説明

超音波探触子および超音波診断装置

【課題】圧電セラミクスを用いる超音波探触子において、有機圧電体を積層し、この有機圧電体を音響整合層として用いると共に高調波の受信を行なう場合に、有機圧電体の共振能が低下することなく、高調波の受信を行なうことができ、受信信号の帯域を広げることができる超音波探触子を提供する。
【解決手段】無機圧電体の間隙および音響整合層の間隙を充填する、有機圧電体よりも音響インピーダンスが低い有機材料で形成された溝充填部材と、有機圧電体の上に形成される共通電極、および、前記共通電極と共に前記有機圧電体を挟んで配置される個別電極とを有し、個別電極が、無機圧電体の配列方向に分割されて配列されるものであり、かつ、少なくとも溝充填部材を覆って形成されることにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置において超音波を送受信するために用いられる超音波探触子およびこれを用いる超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、超音波画像を利用した超音波診断装置が実用化されている。一般に、この種の超音波診断装置は、振動子アレイを内蔵した超音波探触子(超音波プローブ)と、この超音波探触子に接続された装置本体とを有しており、超音波探触子から被検体に向けて超音波を送信し、被検体からの超音波エコーを超音波探触子で受信して、その受信信号を装置本体で電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
【0003】
超音波探触子において、超音波を送受信する超音波トランスデューサとしては、圧電効果を発現する材料(圧電体)の両面に電極を形成した振動子が一般的に用いられている。
圧電体としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミクスや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子等が用いられる。
このような振動子の電極に、パルス状又は連続波の電圧を印加すると、圧電体が伸縮する。この伸縮により、それぞれの振動子からパルス状又は連続波の超音波が発生し、それらの超音波の合成によって超音波ビームが形成される。また、振動子は、伝搬する超音波を受信することによって伸縮し、電気信号を発生する。この電気信号は、超音波の受信信号として用いられる。
【0004】
ここで、超音波探触子に用いられる圧電セラミクスと、被検体(生体)とは、音響インピーダンスの差が大きく、振動子と被検体との境界面で超音波ビームが反射してしまい、振動子から発せられた超音波ビームを、被検体内に効率良く伝搬させることができない。そのため、超音波探触子においては、圧電セラミクスの上に、圧電セラミクスと被検体との間の音響インピーダンスを有する音響整合層を積層し、音響インピーダンスのマッチングを行なって、境界での超音波ビームの反射を低減することが行なわれている。
【0005】
超音波診断において、高精細な画像を得るためには、高い空間分解能で計測が可能な、高い周波数の超音波を用いる必要がある。しかしながら、被検体の深い部位を計測する場合に、高い周波数の超音波を用いると、超音波が減衰してしまい、受信感度が十分に得られない。そのため、深い部位を計測するためには、低い周波数の超音波を用いる必要があり、高精細な画像を得ることができない。
したがって、単一の探触子で、被検体の浅い部位と深い部位とから同時に良好な信号を計測することは困難であった。そのため、被検体の浅い部位と深い部位とで探触子を使い分けて、それぞれの画像を得る方法が行なわれている。
【0006】
被検体の浅い部位と深い部位とで探触子を使い分ける場合、これらの探触子を被検体の全く同じ位置に当てて、同一部位の画像を得ることは困難であり、また、全く同じ位置に当てることができたとしても、被検体が生体であれば、生体内の臓器や組織が動くため、時間的に同一の画像を得ることは困難であり、また、検査効率も悪くなるという問題があった。
【0007】
そのため、単一の探触子で、被検体の浅い部位と深い部位とから同時に良好な信号を計測するために、振動子の受信帯域を広く(広帯域化)する方法が種々提案されている。
探触子の広帯域化は、高調波を用いたイメージング(ハーモニックイメージング)技法を活用することで高分解能とすることにつながるが、圧電セラミクスを用いる1つの振動子を広帯域化すると感度が低下してしまう。
そこで、圧電セラミクスを用いる探触子において、圧電セラミクスの上に積層する音響整合層として、圧電セラミクスよりも音響インピーダンスの低い有機圧電体を用いて、この有機圧電体が、音響整合層として機能すると共に、高調波の受信を行なうことにより、受信信号の帯域を広げることが行なわれている。
【0008】
例えば、特許文献1には、凹面を有する基台と、該凹面に積層される圧電セラミクス材料および有機圧電材料の複合膜と、該複合膜に積層された有機圧電膜と、を有する超音波プローブが記載されている。
