説明

超音波診断装置並びにストレスエコー閲覧装置及びストレスエコー閲覧プログラム

【課題】ストレスエコー検査結果に基づいて、ストレスエコー検査の終了後でも、部位の状態の変化量を定量的に認識又は視認可能な技術を提供する。
【解決手段】複数種類のストレスエコー検査においては前記部位に1又は該複数種類に応じたストレスを該種類毎に複数検査段階に分けて付与する毎に、データ取得部100がデータ取得部被検体に超音波を送り、その反射波を受けて被検体の部位の状態を表す複数種類のパラメータの値を求、記憶部10は、データ取得部が取得した各パラメータの値をストレスエコー検査の種類別に、パラメータの種類別に、かつ検査段階別に識別可能に記憶する。そして、操作部16によってストレスエコー検査の種類を指定して検査結果の閲覧要求を受けたとき、表示制御部200は、指定ストレスエコー検査のパラメータの値を記憶部から読み出して、各検査段階とする2次元画面上に前記パラメータの値を一覧表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に超音波を送り、その反射波を受けて被検体の部位の状態を計測する超音波診断装置並びにストレスエコー閲覧装置及びストレスエコー閲覧プログラムに関する。特に、複数種類のストレスエコー検査においては被検体の部位に負荷の大きさ(ストレス、以下、「負荷」と言う。)を複数検査段階に変化させて付与するとともに、その負荷を付与する度に超音波により部位の状態を計測する超音波診断装置において、上記の計測で、各検査段階における、部位の状態を表す複数種類のパラメータを取得し、複数種類のパラメータを分類保存し、そのパラメータの変動を容易に認識できるようにした技術に係る。
【背景技術】
【0002】
例えば、ストレスエコー検査では、通常の安静状態では発現しない心機能の低下を、運動あるいは薬剤により心臓に負荷を与えることで虚血状態を発生させる。これにより、心室や心房、特に左心室の収縮機能や拡張機能に変化が生じるため、血管の狭窄部位や心機能の低下領域を診断することができる(特許文献1を参照)。また、重症度を診断するために心臓への負荷状態は段階的に設定され、これらは検査段階、フェーズあるいはステージと呼ばれる(以下、「フェーズ」と言う。)。
【0003】
診断においては、心臓の壁運動をリアルタイムあるいは動画を観察あるいは数値的解析をすることによって、その変化量を定性的あるいは定量的に評価することで判断が行われる。数値的解析評価は心壁の動きを直接解析する方法や、心室の体積や変化率などを求める計測、もしくは血流速の解析など、心臓全体又は局部における評価が従来から行われている。
【0004】
特許文献1に記載の超音波診断装置では、複数種類の負荷の大きさを複数のフェーズ毎に変化させて、部位に与えてストレスエコー検査を行っている。特許文献1に記載に記載のように、例えば、負荷には運動負荷や、薬物(ドブタミン)負荷がある。運動負荷に基づくストレスエコー検査の代表的な例としては、「負荷前」→「負荷中(ピーク負荷時)」→「負荷後(リカバリ)」という3フェーズのそれぞれで部位の計測が行われる。また薬物負荷に基づくストレスエコー検査における代表的な例としては、「負荷前」→「10γ負荷」→「20γ負荷」→「30γ負荷」→「40γ負荷(peak負荷時)」→「負荷後(リカバリ)」という6フェーズのそれぞれで部位の計測が行われる。この例に限られないが、ストレスエコー検査の最小限のフェーズ数は、負荷前と負荷中(例えば、ピーク負荷)の2フェーズとなる。
【0005】
そして、上記超音波診断装置では、各フェーズの計測時に超音波を用いて取得された部位の画像の局所部位における運動や歪みを解析して、部位の状態を表す複数種類のパラメータの値を算出する。つまり、各フェーズ毎に局所部位における運動や歪みに関する複数種類のパラメータの値を算出している。そこで、隣り合うフェーズのパラメータの値の差を求める等の比較を行うことにより、局所部位の運動状態を表すデータを得ている。
【特許文献1】特開平2006−26151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術は、1種類のストレスエコー検査を実行したときに、各フェーズにおける各パラメータを求めて、変化量を算出している。そしてその種類のストレスエコー検査の検査結果の一覧表示、或いは一覧出力ができるようにされていた。しかしながら、ストレス検査が終了後に、或いは、他日に画像を読影しレポートを作成しようとしたときに、例えば、ある薬物負荷Aのフェーズ1〜6のストレスエコー検査の検査結果から、フェーズ2を基準にして、フェーズ4〜6の変化量を定量的に把握することを希望しても、そのような処理が困難であった。つまり、検査結果から個別にパラメータを出力させる構成にされていなかったので、例えば、薬物負荷Aのフェーズ2のパラメータを個別に取り出すことができなかった。
