説明

超音波振動を用いて実装部品を被実装部品に実装する実装装置

【課題】簡易な構成や制御において確実に実装部品と被実装部品との位置決めを行うことができる実装方法及び実装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】超音波振動を用いて実装部品を被実装部品に実装する実装方法であって、前記被実装部品を用意し、前記実装部品を保持する実装部品保持手段により前記実装部品を保持し、前記実装部品保持手段により前記実装部品を介して前記被実装部品を所定の押圧力で押さえ、前記実装部品保持手段により前記実装部品を介して前記被実装部品を押さえた後に、前記実装部品保持手段と一体的に移動可能である押さえ手段が前記被実装部品に直接接触し押さえる実装方法及びその装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装部品を被実装部品に実装するにあたり、実装部品と被実装部品とを接触させ超音波振動を付与することにより実装部品と被実装部品とを接合する実装方法及び実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フリップチップ等の電子部品である実装部品を、回路基板、パッケージ基板等の被実装部品に実装する方法として、超音波接合が利用されている。超音波接合は、実装部品をボンディングツールにより被実装部品に押圧しながら超音波振動を付与し、実装部品及び被実装部品との接合面を互いに摩擦させて両部品を接合するものである。
【0003】
超音波振動を利用した従来の実装装置について図面を参照しつつ説明する。図5(a)、(b)は、従来の実装装置を用いて実装を行う工程を示す断面図である。従来の実装装置801は、電子部品805を保持するための吸着ノズル803と、吸着ノズル803の下方に配置され、電子部品805が実装される基板860を保持するパレット861と、前記パレット861を固定するためのボンディングブロック830と、前記ボンディングブロック830とともに、基板860を挟持する押さえ部852と、を備える。
【0004】
上記構成の実装装置801では、まずパレット861に保持された基板860をボンディングブロック830上の所定位置に配置する。そして、ボンディングブロック830に設けられた吸引穴837から吸引力を付与することで基板860の位置決めを確実にする(図5(a)参照)。さらに、押さえ部852は、基板860の周縁部865をボンディングブロック830とともに挟持する。
【0005】
次に、図5(b)に示されるように、先端に電子部品805を吸引保持した吸着ノズル803が移動することで、電子部品805が基板860の所定位置に配置される。
【0006】
その後、電子部品805の金属製電極と基板860の電極とが接触し押圧された状態で、不図示の振動子からの超音波振動を吸引ノズル803を介して両電極の間へ付与し、両者の接合を完了させる(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2000−21932号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、基板860を押圧固定するための押さえ部材852と、電子部品805を吸着保持する吸着ノズル803とを別々に備える実装装置であり、押さえ部材852や吸着ノズル803の駆動をそれぞれ制御する必要がある。従って、実装装置の構成や制御が複雑となる。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、簡易な構成や制御において確実に実装部品と被実装部品との位置決めを行うことができる実装方法及び実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る超音波振動を用いて実装部品を被実装部品に実装する実装方法の第1の態様は、前記被実装部品を用意し、前記実装部品を保持する実装部品保持手段により前記実装部品を保持し、前記実装部品保持手段により前記実装部品を介して前記被実装部品を所定の押圧力で押さえ、前記実装部品保持手段により前記実装部品を介して前記被実装部品を押さえた後に、前記実装部品保持手段と一体的に移動可能である押さえ手段が前記被実装部品に直接接触し押さえる。
【0011】
本発明の実装方法の第2の態様によれば、前記実装部品保持手段により前記実装部品を介して前記被実装部品の重心若しくはその近傍が押さえられる。
さらに本発明の実装方法の第3の態様によれば、前記押さえ手段による前記被実装部品の押さえを解除した後に、前記実装部品保持手段による前記被実装部品の押さえを解除する。
【0012】
