説明

超音波切削加工方法並びに超音波切削加工用中空成形品

【課題】挿入孔の開口部の内周面がテーパ状案内面とされた中空成形品に対する超音波切削加工が、より有利に実施可能な技術を提供する。
【解決手段】筒状のパリソンを成形した後、テーパ面形状を呈する案内面形成部と閉塞部形成部とを備えたキャビティ面にて囲まれた成形キャビティ内に、該パリソンを収容配置し、その後、かかるパリソンの内部に気体を吹き込んで、軟質部にテーパ筒部20と閉塞部とが設けられた筒状の中間成形体を成形する。更に、この中間成形体の閉塞部を除去して、挿入孔18と、テーパ筒部20の内周面からなるテーパ状案内面22と、該テーパ状案内面22よりも軸方向内方の内周面部分からなる被加工部とを有する中空成形品を得た後、該中空成形品の被加工部に対する超音波切削加工操作を実施するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波切削加工方法並びに超音波切削加工用中空成形品に係り、特に、所定の挿入部材が挿入される挿入孔を備えた中空成形品の挿入孔の内周面部分に対する超音波切削加工を有利に実施する方法と、そのような超音波切削加工に好適に供される超音波切削加工用中空成形品とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被加工物に対する切削加工の一種として、超音波振動を利用した、所謂超音波切削加工が、知られている。この超音波切削加工は、超音波ホーンの先端に設けられた切削刃を被加工物の切削されるべき部分に押し当てた状態で、超音波ホーンを超音波振動させつつ、その切削刃と被加工物の被切削部分とを相対変位させることによって、被加工物の被切削部分を、切削刃との間で生ずる摩擦熱にて溶融させつつ、切削刃にて押し切るようにしたものである。
【0003】
そして、近年において、そのような超音波切削加工を様々な切削加工に利用乃至は適用する試みが、多く為されており、その中の一つとして、ゴムやエラストマ等の軟質材料からなる軟質部に、所定の挿入部材が挿入される挿入孔が設けられた中空成形品(例えば、パイプ)の挿入孔の内周面部分(内周部分)を切削加工する際に、上記の如き超音波切削加工を利用する試みが為されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
中空成形品の挿入孔の内周面部分の切削加工に超音波切削加工を利用する場合、つまり、中空成形品の挿入孔の内径切削を超音波切削加工にて実施する際には、切屑が一体的な塊状物として得られる。そのため、かかる超音波切削加工では、粉状や粒状の切屑が不可避的に且つ多量に発生する、例えばNC旋盤等の工作機械や切削工具等を用いた一般的な切削加工による内径切削を実施する場合とは異なって、挿入孔内に入り込んだ切屑を除去するのに要される時間と労力が飛躍的に軽減され得る。また、超音波切削加工は、被加工物を単に押し切るだけではなく、被加工物を部分的に溶融させながら切削するものであるところから、そのような超音波切削加工にて、ゴムやエラストマ等の軟質材料からなる中空成形品の軟質部を切削したときに、肌荒れのない美麗な加工面が得られるようになる。
【0005】
従って、かくの如き超音波切削加工を利用して、中空成形品の挿入孔の内径切削を実施すれば、挿入孔の内径や内周面形状が、極めて容易に且つ確実に所望の寸法や形状と為され、以て、挿入部材が挿入孔内にスムーズ且つ確実に挿入され得るようになるのである。
【0006】
ところが、本発明者等が、上記の如き中空成形品の挿入孔の内径切削を行う超音波切削加工方法に関して、様々な検討を加えたところ、かかる手法には、以下の如き問題が内在することが明らかとなった。
【0007】
すなわち、超音波切削加工方法による内径切削を実施する際には、通常、かかる内径切削によって形成される加工面に対応した形状の切削刃を有する超音波ホーンが用いられ、この超音波ホーンの切削刃が、挿入孔の軸方向内方に徐々に侵入せしめられることで、切削加工が進められる。そのため、挿入部材の挿入孔内への更にスムーズな挿入を実現することを目的として、挿入孔の開口部の内周面に、軸方向内方に向かって次第に小径化して、挿入部材の挿入孔への挿入を案内するテーパ状案内面を形成する場合、超音波切削加工手法に係る一連の操作だけで、挿入孔の内周面部分を切削して、テーパ状案内面を形成することが不可能であった。
【0008】
そこで、従来では、開口部の内周面がテーパ状案内面とされた挿入孔の内周面部分に対する超音波切削加工方法を実施する場合、挿入孔の内周面部分に対する超音波切削加工を行った後、或いはかかる超音波切削加工に先立って、挿入孔の開口部の内周面に対して、工作機械や切削工具等を用いた一般的な切削加工を行って、テーパ状案内面を形成しなければならならず、そのようなテーパ状案内面の形成時に、切屑が挿入孔内に入り込んでしまうことが避けられなかった。そして、それ故、かかる従来の超音波切削加工方法では、結局、テーパ状案内面の形成時に挿入孔内に入り込んだ切屑を除去するための面倒な作業が強いられていたのである。
【0009】
【特許文献1】特開平9−136297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、軟質部に設けられた挿入孔の開口部の内周面がテーパ状案内面とされる中空成形品の挿入孔の内周面部分を超音波切削加工するに際して、超音波切削加工の進行時だけでなく、テーパ状案内面の形成時においても、挿入孔内に侵入した切屑を除去するための面倒な作業を何等行うことなしに、超音波切削加工操作が有利に実施され得るようにした新規な超音波切削加工方法を提供することにある。また、本発明は、そのような超音波切削加工方法に特に好適に供され得る超音波切削加工用中空成形品を提供することをも、その解決課題とするところである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、本発明にあっては、超音波切削加工方法に係る課題を解決するために、その要旨とするところは、軟質材料からなる軟質部を有すると共に、該軟質部に、所定の挿入部材が挿入される挿入孔が設けられ、更に、該挿入孔の開口部の内周面が、軸方向内方に向かって次第に小径化して、該挿入部材の該挿入孔への挿入を案内するテーパ状案内面とされた中空成形品における該挿入孔のテーパ状案内面よりも軸方向内方の内周面部分を、先端部に筒状の切削刃を有する超音波ホーンを用いて超音波切削加工するに際して、(a)少なくとも軸方向一方側の端部が、前記軟質材料からなる軟質部とされた筒状のパリソンを成形する工程と、(b)前記テーパ状案内面に対応したテーパ面形状を呈する案内面形成部と、該テーパ状案内面の大径側の開口部を閉塞する閉塞部を形成するための閉塞部形成部とを備えた筒状のキャビティ面にて囲まれてなる成形キャビティ内に、前記パリソンを、前記軟質部が該案内面形成部と該閉塞部形成部とに対応位置するように、収容配置する工程と、(c)前記成形キャビティ内に収容配置された前記パリソンの内部に気体を吹き込むことによって、前記軟質部に、内外周面が、それぞれ前記案内面形成部に対応するテーパ面とされたテーパ筒部と、前記閉塞部形成部にて形成された前記閉塞部とを有する筒状中間成形体を成形する工程と、(d)該成形された筒状中間成形体の前記閉塞部を除去して、前記テーパ筒部を大径側において外部に開口させることにより、前記軟質部の内孔部分にて、前記挿入孔が形成されると共に、該テーパ筒部の内周面にて、前記テーパ状案内面が形成された前記中空成形品を得る工程と、(e)該得られた中空成形品の前記挿入孔内に、前記テーパ筒部を通じて、前記超音波ホーンの前記筒状の切削刃を侵入させて、該切削刃を、該中空成形品の挿入孔の前記テーパ状案内面よりも軸方向内方の内周面部分に接触させた状態で、該挿入孔内に同軸的に押し込むことにより、該内周面部分に対する超音波切削加工操作を実施する工程とを含むことを特徴とする超音波切削加工方法にある。
【0012】
なお、このような本発明に従う超音波切削加工方法の好ましい態様の一つによれば、前記筒状のキャビティ面における前記案内面形成部を間に挟んだ前記閉塞部形成部とは反対側に、周方向に連続して延びる凹溝が設けられて、前記成形キャビティ内に収容配置された前記パリソンの内部に気体が吹き込まれることにより、前記目的とする中空成形品の超音波切削加工されるべき前記内周面部分よりも前記挿入孔の軸方向内方に位置する外周面部位に、該凹溝に対応した凸部が、周方向に連続して延びるように形成されると共に、該凸部の内周面部位にて、周方向に連続して延びる凹部が形成される。
【0013】
また、本発明に従う超音波切削加工方法の別の望ましい態様の一つによれば、前記筒状のキャビティ面における前記案内面形成部に、複数の凹所が、周方向において互いに間隔を隔てて設けられて、前記成形キャビティ内に収容配置された前記パリソンの内部に気体が吹き込まれることにより、前記目的とする中空成形品の前記テーパ筒部の外周面部位に、該複数の凹所に対応した複数の突起が、周方向において互いに間隔を隔てて形成されることとなる。
【0014】
そして、本発明にあっては、超音波切削加工用中空成形品に係る課題の解決のために、軟質材料からなる軟質部を有すると共に、該軟質部に、所定の挿入部材が挿入される挿入孔が設けられ、更に、該挿入孔の開口部の内周面が、軸方向内方に向かって次第に小径化して、該挿入部材の該挿入孔への挿入を案内するテーパ状案内面とされる一方、該挿入孔のテーパ状案内面よりも軸方向内方の内周面部分が超音波切削加工されるべき被加工部とされた超音波切削加工用中空成形品であって、前記挿入孔の開口周縁部に対して、該挿入孔の軸方向外方に向かって次第に大径となるテーパ筒形状をもって周方向に延びるテーパ筒部が一体形成されて、該テーパ筒部の内周面にて、前記テーパ状案内面が構成されていることを特徴とする超音波切削加工用中空成形品をも、また、その要旨とするところである。
【発明の効果】
【0015】
要するに、本発明に従う超音波切削加工方法は、少なくとも軸方向一方側の端部が軟質部とされた筒状のパリソンを成形した後、このパリソンに対して、特別な成形キャビティを利用したブロー成形操作を、従来と同様な手順にて実施することにより、軟質部に挿入孔とテーパ筒部とが設けられると共に、かかるテーパ筒部の内周面がテーパ状案内面とされた中空成形品が成形され、そして、その後、この中空成形品の挿入孔のテーパ状案内面よりも軸方向内方の内周面部分に対する超音波切削加工操作を実施するようにしたものである。
【0016】
それ故、本発明に係る超音波切削加工方法にあっては、挿入孔の開口部の内周面へのテーパ状案内面を形成時に、切屑が生ずることが全くなく、それによって、中空成形品の挿入孔の軸方向内方の内周面部分に対する超音波切削加工の進行時はもとより、テーパ状案内面の形成時にも、挿入孔内に侵入した切屑を除去するための面倒な作業を行う必要が、効果的に皆無ならしめられ得る。
【0017】
従って、かくの如き本発明に従う超音波切削加工方法によれば、軟質部に設けられた挿入孔の開口部の内周面がテーパ状案内面とされる中空成形品の挿入孔の内周面部分が、挿入孔内に侵入した切屑を除去するための面倒な作業を何等行うことなしに、極めて有利に超音波切削加工され得る。そして、その結果として、軟質部に設けられた挿入孔内に挿入部材がよりスムーズ且つ確実に挿入され得る中空成形品が、より容易に得られることとなるのである。
【0018】
そして、本発明に従う超音波切削加工用中空成形品にあっては、挿入孔の開口周縁部にテーパ筒部が一体形成されて、このテーパ筒部の内周面にて、テーパ状案内部が構成されているところから、挿入孔の内周面部分に対する超音波切削加工の実施後に、或いはそれに先立って、テーパ状案内面を形成するために、例えば、挿入孔の開口部の内周面に対して、工作機械や切削工具等を用いた一般的な切削加工を行って、テーパ状案内面を形成する必要が皆無ならしめられ得る。
【0019】
従って、かくの如き本発明に従う超音波切削加工用中空成形品を用いる場合にあっても、かかる中空成形品の軟質部に設けられた挿入孔の内周面部分が、挿入孔内に侵入した切屑を除去するための面倒な作業を何等行うことなしに、極めて有利に超音波切削加工され得る。そして、その結果として、軟質部に設けられた挿入孔内に挿入部材がよりスムーズ且つ確実に挿入され得る中空成形品が、より容易に得られることとなるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0021】
先ず、図1には、本発明手法に従って超音波切削加工が施されてなる中空成形品としての自動車の吸気パイプが、一部を切り欠いた正面形態において概略的に示されている。かかる図1及び図2から明らかなように、この吸気パイプ10は、全体として、長手の円筒形状を呈し、その全体が、ゴムやエラストマ等の軟質材料を用いて形成されている。つまり、ここでは、吸気パイプ10の全体が軟質部として、構成されている。
【0022】
そして、かかる吸気パイプ10にあっては、軸方向の両側の端縁部から所定寸法だけ軸方向内方に位置する部分のそれぞれに、径方向外方に所定高さ突出する凸部12が、周方向に連続して延びる突条形態をもって一体的に形成されている。また、この凸部12は、矩形の外面形状を有して、軸方向両側に位置する側面が円環面形状とされると共に、それら両側側面のうち、各凸部12の近位の軸方向端縁側に位置する側面が、係合面14とされている。更に、そのような凸部12の形成部位の内周面部分には、凸部12の外形状よりも一回り小さな矩形形状を呈する凹部16が、周方向に連続して延びるように形成されている。
【0023】
また、そのような吸気パイプ10の内孔のうち、凸部12よりも、それに近位の開口部までの部分が、それぞれ、後述する如く、挿入部材としてのコネクタパイプ(図2及び図3参照)が挿入される挿入孔部18とされている。そして、それら各挿入孔部18の開口周縁部(吸気パイプ10の軸方向両側の開口周縁部)には、テーパ筒部20が、それぞれ一体形成されている。このテーパ筒部20は、挿入孔部18の軸方向外方に向かって次第に大径となるテーパ筒状をもって、周方向に連続して延びる形態、つまり開口側が大径部とされ、且つそれとは反対側が小径部とされた形態を有している。そして、そのようなテーパ筒部20の内周面の全面、つまり挿入孔部18の開口部の内周面の全面が、挿入孔部18の軸方向内方に向かって次第に小径となるテーパ状案内面22とされている。
【0024】
また、かかるテーパ筒部20の外周面上には、複数(ここでは3個)の係合突起24が、互いに周方向に一定の距離を隔てて、一体形成されている。それら各係合突起24は、何れも、断面直角三角形形状を呈し、かかる直角三角形の底辺を与える面が、吸気パイプ10の軸方向において、前記凸部12の係合面14と平行に広がって対向する平面からなる係合面26とされている。
【0025】
さらに、かかる吸気パイプ10においては、テーパ筒部20と凸部12とに挟まれて、それらの間に位置する部分が、後述する如き超音波切削加工操作により、内周面部分が切削加工されることで、内周面形状が凹凸のない平滑な円筒面とされると共に、他の部分に比して所定寸法だけ薄肉化された薄肉部28とされている。
【0026】
そして、このような吸気パイプ10にあっては、図2及び図3に示されるように、軸方向両側の開口部をそれぞれ与える挿入孔部18内に、コネクタパイプ30が挿入されて、使用に供されることとなるが、かかるコネクタパイプ30としては、先端部に、周方向に連続して延びる係止突条32が一体的に設けられてなるものが、用いられる。
【0027】
このコネクタパイプ30の係止突条32は、角部が丸まった略三角形状の断面形状を呈しており、周方向に延びる側面が、吸気パイプ10に設けられたテーパ筒部20のテーパ状案内面22に対応したテーパ角度を有して、先端に向かうに従って次第に小径化するテーパ状摺動面34とされている。また、先端側とは反対側の端面が、円環面からなる係止面36とされている。
【0028】
そして、そのようなコネクタパイプ30を吸気パイプ10の挿入孔部18内に挿入する際には、例えば、先ず、図2に示されるように、コネクタパイプ30が、係止突条32のテーパ状摺動面34を、吸気パイプ10のテーパ筒部20のテーパ状案内面22に接触させた状態で位置せしめられる。
【0029】
その後、かかる状態から、コネクタパイプ30が、吸気パイプ10の挿入孔部18内に押し込まれて、挿入される。このとき、コネクタパイプ30のテーパ状摺動面34が、コネクタパイプ30のテーパ状案内面22上を摺動し、かかるテーパ状案内面22に案内されるようになり、それによって、コネクタパイプ30が挿入孔部18内にスムーズに突入せしめられる。更に、挿入孔部18内に突入せしめられたコネクタパイプ30は、係止突条32の丸まった角部において、吸気パイプ10の平滑な円筒面とされた薄肉部28の内周面に摺動せしめられて、かかる薄肉部28を押し広げる(拡径させる)ように弾性変形させつつ、徐々に侵入せしめられるようになる。
【0030】
そして、図3に示されるように、コネクタパイプ30の係止突条32が、吸気パイプ10の凹部16内に入り込んだ時点で、コネクタパイプ30の挿入孔部18内への挿入が完了せしめられる。このとき、吸気パイプ10の薄肉部28が弾性変形状態から復元されると共に、コネクタパイプ30の係止突条32の係止面36が、吸気パイプ10の凹部16の側面に係止せしめられて、コネクタパイプ30の挿入孔部18内からの容易な抜脱が阻止されるようになる。
【0031】
その後、公知の締付バンド38が、吸気パイプ10の薄肉部28の外周面に巻き付けられて、更に締め付けられ、それにより、コネクタパイプ30が、吸気パイプ10に対して、その挿入孔部18内に挿入された状態で固定される。そして、そのような状態下で、締付バンド38の両側側面が、吸気パイプ10の凸部12の係合面14と、テーパ筒部20の外周面に設けられた複数の係合突起24の係合面26とに対して、それぞれ係合されている。これによって、吸気パイプ10の開口側端部がテーパ筒部20とされて、その外周面がテーパ面とされているにも拘わらず、締付バンド38の軸方向、特に開口側への移動が阻止され得るようになっている。
【0032】
ところで、このような構造とされた吸気パイプ10は、以下の如き特別な手法による超音波切削加工を経て得られることとなるが、本実施形態では、例えば、先ず、図4に示されるようなブロー成形用金型40を用いた一連のブロー成形操作が実施されることにより、最終的に得られるべき吸気パイプ10を与える筒状の第一中間成形体が成形され(図7参照)、次いで、かかる第一の中間成形体から、超音波切削加工用中空成形品としての第二中間成形体が形成される(図8参照)。そして、その後、この第二中間成形体に対して超音波切削加工操作が実施され(図9参照)、以て、吸気パイプ10が得られるようになるのである。
【0033】
より詳細には、ここで用いられるブロー成形用金型40は、左型42と右型44とを有し、それら左右二つの分割型42,44が、例えば、油圧シリンダやサーボモータ等を利用した公知の駆動機構(図示せず)の駆動に基づいて、図4中の左右方向たる水平方向に互いに接近乃至は離隔移動せしめられることにより、型合せ乃至は型開きされるようになっている。
【0034】
また、それら左型42と右型44の互いの型合せ面には、最終的に得られるべき吸気パイプ10を与える筒状の第一中間成形体(図7参照)の外形形状のうちの左側半分の部分と右側半分の部分とにそれぞれ対応した形状とされた左型側キャビティ面46と右型側キャビティ面48とが、それぞれ形成されている。
【0035】
そして、それら左型側及び右型側キャビティ面46,48は、それぞれ、略両側有底半割円筒面形状を呈し、両側の底面部が、それぞれ、半割ドーム形状を有する閉塞部形成部50とされている。また、左型側及び右型側の各キャビティ面46,48の筒壁面部のうち、両側底面部にそれぞれ連設する軸方向両側の端部部位が、吸気パイプ10のテーパ筒部20のテーパ状案内面22に対応した、それと同一角度のテーパ角度を有するテーパ面からなる案内面形成部52とされている。更に、そのような案内面形成部52には、吸気パイプ10のテーパ筒部20の外周面に複数設けられた係合突起24の外面形状に対応した形状を有する断面直角三角形状の凹所からなる突起形成部54が、テーパ筒部20の周方向における係合突起24同士の間隔と同一の間隔を隔てて、複数個(ここでは3個)形成されている。
【0036】
また、左型側及び右型側の各キャビティ面46,48の筒壁面部においては、その軸方向両端にそれぞれ設けられた案内面形成部52から軸方向内方に所定寸法入り込んだ位置に、吸気パイプ10の凸部12の外形形状に対応した形状を有する断面矩形状の凹溝からなる凸部形成部56が、周方向に連続して延びるように形成されている。
【0037】
そして、かくの如き構造とされたブロー成形用金型40を用いて、最終的に得られるべき吸気パイプ10の第一中間成形体を得る際には、先ず、図5に示されるように、左型42と右型44との型開き状態下で、所定の押出機の先端のダイヘッド57から、ゴムやエラストマ等の軟質材料からなる筒状のパリソン58が、可塑化状態のままで押出成形されて、左型42と右型44との型合せ面間において上下方向に延びるように位置せしめられる。なお、ここでは、パリソン58が一種類の軟質材料にて形成されているため、そのようなパリソン58の全体が軟質部とされている。
【0038】
次に、図6に示されるように、左型42と右型44とが、図示しない駆動機構の駆動に基づいて、互いに接近移動せしめられて、型合せされる。これによって、左型42の左型側キャビティ面46と右型側キャビティ面48との間に、第一中間成形体の外面形状に対応した内面形状を有する成形キャビティ60が、左型側及び右型側の両キャビティ面46,48に囲まれて、形成されると共に、かかる成形キャビティ60内に、パリソン58が収容配置される。
【0039】
このとき、パリソン58の両端部が、左型42と右型44の上部及び下部の互いの型合せ部位に挟まれて、潰されることで、パリソン58の内部が密閉される。また、成形キャビティ40内で、パリソン58の軸方向の両側端部部位が、左型側及び右型側の各キャビティ面46,48の閉塞部形成部50と案内面形成部52と凸部形成部56とにそれぞれ対応位置せしめられる。
【0040】
その後、図7に示されるように、左型42と右型44の上部の型合せ部位にて潰されたパリソン58の上端部に、針状の空気ノズル62が刺し通された後、この空気ノズル62を通じて、所定圧力の圧縮空気が吹き込まれる。これにより、パリソン58が膨張変形せしめられて、成形キャビティ60の形状、つまり左型側キャビティ面46と右型側キャビティ面48とに対応した形状に成形され、以て、第一中間成形体64が成形される。
【0041】
そして、かくして得られた第一中間成形体64にあっては、全体として、略両側有底円筒形状を呈し、両側の底部が、左型側及び右型側キャビティ面46,48の各閉塞部形成部50にて形成された閉塞部66とされている。また、軸方向両側の端縁部には、内周面と外周面が各案内面形成部52に対応するテーパ面とされたテーパ筒部20が設けられて、その内周面がテーパ状案内面22とされると共に、このテーパ筒部20の外周面上には、突起形成部54にて形成された係合突起24が、周方向に等間隔を隔てて複数個(ここでは3個)一体形成されている。更に、かかるテーパ筒部20の形成部位から軸方向内方に所定寸法入り込んだ位置には、凸部形成部56にて形成された凸部12が周方向に連続して延びるように設けられ、また、この凸部12の内周面部分にて、周方向に連続して延びる凹部16が形成されている。更にまた、それら凸部12とテーパ筒部20との間に位置する部分が、後述する超音波切削加工が行われるべき被加工部70として形成されている。
【0042】
次いで、図示されてはいないものの、ブロー成形用金型40の左型42と右型44とが型開きされて、第一中間成形体64が、ブロー成形用金型40から離型せしめられる。その後、図8に示されるように、第一中間成形体64に対して、従来のブロー成形操作と同様に、カッター等の切削工具を用いて、パリソン58の両端の残余部分を切除する後加工が実施されて、かかるパリソン58の残余部分と共に、それに連設する第一中間成形体64の軸方向両側の底部たる閉塞部66のそれぞれが切除される。
【0043】
これにより、各テーパ筒部20が、その大径側において外部に開口せしめられる。以て、全体として、軸方向両側に向かって開口する円筒形状を呈すると共に、軸方向両側端部に、その端縁部から軸方向内方に向かって、テーパ筒部20と被加工部70と凸部12(凹部16)が順番に形成され、更に、被加工部70とテーパ筒部20のそれぞれの内孔部分にて挿入孔部18が形成されてなる超音波切削加工用中空成形品としての第二中間成形体72が得られることとなる。
【0044】
そして、その後、かくして得られた第二中間成形体72に対する超音波切削加工操作が、従来と同様にして、実施される。
【0045】
すなわち、ここでは、例えば、特開平9−136297号公報に記載される如き、互いに電気的に接続された超音波発振器とコンバータとブースタとを備えた、公知の超音波加工機と、図9に示されるように、先端部に円筒状の切削刃74が一体的に設けられてなる超音波ホーン76とが用いられて、この超音波ホーン76が、その基部側において超音波加工機のブースタに取り付けられる。なお、この超音波ホーン76には、切削刃74の外径が、最終的に得られるべき吸気パイプ10の薄肉部28の内径と同一の大きさとされたものが用いられる。
【0046】
そして、超音波加工機が作動せしめられることにより、超音波ホーン76が超音波振動せしめられた状態で、かかる超音波ホーン76の切削刃74が、第二中間成形体72の挿入孔部18内に同軸的に突入せしめられて、被加工部70の内周面が内方に膨らんだ内周面部分78に接触せしめられる。それに引き続き、超音波ホーン76が、公知の移動機構により、自動的に下方に移動せしめられ、挿入孔部18内に徐々に挿入されることにより、切削刃74が、挿入孔部18内に押し込まれる。
【0047】
このとき、図9に実線で示されるように、超音波ホーン76の挿入孔部18内への挿入により、切削刃74が挿入孔部18内に徐々に深く押し込まれるのに伴って、被加工部70の内周面部分78が、切削刃74との間で生ずる摩擦熱にて溶融せしめられつつ、切削刃74にて徐々に押し切られる。
【0048】
そして、図9に二点鎖線で示されるように、切削刃74の先端が、被加工部70の直下に設けられた凹部16内に達した時点で、超音波ホーン76の挿入孔部18内への挿入操作が停止せしめられると同時に、被加工部70の内周面部分78が完全に切除される。なお、このような超音波切削加工操作の実施時には、好ましくは、切削刃74が押し込まれる被加工部70が、所定の固定治具等にて、外側から取り囲まれるように保持される。また、かかる超音波切削加工操作にて切除された内周面部分78からなる切屑は、1個の円筒状の塊状物として得られ、そのため、そのまま挿入孔部18内から、残存物を何等生じさせることなく、容易に取り出されるようになる。そして、このような超音波切削加工は、第二中間成形体72の軸方向両側に位置する二つの被加工部70の両方に対して、同時に或いは順次、実施される。
【0049】
かくして、図1に示される如き構造を有する最終的な目的物たる吸気パイプ10、特に内周面部分78が超音波切削加工により切除された被加工部70の残余部分にて、軸方向両側の端部に、平滑な円筒面状の内周面を有する薄肉部28が形成されると共に、挿入孔部18の開口部の内周面がテーパ状案内面22とされて、コネクタパイプ30の挿入孔18内への挿入がスムーズとされた吸気パイプ10が、得られることとなるのである。
【0050】
このように、本実施形態においては、一連のブロー成形操作によって、軸方向両側の開口部のそれぞれの一部が挿入孔部18とされると共に、そのような挿入孔部18の開口周縁部に、内周面がテーパ状案内面22とされたテーパ筒部20が一体形成されて、第二中間成形体72が成形され、そして、その後、この第二中間成形体72の被加工部70の内周面部分に対する超音波切削加工操作が実施されるようになっている。
【0051】
このため、かかる本実施形態では、各種の工作機械や切削工具を用いて、挿入孔部18の開口部の内周面部分を切削加工することにより、挿入孔部18の開口部の内周面にテーパ状案内面22を形成する場合とは異なって、テーパ状案内面22を形成時に、切屑が生ずることが全くなく、それ故、テーパ状案内面22の形成時に挿入孔部18内に入り込んだ切屑を取り出すための作業から効果的に開放され得る。また、第二中間成形体72の成形後に、第二中間成形体72の被加工部70に対する超音波切削加工操作を実施する際にも、切屑が1個の円筒状の塊状物として得られて、挿入孔部18内から極めて容易に取り出され得る。
【0052】
従って、かくの如き本実施形態によれば、挿入孔部18の開口部の内周面がテーパ状案内面22とされた吸気パイプ10のテーパ状案内面22よりも軸方向内方に位置する挿入孔部18の内周面部分が、挿入孔部18内に侵入した切屑を除去するための面倒な作業を何等行うことなしに、極めて有利に超音波切削加工され得る。そして、その結果、挿入孔部18内にコネクタパイプ30がよりスムーズ且つ確実に挿入され得る吸気パイプ10が、より容易に得られることとなるのである。
【0053】
また、本実施形態では、吸気パイプ10を与える第一中間成形体64のブロー成形に用いられるブロー成形用金型40の左型側及び右型側の各キャビティ面46,48に、突起形成部54や凸部形成部56が設けられて、第一中間成形体64の成形と同時に、テーパ筒部20の外周面とテーパ筒部20よりも軸方向内方に位置する部分とに、複数の係合突起24と凸部12とが、それぞれ一体成形されるようになっている。そして、最終的に得られる吸気パイプ10の挿入孔部18内へのコネクタパイプ30の挿入状態下で、吸気パイプ10の薄肉部28の外周面上に巻き付けられる締付バンド38が、それら複数の係合突起24と凸部12とにて、軸方向への位置ズレが阻止されるようになる。
【0054】
それ故、このような本実施形態においては、吸気パイプ10の挿入孔部18内へのコネクタパイプ30の挿入固定状態が安定的に維持可能な構造が、特別な作業工程を実施することなく、極めて容易に実現され得るのである。
【0055】
さらに、本実施形態では、第一中間成形体64のブロー成形と同時に形成される凸部12の内周面部分に、周方向に連続して延びる凹部16が形成されるようになっている。また、そのような第一中間成形体64から得られる第二中間成形体72の被加工部70に対する超音波切削加工操作の実施時に、超音波ホーン76の切削刃74の先端が、かかる凹部16内に到達した時点で、超音波切削加工操作が完了して、被加工部70の内周面部分78が、挿入孔部18内からの取出しが容易な1個の円筒状の塊状物からなる切屑として得られるようになる。
【0056】
従って、このような本実施形態によれば、第二中間成形体72に対する超音波切削加工において、所望の部分のみが確実に切除され、しかも切屑の除去が極めて容易と為され得ることとなる。
【0057】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0058】
例えば、前記実施形態では、吸気パイプ10の軸方向の両側端部に、内周面がテーパ状案内面22とされたテーパ筒部20が設けられていたが、軸方向両側端部のうちの一方だけに、かかるテーパ筒部20が設けられていても良く、また、そのような吸気パイプ10の作製に際して利用される超音波切削加工方法に対しても、有利に適用される。
【0059】
さらに、吸気パイプ10を与える第一及び第二中間成形体64,72は、少なくとも、超音波切削加工されるべき被加工部70とテーパ筒部20とを含む開口側端部が、軟質材料を用いて形成されておれば良い。
【0060】
それ故、第一中間成形体64のブロー成形時に成形される筒状のパリソン58も、少なくとも被加工部70とテーパ筒部20とを与える端部が、軟質材料を用いて形成されておれば良い。なお、このように、軸方向において材質の異なるパリソン58を用いたブロー成形は、例えば、公知のエクスチェンジブロー成形手法を採用することによって、容易に実現可能である。
【0061】
更にまた、前記実施形態では、超音波ホーン76の切削刃74が円筒形状を有していたが、この切削刃74の形状は、第二中間成形体72の被加工部70の内周面形状に応じて、適宜に変更可能である。
【0062】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車の吸気パイプを得る際に実施される超音波切削加工方法と、そのような超音波切削加工方法に供される超音波切削加工用パイプとに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、挿入孔を有すると共に、その挿入孔の開口部の内周面がテーパ状案内面とされた各種の中空成形品のテーパ状内周面よりも軸方向内方の内周面部分を超音波切削加工する方法と、そのような超音波切削加工に供される超音波切削加工用中空成形体の何れに対しても、それぞれ有利に適用されるものであることは、勿論である。
【0063】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、各種の形態において実施され得るものである。従って、当業者の知識に基づいて採用される本発明についての種々なる変更、修正、改良に係る各種の実施の形態が、何れも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明手法に従って超音波切削加工が実施されてなる中空成形品の一実施形態を示す、一部切欠図を含む正面説明図である。
【図2】図1に示された中空成形品の挿入孔内に挿入部材を挿入する際の一工程例を示す説明図であって、挿入部材の先端を中空成形品のテーパ状案内面に接触させた状態を示している。
【図3】図2に示された工程に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、挿入部材を中空成形品の挿入孔内に挿入して、締付バンドにて、中空成形品に固定した状態を示している。
【図4】本発明に従う超音波切削加工方法を実施する際に用いられるブロー成形用金型の一例を示す縦断面説明図である。
【図5】本発明に従う超音波切削加工方法を実施する際の一工程例を示す説明図であって、図4に示されたブロー成形用金型の二つの分割型の型開き状態で、それら二つの分割型の間に、成形されたパリソンを位置せしめた状態を示している。
【図6】図5に示された工程に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、ブロー成形用金型を型合せして、成形キャビティを形成すると共に、かかる成形キャビティ内にパリソンを収容配置した状態を示している。
【図7】図6に示された工程に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、成形キャビティ内に収容配置されたパリソンの内部に空気を吹き込んで第一中間成形体を成形した状態を示している。
【図8】図7に示された工程に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、ブロー成形用金型内から離型された第一中間成形体の軸方向両端の閉塞部をそれぞれ切除して、第二中間成形体を形成した状態を示している。
【図9】図8に示された工程に引き続いて実施される工程例を示す説明図であって、第二中間成形体に対する超音波切削加工操作を実施している状態を示している。
【符号の説明】
【0065】
10 吸気パイプ 12 凸部
18 挿入孔部 20 テーパ筒部
22 テーパ状案内面 24 係合突起
40 ブロー成形用金型 46 左型側キャビティ面
48 右型側キャビティ面 50 閉塞部形成部
52 案内面形成部 54 突起形成部
56 凸部形成部 58 パリソン
64 第一中間成形体 66 閉塞部
70 被加工部 72 第二中間成形体
74 切削刃 76 超音波ホーン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質材料からなる軟質部を有すると共に、該軟質部に、所定の挿入部材が挿入される挿入孔が設けられ、更に、該挿入孔の開口部の内周面が、軸方向内方に向かって次第に小径化して、該挿入部材の該挿入孔への挿入を案内するテーパ状案内面とされた中空成形品における該挿入孔のテーパ状案内面よりも軸方向内方の内周面部分を、先端部に筒状の切削刃を有する超音波ホーンを用いて超音波切削加工するに際して、
少なくとも軸方向一方側の端部が、前記軟質材料からなる軟質部とされた筒状のパリソンを成形する工程と、
前記テーパ状案内面に対応したテーパ面形状を呈する案内面形成部と、該テーパ状案内面の大径側の開口部を閉塞する閉塞部を形成するための閉塞部形成部とを備えた筒状のキャビティ面にて囲まれてなる成形キャビティ内に、前記パリソンを、前記軟質部が該案内面形成部と該閉塞部形成部とに対応位置するように、収容配置する工程と、
前記成形キャビティ内に収容配置された前記パリソンの内部に気体を吹き込むことによって、前記軟質部に、内外周面が、それぞれ前記案内面形成部に対応するテーパ面とされたテーパ筒部と、前記閉塞部形成部にて形成された前記閉塞部とを有する筒状中間成形体を成形する工程と、
該成形された筒状中間成形体の前記閉塞部を除去して、前記テーパ筒部を大径側において外部に開口させることにより、前記軟質部の内孔部分にて、前記挿入孔が形成されると共に、該テーパ筒部の内周面にて、前記テーパ状案内面が形成された前記中空成形品を得る工程と、
該得られた中空成形品の前記挿入孔内に、前記テーパ筒部を通じて、前記超音波ホーンの前記筒状の切削刃を侵入させて、該切削刃を、該中空成形品の挿入孔の前記テーパ状案内面よりも軸方向内方の内周面部分に接触させた状態で、該挿入孔内に同軸的に押し込むことにより、該内周面部分に対する超音波切削加工操作を実施する工程と、
を含むことを特徴とする超音波切削加工方法。
【請求項2】
前記筒状のキャビティ面における前記案内面形成部を間に挟んだ前記閉塞部形成部とは反対側に、周方向に連続して延びる凹溝が設けられて、前記成形キャビティ内に収容配置された前記パリソンの内部に気体が吹き込まれることにより、前記目的とする中空成形品の超音波切削加工されるべき前記内周面部分よりも前記挿入孔の軸方向内方に位置する外周面部位に、該凹溝に対応した凸部が、周方向に連続して延びるように形成されると共に、該凸部の内周面部位にて、周方向に連続して延びる凹部が形成されるようになっている請求項1に記載の超音波切削加工方法。
【請求項3】
前記筒状のキャビティ面における前記案内面形成部に、複数の凹所が、周方向において互いに間隔を隔てて設けられて、前記成形キャビティ内に収容配置された前記パリソンの内部に気体が吹き込まれることにより、前記目的とする中空成形品の前記テーパ筒部の外周面部位に、該複数の凹所に対応した複数の突起が、周方向において互いに間隔を隔てて形成されるようになっている請求項1又は請求項2に記載の超音波切削加工方法。
【請求項4】
軟質材料からなる軟質部を有すると共に、該軟質部に、所定の挿入部材が挿入される挿入孔が設けられ、更に、該挿入孔の開口部の内周面が、軸方向内方に向かって次第に小径化して、該挿入部材の該挿入孔への挿入を案内するテーパ状案内面とされる一方、該挿入孔のテーパ状案内面よりも軸方向内方の内周面部分が超音波切削加工されるべき被加工部とされた超音波切削加工用中空成形品であって、
前記挿入孔の開口周縁部に対して、該挿入孔の軸方向外方に向かって次第に大径となるテーパ筒形状をもって周方向に延びるテーパ筒部が一体形成されて、該テーパ筒部の内周面にて、前記テーパ状案内面が構成されていることを特徴とする超音波切削加工用中空成形品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−107269(P2009−107269A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283497(P2007−283497)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】