説明

超音波診断装置、超音波画像生成プログラム及び超音波画像生成方法

【課題】 簡便な方法により所望の3次元画像を抽出して表示することが可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】 断層像20上で、胎児の画像21に沿うようにROIマーカ23を設定する。このROIマーカ23は関心領域(ROI)を表すものであり、断層像データのXY直交座標系に対して斜めに設定される。画像生成範囲算出部が、そのROIマーカ23で表される範囲を含むとともに、XY直交座標系に平行な範囲を求め、その範囲を画像生成範囲25とする。ボクセルデータ生成部が、画像生成範囲25に含まれる断層像データを用いてリサンプリング処理を行ってボクセルデータを生成する。画像生成部が、そのボクセルデータに基づいて3次元画像データを生成し、画像抽出部が、関心領域以外の範囲の座標の画素値を「0」にする。これにより、胎児の形状に沿った3次元画像が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波診断装置にて3次元画像を生成し、関心領域(ROI)内の3次元画像を抽出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の体内を撮影する装置として、X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置等の画像診断装置が用いられている。上記に挙げた画像診断装置のなかでも、超音波診断装置は小型で非侵襲性であり、被検体のX線被爆がないため、特に胎児の発育診断等には必要不可欠な装置となっている。
【0003】
超音波診断装置に備えられている超音波プローブは、超音波振動子が走査方向に1次元的に配列され、電子的な遅延制御に超音波の送受信を行なって、被検体の断層像(2次元画像)を収集するものが一般的である。
【0004】
また、近年になって2次元の断層像の撮影のみならず、3次元画像の撮影及び表示が実用化され、臨床の場において利用されつつある(例えば、特許文献1)。例えば、揺動機構を備えた1次元超音波プローブを機械的に揺動させることにより、スキャン面に直交する方向(揺動方向)の複数枚の断層像データ(Bモード画像データ)を収集し、それにより3次元画像を生成している。
【0005】
例えば、超音波振動子を揺動させて複数枚の断層像データ(Bモード画像データ)を収集した場合、複数枚の断層像データに対してリサンプリングという補間処理を施すことにより3次元情報としての3次元ボリュームデータ(ボクセルデータ)を生成し、そしてこのボクセルデータに対してボリュームレンダリング等の処理を施すことにより3次元画像データが生成される。収集された複数の断層像データは、それぞれ異なる座標系上にあるため、共通の座標系で表されるボクセルデータを再構成する必要がある。超音波プローブの位置や角度を位置センサで計測しておき、その位置や角度を基に、共通の座標系上のボクセル値を近傍の断層像データの画素値により補間して求め、ボクセルデータを生成する(リサンプリング処理)。
【0006】
さらに、処理時間を短縮するために、3次元画像として表示したい関心部位だけの3次元画像を抽出して表示することが行われている。この場合、画像を抽出して表示したい範囲を示す関心領域(ROI)を設定し、ボクセルデータからその関心領域(ROI)内のデータを抽出して、その関心領域(ROI)内の3次元画像を生成している。
【0007】
以上のような3次元画像を収集することができる超音波診断装置を用いて、産科において母体内の胎児を観察することが行われている。3次元画像を表示して胎児を観察する場合においても、関心部位としての胎児の3次元画像を抽出して表示することが行われている。従来においては、胎児の3次元画像を表示する場合、2次元の断層像に含まれる胎児の画像を観察しながら、その胎児の画像が含まれるように3次元画像用の関心領域(ROI)を設定し、その後、リサンプリング処理により生成されたボクセルデータから関心領域(ROI)内のデータを抽出して、関心領域(ROI)内の3次元画像を生成していた。これにより、胎児の画像が含まれる3次元画像が生成され、表示されることになる。
【0008】
上記の関心領域(ROI)の設定について、図6を参照しつつ説明する。図6は従来技術における関心領域(ROI)の設定方法を説明するための図であり、図6(a)は、2次元情報としての断層像を示す図であり、図6(b)は、切断平面の設定を説明するための断層像を示す図である。
【0009】
例えば、図6(a)に示すように、胎児の画像21が含まれる断層像20を表示装置のモニタ画面上に表示し、操作者はその断層像20を観察しながら、その胎児の画像21が含まれるように、関心領域(ROI)を表す矩形状のROIマーカ23を指定する。この矩形状のROIマーカ23は、断層像20を表すためのXY直交座標軸に平行に設定されるものであった。なお、図6(a)には、胎児を包み込む羊膜の画像22が示されている。このように、XY直交座標軸に平行な矩形状のROIマーカ23が設定されると、複数枚の断層像データに対してリサンプリング処理を施してボクセルデータを生成し、そのボクセルデータからROIマーカ23で表された関心領域(ROI)内のデータを抽出して、関心領域(ROI)内の3次元画像を生成していた。
【0010】
2次元画像上で設定されたROIマーカ23で表される関心領域(ROI)に含まれる3次元画像が生成され、表示装置のモニタ画面上に3次元画像が表示される。この3次元画像には、胎児の3次元画像が含まれているが、胎児を包み込む羊膜の3次元画像も含まれ、モニタ画面上に表示される。例えば、矢印Aの方向から胎児の3次元画像を観察したい場合には、矢印Aの方向が正面を向いて表示されるように3次元画像の表示方向を変える。ところが、胎児は羊膜に包まれているため、矢印Aの方向が正面を向くように3次元画像の表示方向を変えると、胎児の3次元画像の手前側に羊膜の画像が存在するため、その羊膜の画像が遮蔽物となり、観察したい胎児の3次元画像を観察することができなくなってしまう。
