説明

超音波探傷装置及び超音波探傷プログラム

【課題】簡易な手段により、被覆体で覆われた部分の探傷検査に適用でき、試験体の一点から一定の長さ方向の距離を安定した性能で検査可能な超音波探傷装置を提供する。
【解決手段】超音波探傷装置100は、SH波を発振するSH波振動子11Tと、試験体1との接触状況を検知する横波の超音波を発振する接触検知振動子12Tとを有する複合探触子13を備える。超音波探傷装置100は、複合探触子13が試験体1の表面に接触状態において、SH波6を試験体1に入射し、試験体1に存在する欠陥2からの反射波を超音SH波振動子11Tより検出するとともに、接触検知振動子12Tにより複合探触子13と試験体1との接触状況を検出する。超音波探傷装置100は、接触検知振動子12Tで得られるエコーデータと予め記憶している基準値とを比較し、比較結果に基づき、SH波振動子11Tで得られたデータの採否判断あるいはその補正量を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて試験体内部の欠陥の有無や腐食による減肉の状況を検査する超音波探傷装置及び超音波探傷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
試験体には、鋼管や鋼板など多様な種類が存在するが、ここでは、代表的な試験体として鋼管の場合について説明する。
【0003】
例えば、各種プラントにおいて、鋼管は、気密性および液密性と強度とに優れるので、気体または液体の搬送管路として多用されている。鋼管の長さは有限であるので、溶接接合または管継手などによって接続されて配管され、管路を形成する。配管施工時において、管継手であれば接続部の漏洩検査が行われ、溶接接合であれば接続部の探傷検査が行われる。このように配管施工途中であり、探傷検査部位が露出している場合、たとえば、溶接部に発生する欠陥については、表面欠陥であれば浸透探傷検査、内部欠陥であれば放射線探傷検査などによって検査することができ、検査によってその健全性を確保することが可能である。
【0004】
しかしながら、配管施工後、特に外部から遮蔽されてしまう部位に発生する欠陥、たとえば腐食欠陥などについては、その探傷検査を行うことは容易ではない。鋼管は、前述のように気体または液体の搬送管路として用いられるので、たとえば腐食欠陥などが鋼管の厚みを貫通し、鋼管内部の気体または液体の漏洩することは厳に防止しなければならない。したがって、鋼管の探傷検査では欠陥の検出にとどまらず、その欠陥深さをも検出し、鋼管の厚み減少、いわゆる減肉の程度を診断することが、配管施工された鋼管の保守管理上における重要な課題となっている。
【0005】
しかしながら、鋼管の探傷検査では、前述のように遮蔽部に存在する欠陥の検出そのものが難しく、減肉の診断に対して有効に適用し得る探傷検査方法は確立されていないのが実情である。
【0006】
このような課題に対応する従来技術に、たとえばガイド波(円筒波)と呼ばれる超音波を用いて鋼管を探傷検査することのできる装置がある。この装置は、鋼管の管軸方向に比較的長い距離離隔して存在し、また遮蔽部に存在する欠陥の探傷検査をすることができる。しかし、装置の容積が大きいので、一般的な配管の探傷検査が行われるような狭い作業容積では装置を収容することができず適用不能である。また、配管に存在する欠陥の断面欠損率が数%程度以上でないと検出することができないという特性を有するので、たとえば腐食発生初期のような微細欠陥の検出が不能であるという課題がある。
【0007】
前述のような課題を有するガイド波などに代わり、遮蔽部に存在する欠陥を探傷検査する従来技術の一つに、横波の一種であって試験体を水平方向に振動しながら伝播するSH(Shear Horizontal:せん断水平)波を用いて、検査するという技術がある(特許文献1参照)。SH波とは、横波の一種であり、音波の振幅方向が試験体の探傷表面と平行になる波である。
【0008】
しかしながら、せん断水平波を試験体に効率良く入射するためには、試験体と探触子との間にかなり粘性の高い接触媒質を介する必要が出てくる。粘性の高い接触媒質が介在するために、その厚みが一定せず探触子の押付け力によって感度が大幅に変動したり、また感度の低下を招くことも多い。さらに周囲温度や試験体の表面性状の影響を受けることもよく見られる現象である。
【0009】
例えば、図13は周囲温度に対する伝達効率の変化の一例である。図に示したように、接触媒質の種類(媒質1〜3)によって差があるものの、周囲温度が高くなると伝達効率が低下し、エコー高さは低くなる傾向にある。これは、温度が高くなるにつれて接触媒質の粘性が低下することによるものである。
【0010】
また、図14は、接触媒質の厚さに対する伝達効率の変化の一例である。図に示したように、接触媒質の種類(媒質1〜3)によって差があるものの、厚くなると伝達効率が大幅に低下することを示している。通常、接触媒質を介して探触子を試験体に押し付ける場合、最初は感度が低いが時間経過とともにエコーが高くなっていく現象は、この接触媒質の厚さが時間とともに薄くなっていくことによるものである。
【0011】
また、図15は、試験体の表面粗さに対する伝達効率の変化の一例である。図に示したように、試験周波数によって差があるものの、一定値以上に表面が粗くなると、伝達効率が低下していく様子を示している。
【特許文献1】特開2004−3996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、簡易な手段によって試験体の検査に適用することができ、特に路程の長い遮蔽された距離を遮蔽の無い一点から検査することのできる試験体の超音波探傷装置を提供することである。