本発明の実装方法の第4の態様によれば、前記被実装部品を、前記押さえ手段に形成された前記実装部品保持手段を挿入可能な円環形状の接触面で押さえる。
【0013】
さらに、上記課題を解決するために、本発明に係る超音波振動を用いて実装部品を被実装部品に実装する実装装置の第1の態様は、前記実装部品を保持する実装部品保持手段と、前記被実装部品を保持する被実装部品保持手段と、前記実装部品保持手段と一体的に移動可能に構成され、前記被実装部品に直接接触して押圧する押さえ手段と、前記実装部品と前記被実装部品とが当接するように、前記実装部品保持手段と前記被実装部品保持手段との少なくとも一方を他方に向けて移動させる駆動手段と、前記実装部品保持手段により前記実装部品を介して前記被実装部品を押さえた後に、前記押さえ手段により前記被実装部品を押さえるように制御する制御手段と、を備える。
【0014】
本発明の実装装置の第2の態様によれば、前記制御手段は、前記実装部品保持手段が前記実装部品を介して前記被実装部品の重心若しくはその近傍を押さえるように制御する。
【0015】
さらに本発明の実装装置の第3の態様によれば、 前記制御手段は、前記押さえ手段による前記被実装部品の押さえを解除した後に、前記実装部品保持手段による前記実装部品の押さえを解除する。
【0016】
本発明の実装装置の第4の態様によれば、前記押さえ手段は、前記被実装部材と接触する面が前記実装部品保持手段を挿入可能な円環形状である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、押さえ手段と実装部品保持手段とが一体的に移動可能な構成を採用しているので、押さえ手段と実装部品保持手段とを移動させる構成を簡易にできるとともに、実装部品と被実装部品の正しい位置関係を保ったまま実装を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の超音波振動を用いた実装装置に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、実施形態に係る実装装置の全体の構成を示す側面図であり、図2(a)は、図1に示す実装装置の主要部の拡大図、図2(b)は、図2(a)の下方から上方向に見た押さえ部の平面図、図2(c)は、パッケージ基板の縦断面図、図2(d)は図2(c)の平面図である。図3(a)〜(e)は、図1の実装装置を用いて電子部品を実装する工程を示す図である。なお、図2(a)中において、押さえ部はz軸線を含む面に沿った部分断面図として示してある。
【0019】
実装装置100は、主として、実装部品(電子部品101)を保持する実装部品保持手段である吸着ノズル103と、被実装部品(パッケージ基板111)を保持する被実装部品保持手段である実装ステージ116と、被実装部品を押さえるための押さえ手段と、前記実装部品保持手段と前記被実装部品保持手段との少なくとも一方を他方に向けて移動させる駆動手段と、電子部品101を介してパッケージ基板111を押圧した後に、押さえ部119によりパッケージ基板111を押圧するように制御する制御手段である制御部173と、を備える。
【0020】
さらに、実装装置100の各構成要素について説明する。装置本体105の下部には、x軸方向駆動部113が設けられている。x軸方向駆動部113は、不図示の駆動モータと、駆動モータに連結されるボールネジ(不図示)と、ボールねじに螺合するボールネジナットが設けられ、直動軸受で移動可能に支持されたx軸方向スライダ114と、を有する。装置本体105は、x軸方向スライダ114に固定されており、x軸方向駆動部113を駆動させると、x軸方向スライダ114がx軸方向(図面の表裏方向)に移動し、装置本体105がx軸方向に移動する構成である。
【0021】
さらに、装置本体105には、z軸方向駆動部が設けられている。z軸方向駆動部は、z軸駆動モータ118と、z軸駆動モータ118に連結されたボールネジ(不図示)と、ボールネジに螺合するボールネジナットが設けられ、直動軸受で移動可能に支持されたz軸方向スライダ109と、を有する。
【0022】
z軸方向スライダ109は、z軸方向に移動可能で、装置本体105の一側面でz軸方向に延びている。また、装置本体105の上面には、z軸方向に移動させるz軸駆動モータ118が装着されている。本構成のz軸方向駆動部を作動させることにより、z軸方向スライダ109を図中で上下方向に移動させることができる。
【0023】
z軸方向スライダ109には、スライダ連結部122が装着されている。スライダ連結部122に対して上方には、z軸方向に延在するθ回転シャフト117を回転自在に支持する軸受129が設けられている。θ回転シャフト117の上端部は加圧手段に装着され、下端部はホーン支持部115に装着されている。
【0024】
