説明

超音波探傷装置及び方法

【課題】アレイセンサを構成する素子と比較して、少ないパルサー及びレシーバにより構成しつつ、多素子の圧電素子を駆動して画像化することにより、高分解能・高SN比である探傷結果を得られるようにした超音波探傷装置及び方法を提供することにある。
【解決手段】センサ情報設定部102Fは、超音波アレイセンサ101を構成する複数個の圧電素子に対して、送信及び受信する複数個からなる素子群(素子クラスタ)を複数個設定する。計算機102Gは、送信用の素子クラスタから超音波を送信し、受信用の素子クラスタにより超音波を受信したときの受信波を第一の受信信号として記録し、送信用の素子クラスタ及び受信用の素子クラスタを切り替えて、別の第一の受信信号を記録する手順を繰り返す。この繰り返しにより得られた複数の前記第一の受信信号を加算して、第二の受信信号を得る。第二の受信信号は中心位置を基準として表示部103に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊検査手法のひとつである装置及び方法に係り、特に、アレイ型の超音波センサ(超音波アレイセンサ)を使用した装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種構造材などを検査対象とした超音波探傷法では、従来から超音波の送信と受信に単一の素子からなる超音波センサを用い、検査対象である被検体内部の欠陥などにより反射された超音波信号を検出し、伝播時間と超音波センサの位置に基づいて欠陥の検出を行っている。
このとき、被検体に入射する超音波の角度や振動方式(縦波、横波等)を適切に選択し、また、超音波センサを移動させることで、欠陥からの反射波(エコー)が十分な強さで得られる位置を求め、検査対象の底面(遠い方の境界面)又は表面(近い方の境界面)からの反射波の受信時間の差と、材料音速(検査対象材料中の音速)の積算により、当該欠陥の寸法を同定している。
【0003】
この方法は、動作原理が単純明快であり、装置も比較的簡便で済むので、一般的な欠陥検査によく用いられているが、超音波反射波を計測し反射波の受信時間だけから欠陥の有無や位置を評価しなければならないため、高精度な検査には熟練した検査員を要する上、計測に多大の時間が必要であった。
一方、近年では、フェーズドアレイ法など検査対象内部を高精度に画像化して検査する探傷方法が開発されている(たとえば、非特許文献1参照)。
ここで、フェーズドアレイ法は、圧電振動素子を数十個程度配列した、いわゆる超音波アレイセンサを使用し、各圧電振動素子から送信される超音波の波面が干渉し合成波面を形成して伝播していくという原理に基づいたものであり、従って、各圧電振動素子の超音波送信タイミングを遅延制御し、それぞれのタイミングをずらすことで、超音波の入射角度が制御でき、超音波を集束させることができる。
また、超音波の受信に際しても、各圧電振動素子で受信した反射超音波をずらして加算することで、送信時と同様、超音波の受信入射角度を制御したり、焦点を合わせて超音波を受信したりすることができる。
そして、このフェーズドアレイ法としては、圧電振動子を直線的に走査するリニアスキャン方式や、超音波の送信と受信方向を扇状に変化させるセクタスキャン方式が一般的に知られているが、いずれの方式の場合も、超音波センサを動かすことなく超音波を高速に走査したり、超音波センサを交換することなく超音波の入射角度や集束深さの位置を任意に制御したりすることができ、従って高速且つ高精度の検査が可能な技術であるということができる。
上記従来技術の中で、フェーズドアレイ法の場合、超音波の入射角度や集束位置を複数の圧電振動素子により任意に制御し、高速且つ高精度の検査が行える利点がある。
一方、集束深さは、アレイセンサの開口(すなわち、アレイセンサを構成する圧電素子の寸法に素子数を乗算した値にほぼ等しい)によって決定されるため、例えば、被検体内の伝搬経路が長い場合や、被検体の板厚が厚い場合などは、その寸法に応じた集束深さを持つような大型(すなわち、多素子)のアレイセンサが必要となる。
例えば、周波数2MHzのアレイセンサを使って、鋼材(縦波超音波の音速が6000m/s、波長3mm)を探傷する場合を考える。一般に、開口の寸法がA(mm)の超音波探触子からは、以下の式(1)で表わされる近距離音場限界距離(NF)の近傍で超音波が強い強度を持つことが知られている。したがって、より厚い部材を検査するためには、より大きな開口の超音波探触子が必要となる。アレイセンサを用いる場合には、通常、周波数や圧電素子間のピッチは一定であるため、圧電素子の数を増やした多素子のアレイセンサを用いて探傷することとなる。
【0004】
【数1】

【0005】
ここで、多素子のアレイセンサを駆動するためには、アレイセンサ用の超音波探傷装置として、全ての素子数に対応した数のパルサー、レシーバ、及び、配線等の回路を持つ必要があり、装置の内部構造や配線が非常に大型・複雑化するために、装置の可搬性・設置性・メンテナンス性が低下するといった問題があった。
このような課題を克服するために、超音波アレイセンサの一部の素子数に対応した少数のパルサーとレシーバを用いた画像化手法として、たとえば、開口合成法と呼ばれる方法がある(非特許文献2)。
開口合成法では、通常、センサ開口の小さな単一の超音波探触子を用いて、被検体内に波動が広く拡散するようにして超音波を送信し、同一または異なる超音波探触子によって、被検体内部からの反射超音波信号(エコー)を受信する。
このとき、受信された反射超音波の音源となる欠陥の位置は、超音波の伝搬路程が既知であることから、超音波を送信し受信した圧電振動素子の位置を中心とし、反射超音波の伝播距離を半径とした円弧上(または、送信用と受信用の圧電振動子が異なる場合には、送信用圧電振動子と受信用圧電振動子を焦点位置とする楕円弧上)に存在することが原理的にみちびかれる。