【0007】
結果として、上記従来技術では、特定種類のパラメータについて、所望の形式で変化量を認識、もしくは視認できるようにすることは困難であった。
【0008】
本発明の目的は、ストレスエコー検査をした検査結果に基づいて、例えば、ストレスエコー検査の終了後にレポート等を作成するときであっても、部位の状態の変化量を定量的に認識又は視認可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、被検体に超音波を送り、その反射波を受けて被検体の部位の状態を表す複数種類のパラメータの値を求めるデータ取得部と、複数種類のストレスエコー検査においては前記部位に1又は該複数種類に応じたストレスを該種類毎に複数検査段階に分けて付与して、通常検査においてはストレスを付与することなく、各種類のパラメータの値を前記データ取得部に取得させる制御を行う制御部と、を備えた超音波診断装置であって、前記ストレスエコー検査において前記データ取得部が取得した各パラメータの値を前記ストレスエコー検査の種類別に、該パラメータの種類別に、かつ前記検査段階別に識別可能に記憶する記憶部と、表示部と、操作部と、該操作部によって前記ストレスエコー検査の種類を指定して検査結果の閲覧要求を受けたとき、該指定された種類のストレスエコー検査の前記パラメータの値を前記記憶部から読み出して、前記表示部に対して、一方のアイテムを前記パラメータの種別、他方のアイテムを前記指定されたストレス検査における各検査段階とする2次元画面上に前記パラメータの値を一覧表示させる一覧表示制御手段を有する表示制御部と、を備えた。
【0010】
請求項7に記載の発明は、被検体の部位に1又は複数種類のストレスを該種類毎に複数検査段階に分けて付与して、各検査段階で複数種類の部位の状態を表すパラメータを求めるための複数種類のストレスエコー検査を行う検査手順と、ストレスを付与することなく通常検査を行う検査手順と、を有する制御部と、表示部と、操作部と、記憶部と、前記制御部から前記操作部で指定された種類のストレスエコー検査の検査手順を受けて、前記部位へ超音波を送り、その反射波を受けて前記受けた検査手順に基づいて被検体の部位の状態を表す前記複数種類のパラメータの値を求める計測部と、少なくとも前記ストレスエコー検査において該計測部で取得した各パラメータの値を前記指定されたストレスエコー検査の種類別に、該パラメータの種類別に、かつ検査段階別に識別可能にタグを付して前記記憶部に記憶させるデータ管理部と、を有するデータ取得手段と、前記操作部によって過去に終了している前記ストレスエコー検査の種類を指定して検査結果の閲覧要求を受けたとき、前記記憶部に記憶されている前記各パラメータのタグを参照して、該指定された種類のストレスエコー検査の各検査段階の各パラメータの値を読み出して、前記表示部に対して、一方のアイテムを前記パラメータの種別、他方のアイテムを前記指定されたストレスエコー検査における各検査段階とする2次元画面に前記パラメータの値を一覧表示させる一覧表示制御手段を有する表示制御部と、を備えた。
【0011】
請求項8に記載の発明は、被検体の部位にストレスを複数検査段階に亘って付与して、各検査段階について超音波診断装置により超音波によるストレスエコー検査を行って取得した該部位の状態を表す複数種類のパラメータの値を、前記ストレスエコー検査の種類別に、該パラメータの種類別に、かつストレスエコー検査の検査段階別に識別可能に記憶する記憶部と、表示部と、操作部と、該操作部によって前記ストレスエコー検査の種類を指定して検査結果の閲覧要求を受けたとき、該指定された種類のストレスの前記パラメータの値を前記記憶部から読み出して、前記表示部に対して、一方のアイテムを前記パラメータの種別、他方のアイテムを前記指定されたストレスエコー検査における各検査段階とする2次元画面に前記パラメータの値を一覧表示させる一覧表示制御手段を有する表示制御部と、を備えた。
【0012】
請求項9に記載の発明は、コンピュータに対して、被検体の部位にストレスを複数検査段階に亘って付与して、各検査段階について超音波診断装置により超音波を用いたストレスエコー検査を行って取得された該部位の変動を表す複数種類のパラメータの値を受けて、前記ストレスエコー検査の種類別に、該パラメータの種類別に、かつストレスエコー検査の検査段階別に識別可能に記憶させ、該操作部によって前記ストレスエコー検査の種類を指定して検査結果の閲覧要求を受けたとき、該指定された種類のストレスの前記パラメータの値を前記記憶部から読み出して、表示部に、一方のアイテムを前記パラメータの種別、他方のアイテムを前記指定されたストレスエコー検査における各検査段階とする2次元画面に前記パラメータの値を一覧表示させる構成とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明よれば、検査結果(パラメータの値)をストレスエコー検査の種類別に、フェーズ別に、そしてパラメータの種類別に分類して、又はタグ(識別子)を付して記憶しているので、後で、読み出して利用できる。また、表示部に対して、一方のアイテムをパラメータの種別、他方のアイテムを負荷の各フェーズとする表形式の表示に、パラメータの値を表示するので、部位の状態変化を定量的に認識できる(請求項1,7)。