また、特許文献2には、両面に電極を有する第1圧電素子(無機圧電素子)が2次元状に配列された第1圧電素子アレイと、第1圧電素子アレイに積層して配置され、第1圧電素子アレイと反対側の面に第1電極を有し、第1圧電素子アレイ側の面に第2電極を有する第2圧電素子(有機圧電素子)が2次元状に配列された第2圧電素子アレイと、配列された第1圧電素子の間に備えられた音響分離部とを有し、音響分離部を貫通して第2電極に接続され、音響分離部の音響インピーダンスに略等しい音響インピーダンスを有する導電性部材からなる信号線とを有する超音波探触子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−215094号公報
【特許文献2】特開2010−136807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のとおり、特許文献1のように、圧電セラミクスと有機圧電体との複合膜の上に有機圧電体を積層する場合や、特許文献2のように、圧電セラミクスの上に積層した音響整合層の上に、有機圧電体を積層する場合は、有機圧電体は音響整合層としても機能する。そのため、有機圧電体の下(送受信面とは反対側)の層の音響インピーダンスは、有機圧電体の音響インピーダンスよりも大きい。ところが、有機圧電体の下の層の音響インピーダンスが、有機圧電体の音響インピーダンスよりも大きいと、有機圧電体の共振能が低下してしまい、感度低下を招いてしまう。
【0011】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、圧電セラミクスを用いる超音波探触子において、有機圧電体を積層し、この有機圧電体を音響整合層として用いると共に高調波の受信を行なう場合に、有機圧電体の共振能が低下することなく、高調波の受信を行なうことができ、受信信号の帯域を広げることができる超音波探触子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、間隙を有して一次元的に配列されたセラミクス製の無機圧電体と、前記無機圧電体の上に積層される、前記無機圧電体と同様に配列された音響整合層と、前記音響整合層の上に積層される有機圧電体と、前記無機圧電体の間隙および前記音響整合層の間隙を充填する、有機圧電体よりも音響インピーダンスが低い有機材料で形成された溝充填部材と、前記有機圧電体の上に形成される共通電極、および、前記共通電極と共に前記有機圧電体を挟んで配置される個別電極とを有し、さらに、前記個別電極は、前記無機圧電体の配列方向に分割されて配列されるものであり、かつ、少なくとも前記溝充填部材の全面を覆って形成されることを特徴とする超音波探触子を提供する。
【0013】
ここで、前記溝充填部材が、有機材料に、この有機材料よりも密度が小さい微粒子を分散させたものであることが好ましい。
また、前記有機材料よりも密度が小さい微粒子が、ガラスバルーンであることが好ましい。
また、前記有機材料が、シリコーン樹脂を含むことが好ましい。
また、前記有機圧電体が、前記音響整合層を覆うことが好ましい。
【0014】
また、前記目的を達成するために、本発明は、間隙を有して一次元的に配列されたセラミクス製の無機圧電体と、前記無機圧電体の上に積層される、前記無機圧電体と同様に配列された音響整合層と、前記音響整合層の上に積層される有機圧電体と、前記有機圧電体の上に形成される共通電極、および、前記共通電極と共に前記有機圧電体を挟んで配置される個別電極とを有し、さらに、前記個別電極は、前記無機圧電体の配列方向に分割されて配列されるものであり、かつ、配列された前記音響整合層の間隙を覆うように配置されることを特徴とする超音波探触子を提供する。
【0015】
また、前記有機圧電体が超音波エコーを受けて発生した電位変化を、静電容量を有するケーブルを介することなく、受信増幅器に入力することが好ましい。
また、前記目的を達成するために、本発明は、上記超音波探触子を有する超音波診断装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
上記構成を有する本発明の超音波探触子によれば、間隙を有して配列されたセラミクス製の無機圧電体と、無機圧電体の上に、無機圧電体と同様に配列された音響整合層と、音響整合層の上に積層される有機圧電体と、無機圧電体の間隙および音響整合層の間隙を充填する有機材料で形成された、有機圧電体よりも音響インピーダンスが低い有機材料で形成された溝充填部材と、有機圧電体を挟む共通電極および個別電極と、を有し、音響整合層側の個別電極が、無機圧電体の配列方向に分割されて配列され、かつ、少なくとも溝充填部材を覆って形成されるので、有機圧電体が高調波の受信を行なう場合であっても、有機圧電体の共振能が低下することなく、高調波の受信を行なうことができ、受信信号の帯域を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の超音波探触子を用いる超音波診断装置の一例を概念的に示す図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の超音波探触子の内部構造を模式的に示す斜視図である。
【図4】(A)は、図3に示す超音波探触子の一部を拡大した正面図であり、(B)は、図3に示す超音波探触子の上面図である。
【図5】超音波探触子の他の一例の一部を拡大して示す概略図である。
【図6】(A)〜(C)は、実験用の素子の構成を示す概略図である。
