とする。
【0023】
また、前記ダイバー用通信装置を用いた通信方法に係る発明は、或るダイバーに装着されるダイバー用通信装置と、前記或るダイバーが使用するタンク、及び、他のダイバーに装着される他のダイバー用通信装置との間における通信方法であって、
超音波振動部が有する少なくとも2つの共振周波数のうちの一方の共振周波数を用いて前記タンクとの間で通信すること、
前記2つの共振周波数のうちの他方の共振周波数を用いて前記他のダイバー用通信装置との間で通信すること、
を特徴とする。
【0024】
<第4の発明>
第4の発明は、超音波信号を距離測定用途に利用する発明であって、主たる発明において、前記第2の超音波信号の送信時点と前記受信部により当該第2の超音波信号を受信した時点との時間差に基づいて送信信号源との距離を測定する距離測定部を備えたことを特徴とする。
さらに、前記第2の超音波信号を前記超音波振動部により送信する第2の送信部を備え、当該第2の送信部による前記第2の超音波信号の送信処理と前記受信部よる前記第2の超音波信号の受信処理とを切り換える送受信切換部を備えた超音波信号送受信装置とすることもできる。
【実施例】
【0025】
[第1の実施例]
上記第1の発明に分類した発明に係る実施例を第1の実施例として説明する。以下、2台の通信装置で構成される通信システムについて図面を参照して説明する。
【0026】
(実施形態)
図1は、通信システム305の機能構成を説明する図である。この通信システム305は、一方の通信装置A(310A)と他方の通信装置B(310B)を備え、これらは超音波を用いて互いに通信することで、水中における全二重通信を想定する。尚、通信装置A(310A)と通信装置B(310B)は、送信する周波数と受信する周波数が逆であるが、機能構成やハードウェア構成は同一であるため、代表して通信装置A(310A)の各機能部を説明する。また、図2は、通信装置310Aのハードウェア構成を示す図であり、この図も参照して説明する。
【0027】
通信装置A(310A)は、データ入力部312A、送信部314A、フィルタ部316A、圧電素子部318A、フィルタ部320A、受信部322A、データ出力部324A、操作部330A、制御部335Aおよび電源部340Aを備え、防水機能および耐水圧機能を備えるケース(図示は略す。)に実装されている。また、この通信装置A(310A)は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)352、メモリ354、送信回路360、受信回路362およびI/F(Inter Face)364を備え、これらはバス374によりデータを授受可能に接続されている。また、送信回路360および受信回路362には1つの超音波振動子358が接続され、I/F364には、マイクロフォン366、イヤフォン368、表示部370および操作ボタン372が接続されている。
【0028】
データ入力部312Aは、通信相手である通信装置B(310B)に送信すべきデータが入力される。本実施形態では、データ入力部312Aは、通信装置A(310A)を保持する人物の口元に配置されたマイクロフォン366である。この人物が発する音声は、情報信号に変換されて送信部314Aに送られる。尚、データ入力部312Aに入力されるデータは、音声データに限定されるものではなく、通信装置A(310A)を保持する人物の脈拍や血圧等の生体に関するデータであっても良く、また、この人物が入力した種々の情報データであっても良い。
【0029】
送信部314Aは、データ入力部12Aから送られる情報信号に基づいて、所定の送信周波数(F1)の通信信号を生成し、生成した通信信号を圧電素子部318Aから送信する。より詳細には、送信部314Aは、データ入力部312Aから送られる情報信号に所定の変調処理を施し、この変調信号を周波数変換し、所定の出力まで増幅して周波数F1の高周波信号として圧電素子部318Aに送る。変調方式は限定されるものではなく、例えば、FSK(Frequency Shift Keying)方式を採用できる。また、本実施形態では、送信部314Aは送信回路360により実現している。尚、送信部314Aにおいて、周波数F1,F2のうち、周波数が高い側の信号は、低い側の信号をアップコンバートして生成しても良い。
【0030】
フィルタ部316Aは、送信部314Aと圧電素子部318Aとの間に介在する。このフィルタ部316Aはバンドパスフィルタであり、送信部314Aから出力される高周波信号の周波数F1を中心周波数として所定の周波数帯域の高周波信号を選択的に透過させ、不要な周波数成分を除去する機能を有する。本実施形態では、送信回路360に実装される。尚、このフィルタ部316Aに替えて、送信部314Aと圧電素子部318A間のインピーダンスを整合するための整合部(図示は略す)が介在しても良く、フィルタ部316Aと整合部は直列して介在しても良い。また、フィルタ部316Aと整合部の何れも介在しない構成も想定できる。
【0031】
圧電素子部318Aは、振動モードに応じて少なくとも2つの共振周波数を有する超音波振動部である。本実施形態では、圧電素子部318Aとして、弾性振動により超音波を送受信する超音波振動子358を採用する。この超音波振動子358は、セラミック材の圧電体を2枚の電極で挟んだピエゾ素子が超音波振動を検出した場合、高周波信号に変換して出力する。また、高周波信号が入力された場合、この高周波信号に応じた超音波振動を生成して放射する。圧電体の形状は、例えば、所定の厚みを有する円柱体であり、共振周波数は圧電体の形状に応じた弾性固有振動により決定される。
【0032】
本実施形態では、種々の振動モードの中から、径方向の振動モードと厚み方向の振動モードの2つを採用する。即ち、径方向の振動モードの共振周波数と厚み方向の振動モードの共振周波数のうち、一方がF1であり他方がF2であるような超音波振動子358が採用されている。本実施形態では、例えば、直径が5mmでドーナツ状の円柱体において、F1は400KHzであり、F2は1.3MHzである圧電体を想定する。この場合、中心周波数間は900KHzであることから、F1およびF2の信号はアイソレーションされるため、相互に影響を与えない。従って、送信部314Aから出力される周波数F1の高周波信号は、通信信号として情報を含む超音波に変換され、通信装置A(310A)の外部の水中に放射される。同様にして、通信信号として情報を含み、通信装置B(310B)から周波数F2で放射される超音波は、圧電素子部318Aに検出されて高周波信号に変換され、フィルタ部320Aに送られる。
【0033】