この原理を用いて、送信及び受信用の超音波探触子の位置を順次変えながら、超音波の送信と受信を行い、各探触子位置における受信信号を、電子計算機上で演算して円弧状(または楕円弧状)に拡張ことにより、真の反射源位置(欠陥の存在する位置など)には、前記の円弧の交点が集中し、欠陥の位置が特定されるような画像化結果を得るものである。
【0006】
【非特許文献1】横野泰和、フェイズドアレイUTの適用事例及び標準化の世界的動向、非破壊検査協会、vol.56、No.10,2007
【非特許文献2】近藤倫正、大橋由昌、実森彰郎 共著 ディジタル信号処理シリーズ12巻「計測・センサにおけるディジタル信号処理」143頁〜186頁 1993年5月20日 昭晃堂発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、開口合成法では、センサ開口の小さい単一の超音波探触子を用いるために、超音波の伝搬距離が長い場合に適用すると、センサ開口が小さいために、超音波信号が拡散または減衰して信号の強度が低下することで、十分なSN比を持つ受信信号を得ることが難しいという問題が生じる。
本発明の目的は、アレイセンサを構成する素子と比較して、少ないパルサー及びレシーバにより構成しつつ、多素子の圧電素子を駆動して画像化することにより、高分解能・高SN比である探傷結果を得られるようにした超音波探傷装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、1次元または2次元的に配列された複数個の圧電素子からなる超音波アレイセンサを用いて、被検体に超音波を送信し、前記被検体の表面または内部からの反射波(エコー)により前記被検体の内部を検査する超音波探傷装置であって、前記超音波アレイセンサを構成する複数個の圧電素子に対して、送信及び受信する複数個からなる素子群(素子クラスタ)を複数個設定するセンサ情報設定手段と、複数個設定された前記素子クラスタに対して、送信する前記素子クラスタを切り替える送信切替手段と、複数個設定された前記素子クラスタに対して、受信する前記素子クラスタを切り替える受信切替手段と、送信用圧電素子及び受信用圧電素子に対して前記遅延時間の基準となるセンサ中心位置を基準とした遅延時間を与える遅延時間制御手段と、送信用に設定された素子クラスタから超音波を送信し、受信用に設定された素子クラスタにより超音波を受信したときの受信波を第一の受信信号として記録し、送信用に設定された素子クラスタ及び受信用に設定された素子クラスタを切り替えて、別の第一の受信信号を記録する手順を繰り返し、この手順の繰り返しにより得られた複数の前記第一の受信信号を加算して、第二の受信信号を得る計算機と、前記第二の受信信号を前記中心位置を基準として表示する表示手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、アレイセンサを構成する素子と比較して、少ないパルサー及びレシーバにより構成しつつ、多素子の圧電素子を駆動して画像化することにより、高分解能・高SN比である探傷結果を得られるものとなる。
【0009】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記計算機は、遅延時間の基準となるセンサ中心位置として、仮想アレイセンサを設定し、前記仮想アレイセンサの中心位置を用いるようにしたものである。
【0010】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記計算機は、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとを組み合わせるパターンであって、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとが同一の素子クラスタである場合を含む第1のパターンと、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとを組み合わせるパターンであって、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとが異なる素子クラスタである第2のパターンとに対して、前記第1のパターンと前記第2のパターンを切り替えるようにしたものである。
【0011】
(4)また、上記目的を達成するために、本発明は、1次元または2次元的に配列された複数個の圧電素子からなる超音波アレイセンサを用いて、被検体に超音波を送信し、前記被検体の表面または内部からの反射波(エコー)により前記被検体の内部を検査する超音波探傷方法であって、前記超音波アレイセンサを構成する複数個の圧電素子に対して、送信及び受信する複数個からなる素子群(素子クラスタ)を複数個設定し、複数個設定された前記素子クラスタに対して、送信する前記素子クラスタを切り替え、また、複数個設定された前記素子クラスタに対して、受信する前記素子クラスタを切り替え、遅延時間の基準となるセンサ中心位置を基準として、送信用圧電素子または受信用圧電素子のいずれかまたは両方に対して前記遅延時間を与え、送信用に設定された素子クラスタから超音波を送信し、受信用に設定された素子クラスタにより超音波を受信したときの受信波を第一の受信信号として記録し、送信用に設定された素子クラスタ及び受信用に設定された素子クラスタを切り替えて、別の第一の受信信号を記録する手順を繰り返し、この手順の繰り返しにより得られた複数の前記第一の受信信号を加算して、第二の受信信号を得た上で、前記第二の受信信号を前記中心位置を基準として表示するようにしたものである。
かかる方法により、アレイセンサを構成する素子と比較して、少ないパルサー及びレシーバにより構成しつつ、多素子の圧電素子を駆動して画像化することにより、高分解能・高SN比である探傷結果を得られるものとなる。
【0012】
(5)上記(4)において、好ましくは、遅延時間の基準となるセンサ中心位置として、仮想アレイセンサを設定し、前記仮想アレイセンサの中心位置を用いるようにしたものである。