【図7】(A)は、周波数と電気インピーダンスとの関係を示すグラフであり、(B)は、周波数と位相との関係を示すグラフである。
【図8】(A)は、周波数と電気インピーダンスとの関係を示すグラフであり、(B)は、周波数と位相との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の超音波探触子について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の超音波探触子を用いる超音波診断装置の一例を概念的に示す図であり、図2は、図1に示す超音波診断装置40の構成を概念的に示すブロック図である。
なお、図示例の超音波診断装置40は、有機圧電体を挟んで配置される1対の電極の音響整合層側の個別電極が、無機圧電体の間隙および音響整合層の間隙に形成される溝充填部材を覆って形成された超音波探触子を有する以外は、基本的に、公知の超音波診断装置である。
超音波診断装置40は、超音波探触子10を有するプローブ本体42と、このプローブ本体42が通信ケーブル44を介して接続される診断装置本体46とを有する。
【0020】
プローブ本体42は、超音波探触子10と、超音波探触子10の複数の第1電極24にそれぞれ対応して接続される複数の第1受信信号処理部48と、超音波探触子10の複数の個別電極28にそれぞれ対応して接続される複数の第2受信信号処理部50と、第1電極24に接続される送信駆動部52と、第1受信信号処理部48、第2受信信号処理部50および送信駆動部52を制御するプローブ制御部54とを有する。
また、第1受信信号処理部48は診断装置本体46の第1データ格納部56に、第2受信信号処理部50は第2データ格納部58に、プローブ制御部54は本体制御部64に、通信ケーブル44を介して、それぞれ接続されている。
【0021】
図3は、超音波探触子10の内部構造を模式的に示す斜視図であり、図4(A)は、図3に示す超音波探触子10の一部を拡大した正面図であり、図4(B)は、図3に示す超音波探触子10の上面図である。なお、図4(B)においては、超音波探触子10の内部構造を示すため、aで示す領域では、音響レンズ20および共通電極30の図示を省略し、bで示す領域では、さらに、有機圧電体18および個別電極28の図示を省略している。この超音波探触子10は、被検体に当接して体腔外走査を行う際に、又は、被検体の体腔内に挿入して体腔内走査を行う際に用いられる。
【0022】
図3に示す超音波探触子10は、バッキング材12と、バッキング材12の上に配列され積層される複数の無機圧電体14と、無機圧電体14の上に積層される音響整合層16と、無機圧電体14の間隙および音響整合層16の間隙に充填される溝充填部材22と、音響整合層16および溝充填部材22の上に積層される有機圧電体18と、有機圧電体18の上に積層される音響レンズ20と、無機圧電体14を挟んで配置される電極対を構成する第1電極24および第2電極26と、有機圧電体18を挟んで配置される電極対を構成する個別電極28および共通電極30とを有している。
【0023】
バッキング材12は、例えば、フェライト粉や金属粉やPZT粉入りのエポキシ樹脂や、フェライト粉入りのゴムのように、音響減衰の大きい材料によって形成されており、無機圧電体14から発生する不要な超音波の減衰を早めるものである。
【0024】
無機圧電体14は、セラミクス等の無機圧電材料で構成され、診断装置本体44から供給される駆動信号に基づいて超音波を発生し、また、被検体から伝播する超音波エコーを受信することにより、受信した超音波エコーの強さに応じた電気信号を発生するものである。無機圧電体14は、アジマス方向(図中X方向)に、間隙を有して一次元的に複数配列されて、バッキング材12上に積層されている。アジマス方向の無機圧電体14の長さと間隙の長さとの比は3:1程度である。
【0025】
無機圧電体14の材料としては圧電セラミクスが用いられる。圧電セラミクスは、電気・機械エネルギー変換能力が高いので、体内の深部まで到達可能な強力な超音波を発生することができ、また、受信感度も高い。具体的な材料としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(Ti,Zr)O3)や、同様のペロブスカイト系結晶構造を有する変成組成の材料や、一般にリラクサ系材料と呼ばれている材料等を用いることができる。
無機圧電体14としてPZTを用いる場合は、無機圧電体14の音響インピーダンスは、30〜34Mraylである。
【0026】
無機圧電体14のバッキング材12側の面およびこれに対向する面には、それぞれ第1電極24および第2電極26が形成されている。無機圧電体14と第1電極24および第2電極26とで無機圧電素子を形成している。図示例においては、第1電極24は、送信駆動部52と第1受信信号処理部48とに切り替え可能に接続され、第2電極は接地されている。第1電極24および第2電極26は、一対の電極対を形成しており、超音波の送信時には、第1電極24が送信駆動部52と接続され、超音波の送信信号が供給される。また、超音波の受信時には、第1電極24が受信信号処理部48に接続され、無機圧電体14が超音波エコーを受信することにより発生した電気信号を取得し、受信信号処理部48に供給する。