フィルタ部320Aは、圧電素子部318Aと受信部322Aとの間に介在する。このフィルタ部320Aは、一方のフィルタ部316Aと同様なバンドパスフィルタであり、圧電素子部318Aで変換された高周波信号の周波数F2を中心周波数として、所定の周波数帯域の高周波信号を選択的に透過させることにより、不要な周波数成分を除去する機能を有する。本実施形態では、受信回路362に実装される。尚、このフィルタ部320Aに替えて、圧電素子部318Aと受信部322A間のインピーダンスを整合するための整合部(図示は略す)が介在しても良く、フィルタ部320Aと整合部は直列して介在しても良い。また、フィルタ部320Aと整合部の何れも介在しない構成も想定できる。
【0034】
受信部322Aは、圧電素子部318Aから送られる周波数F2の高周波信号を受信する。より詳細には、受信部322Aは、圧電素子部318Aから送られる高周波信号F2から変調信号を抽出し、抽出した変調信号を復調することにより変調信号に重畳された情報信号を取得する。取得された情報信号は、データ出力部324Aに送られる。また、本実施形態では、受信部322Aは受信回路362により実現している。尚、受信部322Aにおいて、周波数F1,F2のうち、周波数が低い側の信号は、高い側の信号をダウンコンバートして生成しても良い。
【0035】
データ出力部324Aは、受信部322Bが取得した情報信号が出力される。本実施形態では、データ出力部324Aは、情報信号を音声に変換するイヤフォン368を想定する。このイヤフォン368は、通信装置A(310A)を保持する人物の耳に装着される。尚、音声による出力には限定されず、情報信号に含まれる情報によっては、表示部370により画像で出力されても良い。
【0036】
制御部335Aは、送信部314Aでの送信および受信部322Aでの受信を非同期に制御する。即ち、送信部314Aでの送信と受信部322Aでの受信は、同時に実行されても良く、また、何れか一方が実行されても良い。この結果、送信と受信を全二重で行うことができる。本実施形態では、CPU52がメモリ354に保持された所定のプログラムを実行することで、送信回路360および受信回路362の動作を制御する。
【0037】
操作部330Aは、通信装置A(310A)を保持する人物により操作され、通信装置A(310A)の各動作を制御する。本実施形態では、操作部330Aとして操作ボタン372が通信装置A(310A)上に配置され、通信装置A(310A)を保持する人物は、表示部370に表示される情報に応じて操作ボタン372を操作する。
【0038】
電源部340Aは、通信装置A(310A)の各機能部に対して電源を供給する。本実施形態では、例えば、充電可能な二次電池を想定する。
【0039】
通信装置B(310B)は、上述した通信装置A(310A)と同一の機能を有し、送信部314Bが使用する周波数はF2であり、受信部22Bが使用する周波数はF1である。従って、通信装置A(310A)を保持する人物と、通信装置B(310B)を保持する人物は、水中で全二重の交信を行うことができる。
【0040】
以上述べたように、1つの超音波振動子58の振動モードにより異なる2つの共振周波数を送信用と受信用に用いることで、全二重の超音波通信を1つの超音波振動子358で実現できる。従って、通信装置A(310A)に組み込む超音波振動子358は1系統で良いため、通信装置A(310A)を構成する部品数を低減できる。この結果、通信装置A(310A)を小型かつ軽量に構成できることに加え、製造コストの低減を図ることができる。
【0041】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明したが、具体的な構成は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、通信装置A(310A)および通信装置B(310B)の様態は、同一であっても良く、異なっても良い。例えば、図示は略すが、通信装置A(310A)は、腕時計のようにダイバーが装着可能な大きさの様態であって、通信装置B(310B)は母船に搭載され、圧電素子部18Bが分離されて水中に露出するような様態であることも想定できる。このような場合、通信装置B(310B)は大型化できるため、電源部40Bの電源容量を大きくすることで、通信装置A(310A)に比べて送信出力を強くできる。従って、周波数によって利得特性が変動する場合、周波数F1を利得特性が良好な周波数として割り当て、周波数F2を利得特性が不良な周波数として割り当てることにより、利得特性の低下を強力な送信出力により改善できる。また、水中において超音波通信で使われる周波数(数10KHz〜数MHz)は、周波数が高くなる程、伝播損失が増大する。従って、周波数F2を周波数F1よりも高い周波数に割り当てることにより、伝播損失の増大を強力な送信出力により改善できる。
【0042】
また、本実施形態では、通信システム5は全二重により通信したが、通信装置A(310A)および通信装置B(310B)が送受信を切り替えることにより、半二重により通信しても良い。この場合、2つの周波数F1,F2を送信と受信で切り替えるため、送信された超音波が海底、岩礁および船舶等で反射され遅延して到達する反射エコーによる影響を排除できる。
【0043】
また、本実施形態では、通信システム305は、通信装置A(310A)および通信装置B(310B)で構成されたが、2台に限定されるものではなく3台以上であっても良い。この場合、例えば、通信装置A(310A)を親機とし、複数の通信装置B,C,・・・を子機として、1台の親機と複数の子機との間で通信しても良い。更に、親機が複数あっても良い。
【0044】
[第2の実施例]
上記第2の発明に分類された発明に係る実施例を本発明の第2の実施例とした。ここでは、より具体的に、ダイバー用通信装置の一種であるダイブコンピュータと、空気タンクに備えられたトランスミッタ(タンク用通信装置の一種)とから構成される通信システムを例に挙げる。
【0045】
<ダイブコンピュータ1について>
図3Aに示すように、ダイブコンピュータ1は、表示部10と、操作部20と、センサ群30と、通信部40と、警報部50と、コントローラ60とを有する。このダイブコンピュータ1は、腕時計のようにダイバー(使用者)の手首に装着されるものであり(図9を参照)、ダイバーズウォッチとしても用いられる。
【0046】
表示部10は、ダイバーに参照される情報を表示する部分であり、各種の表示素子が用いられる。例えば、液晶表示素子やLED表示素子が用いられる。図4に示すように、表示部10は、ガラスや樹脂等の透明部材11によって覆われた状態で、ケースCS1の内部に収容されている。ダイバーは、透明部材11を透して表示内容を視認する。図5に示すように、このダイブコンピュータ1では、このダイブコンピュータ1を装着しているダイバー及び通信相手である他のダイバーについて、空気タンク200(図8を参照)の残量が表示される。なお、この点については後で説明する。