【0013】
また本発明のもう一つの目的は、超音波探触子と試験体表面との接触状況に左右されない安定した検査を可能にする試験体の超音波探傷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の超音波探傷装置は、
対象物に超音波を発して欠陥を検出する超音波探傷装置において、
前記対象物の表面に接触して使用する複合探触子であって前記対象物に向けて超音波を発してエコーを検出する第1振動子と前記対象物に向けて超音波であるせん断水平波を発してエコーを検出する第2振動子とを有する複合探触子と、
前記第1振動子が検出したエコーに対応する第1エコーデータを記憶する第1記憶部と、
前記第2振動子が検出したエコーに対応する第2エコーデータを記憶する第2記憶部と、
前記第1記憶部が記憶した第1エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理を指令する指令信号を生成して出力する指令信号出力部と、
前記指令信号出力部が出力した指令信号を入力し、入力した指令信号にしたがって、前記第2記憶部が記憶した第2エコーデータに所定の処理を実行する処理実行部と
を備えたことを特徴とする。
【0015】
前記指令信号出力部は、
前記第1記憶部が記憶した第1エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記第2記憶部が記憶した第2エコーデータを有効とする処理を指令する有効指令信号と無効とする処理を指令する無効指令信号とのいずれかを生成して出力し、
前記処理実行部は、
有効指令信号を入力した場合には前記第2記憶部が記憶した第2エコーデータを有効とし、無効指令信号を入力した場合には前記第2記憶部が記憶した第2エコーデータを無効とすることを特徴とする。
【0016】
前記指令信号出力部は、
前記第1記憶部が記憶した第1エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記第2記憶部が記憶した第2エコーデータの補正処理を指令する補正指令信号を生成して出力し、
前記処理実行部は、
補正指令信号を入力した場合には、前記第2エコーデータ記憶部が記憶した第2エコーデータを補正することを特徴とする。
【0017】
前記第1振動子は、
横波の超音波を発することを特徴とする。
【0018】
この発明の超音波探傷プログラムは、
超音波探傷検査の対象となる対象物の表面に接触して使用する複合探触子であって前記対象物の表面に向けて超音波を発してエコーを検出する第1振動子と前記対象物に向けて超音波であるせん断水平波を発してエコーを検出する第2振動子とを有する複合探触子と、データを記憶する第1記憶部と、データを記憶する第2記憶部とを備えたコンピュータである超音波探傷装置に以下の処理を実行させることを特徴とする超音波探傷プログラム
(1)前記第1振動子が検出したエコーに対応する第1エコーデータを前記第1記憶部に記憶する処理
(2)前記第2振動子が検出したエコーに対応する第2エコーデータを前記第2記憶部に記憶する処理
(3)前記第1記憶部に記憶された第1エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理を指令する指令信号を生成する処理
(4)前記第2記憶部に記憶された第2エコーデータに対して、生成された指令信号にしたがった所定の処理
【発明の効果】
【0019】
本発明により、超音波探触子と試験体表面との接触状況が良好でない場合であっても、安定した検査が可能となる超音波探傷装置及び超音波探傷プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施の形態1.
図1〜図10を参照して実施の形態1を説明する。実施の形態1は、SH波振動子11Tと接触検知振動子12Tとを有する複合探触子13を備えた超音波探傷装置100に関する。
【0021】
図1は、実施の形態1における超音波探傷装置の概略構成を示す。図1に示すように、超音波探傷装置100は、探傷装置本体15と複合探触子13とを備える。探傷装置本体15と複合探触子13とは接続ケーブル30で接続される。複合探触子13は、SH波振動子11Tと接触検知振動子12Tとを一つのケースに収納することで複合探触子13としたものである。探傷装置本体15の構成は後述する。複合探触子13は試験体1に接触して使用される。超音波探傷装置100は、接触検知振動子12Tの発する接触検知超音波ビーム5により、複合探触子13と試験体1との接触状況を判断し、判断結果に基づき、SH波振動子11Tにより検出したエコーデータに所定の処理を実施する。これによりSH波振動子11Tによる探傷検査を安定して実施することが可能となる。以下に詳細を説明する。
【0022】
図2は、探傷装置本体15の内部構成を示している。探傷装置本体15は、複合探触子13と接続ケーブル30(図2には図示していない)で接続されている。
【0023】
図2に示すように、超音波探傷装置100は、超音波であるせん断水平波(以後、SH波、あるいはSH超音波ビームと呼ぶ場合がある)を送信することのできるSH波振動子11Tを有する複合探触子13を備える。この複合探触子13を被検査体である試験体1の表面に接触し、SH波振動子11Tを持つ複合探触子13と試験体1との接触によって形成される入射位置からSH波6を試験体1に入射し、試験体1に存在する欠陥2からの反射波をSH波振動子11Tによって検出して試験体1を検査する。図2では被覆体3を一点鎖線で示している。本実施の形態の超音波探傷装置100は、このSH波を用いて検査をするに際して、接触検知振動子12Tから超音波を試験体1の表面に略垂直に発してそのエコーを接触検知振動子12Tにて検出し、この検出したエコーデータ(以下、第1エコーデータと呼ぶ場合がある)と、予め格納している基準値とを比較し、比較結果に基づき、SH波振動子11Tにより得られたエコーデータ(第2エコーデータと呼ぶ場合がある)の処理を決定する実施形態である。SH波振動子11Tと接触検知振動子12Tとを一体とした複合探触子13を使用した場合、SH波振動子11Tと接触検知振動子12Tとを接近して配置できるため、SH波が試験体1に入射する個所のより近傍の接触状況を検知することができ、検査結果の信頼性の向上につながる。
