説明

超音波診断装置、画像処理装置、画像処理方法および画像表示方法

【課題】高精度の肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を効率よく行なうこと。
【解決手段】画像生成部14aが血管早期相の3次元超音波画像を生成すると、操作者は、画像選択ボタンを押下して、画像選択用GUI表示制御部16aによって表示される画像選択用GUIにより重畳表示用範囲を選択する。そして、画像生成部14aが後期相における3次元超音波画像の生成を開始したのち、操作者が合成表示ボタンを押下すると、移動量算出部16bは、合成表示ボタン押下時の3次元組織像と、重畳表示用範囲の3次元組織像それぞれとの移動量を算出し、画像補正部16cは、移動量を用いて、血管早期相の3次元組織像に対応する3次元造影像それぞれを補正する。動画合成部14bは、後期相の3次元造影像に、血管早期相の補正済み3次元造影像それぞれを合成した動画用画像群を生成し、モニタ2は、動画用画像群を動画表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置、画像処理装置、画像処理方法および画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波診断装置を用いた超音波検査においては、微小気泡を主成分とする超音波造影剤により血流信号を増強することで、血流を高感度に映像化した造影像を撮像する造影超音波検査が行なわれている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
ここで、肝腫瘍の「良性、悪性」の鑑別診断を目的とする腹部造影超音波検査においては、静脈内投与が可能な超音波造影剤を被検体に投与したのちに、以下で説明する2つの時相で撮像された造影像を評価することが推奨されている。
【0004】
第一の時相は、動脈相あるいは血管早期相と呼ばれる時相である。血管早期相は、超音波造影剤注入から数十秒後までの時期に当たり、注入された超音波造影剤により動脈血流のダイナミックな観察が可能な時相である。
【0005】
ここで、悪性肝腫瘍が主として動脈支配であることから、医師は、血管早期相における造影像を参照することで、肝腫瘍を栄養する血管の構造を確認することができる。特に、医師は、肝腫瘍に対する血流の動態を評価するために、超音波診断装置の動画表示機能を用いて、血管早期相における造影像の動画像を参照する。
【0006】
第二の時相は、実質相または後期相と呼ばれる時相である。後期相は、超音波造影剤注入から約5分以降(約4分以降とする施設もある)の時期に当たり、肺循環により血流内の超音波造影剤が充分に減少した状態で、肝臓内に留まっている超音波造影剤の分布状態が観察可能な時相である。
【0007】
ここで、上述したように悪性肝腫瘍が動脈支配であるのに対し、正常な肝細胞は、門脈支配であることが知られている。また、正常な肝細胞は、微細構造な血流の流路を有し、加えてクッパ細胞と呼ばれる貪食細胞を有する。これに対し、悪性肝腫瘍は、独自の組織構造を構築するために正常な肝細胞が持つ微細構造とクッパ細胞を失うとされている。
【0008】
このため、正常な肝細胞では、貪食細胞により超音波造影剤が取り込まれているのに対し、悪性肝腫瘍では、超音波造影剤の取り込み度合が低くなる。その結果、後期相で撮像された造影像における高輝度部分は、基本的に正常な肝細胞から得られる信号となる。したがって、医師は、後期相における造影像を参照することで、肝腫瘍の形態を明瞭に観察することができる。特に、医師は、肝腫瘍の分布を確認するために、超音波造影剤の分布を静的に示す後期相の静止画像を、あるいは、3次元で超音波を走査可能な超音波プローブを用いる場合ならば、立体静止画像を参照する。
【0009】
また、近年、肝腫瘍の鑑別だけではなく、さらに、肝腫瘍の悪性度(分化度)を診断することにより、適切な治療計画を立てることが望まれている。この場合、後期相で撮像された造影像における低輝度部分である肝腫瘍部分に対し、血管早期相で撮像された造影像における動脈の流入位置が、腫瘍内部にまで及んでいるのか、腫瘍の辺縁領域に集中しているのかを観察することで、医師は、肝腫瘍の悪性度を診断する。
【0010】
このため、従来の超音波診断装置では、図14に示すように、動脈相で撮像された造影像の動画像と後期相で撮像された造影像の静止画像とを並列表示し、医師は、並列表示された造影像を観察することで、肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を行なっている。なお、図14は、従来技術を説明するための図である。
【0011】
しかし、従来の超音波診断装置にて表示される血管早期相および後期相における造影像は必ずしも同一断面ではなく、また、並列表示であるが故に動脈が肝腫瘍のどの位置まで侵入しているかを正確に把握することは困難であるため、医師は、肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を精度よく行なうことができなかった。
【0012】
そこで、精度よく肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を行なうために、1回目に超音波造影剤を投与して後期相に達したあとに、再度2回目の超音波造影剤投与を行い、後期相の造影剤分布に新たに動脈相の造影剤分布が重畳表示された造影像を撮像する「Re-Injection法」が、近年、報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】(社)日本画像医療システム工業会編集 「医用画像・放射線機器ハンドブック」名古美術印刷株式会社 平成13年、p.221〜225
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上記した「Re-Injection法」では、精度よく肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を行なうことができるものの、超音波造影剤を2回投与するため、被検体への身体的負担および医師の作業負担が増大し、さらに、検査時間が延長するため、検査効率が悪くなるという課題があった。
【0015】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、高精度の肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を効率よく行なうことが可能となる超音波診断装置、画像処理装置、画像処理方法および画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、超音波診断装置が、第一の時相における造影像と、前記第一の時相とは異なる第二の時相における造影像とを重畳して所定の表示部に表示するように制御する表示制御部、を備える。
【0017】
また、請求項3記載の本発明は、超音波診断装置が、超音波造影剤を投与した被検体に対して超音波プローブから送信した超音波の反射波に基づいて時系列に沿った複数の超音波画像の中で、前記超音波造影剤を投与した後の第一の時相における超音波画像と、前記第一の時相より後の時相である第二の時相における超音波画像との間における移動量を算出する移動量算出部と、前記移動量算出部によって算出された移動量に基づいて、前記第一の時相における超音波画像を、前記第二の時相における超音波画像の位置と一致するように補正した補正画像を生成する画像補正部と、前記画像補正部によって生成された前記補正画像と、前記第二の時相における超音波画像とを合成して合成画像を生成する画像合成部と、前記画像合成部によって生成された前記合成画像を、所定の表示部に表示するように制御する表示制御部と、を備える。
【0018】
また、請求項16記載の本発明は、画像処理装置が、第一の時相における造影像と、前記第一の時相とは異なる第二の時相における造影像とを重畳して所定の表示部に表示するように制御する表示制御部、を備える。
【0019】