【0047】
操作部20は、ダイブコンピュータ1に所望の動作を行わせる際に、ダイバーによって操作される部分である。図4に示すように、このダイブコンピュータ1では、ケースCS1の前面における6時の位置(腕時計の文字盤における6時に相当する位置、以下同様)に、3つの操作ボタン21を横並びに設けている。
【0048】
センサ群30は、複数種類のセンサによって構成されている。そして、検出結果はコントローラ60へ出力される。これらのセンサには、ダイブコンピュータ1の使用環境を検出するものとして、例えば圧力センサ31や水ぬれセンサ32が含まれる。
【0049】
圧力センサ31は、ダイブコンピュータ1が置かれている環境の圧力に応じた検出信号を出力する。すなわち、圧力センサ31は、ダイビング中において水圧に応じた検出信号を出力する。そして、水圧は水深に応じて変化するので、コントローラ60は、検出信号に基づいて水深を認識できる。この圧力センサ31は、例えば図2に示すように、ケースCS1の前面における9時の位置に設けられている。
【0050】
水ぬれセンサ32は、ダイブコンピュータ1が水にぬれた状態にあるか否かを検出する。この水ぬれセンサ32は、ダイビング中において、ダイブコンピュータ1が水中にある場合に対応する検出信号を出力する。水ぬれセンサ32は2つの端子を有しており、両端子が水を介して短絡された場合に、水ぬれ状態を示す検出信号を出力する。なお、図4では、一方の端子がケースCS1の前面における3時の位置に設けられている。また、他方の端子はケースCS1の一部を構成する金属部分であり、一方の端子と電気的に絶縁された状態で設けられている。
【0051】
通信部40は、他の機器との間でデータ信号の送受信をするための部分である。このダイブコンピュータ1では、トランスミッタ100(図7を参照)や他のダイブコンピュータ1と通信を行う。これらの機器は、空気中と水中のそれぞれで送受信を行う。例えば図10A,図10Bに示すように、地上や船上(すなわち空気中)ではペアリングを行う。また、図9に示すように、水中では、空気タンク200の残量を送受信する。なお、ペアリングとは、通信相手となる機器同士を認識させ、制御上の時刻、クロックのタイミング、及び、データ信号の送受信タイミングの同期をとる処理である。この通信部40については後で説明する。
【0052】
警報部50は、警報動作を行う部分であり、例えばバイブレータによって構成される。この警報部50は、何らかの異常があった場合に、異常があった旨をダイバーに報知する。このため、警報部50としては、ダイバーへの報知ができればバイブレータ以外のものを用いてもよい。そして、警報部50としてバイブレータを用いた場合、ダイバーは目視によらずに異常があった旨を認識でき、直ちに対応ができる。
【0053】
コントローラ60は、ダイブコンピュータ1における制御の中心になる部分であり、CPU61とメモリ62と水晶振動子63とを有する。CPU61は、メモリ62に記憶されているファームウェアに従って動作し、各制御対象部を制御する。例えば、CPU61は、所望の表示を行わせるため、表示部10に対して表示用の制御信号を出力する。また、前述したように、データ信号の送受信も行う。水晶振動子63は、ダイブコンピュータ1の時刻基準となるクロックを発生させる。この水晶振動子63は、CPU61に内蔵された発振回路とともに動作する。そして、コントローラ60は、水晶振動子63が発生したクロックに基づき、そのダイブコンピュータ1における時刻情報を生成する。
【0054】
<通信部40について>
図3Bに示すように、通信部40は、通信回路41と超音波振動子42とを有する。通信回路41は、第1送信回路43a、第2送信回路43b、第1受信回路44a、第2受信回路44b、第1バンドパスフィルタ45a、第2バンドパスフィルタ45b、第1整合回路46a、及び、第2整合回路46bを有する。第1送信回路43a及び第2送信回路43bは、コントローラ60から出力されたデータ信号によって変調された変調信号を出力する。この実施形態において、第1送信回路43aは、第1超音波用の変調信号を出力する。第2送信回路43bは、第2超音波用の変調信号を出力する。なお、第1超音波及び第2超音波については後述する。第1受信回路44aは、変調信号から復調されたデータ信号(再生されたデータ信号)をコントローラ60へ出力する。なお、第1受信回路44aに入力される変調信号は、他のダイブコンピュータ1から送信されたものである。第2受信回路44bは、第1受信回路44aと同様に、変調信号から復調されたデータ信号をコントローラ60へ出力する。そして、第2受信回路44bに入力される変調信号は、トランスミッタ100から送信されたものである。第1バンドパスフィルタ45aは、超音波振動子42の第1共振周波数F1(図6Bを参照)で定められる所定周波数帯域の信号を通過させる。第2バンドパスフィルタ45bは、超音波振動子42の第2共振周波数F2(図6Bを参照)で定められる所定周波数帯域の信号を通過させる。第1整合回路46aは、第1共振周波数F1の信号を扱う回路とのインピーダンスを整合させる。第2整合回路46bは、第2共振周波数F2の信号を扱う回路とのインピーダンスを整合させる。インピーダンスを整合させることで、インピーダンスの不整合に起因する反射が低減される。このため、信号の送受信効率を向上させることができる。一般的に、超音波振動子42の第1共振周波数F1と第2共振周波数F2のインピーダンスは異なる。このため、共振周波数F1,F2毎に整合回路46a,46bを設けることは、極めて有効といえる。また、2つの周波数同士F1,F2の分離性の向上にも寄与する。
【0055】
超音波振動子42は、例えば図6Aに示すように、中央部に円形の貫通孔を有する中空円盤状(円環状)の圧電素子によって構成される。この超音波振動子42の大きさは、直径が5mmであり、厚さが1mmである。図6Bに示すように、この超音波振動子42は、振動モードに応じて少なくとも2つの共振周波数F1,F2を有する。第1共振周波数F1は径方向の振動モードの共振周波数であり、第2共振周波数F2は厚み方向の振動モードの共振周波数である。ここで、径方向は、厚み方向に対して交差する交差方向(具体的には直交する方向)に相当する。従って、第1共振周波数F1は、交差方向の振動モードの共振周波数に相当する。この超音波振動子42では、送信回路(第1送信回路43a,第2送信回路43b)から出力された変調信号に基づいて超音波振動子42を動作させると、第1共振周波数F1の第1超音波や第2共振周波数F2の第2超音波が送信される。また、超音波振動子42は、第1超音波と第2超音波の何れも受信することができる。
