説明

超音波信号通信方法および超音波センサ装置

【課題】自車両付近の人間や壁などの障害物を検知して運転者にその情報を知らせる車両用超音波信号処理装置は既に広く知られている。しかし、従来の装置ではセンサの個数の数倍の信号線が必要であり、それに伴いシステムが複雑化し、高いコストが発生していた。
【解決手段】複数のセンサからの受信波形を単一の信号線にて処理する。このことにより、大幅に信号線の数を減らすことができる。また、システムが単純になるためコストを低く抑えることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波信号通信処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波信号通信処理装置はシステム制御装置からセンサ制御装置へ発信信号を送信し、センサ制御装置は発信信号に従い送波器から超音波を送出し検知範囲内にある物体からの反射波を受信機で受信して、反射波の検出波形処理後システム制御装置に反射波の状態を返信する。
このようなシステムでの信号送信方式はセンサと信号線が1対1の通信で行われる。図2は通信線と電源線を共用する方式の原理を簡単に示す。図の(b)は送波器から送出された出力超音波Wxと当該超音波が障害物にあたったあと戻ってきた受波器に受信後増幅され電源線に反射波Wyを複合された波形を示している。図3は送信線と受信線が個々にある方式の原理を簡単に示す。図の(c)は送波器から送出された出力超音波Wxを示す。図の(d)は超音波が障害物にあたったあと戻ってきた受波器に受信後増幅された反射波を示す。いずれの方式でも出力超音波Wxと反射波Wyからシステム制御装置に波形が取り込まれ時間差より距離を算出することができる。このような超音波センサ装置を車両用に用いれば、検出された障害物が所定距離内にあるときに警報を発することができ、設定した検出距離範囲によって前方障害物との接触を防止し、あるいは駐車時車庫の壁に接触することなく所定の位置に容易に駐車することができる。
【特許文献1】特開昭56−92483号 公開
【非特許文献1】「センサのしくみ」 電波新聞社 P208超音波発信回路 P210超音波受信回路
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記なような超音波信号処理装置においてセンサ1に対し複数本の信号線が必要となる。このため、実用化されている超音波信号通信装置はセンサ数量の数倍の通信線が必要であった。(図2、図3)したがって本発明は、上記従来の問題点に鑑み複数センサの送受信号の単線による通信方法および超音波信号通信処理装置を提供することを目的とする。(図1)
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、請求項1の本発明方法はシステム制御装置からの出力信号を複数のセンサ制御装置で受信判別し、センサ制御装置から送信した超音波の反射信号を波形処理しシステム制御装置への送信を同一単線にて処理を行う。また請求項2の発明の装置はシステム制御装置からの出力信号をコード化することによりセンサ制御装置で反射信号と出力信号のタインミング及び出力時間を判断し送波器から送信できる。請求項3、4の発明の装置は反射波信号を受信処理後センサ制御装置からの出力信号を同一信号線上にシステム制御装置に送信して反射受信時間に基づいて反射物体までの距離を求める距離演算ができる。請求項5の発明は単線にて複数のセンサの送受信通信処理ができる。
【発明の効果】
【0005】
以上のとおり、本発明は、超音波センサ装置においてシステム制御装置からの出力信号をコード化することによりセンサ制御装置の出力信号と反射波信号を判別し送波器から超音波を送信できる。そして、反射波信号を受信処理後センサ制御装置からの出力信号を通信線上に反射波信号を送信して、反射受信時間に基づいて反射物体までの距離を求める距離演算をすることができる。とくに単線での複数センサの送受信通信処理ができると共にデジタル波形化により電磁波ノイズの影響を受けにくくなる。さらにシステムでの使用線本数の削減と制御装置の小型化ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
出力信号をコード化することにより単線での複数センサの送受信通信処理を射受信時間に基づいて反射物体までの距離を求める超音波センサ装置を提供することができる。
【実施例】
【0007】