【0014】
各フェーズにおけるパラメータの値が、基準範囲か、それよりオーバになっているか、アンダーになっているか、その傾向も認識可能であり、かつ絶対値的に(計測時のそのままの数値で)、或いは相対的に(特定のフェーズのパラメータの値を基準に)認識できる(請求項2,3)。
【0015】
また、又、グラフ表示により、絶対値的にも、或いは相対的にも各フェーズにおけるパラメータの値の変化量を直接に視認できる(請求項4,5,6)。
【0016】
さらには、検査結果を計測手段を持たないストレスエコー閲覧装置で利用できる(請求項8)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る超音波診断装置並びにストレスエコー閲覧装置及びストレスエコー閲覧プログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、超音波診断装置の実施形態の機能構成を示す図である。なお、ストレスエコー閲覧装置は、図1の一部に含まれており、ストレスエコー閲覧プログラムは、ストレスエコー閲覧装置の実行機能を実現するプログラムであり、それらの機能については、図1を基に説明する。図2は検査手順の構成を説明するための図である。図3は、パラメータの値の一覧表示の例を示す図である。図4は、パラメータの値の変化を表すグラフ表示の一例を示す図である。図5は、パラメータの値の変化を表すグラフ表示の他の一例を示す図である。図6は、計測の一連の動作を示すフロー図である。
【0018】
図1において、データ取得部100は、計測部50及びデータ管理部9で構成される。中でも、計測部50は、超音波プローブ2,送信部3,受信部4、パラメータ算出部7、画像生成部11、及びデータ管理部9で構成される。このデータ取得部100は、データ管理部9を除き従来技術である。また、このデータ取得部100は、計測制御部18によって制御される。先ずこの従来技術から簡単に説明する。
【0019】
超音波プローブ2 は、複数の振動子セルが集積された超音波振動子(図示しない)を内蔵し、この超音波振動子から発生する超音波を被検体1内に超音波ビームとして送信し、その反射波を受信する。この超音波プローブ2に対して、送信部3が計測制御部18から送信条件の指示を受けて、その送信条件にあった、所定の高電圧パルスを所定の遅延時間を有するタイミングで各振動子セルに順次印加して駆動することで、各振動子セルに超音波ビームを発生させる。一方、超音波振動子の各振動子セルが被検体1内から反射してくる超音波ビームの反射波を受けて電気の信号(以下、「受信信号」と言う。)に変換して受信部4へ送る。受信部4は、計測制御部18から予め受信条件の指示を受けており、その受信条件で、受信信号を受ける。つまり、受信部4は、受信信号を受けてプリアンプでゲイン補正を受けた後にA/D変換する。A/D変換されたデータはバスを介して一時的にメモリ(不図示)に必要なタイミングで書き込みや読み出しが行われる。更に受信部4では上記メモリから前記データを読み出した後、データを整相加算し、最終的にBモード処理部5やドプラー処理部6に送信する。Bモード処理部5及びドプラー処理部6はそれぞれBモード画像構成用、ドプラーモード画像構成のための処理を行い、処理した画像データを表示制御部200内の画像生成部11にデータを送信する。このとき同時に上記画像メモリ11aに処理した画像を格納する。画像生成部11で用いる画像データは、各種処理を施すために画像メモリ11aに一時的に格納しており、バスを介して必要時にデータの読み込みや書き込み行う。そして、画像生成部11でD / A 変換してアナログデータへ変換して表示制御部200へ送り、表示部17の画面に超音波画像として表示させる。
【0020】
一方、超音波診断装置による循環器の検査においては心時相の特定や、指定された心時相の画像の保存、指定された心拍数の動画保存が必要とされる。そのため、生体の心電情報であるECG信号を取得するために超音波診断装置内にはECGユニット19が設置される。ECGユニット19につながれたECGアタッチメント20を検査対象の被検体1に接触させ、ECGアタッチメント20により被検体1内の微弱な電気信号を取得し、ECGユニット19のアンプ(図示しない)でECG信号を増幅させ、特に信号の強いR波と呼ばれる信号を検出する。各部で取り扱うデータをこのR波で同期をとるためである。この増幅されたECG信号はバスを介して画像メモリ11aに格納される。その後、計測制御部18は、Bモード処理部5やドプラー処理部6と同期制御を行い、画像メモリ11aから同期を受けたBモード画像やドプラーモード画像とECG信号を読み出し、画像生成部11にて合成し、合成した画像を表示部17に表示させる。したがって、各画像は時間的に同期した画像、例えばR波の発生タイミングにおける画像を取得できる。又、計測制御部18は、操作部16により入力されたユーザからの要求に応じてECG信号をもとに画像保存や動画保存を制御する。