【0056】
この超音波振動子42の利得特性(電気信号と超音波の変換効率の特性)に関し、第1共振周波数F1の利得と第2共振周波数F2の利得がほぼ等しい。この場合、第1超音波と第2超音波の送受信効率は等しくなる。
【0057】
本実施形態において、第1共振周波数F1は400KHzであり、第2共振周波数F2は1.3MHzである。第1共振周波数F1が400KHzに定められていることから、第1バンドパスフィルタ45aは、400KHzを中心周波数とする所定周波数帯域の信号を通過させる。同様に、第2共振周波数F2が1.3MHzに定められていることから、第2バンドパスフィルタ45bは、1.3MHzを中心周波数とする所定周波数帯域の信号を通過させる。ここで、第1共振周波数F1と第2共振周波数F2の中心周波数同士の差は900KHzである。このため、第1超音波と第2超音波に関し、通信に必要な帯域を確保しつつそれぞれの信号を分離させることができる。
【0058】
なお、図6Cに示すように、水中において超音波は、周波数が高いほど伝播損失が大きくなる。従って、第1超音波よりも周波数の高い第2超音波は、同じ強さで送信されたとしても、伝送可能な距離が第1超音波よりも短くなる。
【0059】
図4に示すように、超音波振動子42は、例えば金属製のパッケージ内に収められた状態で、ケースCS1の前面における12時の位置に設けられている。すなわち、ケースCS1の正面上部における幅方向(3時と9時を結ぶ方向)の中央に設けられている。これにより、ペアリング時における超音波振動子42同士の位置あわせを容易にしている。
【0060】
この通信部40において、第1送信回路43a、第2送信回路43b及び超音波振動子42の組は、周波数の異なる第1超音波と第2超音波を送信する送信部に相当する。すなわち、第1送信回路43aと超音波振動子42の組は、第1超音波を送信する第1送信部に相当し、第2送信回路43Bと超音波振動子42の組は、第2超音波を送信する第2送信部に相当する。また、第1受信回路44a、第2受信回路44b及び超音波振動子42の組は、周波数の異なる第1超音波と第2超音波を受信する受信部に相当する。すなわち、第1受信回路44aと超音波振動子42の組は、第1超音波を受信する第1受信部に相当する。同様に、第2受信回路44bと超音波振動子42の組は、第2超音波を受信する第2受信部に相当する。そして、コントローラ60は、データ信号を各送信回路43a,43bへ出力すること、及び、再生されたデータ信号を各受信回路44a,44bから受け取ることを行う。
【0061】
<トランスミッタ100について>
次に、トランスミッタ100について説明する。このトランスミッタ100は、タンク用通信装置の一種であり、例えば図8に示すように、空気タンク200のバルブ210に設けられている。そして、空気タンク200の圧力を示すデータ信号をダイブコンピュータ1へ送信する。
【0062】
トランスミッタ100の電気的な構成は、ダイブコンピュータ1と類似している。すなわち、図7に示すように、トランスミッタ100は、操作部110と、センサ群120と、通信部130と、コントローラ140とを有する。これらの各部は、ダイブコンピュータ1が有するものと同等の機能を有する。簡単に説明すると、操作部110はトランスミッタ100のモードを切り替える際等に操作される部分であり、例えば図8に示すように、ケースCS2に設けられた操作ボタン111によって構成される。センサ群120には、第1圧力センサ121、第2圧力センサ122、及び、水ぬれセンサ123が含まれる。第1圧力センサ121は、ダイブコンピュータ1の圧力センサ31と同様に、トランスミッタ100がおかれている環境の圧力に応じた検出信号を出力する。第2圧力センサ122は、空気タンク200の圧力に応じた検出信号を出力する。水ぬれセンサ123は、トランスミッタ100が水中にある場合に対応する検出信号を出力する。
【0063】
通信部130は、ダイブコンピュータ1との間でデータ信号を送受信する。この通信部130は、通信回路131と超音波振動子132を有する。そして、通信回路131は、送信回路133と受信回路134とを有する。送信回路133は、データ信号によって変調された変調信号を超音波振動子132へ出力する。受信回路134は、再生されたデータ信号をコントローラ140へ出力する。超音波振動子132は、変調信号に基づいて振動し、超音波を出力する。この超音波振動子132の共振周波数は、ダイブコンピュータ1が有する超音波振動子42の第2共振周波数F2に揃えられている。図6Aに示すように、この超音波振動子132も中空円盤状をしている。
【0064】
なお、例示した通信回路131では、バンドパスフィルタや整合回路を設けていないが、これらを設けてもよい。バンドパスフィルタや整合回路を設けることで、無用な周波数成分を除去でき、データ信号の送受信時の効率が向上する。
【0065】
コントローラ140は、トランスミッタ100における制御の中心になる部分であり、CPU141とメモリ142と水晶振動子143とを有する。CPU141は、ファームウェアに従って動作し、各制御対象部を制御する。水晶振動子143は、トランスミッタ100の時刻基準となるクロックを発生させる。このクロックに基づき、コントローラ140はトランスミッタ100における時刻情報を生成する。
【0066】
このトランスミッタ100は、空気タンク200に設けられている。このため、大きさや形状に関し、ダイバーの手首に装着されるダイブコンピュータ1よりも自由度が高い。このため、ダイブコンピュータ1よりも大きな電源を搭載でき、超音波の出力も大きくすることができる。
【0067】
<動作について>
次に、この通信システムにおける動作について説明する。この通信システムでは、図9に示すように、或るダイバーに装着された第1ダイブコンピュータ1Aは、そのダイバーが使用する第1空気タンク200Aに設けられた第1トランスミッタ100Aと通信をすると共に、他のダイバーに装着された第2ダイブコンピュータ1Bとも通信をする。一方、第2ダイブコンピュータ1Bは、そのダイバーが使用する第2空気タンク200Bに設けられた第2トランスミッタ100Bと通信をするとともに、第1ダイブコンピュータ1Aとも通信をする。そして、各ダイブコンピュータ1A,1Bは、各空気タンク200A,200Bの残量を表示する。
【0068】