【0024】
なお、図2に示す接触検知振動子12Tは、横波の超音波を発するものとする。接触検知振動子12Tの発する超音波は縦波でもよいが、SH波振動子11Tの発するSH波6は横波なので、接触検知振動子12Tは横波を発する方が判定精度(後述の採否判定、補正量決定)が向上する。
【0025】
このように、超音波探傷装置100は、複合探触子13を備える。複合探触子13は、超音波であるSH波を発振することのできるSH波振動子11Tと接触検知振動子12Tとを有する。複合探触子13を試験体1の表面に接触させてSH波6を試験体1に入射し、試験体1に存在する欠陥2からの反射波をSH波振動子11Tによって検出するとともに、接触検知振動子12TによってSH波振動子11Tと試験体1との接触状況を検知する。SH波の感度は接触媒質の状況や試験体の表面性状によって大きく左右されるので、接触検知振動子12Tで得られるエコーに基づき、SH波による検出データの採否またはSH波による検出データへの補正量を決定する。この処理により、安定した性能で検査することのできる試験体の超音波探傷検査方法が実現できる。
【0026】
本実施の形態における試験体1には、鋼管や鋼板などが供せられる。SH波振動子11Tは、前述のようにSH波を送信する。
【0027】
試験体1が鋼管である場合、生じる欠陥2には、たとえば腐食や溶接継手における溶込み不足、気孔などが代表的なものであるが、ここでは試験体1を配管施工した後、遮蔽部等に発生する腐食欠陥を主たる検査の対象とする。したがって、本明細書中では、欠陥2を腐食と表記することがある。
【0028】
SH波振動子11Tと接触検知振動子12Tとを有する複合探触子13は、探傷装置本体15に接続ケーブル30等により接続される。SH波振動子11Tは、探傷装置本体15から与えられる信号によってSH波を送信し、試験体1との接触部からSH波を試験体1に入射し、試験体1に存在する欠陥2からの反射波を受けて探傷装置本体15に伝える。探傷装置本体15は、少なくとも送信部16と、増幅部17と、データ処理部18と、外部への表示手段などで代表される出力部20とを含む。出力部20には、送信エコーT、前述の複合探触子13によって受信される欠陥部エコーFなどが表示される。この探傷装置本体15と複合探触子13とによって、超音波探傷装置が構成される。なお、超音波探傷装置100には、探傷結果を画像出力して記録することのできるプリンタ装置などが設けられてもよい。
【0029】
図2に示すように、探傷装置本体15は、送受信部16、増幅部17、データ処理部19、出力部20を備える。図2では、SH波振動子11Tと接触検知振動子12Tとのそれぞれに、送受信部16、増幅部17、データ処理部19、出力部20が設けられている場合を示している。SH波振動子11Tに対応する送受信部等を「SH側」と表記しており、接触検知振動子12Tに対応する送受信部等を「検知側」と表記している。なお、図2ではSH波振動子11Tと接触検知振動子12Tとのそれぞれに送受信部等を設けているが、これらは共用する構成でも構わない。共用については図9で後述する。
(1)検知側送受信部16Sは、接触検知振動子12Tに送信パルスを与えるとともに接触検知振動子12Tが検出した超音波エコー信号(第1エコーデータ)を受信する。SH側送受信部16Hは、SH波振動子11Tに送信パルスを与えるとともにSH波振動子11Tが検出した超音波エコー信号(第2エコーデータ)を受信する。
(2)検知側増幅部17S、SH側増幅部17Hは、受信信号を増幅する。
(3)検知側データ処理部19S、SH側データ処理部19Hは、データを処理する。これらデータ処理部は超音波探傷装置100の特徴部分であり詳細は後述する。
(4)出力部20S、出力部20Hは、処理結果を外部に出力する。
【0030】
図2に示すように、複合探触子13は、試験体1の表面に接触される。図2に示すように複合探触子13を試験体1の表面に接触させる場合には、例えばゼリー状の接触媒質4が、複合探触子13の接触範囲に塗布される。
【0031】
次に、超音波探傷装置100の動作概要を説明する。
(1)接触検知振動子12Tは、検知側送受信部16Sからのパルスにより接触検知超音波ビーム5を発し、自身の発した接触検知超音波ビーム5のエコーを検出し、検出したエコーを第1エコーデータとして検知側送受信部16Sに出力する。同様に、SH波振動子11Tは、SH側送受信部16HからのパルスによりSH超音波ビーム6を発し、自身の発したSH超音波ビーム6のエコーを検出し、検出したエコーを第2エコーデータとしてSH側送受信部16Hに出力する。
(2)検知側送受信部16Sは、検出信号(第1エコーデータ)を検知側増幅部17Sに出力する。同様に、SH側送受信部16Hは、検出信号(第2エコーデータ)をSH側増幅部17Hに出力する。
(3)検知側データ処理部19Sは、検知側増幅部17Sにより増幅され検出信号(第1エコーデータ)を処理する。SH側データ処理部19Hも同様である。これらの処理は後述する。
(4)検知側出力部20Sは、検知側データ処理部19Sが処理したデータを他の装置に出力する。出力部20Hも同様である。