【0013】
(6)上記(4)において、好ましくは、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとを組み合わせるパターンであって、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとが同一の素子クラスタである場合を含む第1のパターンと、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとを組み合わせるパターンであって、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとが異なる素子クラスタである第2のパターンとに対して、前記第1のパターンと前記第2のパターンを切り替えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アレイセンサを構成する素子と比較して、少ないパルサー及びレシーバにより構成しつつ、多素子の圧電素子を駆動して画像化することにより、高分解能・高SN比である探傷結果を得られるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1〜図14を用いて、本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による超音波探傷装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
本実施形態の超音波探傷装置は、検査対象となる被検体100に対して超音波を入射する超音波アレイセンサ101と、送受信部102と、探傷画像を表示する表示部103とで構成されている。本実施形態では、例えば、被検体100内部または表面における欠陥や亀裂、割れなどの反射源111を画像化により探傷を行う。
超音波アレイセンサ101は、図示のように、基本的には1次元または2次元的に配列された、超音波を発生し受信する複数個の圧電振動素子104で構成される。超音波アレイセンサ101は、被検体100の探傷面に、接触媒質(水、グリセリンなどの液体)またはシュー(アクリル等の合成樹脂製)を介して設置される。超音波アレイセンサ101は、送受信部102から供給される駆動信号により超音波105を発生し、これを被検体100内に伝搬させ、これにより現れる反射波(エコー)106を検知して受信信号を送受信部102に入力する。
なお、図1のアレイセンサ101は、N個(N=Na+Nb+Nc+Nd)の圧電素子から構成されているものとし、コネクタやケーブルを介して送受信部102に接続されている。ここで、個数Na,Nb,Nc,Ndは、全て等しく、たとえば、64個とし、個数Nが256個とする。ただし、個数Na,Nb,Nc,Ndは、必ずしも等しい個数でなくてもよいものである。
【0017】
本実施形態では、N個の圧電素子を、たとえば、4個の素子群(素子クラスタ)の圧電素子(圧電素子素子1〜Naからなる素子クラスタ101A,圧電素子素子1〜Nbからなる素子クラスタ101B,圧電素子素子1〜Ncからなる素子クラスタ101C,圧電素子素子1〜Ndからなる素子クラスタ101D)に分割して用いるようにしている。そして、素子クラスタを単位として、送信に用いたり、受信に用いたりしている。
送受信部102は、超音波アレイセンサ101により超音波の送受信を行うものである。送受信部102は、送信切替回路102Aと、受信切替回路102Bと、パルサー102Cと、レシーバ102Dと、遅延時間制御部102Eと、センサ情報設定部102Fと、計算機102Gと、データ記録部102Hと、画像処理部102Mとを備える。センサ情報設定部102Fは、送信に用いるための素子群(素子クラスタ)を決定し、それに基づき、送信切替回路102Aで使用する素子クラスタとパルサーを電気的に接続する。これにより、パルサー102Cから駆動信号が超音波アレイセンサ101に供給され、超音波アレイセンサのうち、送信用の素子クラスタ101Aから超音波105が送信される。被検体100の内部に送信された超音波は、たとえば、反射源111によって反射波(エコー)が生じ、超音波106が発生する。次に、送信の場合と同様に、センサ情報設定部102Eで決定され、受信切替回路102Bにより素子クラスタとレシーバが接続されることで、受信用の素子クラスタ101Dで受信された信号が、レシーバ102Cで処理される。
【0018】
従って、超音波アレイセンサ101が、たとえば、256個の圧電素子から構成され、4個の素子クラスタがそれぞれ64個の圧電素子から構成される場合には、パルサー、レシーバ、及び、配線等の回路は、64個分でよいことになる。一方、本実施形態では、近距離音場限界距離(NF)は、以下に詳術するようにして、圧電素子が64個の場合よりも深い圧電素子が256個の場合と同等のものとできるものである。
計算機102Gは、送信切替回路102A、受信切替回路102B、パルサー102C、レシーバ102D、遅延時間制御部102E、データ記録部102H、画像処理部Mを制御し、必要な動作が得られるようにするものであり、また、データ収録部102Cで受信された信号を合成して画像化を行うものである。
センサ情報設定部102Fは、超音波アレイセンサ101を構成するN個の圧電素子を、複数の圧電素子群(素子クラスタ)に分割するように設定する。また、センサ情報設定部102Fは、において遅延時間及び表示の基準となるセンサ中心位置103Aを設定し、アレイセンサ101に与える遅延時間を計算機102Gで計算するかあるいは計算済みのデータを保管する。この遅延時間に基づき、遅延時間制御部102Eから、アレイセンサ101に対する遅延パターンを与える。なお、センサ情報設定部102Fによって、素子クラスタが設定されると、計算機102Gが、設定された圧電素子群の中央の位置を、センサ中心位置103Aと設定するようにしてもよいものである。