この通信システムでは、各トランスミッタ100A,100Bと対応するダイブコンピュータ1A,1Bとの通信を、第2共振周波数F2の第2超音波で行い、ダイブコンピュータ1A,1B同士の通信を第1共振周波数F1の第1超音波で行うことを特徴としている。このように、ダイブコンピュータ1が有する超音波振動子42から出力される第2超音波でトランスミッタ100と通信をさせ、第1超音波で相手方のダイブコンピュータ1と通信させることで、それぞれの通信に超音波振動子42を共用できる。これにより、装置構成の簡素化が図れる。
【0069】
このような通信を行うため、各ダイバーは、各機器を地上や船上(要するに空気中)でペアリングする。すなわち、或るダイバーは、第1ダイブコンピュータ1Aと第1トランスミッタ100Aとをペアリングする。また、他のダイバーは、第2ダイブコンピュータ1Bと第2トランスミッタ100Bとをペアリングする。さらに、或るダイバーと他のダイバーは、第1ダイブコンピュータ1Aと第2ダイブコンピュータ1Bとをペアリングする。
【0070】
ペアリングの動作例を簡単に説明する。まず、ダイブコンピュータ1とトランスミッタ100のペアリングについて説明する。この場合、例えば図10Aに示すように、ダイブコンピュータ1(1A,1B)の超音波振動子42とトランスミッタ100(100A,100B)の超音波振動子132を向かい合わせにおき、トランスミッタ100を受信状態とし、ダイブコンピュータ1を送信状態とする。その後、ダイブコンピュータ1からペアリングデータ(データ信号の一種)を送信する。すなわち、第2超音波を変調してペアリングデータを送信する。このペアリングデータを受信したら、トランスミッタ100は、このペアリングデータが受信できた旨の返事(acknowledge)及び受信側のペアリングデータを返信する。この返信も第2超音波を変調して行う。この返信によって、ペアリングの動作が終了する。このとき、自身の時刻情報や歩度が相手側と交換されることにより、時刻及びクロックの同期が確立する。また、相手との間で、通信を行うタイミングも定められる。
【0071】
ダイブコンピュータ1A,1B同士のペアリングも同様である。この場合、例えば図10Bに示すように、互いの超音波振動子42同士が向かい合うように、第1ダイブコンピュータ1Aと第2ダイブコンピュータ1Bとを配置し、第1ダイブコンピュータ1Aから第2ダイブコンピュータ1Bへ向けてペアリングデータを送信する。すなわち、第1超音波を変調してペアリングデータを送信する。そして、第2ダイブコンピュータ1Bは、受信できた旨の返事に加えてペアリングデータを返信する。この返信も第1超音波を変調して行う。このときも、自身の時刻情報や歩度が相手側と交換されることにより、時刻及びクロックの同期が確立する。また、相手の間で、通信を行うタイミングも定められる。
【0072】
なお、空気中における超音波の速度は、水中における速度よりも低い。この点に関し、通信する機器同士を数cm〜数十cm程度の近距離で通信させることにより、ペアリングにて同期される時刻の精度を高めることができる。
【0073】
水中において、空気中にてペアリングされた機器同士は通信を行う。このとき、各機器は、水中に存在することを条件に通信を開始する。この場合、各ダイブコンピュータ1A,1Bのコントローラ60、及び、各トランスミッタ100A,100Bのコントローラ140は、水ぬれセンサ32,123や圧力センサ31,121からの出力に基づいて水に濡れていること及び水圧を認識し、条件を満たしたら通信を開始する。この通信は、ペアリング時に定められたタイミングで行われる。この通信システムの通信は、半二重通信で行われる。
【0074】
ここで、ダイブコンピュータ1A,1Bとトランスミッタ100A,100B間の通信に要する時間(すなわち、空気タンク200の残量を取得するための通信時間)は、ダイブコンピュータ1A,1B同士の通信に要する時間よりも短くて済む。また、ダイブコンピュータ1A,1Bとトランスミッタ100A,100B間の通信は間欠的に行えば足りる。このため、ダイブコンピュータ1A,1Bとトランスミッタ100A,100B間で通信をしている期間は、ダイブコンピュータ1A,1B同士の通信を停止してもよい。このようにすると、2つの周波数間の干渉を確実に防止できる。
【0075】
また、この通信システムでは、トランスミッタ100とダイブコンピュータ1との通信に、水中で減衰がし易い低い方の第2超音波(第2共振周波数F2)を用いているので効率がよい。すなわち、相対的に通信可能な距離が短い第2超音波を、通信距離が短くなりがちなトランスミッタ100との通信に使用し、相対的に通信可能な距離が長い第1超音波を、通信距離が長くなりがちな他のダイブコンピュータ1との通信に用いているので、それぞれの超音波の特性に適した効率のよい通信が行える。加えて、トランスミッタ100の通信部130は、ダイブコンピュータ1の通信部40に比べて、出力の大きなものを用いることが容易である。このため、水中での減衰を、通信部130の出力を大きくすることで補うこともできる。
【0076】
なお、ダイバー同士の位置によっては、相手の空気タンク200に設けられたトランスミッタ100からの第2超音波を受信してしまう虞がある。このような不具合を防止するためには、第1トランスミッタ100Aから第2超音波を送信するタイミングと、第2トランスミッタ100Bから第2超音波を送信するタイミングとをずらせばよい。このようにすれば、各ダイブコンピュータ1A,1Bは、第2超音波が送信されたタイミングに基づき、自身が使用すべきデータを選択的に受信できる。その結果、他のダイバーの空気タンク200の残量を誤って受信してしまう不具合を防止できる。
【0077】
<まとめ>
以上の説明から次のことがいえる。すなわち、各ダイブコンピュータ1A,1Bは、振動モードに応じて少なくとも2つの共振周波数F1,F2を有する超音波振動子42を備えており、一方の共振周波数F2を用いてトランスミッタ100(タンク)との間で通信し、他方の共振周波数F1を用いて他のダイブコンピュータ1と通信するので、1つの超音波振動子42を共用することができ、装置構成の簡素化が図れる。
【0078】
また、超音波振動子42の厚み方向の振動モードの共振周波数と、交差方向の振動モードの共振周波数を用いるので、第1超音波と第2超音波における周波数の差を十分に確保でき、それぞれの相手と確実に通信できる。
【0079】
また、前記厚み方向の振動モードの共振周波数を、交差方向の振動モードの共振周波数よりも高くしているので、超音波振動子42の厚みを薄くでき、装置の小型化に適する。また、ダイブコンピュータ1の通信部40は、2つの共振周波数のうちの高い方の周波数を用いてトランスミッタ100との間で通信をしている。トランスミッタ100は、相手のダイブコンピュータ1よりも近い場所にあることが多いので、水中で減衰し易い高い方の周波数を用いることで、それぞれの超音波の特性に適した効率のよい通信が行える。