また、請求項17記載の本発明は、画像処理装置が、超音波造影剤を投与した被検体に対して超音波プローブから送信した超音波の反射波に基づいて時系列に沿った複数の超音波画像の中で、前記超音波造影剤を投与した後の第一の時相における超音波画像と、前記第一の時相より後の時相である第二の時相における超音波画像との間における移動量を算出する移動量算出部と、前記移動量算出部によって算出された移動量に基づいて、前記第一の時相における超音波画像を、前記第二の時相における超音波画像の位置と一致するように補正した補正画像を生成する画像補正部と、前記画像補正部によって生成された前記補正画像と、前記第二の時相における超音波画像とを合成して合成画像を生成する画像合成部と、前記画像合成部によって生成された前記合成画像を、所定の表示部に表示するように制御する表示制御部と、を備える。
【0020】
また、請求項18記載の本発明は、画像処理方法において、表示制御部が、第一の時相における造影像と、前記第一の時相とは異なる第二の時相における造影像とを重畳して所定の表示部に表示するように制御する、ことを含む。
【0021】
また、請求項19記載の本発明は、画像処理方法において、移動量算出部が、超音波造影剤を投与した被検体に対して超音波プローブから送信した超音波の反射波に基づいて時系列に沿った複数の超音波画像の中で、前記超音波造影剤を投与した後の第一の時相における超音波画像と、前記第一の時相より後の時相である第二の時相における超音波画像との間における移動量を算出し、画像補正部が、前記移動量算出部によって算出された移動量に基づいて、前記第一の時相における超音波画像を、前記第二の時相における超音波画像の位置と一致するように補正した補正画像を生成し、画像合成部が、前記画像補正部によって生成された前記補正画像と、前記第二の時相における超音波画像とを合成して合成画像を生成し、表示制御部が、前記画像合成部によって生成された前記合成画像を、所定の表示部に表示するように制御する、ことを含む。
【0022】
また、請求項20記載の本発明は、画像処理方法において、超音波造影剤を投与した後の第一の時相における超音波画像と、前記第一の時相より後の時相である第二の時相における超音波画像との間の移動量に基づいて、前記第一の時相における超音波画像を前記第二の時相における超音波画像の位置と一致するように補正した補正画像を生成するステップと、前記補正画像と、前記第二の時相における超音波画像とを合成した合成画像を生成するステップと、前記合成画像を表示するステップと、を含む。
【0023】
また、請求項21記載の本発明は、画像表示方法において、音波造影剤を投与した後の第一の時相における超音波画像と前記第一の時相より後の時相である第二の時相における超音波画像との間の移動量に基づいて、前記第一の時相における超音波画像を前記第二の時相における超音波画像の位置と一致するように補正した補正画像と、前記第二の時相における超音波画像とを合成した合成画像を表示する。
【発明の効果】
【0024】
請求項1、3、16、17、18、19、20または21記載の本発明によれば、高精度の肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を効率よく行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、実施例1における超音波診断装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、血管早期相における3次元組織像および3次元造影像を説明するための図である。
【図3A】図3Aは、画像選択用GUI表示制御部を説明するための図(1)である。
【図3B】図3Bは、画像選択用GUI表示制御部を説明するための図(2)である。
【図4】図4は、移動量算出部および画像補正部を説明するための図である。
【図5A】図5Aは、動画合成部を説明するための図(1)である。
【図5B】図5Bは、動画合成部を説明するための図(2)である。
【図5C】図5Cは、動画合成部を説明するための図(3)である。
【図6】図6は、実施例1における超音波診断装置の画像選択処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、実施例1における超音波診断装置の動画表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、実施例2における超音波診断装置の構成を説明するための図である。
【図9】図9は、条件設定用GUIについて説明するための図である。
【図10】図10は、実施例2における超音波診断装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、第一の変形例を説明するための図である。
【図12A】図12Aは、第二の変形例を説明するための図(1)である。
【図12B】図12Bは、第二の変形例を説明するための図(2)である。
【図13】図13は、第三の変形例を説明するための図である。
【図14】図14は、従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る超音波診断装置、画像処理装置、画像処理方法および画像表示方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、この発明に係る画像処理方法および画像表示方法を実行する画像処理装置が組み込まれた超音波診断装置を実施例として説明する。
【実施例1】
【0027】
まず、図1を用いて、実施例1における超音波診断装置の構成について説明する。図1は、実施例1における超音波診断装置の構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施例における超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
【0028】
超音波プローブ1は、複数の振動子セルが集積された超音波振動子を内蔵し、この超音波振動子から発生する超音波を被検体内に超音波ビームとして送信する。また、超音波プローブ1は、超音波振動子の各振動子セルにおいて、被検体の内部組織からの反射波を受信する。
【0029】
ここで、本実施例では、複数の超音波振動子がマトリックス(格子)状に配置された2次元超音波プローブを超音波プローブ1として用いることで、超音波ビームを2次元にて送信して被検体内を3次元で走査する場合について説明する。また、2次元超音波プローブは、超音波ビームを集束して送信して被検体内を2次元の断層面内で走査することも可能である。
【0030】
なお、本実施例は、一列に配置された複数の超音波振動子を機械的に揺動することで、被検体内を3次元で走査するメカニカルスキャンプローブを超音波プローブ1として用いる場合であっても適用可能である。
【0031】
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像を表示したりする。
【0032】
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボールなどを有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
【0033】
例えば、入力装置3は、操作者が押下するボタンとして、「フリーズボタン」を有する。「フリーズボタン」が押下されると、超音波の送受信が一時的に終了し、超音波診断装置は、一時停止状態となる。また、入力装置3は、本実施例に密接に関係するものとして、「画像選択ボタン」および「合成画像表示ボタン」を有するが、これについては、後に詳述する。
【0034】
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置であり、図1に示すように、送受信部11と、Bモード処理部12と、ドプラ処理部13と、画像処理回路14と、演算・制御回路15と、画像前処理部16と、内部記憶部17と、メモリ18とを有する。
【0035】
送受信部11は、超音波プローブ1と接続され、送受信部11が内蔵するパルサーは、演算・制御回路15の制御にしたがって、所定の遅延時間ごとに高電圧パルスを発生する。送受信部11が内蔵するパルサーが発生した高電圧パルスは、超音波プローブ1 に内蔵される超音波振動子の各振動子セルに順次印加され、これにより、各振動子セルにおいて超音波が発生する。
【0036】