素子切替部(送信用102A、受信用102B)は、送信及び受信に用いる素子クラスタを切り替える。たとえば、超音波アレイセンサ101がN個の圧電振動素子群で、4個の素子クラスタ101A〜101Dから構成される場合、1)素子クラスタ101Aで送信し、素子クラスタ101Aで受信する、2)素子クラスタ101Aで送信し、素子クラスタ101Bで受信する、…という動作をセンサ情報設定部102Fで決定されるパターンについて繰り返す。たとえば、図1のように、アレイセンサ101を4つの素子クラスタ101A〜101Dに分割する場合には、送信用素子クラスタとして4パターン、受信用クラスタとして4パターン、合計4×4=16パターンについて、送受信の素子クラスタの組み合わせを切り替えることとなる。
なお、受信用素子クラスタを構成するそれぞれの圧電素子で受信した信号はAD変換などを行い、さらに、遅延時間パターンに基づいた遅延を与えられて、ひとつの受信信号(第一の受信信号)として加算・合成される。したがって、たとえば、送受信それぞれ4パターン(計16パターン)を切り替える場合、合計で16個の第一の受信信号がデータ記録部102Hに記録される。
計算機102Aは、データ記録部102Hに記録されている第一の受信信号を加算・合成することで、第二の受信信号とする。この第二の受信信号を、表示部103に超音波画像として表示する。このとき、遅延時間の基準であるセンサ中心位置103Aが表示においても同様に基準位置となる。
ここで、図2〜図9を用いて、本実施形態による超音波探傷装置の動作について説明する。
【0019】
なお、以降、i番目の素子クラスタで送信し、j番目の素子クラスタで受信することで得られる第一の受信信号のことをΦijと記すこととする。
最初に、図2を用いて、本実施形態による超音波探傷装置にて設定される焦点位置について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置にて設定される焦点位置の説明図である。
センサ情報設定部102Fにおいて、被検体100を探傷するために、超音波ビームを集束させるための位置(すなわち、焦点)として、焦点位置Fが設定されているとして、以下説明する。
N個の圧電素子から構成される超音波アレイセンサ101のうち、1〜Na個までの部分を素子クラスタ101Aとする。また、センサ情報設定部102Fにおいて、センサ中心位置を点Cに設定する。例として、素子クラスタAのi番目の素子に対する遅延時間の求め方は以下のようになる。
センサ中心Cと焦点位置Fの往復伝搬時間Tを求めると、線分CFの2倍を被検体中の超音波音速で除算した値となる。また同様に、圧電素子Iと焦点Fの往復伝搬時間Tは、線分I−Fの2倍を音速で除算した値となる。
焦点Fに超音波を集束させるためには、各圧電素子からの超音波ビームが焦点Fで同位相、すなわち、伝搬時間が等しくならなければならない。また、最終的な超音波画像の基準位置を点Cに設定したため、超音波アレイセンサ101によって焦点Fを計測した場合、超音波伝搬距離が線分C−Fと一致する必要がある。以上から、各素子から焦点までの伝搬時間を、センサ中心位置とした場合の伝搬時間と一致させるように、伝搬時間に対して遅延処理をかければよいものである。
次に、図3〜図5を用いて、本実施形態による超音波探傷装置における伝搬時間及び遅延時間について説明する。
図3及び図4は、本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における伝搬時間の説明図である。図5は、本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における遅延時間の説明図である。
図3は、センサ中心Cと焦点位置Fの往復伝搬時間Tと、圧電素子Iと焦点Fの往復伝搬時間Tを模式的に示している。図3(A)は、経路CF→FCの伝搬時間を示し、図3(B)は、経路IF→FIの伝搬時間を示し、図3(C)は、経路IF→FIに対する遅延時間を示している。
【0020】
ここで、式(2)に示すように、
【0021】
【数2】

【0022】
T(CF)+T(FC)とT(IF)+T(FI)の差に相当する時間ΔT(I)分だけ遅延処理をかけると、素子Iに対する伝搬時間(ΔT(I)+ΔT(IF)+ΔT(FI))と、センサ中心位置に対する伝搬時間(T(CF)+T(FC))が一致する。
【0023】
このような処理をすべての圧電素子に対して行うことで、超音波アレイセンサ101に対する遅延時間のパターンを求めることができる。
図4は、圧電素子の番号と焦点までの伝搬時間Tの関係を示している。センサ中心位置103Aの伝搬時間T0を基準として、各圧電素子に対する伝搬時間Tから減算する。
【0024】
すると、図5に示すように、各圧電素子に対する遅延時間ΔTを求めることができる。
このように遅延時間ΔT(I)を各圧電素子に与えた後、第一の受信信号を順次記録する。
次に、図6及び図7を用いて、本実施形態による超音波探傷装置における複数の素子クラスタの組み合わせにより得られる受信信号について説明する。
図6及び図7は、本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における複数の素子クラスタの組み合わせにより得られる受信信号の説明図である。
【0025】
図6は、超音波アレイセンサ101が、4つの素子クラスタA〜Dから構成される場合の模式図を示している。素子クラスタA〜Dには、式(2)で計算される遅延時間が各圧電素子に設定されている。ここで、素子クラスタAから超音波を送信し、素子クラスタDで受信した場合、第一の受信信号ΦADとしてデータ記録部102Hに記録される。
【0026】
図7に示すように、素子クラスタの数が4個とすると、送信と受信のパターンを変えながら、順次、第一の受信信号Φijを記録し、最終的には、式(3)に示すように、