【0080】
===その他の実施形態===
前述の実施形態は、主として通信システムについて記載されているが、その中には、ダイバー用通信装置、ダイバー用通信装置に用いられるコンピュータプログラム及びコード、プログラムを記憶した記憶媒体、ダイバー用情報通信におけるタンク残量表示方法、異常報知方法、同期方法、通信方法等の開示も含まれている。
【0081】
また、一実施形態として、通信システムを説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0082】
<利得特性について>
前述の実施形態では、第1共振周波数F1の利得と第2共振周波数F2の利得がほぼ等しかったが、超音波振動子42の形状によっては、それぞれの利得が異なる場合もある。この場合、利得が低い方の共振周波数を用いてトランスミッタ100(空気タンク200)と通信してもよい。例えば、図11に例示する超音波振動子42の利得特性では、第2共振周波数F2の利得が第1共振周波数F1の利得よりも小さくなっている。このため、第2共振周波数F2を空気タンク200との通信に使用し、第1共振周波数F1を他のダイブコンピュータ1との通信に使用する。また、第1共振周波数F1の利得が、第2共振周波数F2の利得よりも小さくなることもある。この場合には、第1共振周波数F1を空気タンク200との通信に使用し、第2共振周波数F2を他のダイブコンピュータ1との通信に使用すればよい。
【0083】
<超音波振動子42,132について>
超音波振動子42,132の形状は、前述した中空円盤状に限られない。例えば、図12Aに示すように、単なる円盤状の超音波振動子42A,132Aであってもよいし、図12Bに示すように、矩形板状の超音波振動子42B,132Bであってもよい。加えて、円柱状や角柱状であってもよい。
また、超音波に関し、2次、3次といった高次の振動モードを用いてもよい。
【0084】
<通信方式について>
前述の実施形態では、半二重通信を例示したが、共振周波数の異なる通信部40,130をさらに1組追加することにより、全二重通信を行うこともできる。
例えば図13に示すように、第1ダイブコンピュータ1Aから第2ダイブコンピュータ1Bへの通信を第1共振周波数F1の第1超音波で行い、第1トランスミッタ100Aと第1ダイブコンピュータ1Aの間の通信を第2共振周波数F2の第2超音波で行う。そして、第2ダイブコンピュータ1Bから第1ダイブコンピュータ1Aへの通信を第3共振周波数F3の第3超音波で行い、第2トランスミッタ100Bと第2ダイブコンピュータ1Bの間の通信を第2超音波で行う。この場合において、第2トランスミッタ100Bと第2ダイブコンピュータ1Bの間の通信を第4共振周波数F4の第4超音波で行ってもよい。
【0085】
<他のダイバーの数について>
前述の実施形態では、2人で潜水をする場合(他のダイバーが1人である場合)を例に挙げた。ここで、他のダイバーは2人以上であってもよい。すなわち、自身を含む3人以上の情報を、表示部10で表示させてもよい。
【0086】
<ダイバー用通信装置について>
前述の実施形態では、ダイバー用通信装置としてダイブコンピュータ1を例示したが、これに限られない。すなわち、各ダイバーに装着される装置であって、互いに無線で通信するものであれば、ダイバー用通信装置になる。
【0087】
[第3の実施例]
本発明の第3の実施例は、上記第4の発明に分類された発明に関する実施例である。この第3の実施例は、上記第1及び第2の実施例とは異なり、超音波信号を通信用途ではなく、距離を測定するための用途でも使用する点に特徴がある。ここでは、自動車において後方の障害物を検出する装置への適用例を挙げる。
【0088】
図14に第3の実施例における、超音波信号送受信装置の概略図を示した。超音波信号送受信装置410aは、自動車の距離測定装置の応用形態である。一般的な車載の距離測定装置は、ドライバーの死角となる車のリア側の障害物との距離を測定するものであり、例えば、シフトレバーをバックに入れたときなどに作動し、自動車400のリアバンパー401などに組み込まれた超音波振動子により、一方の周波数F2で超音波信号を送信し、その送信信号が障害物によって反射されて超音波振動子に再び戻ってくるまでの時間を測定するとともに、その時間と大気中の音速とに基づいて障害物402までの距離を計算して、その距離を表示出力したり合成音声によって案内音声を出力したりするものである。
【0089】
第3の実施例における距離測定装置410aは、第1及び第2の実施例と同様に、一つの超音波振動子によって二つの超音波信号を送信、あるいは受信できるものであり、この例では、先の周波数F2とは異なる周波数F1の超音波信号によって距離の計算結果を含む情報を他の装置に送信するものである。
【0090】
図15に、当該超音波信号送受信装置410aと当該超音波信号送受信装置410aと情報通信する通信装置410bの機能ブロック構成を例示した。CPU411aとメモリ412aとによって構成されるコンピュータ本体をコントローラとしている。送信機A413aは、CPU411aからの制御によって超音波振動子415aを駆動し、周波数F1あるいはF2の超音波信号を送信させる。受信器A414aは、超音波振動子415aが受信した周波数F1あるいはF2の超音波信号の復号回路と復号した信号のA/D変換回路などを含み、復号信号に基づくデジタルデータをCPU411aに入力する。スイッチ416aはCPU411aの制御に従って超音波振動子415aへの信号経路を送信機A413a側と受信機A414a側とに切り換える。そして、CPU411aはシフトレバー417の操作に連動するスイッチなどから、シフトレバー417がバックに切り替わったことを示す信号が入力されると、この超音波信号送受信装置410aを起動し、スイッチ416aを送信機A413a側に切り換え、現在の時刻情報を含んだ周波数F2の超音波信号を送信機A413aに送信させ、直ちに受信機A414a側にスイッチ416aを切り換えさせる。
【0091】
障害物402に反射した超音波信号は、超音波振動子415aを介して受信機A414aに入力され、その信号のデジタルデータがCPU411aに入力される。CPU411aは、反射信号に含まれている時刻情報と現時点での時刻とを比較し、その時間差から障害物402までの距離を計算する。そして、スイッチ416aを送信機A413a側に切り換えさせて、その計算結果を周波数F1で超音波振動子415aに送信させる。