また、送受信部11は、超音波プローブ1が受信した反射波の受信信号が入力されると、プリアンプ(図示せず)によって受信信号に対してゲイン補正を行ない、ゲイン補正済み受信信号に対し、A/D変換処理を行なう。そして、送受信部11は、A/D変換された受信信号を、バスを介して、一時的にメモリ18に格納する。
【0037】
また、送受信部11は、演算・制御回路15の制御にしたがって、必要とされるタイミングで、メモリ18にて格納されているA/D変換された受信信号を読み出し、読み出したA/D変換された受信信号を、整相加算することで受信データとする。そして、送受信部11は、演算・制御回路15の制御にしたがって、受信データを、バスを介してBモード処理部12やドプラ処理部13に送信する。
【0038】
Bモード処理部12は、受信した受信データに基づいて、信号強度が輝度の明るさで表現されるBモード画像を構成するためのBモード画像構成用データの生成処理を行なう。また、ドプラ処理部13は、受信した受信データに基づいて、ドプラ効果を用いて血流などの平均速度、分散、パワーなどの移動体情報が画像化されたドプラ画像を構成するためのドプラモード画像構成用データの生成処理を行なう。
【0039】
ここで、Bモード処理部12は、周波数フィルタを有する。そして、Bモード処理部12は、周波数フィルタを用いて、受信データのうち送信周波数に対応した基本波の帯域信号を分離して、被検体内の組織信号を抽出して、Bモードの組織画像(以下、組織像と記載する)を構成するためのBモード組織画像構成用データを生成する。
【0040】
また、Bモード処理部12は、周波数フィルタを用いて、受信データのうち送信周波数の分周波あるいは高調波の帯域信号を分離して、超音波造影剤により増強された信号を抽出して、Bモードの造影画像(以下、造影像と記載する)を構成するためのBモード造影画像構成用データを生成する。
【0041】
そして、Bモード処理部12は、生成したBモード組織画像構成用データおよびBモード造影画像構成用データを画像生成回路14に送信するとともに、メモリ18に格納する。また、ドプラ処理部13は、生成したドプラモード画像構成用データを画像生成回路14に送信するとともに、メモリ18に格納する。
【0042】
なお、Bモード処理部12およびドプラ処理部13は、2次元データおよび3次元データの両方について処理可能であり、本実施例においては、2次元超音波プローブである超音波プローブ1が受信した反射波から生成された3次元の受信データに基づいて、3次元画像構成用のデータ生成処理を行なう。
【0043】
画像処理回路14は、図1に示すように、画像生成部14aおよび動画合成部14bを有する。画像生成部14aは、Bモード処理部12またはドプラ処理部13から受信した画像構成用のデータに対して直交座標系への変換処理(直交変換処理)やD/A変換処理などを行なって、Bモード画像(組織像および造影像)やドプラ画像を生成する。
【0044】
なお、画像生成部14aは、3次元画像構成用のデータを受信した場合は、3次元Bモード画像および3次元ドプラ画像を生成する。すなわち、画像生成部14aは、Bモード処理部12から3次元Bモード組織画像構成用データおよび3次元Bモード造影画像構成用データを受信すると、3次元組織像および3次元造影像を生成する。また、画像生成部14aは、ドプラ処理部13から3次元ドプラモード画像構成用データを受信すると、3次元ドプラ画像を生成する。
【0045】
動画合成部14bは、画像生成部14aが生成した画像を用いて、動画合成を行なう。具体的には、画像生成部14aが生成した血管早期相および後期相の造影像を用いて、動画合成を行なう。なお、動画合成部14bについては、後に詳述する。
【0046】
画像前処理部16は、動画合成部14bによる動画合成処理が行なわれる前に、画像生成部14aが生成した画像に対して前処理を行なう処理部であり、図1に示すように、画像選択用GUI表示制御部16aと、移動量算出部16bと、画像補正部16cとを有する。なお、これらについては、動画合成部14bとともに、後に詳述する。
【0047】
メモリ18は、送受信部11から受信したデータや、Bモード処理部12およびドプラ処理部13から受信したデータや、画像処理回路14によって生成された各種画像を記憶するメモリである。
【0048】
内部記憶部17は、超音波送受信、画像処理および表示処理を行なうための各種制御用条件や、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルなどの各種データを記憶する。また、内部記憶部17は、必要に応じて、メモリ18が記憶する画像の保管などにも使用される。
【0049】
演算・制御回路15は、上述した送受信部11、Bモード処理部12、ドプラ処理部13、画像処理回路14、画像前処理部16など超音波診断装置の処理全体を、入力装置3から入力された各種設定要求と、内部記憶部17が記憶する各種制御用条件に基づき制御する。
【0050】
ここで、本実施例1における超音波診断装置は、腹部造影超音波検査を行なうために、超音波造影剤を投与した被検体に対して超音波プローブ1から送信した超音波の反射波に基づいて時系列に沿った複数の超音波画像(3次元組織像および3次元造影像)を生成する。そして、本実施例1における超音波診断装置は、血管早期相の造影像と、後期相の造影像とを重畳して表示させることで、高精度の肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を効率よく行なうことが可能となる。
【0051】
本実施例1における超音波診断装置が行なう重畳表示処理の具体的な一例について、図2〜5を用いて説明する。なお、図2は、血管早期相における3次元組織像および3次元造影像を説明するための図であり、図3Aおよび図3Bは、画像選択用GUI表示制御部を説明するための図であり、図4は、移動量算出部および画像補正部を説明するための図であり、図5A、図5Bおよび図5Cは、動画合成部を説明するための図である。
【0052】
実施例1においては、まず、操作者により超音波プローブ1が被検体腹部にて固定された状態で、超音波造影剤が被検体の静脈に注入され、血管早期相(超音波造影剤注入から数十秒後までの時期)にて3次元走査(ボリュームスキャン)が行なわれる。
【0053】
これにより、画像生成部14aは、Bモード処理部12から3次元Bモード組織画像構成用データおよび3次元Bモード造影画像構成用データを順次受信して、図2に示すように、血管早期相における時系列に沿った3次元組織像および3次元造影像を生成してメモリ18に格納する。ここで、図2に示すように、血管早期相の3次元造影像においては、動脈の血流動態が描出される。なお、画像生成部14aは、生成した3次元造影像から、所定の断面方向における断面画像(2次元造影像)も生成してメモリ18に格納する。
【0054】
ここで、操作者により、入力装置3の「画像選択ボタン」が押下されると、画像選択用GUI表示制御部16aは、図3Aに示すような画像選択用GUIを、モニタ2にて表示するように制御する。
【0055】
具体的には、画像選択用GUI表示制御部16aは、画像生成部14aが生成した血管早期相における時系列に沿った2次元造影像をメモリ18から読み込み、これら2次元造影像を、図3Aに示すように、縮小した状態で並列表示するように制御する。
【0056】
ここで、操作者は、動画合成部14bによる合成処理対象となる2次元造影像群を選択する。例えば、画像選択用GUI表示制御部16aは、図3Aに示すように、操作者が、2次元造影像群の始点となる画像と、2次元造影像群の終点となる画像とを入力装置3のマウスを用いて選択すると、選択された画像の枠が強調表示されるように制御する。なお、画像選択用GUIにて表示される造影像は、画像生成部14aが3次元造影像からボリュームレンダリング処理などのレンダリング処理によって生成したレンダリング画像であってもよい。
【0057】
ここで、画像選択用GUIには、図3Aに示すように、動画合成部14bの合成処理において、色調を設定するための「Color Setting」領域(AおよびB)が表示されている。すなわち、「Color SettingのA」は、血管早期相における造影像を合成する際の色調を設定するための領域であり、「Color SettingのB」は、後期相における造影像を合成する際の色調(合成色)を設定するための領域である。
