説明

超音波診断装置

【課題】連続波を利用して選択的に目標位置から生体内情報を抽出する技術において目標位置の選択性を向上させる。
【解決手段】PSK変調処理部22AはコードAを用いて搬送波Aに対してPSK変調処理を施し、PSK変調処理部22BはコードBを用いて搬送波Bに対してPSK変調処理を施す。コードAとコードBは互いに相補関係にある。多重処理部24はOFDMにより2つのPSK連続波を多重してOFDM連続波を形成する。受信ミキサ30A,30Bの各々は、生体内の目標位置との間の相関関係が調整された参照信号を用いて受信信号に対して復調処理を施すことにより、目標位置に対応した復調信号を得る。合成部52Iは、加算部46A,46Bから得られる信号を加算し、合成部52Qは、加算部48A,48Bから得られる信号を加算する。これにより、目標位置以外からの受信信号が低減されて目標位置の選択性が高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に、連続波を利用する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波である送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流など)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
【0003】
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。こうした事情などから、本願の発明者は、連続波ドプラに関する研究を重ねてきた。その成果の一つとして、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
【0004】
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願の発明者は、特許文献2において、FMCWドプラにより選択的に生体内組織の所望の位置からドプラ情報を抽出することができる極めて画期的な技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−253949号公報
【特許文献2】特開2008−289851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願発明者は、この画期的な技術の改良についてさらに研究開発を重ねてきた。特に、連続波を利用して選択的に目標位置から生体内情報を抽出する技術に注目して研究開発を重ねてきた。
【0007】
本発明は、その研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、連続波を利用して選択的に目標位置から生体内情報を抽出する技術において目標位置の選択性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的にかなう好適な超音波診断装置は、互いに相補関係にある2つの周期的な信号列に基づいてデジタル変調処理された2つの搬送波信号を多重した連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、前記送信信号に対応した超音波を生体に送波して当該生体から超音波を受波することにより受信信号を得る超音波送受部と、生体内の目標位置との間の相関関係を調整しつつ前記受信信号に対して復調処理を施すことにより、当該目標位置に対応した復調信号を得る受信信号処理部と、前記目標位置に対応した復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、を有することを特徴とする。
【0009】
望ましい具体例において、前記送信信号処理部は、符号長Nの第1符号列を繰り返す周期的な信号列に基づいてデジタル変調処理された第1搬送波信号と、符号長Nの第2符号列を繰り返す周期的な信号列に基づいてデジタル変調処理された第2搬送波信号と、を多重した連続波の送信信号を出力する、ことを特徴とする。
【0010】
望ましい具体例において、前記符号長Nは2の累乗であり、前記第1符合列と前記第2符合列の各々は、第1符合列N/2と第2符号列N/2に基づいて形成される、ことを特徴とする。
【0011】
望ましい具体例において、前記第1符合列は、符号列Aであり、前記第2符合列は、符号列Bであり、符号列Aは、符号列AN/2と符号列BN/2を直列接続した符号列であり、符号列Bは、符号列AN/2と符号列−BN/2を直列接続した符号列であり、符号列−BN/2は、符号列BN/2の符号の値を反転させた符号列である、ことを特徴とする。
【0012】
望ましい具体例において、前記符号列Aと前記符号列Bの各々は、符号長2の符号列A=(1,1)と符号列B=(1,−1)から、前記直列接続を繰り返して形成される、ことを特徴とする。
【0013】
望ましい具体例において、前記第1符合列は、符号列Aであり、前記第2符合列は、符号列B´であり、符号列Aは、符号列AN/2と符号列BN/2を直列接続した符号列であり、符号列B´は、符号列BN/2−1と符号列−AN/2−1を直列接続した符号列であり、符号列BN/2は、符号列AN/4と符号列−BN/4を直列接続した符号列であり、符号列BN/2−1は、符号列BN/2の符号の並び反転させた符号列であり、符号列−AN/2−1は、符号列AN/2の符号の値と並びを共に反転させた符号列であり、符号列−BN/4は、符号列BN/4の符号の値を反転させた符号列である、ことを特徴とする。
【0014】