【0011】
つまり、2次元画像において、XY直交座標軸に平行な矩形状のROIマーカ23を設定して、その範囲に含まれる3次元画像を抽出しているため、観察したい胎児の3次元画像の他に、遮蔽物となる羊膜の画像も抽出されてしまい、その結果、胎児の3次元画像のみを抽出して表示することができなかった。通常、胎児の画像はXY直交座標軸に対して斜めに表示されているため、胎児が含まれるように、XY直交座標軸に平行な矩形状のROIマーカ23を設定すると、胎児以外の部分も関心領域(ROI)に含まれてしまい、胎児の3次元画像のみを抽出して表示することができなかった。
【0012】
そのため、余計な画像を除去して胎児の3次元画像のみを表示するために、関心領域(ROI)を設定した後に、図6(b)に示すように、所定の平面(切断平面)24を胎児に沿って設定していた。そして、ROIマーカ23で表される関心領域(ROI)に含まれる3次元画像を抽出したときに、切断平面24を境にして、胎児の画像が含まれる領域23Aの外側の領域23Bに含まれる画像を除去していた。除去された領域では、例えば、画素値を「0」にする。これにより、矢印Aの方向が正面を向いて表示されるように3次元画像の表示方向を変えた場合であっても、領域23Aに含まれる3次元画像は除去されているため、その領域23Aに含まれる羊膜の画像は表示されず、矢印Aの方向から胎児の3次元画像を観察することができる。
【0013】
【特許文献1】特開2001−190552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、遮蔽物となる羊膜の画像などを除去するために切断平面24を設定するためには、断層像20上に切断平面24を表示して、上下方向(Y方向)及び左右方向(X方向)の位置と、胎児に対する角度を変えて切断平面24を設定する必要があった。この作業は操作者が行う必要があり、遮蔽物を除去して胎児の3次元画像を表示するためには、斜めに表示されている胎児に対して平行になるように切断平面24を設定する必要があるが、その設定は非常に煩雑な作業であるため、簡便に目的の3次元画像(上記の例では、胎児の3次元画像)のみを抽出して表示することができなかった。さらに、この切断平面24の設定には熟練した技量を要するため、短時間で精度良く目的の画像(上記の例では、胎児の3次元画像)を表示できず、診断時間が長くなるおそれもある。また、切断平面24の設定は操作者の技量に依存するため、操作者によっては胎児の3次元画像のみが表示されるように切断平面24を設定できないおそれもある。
【0015】
この発明は上記の問題を解決するものであり、関心領域を含むとともに断層像を表す座標軸に平行な画像生成範囲を求め、その画像生成範囲に含まれる3次元画像を抽出し、その3次元画像から関心領域の範囲に含まれる画像以外の画像を除去して表示することにより、簡便に関心領域に含まれる3次元画像を抽出して表示することが可能な超音波診断装置、超音波画像生成プログラム及び超音波画像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の発明は、超音波振動子をスキャン面に直交する方向に揺動させながら超音波の送受信を行うことにより、揺動方向に複数の断層像データを収集するスキャン手段と、前記断層像データに対して関心領域を設定する関心領域設定手段と、前記関心領域に外接し、前記断層像データの座標軸に平行な画像生成範囲を求める画像生成範囲算出手段と、前記揺動方向に収集された複数の断層像データ全てについて、前記断層像データの前記画像生成範囲に含まれるデータを前記揺動方向に積み重ねて3次元ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成手段と、前記3次元ボリュームデータに基づいて3次元画像データを生成し、前記3次元画像データから前記関心領域に含まれる3次元画像データを抽出する3次元画像生成手段と、前記抽出された3次元画像を表示する表示手段と、を有することを特徴とする超音波診断装置である。
【0017】
例えば、胎児の3次元画像を抽出して観察したい場合に、断層像上で胎児の向きに沿った関心領域(ROI)が設定されると、画像生成範囲算出手段は、その関心領域に外接する範囲を求め、その範囲を画像生成範囲とする。その画像生成範囲は、断層像を表すための座標軸と平行になるように求められる。例えば、断層像が直交座標上にある場合は、その直交座標軸に平行になるような矩形状の画像生成範囲が求められる。胎児の向きがその直交座標に対して斜めになっている場合に、その向きに沿って関心領域が設定された場合も、その関心領域に外接し、直交座標軸に平行な画像生成範囲が求められる。ボリュームデータ生成手段は、その画像生成範囲に含まれる断層像データを用いて、リサンプリング処理を行うことにより、3次元ボリュームデータを生成する。そして、3次元画像生成手段は、3次元ボリュームデータから3次元画像データを生成する際に、関心領域に含まれるデータを抽出する。これにより、胎児の形状に沿った3次元画像を生成し、表示することが可能となる。従って、従来のように、余計な画像を除去するために切断平面を指定する作業が必要ないため、簡便な作業で所望の3次元画像を抽出して表示することが可能となる。なお、関心領域(ROI)は操作者によって指定されるものであり、その位置や形状を任意に変えることができるものである。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記座標軸は直交座標軸であり、前記設定された関心領域は矩形状の形状を有し、前記画像生成範囲算出手段は、各辺が前記矩形状の関心領域の各頂点に接し、前記直交座標軸に平行な矩形状の画像生成範囲を求めることを特徴とするものである。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の超音波診断装置であって、前記3次元画像生成手段は、前記画像生成範囲内であって、前記関心領域以外の範囲の3次元画像を除去することにより、前記関心領域に含まれる3次元画像データを抽出することを特徴とするものである。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の超音波診断装置であって、前記3次元画像生成手段は、前記画像生成範囲内であって、前記関心領域以外の範囲に含まれる3次元画像データの画素値を「0」にすることにより、前記関心領域に含まれる3次元画像データを抽出することを特徴とするものである。