【0032】
次に図3〜図6を参照して、超音波探傷装置100の特徴であるデータ処理部19の構成及び動作を説明する。
【0033】
図3は、検知側データ処理部19S、SH側データ処理部19Hの構成を示すブロック図である。なお、単にデータ処理部という場合があるが、これは、検知側データ処理部19SとSH側データ処理部19Hとの全体を意味するものとする。
【0034】
前記のように超音波探傷装置100の特徴は、SH波を用いて検査をするに際し、接触検知振動子12Tから超音波を発するとともにそのエコーを接触検知振動子12Tにて検出し、この検出したエコーデータ(第1エコーデータ)と、予め格納している基準値とを比較し、この比較結果に基づき、SH波振動子11Tにより得られたエコーデータ(第2エコーデータ)の処理を決定することにある。このような処理により、安定した性能で超音波探傷検査をすることができる。この処理はデータ処理部で行われるが、以下では、先ずSH波振動子11Tにより検出された第2エコーデータの採否について説明し、次にSH波振動子11Tにより検出された第2エコーデータの補正について説明する。
【0035】
図3は、SH波振動子11Tにより検出された第2エコーデータの採否を判断する場合のデータ処理部の構成を示す図である。
【0036】
図3に示すように、検知側データ処理部19Sは、第1エコーデータを記憶する第1記憶部21Sと、基準値JLとバックエコー高さBEとを比較し、比較結果に基づき有効指令信号あるいは無効指令信号を出力する比較部22(指令信号出力部)とを備える。また、SH側データ処理部19Hは、第2エコーデータを記憶する第2記憶部21Hと、有効指令信号JSあるいは無効指令信号JSを入力し、入力した指令信号にしたがって、第2記憶部が記憶した第2エコーデータを有効とする処理と、無効とする処理とのいずれかを実行する判定部23(処理実行部)とを備える。
【0037】
図3における検知側データ処理部19SとSH側データ処理部19Hとが、接触検知振動子12Tで得られるデータ(第1エコーデータ)における「エコー高さ」を用いて、SH波振動子11Tで得られたデータ(第2エコーデータ)を採用するかどうかの採否判断を実行する。
【0038】
図3においてSH側データ処理部19Hは、SH波振動子11Tが検出する欠陥2からのエコーデータ(第2エコーデータ)を保存する第2記憶部21Hと、判定部23とを有している。一方、検知側データ処理部19Sは、接触検知振動子12Tが検出する試験体1からのエコーデータ(第1エコーデータ)を保存する第1記憶部21Sと、比較部22を有している。ここで第1記憶部21Sの出力である「バックエコー高さBE」は、比較部22において判定レベルである基準値JLと比較される。この比較結果により、比較部22から判定結果である指令信号JSが出力される。この指令信号JSは、第2記憶部に記憶されているデータを有効とすることを指令する有効指令信号、あるいは無効とすることを指令する無効指令信号とのうちいずれかである。判定部23は、判定結果である指令信号JSに従って、第2記憶部21Hの出力である「欠陥部エコー高さFE」の採否を判定する。すなわち、指令信号JSが有効指令信号であれば「欠陥部エコー高さFE」を有効として採用し、指令信号JSが無効指令信号であれば「欠陥部エコー高さFE」を無効として採用しない。その結果が最終結果FVとしてSH側出力部20Hへ出力される。
【0039】
以上のデータ処理部の動作によって、探触子の接触不良などに起因する誤検出や誤判定を防止することが可能となり、試験結果の信頼性の向上につながるものである。
【0040】
図4〜図6を用いて上記データの採否処理をさらに詳しく説明する。
図4は、図3に示すデータ処理部の動作を示すフローチャートである。
図5は、複合探触子13が備える接触検知振動子12Tの出力エコー波形を示す。
図6は、複合探触子13が備えるSH波振動子11Tの出力エコー波形を示す。
【0041】
まず図5を説明する。図5は、横軸は時間を示す。縦軸は、接触検知振動子12Tが発した超音波のエコーを接触検知振動子12T自身が検出した際のエコー高さを示す。
記号はそれぞれ以下を示す。
すなわち、
TH:送信パルス、
S:試験体1の表面からのエコー、
B:バックエコー(第1エコーデータ)、
BE:バックエコー高さ、
JL:基準値
を示している。
【0042】
次に図6を説明する。
図6は、横軸は時間を示す。縦軸は、SH波振動子11Tが発したSH波のエコーをSH波振動子11T自身が検出した際のエコー高さを示す。
記号はそれぞれ以下を示す。
すなわち、
TS:送信パルス、
F:欠陥部エコー(第2エコーデータ)、
FE:欠陥部エコーFのエコー高さ、
を示している。
【0043】
図4のフローチャートを参照して図3のデータ処理部19の動作を説明する。
【0044】
S101において、第1記憶部21Sが図5に示すバックエコーB(第1エコーデータ)を入力して記憶する。このバックエコーBは、接触検知振動子12Tが発した超音波に起因する試験体1からのエコーに対応するデータである。バックエコーBとして採用するのは、接触検知振動子12Tが検出したデータのうち、好適なものを採用してよい。
【0045】
S102において、第2記憶部21Hが、SH波振動子11Tが検出したエコーに対応するエコーデータ(第2エコーデータ)を記憶する。図6の欠陥部エコーFが、SH波振動子11Tが検出したエコーデータ(第2エコーデータ)である。
【0046】