望ましい具体例において、前記符号列Aと前記符号列B´の各々は、符号長2の符号列A=(1,1)と符号列B=(1,−1)から、前記直列接続を繰り返して形成される、ことを特徴とする。
【0015】
望ましい具体例において、前記送信信号処理部は、前記第1符号列を繰り返す周期的な信号列に基づいた位相シフトキーイングにより位相を変化させた第1搬送波信号と、前記第2符号列を繰り返す周期的な信号列に基づいた位相シフトキーイングにより位相を変化させた第2搬送波信号と、を多重した連続波の送信信号を出力する、ことを特徴とする。
【0016】
望ましい具体例において、前記送信信号処理部は、前記第1搬送波信号と前記第2搬送波信号を直交周波数分割多重方式(OFDM)により多重して形成された連続波の送信信号を出力する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、連続波を利用して選択的に目標位置から生体内情報を抽出する技術において目標位置の選択性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。
【図2】コードAに関する自己相関の計算結果を示す図である。
【図3】コードBに関する自己相関の計算結果を示す図である。
【図4】コードB´に関する自己相関の計算結果を示す図である。
【図5】OFDMに利用される搬送波の時間変化を示す図である。
【図6】OFDMに利用されるPSK連続波の周波数スペクトラムを示す図である。
【図7】2つのPSK連続波の送受信処理プロセスを説明するための図である。
【図8】搬送波Aに対するPSK変調処理と位置選択性を説明するための図である。
【図9】搬送波Bに対するPSK変調処理と位置選択性を説明するための図である。
【図10】位相検波器の特性を示す図である。
【図11】ドプラ信号の抽出を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。送信用振動子10は、生体内へ超音波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は、生体内からの超音波の反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。なお、送信用振動子10は複数の振動素子を備えており、これら複数の振動素子が制御されて超音波の送信ビームが形成される。また、受信用振動子12も複数の振動素子を備えており、これら複数の振動素子により得られた信号が処理されて受信ビームが形成される。
【0020】
送信ビームフォーマ(送信BF)14は、送信用振動子10が備える複数の振動素子に対して送信信号を出力する。送信ビームフォーマ14には、多重処理部24を介して連続波の送信信号が供給され、送信ビームフォーマ14は、その送信信号に対して、各振動素子に応じた遅延処理を施して各振動素子に対応した送信信号を形成する。なお、送信ビームフォーマ14において形成された各振動素子に対応した送信信号に対して、必要に応じて電力増幅処理が施されてもよい。こうして、超音波の送信ビームが形成される。
【0021】
本実施形態における連続波の送信信号は、PSK変調処理部22A,22Bと多重処理部24によって形成される。
【0022】
PSK変調処理部22Aは、搬送波A発生器20Aから得られる搬送波A(RF波)に対して、位相シフトキーイング(PSK)によるデジタル変調処理を施すことによりPSK連続波を発生する。一方、PSK変調処理部22Bは、搬送波B発生器20Bから得られる搬送波B(RF波)に対して、位相シフトキーイング(PSK)によるデジタル変調処理を施すことによりPSK連続波を発生する。
【0023】
そして、PSK変調処理部22A,22Bから出力される2つのPSK連続波が多重処理部24において多重処理される。多重処理部24は、直交周波数分割多重方式(OFDM)により2つのPSK連続波を多重することにより、連続波の送信信号として、OFDM連続波を形成する。PSK変調処理部22A,22Bと多重処理部24により形成される連続波の送信信号については後にさらに詳述する。
【0024】
受信ビームフォーマ(受信BF)16は、受信用振動子12が備える複数の振動素子から得られる複数の受波信号を整相加算処理して受信ビームを形成する。つまり、受信ビームフォーマ16は、各振動素子から得られる受波信号に対してその振動素子に応じた遅延処理を施し、複数の振動素子から得られる複数の受波信号を加算処理することにより受信ビームを形成する。なお、各振動素子から得られる受波信号に対して低雑音増幅等の処理を施してから、受信ビームフォーマ16に複数の受波信号が供給されてもよい。こうして受信ビームに沿った受信RF信号が形成され、BPF(バンドパスフィルタ)18A,18Bに送られる。
【0025】
BPF18Aは、搬送波Aに対応した周波数帯域の信号を抽出するフィルタであり、BPF18Bは、搬送波Bに対応した周波数帯域の信号を抽出するフィルタである。つまりBPF18A,18Bにより、多重される前の2つのPSK連続波の各々に対応した受信RF信号が抽出される。
【0026】
受信ミキサ30Aは、BPF18Aから出力される受信RF信号、つまり、搬送波AのPSK連続波に対応した受信RF信号に対して直交検波を施して複素ベースバンド信号を生成する回路であり、2つのミキサ32A,34Aで構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。
【0027】
受信ミキサ30Aの各ミキサに供給される参照信号は、PSK変調処理部22Aから出力される搬送波AのPSK連続波に基づいて生成される。つまり、PSK変調処理部22Aから出力される搬送波AのPSK連続波が遅延回路25Aにおいて遅延処理され、ミキサ32Aには遅延処理されたPSK連続波が参照信号として直接供給され、一方、ミキサ34Aには遅延処理されたPSK連続波がπ/2シフト回路26Aを経由して参照信号として供給される。