【0092】
一方、周波数F1によって送信される距離情報を含んだ超音波信号を受信する装置410bは、車載の通信装置で、例えば、超音波信号の受信機能を備えたナビゲーション装置などが考えられる。車載通信装置410bにおいて、超音波信号を送受信する構成部分は、超音波信号送受信装置410aとほぼ同様であり、超音波振動子415b、送信機B413b、受信機B414b、信号経路の切換を行うスイッチ416b、そして、CPU411bとメモリ412bを含んで車載通信装置410bを統括制御するコントローラとを備えている。
【0093】
車載通信装置410bのCPU411bは、超音波信号送受信装置410aから周波数F1の超音波信号を超音波振動子415bとそれに接続される受信機B414bとを介して受けとると、送信機B413bと超音波振動子415bとにより、その受信確認を超音波信号送受信装置410a側に返信させるとともに、超音波信号送受信装置410bからの超音波信号中の距離情報をモニタなどの表示装置417に表示出力したり、障害物402との距離に応じたビープ音や合成音声による案内音声をスピーカを含む音声出力装置418から出力したりしてドライバーに障害物402との距離を知らせる。
【0094】
超音波信号送受信装置側410aのCPU411aは、時刻情報を含んだ超音波信号を送信して、車載通信装置410bから受信確認を受け取るまでの一連の処理を高速で繰り返し行うことで、距離を逐次更新し、その更新情報を逐次周波数F2の超音波信号によって送信させ、車載通信装置410bはリアルタイムで距離に関する情報を表示したり音声出力したりする。
【0095】
このように、当該超音波信号送受信装置410aと、これと周波数F1で通信する車載通信装置410bとは、超音波による無線信号で情報通信することになり、双方の装置(411a,410b)を有線接続させるための配線作業が不要となる。したがって、車種などを問わずに車載通信装置411bの設置場所を柔軟に設定できる。なお、このような距離測定用途では、指向性に優れた高い周波数を使って距離を測定することが望ましい。すなわち、F2>F1とする。また、超音波信号送受信装置410aと車載通信装置411bとの間の車内通信では、回折しやすい低い周波数の超音波を用いることで、これらの装置(411a,411b)間が見通せなくても確実に情報通信することができる。
【0096】
[その他の実施例]
本発明の超音波信号送受信装置の具体的な実施形態は、上記第1〜第3の実施例に示した例に限らず、例えば、第1の実施例や第2の実施例では、水中で通信する装置を例として挙げたが、これらの実施例において示した装置を大気中での通信に利用することも可能である。また、第3の実施例に示したような距離測定用途も大気中に限らない。例えば、水中において、あるダイバーが所持するダイブコンピュータで、他のダイバーが所持するダイブコンピュータとの距離を測定し、その距離情報を船上に設置された通信装置に送信するような用途が考えられる。船上の装置から特定のダイブコンピュータに他のダイブコンピュータとの距離を測定する旨の指令を含んだ超音波信号を送信し、その特定のダイブコンピュータが他のダイバーのダイブコンピュータとの距離を測定し、その距離を再び船上の装置に送信する、という実施形態もあり得る。このように本発明では、大気中、水中を問わず、情報通信用途、あるいは距離測定用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 ダイブコンピュータ、10 表示部、11 透明部材、20 操作部、21 操作ボタン、30 センサ群、31 圧力センサ、32 水ぬれセンサ、40 通信部、41 通信回路、42 超音波振動子、43a 第1送信回路、43b 第2送信回路、44a 第1受信回路、44b 第2受信回路、45a 第1バンドパスフィルタ、45b 第2バンドパスフィルタ、46a 第1整合回路、46b 第2整合回路、50 警報部、60 コントローラ、61 CPU、62 メモリ、63 水晶振動子、100 トランスミッタ、110 操作部、111 操作ボタン、120 センサ群、121 第1圧力センサ、122 第2圧力センサ、123 水ぬれセンサ、130 通信部、131 通信回路、132 超音波振動子、140 コントローラ、141 CPU、142 メモリ、143 水晶振動子、200 空気タンク、210 バルブ、305 通信システム、310A 通信装置A、310B 通信装置B、312A,312B データ入力部、314A,314B 送信部、316A,316B フィルタ部、318A,318B 圧電素子部、320A,320B フィルタ部、322A,322B 受信部、324A,324B データ出力部、330A,330B 操作部、335A,335B 制御部、340A,340B 電源部、352 CPU、354 メモリ、358 超音波振動子、360 送信回路、362 受信回路、364 I/F、366 マイクロフォン、368 イヤフォン、370 表示部、372 操作ボタン、374 バス、400 自動車、402 障害物、410a 超音波信号送受信装置、410b 車載通信装置、411a,411b CPU、412a,412b メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動モードに応じて少なくとも2つの共振周波数を有する超音波振動部と、
前記2つの共振周波数の一方の周波数で第1の超音波信号を生成し、生成した前記第1の超音波信号を前記超音波振動部から送信する送信部と、
前記2つの共振周波数の他方の周波数で送信されてくる第2の超音波信号を前記超音波振動部から受信する受信部と、
を備えることを特徴とする超音波信号送受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波信号送受信装置は、通信装置であって、前記第1の超音波信号と第2の超音波信号は通信信号で、前記第1送信部での送信、および前記受信部での受信を非同期に制御する制御部を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置において、前記超音波振動部と前記送信部との間および前記超音波振動部と前記受信部との間の少なくとも1つに、所定の周波数帯域の信号を選択的に透過するフィルタ部を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項2乃至3のいずれかに記載の通信装置において、前記超音波振動部と前記送信部との間および前記超音波振動部と前記受信部との間の少なくとも1つに、インピーダンスを整合する整合部を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1の超音波信号を前記超音波振動部から受信する第2の受信部と、