【0021】
計測制御部18は、プログラムとそれを実行するCPUで構成され、超音波診断装置の全体を統括して制御するとともに、主に、次の(1)(2)の機能を実行する。
(1)計測制御部18は、図2に示すような検査をデータ取得部100等に実行させるための検査プロトコル(以下、「検査手順」という。)を有し、操作部16から操作者により選択(指定)された検査手順で、各部に指示を出す。図2で、ノーマル検査は部位に負担をかけることなく、部位の形状や血流速度等の状態を計測する場合である。ストレスエコー検査は、既に記載したように、部位に負荷をかけた状態での部位の状態を計測する検査であるストレスエコー検査においては、操作部16からの指示で検査手順A、検査手順B、検査手順Cのいずれかを実行する。検査手順A、検査手順B、検査手順Cとは、部位に与える負荷の種類や、かけ方、計測の仕方等によってそれぞれに設けた検査手順である。例えば、上記したように運動負荷、薬物負荷によって、手順を分けてある。更に各検査手順には、部位に負荷を与える順に、つまりフェーズの順に分けて計測手順が作成されている。そして、各フェーズが操作部16で指定されたのを受けて、パラメータ算出部7に対して、そのフェーズで計測された画像を解析して部位の状態を示すパラメータを算出させる。
【0022】
(2)分類タグを発生し、データ管理部9へ送る。
計測制御部18は、検査の種類、フェーズが操作部16から指定されたときに、上記(1)の制御を行うとともに、上記のようにノーマル検査かストレスエコー検査か分類するタグ、どのフェーズかを示すタグを、データ管理部9へ送り、パラメータ算出部7が算出した各パラメータの値に対してそれらのタグを付させる。
例えば、図2に示すように、ノーマル検査の実行指示を受けたときは、タグ「00」を発生させる。ストレスエコー検査の実行指示を受けた場合は、検査手順の指定と、フェーズの指定とがなされるので、ストレスエコー検査、検査手順B、フェーズ1の指定があれば、「B1」(Bはストレスエコー検査の検査手順Bを示し、「1」はフェーズを示す。)を発生させる。
なお、パラメータ算出部7は、フェーズ指定があると計測を行いパラメータを算出するが、パラメータの算出は、後記するようにパラメータを算出するアプリケーションソフトを実行して行うことから、自己がどの種類のパラメータを算出しているか認識しているので、計算したパラメータの値に、自己が認識しているパラメータの種類を表すタグP1、P2、・・のいずれかを付して、データ管理部9へ送る。
データ管理部9は、計測制御部18から受けた分類タグと、パラメータ算出部7から受けたパラメータの種類を示すタグとを合わせ分類タグを付して、記憶部10へ記憶させる。例えば、今、パラメータ算出部7からパラメータの値とともにその種類を示すタグP1を受けて、かつ計測制御部18から受けた分類タグB1であれば、分類タグ「B1−P1」として発生し、そのパラメータの値に付す。図2では、上記のようにタグの内、A1〜An、B1〜Bm、C1〜Ckは検査の種類、計測手順及びフェーズを分類しており、P1、P2、・・はパラメータの種類を分類しているタグである。
(3)送受信部の送受信条件を制御する。
計測制御部18は、各フェーズで計測するときに、送信部3、受信部4に対して、送信時の繰り返し周期、超音波ビームの強さ、送信時の遅延、受信時の遅延、整相等の送受診時のデータ処理の条件を制御する。これらは予め制御計画として予め記憶して置いても良いし、その記憶している制御計画を操作部16から修正指示を受けて、修正された制御計画で制御しても良い。
【0023】
図1で、パラメータ算出部7は、Bモード処理部5,或いは/及びドプラー処理部6からの計測対象とする部位の画像データを受けて、その部位の状態を示すパラメータを算出する。部位の状態を示すパラメータとしては、各種のものがあるが、典型的な例としては、部位の長さ、面積、部位の変化の速度、時間などがある。
【0024】