【0058】
「Color SettingのA」または「Color SettingのB」の矩形部分が操作者により押下されると、画像選択用GUI表示制御部16aは、図3Bに示すように、合成色設定用のカラーパレットを表示させる。カラーパレットを参照した操作者により、血管早期相および後期相それぞれの合成色が選択されると、画像選択用GUI表示制御部16aは、図3の(A)に示す「Color Setting」領域に、選択された合成色を表示させる。
【0059】
また、画像選択用GUI表示制御部16aは、カラーパレットとともに、図3Bに示すように、血管早期相および後期相それぞれの合成時における透明度を設定するためのスライドバーを表示させる。操作者は、スライドバーを移動させることで、血管早期相および後期相それぞれの合成時における透明度を設定する。
【0060】
このようにして、画像選択用GUIを参照する操作者により合成処理対象となる血管早期相の2次元造影像群が設定されることで、重畳表示用範囲にある血管早期相の3次元造影像群および3次元組織像群が決定される。
【0061】
そして、超音波診断装置が、操作者の指示により、後期相(超音波造影剤注入から約5分以降の時期)の直前からボリュームスキャンを再開すると、画像生成部14aは、Bモード処理部12から3次元Bモード組織画像構成用データおよび3次元Bモード造影画像構成用データを順次受信して、後期相における時系列に沿った3次元組織像および3次元造影像を生成する。後期相における3次元造影像では、肝腫瘍部分が低輝度部分として描出される。
【0062】
ここで、画像生成部14aは、後期相における3次元造影像から、所定の断面方向における断面画像である2次元造影像を生成する。2次元造影像は、演算・制御回路15の制御によりモニタ2に表示される。そして、後期相の2次元造影像を参照する操作者により入力装置3の合成表示ボタンが押下されると、超音波の送受信が一時的に終了し、移動量算出部16bによる処理が開始される。
【0063】
移動量算出部16bは、画像選択用GUIを参照した操作者により選択された重畳表示用範囲にある血管早期相の3次元組織像それぞれと、合成表示ボタン押下時の2次元造影像に対応する3次元組織像とを用いて移動量を算出する(図4の(1)参照)。
【0064】
具体的には、移動量算出部16bは、後期相の3次元組織像に対する血管早期相の3次元組織像それぞれの移動量を算出する。例えば、移動量算出部16bは、選択された3次元組織像それぞれに対して、2値化処理、エッジ処理、または特徴量を抽出するフィルタ処理を行ない、処理済の3次元組織像間で、相互相関処理を行なうことで、後期相の3次元組織像に対する血管早期相の3次元組織像それぞれの移動量を3次元的に算出する。
【0065】
なお、移動量算出部16bの計算処理能力が低い場合は、移動量算出に際し、1走査線当たりのサンプル点数を間引くことにより演算量を減らすように設定することもできる。一方、移動量算出部16bの計算処理能力が高い場合は、移動量算出に際し、逐次近似法を用いることもできる。
【0066】
画像補正部16cは、移動量算出部16bが算出した移動量を用いて、重畳表示用範囲にある血管早期相の3次元組織像に対応する3次元造影像それぞれを、合成表示ボタン押下時における後期相の3次元組織像の位置と一致するように補正する(図4の(2)参照)。
【0067】
動画合成部14bは、合成表示ボタン押下時における後期相の3次元造影像と、画像補正部16cによって生成された重畳表示用範囲(血管早期相)の補正済み3次元造影像それぞれとを合成する。すなわち、動画合成部14bは、形態が明確となった腫瘍部分に対して、腫瘍を栄養する動脈の血流動態が時系列に沿って変化する動画用画像群を生成する。なお、動画合成部14bは、画像選択用GUIを参照する操作者によって設定された表示用条件(合成色および透明度)に応じて、合成処理を行なう。
【0068】
例えば、動画合成部14bは、合成表示ボタン押下時において操作者が参照した後期相の2次元造影像の同一断面方向にて、重畳表示用範囲(血管早期相)の補正済み3次元造影像それぞれから補正済み2次元造影像を画像生成部14aに生成させる。そして、動画合成部14bは、図5Aに示すように、後期相の2次元造影像と、補正済み2次元造影像それぞれとを合成して動画用画像群を生成する。
【0069】
あるいは、動画合成部14bは、合成表示ボタン押下時において操作者が参照した後期相の2次元造影像の断面方向と直交する断面にて、後期相の3次元造影像と、重畳表示用範囲(血管早期相)の補正済み3次元造影像それぞれとから2次元造影像を画像生成部14aに生成させる。これにより、動画合成部14bは、図5Bに示すように、図5Aにて用いられた断面と直交する断面における動画用画像群を生成する。
【0070】
あるいは、動画合成部14bは、重畳表示用範囲(血管早期相)の補正済み3次元造影像から、操作者が指定した視点方向にボリュームレンダリング処理を行なったボリュームレンダリングを画像生成部14aに生成させる。さらに、動画合成部14bは、合成表示ボタン押下時の3次元造影像から、操作者が指定した視点方向に直交する断面にて2次元造影像を画像生成部14aに生成させる。これにより、動画合成部14bは、図5Cに示すように、腫瘍内部に動脈が入り込んでいく状態を示す動画用画像群を生成する。
【0071】
そして、動画合成部14bによって生成された動画用画像群は、演算・制御回路15の制御により、モニタ2にて動画表示される。
【0072】
次に、図6および図7を用いて、実施例1における超音波診断装置の処理について説明する。図6は、実施例1における超音波診断装置の画像選択処理を説明するためのフローチャートであり、図7は、実施例1における超音波診断装置の動画表示処理を説明するためのフローチャートである。
【0073】
図6に示すように、実施例1における超音波診断装置は、被検体に超音波造影剤が注入されて、ボリュームスキャンの開始要求を操作者から入力装置3を介して受け付けると(ステップS601肯定)、画像生成部14aは、Bモード処理部12から3次元Bモード組織画像構成用データおよび3次元Bモード造影画像構成用データを順次受信して、血管早期相における時系列に沿った3次元超音波画像(3次元組織像および3次元造影像)を生成してメモリ18に格納する(ステップS602)。なお、本実施例では、血管早期相におけるボリュームスキャンが終了した時点で、超音波診断装置は、操作者の指示により、一旦、超音波の送受信を停止する。
【0074】
そして、操作者により入力装置3の画像選択ボタンが押下されると(ステップS603肯定)、画像選択用GUI表示制御部16aは、画像選択用GUIをモニタに表示するように制御する(ステップS604、図3参照)。
【0075】
そののち、画像選択用GUIに表示された血管早期相の2次元造影像を参照する操作者により、重畳表示用範囲が選択され、表示用条件(合成色および透明度)が設定されると(ステップS605肯定)、超音波診断装置は、画像選択処理を終了する。
【0076】
続いて、実施例1における超音波診断装置は、図7に示すように、後期相直前において、ボリュームスキャンの再開要求を操作者から入力装置3を介して受け付けると(ステップS701肯定)、画像生成部14aは、Bモード処理部12から3次元Bモード組織画像構成用データおよび3次元Bモード造影画像構成用データを順次受信して、後期相における3次元超音波画像(3次元組織像および3次元造影像)を生成してメモリ18に格納する(ステップS702)。なお、モニタ2は、画像生成部14aが後期相における3次元造影像から生成した2次元造影像を表示している。また、ボリュームスキャンの再開時には、血管早期相におけるボリュームスキャン実行時と同位置に超音波プローブ1が配置される。
【0077】
そして、操作者により入力装置3の合成表示ボタンが押下されると(ステップS703肯定)、移動量算出部16bは、合成表示ボタン押下時の2次元造影像に対応する3次元組織像と、画像選択用GUIを参照した操作者により選択された重畳表示用範囲にある血管早期相の3次元組織像それぞれとの移動量を算出する(ステップS704)。
【0078】