【0027】
【数3】

【0028】
第一の受信信号Φijを加算して、焦点位置Fに対する第二の受信信号Ψ(F)を合成する。
【0029】
次に、図8〜図10を用いて、本実施形態による超音波探傷装置における画像表示について説明する。
図8〜図10は、本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における画像表示の説明図である。
【0030】
実際の探傷では、図8に示すように、複数個の焦点位置を2次元または3次元的に走査させるため、各焦点位置に対応して、複数の第二の受信信号Ψ(F)が合成される。ここで、第二の受信信号Ψ(F)は、縦軸に振幅、横軸に時間を用いるとグラフ801のように書くことができる。以下では、i番目の焦点Fiに設定した第二の受信信号Ψ(Fi)の時刻tでの値を、Ψ(Fi;t)と書くこととする。
【0031】
表示部103では、2次元または3次元の画像として第二の受信信号Ψ(Fi;t)を表示する。
【0032】
第二の受信信号Ψ(F)から2次元または3次元の画像を構成するためには、図9に示すように、画素901に対する画素値を求め、第二の受信信号Ψの間の画素値を補間して画像として構成して表示する。
【0033】
ここで、図10及び式(4)を用いて画素値を求める方法の例を説明する。
【0034】
第一の受信信号Φijから、焦点Fに対する第二の受信信号Ψ(F)を加算合成する。いずれの画素も、図9に示すように、ある焦点(Fi及びFi+1)に対応する2つの受信信号(Ψ(Fi;t)及びΨ(Fi+1;t))の間にはさまれているため、第二の受信信号Ψを利用することで画素値を求めることができる。具体的には、図10に示すように、表示の基準位置Cとある画素P[m,n]までの距離Lを被検体の音速Vで除算して、伝搬時間τ=L/Vを求める。次に、時刻τに該当する信号Ψ(Fi;τ)及びΨ(Fi+1;τ)と、それぞれの焦点Fiを通り距離Lに対応した点Fi(τ)を求める。画素の点P[m,n]と点Fi(τ)及び点Fi+1(τ)で定められる線分FiFi+1及び線分PFi+1の距離の比から、重みW(i)を求める(式(4))。
【0035】
【数4】

【0036】
この重みW(i)とΨをかけ算し、重み付き平均により、Ψ(P[m,n];τ)を求める。この処理をそれぞれの画素について繰り返すことで、2次元または3次元の画素値が求められ探傷結果を、例えば、画素値の大きさに応じた白黒またはカラーにより画像を表示する。画像結果は、たとえば、図1の板厚方向の断面図103Bや、時間と振幅の関係図103Cのように表示される。
【0037】
次に、図11〜図13を用いて、本実施形態による超音波探傷装置における超音波探傷方法について説明する。
図11は、本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における超音波探傷方法の内容を示すフローチャートである。図12及び図13は、本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置に用いるアレイセンサの説明図である。
図11に示す本実施形態による超音波探傷方法の処理内容は、大きく3つの部分で構成される。
N個の圧電素子で構成される超音波アレイセンサ101を被検体100に設置する。第一のステップ(S1101〜S1104)は、超音波アレイセンサの初期設定である。ステップS1101の初期設定では、N個のアレイセンサに関して、例えば、被検体の超音波音速、圧電素子の数(N個)、アレイセンサ101を構成する圧電素子104の配列や間隔を設定する。
【0038】
ここで、図12に示すように、圧電素子が1次元に配列されたアレイセンサ1201の場合、圧電素子の間隔1202とその配列(N個)を設定することで、アレイセンサ内に分布する圧電素子の位置を把握することができる。
【0039】
また、図13に示すように、圧電素子が2次元に配列されたアレイセンサ1301の場合、圧電素子の間隔1302,1303とその配列(行と列でP×Q=N個)を設定することで、アレイセンサ内に分布する圧電素子の位置を把握することができる。
さらに、これらN個の圧電素子に対して、遅延時間や画像表示の際の基準となるセンサ中心位置を設定する(図11のステップS1102)。一般的には、図12及び図13に示すように、圧電素子の中心(図12の中心線1203A及び1203Bの交点、または、図13の中心線1303A及び1303Bの交点)をセンサ中心Cとして設定する。
次に、図2〜図5を用いて説明したように、単一または複数個の焦点Fに対して、アレイセンサの各素子に対する遅延時間のパターンを計算する(ステップS1103)。
第一の受信信号を収録するにあたって、送信及び受信に用いるための素子または素子群(素子クラスタ)を設定する(ステップS1104)。例として、図6に示すように、N個の圧電素子を4つのグループに分けて使用する場合を考える。たとえば、図12の1次元配列のアレイセンサ1201において、N=256個の場合、1〜64番目の圧電素子をクラスタA、65〜128番目をクラスタB、129〜196番目をクラスタC、197〜256番目をクラスタDとする。また、図13の2次元配列のアレイセンサ1301において、N=256個(P=16、Q=16)の場合、P=1〜8かつQ=1〜8をクラスタA、P=1〜8かつQ=9〜16をクラスタB、P=9〜16かつQ=1〜8をクラスタC、P=9〜16かつQ=9〜16をクタスタDとする。
第二のステップ(ステップS1105〜ステップS1109)は、第一の受信信号に関する処理である。
【0040】