加圧手段は、押圧部125と、ロック手段161と、ロードセル等から構成される荷重検出部143と、荷重検出部143に連結するとともに、θ回転シャフト117を支持する連結部191と、を備える。
【0025】
押圧部125としては、ブランケットに巻回されたコイルと永久磁石等から構成される公知のボイスコイルモータ(VCM)を利用する。押圧部125を作動させると、コイルに流れる一定の周波数の電流と永久磁石による磁界との作用により出力可動部材であるコイル自体が移動し、荷重検出部143、連結部191を介してθ回転シャフト117に軸方向(z方向)の付勢力を付与する。したがって、吸着ノズル103に吸引保持された電子部品101と実装ステージ116上に載置されたパッケージ基板111との間に付勢力を付与することができる。
【0026】
図中のロック手段161は、押圧部125の作動によりz軸方向スライダ109に対して相対的に昇降可能な荷重検出部143、連結部191、θ回転シャフト117、ホーン支持部115、吸着ノズル103の一体構造をz軸方向スライダ109に対して固定するためのものである。ロック手段161を作動させると、押圧部125の可動部が固定されθ回転シャフト117に連結する吸着ノズル103がz軸方向スライダ109と一緒に昇降する。また、押圧部125を作動させる場合には、ロック手段161を解除する。
【0027】
また、θ回転シャフト117の上端部側には、回転プーリ121が装着されている。回転プーリ121には、回転駆動部120が連結されていて、回転駆動部120からの回転駆動力が不図示のベルトにより回転プーリ121に伝達され、θ回転シャフト117が回転する構成である。すなわち、回転プーリ121と、回転駆動部120とが、θ回転駆動手段を構成する。
【0028】
さらに、スライダ連結部122の図中下側には、θ回転シャフト117に連結され回転速度を減速するための減速機構(不図示)を内蔵する減速機構ハウジング145が配置されている。
【0029】
また、減速機構ハウジング145の下方には、吸着ノズル103が配置される。吸着ノズル103は、θ回転シャフト117と同心で回転するように、ノズル支持部115、超音波発生手段を介して減速機構に連結されている。超音波発生手段は、超音波ホーン108と、超音波振動子107と、を備える。超音波ホーン108は、ノズル支持部115から縮径するようにy軸方向に延び、その先端に吸着ノズル103がz軸方向に延びるように固定されている。超音波振動子107からの振動は吸着ホーン108を介して吸着ノズルに伝達される。
【0030】
なお、図面では省略したが、吸着ノズル103は不図示の吸引源に連結されていて、吸着ノズル103の先端部103aの端面に設けられた吸引孔から電子部品101に吸引力を付与することにより電子部品101を先端部103aに吸着保持する構成である。
【0031】
実装ステージ116は不図示のy軸方向駆動手段によりy軸方向に移動可能となっている。
【0032】
さらに、実装装置100は、制御部173を備えている。制御部173は、実装装置の動作を司るための制御手段で、CPU、ROM、RAM、A/D変換器、各種I/F等を含む。制御部173は、入力信号や記憶値などの各種の情報を用い所定のプログラムに基づき各種演算処理を行い、上述の吸着ノズル103、超音波振動子107、回転駆動部120、押圧部125、ロック手段161、z軸駆動モータ118、x軸方向駆動部113、実装ステージ116などの駆動を制御する。
【0033】
図2(a)(b)に詳細に示されているように、押さえ手段は、押さえ部119と、押さえ部119をz軸方向に移動させる押さえ駆動部182と、押さえ駆動部182と押さえ部119とを連結する支持部123と、を有している。押さえ駆動部182は、スライダ支持部材122に固定配置されている。押さえ駆動部182としては、エアシリンダ、油圧シリンダ等を利用できる。
【0034】
支持部123は、押さえ駆動部182に押圧される当接部材123cと、当接部材123cに連結される一端部を有し、鉛直方向に延びる鉛直部材123aと、鉛直部材123aの他端部に連結され、水平方向に延びる水平部材123bと、を有する。押さえ部119は、水平部材123bの自由端部側の下面に設けられている。
【0035】
押さえ部119は、略矩形状の板部材から形成され、その中心には厚さ方向に貫通する円形状の貫通孔119aが刻設されている。また、貫通孔119aを取り囲むように円環状凸部119bが設けられている。貫通孔119aは、水平部材123bに設けられた貫通孔と連通し、吸着ノズル103が両貫通孔内を延在している。
【0036】
貫通孔119aの内径は、パッケージ基板111の周壁部111aの内接円の径と同寸法とし、さらに、凸部119bの外径を周壁部111aの外接円の径と同寸法にする。
【0037】