【0021】
請求項5に記載の発明は、超音波振動子をスキャン面に直交する方向に揺動させながら超音波の送受信を行うことにより、揺動方向に複数の断層像データを収集する超音波診断装置に、前記断層像データに対して関心領域を設定する関心領域設定機能と、前記関心領域に外接し、前記断層像データの座標軸に平行な画像生成範囲を求める画像生成範囲算出機能と、前記揺動方向に収集された複数の断層像データ全てについて、前記断層像データの前記画像生成範囲に含まれるデータを前記揺動方向に積み重ねて3次元ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成機能と、前記3次元ボリュームデータに基づいて3次元画像データを生成し、前記3次元画像データから前記関心領域に含まれる3次元画像データを抽出する3次元画像生成機能と、前記抽出された3次元画像を表示手段に表示させる表示機能と、を実行させることを特徴とする超音波画像生成プログラムである。
【0022】
請求項6に記載の発明は、超音波振動子をスキャン面に直交する方向に揺動させながら超音波の送受信を行うことにより、揺動方向に収集された複数の断層像データに基づいて3次元画像データを生成する超音波画像生成方法であって、関心領域設定手段が、前記断層像データに対して関心領域を設定する関心領域設定ステップと、画像生成範囲算出手段が、前記関心領域に外接し、前記断層像データの座標軸に平行な画像生成範囲を求める画像生成範囲算出ステップと、ボリュームデータ生成手段が、前記揺動方向に収集された複数の断層像データ全てについて、前記断層像データの前記画像生成範囲に含まれるデータを前記揺動方向に積み重ねて3次元ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成ステップと、3次元画像生成手段が、前記3次元ボリュームデータに基づいて3次元画像データを生成し、前記3次元画像データから前記関心領域に含まれる3次元画像データを抽出する3次元画像生成ステップと、を含むことを特徴とする超音波画像生成方法である。
【発明の効果】
【0023】
この発明によると、観察したい診断部位の形状に沿った3次元画像を生成して表示することが可能となる。また、従来のように、あらためて切断平面を設定する必要がないため、操作が簡便になり、短時間で精度良く目的の3次元画像を表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態に係る超音波診断装置、超音波画像生成プログラム及び超音波画像生成方法について、図1乃至図5を参照しつつ説明する。
【0025】
(構成)
この発明の実施形態に係る超音波診断装置の構成について、図1を参照しつつ説明する。図1は、この発明の実施形態に係る超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【0026】
この発明の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1、送受信部2、信号処理部3、DSC4、3次元画像生成部5、表示制御部6、表示装置7、関心領域(ROI)設定部8及び操作部9を備えて構成されている。
【0027】
超音波プローブ1は、超音波を送受信する超音波振動子が走査方向に1次元的に配列された1次元超音波プローブからなり、走査(スキャン)することによって超音波を送受信し、被検体からの反射波をエコー信号として受信する。1次元超音波プローブには揺動機構としてモータが設置されており、そのモータにより超音波振動子が走査方向に直交する方向(揺動方向)に揺動させられて、揺動方向の複数枚の断層像データを収集し、それら複数枚の断層像データを用いることにより、3次元画像データが生成される。換言すると、超音波振動子はスキャン面に直交する方向に揺動させられて、その揺動方向の複数枚の断層像データを収集する。また、超音波プローブ1として、超音波振動子がマトリックス(格子)状に配置された2次元超音波プローブを用いても良い。2次元超音波プローブの場合は、走査(スキャン)することによって3次元的に超音波を送受信し、プローブの表面から放射状に広がる形状の3次元データをエコー信号として受信する。
【0028】
送受信部2は送信部と受信部とからなり、超音波プローブ1に電気信号を供給して超音波を発生させるとともに、超音波プローブ1が受信したエコー信号を受信する。
【0029】
送受信部2内の送信部は、図示しないクロック発生回路、送信遅延回路、及びパルサ回路を備えている。クロック発生回路は、超音波信号の送信タイミングや送信周波数を決めるクロック信号を発生する回路である。送信遅延回路は、超音波の送信時に遅延を掛けて送信フォーカスを実施する回路である。パルサ回路は、各超音波振動子に対応した個別経路(チャンネル)の数分のパルサを内蔵し、遅延が掛けられた送信タイミングで駆動パルスを発生し、超音波プローブ1の各超音波振動子に供給するようになっている。
【0030】