【0027】
音響整合層16は、無機圧電体14と有機圧電体18との間の音響インピーダンスの整合(マッチング)を図るための部材であり、無機圧電体14上に、無機圧電体14と同様に間隙を有して複数配列されて積層されている。音響整合層16は、無機圧電体14と、後述する有機圧電体18との間の音響インピーダンスを有する。
音響整合層16の材料としては、無機圧電体14と有機圧電体18との間の音響インピーダンスの整合を図ることができる種々の公知の材料が利用可能である。
【0028】
溝充填部材22は、無機圧電体14の間隙および音響整合層16の間隙に形成され、複数の無機圧電体14の間で相互に音が伝搬し、干渉しないように、個々の無機圧電体14を分離するためのものである。溝充填部材22は、個々の無機圧電体14の間での音の伝搬を分離するために、無機圧電体14および音響整合層16よりも低い音響インピーダンスを有する。
また、溝充填部材22は、後述する有機圧電体18の下面に形成された個別電極28の下層に形成されており、有機圧電体18よりも低い音響インピーダンスを有し、有機圧電体18に対するバッキング材としての機能も有する。この点に関しては後に詳述する。
【0029】
溝充填部材22の材料としては、有機圧電体18よりも低い音響インピーダンスとすることができる種々の公知の材料が利用可能である。例えば、シリコーン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂を用いることができる。
また、樹脂に、ガラスバルーン等の、この樹脂よりも密度が小さい微粒子を分散させることが好ましい。樹脂に密度が小さい微粒子を分散させることにより、音響インピーダンスをより小さくすることができる。
【0030】
有機圧電体18は、音響整合層16と音響レンズ20との間の音響インピーダンスの整合を図ると共に、被検体から伝搬する超音波エコーの高調波を受信することにより電気信号を発生するものである。有機圧電体18は、音響整合層16上に積層されている。
有機圧電体18の材料としては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の有機圧電材料が用いられる。また、有機圧電体18の音響インピーダンスは、音響整合層16よりも小さく、溝充填部材22および音響レンズ20よりも大きい。PVDFを有機圧電体18として用いる場合は、有機圧電体18の音響インピーダンスは、3〜4Mraylである。
【0031】
有機圧電体18は、音響整合層16よりも大きく、音響レンズ20よりも小さい音響インピーダンスを有することにより、音響整合層16と音響レンズ20との間の音響インピーダンスの整合を図る音響整合層として機能する。
【0032】
また、有機圧電体18は、ハーモニックイメージング技法を用いて超音波画像を生成する際に、被検体から伝搬する超音波エコーの高調波を受信する素子として機能する。そのため、有機圧電体18の音響整合層16側の面には、個別電極28が形成され、反対側の面には共通電極30が形成されている。図4(A)および(B)に示すように、個別電極28は、X方向に、間隙を有して一次元的に複数配列されており、各個別電極28は、対応する溝充填部材22の全面および音響整合層16の一部を覆うように配置されている。一方、共通電極30は、有機圧電体18の全体に亘って一様に形成されている。各個別電極28は、それぞれ受信信号処理部48に接続され、共通電極30は、接地されている。超音波の受信時には、個別電極28は、有機圧電体18が超音波エコーの高調波を受信することにより発生した電気信号を取得し、受信信号処理部48に供給する。
【0033】
PVDF等の有機圧電材料で構成される有機圧電体18は、横方向(X方向)の振動結合が小さく、音が伝搬しにくいため、個別電極28が配置された部分が超音波エコーを受信する素子として機能する。従って、個別電極28を、間隙を有して複数配列することにより、有機圧電体18を複数の素子として分離することができ、個別電極28が配置された領域の有機圧電体18と個別電極28と共通電極30とが有機圧電素子を形成する。
【0034】
このように、本発明の超音波探触子は、間隙を有して配列されたセラミクス製の無機圧電体14と、無機圧電体14の上に、無機圧電体14と同様に配列された音響整合層16と、音響整合層16の上に積層される有機圧電体18と、無機圧電体14の間隙および音響整合層16の間隙を充填する、有機圧電体18よりも音響インピーダンスが低い有機材料で形成された溝充填部材22と、有機圧電体18を挟む共通電極30および個別電極28とを有し、音響整合層16側の個別電極28が、無機圧電体14の配列方向に分割されて配列され、かつ、少なくとも溝充填部材22を覆って形成されているので、超音波探触子10において、セラミクス製の無機圧電体14に加えて、有機圧電体18を積層する構成とし、無機圧電体14が被検体に超音波ビームを送信し、有機圧電体18が超音波エコーの高調波を受信することにより、被検体の深い部分を計測する場合にも、超音波が減衰することなく、高い空間分解能で計測することができ、高精細な画像を得ることができる。