S103において、比較部22(指令信号出力部)は、第1記憶部21Sが記憶した「バックエコーB」(第1エコーデータ)と予め設定されている基準値JLとを比較する。そのイメージを図5に示している。比較部22(指令信号出力部)は、第1記憶部21Sに記憶された「バックエコーB」(第1エコーデータ)と基準値JL(図示していないメモリに記憶されている)とを比較する。その比較方法として、例えば、比較部22(指令信号出力部)は、図5に示すようにバックエコーBの「バックエコー高さBE」と、基準値JLとを比較する。比較部22は、その比較結果に基づいて、第2記憶部21Hが記憶した欠陥部エコーF(第2エコーデータ)を有効とする処理を指令する「有効指令信号JS」と無効とする処理を指令する「無効指令信号JS」とのいずれかを生成して出力する。具体例としては、比較部22は、「バックエコー高さBE」が基準値JLの70%未満の場合には無効指令信号JSを生成して出力し、70%以上の場合は有効指令信号JSを生成して出力する。
【0047】
S104において、判定部23(処理実行部)は、有効指令信号を入力した場合には第2記憶部21Hが記憶した欠陥部エコーF(第2エコーデータ)を有効とする。一方、判定部23は、無効指令信号を入力した場合には第2記憶部21Hが記憶した欠陥部エコーF(第2エコーデータ)を無効とする。判定部23(処理実行部)は、欠陥部エコーF(第2エコーデータ)を有効とした場合には出力部20Hにこれらを出力する(図3の出力FV)。
【0048】
図7は、SH波振動子11Tにより検出された第2エコーデータの補正処理を実行する場合のデータ処理部の構成を示す図である。超音波探傷装置100は、先の図2に示す構成と同一である。図7は、データ処理部が、接触検知振動子12Tで得られる第1エコーデータにより、SH波振動子11Tで得られるエコーデータの感度を補正する構成である。
【0049】
図7に示すように、検知側データ処理部19Sは、第1エコーデータを記憶する第1記憶部21Sと、基準値JLと「バックエコー高さBE」とを比較し、比較結果に基づき補正指令信号JCを出力する補正量演算部22(指令信号出力部)とを備える。また、SH側データ処理部19Hは、第2エコーデータを記憶する第2記憶部21Hと、補正量演算部24から補正指令信号JCを入力し、入力した補正指令信号JCにしたがって、第2記憶部が記憶した第2エコーデータに補正処理を実行する補正部25(処理実行部)とを備える。
【0050】
図7において、SH側データ処理部19Hは、SH波振動子11Tで検出される欠陥2からの「欠陥部エコーB」(第2エコーデータ)を保存する第2記憶部21Hと補正部25とを有している。一方、検知側データ処理部19Sは、接触検知振動子12Tで検出される試験体1からのバックエコーB(第1エコーデータ)を保存する第1記憶部21Sと補正量演算部24とを有している。ここで第1記憶部21Sの出力である「バックエコー高さBE」は、補正量演算部24において補正係数である基準値JTと演算され、補正量を含む補正指令信号JCが出力される。補正部25においては、補正量を含む補正指令信号JCを入力し、入力した補正指令信号JCにしたがって、第2記憶部21Hに記憶した第2エコーデータに補正を施し、その結果を最終結果FNとしてSH側出力部20Hへ出力する。
【0051】
以上のデータ処理部の動作によって、探触子の接触不良などに起因する感度変動の影響を抑制することが可能となり、試験結果の信頼性の向上につながるものである。
【0052】
次に図8、及び前述の図5〜図7を用いて、上記で述べた第2エコーデータの補正処理をさらに詳しく説明する。以下では第2エコーデータを図6の欠陥部エコーFとしいる。
【0053】
S201において、S101の場合と同様に、第1記憶部21Sが図5に示すバックエコーB(第1エコーデータ)を入力して記憶する。
【0054】
S202において、S102の場合と同様に、第2記憶部21Hが、第2エコーデータである「欠陥部エコーF」を記憶する。
【0055】
S203において、補正量演算部24(指令信号出力部)は、第1記憶部21Sが記憶した「バックエコーB」(第1エコーデータ)と予め設定されている基準値JT(例えば図示しないメモリから読みこむ)とを比較する。その比較方法としてはS103と同様に、補正量演算部24は、図5に示すようにバックエコーBの「バックエコー高さBE」と、基準値JTとを比較する。補正量演算部24は、その比較結果に基づいて、第2記憶部21Hが記憶した「欠陥部エコーデータ」(第2エコーデータ)の補正を指令する補正指令信号JCを生成して出力する。具体例としては、補正量演算部24は「バックエコー高さBE」と基準値JTとの比率を計算する。その計算の結果、「バックエコー高さBE」が基準値JTの50%である場合には、第2記憶部21Hが記憶する第2エコーデータの値(大きさ)を2倍にする指示を内容とする補正指令信号JCを生成して出力する。
【0056】
S204において、補正部25は、補正指令信号JCを入力した場合には、入力した補正指令信号JCにしたがって、第2記憶部21Hが記憶した欠陥部エコーF(第2エコーデータ)を補正する。前記の例で説明すれば、補正部25は、第2記憶部21Hが記憶している欠陥部エコーF(第2エコーデータ)の値(大きさ)を2倍にする指示を内容とする補正指令信号JCを入力した場合には、第2記憶部21Hが記憶している欠陥部エコー高さFEを2倍にする補正を実行する。補正部25は、補正後のデータを出力部20に出力する(図7のFN)。
【0057】
以上ではデータの採否、データの補正について説明したがこれは一例である。図3に示した比較部22は、第1記憶部21Sが記憶した第1エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理の実行を指令する指令信号を生成して出力する機能を有するものである。そして、判定部23は、比較部22が出力した指令信号を入力し、入力した指令信号にしたがって、第2記憶部21Hが記憶した検出エコーデータに所定の処理を実行する機能を有するものである。