また、送受信部2内の受信部は、図示しないプリアンプ回路、A/D変換回路、及び受信遅延・加算回路を備えている。プリアンプ回路は、超音波プローブ1の各超音波振動子から出力されるエコー信号を受信チャンネルごとに増幅する。A/D変換回路は、増幅されたエコー信号をA/D変換する。受信遅延・加算回路は、A/D変換後のエコー信号に対して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算する。その加算により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。なお、この送受信回路3によって加算処理された信号を「RFデータ(または、生データ)」と称する。
【0031】
信号処理部3は、Bモード処理回路、ドプラ処理回路、及びカラーモード処理回路を備えている。送受信部2から出力されたRFデータは、いずれかの処理回路にて所定の処理を施される。
【0032】
Bモード処理回路は、エコーの振幅情報の映像化を行い、エコー信号からBモード超音波ラスタデータを生成する。具体的には、RFデータに対してバンドパスフィルタ処理を行い、その後、出力信号の包絡線を検波し、検波されたデータに対して対数変換による圧縮処理を施す。その他、エッジ強調等の処理が行われる場合もある。このBモード処理回路で生成されるデータをBモード超音波ラスタデータという。
【0033】
ドプラ処理回路は、位相検波回路及びFFT演算回路等から構成され、RFデータからドプラ偏移周波数成分を取り出し、更にFFT処理等を施して血流情報を有するデータを生成する。
【0034】
カラーモード処理回路は、動いている血流情報の映像化を行い、カラー超音波ラスタデータを生成する。血流情報には、速度、分散、パワー等の情報があり、血流情報は2値化情報として得られる。具体的には、カラーモード処理回路は、位相検波回路、MTIフィルタ、自己相関器、及び流速・分散演算器から構成されている。このカラーモード処理回路は、組織信号と血流信号とを分離するためのハイパスフィルタ処理(MTIフィルタ処理)が行われ、自己相関処理により血流の移動速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。その他、組織信号を低減及び削減するための非線形処理が行われる場合もある。
【0035】
DSC4(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)は、直交座標系で表される画像を得るために、超音波ラスタデータを直交座標で表されるデータに変換する。DSC4は、上述した信号処理部3から出力された走査線信号列で表される信号処理後のデータを空間情報に基づいた座標系のデータに変換する(スキャンコンバージョン処理)。つまり、超音波走査に同期した信号列をテレビ走査方式の表示装置7で表示できるようにするために、標準のテレビ走査に同期して読み出すことにより走査方式を変換している。
【0036】
Bモード処理回路から出力されたデータに対してスキャンコンバージョン処理が施されると、被検体の組織形状を2次元情報として表す断層像データ(Bモード画像データ)が生成される。この2次元情報の断層像データ(Bモード画像データ)は、表示制御部6を介して表示装置7に出力され、表示装置7のモニタ画面上に2次元の断層像として濃淡表示される。
【0037】
さらにこのDSC4は、画像生成範囲算出部41及びボクセルデータ生成部42を備えて構成されており、生成した複数の断層像データに対してリサンプリングという補間処理を施すことにより3次元ボリュームデータ(ボクセルデータ)を再構成する。画像生成範囲算出部41は、ROI設定部8から出力されたROIマーカが示す関心領域(ROI)に外接し、断層像を表すためのXY直交座標軸に平行な矩形状の範囲を生成する。この平行な矩形状の範囲が画像生成範囲となる。ボクセルデータ生成部42は、画像生成範囲算出部41から矩形状の範囲を示す画像生成範囲データを受けて、複数の断層像データに対してリサンプリングという補間処理を行う。このとき、ボクセルデータ生成部42は、矩形状の範囲を示す画像生成範囲データに基づいて、その矩形状の範囲内のデータをリサンプリングして矩形状の範囲に対応するボクセルデータを生成する。このDSC4の具体的な処理内容については後述する。
【0038】
3次元画像生成部5は、DSC4から出力されたボクセルデータに対してボリュームレンダリングを施して3次元画像データを生成する。3次元画像生成部5によって生成された3次元画像データは、表示制御部6を介して表示装置7に出力されて表示される。3次元画像生成部5は、操作者によって超音波画像を生成すべき領域を示す関心領域(ROI)が設定されてROI設定部8からROIマーカデータが送られると、そのROIマーカが示す範囲内のデータを抽出して関心領域(ROI)の3次元画像を生成する。
【0039】
具体的には、この3次元画像生成部5は、画像生成部51及び画像抽出部52を備えて構成されている。画像生成部51は、DSC4のボクセルデータ生成部42からボクセルデータを受けて、ボリュームレンダリング処理により3次元画像データを生成する。ボクセルデータ生成部42から、矩形状の範囲に対応するボクセルデータが出力されている場合は、矩形状の範囲内の3次元画像データが生成されることになる。画像抽出部52は、画像生成部51により生成された3次元画像データのうち、ROIマーカが示す関心領域(ROI)外の画像を除去する。つまり、画像抽出部52は、ROIマーカが示す関心領域(ROI)外にある座標の画素値を「0」にする。そして、3次元画像生成部5は、関心領域(ROI)外にある座標の画素値が「0」となった3次元画像データを、表示制御部6を介して表示装置7に出力する。この3次元画像生成部5の具体的な処理内容については後述する。
【0040】