そののち画像補正部16cは、移動量算出部16bが算出した移動量を用いて、重畳表示用範囲にある血管早期相の3次元組織像に対応する3次元造影像それぞれを、合成表示ボタン押下時における後期相の3次元組織像の位置と一致するように補正する(ステップS705)。
【0079】
さらに、動画合成部14bは、合成表示ボタン押下時における後期相の3次元造影像に、画像補正部16cによって生成された重畳表示用範囲(血管早期相)の補正済み3次元造影像それぞれを表示用条件により合成し、演算・制御回路15は、動画合成部14bによって生成された動画用画像群をモニタ2にて動画表示するように制御して(ステップS706)、処理を終了する。
【0080】
上述してきたように、実施例1では、画像生成部14aは、Bモード処理部12から3次元Bモード組織画像構成用データおよび3次元Bモード造影画像構成用データを順次受信して、血管早期相における時系列に沿った3次元超音波画像(3次元組織像および3次元造影像)を生成する。そして、操作者により入力装置3の画像選択ボタンが押下されると、画像選択用GUI表示制御部16aは、画像選択用GUIをモニタに表示するように制御する。画像選択用GUIに表示された血管早期相の2次元造影像を参照する操作者は、重畳表示用範囲を選択し、さらに、表示用条件(合成色および透明度)を設定する。
【0081】
そして、画像生成部14aは、Bモード処理部12から3次元Bモード組織画像構成用データおよび3次元Bモード造影画像構成用データを順次受信して、後期相における3次元超音波画像(3次元組織像および3次元造影像)を生成する。操作者により入力装置3の合成表示ボタンが押下されると、移動量算出部16bは、合成表示ボタン押下時の2次元造影像に対応する3次元組織像と、画像選択用GUIを参照した操作者により選択された重畳表示用範囲にある血管早期相の3次元組織像それぞれとの移動量を算出する。そして、画像補正部16cは、移動量算出部16bが算出した移動量を用いて、重畳表示用範囲にある血管早期相の3次元組織像に対応する3次元造影像それぞれを補正する。
【0082】
そして、動画合成部14bは、合成表示ボタン押下時における後期相の3次元造影像に、画像補正部16cによって生成された重畳表示用範囲(血管早期相)の補正済み3次元造影像それぞれを表示用条件により合成し、演算・制御回路15は、動画合成部14bによって生成された動画用画像群をモニタ2にて動画表示するように制御する。
【0083】
したがって、実施例1では、形態が明確となった腫瘍部分に対して、腫瘍を栄養する動脈の血流動態が時系列に沿って変化する動画が表示されるので、医師は、腫瘍の形状、栄養血管の腫瘍に対する分布を同時に視認することができ、高精度の肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を効率よく行なうことが可能になる。
【0084】
また、実施例1では、設定された表示用条件により動画用画像群が生成されるので、動画像における腫瘍および栄養血管の視認性を向上することができ、より高精度の肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を行なうことが可能になる。
【0085】
なお、後期相を断面画像にて参照するために、操作者が2次元超音波プローブにより超音波ビームを集束して2次元走査を行なっている場合、本実施例における超音波診断装置は、合成表示ボタンが押下されたのちに、超音波の送受信条件を自動的に変更して、ボリュームスキャンを1回実行して3次元超音波画像を生成して移動量算出部16b、画像補正部16cおよび動画合成部14bによる処理を行なうことが可能である。
【実施例2】
【0086】
上述した実施例1では、動画表示される血管早期相の造影像を超音波造影剤の注入後に選択する場合について説明した。実施例2では、動画表示される血管早期相の造影像を超音波造影剤の注入前に設定した条件により選択する場合について、図8および図9を用いて説明する。なお、図8は、実施例2における超音波診断装置の構成を説明するための図であり、図9は、条件設定用GUIについて説明するための図である。
【0087】
図8に示すように、実施例2における超音波診断装置は、実施例1における超音波診断装置と比較して、画像選択用GUI表示制御部16aの代わりに条件選択用GUI表示制御部16dおよび条件判定部16eを有する点が異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0088】
条件選択用GUI表示制御部16dは、超音波造影剤の注入前に、操作者が入力装置3の条件選択用ボタンを押下すると、条件選択用GUIをモニタ2にて表示するように制御する。
【0089】
条件選択用GUIには、図9に示すように、血管早期相における重畳表示用範囲を選択する条件を入力するための「重畳画像選択条件」の入力領域が表示されている。例えば、重畳表示用範囲を超音波造影剤注入後の「10秒から20秒」にて生成された超音波画像としたい場合、操作者は、「重畳画像選択条件」の入力領域に「10」および「20」を入力する。
【0090】
また、実施例2においては、実施例1において用いられた「合成表示ボタン」ではなく、従来の超音波診断装置に設置されている「フリーズボタン」により、後期相における超音波画像が選択される。すなわち、実施例2においては、「フリーズボタン」が押下された時点で表示されている超音波画像が、移動量算出および動画合成の対象データとされる。
【0091】
このため、条件選択用GUIには、図9に示すように、「フリーズボタン」が押下された時点が後期相であるか否かを判定する条件を入力するための「後期相判定条件」の入力領域が表示されている。例えば、後期相を超音波造影剤注入後の「300秒から360秒」と設定したい場合、操作者は、「後期相判定条件」の入力領域に「300」および「360」を入力する。
【0092】
なお、条件選択用GUIには、図9に示すように、実施例1において説明した画像選択用GUIと同様に、色調を設定するための「Color Setting」領域(AおよびB)が表示されており、「Color SettingのA」または「Color SettingのB」の矩形部分が操作者により押下されると、合成色設定用のカラーパレットが透明度を設定するスライドバーとともに表示される。
【0093】
条件判定部16eは、超音波造影剤注入と同時に入力された操作者の指示により、超音波造影剤注入時からの経過時間を測定する。そして、条件判定部16eは、「重畳画像選択条件」にて設定された時間帯で収集されたボリュームデータから生成された3次元組織像および3次元造影像を、移動量算出部16b、画像補正部16cおよび動画合成部14bによる処理対象となる「重畳表示用範囲の3次元超音波画像」として判定する。
【0094】
また、条件判定部16eは、「フリーズボタン」が押下された時点が「後期相判定条件」にて設定された時間帯であるか否かを判定する。条件判定部16eは、「フリーズボタン」が押下された時点が「後期相判定条件」にて設定された時間帯である場合、移動量算出部16bに対して、移動量算出処理を実行するように要求する。これにより、モニタ2おいて、血管早期相および後期相の合成動画像が表示される。
【0095】
一方、条件判定部16eは、「フリーズボタン」が押下された時点が「後期相判定条件」にて設定された時間帯でない場合、移動量算出部16bに対して、移動量算出処理を実行しないように要求する。なお、この場合、条件判定部16eの指示により、モニタ2にて、現時点が「後期相判定条件」にて設定された時間帯でないことを操作者に報知するメッセージを表示してもよい。
【0096】
次に、図10を用いて、実施例2における超音波診断装置の処理について説明する。図10は、実施例2における超音波診断装置の処理を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、ボリュームスキャンが中断されることなく、血管早期相と後期相との間にある門脈相においても超音波画像が生成される場合について説明する。
【0097】
図10に示すように、実施例2における超音波診断装置は、超音波造影剤の注入前に、条件選択用ボタンが押下されたことにより、条件選択用GUIの表示要求を受け付けると(ステップS1001肯定)、条件選択用GUI表示制御部16dは、条件選択用GUIをモニタ2にて表示するように制御する(ステップS1002)。