【0058】
なお図9は、図2に示した探傷装置本体15に対して、検知側送受信部16S、SH側送受信部16H等を送受信部16として、送受信部、増幅部、データ処理部および出力部に関し、SH波振動子11T用と接触検知振動子12T用との間で、切換部14により、一つまたは複数の部分を共用化するために時間的に切り替えて使用するようにした構成である。超音波探傷装置100では、SH波振動子11Tによるデータ採取と接触検知振動子12Tによるデータ採取は必ずしも完全同時である必要はないことから、データ処理部に記憶機能を持たせることで各部を時分割で切り替えながら使用する構成としたものである。図9において、制御部26は、切換部14や送受信部16やデータ処理部19を制御する。制御部26が切換部14の端子1、端子2を切り替える。制御部26は、切換部14のいずれかの端子に切り替えた後、送受信部16に送信パルスを送信させる。この送信パルスにより対応する振動子が超音波を発する。振動子がエコーを検出した後の動作は、図2、図3、図7等における説明と同様である。
【0059】
また図10は、図2に対して、複合探触子13をSH波探触子11と接触検知探触子12とから構成した場合を示している。すなわち、図2(あるいは図1)では、複合探触子13は、一つのケースに収められていたが、これに限らず、図10のように複合探触子13は、SH波探触子11と接触検知探触子12とを固着して構成しても構わない。
【0060】
このように実施の形態1の超音波探傷装置100は、判定部23が、検出したデータの採否を判定するので、精度の高い測定結果を得ることができる。
【0061】
また、実施の形態1の超音波探傷装置100は、補正部25が、検出したデータの補正処理を行なうので、安定した性能で検査することができる。
【0062】
実施の形態1の超音波探傷装置100により、簡易な手段によって保温材などで覆われた部分の探傷検査にも適用することができ、試験体の一点から一定の長さ方向の距離を安定した性能で容易に検査することのできる超音波探傷装置を提供することが可能となる。
【0063】
実施の形態2.
図11、図12を用いて実施の形態2を説明する。実施の形態2は、実施の形態1の超音波探傷装置100の動作を、プログラム及びプログラムを記録した記録媒体により実施する実施形態である。
【0064】
前記の実施の形態1においては、超音波探傷装置100における「〜部」として示した各構成要素の動作は互いに関連しており、動作の関連を考慮しながら、コンピュータである超音波探傷装置100に実施させる一連の処理(プログラム)に置き換えることができる。各構成要素の動作を一連の処理に置き換えることにより、超音波探傷プログラムの実施形態とすることができる。また、この超音波探傷プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させることで、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の実施の形態とすることができる。
【0065】
図11は、図3に示したデータ処理部の動作をコンピュータである超音波探傷装置100に実施させるための一連の処理に置き換えて超音波探傷プログラムの実施形態としたフローチャートを示す。
【0066】
なお、コンピュータである超音波探傷装置は、後述する図12に示すように、接触検知振動子12TとSH波振動子11Tとを有する複合探触子13と、第1記憶部(RAM812、あるいはフラッシュメモリ820)と、第2記憶部(RAM812、あるいはフラッシュメモリ820)とを備えている。
【0067】
図11に示すように、
(1)S301は、接触検知振動子12T(第1振動子)が検出したエコーに対応する第1エコーデータを第1記憶部に記憶する処理である。
(2)S302は、SH波振動子11T(第2振動子)が検出したエコーに対応する第2エコーデータを第2記憶部に記憶する処理である。
(3)S303は、第1記憶部に記憶された第1エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理を指令する指令信号を生成する処理である。
(4)S304は、第2記憶部に記憶された第2エコーデータに対して、生成された指令信号にしたがった所定の処理である。「所定の処理」とは、実施の形態1で述べたように、例えば第2エコーデータの採否判定や第2エコーデータに対する補正処理である。
【0068】
プログラムの実施の形態及びプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の実施の形態は、すべてコンピュータで動作可能なプログラムにより構成することができる。
【0069】
図12は、コンピュータである超音波探傷装置100のハードウェア構成図である。図12において、コンピュータである超音波探傷装置100は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)810を備えている。CPU810は、バス825を介してROM811、RAM812、液晶ディスプレイなどの表示813、操作キー814、複合探触子13、プリンタ装置815、及びフラッシュメモリ820と接続されている。
【0070】
フラッシュメモリ820には、オペレーティングシステム(OS)821、プログラム群823、ファイル群824が記憶されている。プログラム群823は、CPU810、OS821により実行される。
【0071】