パラメータ算出部7は、既に上記したように画像データから計測対象とする部位の状態を示すパラメータを算出する各種のアプリケーションソフトを有し、それらをCPUで実行することで、機能を達成している。つまり、各アプリケーションのプロトコルでパラメータの値を算出し、そのパラメータの値とアプリケーションソフトで特定されるパラメータの種類を付して、データ管理部9へ送る。パラメータ算出は、アプリケーションソフト行うが全て自動で行う訳ではなく、面積のパラメータを求めるために操作部16と表示部17を使って、表示されている画像上に曲線で求める面積の範囲を指定する等の操作者の作業も含まれている。パラメータ算出機能そのものは、特許文献1と同様の技術であり、従来技術であるので省略する。
【0025】
データ管理部9は、上記(2)で説明したように、計測制御部18から受けた分類タグと、パラメータ算出部7から受けたパラメータの種類を示すタグとを合わせ分類タグを付して、記憶部10へ記憶させる。図1では、パラメータ算出部7とデータ管理部9を別個のブロックとして示しているが一緒でも良い。つまり、具体的には例えば、各種類のパラメータを計算する各アプリケーションソフトのパラメータ値を算出するプログラムの後に、計測制御部18から受けるであろう分類タグを変数Xとして、その変数Xと自己が計算するパラメータの種類(例えば、「P1」)を合成したタグ(「X−P1」)を計算したパラメータの値に付すコマンドを設けておいて、パラメータの値を計算した後に、計測制御部18から実際に受けたフェーズを示す変数値X=B1を基に、「X−P1」をタグ「B1−P1」として付すことができる。ノーマル検査の場合は、変数値X=00を受けるので、「00−P1」と付すことができる。
【0026】
したがって、記憶部10は、前記ノーマル検査、ストレスエコー検査等の検査の種類毎に、ストレスエコー検査の場合は、ストレスエコー検査の種類毎(検査手順毎に)に、及びフェーズ毎に、かつパラメータの種類毎に、タグで識別できるようにして記憶している。記憶部10は、画像メモリ11aと兼ねても良い。
【0027】
図1で表示制御部200は、一覧表示制御手段12、評価表示制御手段13、グラフ生成手段14及びインタフェース制御手段15とを備えている。インタフェース制御手段15は、操作部16及び表示部17と共に、ユーザインタフェースを構成し、内部構成と、操作部16と、表示部17との間の情報のインタフェースを司る。例えば、表示部17に表が複数項目が一覧表示されているときに、所望の項目上にマーカが設定可能にされ、かつ操作部16で確定キー(或いはクリック)を設定するとその項目が選択され、選択された項目を内部の要部に伝達する等の機能を有する。なお、この実施形態の各部の動作説明では、各部と操作部16等の情報の交換では、インタフェース制御手段15については説明を省略する。
【0028】
一覧表示制御手段12は、操作部16から、一覧表示の要求と、ノーマル検査、ストレス検査の検査種類の指定、ストレスエコー検査の種類(図2の検査手順の種類)の指定を受けて、記憶部10を検索し、各指定に一致するタグのパラメータの値を読み出し、予め備えていた一覧表示フォーマットに読み出したパラメータの値を埋め込んで表示部17に表示させる。パラメータの値は、縦方向のアイテムをパラメータの種類、横方向のアイテムをフェーズの順序とする座標空間をフォーマットに、該当するアイテムに埋めるように表示させる。その例を図3に示す。図3で、「Measure」は、通常の表示タグ001を示す(図2のノーマル検査を示すタグに該当)。「Stress」は、ストレスエコー表示タグ002(図2のストレスエコー検査を示すタグ)で、図3はこの「ストレス」が選択指示され、かつストレスエコーのプロトコル選択プルダウンメニュー003で「プロトコルA」(図2の検査手順Aに該当)が選択指定されている。横軸方向の「Rest」「10mcg」「20mcg」はフェーズ005であって、それぞれ図2のフェーズA1,フェーズA2,フェーズA3(m=3)に該当する。図中の縦軸は、パラメータの種類を表す項目を記号で示すとともに、パラメータの値の単位を示している。例えば図中の、EDVは左心室の拡張期の体積、ESVは収縮期の体積、SVはEDV−ESV、EF(Ejection Fraction)は(SV/EDV)×100を示す。そして図中の計測値表示エリア007に該当するパラメータの値を表示している。
【0029】
評価表示制御手段13は、操作部16により指定されたフェーズのパラメータの値を含む範囲を基準範囲とする閾値と、その基準範囲より値が大きくなる方向に1又は複数の範囲についての閾値と、その基準範囲より値が小さくなる方向に1又は複数の範囲についての閾値と、を各パラメータの種類毎に有し、これらの閾値と各フェーズのパラメータの値とを比較して、パラメータの値が属する範囲を決定して、その範囲であることを他の範囲と識別して視認できるように表示する。評価表示制御手段13は、識別表示としては、比較判定の結果が属することとなった範囲のパラメータの値を表す文字の色もしくは形状、又は、その文字の背景の色、模様もしくは形状のいずれか1つ又はそれらの組み合わせ、を前記範囲毎に異なって表示することにより、識別して視認可能とする。