このとき、個別電極28を溝充填部材22の上に配置することにより、超音波エコーの高調波を受信する有機圧電素子としての有機圧電体18の下層が、有機圧電体18よりも音響インピーダンスが低い溝充填部材22であるので、溝充填部材22が有機圧電体18のバッキング材として機能し、有機圧電体18の共振能が低下することを防止できるので、有機圧電素子の感度が低下することを防止し、高感度で超音波エコーの高調波を受信することができ、受信信号の帯域を広げることができ、これにより、深い部位を計測する場合であっても高精細な画像を得ることができる。また、被検体の浅い部分と深い部分とで超音波探触子を使い分ける必要もない。
【0035】
ここで、図示例においては、個別電極28は、溝充填部材22の全面および音響整合層16の一部を覆うように配置されているが、本発明は、これに限定はされず、個別電極28が溝充填部材22のみを覆うように、個別電極28を形成してもよい。すなわち、本発明においては、溝充填部材22が無機圧電体14の間隙および音響整合層16の間隙に形成され、個別電極28が、この溝充填部材22の上面の全てを覆うように配置すれば、各種の構成が利用可能である。
なお、個別電極28のサイズは、大きいほど静電容量が大きくなる点で好ましいが、音響整合層16を覆う部分が大きくなるほど、個別電極28の下層の音響インピーダンスが大きくなり、有機圧電体18の共振能が低下するおそれがある。そのため、個別電極28のサイズは、超音波探触子10の構成、要求される性能等に応じて適宜、決定すればよい。
【0036】
また、図示例においては、有機圧電体18は、音響整合層16の全面を覆うように一体的に形成し、個別電極28のみを分離して配置する構成としたが、本発明はこれに限定はされず、有機圧電体を、X方向に、間隙を有して一次元的に複数配列する構成としてもよい。
【0037】
図5に、有機圧電体をX方向に間隙を有して一次元的に複数配列する構成とした本発明の超音波探触子の一例を示す。
なお、図5に示す超音波探触子100は、図4に示す超音波探触子10において、有機圧電体18に代えて、有機圧電体102および第2溝充填部材104を有する構成以外は、同じ構成を有するので、同じ部位には、同じ符号を付し、以下の説明は異なる部位を主に行なう。
【0038】
超音波探触子100は、バッキング材12と、バッキング材12の上に配列され積層される複数の無機圧電体14と、無機圧電体14の上に積層される音響整合層16と、無機圧電体14の間隙および音響整合層16の間隙に充填される溝充填部材22と、音響整合層16および溝充填部材22の上に積層される有機圧電体102と、有機圧電体102の間隙に充填される第2溝充填部材104と、無機圧電体14を挟んで配置される電極対を構成する第1電極24および第2電極26と、有機圧電体18を挟んで配置される電極対を構成する個別電極28および共通電極30とを有している。また、図示は省略しているが、超音波探触子10と同様、有機圧電体102の上には音響レンズ20が積層されている。
【0039】
有機圧電体102は、音響整合層16と音響レンズ20との間の音響インピーダンスの整合を図ると共に、被検体から伝搬する超音波エコーの高調波を受信することにより電気信号を発生するものである。有機圧電体102は、アジマス方向(X方向)に、間隙を有して一次元的に複数配列されて、音響整合層16および溝充填部材22上に積層されている。ここで、有機圧電体102は、有機圧電体102の音響整合層16側の面に形成される個別電極28が、溝充填部材22の全面および音響整合層16の一部を覆うように配置されている。
超音波の受信時には、有機圧電体102が超音波エコーの高調波を受信することにより発生した電気信号は、個別電極28を介して受信信号処理部48に供給される。
【0040】
第2溝充填部材104は、有機圧電体102の間隙に形成され、個々の有機圧電体102を分離するためのものである。第2溝充填部材104は、個々の有機圧電体102の間での音の伝搬を分離するために、有機圧電体102よりも低い音響インピーダンスを有することが好ましい。溝充填部材104の材料としては、例えば、シリコーン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂を用いることができる。
【0041】
このように、有機圧電体102を分離して形成した場合でも、有機圧電体102の音響整合層16側に形成される個別電極28が、溝充填部材22の全面を覆うように配列することにより、超音波エコーを受信する素子としての有機圧電体102の下層が、有機圧電体102よりも音響インピーダンスが低い溝充填部材22となり、溝充填部材22が有機圧電体102のバッキング材として機能するので、有機圧電体102の共振能が低下することを防止し、感度が低下することなく、高調波の受信を行なうことができ、受信信号の帯域を広げることができる。
【0042】
音響レンズ20は、例えば、シリコーンゴムによって形成されており、無機圧電体14から送信され、音響整合層16および有機圧電体18を伝播した超音波ビームを、被検体内の所定の深度において集束させる。
【0043】
送信駆動部52は、例えば、複数のパルサを含んでおり、プローブ制御部54によって選択された送信遅延パターンに基づいて、超音波探触子10から送信される超音波が被検体内の組織のエリアをカバーする幅広の超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号の遅延量を調節して複数の第1電極24に供給する。