上記プログラム群823には、実施の形態1の説明において「〜部」として説明した機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU810により読み出され実行される。
【0072】
また、ファイル群824には接触検知振動子12TやSH波振動子11Tが検出したエコーデータがファイルとして記憶される。
【0073】
例えば図2において「〜部」として説明したものは、ROM811に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0074】
プログラムの実施の形態及びプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の実施の形態における各処理は、プログラムで実行されるが、このプログラムは、前述のようにプログラム群823に記録されている。そして、プログラム群823からCPU810に読み込まれ、CPU810によって、プログラムの各処理が実行される。また、ソフトウェア、あるいはプログラムは、ROM811に記憶されたファームウェアで実行されても構わない。あるいは、ソフトウェアとファームウェアとハードウェアの組み合わせでプログラムを実行しても構わない。
【0075】
このように実施の形態2の超音波探傷プログラムにより、超音波探触子と試験体表面との接触状況が良好でない場合であっても、安定した検査が可能となる超音波探傷装置を提供することができる。
【0076】
以上のように超音波探傷装置100は、超音波であるせん断水平波を送受信することのできるSH波振動子11Tと、試験体表面に超音波を照射し試験体からの反射エコーを検出する接触検知振動子12Tと、それぞれの振動子に送信パルスを与えるとともに検出した超音波エコー信号を受信する送受信部と、受信信号を増幅する増幅部と、増幅した受信信号を記憶したり判断処理するデータ処理部と、処理結果を外部に提示する出力部とから成るとともに、SH波振動子11Tを備えるSH波探触子11と接触検知振動子12Tを備える接触検知探触子12とを機構的に一体化し、両振動子が共に試験体表面に接触するようにしたことを特徴とする。よって、この超音波探傷装置100に従えば、接触検知振動子12Tの出力を監視することによって、SH波振動子11Tの試験体への音響結合状況を知ることができるため、SH波振動子11Tで得られる検査データの有効性を確認しながら探傷することが可能となる。
【0077】
また超音波探傷装置100は、超音波であるせん断水平波を送受信することのできるSH波振動子11Tと、試験体表面に超音波を照射し試験体からの反射エコーを検出する接触検知振動子12Tと、それぞれの振動子に送信パルスを与えるとともに検出した超音波エコー信号を受信する送受信部と、受信信号を増幅する増幅部と、増幅した受信信号を記憶したり判断処理するデータ処理部と、処理結果を外部に提示する出力部とから成るとともに、SH波振動子11Tと接触検知振動子12Tとが同じケースに収納され、一つの複合探触子として構成されていることを特徴とする。よって、この超音波探傷装置100に従えば、コンパクトな複合探触子により接触検知振動子の出力を監視することによって、SH波振動子の試験体への音響結合状況を知ることができるため、SH波振動子で得られる検査データの有効性を確認しながら探傷することが可能となる。
【0078】
また超音波探傷装置100は、
接触検知振動子12Tのデータ処理部で得られる試験体からのエコー高さによって、SH波振動子11Tのデータ処理部で得られる試験体の検査データの有効/無効を自動的に判断するようにしたことを特徴とする。よって、この超音波探傷装置100に従えば、SH波振動子11Tで得られる検査データの有効性が自動的に判断されるようになるため、検査ミスの無い安定した探傷結果が得られるものである。
【0079】
また超音波探傷装置100は、接触検知振動子12Tのデータ処理部で得られる試験体からのエコー高さによって、SH波探触子のデータ処理部で得られる試験体の検査データの感度に自動的に補正を加えるようにしたことを特徴とする超音波探傷装置である。よって、この超音波探傷装置100に従えば、接触検知探触子で得られるデータによりSH波振動子11Tで得られる検査データに自動的に補正が加えられるようになる。このため、SH波振動子11Tと試験体表面との音響結合状況の影響による変動を最小限に抑えることができ、安定した探傷結果が得られるものである。
【0080】
また超音波探傷装置100は、送受信部、増幅部、データ処理部および出力部に関し、SH波振動子11T用と接触検知振動子12T用との間で、一つまたは複数の部分を共用化するために時間的に切り替えて使用するようにしたことを特徴とする。よって、この超音波探傷装置100に従えば、SH波振動子11Tによるデータ採取と接触検知振動子12Tによるデータ採取は必ずしも完全同時である必要はないことから、データ処理部に記憶機能を持たせることで各部を時分割で切り替えながら使用することが可能となり、コンパクトで安価な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】実施の形態1における超音波探傷装置の概略構成を示す図。
【図2】実施の形態1における超音波探傷装置の内部構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態1におけるデータ処理部の内部構成を示すブロック図。
【図4】図3のデータ処理部の動作を示すフローチャート。
【図5】実施の形態1における接触検知探触子の出力エコー波形の一例を示す図。
【図6】実施の形態1におけるSH波探触子の出力エコー波形の一例を示す図。
【図7】実施の形態1における補正処理を行うデータ処理部のブロック図。
【図8】図7のデータ処理部の動作を示すフローチャート。