また、パッケージ基板111の周壁部111aの頂部の上面111bに対応させて、円環状凸部119bの下面119cを平坦に形成しているので、円環状凸部119bが周壁部111aの周囲に亘り均等に当接できる。
【0038】
このように凸部119bを円環状にすることにより、z軸方向を中心としたθ方向のずれを考慮する必要がない。結果として、例えば、凸部119bを矩形状とし、その角部と、周壁部111aの角部とを整合するように位置決めをする工程を省略でき、タクトタイムを比較的短くできる。
【0039】
また、円環状の押さえ部を利用すれば、パッケージ基板の押さえ代となる部分の領域の形状が種々のものであっても、比較的確実に押さえることができるので、押さえ部を取り替える必要がなく利便性を向上できる。
【0040】
押さえ駆動部182のシリンダロッド187をz軸方向に移動させると、支持部123の鉛直部材123aが移動し、支持部123の水平部材123bに装着された押さえ部119がz軸方向に移動する。従って、押さえ手段は、スライダ支持部材122の移動にともない移動するとともに、押さえ部119は、スライダ支持部材122とは独立してz軸方向に移動可能である。結果として、押さえ部119は、ノズル103に対しても独立してz軸方向に移動可能である。
【0041】
パッケージ基板111は、吸着ノズル103に対向配置される実装ステージ116に載置される。実装ステージ116は、前述のように不図示のy軸方向駆動手段に連結されていて、y方向に駆動可能となっている。
【0042】
この実施形態におけるx軸方向、y軸方向における位置決めは、装置本体105をx軸方向に移動させ、実装ステージ116をy軸方向駆動手段でy軸方向に移動させることで行っている。しかし、装置本体105自体がy軸方向に移動できるように、y軸方向駆動手段を設ける構成としてもよいことは言うまでもない。
【0043】
さらに、図3(a)〜(e)に示すように、第1の撮像カメラ185が、供給ノズル181から電子部品101を吸着ノズル103へ受け渡しする位置に、吸着ノズル103の下方でz方向上方を向いて設けられ、吸着ノズル103に対する電子部品101の位置情報を得るために利用される。さらに、第2の撮像カメラ187が、パッケージ基板111の位置情報を得るために、実装装置100の装置本体105へz軸方向下方に向けて設けられている。
【0044】
第1及び第2の撮像カメラ185、187、電子部品101を吸着ノズル103へ供給するための供給ノズル181は、制御部173に電気的に連結されており、制御部173の駆動信号により作動するように構成されている。なお、図1、2からは、第1の撮像カメラ185、第2の撮像カメラ187、供給ノズル181を、図面の明瞭化のため割愛している。
【0045】
上記構成の実装装置を用いた電子部品の実装工程について図3(a)〜(e)、図4を用いて説明する。実装装置100は、供給ノズル181上に載置される電子部品101を吸着ノズル103が吸引力を付与することにより受け取る(図3(a)参照、図4のステップS101)。
【0046】
次に、図3(b)に示すように、供給ノズル181による電子部品101の保持を解除した後、供給ノズル181を吸着ノズル103から離れるように移動させる。そして、第1の撮像カメラ185で電子部品101を撮像し取得した画像に基づき制御部173が画像処理を行い電子部品101の位置情報を取得する(図4のステップS102)。同様に、第2の撮像カメラ187でパッケージ基板111を撮像し取得した画像に基づき制御部173が画像処理を行い、パッケージ基板111の位置情報を取得する(図3(b)、図4のステップS102)。
【0047】
その後、電子部品101とパッケージ基板111との位置情報に基づいて、電子部品101のバンプ101aがパッケージ基板111の所定位置(実装位置)に配置されるように、吸着ノズル101をx軸方向、z軸方向、θ方向へ移動させるとともに、実装ステージ116をy軸方向に移動させ、電子部品101とパッケージ基板111との相対的な位置決めを行う(図4のステップS103)。この時、電子部品101は、電子部品101が装着されるパッケージ基板111上の実装位置からz軸方向において所定距離離れた位置関係とする。
【0048】
次に、z軸駆動モータ118を作動させ、スライド部材109を下降(z方向下方への移動)させることで、吸着ノズル103をz軸方向で下降させ、吸着ノズル103の先端部103aに保持された電子部品101を介して、実装ステージ116に対してパッケージ基板111を所定の押圧力で押し付ける(図3(c)、ステップS104)。この工程において、パッケージ基板111に対して電子部品101が所定位置(実装位置)に固定される。この時、押さえ部119は、まだパッケージ基板111に当接していない。