【0044】
受信信号処理部48は、本体制御部64からの指示に応じて、プローブ制御部54の制御の下で、通常の超音波画像を撮像する場合には、第1電極24から出力される受信信号を取得し、ハーモニックイメージング技法による超音波画像を撮像する場合には、個別電極28から出力される受信信号を取得する。
各チャンネルの受信信号処理部48は、対応する第1電極24または個別電極28から出力される受信信号に対して直交検波処理又は直交サンプリング処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、複素ベースバンド信号をサンプリングすることにより、組織のエリアの情報を含むサンプルデータを生成する。受信信号処理部48は、複素ベースバンド信号をサンプリングして得られるデータに高能率符号化のためのデータ圧縮処理を施すことによりサンプルデータを生成してもよい。
【0045】
プローブ制御部54は、診断装置本体46から伝送される各種の制御信号に基づいて、プローブ本体42の各部の制御を行う。
ここで、プローブ制御部54は、本体制御部64から供給される制御信号に基づいて、通常の超音波画像の撮像の場合には、受信信号処理部48が第1電極24からの受信信号を取得するように、受信信号処理部48を制御し、ハーモニックイメージング技法による超音波画像の撮像の場合には、受信信号処理部48が個別電極28からの受信信号を取得するように、受信信号処理部48を制御する。
【0046】
次に診断装置本体46について説明する。
診断装置本体46は、通信ケーブル44を介して接続されるプローブ本体42に、超音波の送信の指示信号を送ると共に、プローブ本体42から伝送された超音波の受信データ(サンプルデータ)に基づいて、超音波画像を生成して、表示するものである。
なお、通信ケーブル44としては、静電容量を有さない(小さい)ケーブルを用いることが好ましい。有機圧電体18の静電容量は小さいため、ケーブルの静電容量が大きいと、受信電圧が降下して感度が低下してしまう。これに対して、静電容量を有さないケーブルを用いることで、シグナル感度が大幅に向上する。
【0047】
診断装置本体46は、データ格納部56を有し、データ格納部56に画像処理部60が接続されている。さらに、画像処理部60に表示部62が接続されている。画像処理部60および表示部62に本体制御部64が接続されている。さらに、本体制御部64には、オペレータが入力操作を行うための操作部66が接続されている。
【0048】
操作部66は、撮影メニュー、撮影条件などを設定し、被検体の撮像を指示する部位である。操作部66には、撮影メニュー、撮影条件などを設定するための入力キー、ダイヤルボタン、トラックボール、タッチパネル等の入力手段が設けられる。
また、本発明においては、操作部66は、通常の超音波画像の生成と、ハーモニックイメージング技法を用いた超音波画像の生成とのいずれかを指示するための入力を行なうためのものである。
【0049】
データ格納部56は、メモリまたはハードディスク等によって構成され、通信ケーブル44を介してプローブ本体42から伝送された少なくとも1フレーム分のサンプルデータを格納する。
【0050】
画像生成部60は、データ格納部56から読み出される1フレーム毎のサンプルデータに受信フォーカス処理等の必要な画像処理を施して、超音波診断画像を表す画像信号を生成する。画像生成部60は、生成した画像信号を表示部62に供給する。
【0051】
表示部62は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、画像生成部60によって生成される画像信号に基づいて、本体制御部64の指示の下で、超音波診断画像を表示する。
本体制御部64は、診断装置本体46内の各部の制御を行うものである。また、本体制御部64は、通信ケーブル44を介してプローブ本体42と接続されており、プローブ本体42の動作を制御する制御信号を供給する。
ここで、入力指示により、ハーモニックイメージング技法による超音波画像の生成が指示された場合には、その旨の信号をプローブ制御部54に供給する。
【0052】
次に、超音波診断装置40の動作について説明する。
まず、操作者は、通常の超音波画像の撮像か、ハーモニックイメージング技法による超音波画像の撮像かを操作部66に入力し、プローブ本体42を被検体の表面に当接する。この状態で、プローブ本体42の送信駆動部52から供給される駆動信号に従って無機圧電体14から超音波が送信され、被検体からの超音波エコーを受信した超音波探触子10から出力された受信信号が受信信号処理部48に供給されてサンプルデータが生成され、通信ケーブル44を介して診断装置本体46へ伝送されてデータ格納部56に格納される。このとき、通常の超音波画像の撮像の場合は、受信信号処理部48は、第1電極24(無機圧電体14)から出力される受信信号を取得し、ハーモニックイメージング技法による超音波画像の撮像の場合には、受信信号処理部48は、個別電極28(有機圧電体18)から出力される受信信号を取得し、サンプルデータを生成する。データ格納部56から1フレーム毎のサンプルデータが読み出され、画像生成部60で画像信号が生成され、この画像信号に基づいて超音波診断画像が表示部62に表示される。