遅延時間の設定に使用した焦点Fに対して、第一の受信信号を収録し、記録する。最初に、ある焦点F(i)の遅延時間を設定する(ステップS1105)。次に、送信用及び受信用のクラスタを設定する。たとえば、素子クラスタがA〜Dの4個の場合、送信用としてクラスタA、受信用としてクラスタAを設定する、という処理を行う(ステップS1106)。次に、送受信用の素子クラスタを用いて受信信号を収録し(ステップS1107)、送信と受信用に用いる素子クラスタを切り替える(ステップS1108)。ステップS1106からステップS1108の処理を素子クラスタごとに切り替えて、ある焦点位置Fに対する第一の受信信号が記録される(ステップS1109)。例えば、素子クラスタが4個の場合は、図7に示すように、4×4=16個のφijが記録されることになる。焦点が複数個ある場合については、ステップS1105からの処理について、焦点の数だけステップS1109までの処理を繰り返し、焦点数に対応した第一の受信信号数を記録する。
第3のステップ(ステップS1110〜ステップS1114)は、第二の受信信号及び表示に関する処理である。
【0041】
まず、前述の式(3)を用いて、第一の受信信号φを加算して、第二の受信信号Ψを合成する(ステップS1110)。次に、画像を表示するための範囲(画素)を設定する(ステップS1111)。次に、図8〜図10及び式(4)を用いて説明したように、焦点の数に対応した第二の受信信号Ψから、画素Pに対する画素値を補間により計算する(ステップS1112)。最後に、画素Pに対応した画素値のマップとし(ステップS1113)、画像表示部103に、画像として表示する(ステップS1114)。
【0042】
次に、図14を用いて、本実施形態による超音波探傷装置によって得られる焦点ビームの有効距離について説明する。
図14は、本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置によって得られる焦点ビームの有効距離の説明図である。
【0043】
図14は、本実施形態によって得られる焦点ビームの有効距離(近距離音場限界距離NF)を示している。周波数は2MHz、鋼材の音速は6000m/s として計算した。
【0044】
素子クラスタ1個の場合、1つの素子クラスタの幅が16mmとしても有効な集束ビームは深さ50mmより手前になっている。
【0045】
これに対して、本実施形態の複数の素子クラスタによる受信信号の合成により、素子クラスタが4つで、1つの素子クラスタの開口(センサの幅)が16mmの場合、実質的にセンサ開口は4倍の64mmとなるため、超音波ビームは深さ300mm以上まで十分に利用できることがわかる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、第一の受信信号のための素子クラスタに対応したパルサー及びレシーバなどの回路構成と、第二の受信信号に対する信号合成処理の組み合わせにより、装置の小型化を維持したまま、多素子の圧電素子を駆動して画像化を行うことができ、実質的なセンサ開口の大きな焦点ビームを利用できることから、高分解能・高SN比の探傷画像を得ることができる。
【0047】
次に、図15〜図17を用いて、本発明の第2の実施形態による超音波探傷装置の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による超音波探傷装置の構成は、図1に示したものと同様である。
【0048】
最初に、図15及び図16を用いて、本実施形態による超音波探傷装置におけるセンサ中心位置の設定について説明する。
図15及び図16は、本発明の第2の実施形態による超音波探傷装置におけるセンサ中心位置の設定の説明図である。
【0049】
本実施形態では、処理の流れは第1の実施形態と同様であるが、図11のフローチャートのステップS1102におけるセンサ中心位置の設定の部分が拡張されている。
【0050】
第1の実施形態では、超音波アレイセンサを構成する圧電素子全体を部分(素子クラスタ)に分割したが、図15では、アレイセンサを構成する圧電素子の一部に対して、素子クラスタを設定する場合である。2次元配列で、P×Q=N個の圧電素子からなるアレイセンサについて、たとえば、横の行の1〜P’個と、縦の列1〜Q’個の圧電素子を探傷に使うものとし、P’×Q’個の圧電素子の領域に対する抽選1502A及び1502Bの交点をセンサ中心C’と設定する。このとき、P’×Q’個の圧電素子の領域が仮想的なアレイセンサとして機能しているとみなすことができる。図15では2次元配列の例を使ったが、1次元配列でも同様のことがいえる。
また、図16の場合のように、仮想的なアレイセンサが、実際の超音波アレイセンサの外側に設定されてもよい。この場合には、領域1601で示される部分が仮想的なアレイセンサとして機能し、中心線1602A及び1602Bの交点をセンサ中心位置C’として設定する。
このように、遅延時間及び画像表示の基準となるセンサ中心の設定に自由度を持たせることで、被検体の厚みに応じて、例えば、被検体の浅い(薄い)領域を画像化する場合は圧電素子数を少なくし、深い(厚い)領域を画像化する場合は圧電素子数を多くするなど、仮想的なアレイセンサを構成する圧電素子の使用する部分を変えることができ、たとえば、深さ方向に対する画像の分解能を一定に保つことができる。
【0051】
次に、図17を用いて、本実施形態による超音波探傷装置におけるセンサ中心位置の設定の他の例について説明する。
図17は、本発明の第2の実施形態による超音波探傷装置におけるセンサ中心位置の設定の説明図である。
また、仮想的なアレイセンサを実際のアレイセンサの外側に設定することにより、より広い領域の画像を得ることができる。図17を用いて、広範囲の画像について模式図で説明する。
【0052】