前記第2の超音波信号を前記超音波振動部により送信する第2の送信部と、
を備えることを特徴とする超音波信号送受信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波信号送受信装置は、通信装置であって、前記第1の超音波信号と第2の超音波信号は通信信号で、前記一方の共振周波数を用いて当該通信装置とは異なる種別の通信装置と通信するとともに、前記他方の共振周波数を用いて当該通信装置と同種の通信装置との間で通信する通信部と、を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の通信装置であって、前記通信部は、前記超音波振動部における厚み方向の振動モードの共振周波数と、前記厚み方向と交差する交差方向の振動モードの共振周波数を用いて通信することを特徴とする通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の通信装置であって、前記厚み方向の振動モードの共振周波数は、前記交差方向の振動モードの共振周波数よりも高いことを特徴とする通信装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の通信装置であって、前記通信部は、前記2つの共振周波数のうちの利得特性が低い方の共振周波数をより近距離での通信に使用することを特徴とする通信装置。
【請求項10】
請求項6〜8に記載の通信装置は、ダイバー用通信装置であって、前記通信部は、前記一方の共振周波数を用いてタンクとの間で通信し、他方の共振周波数を用いて他のダイバー用通信装置と通信することを特徴とするダイバー用通信装置。
【請求項11】
請求項10に記載のダイバー用通信装置であって、前記通信部は、前記2つの共振周波数のうちの利得特性が低い方の共振周波数を用いて前記タンクとの間で通信することを特徴とするダイバー用通信装置。
【請求項12】
請求項10乃至請求項11のいずれかに記載のダイバー用通信装置であって、前記タンクから送られてきた残量情報、及び、前記他のダイバー用通信装置を通じて送られてきた他のタンクの残量情報を表示する表示部を、さらに備えることを特徴とするダイバー用通信装置。
【請求項13】
複数の通信装置間で通信する通信システムであって、
一方の通信装置は、
振動モードに応じて少なくとも2つの共振周波数を有する超音波振動部と、
前記2つの共振周波数の一方の周波数で第1の通信信号を生成し、生成した前記第1の通信信号を前記超音波振動部から送信する送信部と、
前記2つの共振周波数の他方の周波数で送信される第2の通信信号を前記超音波振動部から受信する受信部と、
を備え、
他方の通信装置は、
振動モードに応じて少なくとも前記2つの共振周波数を有する超音波振動部と、
前記2つの共振周波数の他方の周波数で前記第2の通信信号を生成し、生成した前記第2の通信信号を前記超音波振動部から送信する送信部と、
前記2つの共振周波数の一方の周波数で送信される前記第1の通信信号を前記超音波振動部から受信する受信部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項14】
請求項13に記載の通信システムにおいて、前記2つの共振周波数のうち、前記一方の周波数の利得特性は前記他方の周波数の利得特性よりも低く、前記一方の通信装置は、前記他方の通信装置よりも送信出力が大きいことを特徴とする通信システム。
【請求項15】
請求項13に記載の通信システムにおいて、前記2つの共振周波数のうち、前記一方の周波数の伝播損失は前記他方の周波数の伝播損失よりも大きく、前記一方の通信装置は、前記他方の通信装置よりも送信出力が大きいことを特徴とする通信システム。
【請求項16】
第1の通信信号を生成し、生成した前記第1の通信信号を、1つの超音波振動部の振動モードに応じた2つの共振周波数の一方の周波数で前記超音波振動部から送信する送信工程と、
前記2つの共振周波数の他方の周波数で送信される第2の通信信号を前記超音波振動部から受信する受信工程と、
を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項17】
タンクに設けられたタンク用通信装置と、ダイバーに装着されるダイバー用通信装置とを有する通信システムであって、
前記ダイバー用通信装置は、
振動モードに応じて少なくとも2つの共振周波数を有する超音波振動部と、
前記2つの共振周波数のうちの一方の共振周波数を用いて前記タンク用通信装置との間で通信するとともに、前記2つの共振周波数のうちの他方の共振周波数を用いて他のダイバー用通信装置との間で通信する通信部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項18】
或るダイバーに装着されるダイバー用通信装置と、前記或るダイバーが使用するタンク、及び、他のダイバーに装着される他のダイバー用通信装置との間における通信方法であって、
超音波振動部が有する少なくとも2つの共振周波数のうちの一方の共振周波数を用いて前記タンクとの間で通信すること、
前記2つの共振周波数のうちの他方の共振周波数を用いて前記他のダイバー用通信装置との間で通信すること、
を特徴とする通信方法。
【請求項19】
請求項1において、前記第2の超音波信号の送信時点と前記受信部により当該第2の超音波信号を受信した時点との時間差に基づいて送信信号源との距離を測定する距離測定部を備えたことを特徴とする超音波信号送受信装置。
【請求項20】
請求項19において、前記第2の超音波信号を前記超音波振動部により送信する第2の送信部を備え、当該第2の送信部による前記第2の超音波信号の送信処理と前記受信部よる前記第2の超音波信号の受信処理とを切り換える送受信切換部を備えたことを特徴とする超音波信号送受信装置。

【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−57187(P2010−57187A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218665(P2009−218665)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【分割の表示】特願2009−33592(P2009−33592)の分割
【原出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】