この表示の一例は、表示部17に上記一覧表示されているときに、該当するパラメータの値が表示される欄を、その値が属する範囲を識別する色(或いは模様で、印でも良い。)で塗りつぶして表示する。この例を図3で示す。図3は、上記のように一覧表示している図であるが、フエーズ1の「Rest」のパラメータの値が属する範囲を基準として、各パラメータ値を属する範囲の色で色分け表示(図3は、出願用図面は色で示せないので模様で仮に示している。)している。パラメータの属する範囲(図3では、パラメータの6つ範囲に分けている。少なくとも標準、アンダー、オーバの3つの範囲があることが好ましい)と色分けについては、図2の中央の上の方に、計測値の変動割合を示すカラーバー004に示してある。したがって、色の違いにより、フェーズ1のパラメータの値に比べ、変動の大小が直接的に認識できる。また、具体的な識別表示の例としては、基準値の色を黒とし、基準値に対して増大する値については、暖色系の明るい色へ段階的に変化させ、逆に値が減少する場合は、寒色形の明るい色へ段階的に変化させることができる。
【0030】
なお、図3のパラメータの値は算出された値そのまま、つまり絶対値で示しているが、どのパラメータの値がどの範囲に属するかは、各範囲も基準の範囲で基準化しておき、各パラメータの値も指定されたフェーズのパラメータの値で各フェーズにおけるパラメータの値で割算して基準化して、相対的に比較判断することができる。
なお、図3では、フェーズ1「Rest」が比較上での基準として指定されたが、他のフェーズ2,3のいずでも操作部16により指定できる。
【0031】
グラフ生成手段14は、操作部16から、グラフ表示の要求と、ノーマル検査、ストレス検査の検査種類の指定、ストレスエコー検査の種類(図2の検査手順の種類)及びパラメータの種類の指定を受けて、それらを基に記憶部10を検索し、各指定に一致するタグのパラメータの値を読み出し、横軸をフェーズの順、縦軸を各パラメータの値の大きさとする座標上に各パラメータの値をプロットしてグラフを表示部17に表示させる。グラフ生成手段14は、図3及び図4,図5は、図3の一覧表示の各パラメータの項目の左端に設けられたグラフ表示のための計測パラメータ選択用チェックボックス006に操作部16でチェックされた種類のパラメータが選択されることにより、それらのパラメータのグラフを生成する。グラフ生成手段14は、一覧表示制御手段12等からは独立して実行できる構成することもできる。
【0032】
図4は、そのグラフの一例で、チェックボックスで、EDV、ESV、EF、EDV2及びESV2が選択され、下段の「Graph」キーがクリックされたときに、グラフ生成手段14が作成したグラフを、一覧表示の上に重ね表示させた例である。この場合のグラフは横軸がフェーズ順である、縦軸は各フェーズの各パラメータの値をフェーズ1のパラメータの値で基準化したときの、割合(比の値)の大きさを示す(割合を%表示しても良い。)。この場合は、各種類のパラメータの変化が同一座標上で視覚認識できる。図5は、パラメータの値を基準化することなく、絶対値の大きさで表示している。したがって、グラフ生成手段14は、指定されたパラメータの種類毎にグラフを生成する。なお、基準化するにあたっては、例えば、フェーズ1のパラメータの値と各フェーズのパラメータの値との差をフェーズ1のパラメータの値で割って基準化する方法であっても良い。
【0033】
次に計測の一連の動作について図6を用いて説明する。一部、上記、構成・動作の説明と重なることがある。
【0034】
ステップS1:パワーオン後、表示制御部200は、検査の操作案内の表示部17に表示して、操作者の選択を待つ。
ステップS2:操作者が検査の種類を選択する。検査がストレスエコー検査の場合は、検査手順も選択する。なお、これらの選択に伴い、計測部50の送受信条件等を入力し、設定することがある。
ステップS3:ストレス検査である場合は、ステップS4を実行し、そうない場合は、ステップ10のノーマル検査を実行する。
【0035】
ステップS4:検査がストレスエコー検査の場合は、そのフェーズの案内画面を表示する。なお、ストレス検査の検査手順が選択されると、フェーズ数mも決定される。
ステップS5:操作者は、フェーズを選択する。最初はフェーズk=1を選択する。
ステップS6、S7:データ取得部100は、フェーズ1の検査を実行する。そのとき、操作者は、フェーズに見合った負荷の調整・変更を実行するとともに、計測に必要な実行に必要な情報(例えば、体積を算出する部位の範囲、等)を操作部16から入力する。
【0036】
ステップS8:データ取得部100によって計測し、算出された各パラメータの値をデータ管理部9が、選択された検査の種類、検査手順の種類、フェーズ、及び算出したパラメータの種類で特定できるように分類タグを付して、記憶部10に記憶させる。
【0037】