【0028】
π/2シフト回路26Aは、遅延処理された参照信号の位相をπ/2だけずらす回路である。この結果、2つのミキサ32A,34Aの一方から同相信号成分(I信号成分)が出力されて他方から直交信号成分(Q信号成分)が出力される。そして、受信ミキサ30Aの後段に設けられたLPF(ローパスフィルタ)36A,38Aにより、同相信号成分および直交信号成分の各々の高周波数成分がカットされ、検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
【0029】
加算部46A,48Aは、LPF36A,38Aから得られる復調信号を所定期間に亘って加算する。これにより、PSK連続波に含まれる符号パターンが加算処理され、参照信号の符号パターンと一致する目標位置からの復調信号が選択的に抽出される。この位置選択性については後に詳述する。
【0030】
一方、受信ミキサ30Bは、BPF18Bから出力される受信RF信号、つまり、搬送波BのPSK連続波に対応した受信RF信号に対して直交検波を施して複素ベースバンド信号を生成する回路であり、2つのミキサ32B,34Bで構成される。そして、PSK変調処理部22Bから出力される搬送波BのPSK連続波が遅延回路25Bにおいて遅延処理され、ミキサ32Bには遅延処理されたPSK連続波が参照信号として直接供給され、一方、ミキサ34Bには遅延処理されたPSK連続波がπ/2シフト回路26Bを経由して参照信号として供給される。
【0031】
これにより、2つのミキサ32B,34Bの一方から同相信号成分(I信号成分)が出力されて他方から直交信号成分(Q信号成分)が出力され、LPF(ローパスフィルタ)36B,38Bにより、検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。また、加算部46B,48Bは、LPF36B,38Bから得られる復調信号を所定期間に亘って加算する。これにより、PSK連続波に含まれる符号パターンが加算処理され、参照信号の符号パターンと一致する目標位置からの復調信号が選択的に抽出される。この位置選択性については後に詳述する。
【0032】
合成部52Iは、加算部46Aから得られる信号と加算部46Bから得られる信号を加算して合成後の復調信号(同相信号成分)を得る。一方、合成部52Qは、加算部48Aから得られる信号と加算部48Bから得られる信号を加算して合成後の復調信号(直交信号成分)を得る。合成部52I,52Qにおける合成処理により目標位置の選択性が高められる。この位置選択性の向上については後に詳述する。
【0033】
FFT処理部(高速フーリエ変換処理部)54は、合成部52I,52Qから得られる復調信号(同相信号成分および直交信号成分)の各々に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT処理部54において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。なお、FFT処理部54から出力される周波数スペクトラムは、回路の設定条件などにより周波数分解能δfの周波数スペクトラムデータとして出力される。
【0034】
ドプラ情報解析部56は、周波数スペクトラムに変換された復調信号からドプラ信号を抽出する。後に詳述するが、図1の超音波診断装置では、遅延回路25A,25Bにおける遅延処理により目標位置が設定され、ドプラ情報解析部56において目標位置からのドプラ信号が選択的に抽出される。ドプラ情報解析部56は、例えば、時間的に変化するドプラ信号の表示波形を形成する。なお、生体内の各深さ(各位置)ごとにドプラ信号を抽出して、例えば、超音波ビーム(音線)上の各深さごとに生体内組織の速度を算出し、リアルタイムで出力してもよい。また、超音波ビームを走査させて二次元的あるいは三次元的に生体内組織の各位置の速度を算出してもよい。
【0035】
表示部58は、ドプラ情報解析部56において形成されたドプラ信号の波形などを表示する。なお、図1に示す超音波診断装置内の各部は、システム制御部60によって制御される。つまり、システム制御部60は、送信制御や受信制御や表示制御などを行う。
【0036】
以上、概説したように、図1の超音波診断装置では、2つのPSK連続波を多重処理して得られる連続波の送信信号(OFDM連続波)を用いて超音波を送受することにより受信信号を得て、生体内の目標位置の深さに応じて参照信号と受信信号との間の遅延関係を調整し、目標位置からの受信信号と参照信号との間の相関を強めて復調処理を施すことにより、目標位置からのドプラ情報を選択的に抽出している。そこで、図1の超音波診断装置におけるPSK変調処理と目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される原理について詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
【0037】
図1の超音波診断装置では、互いに相補関係にある2つのコード(符号列)を用いて位相シフトキーイング(PSK)が行われる。つまり、PSK変調処理部22AにおいてコードAが利用され、PSK変調処理部22BにおいてコードBが利用され、コードAとコードBが互いに相補関係にある。
【0038】
まず、コードAとコードBの自己相関を数1式のように定義し、そして、数2式の条件を満足する具体的なコードを検討する。
【0039】
【数1】