【図9】実施の形態1における超音波探傷装置の内部構成を示すブロック図。
【図10】実施の形態1における別の例の複合探触子を備えた超音波探傷装置の例。
【図11】実施の形態2における超音波探傷プログラムの処理を示すフローチャート。
【図12】実施の形態2における超音波探傷装置のハードウェア構成。
【図13】従来におけるSH波探触子に関する周囲温度と伝達効率の関係を示す図。
【図14】従来におけるSH波探触子に関する媒質厚さと伝達効率の関係を示す図。
【図15】従来におけるSH波探触子に関する表面粗さと伝達効率の関係を示す図。
【符号の説明】
【0082】
100 超音波探傷装置、1 試験体、2 欠陥、3 試験体を覆う被覆体、4 接触媒質、5 接触検知超音波ビーム、6 SH超音波ビーム、11 SH波探触子、11T SH波振動子、12 接触検知探触子、12T 接触検知振動子、13 複合探触子、14 切換部、15 探傷装置本体、16 送受信部、16H SH側送受信部、16S 検知側送受信部、17 増幅部、17H SH側増幅部、17S 検知側増幅部、19 データ処理部、19H SH側データ処理部、19S 検知側データ処理部、20 出力部、20H SH側出力部、20S 検知側出力部、21H 第2記憶部、21S 第1記憶部、22 比較部、23 判定部、24 補正量演算部、25 補正部、26 制御部、30 接続ケーブル、TH 送信パルス、S 表面エコー、B バックエコー、BE バックエコー高さ、JL 基準値、TS 送信パルス、F 欠陥部エコー、FE 欠陥部エコー高さ、JS 有効/無効指令信号、JT 基準値、JC 補正指令信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に超音波を発して欠陥を検出する超音波探傷装置において、
前記対象物の表面に接触して使用する複合探触子であって前記対象物に向けて超音波を発してエコーを検出する第1振動子と前記対象物に向けて超音波であるせん断水平波を発してエコーを検出する第2振動子とを有する複合探触子と、
前記第1振動子が検出したエコーに対応する第1エコーデータを記憶する第1記憶部と、
前記第2振動子が検出したエコーに対応する第2エコーデータを記憶する第2記憶部と、
前記第1記憶部が記憶した第1エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理を指令する指令信号を生成して出力する指令信号出力部と、
前記指令信号出力部が出力した指令信号を入力し、入力した指令信号にしたがって、前記第2記憶部が記憶した第2エコーデータに所定の処理を実行する処理実行部と
を備えたことを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項2】
前記指令信号出力部は、
前記第1記憶部が記憶した第1エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記第2記憶部が記憶した第2エコーデータを有効とする処理を指令する有効指令信号と無効とする処理を指令する無効指令信号とのいずれかを生成して出力し、
前記処理実行部は、
有効指令信号を入力した場合には前記第2記憶部が記憶した第2エコーデータを有効とし、無効指令信号を入力した場合には前記第2記憶部が記憶した第2エコーデータを無効とすることを特徴とする請求項1記載の超音波探傷装置。
【請求項3】
前記指令信号出力部は、
前記第1記憶部が記憶した第1エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、前記第2記憶部が記憶した第2エコーデータの補正処理を指令する補正指令信号を生成して出力し、
前記処理実行部は、
補正指令信号を入力した場合には、前記第2エコーデータ記憶部が記憶した第2エコーデータを補正することを特徴とする請求項1記載の超音波探傷装置。
【請求項4】
前記第1振動子は、
横波の超音波を発することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の超音波探傷装置。
【請求項5】
超音波探傷検査の対象となる対象物の表面に接触して使用する複合探触子であって前記対象物の表面に向けて超音波を発してエコーを検出する第1振動子と前記対象物に向けて超音波であるせん断水平波を発してエコーを検出する第2振動子とを有する複合探触子と、データを記憶する第1記憶部と、データを記憶する第2記憶部とを備えたコンピュータである超音波探傷装置に以下の処理を実行させることを特徴とする超音波探傷プログラム
(1)前記第1振動子が検出したエコーに対応する第1エコーデータを前記第1記憶部に記憶する処理
(2)前記第2振動子が検出したエコーに対応する第2エコーデータを前記第2記憶部に記憶する処理
(3)前記第1記憶部に記憶された第1エコーデータを予め設定されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、所定の処理を指令する指令信号を生成する処理
(4)前記第2記憶部に記憶された第2エコーデータに対して、生成された指令信号にしたがった所定の処理

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−232622(P2008−232622A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67925(P2007−67925)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(392036153)菱電湘南エレクトロニクス株式会社 (13)
【Fターム(参考)】