なお、ボリュームレンダリングは、ボクセルデータに対して所定の視線方向(投影光線の投影方向)を決めて、任意の視点から光線追跡処理を行い、視線上のボクセル値(輝度値等)の積分値や重み付き累積加算値を投影面上の画像ピクセルに出力することによって、臓器等を立体的に抽出して3次元画像を生成するものである。
【0041】
ボリュームレンダリングによる画像は、ボクセルデータを特定の視点をもとに特定の方向を有する投影光線を貫くことによって、その投影光線に垂直な投影面に投影されたピクセルに基づいて生成される。投影光線によって貫かれた各ボクセル値により積分値や重み付き累積加算値が計算され、この得られた積分値や重み付け加算値がピクセルに格納される。そして、最終的には、ボクセル値が格納されたピクセルが複数個集まることによって、3次元画像が生成される。
【0042】
表示制御部6は、DSC4又は3次元画像生成部5から断層像データ又は3次元画像データを受け、表示装置7に断層像又は3次元画像を表示させる。また、表示装置7は、断層像と3次元画像を同時に表示することもできる。さらに、後述するROI設定部8から出力されたROIマーカデータを受けて、断層像データにそのROIマーカデータを合成して表示装置7に出力し、表示装置7のモニタ画面上において断層像と関心領域を表すROIマーカとを重畳させて表示させる。
【0043】
表示装置7はCRTや液晶ディスプレイなどのモニタからなり、そのモニタ画面上に断層像、3次元画像又は血流情報などが表示される。
【0044】
ROI設定部8は、ROIマーカ生成部81、位置情報生成部82及びROIマーカ記憶部83を備えて構成されている。ROIマーカ生成部81は、表示装置7のモニタ画面上に表示されるROIマーカを生成する。ROIマーカ記憶部83に所定の形状及び所定の大きさを有する初期設定のROIマーカデータを記憶しておく。そして、操作部9から関心領域(ROI)設定の指示を受けると、ROIマーカ記憶部83に記憶されている初期設定のROIマーカデータを読み込み、DSC4、3次元画像生成部5及び表示制御部6に出力する。この初期設定のROIマーカデータは、表示装置7のモニタ画面上において所定の位置に表示される。さらに、ROIマーカ生成部81は、操作部9からの指示に従って、読み込んだ初期設定のROIマーカの形状及び大きさを変更する。
【0045】
位置情報生成部82は、操作部9のポインティングデバイスなどにより、表示装置7のモニタ画面上におけるROIマーカの位置や方向の変更指示がなされた場合に、表示装置7のモニタ画面上でROIマーカを表示させる座標を求める。ROIマーカ生成部81により生成されたROIマーカデータにその座標データが付され、DSC4、3次元画像生成部5及び表示制御部6に出力され、表示装置7のモニタ画面上では、所定の位置にROIマーカが表示される。
【0046】
ROIマーカ記憶部83は、ROMなどのメモリやハードディスクなどからなり、初期設定のROIマーカデータが記憶されている。
【0047】
操作部9は、ジョイスティックやトラックボールなどのポインティングデバイス、スイッチ、各種ボタン、キーボード又はTCS(Touch Command Screen)などが備えられ、超音波の送受信条件などに関する各種設定が操作者により入力される。この操作部9で入力された情報は制御部(図示しない)に送られ、制御部はその情報に従って超音波診断装置の各部の制御を行なう。
【0048】
例えば、表示装置7のモニタ画面上に関心領域(ROI)の範囲を表すROIマーカを表示させる場合、操作者が表示装置7のモニタ画面を観察しながらポインティングデバイスなどを操作することにより、モニタ画面上に表示されているROIマーカの位置や向きなどを変更することができる。
【0049】
また、超音波診断装置には制御部(図示しない)と記憶部(図示しない)とが設けられている。制御部はCPUからなり、超音波診断装置の各処理部に接続されて、ROMなどからなるメモリに記憶されている超音波診断装置の制御プログラムや超音波画像生成プログラムなどを実行することにより、各処理部の制御を行う。記憶部は、ROMなどのメモリやハードディスクなどからなり、信号処理部3、DSC4又は3次元画像生成部5により生成された各データが保存されている。さらに、記憶部には、超音波診断装置の各種設定条件、超音波診断装置の制御プログラム、超音波画像生成プログラムなどが記憶されている。
【0050】
(動作)
次に、この発明の実施形態に係る超音波診断装置の動作(超音波画像生成方法)について図2乃至図5を参照しつつ説明する。図2は、この発明の実施形態に係る超音波診断装置1の動作を順番に示すフローチャートである。この実施形態においては、胎児の画像を収集する場合について説明する。
【0051】
超音波プローブ1により被検体(この例においては母体)に対して超音波を送信し、被検体(母体)からの反射波を受信してDSC4により2次元情報としての母体及び胎児の断層像データを生成する(ステップS01)。具体的には、超音波プローブ1として1次元超音波プローブを用いた場合は、被検体(母体)からの反射波を2次元データのエコー信号として受信する。送受信部2に入力されたエコー信号は、送受信部2の受信部にて受信チャンネルごとに増幅された後、受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与えられ、更に加算されてRFデータが生成される。信号処理部3に入力されたRFデータは、Bモード処理回路により処理が施されて2次元のBモード超音波ラスタデータが生成される。そして、2次元のBモード超音波ラスタデータは、DSC4によりスキャンコンバージョン処理が施されて、直交座標系で表される2次元情報としての断層像データ(Bモード画像データ)に変換される。
【0052】
このようにして生成された2次元情報としての断層像データが表示制御部6を介して表示装置7に出力され、表示装置7のモニタ画面上に母体及び胎児の断層像が表示される。また、DSC4にて生成された断層像データは、記憶部(図示しない)に保存される。