【0040】
【数2】

【0041】
例えば、n=2の場合に、A=(1,1)、B=(1,−1)が上述した条件を満足する。数1式と数2式に基づいた具体的な計算結果を数3式に示す。
【0042】
【数3】

【0043】
n=2(2ビット)のコードを拡張したn=4(4ビット)のコードは、数4式から得られる。
【0044】
【数4】

【0045】
=(1,1)、B=(1,−1)に基づいて得られるn=4のコードは、数5式に示すとおりである。
【0046】
【数5】

【0047】
数5式に示すコードAの自己相関(数1式参照)は、数6式に示すとおりとなる。
【0048】
【数6】

【0049】
また、数5式に示すコードBの自己相関は、数7式に示すとおりとなる。
【0050】
【数7】

【0051】
数6式と数7式に示すように、コードAとコードBの両コード共に、自己相関の値は、コードのずれが0(i=0)のときに極大値4となる。また、両コードの相関値の和についても、コードのずれが0(i=0)のときに極大値8となる。
【0052】
さらに、n=4(4ビット)のコードを拡張したn=8(8ビット)のコードは、数8式から得られる。
【0053】
【数8】

【0054】
数5式のA,Bから得られるn=8のコードは、数9式に示すとおりである。
【0055】
【数9】

【0056】
数9式に示すコードAの自己相関(数1式参照)は、数10式に示すとおりとなる。
【0057】
【数10】

【0058】
図2は、コードAに関する自己相関の計算結果を示す図である。コードのずれを示すτ(=i)が1,2,4,6,7の場合に相関値が0となり、τが3,5の場合に相関値が4となり、τが0,8の場合に相関値が8となっている。極大値である8よりは小さいものの、τが3,5の場合には相関値が4であり0になっていない。
【0059】
一方、数9式に示すコードBの自己相関は、数11式に示すとおりとなる。
【0060】
【数11】

【0061】
図3は、コードBに関する自己相関の計算結果を示す図である。コードのずれを示すτ(=i)が1,2,4,6,7の場合に相関値が0となり、τが3,5の場合に相関値が−4となり、τが0,8の場合に相関値が8となっている。τが3,5の場合の相関値が−4であり、コードAに関する自己相関の計算結果(図2)と比較すると、絶対値が等しく極性が逆になっている。
【0062】
そのため、コードAとコードBの両コードの相関値の和を算出すると、コードのずれを示すτが0,8の場合、つまりコードのずれが無い場合に、相関値の和が極大値16となり、τが他の値の場合、つまりコードのずれが有る場合に、相関値の和が常に0となる。このように、コードAとコードBは、コードがずれている場合に互いの相関値を打ち消し合う相補関係にある。
【0063】
なお、互いに相補関係にあるn=8のコードは、次の数12式から得ることもできる。数12式において、コードB−1は、コードBの符号の並び反転させたコードであり、コード−A−1は、コードAの符号の値と並びを共に反転させたコードである。
【0064】
【数12】

【0065】
数5式のA,Bから、数12式に基づいて得られるコードAは、数9式の場合と同じであり、数12式に基づいて得られるコードB´は、数13式に示すとおりとなる。
【0066】
【数13】

【0067】
図4は、コードB´に関する自己相関の計算結果を示す図である。コードのずれを示すτ(=i)が1,2,4,6,7の場合に相関値が0となり、τが3,5の場合に相関値が−4となり、τが0,8の場合に相関値が8となっている。つまり、コードBに関する自己相関の計算結果(図3)と同じ結果が得られており、コードAとコードB´の組み合わせも、互いに相補関係にあることがわかる。
【0068】
さらに、n=8(8ビット)のコードを拡張したn=16(16ビット)のコードは、数14式または数15式から得られる。
【0069】
【数14】

【0070】
【数15】

【0071】
さらに、32ビット、64ビット、128ビット、256ビット等のコードも同様の法則を適用して拡張できる。数14式に対応した一般式を示すと数16式のようになり、数15式に対応した一般式を示すと数17式のようになる。数16式と数17式におけるNは、コードに含まれるビット数(符号長)であり2の累乗となる。
【0072】
【数16】

【0073】
【数17】

【0074】
図1の超音波診断装置では、A=(1,1)、B=(1,−1)から、数16式または数17式を利用して得られるコードAとコードB(又はコードB´)が用いられる。つまり、PSK変調処理部22AにおいてコードAが利用され、PSK変調処理部22BにおいてコードB(又はコードB´)が利用される。そして、PSK変調処理部22A,22Bから出力される2つのPSK連続波を同時に(並列的に)送受するために、多重処理部24において、直交周波数分割多重方式(OFDM)による多重処理が行われる。OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式では、周波数スペクトラムが直交した複数の搬送波を利用して複数のデジタル変調信号が送受信される。
【0075】
図5は、OFDMに利用される搬送波の時間変化を示す図である。図5の搬送波Aは、搬送波A発生器20Aから出力される信号の一例であり、図5の搬送波Bは、搬送波B発生器20Bから出力される信号の一例である。
【0076】
1ビット長τは、PSK変調処理に利用されるコード(コードA等)の1ビットの期間である。搬送波Aと搬送波Bの周波数は、ビットレート1/τの整数倍(周波数fの整数倍)に設定される。
【0077】
図6は、OFDMに利用されるPSK連続波の周波数スペクトラムを示す図である。図6に示す搬送波AのPSK連続波(実線)は、ビットレート1/τのコード(例えばコードA)を用いて搬送波AをPSK変調処理して得られる連続波であり、図6に示す搬送波BのPSK連続波(破線)は、ビットレート1/τのコード(例えばコードB)を用いて搬送波BをPSK変調処理して得られる連続波である。
【0078】
搬送波AのPSK連続波に関する中心周波数2fと搬送波BのPSK連続波に関する中心周波数3fは、互いに1/τ(=f)だけ離れている。そして、搬送波AのPSK連続波に関する中心周波数2fの位置において、搬送波BのPSK連続波に関する周波数スペクトラムが0となり、また、搬送波BのPSK連続波に関する中心周波数3fの位置において、搬送波AのPSK連続波に関する周波数スペクトラムが0となる。
【0079】
OFDMでは、例えば図6に示す例のように、各搬送波の中心周波数の位置において他の搬送波の周波数スペクトラムが0となり、搬送波同士の干渉を極めて小さくして複数の搬送波を多重することが可能になる。つまり、PSK変調処理部22A,22Bから出力される2つのPSK連続波を、多重処理部24においてOFDM方式で多重することにより、2つのPSK連続波の相互干渉を極めて小さく抑えつつ(望ましくは完全に相互干渉をなくしつつ)2つのPSK連続波を並列的に送受信することができる。
【0080】
図7は、2つのPSK連続波の送受信処理プロセスを説明するための図である。図7は、4ビットのコードAを利用した例を示している。PSK変調処理部22Aは、コードAを用いて搬送波Aに対して2相の位相シフトキーイング(PSK)変調処理を施す。つまり、PSK変調処理部22Aは、コードAの符号が「1」のビット期間において搬送波Aの位相をそのままとして、符号が「−1」のビット期間において搬送波Aの位相を反転する(πだけずらす)。これにより、搬送波AのPSK連続波が得られる。図7に示す受信信号Aは、搬送波AのPSK連続波を送受して得られる目標位置からの受信信号である。受信信号Aは、BPF18Aを通過した受信信号に含まれている。
【0081】
図7に示す参照信号Aは、PSK変調処理部22Aから出力される搬送波AのPSK連続波が遅延回路25Aにおいて遅延処理された信号である。図7において、参照信号Aは、その位相パターン(コードAのパターン)が、目標位置からの受信信号Aの位相パターンと一致するように、遅延回路25Aで遅延処理されている。
【0082】
図7に示す乗算器出力Aは、参照信号Aと受信信号Aの乗算結果に相当し、受信ミキサ30Aにおいて得られる信号(例えばミキサ32Aから出力される信号)に含まれる目標位置からの信号成分である。参照信号Aと受信信号Aとの間には遅延時間差がないため、乗算器出力Aには、搬送波の2倍の周波数成分と、破線で示す直流付近のベースバンド信号Aが含まれている。例えばLPF36Aにより、搬送波の2倍の周波数成分が除去されて直流付近のベースバンド信号Aが抽出される。ドプラ信号は、直流付近の低周波数信号として検出される。
【0083】
一方、PSK変調処理部22Bは、コードAと相補関係にある例えばコードBを用いて搬送波Bに対して2相の位相シフトキーイング(PSK)変調処理を施す。これにより、搬送波BのPSK連続波が得られる。図7に示す受信信号Bは、搬送波BのPSK連続波を送受して得られる受信信号である。
【0084】
図7に示す乗算器出力Bは、参照信号Aと受信信号Bの乗算結果に相当し、参照信号Aと受信信号Bの周波数の差であるベースバンド信号Bと、参照信号Aと受信信号Bの周波数の和の成分を含んでいる。ところが、搬送波Aに対応した参照信号Aと搬送波Bに対応した受信信号Bは、中心周波数が互いに1/τだけ異なっているため、乗算器出力Bには直流付近のベースバンド信号が含まれていない。つまり、参照信号Aを利用した乗算処理では、搬送波Aに対応した受信信号Aのみから直流付近のベースバンド信号Aが抽出される。そのため、必要に応じてBPF18Aを省略してもよい。
【0085】
このように、互いに直交関係にある搬送波AのPSK連続波と搬送波BのPSK連続波をOFDM方式で多重した信号を送受信し、受信ミキサ30Aにおける処理により、搬送波Aに対応した受信信号Aのみから直流付近のベースバンド信号Aを抽出することができる。また、受信ミキサ30Aにおける処理と同様に、受信ミキサ30Bにおける処理により、搬送波Bに対応した受信信号(目標位置からの受信信号)のみから直流付近のベースバンド信号が抽出される。つまり、PSK変調処理部22A,22Bから出力される2つのPSK連続波を同時に(並列的に)送波しつつ、2つのPSK連続波に伴う2つの受信信号を個別的に且つ並列的に処理することができる。そこで、2つのPSK連続波の各々に関する位置選択性について説明する。
【0086】
図8は、搬送波Aに対するPSK変調処理と位置選択性を説明するための図である。図8には、8ビットのコードAを用いて搬送波Aに対して2相の位相シフトキーイング(PSK)処理を施した例が図示されている。
【0087】
PSK変調処理部22Aは、コードAを用いて搬送波Aに対して2相の位相シフトキーイング(PSK)変調処理を施す。これにより、図8に示すようにPSK連続波の位相が調整される。図8には、このPSK連続波を利用して得られる受信信号の位相も示されている。
【0088】
本実施形態では、PSK連続波の位相を遅延回路25Aにおいて遅延処理して得られる参照信号が、受信ミキサ30Aにおいて受信信号と乗算される。図8には、参照信号の位相をφ1〜φ9まで変化させた場合における、参照信号と受信信号の位相差と、参照信号と受信信号の乗算結果(乗算器電圧)が示されている。
【0089】
例えば、参照信号の位相(φ2)は、PSK連続波の位相を1ビット期間だけ遅延して得られる参照信号である。そして、乗算器電圧は、参照信号と受信信号の位相差から、例えば、図10に示す汎用の位相検波器の特性に基づいて得られる電圧である。
【0090】
図8に示す合計は、8ビットの期間内における乗算器電圧の合計値であり、例えば加算部46A,48Aの各々において得られる。図8に示すように、受信信号の位相と完全に一致している参照信号の位相(φ1,φ9)の場合に、乗算器電圧が常に1となり合計値が極大値8となる。これに対し、受信信号の位相と一致していない参照信号の位相(φ2〜φ8)の場合には、乗算器電圧がランダムに変化して合計値が0または4となる。
【0091】
そのため、目標位置から得られる受信信号と参照信号の位相を一致させることにより、目標位置からの受信信号を選択的に抽出することが可能になる。例えば、遅延回路25Aにおける遅延時間を目標位置までの超音波の往復の伝播時間とすることにより、目標位置から得られる受信信号と参照信号の位相を一致させ、目標位置からの受信信号を選択的に抽出することが可能になる。なお、加算部46A,48Aに代えて、例えばローパスフィルタなどにより、乗算器電圧のランダムな変化を消去して、図8に示した常に1となる乗算器電圧を抽出してもよい。
【0092】
図8に示すように、参照信号の位相(φ4,φ6)の場合には、乗算器電圧の合計値が4となる。つまり、目標位置からの受信信号に関する選択性(極大値8)よりは小さいものの、目標位置以外からの受信信号も選択されている。この目標位置以外からの受信信号の選択性を抑えるために、搬送波BのPSK連続波が併用されている。
【0093】
図9は、搬送波Bに対するPSK変調処理と位置選択性を説明するための図である。図9には、8ビットのコードAと相補関係にある8ビットのコードBを用いていて搬送波Bに対して2相の位相シフトキーイング(PSK)変調処理を施した例が図示されている。
【0094】
PSK変調処理部22Bは、コードBを用いて搬送波Bに対して2相の位相シフトキーイング(PSK)変調処理を施すことにより、図9に示すように、PSK連続波の位相が調整される。図9には、このPSK連続波を利用して得られる受信信号の位相も示されている。
【0095】
そして、PSK連続波の位相を遅延回路25Bにおいて遅延処理して得られる参照信号が、受信ミキサ30Bにおいて受信信号と乗算される。図9には、参照信号の位相をφ1〜φ9まで変化させた場合における、参照信号と受信信号の位相差と、参照信号と受信信号の乗算結果(乗算器電圧)が示されている。乗算器電圧は、参照信号と受信信号の位相差から、例えば、図10に示す汎用の位相検波器の特性に基づいて得られる電圧である。
【0096】
図9に示す合計は、8ビットの期間内における乗算器電圧の合計値であり、例えば加算部46B,48Bの各々において得られる。なお、加算部46B,48Bに代えて、例えばローパスフィルタなどにより、乗算器電圧のランダムな変化を消去してもよい。
【0097】
図9に示すように、受信信号の位相と完全に一致している参照信号の位相(φ1,φ9)の場合に、乗算器電圧が常に1となり合計値が極大値8となる。そして、参照信号の位相(φ4,φ6)の場合には、乗算器電圧の合計値が−4となり、搬送波Aから得られる合計値(図8)と比較すると、絶対値が等しく極性が逆になっている。
【0098】
そのため、搬送波Aから得られる合計値と搬送波Bから得られる合計値の和を算出すると、参照信号の位相(φ1,φ9)の場合に合計値の和が極大値16となり、参照信号の位相(φ2〜φ8)の場合に合計値の和が常に0となる。この合計値の加算は、合成部52I,52Qの各々において実行される。
【0099】
図8に示す合計値と図9に示す合計値の加算は、図2および図3を利用して説明したコードAとコードBの両コードの相関値の和に相当する。つまり、互いに相補関係にあるコードAとコードBを利用して2つのPSK連続波を形成し、これら2つのPSK連続波をOFDM方式で多重した連続波の送信信号を利用することにより、目標位置以外から得られる受信信号の成分を極端に小さくすることができ、望ましくは完全に0とすることができ、レンジサイドローブが著しく低減される。
【0100】
なお、図8,9においては、8ビットのコードAとコードBを利用してPSK変調処理と位置選択性を説明したが、装置の具現化においては、コードに含まれるビット数(符号長)が、例えば256ビット等に拡張されることが望ましい。ビット数を増やして1ビットの期間を小さくすることにより、位置分解能を高めることができる。
【0101】
図11は、ドプラ信号の抽出を説明するための図である。図11(A)には、送信信号の含まれるPSK連続波の周波数スペクトラムが示されている。周波数fは、RF信号(搬送波信号)の周波数である。RF信号の周波数fを中心として広がっている側帯波の周波数間隔は、コードAとコードBの繰り返し周波数fである。また、周波数fを中心として広がっている側帯波の電力が0(ゼロ)となる、いわゆるヌル(null)点が存在する。周波数fからヌル点までの周波数間隔はコードAとコードBの1ビットの時間間隔Tの逆数となる。
【0102】
図11(B)には、受信信号に含まれるPSK連続波の周波数スペクトラムが示されている。受信信号は、生体内における減衰を無視すると、送信信号と同じ波形となる。したがって、図11(B)に示す受信信号の周波数スペクトラムは、図11(A)に示す送信信号の周波数スペクトラムとほぼ同じである。但し、生体内における超音波の伝搬時間に応じて、送信信号と受信信号との間では位相が異なる。
【0103】
本実施形態では、PSK連続波に対して遅延処理を施して参照信号を形成し、受信ミキサ(図1の符号30A,30B)においてその参照信号を用いて受信信号に対してミキサ処理(参照信号と受信信号の乗算)が行われる。
【0104】
図11(C)には、ミキサ処理により得られる復調信号の周波数スペクトラムが示されている。図11(C)の復調信号は、相関が最大の場合における参照信号と受信信号の乗算結果に相当する。つまり、目標位置からの受信信号と、目標位置の深さに位相を合わせた参照信号との間の乗算結果が、図11(C)の復調信号となる。
【0105】
図11(C)に示す復調信号には、直流信号成分と、RF信号の周波数fの2倍の高調波成分が含まれている。ドプラ信号は、こららの成分に付着した形で出現する。なお、LPF(図1の符号36A,38A,36B,38B)において、高調波成分がカットされて直流信号成分のみが抽出されるため、後段のFFT処理部54においては、図11(C)に示す直流信号成分と周波数fの2倍の高調波成分のうち、直流信号成分の周波数スペクトラムのみが形成される。
【0106】
そして、ドプラ情報解析部56において、図11(C)に示す直流信号成分の周波数スペクトラムからドプラ信号が抽出され、ドプラシフト量などに基づいて、目標位置に存在する血流の流速などが算出される。受信ミキサ(図1の符号30A,30B)において直交検波を施しているため、流速の極性を判断することもできる。また、直流信号成分の周波数スペクトラムからクラッタ信号を抽出して、目標位置に存在する血管壁の位置などを算出してもよい。
【0107】
なお、上述した実施形態においては、連続波をデジタル変調する際に位相シフトキーイング(PSK)を利用している。このPSKに代えて、デジタル変調方式として周波数シフトキーイング(FSK)を利用してもよい。また、デジタル変調された連続波のデータをメモリなどに記憶しておき、このメモリから読み出されるデータに基づいて、当該連続波を生成してもよい。
【0108】
さらに、図1では、遅延回路25A,25Bとπ/2シフト回路26A,26Bと受信ミキサ30A,30Bとローパスフィルタ36A〜38Bと加算部46A〜48Bと合成部52I,52Qの受信系回路が単独である構成を示したが、複数の目標位置に応じて複数の受信系回路を設けて、超音波ビームに沿った複数の目標位置から並列的にドプラ情報を抽出するようにしてもよい。
【0109】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した本発明の好適な実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【符号の説明】
【0110】
22A,22B PSK変調処理部、24 多重処理部、25A,25B 遅延回路、30A,30B 受信ミキサ、54 FFT処理部、56 ドプラ情報解析部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相補関係にある2つの周期的な信号列に基づいてデジタル変調処理された2つの搬送波信号を多重した連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、
前記送信信号に対応した超音波を生体に送波して当該生体から超音波を受波することにより受信信号を得る超音波送受部と、
生体内の目標位置との間の相関関係を調整しつつ前記受信信号に対して復調処理を施すことにより、当該目標位置に対応した復調信号を得る受信信号処理部と、
前記目標位置に対応した復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、
を有する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記送信信号処理部は、符号長Nの第1符号列を繰り返す周期的な信号列に基づいてデジタル変調処理された第1搬送波信号と、符号長Nの第2符号列を繰り返す周期的な信号列に基づいてデジタル変調処理された第2搬送波信号と、を多重した連続波の送信信号を出力する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波診断装置において、
前記符号長Nは2の累乗であり、
前記第1符合列と前記第2符合列の各々は、第1符合列N/2と第2符号列N/2に基づいて形成される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波診断装置において、
前記第1符合列は、符号列Aであり、
前記第2符合列は、符号列Bであり、
符号列Aは、符号列AN/2と符号列BN/2を直列接続した符号列であり、
符号列Bは、符号列AN/2と符号列−BN/2を直列接続した符号列であり、
符号列−BN/2は、符号列BN/2の符号の値を反転させた符号列である、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波診断装置において、
前記符号列Aと前記符号列Bの各々は、符号長2の符号列A=(1,1)と符号列B=(1,−1)から、前記直列接続を繰り返して形成される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項3に記載の超音波診断装置において、
前記第1符合列は、符号列Aであり、
前記第2符合列は、符号列B´であり、
符号列Aは、符号列AN/2と符号列BN/2を直列接続した符号列であり、
符号列B´は、符号列BN/2−1と符号列−AN/2−1を直列接続した符号列であり、
符号列BN/2は、符号列AN/4と符号列−BN/4を直列接続した符号列であり、
符号列BN/2−1は、符号列BN/2の符号の並び反転させた符号列であり、
符号列−AN/2−1は、符号列AN/2の符号の値と並びを共に反転させた符号列であり、
符号列−BN/4は、符号列BN/4の符号の値を反転させた符号列である、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波診断装置において、
前記符号列Aと前記符号列B´の各々は、符号長2の符号列A=(1,1)と符号列B=(1,−1)から、前記直列接続を繰り返して形成される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
前記送信信号処理部は、前記第1符号列を繰り返す周期的な信号列に基づいた位相シフトキーイングにより位相を変化させた第1搬送波信号と、前記第2符号列を繰り返す周期的な信号列に基づいた位相シフトキーイングにより位相を変化させた第2搬送波信号と、を多重した連続波の送信信号を出力する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
請求項2から8のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
前記送信信号処理部は、前記第1搬送波信号と前記第2搬送波信号を直交周波数分割多重方式(OFDM)により多重して形成された連続波の送信信号を出力する、
ことを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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