実際のアレイセンサ101のセンサ中心位置103Aで第1の実施形態に基づく画像化を行った場合、たとえば、扇型1701Aの範囲の画像が得られることになり、領域1702A及び1702Bは画素の値が得られない。そこで、仮想的なアレイセンサを領域1601に設定することで、センサ中心位置を点1703に設定することが可能となり、扇型1701Bの範囲の画像を得ることができ、より広い範囲の画像を行うことができる。たとえば、配管が曲がっており、その外周にアレイセンサを設置した場合、曲がった配管の所では、それ以上センサの設置位置を曲がった箇所に近づけることができない場合において、図17に示した仮想的なアレイセンサを設定することで、より曲がった箇所に近い部分まで探傷が可能となる。広範囲の画像が得られる効果は、図15のように、アレイセンサの一部を仮想的なアレイセンサとみなす場合でも同様に得ることができる。
以上のように、本実施形態によれば、仮想的なアレイセンサを設定し、それに対するセンサ中心位置を設定することにより、深さ方向での分解能を調整することや、より広範囲の画像を得ることができる。
【0053】
次に、図18〜図21を用いて、本発明の第3の実施形態による超音波探傷装置の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による超音波探傷装置の構成は、図1に示したものと同様である。
図18及び図20は、本発明の第3の実施形態による超音波探傷装置における素子クラスタの組み合わせ設定の説明図である。図19及び図21は、本発明の第3の実施形態による超音波探傷装置における表示画面の説明図である。
【0054】
なお、本例では、アレイセンサ101を4つの素子クラスタに分割した場合を例に説明する。
【0055】
図18及び図20は、送信及び受信に用いる素子クラスタの組み合わせの設定及び表示画面の例である。図18では、素子クラスタ4個に対して16個すべての第一の受信信号Φを使用して第二の受信信号Ψを合成する場合を表している。この組み合わせは、図7にて説明したものと同様である。
【0056】
一方、図20は、送信と受信で異なる素子クラスタを用いる場合の第一の受信信号Φを利用(利用するパターン:○印、利用しないパターン:×印)して、第二の受信信号Ψを合成する。
【0057】
送受信において同じ素子クラスタを使用すると、送受信に同じ素子または素子クラスタを用いたときに表れる送信用信号が同じ素子(または素子クラスタ)にまわりこむために発生する信号(図19の1901A及び1901B)がノイズとなってアレイセンサ近傍に不感帯を形成するが、送受信に異なる素子または素子クラスタを使用することで、この送信にともなう信号(図21の2101A及び2101B)を低減することができ、不感帯の少ない画像を得ることができる。
【0058】
一方、図18の組み合わせパターンを用いると、感度を大きくできるため、より深い所の探傷が可能である。
【0059】
従って、たとえば、最初に、図18のパターンで深い所の探傷を行い、検出された欠陥(亀裂等)が浅い所まで伸びているような場合には、図18のパターンから図20のパターンに切り替えることで、引き続き、浅い所の欠陥も検出することができる。
【0060】
本実施形態によれば、送信及び/または受信する1個または複数個からなる素子群(素子クラスタ)のパターンのうち、送信と受信が異なるパターンを選択することで、送信と受信の素子または素子群(素子クラスタ)を分離することが可能となり、超音波送信にともなうノイズ信号(たとえば、送信パルス、シュー内エコーなど)を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置にて設定される焦点位置の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における伝搬時間の説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における伝搬時間の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における遅延時間の説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における複数の素子クラスタの組み合わせにより得られる受信信号の説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における複数の素子クラスタの組み合わせにより得られる受信信号の説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における画像表示の説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における画像表示の説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における画像表示の説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置における超音波探傷方法の内容を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置に用いるアレイセンサの説明図である。
【図13】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置に用いるアレイセンサの説明図である。
【図14】本発明の第1の実施形態による超音波探傷装置によって得られる焦点ビームの有効距離の説明図である。
【図15】本発明の第2の実施形態による超音波探傷装置におけるセンサ中心位置の設定の説明図である。
【図16】本発明の第2の実施形態による超音波探傷装置におけるセンサ中心位置の設定の説明図である。
【図17】本発明の第2の実施形態による超音波探傷装置におけるセンサ中心位置の設定の説明図である。
【図18】本発明の第3の実施形態による超音波探傷装置における素子クラスタの組み合わせ設定の説明図である。
【図19】本発明の第3の実施形態による超音波探傷装置における表示画面の説明図である。
【図20】本発明の第3の実施形態による超音波探傷装置における素子クラスタの組み合わせ設定の説明図である。
【図21】本発明の第3の実施形態による超音波探傷装置における表示画面の説明図である。