ステップS9:計測制御部18は、現在のフェーズ順kを知って、予定されたフェーズ数mと一致するかどうか判断し、一致しなければステップS4へ戻って、k=mになるまで全フェーズ数の検査を行う。
ステップS10:計測制御部18は、ノーマル検査が選択された場合は、それをノーマル検査の検査手順に基づいて実行する。実行した後は、算出した各パラメータの値はステップS8で分類タグを付して記憶させる。但し、この場合は、ステップS9をパスする(k=m=1)。
ステップS11:計測制御部18は、全フェーズ数まで検査が済めば検査を終了する。
【0038】
上記の構成・動作から本実施形態は、部位の状態を示すパラメータを取得時に分類して保存する構成であるから、計測終了後のいつでも読みみだして表示できる。表示にあたっては、基準に対する状態の変動をグラフ化して表示できるので、変動が直接的、定量的に把握できる。
【0039】
したがって、例えば、心機能診断にあたっては、見落としがを防止できるとともに、定性的に、定量的に、効率よく評価できる。診断効率も改善される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】超音波診断装置の実施形態の機能構成を示す図である。
【図2】検査手順の構成を説明するための図である。
【図3】パラメータの値の一覧表示の例を示す図である。
【図4】パラメータの値の変化を表すグラフ表示の一例を示す図である。
【図5】パラメータの値の変化を表すグラフ表示の他の一例を示す図である。
【図6】計測の一連の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0041】
1 被検体
2 超音波プローブ
3 送信部
4 受信部
5 Bモード処理部
6 ドプラー処理部
7 パラメータ算出部
9 データ管理部
10 記憶部
11 画像生成部
12 一覧表示制御手段
13 評価表示制御手段
14 グラフ生成手段
15 インタフェース制御手段
16 操作部
17 表示部
18 計測制御部
100 データ取得部
200 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に超音波を送り、その反射波を受けて被検体の部位の状態を表す複数種類のパラメータの値を求めるデータ取得部と、複数種類のストレスエコー検査においては前記部位に1又は該複数種類に応じたストレスを該種類毎に複数検査段階に分けて付与して、通常検査においてはストレスを付与することなく、各種類のパラメータの値を前記データ取得部に取得させる制御を行う制御部と、を備えた超音波診断装置であって、
前記ストレスエコー検査において前記データ取得部が取得した各パラメータの値を前記ストレスエコー検査の種類別に、該パラメータの種類別に、かつ前記検査段階別に識別可能に記憶する記憶部と、
表示部と、操作部と、
該操作部によって前記ストレスエコー検査の種類を指定して検査結果の閲覧要求を受けたとき、該指定された種類のストレスエコー検査の前記パラメータの値を前記記憶部から読み出して、前記表示部に対して、一方のアイテムを前記パラメータの種別、他方のアイテムを前記指定されたストレスエコー検査における各検査段階とする2次元画面上に前記パラメータの値を一覧表示させる一覧表示制御手段を有する表示制御部と、を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、各パラメータの種類毎に、パラメータの値を評価する範囲として、標準範囲、該標準範囲を越えるオーバ範囲、該標準範囲を下廻るアンダー範囲の少なくとも3つを記憶しており、前記一覧表示させる前記パラメータの各値が、該パラメータの値が属する種類の前記3つの範囲の何れに含まれるかを比較判定し、該比較判定の結果を識別して視認可能にして前記パラメータの値を表示させる評価表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記評価表示制御手段は、比較判定の結果、それぞれの範囲に属することとなったパラメータの値を表す文字の色もしくは形状、又は、その文字の背景の色、模様もしくは形状のいずれか1つ又はそれらの組み合わせ、を前記範囲毎に異なって表示することにより、識別して視認可能とすることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記評価表示制御手段は、前記オーバ範囲、前記標準範囲及び前記アンダー範囲の3つを基準化し、かつ前記一覧表示させる前記パラメータの各値を、各パラメータの種類毎に、特定の検査段階のパラメータの値で各検査段階のパラメータの値を基準化して、前記比較判定を行うことを特徴とする請求項2又3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記一覧表示制御手段は、前記パラメータの値の一覧表示にあたっては、前記操作部によりパラメータのいずれかの種類を選択可能に表示させ、