【0053】
この実施形態においては、さらに、上記のスキャンが繰り返し行なわれている間に、超音波プローブ1の超音波振動子を機械的に揺動させることにより、2次元のスキャン面の位置を少しずつ移動させ、揺動方向に複数の断層像データを収集する。
【0054】
表示装置7のモニタ画面上に表示される断層像の1例を図3に示す。図3は、この発明の実施形態に係る超音波診断装置により収集された断層像を示す図であり、3次元画像用の関心領域(ROI)の設定範囲を説明するための図である。
【0055】
図3に示すように、表示装置7のモニタ画面上には、2次元情報としての断層像20が表示されている。この断層像20は、XY直交座標系で表される。断層像20には胎児を示す断層像21が含まれている。さらに、この断層像20には、胎児の断層像21の周りに羊膜の断層像22が表示されている。このように、母体内の胎児の周りには羊膜が存在するため、胎児の全体像を収集すると胎児の周りある羊膜までも画像として表示される。このような状態で複数枚の断層像データから3次元画像を再構成して表示する場合、その羊膜の画像が遮蔽物となって、本来、観察したい胎児を表示して観察することができない。
【0056】
そこで、3次元画像において胎児の画像のみが表示されるように、関心領域(ROI)の設定を行う。その関心領域(ROI)を設定するために、操作者は操作部9を操作することにより、関心領域(ROI)設定の命令を超音波診断装置に与える。操作部9から操作情報がROI設定部8に出力される。ROI設定部8のROIマーカ生成部81は、その関心領域(ROI)設定命令を受けると、ROIマーカ記憶部83に記憶されている初期設定のROIマーカデータを読み込んで、そのROIマーカデータをDSC4、3次元画像生成部5及び表示制御部6に出力する。
【0057】
表示制御部6は、ROIマーカデータを受けると、断層像データと合成して表示装置7に出力し、表示装置7のモニタ画面上にROIマーカを断層像に重畳させて表示させる(ステップS02)。例えば、図3に示すように、断層像20上にROIマーカ23が重畳されて表示されることになる。このROIマーカ23は、観察したい部位の画像を抽出する領域を表している。初期設定のROIマーカ23は、矩形状の形状を有しているが、操作者によって任意の形状に変化させても良い。
【0058】
そして、操作者は表示装置7のモニタ画面上に表示されている胎児の断層像21を観察しながら、ROIマーカ23内に胎児の断層像21が含まれるように、操作部9を操作することによりROIマーカ23を移動又は回転させる(ステップS03)。
【0059】
操作者が操作部9のポインティングデバイスなどを操作することにより、ROIマーカ23をモニタ画面上で、上下又は左右方向に移動させたり、図3に示すように、矢印Bの方向に移動させたり、矢印Cの方向に回転させたりして、ROIマーカ23に胎児の断層像21が含まれるようにするとともに、胎児の向きに沿ってROIマーカ23を設定する。
【0060】
操作者は、表示装置7のモニタ画面上に表された胎児の断層像21とROIマーカ23を観察しながら、操作部9のポインティングデバイスなどを操作することにより、ROIマーカ23内に胎児の断層像21が含まれ、さらに、胎児の方向に沿うようにROIマーカ23の位置及び方向を変更する。操作部9により入力された操作情報は、ROI設定部8の位置情報生成部82に出力される。位置情報生成部82は、操作部9からの操作情報に従って、表示装置7のモニタ画面上にROIマーカ23を表示させる位置の座標を算出する。なお、位置情報生成部82は、XY直交座標系で表される座標を算出する。そして、位置情報生成部82により求められた座標データがROIマーカデータに付されて表示制御部6に出力される。なお、座標データが付されたROIマーカデータは、DSC4及び3次元画像生成部5にも出力される。表示装置7のモニタ画面上においては、その座標に対応した位置にROIマーカ23が表示される。上記の操作及び処理により、ROIマーカ23は表示装置7のモニタ画面上にて移動及び回転させられる。
【0061】
例えば、図3に示すように、胎児の断層像21を含ませるとともに、胎児の画像21以外の余計な画像が含まれないように、胎児の向きに沿ってROIマーカ23を設定する。この例においては、XY直交座標軸に対して胎児の断層像21は斜めの方向を向いており、斜め方向を向いた胎児の画像に沿って関心領域が設定されるように、ROIマーカ23をXY直交座標軸に対して斜めに設定する。
【0062】
座標データが付されたROIマーカデータは、DSC4及び3次元画像生成部5にも出力される。そして、DSC4の画像生成範囲算出部41は、ROI設定部8から出力されたROIマーカデータを受けて、ROIマーカが示す関心領域(ROI)に外接し、断層像のXY直交座標軸に平行な矩形状の範囲を求める(ステップS04)。画像生成範囲算出部41により求められた矩形状の範囲が画像生成範囲となり、ボクセルデータ生成部42は、複数の断層像データ全てについて、その画像生成範囲が示す矩形状の範囲内にあるデータを用いてリサンプリング処理を行ってボクセルデータを再構成する(ステップS05)。
【0063】
ここで、ステップS04において画像生成範囲算出部41が画像生成範囲を求める処理について、図4を参照しつつ説明する。図4は、設定された関心領域(ROI)の範囲から、3次元画像を生成する画像生成範囲を求める処理を説明するための図である。
【0064】
画像生成範囲算出部41は、ROIマーカ23に外接し、断層像のXY直交座標軸に平行な矩形状の画像生成範囲25を求める。具体的には、画像生成範囲算出部41は、各辺がROIマーカ23の各頂点24に接するような矩形状の範囲を求め、その範囲を画像生成範囲25となる。この実施形態においては、ROIマーカ23の4つの頂点24がそれぞれ、矩形状の画像生成範囲25の各辺に接している。この画像生成範囲25がボクセルデータを生成する範囲になる。なお、この画像生成範囲25のデータを表示制御部6を介して表示装置7に出力し、表示装置7のモニタ画面上に画像生成範囲25を示すマーカを表示するようにしても良い。