【0098】
そして、条件選択用GUIを介して、操作者から重畳画像選択条件、後期相判定条件および表示用条件を受け付けると(ステップS1003肯定)、超音波診断装置は、超音波造影剤が被検体に注入されて、ボリュームスキャンの開始要求を操作者から入力装置3を介して受け付けたか否かを判定する(ステップS1004)。
【0099】
ボリュームスキャンの開始要求を受け付けない場合(ステップS1004否定)、超音波診断装置は、待機状態となる。
【0100】
一方、ボリュームスキャンの開始要求を受け付けた場合(ステップS1004肯定)、条件判定部16eは、超音波造影剤注入時からの経過時間の測定を開始する(ステップS1005)。
【0101】
そして、画像生成部14aは、Bモード処理部12から3次元Bモード組織画像構成用データおよび3次元Bモード造影画像構成用データを受信して、3次元超音波画像(3次元組織像および3次元造影像)を生成する(ステップS1006)。
【0102】
ここで、条件判定部16eは、経過時間が、重畳画像選択条件で設定された時間帯であるか否かを判定する(ステップS1007)。
【0103】
重畳画像選択条件で設定された時間帯でない場合(ステップS1007否定)、条件判定部16eは、生成された3次元超音波画像を、非重畳用のデータとしてメモリ18に格納する(ステップS1009)。
【0104】
一方、重畳画像選択条件で設定された時間帯である場合(ステップS1007肯定)、条件判定部16eは、生成された3次元超音波画像を、重畳用のデータとしてメモリ18に格納する(ステップS1008)。
【0105】
ステップS1008およびステップS1009ののち、演算・制御回路15は、フリーズボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS1010)。
【0106】
フリーズボタンが押下されていない場合(ステップS1010否定)、ステップS1006に戻り、画像生成部14aは、Bモード処理部12から新規の3次元Bモード組織画像構成用データおよび3次元Bモード造影画像構成用データを受信して、3次元超音波画像(3次元組織像および3次元造影像)を生成する。
【0107】
フリーズボタンが押下された場合(ステップS1010肯定)、条件判定部16eは、フリーズボタンが押下された時点が、後期相判定条件で設定された時間帯であるか否かを判定する(ステップS1011)。
【0108】
ここで、フリーズボタンが押下された時点が後期相判定条件で設定された時間帯でない場合(ステップS1011否定)、ステップS1006に戻り、画像生成部14aは、Bモード処理部12から新規の3次元Bモード組織画像構成用データおよび3次元Bモード造影画像構成用データを受信して、3次元超音波画像(3次元組織像および3次元造影像)を生成する。
【0109】
一方、フリーズボタンが押下された時点が後期相判定条件で設定された時間帯である場合(ステップS1011肯定)、移動量算出部16bは、フリーズボタン押下時の3次元組織像と、重畳表示用範囲にある血管早期相の3次元組織像それぞれとの移動量を算出する(ステップS1012)。すなわち、後期相判定条件で設定された時間帯にてフリーズボタンが押下されるまでは、演算・制御回路15の制御に基づいて、画像生成部14aによって3次元造影画像から生成された2次元造影像がモニタ2にて表示されている。
【0110】
そして、画像補正部16cは、移動量算出部16bが算出した移動量を用いて、重畳表示用範囲にある血管早期相の3次元組織像に対応する3次元造影像それぞれを、フリーズボタン押下時における後期相の3次元組織像の位置と一致するように補正する(ステップS1013)。
【0111】
そののち、動画合成部14bは、合成表示ボタン押下時における後期相の3次元造影像に、画像補正部16cによって生成された重畳表示用範囲(血管早期相)の補正済み3次元造影像それぞれを表示用条件により合成し、演算・制御回路15は、動画合成部14bによって生成された動画用画像群をモニタ2にて動画表示するように制御して(ステップS1014)、処理を終了する。
【0112】
上述してきたように、実施例2では、重畳画像選択条件および後期相判定条件を予め設定しておけば、フリーズボタンを押下するだけで、腫瘍部分に対して、腫瘍を栄養する動脈の血流動態が時系列に沿って変化する動画が表示されるので、医師は、高精度の肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を簡便に行なうことが可能になる。
【0113】
なお、上記した実施例1および2では、腹部造影超音波検査実施中に、血管早期相と後期相との合成動画を表示する場合について説明した。しかし、上記した実施例1および2は、腹部造影超音波検査実施後に、血管早期相と後期相との合成動画を表示する場合であってもよい。これについて、図11を用いて説明する。なお、図11は、第一の変形例を説明するための図である。
【0114】
第一の変形例における超音波診断装置は、腹部造影超音波検査中にて生成した3次元組織像および3次元造影像すべてをメモリ18または内部記憶部17に保存する。そして、操作者の指示に基づいて、画像生成部14aは、例えば、保存された3次元造影像から2次元造影像を生成し、モニタ2は、2次元造影像を表示する。
【0115】
そして、操作者は、図11に示すように、保存後の画像を選択し、移動量算出部16b、画像補正部16cおよび動画合成部14bは、選択された保存後の画像を用いてそれぞれの処理を実行することで、血管早期相と後期相との合成動画が表示される。
【0116】
また、上記した実施例1および2では、画像処理により3次元超音波画像間の移動量を算出する場合について説明した。しかし、上記した実施例1および2は、超音波プローブ1に取り付けた各種位置センサにより、3次元超音波画像間の移動量を算出する場合であってもよい。これについて、図12Aおよび図12Bを用いて説明する。なお、図12Aおよび図12Bは、第二の変形例を説明するための図である。
【0117】
第二の変形例における超音波診断装置においては、例えば、図12Aに示すように、超音波プローブ1に磁気センサ4が取り付けられ、さらに、被検体が横たわる寝台に磁気信号を発生する磁場発生コイル5が取り付けられる。そして、磁気センサ4は、磁場発生コイル5が発生した磁気信号を検出して、磁場発生コイル5に対する座標位置を算出することで、超音波プローブ1の移動量を算出する。そして、画像補正部16cは、磁気センサ4が算出した移動量を用いて、3次元造影像の補正処理を実行する。
【0118】
あるいは、第二の変形例における超音波診断装置においては、例えば、図12Bに示すように、超音波プローブ1がアームと接続される。そして、アームには、位置・角度センサ6が取り付けられる。位置・角度センサ6は、超音波プローブ1の寝台に対する位置と、超音波プローブ1の寝台に対する角度を検出する。そして、画像補正部16cは、磁気センサ4が算出した位置および角度の移動量を用いて、3次元造影像の補正処理を実行する。
【0119】
また、上記した実施例1および2では、操作者が指定した時点で生成された後期相の3次元組織像を用いて重畳表示用範囲の3次元組織像それぞれの移動量算出処理が行なわれる場合について説明した。しかし、上記した実施例1および2は、後期相にて新規に3次元組織像が生成されるごとに、当該3次元組織像を用いて重畳表示用範囲の3次元組織像それぞれの移動量算出処理が行なわれる場合であってもよい。これについて、図13を用いて説明する。なお、図13は、第三の変形例を説明するための図である。
【0120】
第三の変形例における超音波診断装置においては、後期相の3次元組織像および3次元造影像が新規に生成されるごとに、リアルタイムで移動量算出処理、補正処理、画像合成処理および表示制御処理が行なわれる。例えば、移動量算出部16bは、後期相となった時点以降に3次元組織像および3次元造影像が新規に生成されるごとに、新規に生成された後期相の3次元組織像と、重畳表示用範囲の3次元組織像それぞれとの移動量を算出する。そして、画像補正部16cは、重畳表示用範囲にある血管早期相の3次元組織像に対応する3次元造影像それぞれを、移動量算出処理に用いられた後期相の3次元組織像とともに生成された3次元造影像の位置と一致するように補正する。そして、動画合成部14bは、後期相の新規3次元造影像に、重畳表示用範囲の補正済み3次元造影像それぞれを合成する。そして、演算・制御回路15は、後期相の新規3次元造影像ごとに生成された動画用画像群をモニタ2にて動画表示するように制御する。これにより、モニタ2は、図13に示すように、後期相造影像1の動画用画像群、後期相造影像2の動画用画像群などを、リアルタイムで表示する。
【0121】
また、上記した実施例1および2では、移動量算出部16b、画像補正部16cおよび動画合成部14bの処理対象が、ボリュームスキャンによって生成されたデータ全体である場合について説明した。しかし、上記した実施例1および2は、移動量算出部16b、画像補正部16cおよび動画合成部14bの処理対象が、ボリュームスキャンによって生成されたデータのうち、操作者が設定した関心領域のみである場合であってもよい。
【0122】
また、上記した実施例1および2では、血管早期相における超音波画像が時系列に沿って複数選択される場合について説明した。しかし、上記した実施例1および2は、血管早期相における超音波画像が一つのみ選択される場合であってもよい。この場合、表示される合成画像は、静止画像となるが、適切な時点での血管早期相の造影像を選択することで、高精度の肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を効率よく行なうことが可能になる。
【0123】
また、上記した実施例1および2では、後期相の3次元造影像から生成された断面画像が画像合成の対象となる場合について説明した。しかし、上記した実施例1および2は、後期相の3次元造影像から生成されたレンダリング画像が画像合成の対象となる場合であってもよい。
【0124】
また、上記した実施例1および2では、ボリュームスキャンによって生成された3次元超音波画像を用いる場合について説明した。しかし、上記した実施例1および2は、適切な観察断面方向を探索することにより、2次元スキャンによって生成された2次元超音波画像を用いる場合であってもよい。
【0125】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
以上のように、本発明に係る超音波診断装置、画像処理装置、画像処理方法および画像表示方法は、超音波造影剤を投与した被検体に対して超音波プローブから送信した超音波の反射波に基づいて時系列に沿った複数の超音波画像を生成する場合に有用であり、特に、高精度の肝腫瘍の鑑別および悪性度診断を効率よく行なうことに適する。
【符号の説明】
【0127】
1 超音波プローブ
2 モニタ
3 入力装置
10 装置本体
11 送受信部
12 Bモード処理部
13 ドプラ処理部
14 画像処理回路
14a 画像生成部
14b 動画合成部
15 演算・制御回路
16 画像前処理部
16a 画像選択用GUI表示制御部
16b 移動量算出部
16c 画像補正部
17 内部記憶部
18 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の時相における造影像と、前記第一の時相とは異なる第二の時相における造影像とを重畳して所定の表示部に表示するように制御する表示制御部、
を備える、超音波診断装置。
【請求項2】
前記第一の時相は、血管早期相であり、前記第二の時相は、後期相である、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
超音波造影剤を投与した被検体に対して超音波プローブから送信した超音波の反射波に基づいて時系列に沿った複数の超音波画像の中で、前記超音波造影剤を投与した後の第一の時相における超音波画像と、前記第一の時相より後の時相である第二の時相における超音波画像との間における移動量を算出する移動量算出部と、
前記移動量算出部によって算出された移動量に基づいて、前記第一の時相における超音波画像を、前記第二の時相における超音波画像の位置と一致するように補正した補正画像を生成する画像補正部と、
前記画像補正部によって生成された前記補正画像と、前記第二の時相における超音波画像とを合成して合成画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部によって生成された前記合成画像を、所定の表示部に表示するように制御する表示制御部と、
を備える、超音波診断装置。
【請求項4】
前記移動量算出部は、前記超音波プローブから送信した前記超音波の送信周波数に相当する基本波を前記反射波から分離して生成された超音波画像である組織像を用いて前記移動量を算出し、
前記画像補正部および前記画像合成部は、前記送信周波数の分周波あるいは高調波を前記反射波から分離して生成された超音波画像である造影像を用いて、補正処理および画像合成処理を行なう、請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記移動量算出部は、前記第一の時相にて時系列に沿って既に生成された複数の造影像から操作者が所定の入力部を介して選択した選択造影像群に対応する組織像群である選択組織像群それぞれと、前記第二の時相の組織像との間における移動量をそれぞれ算出し、
前記画像補正部は、前記移動量算出部によって算出された前記選択組織像群ごとの移動量に基づいて、当該選択造影像群それぞれを、移動量算出処理に用いられた前記第二の時相の組織像に対応する造影像の位置と一致するように補正した補正造影像群を生成し、
前記画像合成部は、前記画像補正部によって生成された前記補正造影像群それぞれと、前記第二の時相の組織像に対応する造影像とを合成した合成画像群を生成し、
前記表示制御部は、前記画像合成部によって生成された前記合成画像群を、前記所定の表示部に動画表示するように制御する、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記移動量算出部は、前記第二の時相にて前記操作者が前記所定の入力部を介して指定した時点で生成された組織像を用いて移動量算出処理を行なう、または、前記第二の時相にて新規に組織像が生成されるごとに、当該組織像を用いて移動量算出処理を行なう、請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記移動量算出部は、操作者が所定の入力部を介して予め設定した選択期間にて生成された前記第一の時相における組織像群である選択組織像群それぞれと、前記第二の時相の組織像との間における移動量をそれぞれ算出し、
前記画像補正部は、前記移動量算出部によって算出された前記選択組織像群ごとの移動量に基づいて、当該選択組織像群に対応する造影像群である選択組織像群それぞれを、移動量算出処理に用いられた前記第二の時相の組織像に対応する造影像の位置と一致するように補正した補正造影像群を生成し、
前記画像合成部は、前記画像補正部によって生成された前記補正造影像群それぞれと、前記第二の時相の組織像に対応する造影像とを合成した合成画像群を生成し、
前記表示制御部は、前記画像合成部によって生成された前記合成画像群を、前記所定の表示部に動画表示するように制御する、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記移動量算出部は、前記第二の時相にて前記操作者が前記所定の入力部を介して指定した時点で生成された組織像を用いて移動量算出処理を行なう、または、前記第二の時相にて新規に組織像が生成されるごとに、当該組織像を用いて移動量算出処理を行なう、請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記移動量算出部は、前記第一の時相および前記第二の時相にて時系列に沿った複数の造影像および組織像が生成されたのちに、操作者が所定の入力部を介して選択した前記第一の時相における選択造影像群に対応する組織像群である選択組織像群それぞれと、前記操作者が前記所定の入力部を介して指定した前記第二の時相の造影像に対応する組織像との間における移動量をそれぞれ算出し、
前記画像補正部は、前記移動量算出部によって算出された前記選択組織像群ごとの移動量に基づいて、前記選択造影像群それぞれを、前記操作者が指定した前記第二の時相における造影像の位置と一致するように補正した補正造影像群を生成し、
前記画像合成部は、前記画像補正部によって生成された前記補正造影像群それぞれと、前記操作者が指定した前記第二の時相における造影像とを合成した合成画像群を生成し、
前記表示制御部は、前記画像合成部によって生成された前記合成画像群を、前記所定の表示部に動画表示するように制御する、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記超音波プローブにより前記超音波を3次元で走査して3次元の組織像および3次元の造影像を時系列に沿って生成する場合であって、
前記移動量算出部は、3次元の選択組織像群それぞれと、前記第二の時相の3次元の組織像との間における移動量をそれぞれ算出し、
前記画像補正部は、前記移動量算出部によって算出された前記3次元の選択組織像群ごとの移動量に基づいて、当該3次元の選択組織像群に対応する3次元の選択造影像群それぞれを、移動量算出処理に用いられた前記第二の時相の3次元の組織像に対応する3次元の造影像の位置と一致するように補正した3次元補正造影像群を生成し、
前記画像合成部は、任意に設定された設定断面に対応する前記3次元の造影像の断面画像および前記3次元補正造影像群それぞれの断面画像を合成した合成画像群、または、前記設定断面に対応する前記3次元の造影像の断面画像と前記3次元の補正造影像群それぞれとを合成した合成画像群を生成する、請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記移動量算出部は、前記第二の時相にて前記操作者が前記所定の入力部を介して指定した時点で生成された3次元の組織像を用いて移動量算出処理を行なう、または、前記第二の時相にて新規に3次元の組織像が生成されるごとに、当該3次元の組織像を用いて移動量算出処理を行なう、請求項10に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記超音波プローブにより前記超音波を3次元で走査して3次元の組織像および3次元の造影像を時系列に沿って生成する場合であって、
前記移動量算出部は、3次元の選択組織像群それぞれと、前記第二の時相の3次元の組織像との間における移動量をそれぞれ算出し、
前記画像補正部は、前記移動量算出部によって算出された前記3次元の選択組織像群ごとの移動量に基づいて、当該3次元の選択組織像群に対応する3次元の選択造影像群それぞれを、移動量算出処理に用いられた前記第二の時相の3次元の組織像に対応する3次元の造影像の位置と一致するように補正した3次元補正造影像群を生成し、
前記画像合成部は、任意に設定された設定断面に対応する前記3次元の造影像の断面画像および前記3次元補正造影像群それぞれの断面画像を合成した合成画像群、または、前記設定断面に対応する前記3次元の造影像の断面画像と前記3次元の補正造影像群それぞれとを合成した合成画像群を生成する、請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記移動量算出部は、前記第二の時相にて前記操作者が前記所定の入力部を介して指定した時点で生成された3次元の組織像を用いて移動量算出処理を行なう、または、前記第二の時相にて新規に3次元の組織像が生成されるごとに、当該3次元の組織像を用いて移動量算出処理を行なう、請求項12に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記超音波プローブにより前記超音波を3次元で走査して3次元の組織像および3次元の造影像を時系列に沿って生成する場合であって、
前記移動量算出部は、3次元の選択組織像群それぞれと、前記第二の時相の3次元の組織像との間における移動量をそれぞれ算出し、
前記画像補正部は、前記移動量算出部によって算出された前記3次元の選択組織像群ごとの移動量に基づいて、当該3次元の選択組織像群に対応する3次元の選択造影像群それぞれを、移動量算出処理に用いられた前記第二の時相の3次元の組織像に対応する3次元の造影像の位置と一致するように補正した3次元補正造影像群を生成し、
前記画像合成部は、任意に設定された設定断面に対応する前記3次元の造影像の断面画像および前記3次元補正造影像群それぞれの断面画像を合成した合成画像群、または、前記設定断面に対応する前記3次元の造影像の断面画像と前記3次元の補正造影像群それぞれとを合成した合成画像群を生成する、請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記画像合成部は、前記合成画像群を生成する際に、前記第一の時相における造影像と前記第二の時相における造影像との色調および/または透明度を変化させる、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
第一の時相における造影像と、前記第一の時相とは異なる第二の時相における造影像とを重畳して所定の表示部に表示するように制御する表示制御部、
を備える、画像処理装置。
【請求項17】
超音波造影剤を投与した被検体に対して超音波プローブから送信した超音波の反射波に基づいて時系列に沿った複数の超音波画像の中で、前記超音波造影剤を投与した後の第一の時相における超音波画像と、前記第一の時相より後の時相である第二の時相における超音波画像との間における移動量を算出する移動量算出部と、
前記移動量算出部によって算出された移動量に基づいて、前記第一の時相における超音波画像を、前記第二の時相における超音波画像の位置と一致するように補正した補正画像を生成する画像補正部と、
前記画像補正部によって生成された前記補正画像と、前記第二の時相における超音波画像とを合成して合成画像を生成する画像合成部と、
前記画像合成部によって生成された前記合成画像を、所定の表示部に表示するように制御する表示制御部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項18】
表示制御部が、第一の時相における造影像と、前記第一の時相とは異なる第二の時相における造影像とを重畳して所定の表示部に表示するように制御する、
ことを含む、画像処理方法。
【請求項19】
移動量算出部が、超音波造影剤を投与した被検体に対して超音波プローブから送信した超音波の反射波に基づいて時系列に沿った複数の超音波画像の中で、前記超音波造影剤を投与した後の第一の時相における超音波画像と、前記第一の時相より後の時相である第二の時相における超音波画像との間における移動量を算出し、
画像補正部が、前記移動量算出部によって算出された移動量に基づいて、前記第一の時相における超音波画像を、前記第二の時相における超音波画像の位置と一致するように補正した補正画像を生成し、
画像合成部が、前記画像補正部によって生成された前記補正画像と、前記第二の時相における超音波画像とを合成して合成画像を生成し、
表示制御部が、前記画像合成部によって生成された前記合成画像を、所定の表示部に表示するように制御する、
ことを含む、画像処理方法。
【請求項20】
超音波造影剤を投与した後の第一の時相における超音波画像と、前記第一の時相より後の時相である第二の時相における超音波画像との間の移動量に基づいて、前記第一の時相における超音波画像を前記第二の時相における超音波画像の位置と一致するように補正した補正画像を生成するステップと、
前記補正画像と、前記第二の時相における超音波画像とを合成した合成画像を生成するステップと、
前記合成画像を表示するステップと、
を含む、画像処理方法。
【請求項21】
超音波造影剤を投与した後の第一の時相における超音波画像と前記第一の時相より後の時相である第二の時相における超音波画像との間の移動量に基づいて、前記第一の時相における超音波画像を前記第二の時相における超音波画像の位置と一致するように補正した補正画像と、前記第二の時相における超音波画像とを合成した合成画像を表示する画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−15952(P2011−15952A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108582(P2010−108582)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】