【0053】
ここで、図示例の超音波探触子10においては、無機圧電体14の間隙および音響整合層16の間隙を、有機圧電体18よりも音響インピーダンスが低い有機材料で形成された溝充填部材22で充填する構成としたが、本発明は、これに限定はされず、無機圧電体14の間隙および音響整合層16の間隙に、溝充填部材22を配置せずに、空気を介在させる構成としてもよい。すなわち、有機圧電体(個別電極)のバッキング材を空気とすることにより、さらに有機圧電体の共振能が低下することを防止できるので、有機圧電素子の感度が低下することを防止できる。従って、高感度で超音波エコーの高調波を受信することができ、受信信号の帯域を広げることができ、これにより、深い部位を計測する場合であっても高精細な画像を得ることができる。
【参考例】
【0054】
以下、本発明の具体例を挙げて、本発明について、より詳細に説明する。
本参考例では、要素実験用の素子を作成して測定を行なうと共に、この要素実験用の素子に対応するモデルを作成して、シミュレーションを行なった。
【0055】
[参考例1]
図6(A)に、作成した要素実験用素子200の概略図を示す。
要素実験用素子200は、土台202と、中間層204と、有機圧電素子206とを有する。
【0056】
土台202は、略矩形状の板状部材で、材質は、ガラスエポキシで、音響インピーダンスは、6.9Mraylである。
中間層204は、土台202の一方の面に配置された部材で、材質は、シリコーンで、幅は20mm、長さは20mm、厚さは500μmで、音響インピーダンスは、1.2Mraylである。
有機圧電素子206は、中間層204の土台202とは反対側の面に配置された板状部材で、有機圧電体の両面に電極が形成されている。有機圧電体は、PVDFで、幅は、20mm、長さは20mm、厚さは240μmで、音響インピーダンスは、4.0Mraylである。
【0057】
また、要素実験用素子200に対して、超音波を送信する探触子として、Φ30mmのPZT探触子を用いた。PZT探触子が送信する超音波の中心周波数は、3.5MHzとした。
このような要素実験用素子200と、PZT探触子との間に水を介在させて、PZT探触子から超音波の送信を行ない、要素実験用素子200で超音波を受信し、インピーダンスアナライザー4294A(Agilent社製)を用いて、周波数と、電気インピーダンスおよび位相との関係を求めた。
なお、水の音響インピーダンスは、1.5Mraylである。
【0058】
また、要素実験用素子200と同様のモデルを作成し、シミュレーションにより周波数と、電気インピーダンスおよび位相との関係を算出した。
なお、シミュレーションにおいては、土台のガラスエポキシの音響インピーダンスを8Mraylとし、中間層のシリコーンの音響インピーダンスを1.2Mraylとし、有機圧電体のPVDFの音響インピーダンスを6.0Mraylとし、共振周波数を5MHzとし、圧電体の電気機械結合係数を0.25とし、キャパシタンスを40pFとしてシミュレーションを行なった。
【0059】
[参考例2]
参考例2として、図6(B)に示す要素実験用素子210を用いて測定を行なった。
要素実験用素子210は、土台212と、有機圧電素子206とを有する。
土台212は、有機圧電素子206が配置される領域に対応する領域が開口している以外は、土台202と同様の形状である。また、土台212の開口部の長さは20mmとし、有機圧電素子206の長さは24mmとした。すなわち、参考例2は、有機圧電素子の裏面側を空気層とした構成である。空気の音響インピーダンスは、0.0001Mraylである。このような参考例2において、周波数と、電気インピーダンスおよび位相との関係を求めた。
【0060】
また、参考例2においても、要素実験用素子210と同様のモデルを作成し、シミュレーションにより周波数と、電気インピーダンスおよび位相との関係を算出した。
なお、シミュレーションにおいては、空気の音響インピーダンスを0.01Mraylとし、それ以外は、参考例1のシミュレーションと同様の数値を用いた。
【0061】
[参考例3]
参考例3として、図6(C)に示す要素実験用素子220を用いて測定を行なった。
すなわち、中間層204を有さない構成とした以外は、参考例1と同様にして、周波数と、電気インピーダンスおよび位相との関係を求めた。
【0062】
また、参考例3においても、要素実験用素子220と同様のモデルを作成し、シミュレーションにより周波数と、電気インピーダンスおよび位相との関係を算出した。
なお、シミュレーションにおいては、参考例1のシミュレーションと同様の数値を用いた。
【0063】
シミュレーションにより算出した電気インピーダンスを図7(A)に示し、位相を図7(B)に示す。また、測定した電気インピーダンスを図8(A)に示し、位相を図8(B)に示す。ここで、図7(A)および図8(A)では、縦軸を電気インピーダンス[ohm]とし、横軸を周波数[MHz]とし、参考例1を実線で示し、参考例2を破線で示し、参考例3を一点鎖線で示す。また、図7(B)および図8(B)では、縦軸を位相[deg]とし、横軸を周波数[MHz]とし、参考例1を実線で示し、参考例2を破線で示し、参考例3を一点鎖線で示す。