【0065】
そして、ボクセルデータ生成部42は、揺動方向の複数の断層像データ全てについて、断層像データのうち画像生成範囲25内にあるデータを用いてリサンプリング処理を施してボクセルデータを再構成する(ステップS05)。複数の断層像データは各々異なる座標系上にあるため、ボクセルデータ生成部42は、共通の座標系上のボクセル値を近傍の断層像データの画素値より補間することにより求め、ボクセルデータを生成する。このとき、断層像データのうち、画像生成範囲25内にあるデータを用いてボクセルデータを生成する。
【0066】
なお、XY直交座標軸に対して斜めに設定された関心領域から、直接、ボクセルデータを生成しようとすると、リサンプリング処理が複雑になるため、ボクセルデータ生成に要する時間が長くなり、その結果、超音波診断装置のリアルタイム性が阻害されるおそれがある。そこで、この実施形態に係る超音波診断装置においては、XY直交座標軸に対して斜めに関心領域が設定された場合であっても、一旦、XY直交座標軸に平行な画像生成範囲25を求め、その範囲内のデータからボクセルデータを生成することとしている。このように、XY直交座標軸に平行な画像生成範囲25内のデータからボクセルデータを生成することで、リサンプリング処理を単純にすることができ、その結果、ボクセルデータ生成に要する時間を短くし、超音波診断装置のリアルタイム性が阻害されずに3次元画像を生成することができる。
【0067】
ボクセルデータ生成部42にて生成されたボクセルデータは、3次元画像生成部5の画像生成部51に出力される。画像生成部51は、そのボクセルデータに対してボリュームレンダリング処理を施して3次元画像データを生成し、画像抽出部52に出力する(ステップS06)。
【0068】
画像抽出部52は、画像生成部51により生成された3次元画像データを受け、更に、ROI設定部8から出力されたROIマーカデータを受けて、3次元画像データのうち、関心領域(ROI)以外の範囲にある画像を除去する(ステップS07)。例えば、画像抽出部52は、関心領域(ROI)以外の範囲にある座標の画素値を「0」にする。つまり、関心領域(ROI)に含まれる画像のみを表示し、関心領域(ROI)以外の画像が表示されないようにするために、関心領域(ROI)以外の範囲にある座標の画素値を「0」にする。図4に示す画像生成範囲25においては、ROIマーカ23が示す範囲に含まれる画像のみを表示するために、斜線で示す領域にある画像データの値を「0」にする。
【0069】
そして、画像抽出部52から、関心領域(ROI)内の3次元画像データが表示制御部6を介して表示装置7に出力され、表示装置7のモニタ画面上に関心領域(ROI)の3次元画像が表示される。この実施形態においては、胎児の3次元画像が表示される。また、胎児以外の部位が含まれないように胎児に沿って関心領域(ROI)を設定しているため、関心部位(この例においては胎児)の3次元画像を表示することが可能となる。
【0070】
従来においては、関心部位としての胎児の画像以外に、羊膜の画像も表示されていまい、胎児の画像を観察するため羊膜の画像を除去していたが、この実施形態に係る超音波診断装置によれば、羊膜の画像を除去するために切断平面を設定する必要がないため、煩雑な操作を省略することができる。また、切断平面の設定は熟練した技量が求められるが、この実施形態に係る超音波診断装置によると、簡便に関心部位の画像を抽出して表示することが可能となる。
【0071】
さらに、断層像を表すXY直交座標軸に対して斜めに関心領域が設定された場合に、斜めの関心領域に含まれるデータから、直接、ボクセルデータを生成すると、リサンプリング処理が複雑になるため、その計算の分だけ、ボクセルデータ生成に要する時間が長くなり、超音波診断装置のリアルタイム性が阻害されるおそれがある。この実施形態のように、XY直交座標軸に対して平行な範囲に含まれるデータからボクセルデータを生成することにより、断層像データからボクセルデータへのリサンプリング処理が複雑にならないため、ボクセルデータ生成に要する時間が長くならず、超音波診断装置のリアルタイム性を阻害することがない。つまり、この実施形態によると、ボクセルデータを生成するための計算量が少なくて済むため、データ作成時間が短くなり、リアルタイム性が阻害されない時間で3次元画像データを生成することが可能となる。例えば所定時間ごとに複数の3次元画像データを生成して、いわゆる動画として表示する場合であっても、リアルタイム性が阻害されないため、操作者が動画として認識できる。
【0072】
また、この実施形態においては、断層像20上に矩形状のROIマーカ23を表示し、矩形状の関心領域(ROI)を設定したが、関心領域(ROI)の形状は、操作者によって任意に変更することができる。例えば、図5に示すように、ROIマーカ26が曲線を有する形状であっても良い。この場合も、画像生成範囲算出部41は、曲線形状のROIマーカ26に外接し、断層像のXY直交座標軸に平行な矩形状の画像生成範囲28を求める。図5に示す例においては、ROIマーカ26と画像生成範囲28とは、接点27において接している。このように、ROIマーカ26に外接する画像生成範囲28を求める。そして、複数の断層像データ全てについて、断層像データのうち、その画像生成範囲28内にあるデータからボクセルデータを生成し、更にボリュームレンダリング処理を施して3次元画像データを生成する。そして、その3次元画像データのうち、関心領域(ROI)以外の範囲の画像データを「0」にすることにより、関心領域(ROI)内に含まれる3次元画像を抽出し、表示装置7のモニタ画面上に表示する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】この発明の実施形態に係る超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施形態に係る超音波診断装置の動作を順番に示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施形態に係る超音波診断装置により収集された断層像を示す図であり、3次元画像用の関心領域(ROI)の設定範囲を説明するための図である。