以下、本発明の実体の形態を実施例により説明する。図1は本発明を車両用の超音波センサ装置に適用した実施例の全体構成を示すブロック図である。システム制御装置15は電源線(B)、通信線(S)、GND線(G)に接続される。この3本の線は複数のセンサ制御装置に並列に接続される。図1のセンサ制御装置のブロック図を図4に示す。図1のシステム制御装置のブロック図を図5に示す。図4の送信判別回路4は発信器3にマイク駆動部2を介して、超音波の送信・受信兼用の超音波マイク1が接続されている。超音波マイク1は例えば車両のリヤバンパ後方向けて設置され、あるいはフロントバンバー前方へ向け設置される。なお、ここでは1個の超音波マイクについてのみ説明する。図5のCPU13から出力発信信号のタイミング及び発信時間がコード化され出力される。送信回路11はCPU13からの信号を受けて通信線(S)に送信される。図4の送信判別回路4はシステム制御装置からの信号(図1-Wa)の信号を受け波形判別後、発振器3へ出力信号を出す。発振器3は一定周期でパルス信号を出力する。マイク駆動部2は発振器3からのパルス信号を受けて、その時間幅の間だけ例えば40KHzの駆動信号を出力して、これにより超音波マイク1が超音波を送出する。送出された超音波は障害物に反射し、距離に比例した時間をおいて超音波マイク1に受信される。超音波マイク1はさらに検波5、増幅6が接続され順次バンドパスフィルター7、波形整形回路8、信号出力回路9が接続され、信号出力回路9は通信線Sに反射波信号(図1-Wb)を出力する。図5のシステム制御装置は通信線(S)を通し受信回路12を介しCPU13に入力される。このような課程によりCPU13は1本の通信線(S)により複数のセンサ制御装置をコントロールし距離演算をおこなう。
図5、図6は本発明の別の実施の形態の関わる超音波送受波器の概略縦断面図、上面図を示す。図5において、成形樹脂から成る有底筒状ケース2の底面内部に圧電素子1を一体成形による接合9で接合し、ユニモルフ振動子を構成する。成形樹脂の有底筒状ケース2の底面内部に折り返し電極を有する圧電素子7を貼り合わせ、ユニモルフ振動子を構成する。圧電素子7の有底筒状ケース2との接合面側の反対面と圧電素子7から入出力リード5a、圧電素子1の有底筒状ケース2との接合面側と有底筒状ケース2とは電気的に接続されており、更に、圧電素子7と入出力リード5a及び、有底筒状ケースと電気的に接続されている側の圧電素子の折り返し電極と入出力リード5bとは電気的に接続されている。圧電素子7と入出力リード5a及び5bとは電気的に接続されている。圧電素子7の上面に発泡シリコン等から成る吸音材3を載置して、その上からシリコン材、ウレタン材等から成る封止剤4を有底筒状ケース2内部に充填し構成する。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明は、車の障害物検知システムのみならず、距離計測装置や自動走行車の超音波制御装置の分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した実施例の全体構成を示すブロック図
【図2】2ハーネスの通信を使用した従来技術の全体構成を示すブロック図
【図3】4ハーネスの通信を使用した従来技術の全体構成を示すブロック図
【図4】センサ制御装置の構成を示すブロック図
【図5】システム制御装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0010】
1 超音波マイク
2 マイク駆動部
3 発振器
4 送信判別回路
5 検波
6 増幅
7 パンドパスフィルター回路
8 波形整形回路
9 信号出力回路
10 低電圧回路
11 送信回路
12 受信回路
13 CPU(演算素子)
14 センサ制御装置
15 システム制御装置
Wa 出力コ−ド信号 Wb 反射波信号
Wx 出力超音波 Wy 反射波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム制御装置からの出力信号を複数のセンサ制御装置で受信判別し、センサ制御装置から送信した超音波の反射信号を波形処理しシステム制御装置への送信を同一単線にて処理を行うことを特徴とする信号通信方法
【請求項2】
システム制御装置からの出力信号を送信回路でコード化することによりセンサ制御装置で反射信号と出力信号のタインミング及び出力時間を判断し送波器から送信できることを特徴とする超音波センサ装置
【請求項3】
反射波信号を受信処理後センサ制御装置からの出力信号を請求項1記載の同一信号線上にシステム制御装置に送信することを特徴とする超音波センサ装置
【請求項4】
請求項1の通信処理方法での反射受信時間に基づいて反射物体までの距離を求める距離演算をCPUでおこなうことを有することを特徴とする超音波センサ装置
【請求項5】
単線にて複数のセンサの送受信通信処理をCPUで行うことを特徴とする超音波センサ装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−299625(P2008−299625A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145434(P2007−145434)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】