【0064】
図7および図8に示すように、有機圧電素子の裏面側に配置されるバッキング材の音響インピーダンスが、有機圧電体の音響インピーダンスよりも小さい参考例1および2では、4.5MHz近傍で共振が出ており、圧電性能が高いことがわかる。
一方、有機圧電素子の裏面側に配置されるバッキング材の音響インピーダンスが、有機圧電体の音響インピーダンスよりも大きい参考例3では、共振が見られず、圧電性能が低いことがわかる。
【0065】
また、参考例1〜3から、有機圧電素子のバッキング材(溝充填部材)の音響インピーダンスが低いほど、有機圧電体の共振性能が高くなり、好ましいことがわかる。また、シミュレーションの結果(図7)と実測の結果(図8)から、シミュレーションによる予測以上に有機圧電素子のバッキング材(溝充填部材)の音響インピーダンスを低くする必要があることがわかる。したがって、実測値のグラフ(図8)から、有機圧電素子のバッキング材(溝充填部材)の音響インピーダンスは、1Mrayl以下とするのが好ましく、0.1Mrayl以下とすることがさらに好ましいことがわかる。シリコーン等の樹脂に、ガラスバルーン等の、樹脂よりも密度が小さい微粒子を分散させることにより、音響インピーダンスを1Mrayl以下とすることができる。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
【0066】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0067】
例えば、図示例の超音波診断装置40においては、プローブ本体42と診断装置本体46とは通信ケーブル44を介して接続されているが、これに限定はされず、プローブ本体42と診断装置本体46とが無線通信により接続される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10、100 超音波探触子
12 バッキング材
14 無機圧電体
16 音響整合層
18 有機圧電体
20 音響レンズ
22 溝充填部材
24 第1電極
26 第2電極
28 個別電極
30 共通電極
40 超音波診断装置
42 プローブ本体
44 通信ケーブル
46 診断装置本体
48 受信信号処理部
52 送信駆動部
54 プローブ制御部
56 データ格納部
60 画像生成部
62 表示部
64 本体制御部
66 操作部
102 有機圧電体
104 第2溝充填部材
200、210、220 要素実験用素子
202、212 土台
204 中間層
206 有機圧電素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隙を有して一次元的に配列されたセラミクス製の無機圧電体と、
前記無機圧電体の上に積層される、前記無機圧電体と同様に配列された音響整合層と、
前記音響整合層の上に積層される有機圧電体と、
前記無機圧電体の間隙および前記音響整合層の間隙を充填する、有機圧電体よりも音響インピーダンスが低い有機材料で形成された溝充填部材と、
前記有機圧電体の上に形成される共通電極、および、前記共通電極と共に前記有機圧電体を挟んで配置される個別電極とを有し、
さらに、前記個別電極は、前記無機圧電体の配列方向に分割されて配列されるものであり、かつ、少なくとも前記溝充填部材を覆って形成されることを特徴とする超音波探触子。
【請求項2】
前記溝充填部材が、有機材料に、この有機材料よりも密度が小さい微粒子を分散させたものである請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記有機材料よりも密度が小さい微粒子が、ガラスバルーンである請求項2に記載の超音波探触子。
【請求項4】
前記有機材料が、シリコーン樹脂を含む請求項1〜3のいずれかに記載の超音波探触子。
【請求項5】
前記有機圧電体が、前記音響整合層を覆う請求項1〜4のいずれかに記載の超音波探触子。
【請求項6】
間隙を有して一次元的に配列されたセラミクス製の無機圧電体と、
前記無機圧電体の上に積層される、前記無機圧電体と同様に配列された音響整合層と、
前記音響整合層の上に積層される有機圧電体と、
前記有機圧電体の上に形成される共通電極、および、前記共通電極と共に前記有機圧電体を挟んで配置される個別電極とを有し、
さらに、前記個別電極は、前記無機圧電体の配列方向に分割されて配列されるものであり、かつ、配列された前記音響整合層の間隙を覆うように配置されることを特徴とする超音波探触子。
【請求項7】
前記有機圧電体が超音波エコーを受けて発生した電位変化を、静電容量を有するケーブルを介することなく、受信増幅器に入力する請求項1〜6のいずれかに記載の超音波探触子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の超音波探触子を有する超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−205828(P2012−205828A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75148(P2011−75148)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】