【符号の説明】
【0062】
100…被検体
101…超音波アレイセンサ
101A〜101D…素子クラスタ
102…送受信部
102A…送信切替回路
102B…受信切替回路
102C…パルサー
102D…レシーバ
102E…遅延時間制御部
102F…センサ情報設定部
102G…計算機
102H…データ収録部
103…表示部
103A…センサ中心位置
104…圧電素子
110…焦点位置
111…反射源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次元または2次元的に配列された複数個の圧電素子からなる超音波アレイセンサを用いて、被検体に超音波を送信し、前記被検体の表面または内部からの反射波(エコー)により前記被検体の内部を検査する超音波探傷装置であって、
前記超音波アレイセンサを構成する複数個の圧電素子に対して、送信及び受信する複数個からなる素子群(素子クラスタ)を複数個設定するセンサ情報設定手段と、
複数個設定された前記素子クラスタに対して、送信する前記素子クラスタを切り替える送信切替手段と、
複数個設定された前記素子クラスタに対して、受信する前記素子クラスタを切り替える受信切替手段と、
送信用圧電素子及び受信用圧電素子に対して前記遅延時間の基準となるセンサ中心位置を基準とした遅延時間を与える遅延時間制御手段と、
送信用に設定された素子クラスタから超音波を送信し、受信用に設定された素子クラスタにより超音波を受信したときの受信波を第一の受信信号として記録し、
送信用に設定された素子クラスタ及び受信用に設定された素子クラスタを切り替えて、別の第一の受信信号を記録する手順を繰り返し、
この手順の繰り返しにより得られた複数の前記第一の受信信号を加算して、第二の受信信号を得る計算機と、
前記第二の受信信号を前記中心位置を基準として表示する表示手段を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波探傷装置において、
前記計算機は、遅延時間の基準となるセンサ中心位置として、仮想アレイセンサを設定し、前記仮想アレイセンサの中心位置を用いることを特徴とした超音波探傷装置。
【請求項3】
請求項1記載の超音波探傷装置において、
前記計算機は、
送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとを組み合わせるパターンであって、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとが同一の素子クラスタである場合を含む第1のパターンと、
送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとを組み合わせるパターンであって、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとが異なる素子クラスタである第2のパターンとに対して、
前記第1のパターンと前記第2のパターンを切り替えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項4】
1次元または2次元的に配列された複数個の圧電素子からなる超音波アレイセンサを用いて、被検体に超音波を送信し、前記被検体の表面または内部からの反射波(エコー)により前記被検体の内部を検査する超音波探傷方法であって、
前記超音波アレイセンサを構成する複数個の圧電素子に対して、送信及び受信する複数個からなる素子群(素子クラスタ)を複数個設定し、
複数個設定された前記素子クラスタに対して、送信する前記素子クラスタを切り替え、また、複数個設定された前記素子クラスタに対して、受信する前記素子クラスタを切り替え、
遅延時間の基準となるセンサ中心位置を基準として、送信用圧電素子または受信用圧電素子のいずれかまたは両方に対して前記遅延時間を与え、
送信用に設定された素子クラスタから超音波を送信し、受信用に設定された素子クラスタにより超音波を受信したときの受信波を第一の受信信号として記録し、
送信用に設定された素子クラスタ及び受信用に設定された素子クラスタを切り替えて、別の第一の受信信号を記録する手順を繰り返し、
この手順の繰り返しにより得られた複数の前記第一の受信信号を加算して、第二の受信信号を得た上で、
前記第二の受信信号を前記中心位置を基準として表示することを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波探傷方法において、
遅延時間の基準となるセンサ中心位置として、仮想アレイセンサを設定し、前記仮想アレイセンサの中心位置を用いることを特徴とした超音波探傷方法。
【請求項6】
請求項4に記載の超音波探傷方法において、
送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとを組み合わせるパターンであって、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとが同一の素子クラスタである場合を含む第1のパターンと、
送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとを組み合わせるパターンであって、送信するに用いる素子クラスタと受信に用いる素子クラスタとが異なる素子クラスタである第2のパターンとに対して、
前記第1のパターンと前記第2のパターンを切り替えることを特徴とする超音波探傷方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2010−107284(P2010−107284A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278038(P2008−278038)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】