【0049】
さらに、パッケージ基板111を押さえ部119により押さえる工程(図3(d)、図4のステップS105)が行われる。押さえ駆動部たるエアシリンダ182を駆動させることにより、押さえ部119をz軸方向に下降させ、パッケージ基板111の周壁部111aの上面111b(押さえ代)に直接接触し、所定の押圧力で押圧する。すなわち、吸着ノズル103による電子部品103を介したパッケージ基板111への押圧が、押さえ部119のパッケージ基板111に直接接触する押圧より先に行われる。なお、吸着ノズル及び押さえ部により押さえる際の押圧力は、パッケージ基板が動かない程度の範囲であればよい。
【0050】
なお、最近の電子部品やパッケージ基板の微小化により、パッケージ基板111の押さえ代も小さくなりつつある現状では、本実施形態と異なり、吸着ノズル103より先に押さえ部119でパッケージ基板111を直接触れて押さえる構成を用いると、パッケージ基板111に対して押さえ部119からの押圧力が均等にかからず(偏って付与され)、パッケージ基板111に位置ズレが生じてしまうことが考えられる。さらに、位置ズレを防止するためには、パッケージ基板111に対する押さえ部119の位置決めに関し非常に高い精度が必要である。
【0051】
位置ズレが生じた場合には、所定位置(実装位置)となるように折角位置合わせしたはずのパッケージ基板111に対する電子部品101の位置が、当接させる直前で所定位置(実装位置)からずれてしまうので、画像処理(ステップS102)、位置決め(ステップS103)、押さえ(ステップS104、S105)、といった一連の工程を再度繰り返す必要が生じ、実装工程のタクトタイムの短縮化の実現が困難となる。また、吸着ノズル103、押さえ部119の位置決め精度を高めるために、実装装置の複雑化を招く恐れがある。
【0052】
しかし、上述のように、吸着ノズル103により電子部品101を介してパッケージ基板111を先に押さえる構成とすることで、吸着ノズル103によりパッケージ基板111の重心近傍を先に固定でき、安定して位置決めすることができる。なお、本実施形態では、吸着ノズル103によりパッケージ基板111のパッケージ基板111の底面111cを押さえる構成(図2(c)(d)参照)となり、重心Gの近傍を押さえることになるが、被実装部品が重心Gを押さえられる形状である場合には、重心Gを押さえることが望ましいことは言うまでもない。
【0053】
また、本実施形態の構成では、吸着ノズル103と押さえ部119とは、x軸方向、y軸方向に関しては常に一体的に移動するので、一旦、吸着ノズル103によりパッケージ基板111を押さえた後は、押さえ部119を降下させることにより、電子部品101を所定位置(実装位置)からずらすことなく、押さえ代すなわち、周壁部111bに確実に当接させることが可能となる。
【0054】
従って、本実施形態において、吸着ノズル103の先端部103aは、押さえ部119の凸部119bよりz方向において下方となるような位置関係としているが、実装部品と被実装部品の形状や寸法関係によって、吸着ノズルの先端部と押さえ部の凸部との位置関係は適宜設定される。
【0055】
実装工程における、図3(d)に示す押さえ部119によるパッケージ基板111を押さえる工程(図4のステップS105)の後は、接合工程(図4のステップS106)である。実装工程の初期状態からロック状態にあるロック手段161によるロックを解除して、押圧部125を駆動し、パッケージ基板111に対して電子部品101を超音波接合に適した範囲の所定圧力で押圧する。この押圧工程に同期して、振動子107を駆動させ、超音波ノズル103を介して電子部品101とパッケージ基板111との接合部に超音波振動を付与する。所定時間が経過した後、振動子107及び押圧部125の動作を停止し超音波接合が完了する。
【0056】
超音波接合工程(図4のステップS106)の後は、図3(e)に示すように、吸着ノズル103による押圧を維持した状態で、押さえ部119を上昇させ、パッケージ基板111から離間させる(図4のステップS107)。そして、最後に、ロック手段161によるロックを施してからz軸駆動モータ118を作動させて、電子部品101から離間するように吸着ノズル103を上昇させ、吸着ノズル103による電子部品101の押圧を終了する(図4のステップS108)。
【0057】
上記した実装動作を繰り返すことにより、複数の電子部品をパッケージ基板へ順次実装していく。
上述したように、押さえ部119による押さえの解除を、吸着ノズル103による押さえの解除より先に行うことにより、押さえ部119にパッケージ基板111が付着し、持ち上がってしまうことを防止できる。
【0058】