さらに、前記表示制御部は、該操作部で選択された種類のパラメータについて、前記各検査段階のパラメータの値の変化を示すグラフを生成して、前記表示部に表示させるグラフ生成手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記グラフ生成手段は、前記選択された種類のパラメータの各値を、該各パラメータの種類毎に、前記特定の検査段階のパラメータの値で各検査段階のパラメータの値を基準化して、縦軸を基準値に対するパラメータの値の大きさ、横軸を各検査段階とする1つの座標上に、基準化した各種類のパラメータの値をプロットして生成することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記グラフ生成手段は、前記選択された種類のパラメータの各値を、各パラメータの種類毎に、縦軸をパラメータの値の大きさ、横軸を各検査段階とする座標上に、パラメータの値をプロットして生成することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
被検体の部位に1又は複数種類のストレスを該種類毎に複数検査段階に分けて付与して、各検査段階で複数種類の部位の状態を表すパラメータを求めるための複数種類のストレスエコー検査を行う検査手順と、ストレスを付与することなく通常検査を行う検査手順と、を有する制御部と、
表示部と、操作部と、記憶部と、
前記制御部から前記操作部で指定された種類のストレスエコー検査の検査手順を受けて、前記部位へ超音波を送り、その反射波を受けて前記受けた検査手順に基づいて被検体の部位の状態を表す前記複数種類のパラメータの値を求める計測部と、少なくとも前記ストレスエコー検査において該計測部で取得した各パラメータの値を前記指定されたストレスエコー検査の種類別に、該パラメータの種類別に、かつ検査段階別に識別可能にタグを付して前記記憶部に記憶させるデータ管理部と、を有するデータ取得手段と、
前記操作部によって過去に終了している前記ストレスエコー検査の種類を指定して検査結果の閲覧要求を受けたとき、前記記憶部に記憶されている前記各パラメータのタグを参照して、該指定された種類のストレスエコー検査の各検査段階の各パラメータの値を読み出して、前記表示部に対して、一方のアイテムを前記パラメータの種別、他方のアイテムを前記指定されたストレスエコー検査における各検査段階とする2次元画面に前記パラメータの値を一覧表示させる一覧表示制御手段を有する表示制御部と、を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
被検体の部位にストレスを複数検査段階に亘って付与して、各検査段階について超音波診断装置により超音波によるストレスエコー検査を行って取得した該部位の状態を表す複数種類のパラメータの値を、前記ストレスエコー検査の種類別に、該パラメータの種類別に、かつストレスエコー検査の検査段階別に識別可能に記憶する記憶部と、
表示部と、操作部と、
該操作部によって前記ストレスエコー検査の種類を指定して検査結果の閲覧要求を受けたとき、該指定された種類のストレスの前記パラメータの値を前記記憶部から読み出して、前記表示部に対して、一方のアイテムを前記パラメータの種別、他方のアイテムを前記指定されたストレスエコー検査における各検査段階とする2次元画面に前記パラメータの値を一覧表示させる一覧表示制御手段を有する表示制御部と、を備えたことを特徴とするストレスエコー閲覧装置。
【請求項10】
コンピュータに対して
被検体の部位にストレスを複数検査段階に亘って付与して、各検査段階について超音波診断装置により超音波を用いたストレスエコー検査を行って取得された該部位の変動を表す複数種類のパラメータの値を受けて、前記ストレスエコー検査の種類別に、該パラメータの種類別に、かつストレスエコー検査の検査段階別に識別可能に記憶させ、
該操作部によって前記ストレスエコー検査の種類を指定して検査結果の閲覧要求を受けたとき、該指定された種類のストレスの前記パラメータの値を前記記憶部から読み出して、表示部に、一方のアイテムを前記パラメータの種別、他方のアイテムを前記指定されたストレスエコー検査における各検査段階とする2次元画面に前記パラメータの値を一覧表示させることを特徴とするストレスエコー閲覧プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−153563(P2009−153563A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331893(P2007−331893)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】