【図4】設定された関心領域(ROI)の範囲から、3次元画像を生成する画像生成範囲を求める処理を説明するための図である。
【図5】設定された関心領域(ROI)の範囲から、3次元画像を生成する画像生成範囲を求める処理を説明するための図である。
【図6】超音波診断装置により収集された断層像を示す図であり、従来において設定された関心領域(ROI)の範囲を説明するための図である。
【符号の説明】
【0074】
1 超音波プローブ
2 送受信部
3 信号処理部
4 DSC(デジタルスキャンコンバータ)
5 3次元画像生成部
6 表示制御部
7 表示装置
8 ROI設定部
9 操作部
41 画像生成範囲算出部
42 ボクセルデータ生成部
51 画像生成部
52 画像抽出部
81 ROIマーカ生成部
82 位置情報生成部
83 ROIマーカ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子をスキャン面に直交する方向に揺動させながら超音波の送受信を行うことにより、揺動方向に複数の断層像データを収集するスキャン手段と、
前記断層像データに対して関心領域を設定する関心領域設定手段と、
前記関心領域に外接し、前記断層像データの座標軸に平行な画像生成範囲を求める画像生成範囲算出手段と、
前記揺動方向に収集された複数の断層像データ全てについて、前記断層像データの前記画像生成範囲に含まれるデータを前記揺動方向に積み重ねて3次元ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成手段と、
前記3次元ボリュームデータに基づいて3次元画像データを生成し、前記3次元画像データから前記関心領域に含まれる3次元画像データを抽出する3次元画像生成手段と、
前記抽出された3次元画像を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記座標軸は直交座標軸であり、
前記設定された関心領域は矩形状の形状を有し、
前記画像生成範囲算出手段は、各辺が前記矩形状の関心領域の各頂点に接し、前記直交座標軸に平行な矩形状の画像生成範囲を求めることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記3次元画像生成手段は、前記画像生成範囲内であって、前記関心領域以外の範囲の3次元画像を除去することにより、前記関心領域に含まれる3次元画像データを抽出することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記3次元画像生成手段は、前記画像生成範囲内であって、前記関心領域以外の範囲に含まれる3次元画像データの画素値を「0」にすることにより、前記関心領域に含まれる3次元画像データを抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
超音波振動子をスキャン面に直交する方向に揺動させながら超音波の送受信を行うことにより、揺動方向に複数の断層像データを収集する超音波診断装置に、
前記断層像データに対して関心領域を設定する関心領域設定機能と、
前記関心領域に外接し、前記断層像データの座標軸に平行な画像生成範囲を求める画像生成範囲算出機能と、
前記揺動方向に収集された複数の断層像データ全てについて、前記断層像データの前記画像生成範囲に含まれるデータを前記揺動方向に積み重ねて3次元ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成機能と、
前記3次元ボリュームデータに基づいて3次元画像データを生成し、前記3次元画像データから前記関心領域に含まれる3次元画像データを抽出する3次元画像生成機能と、
前記抽出された3次元画像を表示手段に表示させる表示機能と、
を実行させることを特徴とする超音波画像生成プログラム。
【請求項6】
超音波振動子をスキャン面に直交する方向に揺動させながら超音波の送受信を行うことにより、揺動方向に収集された複数の断層像データに基づいて3次元画像データを生成する超音波画像生成方法であって、
関心領域設定手段が、前記断層像データに対して関心領域を設定する関心領域設定ステップと、
画像生成範囲算出手段が、前記関心領域に外接し、前記断層像データの座標軸に平行な画像生成範囲を求める画像生成範囲算出ステップと、
ボリュームデータ生成手段が、前記揺動方向に収集された複数の断層像データ全てについて、前記断層像データの前記画像生成範囲に含まれるデータを前記揺動方向に積み重ねて3次元ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成ステップと、
3次元画像生成手段が、前記3次元ボリュームデータに基づいて3次元画像データを生成し、前記3次元画像データから前記関心領域に含まれる3次元画像データを抽出する3次元画像生成ステップと、
を含むことを特徴とする超音波画像生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−218210(P2006−218210A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36522(P2005−36522)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】