本実施形態では、図3(b)に示すように、上部が開口した箱状のパッケージ基板111を用い、その周囲を取り囲む周壁部111aの上面111bを押さえ代とし、z軸方向上方から押さえる構成としている。しかし、本発明で利用される被実装部品の形状は箱型に限定されるものではなく、板状の部材や、中央が凸状となっている形状等の被実装部品に対しても適用できることは言うまでもない。
【0059】
上記実施形態では、押さえ部をパッケージ基板111の周壁部111aの上面111bに当接するように、平面視で円環状の凸部119bを設けたが、本発明はこの形状に限定されない。矩形状の貫通孔の周囲を取り囲むように矩形状の凸部を有する押さえ部としても良い。
【0060】
本実施形態では、平面視で円環状の凸部を有する押さえ部としたが、この他にも、C字形状、楕円形状、ループ形状、コイル形状、多角形状等も又はこれらの組み合わせた形状とすることが可能であることも言うまでもない。
【0061】
また、被実装部品であるパッケージ基板、パッケージ基板に形成された凹部などは、本実施形態及び変形例の具体的形状に限定されることなく、種々の変形、応用を加えた物であってもよいことは言うまでもない。
【0062】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係る実装装置の全体を示す側面図である。
【図2】(a)は図1に示す実装装置の要部の拡大側面図、(b)は押さえ部の底面図、(c)はパッケージ基板の縦断面図、(d)は(c)の平面図である。
【図3】(a)〜(e)は、実装工程を示す図である。
【図4】実施形態に係る実装工程を示すフローチャートである。
【図5】(a)、(b)は、従来の実装装置の各実装工程を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
101 電子部品
103 吸着ノズル
107 振動子
111 パッケージ基板
116 実装ステージ
119 押さえ部
125 押圧部
173 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動を用いて実装部品を被実装部品に実装する実装方法であって、
前記被実装部品を用意し、
前記実装部品を保持する実装部品保持手段により前記実装部品を保持し、
前記実装部品保持手段により前記実装部品を介して前記被実装部品を所定の押圧力で押さえ、
前記実装部品保持手段により前記実装部品を介して前記被実装部品を押さえた後に、前記実装部品保持手段と一体的に移動可能である押さえ手段が前記被実装部品に直接接触し押さえる実装方法。
【請求項2】
前記実装部品保持手段により前記実装部品を介して前記被実装部品の重心若しくはその近傍が押さえられる請求項1に記載の実装方法。
【請求項3】
前記押さえ手段による前記被実装部品の押さえを解除した後に、前記実装部品保持手段による前記被実装部品の押さえを解除する請求項1又は請求項2に記載の実装方法。
【請求項4】
前記被実装部品を、前記押さえ手段に形成された前記実装部品保持手段を挿入可能な円環形状の接触面で押さえる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の実装方法。
【請求項5】
超音波振動を用いて実装部品を被実装部品に実装する実装装置であって、
前記実装部品を保持する実装部品保持手段と、
前記被実装部品を保持する被実装部品保持手段と、
前記実装部品保持手段と一体的に移動可能に構成され、前記被実装部品に直接接触して押圧する押さえ手段と、
前記実装部品と前記被実装部品とが当接するように、前記実装部品保持手段と前記被実装部品保持手段との少なくとも一方を他方に向けて移動させる駆動手段と、
前記実装部品保持手段により前記実装部品を介して前記被実装部品を押さえた後に、前記押さえ手段により前記被実装部品を押さえるように制御する制御手段と、を備える実装装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記実装部品保持手段が前記実装部品を介して前記被実装部品の重心若しくはその近傍を押さえるように制御する請求項5に記載の実装装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記押さえ手段による前記被実装部品の押さえを解除した後に、前記実装部品保持手段による前記実装部品の押さえを解除する請求項5又は請求項6に記載の実装装置。
【請求項8】
前記押さえ手段は、前記被実装部材と接触する面が前記実装部品保持手段を挿入可能な円環形状であることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の実装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate