説明

超高純度の完全フッ素化酸ポリマーで製造された導電性ポリマーの組成物

導電性ポリマー組成物が提供される。この組成物は、超高純度の完全フッ素化酸ポリマーで製造された導電性ポリマーを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件出願は、米国特許法第119条(e)項の下、本明細書に完全に記載されているかのように参照により援用される2006年12月29日出願の米国仮特許出願第60/877,882号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は一般に、超高純度の完全フッ素化酸ポリマーで製造された導電性ポリマー組成物に関し、および有機電子デバイスにおけるこれらの組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
有機電子デバイスは、活性層を含む製品のカテゴリーに定義される。このようなデバイスは、電気エネルギーを放射線に変換したり、電子的方法を介して信号を検出したり、放射線を電気エネルギーに変換したり、あるいは、1つまたは複数の有機半導体層を含んだりする。
【0004】
有機発光ダイオード(OLED)は、エレクトロルミネッセンスが可能な有機層を含む有機電子デバイスである。OLEDは、以下の構成を有することができる:
アノード/緩衝層/EL材料/カソード
通常、アノードは、たとえば、インジウム/スズ酸化物(ITO)などの、透明でありEL材料中に正孔を注入する能力を有するあらゆる材料である。場合により、アノードは、ガラスまたはプラスチックの基体上に支持されている。EL材料としては、蛍光性化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物が挙げられる。通常、カソードは、EL材料中に電子を注入する能力を有するあらゆる材料(たとえばCaまたはBaなど)である。緩衝層は、典型的には導電性ポリマーであり、アノードからEL材料層中への正孔の注入を促進する。緩衝層は、デバイス性能を促進する他の性質を有することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改善された特性の緩衝材料が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
超高純度の完全フッ素化酸ポリマーで製造された導電性ポリマーを含む導電性ポリマー組成物が提供される。
【0007】
別の実施形態においては、超高純度の完全フッ素化酸ポリマーで製造された導電性ポリマーの水性分散体が提供される。
【0008】
別の実施形態においては、本発明の新規導電性ポリマー組成物を含む少なくとも1つの層を含む電子デバイスが提供される。
【0009】
以上の概要および以下の詳細な説明は、単に例示的および説明的なものであり、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものではない。
【0010】
本明細書において提示される概念の理解をすすめるために、添付の図面において実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】接触角を説明する図である。
【図2】電子デバイスの図である。 当業者であれば理解しているように、図面中の物体は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、実施形態を理解しやすいようにするために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
多数の態様および実施形態を以上に説明してきたが、これらは単に例示的で非限定的なものである。本明細書を読めば、本発明の範囲から逸脱しない他の態様および実施形態が実現可能であることが、当業者には分かるであろう。
【0013】
いずれか1つまたは複数の本発明の実施形態のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。この詳細な説明では、最初に、用語の定義および説明を扱い、続いて、導電性ポリマー、超高純度の完全フッ素化酸ポリマー、超高純度のFFAPでの導電性ポリマー組成物の製造、電子デバイス、および最後に実施例を扱う。
【0014】
1.本明細書および特許請求の範囲において使用される用語の定義および説明
以下に説明される実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語が定義または説明される。
【0015】
本明細書において使用される場合、用語「揮発性有機化合物」はVOCと略記され、25℃で2torr(0.27kPa)より大きい蒸気圧を有するあらゆる有機化合物を意味することを意図している。ある実施形態においては、VOCは低分子量アルコールおよび/またはエーテルである。
【0016】
用語「超高純度の」は、物質に適用される場合、物質が0.05重量%未満のVOCを有することを意味することを意図している。
【0017】
用語「導体」およびその変形は、電位が実質的に降下することなく層材料、部材、または構造に電流が流れるような電気的性質を有する層材料、部材、または構造を意味することを意図している。この用語は、半導体を含むことを意図している。一実施形態においては、導体は、少なくとも10−7S/cmの導電率を有する層を形成する。
【0018】
用語「導電性材料」は、カーボンブラックまたは導電性金属粒子を加えなくても、本来または本質的に導電性となることができる材料を意味する。
【0019】
用語「緩衝層」または「緩衝材料」は、導電性材料または半導性材料を意味することを意図しており、下にある層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉、および有機電子デバイスの性能を促進するためのまたは性能を向上させるための他の態様を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の機能を有機電子デバイスにおいて有することができる。緩衝材料は、ポリマー、オリゴマー、または小分子であることができ、溶液、分散液、懸濁液、エマルジョン、コロイド混合物、または他の組成物の形態にあることができる。
【0020】
層、材料、部材、または構造に関して言及される場合、「正孔輸送」は、そのような層、材料、部材、または構造が、比較的効率的かつ少ない電荷損失で、そのような層、材料、部材、または構造の厚さを通過する正電荷の移動を促進することを意味することを意図している。発光層が、ある程度正孔輸送特性を有する場合があるが、本明細書において使用される場合、用語「正孔輸送層」は発光層を含まない。
【0021】
用語「ポリマー」は、少なくとも1つの繰り返しモノマー単位を有する材料を意味することを意図している。この用語は、たった1つの種類の、または化学種のモノマー単位を有するホモポリマー、および異なる化学種のモノマー単位から形成されるコポリマーなどの、2つ以上の異なるモノマー単位を有するコポリマーを含む。
【0022】
用語「完全フッ素化酸ポリマー」は、利用可能な水素のすべてがフッ素で置き換えられている、酸性基を有するポリマーを意味する。
【0023】
用語「酸性基」は、イオン化して水素イオンをブレンステッド塩基に供与することができる基を意味する。
【0024】
本発明の組成物は、1つまたは複数の異なる導電性ポリマーと1つまたは複数の異なる完全フッ素化酸ポリマーとを含むことができる。
【0025】
用語「ドープされた」は、導電性ポリマーに関する場合、導電性ポリマーが導電性ポリマー上の電荷とバランスをとるためのポリマー対イオンを有することを意味することを意図している。
【0026】
用語「ドープされた導電性ポリマー」は、導電性ポリマーとそれと会合しているポリマー対イオンとを意味することを意図している。
【0027】
本明細書において使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図している。たとえば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的なまたはを意味するのであって、排他的なまたはを意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0028】
また、本発明の要素および成分を説明するために「a」または「an」も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形も含んでいる。
【0029】
元素周期表中の縦列に対応する族の番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics,81版(2000−2001)に見ることができる「新表記法」(New Notation)の規則を使用している。
【0030】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を使用して、本発明の実施形態の実施または試験を行うことができるが、好適な方法および材料については以下に説明する。本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、特に明記しない限り、それらの記載内容全体が援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。
【0031】
本明細書に記載されていない程度の、具体的な材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、それらについては、有機発光ダイオードディスプレイ、光源、光検出器、光電池、および半導体要素の技術分野の教科書およびその他の情報源中に見ることができる。
【0032】
2.導電性ポリマー
一実施形態においては、本発明の導電性ポリマーは、少なくとも10−7S/cmの導電率を有する膜を形成する。導電性ポリマーが形成されるモノマーを「前駆体モノマー」と呼ぶ。コポリマーは、2種類以上の前駆体モノマーを有する。
【0033】
一実施形態においては、本発明の導電性ポリマーは、チオフェン類、セレノフェン類、テルロフェン類、ピロール類、アニリン類、および多環式芳香族から選択される少なくとも1つの前駆体モノマーから生成される。これらのモノマーから生成されたポリマーは、本明細書において、それぞれ、ポリチオフェン、ポリセレノフェン、ポリ(テルロフェン)、ポリピロール、ポリアニリン、および多環式芳香族ポリマーと呼ばれる。用語「多環式芳香族」は、2つ以上の芳香環を有する化合物を意味する。これらの環は、1つまたは複数の結合によって連結している場合もあるし、互いに縮合している場合もある。用語「芳香環」は、複素環式芳香環を含むことを意図している。「多環式複素環式芳香族」化合物は、少なくとも1つの複素環式芳香環を有する。一実施形態においては、多環式芳香族ポリマーはポリ(チエノチオフェン)である。
【0034】
一実施形態においては、新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮されるモノマーは、以下の式Iを含み:
【0035】
【化1】

【0036】
式中:
Qは、S、Se、およびTeからなる群から選択され;
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、セレン原子、テルル原子、硫黄原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0037】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、脂肪族炭化水素から誘導される基を意味し、非置換の場合も置換されている場合もある線状、分岐、および環状の基を含んでいる。用語「ヘテロアルキル」は、アルキル基中の1つまたは複数の炭素原子が窒素、酸素、硫黄などの別の原子で置き換えられているアルキル基を意味することを意図している。用語「アルキレン」は、2つの結合点を有するアルキル基を意味する。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する脂肪族炭化水素から誘導される基を意味し、非置換の場合も置換されている場合もある線状、分岐、および環状の基を含んでいる。用語「ヘテロアルケニル」は、アルケニル基中の1つまたは複数の炭素原子が窒素、酸素、硫黄などの別の原子で置き換えられているアルケニル基を意味することを意図している。用語「アルケニレン」は、2つの結合点を有するアルケニル基を意味する。
【0039】
本明細書において使用される場合、置換基に関する以下の用語は、以下に示す式を意味する:
「アルコール」 −R−OH
「アミド」 −R−C(O)N(R)R
「アミドスルホネート」 −R−C(O)N(R)R−SO
「ベンジル」 −CH−C
「カルボキシレート」 −R−C(O)O−Zまたは−R−O−C(O)−Z
「エーテル」 −R−(O−R−O−R
「エーテルカルボキシレート」 −R−O−R−C(O)O−Zまたは−R−O−R−O−C(O)−Z
「エーテルスルホネート」 −R−O−R−SO
「エステルスルホネート」 −R−O−C(O)−R−SO
「スルホンイミド」 −R−SO−NH−SO−R
「ウレタン」 −R−O−C(O)−N(R
式中、すべての「R」基はそれぞれ同じかまたは異なるものであり:
は単結合またはアルキレン基であり:
はアルキレン基であり
はアルキル基であり
は水素またはアルキル基であり
pは0または1〜20の整数であり
Zは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、N(R、またはRである。
上記基はいずれも、さらに非置換の場合も置換されている場合もあり、いずれの基も、過フッ素化基などのように、1つまたは複数の水素がFで置換されていてもよい。一実施形態においては、上記アルキル基およびアルキレン基は1〜20個の炭素原子を有する。
【0040】
一実施形態においては、モノマー中、両方のRが一緒になって−O−(CHY)−O−を形成し、式中、mは2または3であり、Yは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、そして、水素、ハロゲン、アルキル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、これらのY基は、部分的または完全にフッ素化されていてもよい。一実施形態においては、すべてのYが水素である。一実施形態においては、ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が水素ではない。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が、少なくとも1つの水素がFで置換された置換基である。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が過フッ素化されている。
【0041】
一実施形態においては、モノマーは式I(a)を有し:
【0042】
【化2】

【0043】
式中:
Qは、S、Se、およびTeからなる群から選択され;
は、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、但し、少なくとも1つのRが水素ではなく、
mは2または3である。
【0044】
式I(a)の一実施形態においては、mが2であり、1つのRが、5個を超える炭素原子のアルキル基であり、他のすべてのRが水素である。
【0045】
式I(a)の一実施形態においては、少なくとも1つのR基がフッ素化されている。一実施形態においては、少なくとも1つのR基が、少なくとも1つのフッ素置換基を有する。一実施形態においては、そのR基が完全フッ素化されている。
【0046】
式I(a)の一実施形態においては、モノマー上の縮合脂環式環上のR置換基によって、モノマーの水に対する溶解性が改善され、フッ素化酸ポリマーの存在下での重合が促進される。
【0047】
式I(a)の一実施形態においては、mが2であり、1つのRが、スルホン酸−プロピレン−エーテル−メチレンであり、他のすべてのRが水素である。一実施形態においては、mが2であり、1つのRが、プロピル−エーテル−エチレンであり、他のすべてのRが水素である。一実施形態においては、mが2であり、1つのRがメトキシであり、他のすべてのRが水素である。一実施形態においては、1つのRが、スルホン酸ジフルオロメチレンエステルメチレン(−CH−O−C(O)−CF−SOH)であり、他のすべてのRが水素である。
【0048】
一実施形態においては、新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮されるピロールモノマーは以下の式IIを含む。
【0049】
【化3】

【0050】
式IIにおいて:
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含んでもよく;
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アルカノイル、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される。
【0051】
一実施形態においては、Rは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、ウレタン、エポキシ、シラン、シロキサン、ならびに、1つまたは複数のスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部分で置換されたアルキルから独立して選択される。
【0052】
一実施形態においては、Rは、水素、アルキル、ならびに、1つまたは複数のスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部分で置換されたアルキルから選択される。
【0053】
一実施形態においては、上記ピロールモノマーは置換されておらず、RおよびRの両方が水素である。
【0054】
一実施形態においては、両方のRが一緒になって、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される基でさらに置換された6員または7員の脂環式環を形成する。これらの基は、モノマーおよび結果として得られるポリマーの溶解性を改善することができる。一実施形態においては、両方のRが一緒になって、アルキル基でさらに置換された6員または7員の脂環式環を形成する。一実施形態においては、両方のRが一緒になって、少なくとも1つの炭素原子を有するアルキル基でさらに置換された6員または7員の脂環式環を形成する。
【0055】
一実施形態においては、両方のRが一緒になって−O−(CHY)−O−を形成し、式中、mは2または3であり、Yは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、アミドスルホネート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が水素ではない。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が、少なくとも1つの水素がFで置換された置換基である。一実施形態においては、少なくとも1つのY基が過フッ素化されている。
【0056】
一実施形態においては、本発明の組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮されるアニリンモノマーは以下の式IIIを含む。
【0057】
【化4】

【0058】
式中:
aは0または1〜4の整数であり;
bは1〜5の整数であり、但しa+b=5であり;
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0059】
重合すると、このアニリンモノマー単位は、以下に示す式IV(a)または式IV(b)、あるいは両方の式の組み合わせを有することができる。
【0060】
【化5】

【0061】
式中、a、b、およびRは前出の定義の通りである。
【0062】
一実施形態においては、上記アニリンモノマーは置換されておらず、a=0である。
【0063】
一実施形態においては、aが0ではなく、少なくとも1つのRがフッ素化されている。一実施形態においては、少なくとも1つのRが過フッ素化されている。
【0064】
一実施形態においては、新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮される縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、2つ以上の縮合芳香環を有し、その環の少なくとも1つが複素環式芳香族である。一実施形態においては、この縮合多環式複素環式芳香族モノマーは式Vを有し:
【0065】
【化6】

【0066】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNRであり;
は、水素またはアルキルであり;
、R、R10、およびR11は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され;
とR、RとR10、およびR10とR11、のうち少なくとも1つがアルケニレン鎖を形成して5または6員の芳香環を完成させ、その環は、場合により1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含むことができる。
【0067】
一実施形態においては、上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、式V(a)、V(b)、V(c)、V(d)、V(e)、V(f)、およびV(g)を有し:
【0068】
【化7】

【0069】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNHであり;
Tは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、S、NR、O、SiR、Se、Te、およびPRから選択され;
は、水素またはアルキルである。
【0070】
上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される基でさらに置換されていてもよい。一実施形態においては、これらの置換基がフッ素化されている。一実施形態においては、これらの置換基が完全フッ素化されている。
【0071】
一実施形態においては、上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーはチエノ(チオフェン)である。このような化合物は、たとえば、Macromolecules,34,5746−5747(2001);およびMacromolecules,35,7281−7286(2002)において議論されている。一実施形態においては、このチエノ(チオフェン)は、チエノ(2,3−b)チオフェン、チエノ(3,2−b)チオフェン、およびチエノ(3,4−b)チオフェンから選択される。一実施形態においては、チエノ(チオフェン)モノマーは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される少なくとも1つの基でさらに置換されている。一実施形態においては、これらの置換基がフッ素化されている。一実施形態においては、これらの置換基が完全フッ素化されている。
【0072】
一実施形態においては、本発明の組成物中のポリマーを形成するために使用が考慮される多環式複素環式芳香族モノマーは式VIを含み:
【0073】
【化8】

【0074】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNRであり;
Tは、S、NR、O、SiR、Se、Te、およびPRから選択され;
Eは、アルケニレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンから選択され;
R6は、水素またはアルキルであり;
12は、それぞれ同じかまたは異なるものであり、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか;あるいは両方のR12基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して、3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0075】
一実施形態においては、導電性ポリマーは、チオフェン類、ピロール類、チエノチオフェン類、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0076】
一実施形態においては、本発明の導電性ポリマーは、前駆体モノマーと少なくとも1つの第2のモノマーとのコポリマーである。コポリマーに望まれる性質に悪影響を及ぼさないのであれば、あらゆる種類の第2のモノマーを使用することができる。一実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にしてポリマーの50%以下を構成する。一実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にして30%以下を構成する。一実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にして10%以下を構成する。
【0077】
第2のモノマーの代表的な種類としては、アルケニル、アルキニル、アリーレン、およびヘテロアリーレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。第2のモノマーの例としては、限定するものではないが、フルオレン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾチアジアゾール、フェニレンビニレン、フェニレンエチニレン、ピリジン、ジアジン類、およびトリアジン類が挙げられ、これらすべてがさらに置換されていてもよい。
【0078】
一実施形態においては、本発明のコポリマーは、最初に構造A−B−Cを有する中間前駆体モノマーを形成することによって製造され、式中、AおよびCは、同じかまたは異なっていてもよい前駆体モノマーを表し、Bは第2のモノマーを表す。このA−B−C中間前駆体モノマーは、ヤマモト(Yamamoto)、スティル(Stille)、グリニャール(Grignard)メタセシス、スズキ(Suzuki)、およびネギシ(Negishi)カップリングなどの標準的な合成有機技術を使用して調製することができる。次に、この中間前駆体モノマー単独で酸化重合させる、または1つまたは複数の別の前駆体モノマーとともに酸化重合させることによって、本発明のコポリマーが形成される。
【0079】
一実施形態においては、導電性ポリマーは、2つ以上の前駆体モノマーのコポリマーである。一実施形態においては、これらの前駆体モノマーは、チオフェン、セレノフェン、テルロフェン、ピロール、およびチエノチオフェンから選択される。
【0080】
3.超高純度の完全フッ素化酸ポリマー
超高純度の完全フッ素化酸ポリマー(「FFAP」)は、完全フッ素化されている、そして酸性プロトンを持った酸性基を有する、かつ、0.05重量%未満のVOC分を有するあらゆるポリマーであることができる。酸性基は、イオン化可能なプロトンを供給する。一実施形態においては、酸性プロトンは3未満のpKaを有する。一実施形態においては、酸性プロトンは0未満のpKaを有する。一実施形態においては、酸性プロトンは−5未満のpKaを有する。酸性基は、ポリマー主鎖に直接結合していてもよいし、ポリマー主鎖上の側鎖に結合していてもよい。酸性基の例としては、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基、リン酸基、ホスホン酸基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。酸性基はすべてが同じものである場合もあるし、ポリマーが2種類以上の酸性基を有することもできる。一実施形態においては、この酸性基は、スルホン酸基、スルホンイミド基、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0081】
一実施形態においては、本発明のFFAPは水溶性である。一実施形態においては、FFAPは水に分散性である。
【0082】
一実施形態においては、本発明のFFAPは有機溶剤でぬらすことができる。用語「有機溶剤でぬらすことができる」は、フィルムに成形した場合に有機溶剤によってぬらすことができる材料を意味する。一実施形態においては、有機溶剤でぬらすことができる材料は、40°以下の接触角でフェニルヘキサンによってぬらすことができるフィルムを形成する。本明細書において使用される場合、用語「接触角」は、図1に示される角度Φを意味することを意図している。液体媒体の液滴の場合、角度Φは、表面の面と、液滴の外側端部から表面までの線との交差部分によって定義される。さらに、角度Φは、液滴が適用された後で表面上で平衡位置に達した後で測定され、すなわち「静的接触角」である。有機溶剤でぬらすことができるフッ素化ポリマー酸のフィルムが、上記表面として示されている。一実施形態においては、接触角が35°以下である。一実施形態においては、接触角が30°以下である。接触角の測定方法は周知である。
【0083】
好適なポリマー主鎖の例としては、すべてが完全フッ素化されている、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、およびそれらのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
一実施形態においては、酸性基は、スルホン酸基またはスルホンイミド基である。スルホンイミド基は次式を有し:
−SO−NH−SO−R
式中、Rはアルキル基である。
【0085】
一実施形態においては、酸性基はフッ素化側鎖上にある。一実施形態においては、フッ素化側鎖は、アルキル基、アルコキシ基、アミド基、エーテル基、およびそれらの組み合わせから選択され、そのすべては完全にフッ素化されている。
【0086】
一実施形態においては、FFAPは、ペンダントの過フッ素化アルキルスルホネート基、過フッ素化エーテルスルホネート基、過フッ素化エステルスルホネート基、または過フッ素化エーテルスルホンイミド基を持った、過フッ素化オレフィン主鎖を有する。一実施形態においては、FFAPは、パーフルオロ−エーテル−スルホン酸側鎖を有するパーフルオロオレフィンである。一実施形態においては、このポリマーは、1,1−ジフルオロエチレンと2−(1,1−ジフルオロ−2−(トリフルオロメチル)アリルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマーである。一実施形態においては、このポリマーは、エチレンと2−(2−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマーである。これらのコポリマーは、相当するスルホニルフロオリドポリマーとして製造することができ、次にスルホン酸形態に変換することができる。
【0087】
一実施形態においては、FFAPは、フッ素化されたおよび部分スルホン化されたポリ(アリーレンエーテルスルホン)のホモポリマーまたはコポリマーである。このコポリマーはブロックコポリマーであることができる。
【0088】
一実施形態においては、FFAPは、式IXを有するスルホンイミドポリマーであり:
【0089】
【化9】

【0090】
式中:
は、1つまたは複数のエーテル酸素で置換されていてもよい、過フッ素化アルキレン、過フッ素化ヘテロアルキレン、過フッ素化アリーレン、および過フッ素化ヘテロアリーレンから選択され、
nは少なくとも4である。
【0091】
式IXの一実施形態においては、Rはパーフルオロアルキル基である。一実施形態においては、Rはパーフルオロブチル基である。一実施形態においては、Rはエーテル酸素を含有する。一実施形態においては、nは10より大きい。
【0092】
一実施形態においては、FFAPは、過フッ素化ポリマー主鎖と式Xを有する側鎖とを含み:
【0093】
【化10】

【0094】
式中:
15は、過フッ素化アルキレン基または過フッ素化ヘテロアルキレン基であり、
16は、過フッ素化アルキル基または過フッ素化アリール基であり、
aは0または1〜4の整数である。
【0095】
一実施形態においては、FFAPは式XIを有し:
【0096】
【化11】

【0097】
式中:
16は、過フッ素化アルキル基または過フッ素化アリール基であり、
cは独立して0または1〜3の整数であり、
nは少なくとも4である。
【0098】
FFAPの合成は、たとえば、A.Feiringら、J.Fluorine Chemistry 2000、105、129−135;A.Feiringら、Macromolecules 2000、33、9262−9271;D.D.Desmarteau、J.Fluorine Chem.1995、72、203−208;A.J.Applebyら.、J.Electrochem.Soc.1993、140(1)、109−111;およびDesmarteau、米国特許第5,463,005号明細書に記載されてきた。
【0099】
一実施形態においては、FFAPはまた、少なくとも1つの過フッ素化エチレン系不飽和化合物から誘導される繰り返し単位を含む。パーフルオロオレフィンは2〜20個の炭素原子を含む。代表的なパーフルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、CF=CFO(CFCF=CF、(式中、tは1または2である)、およびR”OCF=CF(式中、R”は、1〜約10個の炭素原子の飽和パーフルオロアルキル基である)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、コモノマーはテトラフルオロエチレンである。
【0100】
一実施形態においては、本発明のFFAPはコロイド形成性ポリマー酸である。本明細書において使用される場合、用語「コロイド形成性」は、水に対して不溶性であり、水性媒体中に分散させた場合にコロイドを形成する材料を意味する。コロイド形成性ポリマー酸は、通常、約10,000〜約4,000,000の範囲内の分子量を有する。一実施形態においては、このポリマー酸は約100,000〜約2,000,000の分子量を有する。コロイドの粒度は、通常2ナノメートル(nm)〜約140nmの範囲内である。一実施形態においては、このコロイドは2nm〜約30nmの粒度を有する。酸性プロトンを有するあらゆる完全フッ素化コロイド形成性ポリマー材料を使用することができる。
【0101】
本明細書で上に記載されるポリマーの幾つかは、非酸の形態で、たとえば、塩、エステル、またはスルホニルフルオリドの形態で形成することができる。それらは、以下に記載される導電性組成物の製造のために酸の形態に変換される。
【0102】
ある実施形態においては、超高純度のFFAPは、米国特許第6,150,426号明細書、実施例1、パート2の手順と類似の手順を使用して製造される。温度は約270℃であり、この材料は、検出可能なVOC分を全く持たない水で希釈される。
【0103】
4.超高純度のFFAPでの導電性ポリマー組成物の製造
一実施形態においては、ドープされた導電性ポリマー組成物は、超高純度のFFAPの存在下での前駆体モノマーの酸化重合によって形成される。一実施形態においては、前駆体モノマーは、2つ以上の導電性前駆体モノマーを含む。一実施形態においては、これらのモノマーは、構造A−B−Cを有する中間前駆体モノマーを含み、式中、AおよびCは、同じかまたは異なるものであることができる導電性前駆体モノマーを表し、Bは、非導電性前駆体モノマーを表している。一実施形態においては、この中間前駆体モノマーは、1つまたは複数の導電性前駆体モノマーとともに重合される。
【0104】
一実施形態においては、上記の酸化重合は均一水溶液中で行われる。過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの酸化剤を使用することができる。塩化第二鉄、または硫酸第二鉄などの触媒も存在することができる。結果として得られる重合生成物は、FFAPと会合した導電性ポリマーの溶液、分散液、またはエマルジョンとなる。一実施形態においては、本来導電性のポリマーが正に帯電しており、FFAP陰イオンによって電荷のバランスがとられる。
【0105】
一実施形態においては、本発明の新規導電性ポリマー組成物の水性分散体の製造方法は、前駆体モノマーおよび酸化剤の少なくとも一方が加えられるときに少なくとも一部の超高純度のFFAPが存在するという条件で、任意の順序で、水と、前駆体モノマーと、少なくとも1つの超高純度のFFAPと、酸化剤とを混合することによって反応混合物を形成するステップを含む。
【0106】
一実施形態においては、本発明のドープされた導電性ポリマー組成物の製造方法は:
(a)超高純度のFFAPの水溶液または分散液を提供するステップと、
(b)ステップ(a)の溶液または分散液に酸化剤を加えるステップと、
(c)ステップ(b)の混合物に前駆体モノマーを加えるステップと
を含む。
【0107】
別の一実施形態においては、酸化剤を加える前に、FFAPの水溶液または分散体に前駆体モノマーが加えられる。これに続いて、酸化剤を加える前述のステップ(b)が行われる。
【0108】
別の一実施形態においては、通常、約0.5重量%〜約4.0重量%の範囲内の全前駆体モノマーの濃度で、水と前駆体モノマーとの混合物が形成される。この前駆体モノマー混合物が超高純度のFFAPの水溶液または分散体に加えられ、酸化剤を加える前述のステップ(b)が行われる。
【0109】
別の一実施形態においては、上記水性重合混合物は、硫酸第二鉄、塩化第二鉄などの重合触媒を含むことができる。この触媒は、最終ステップの前に加えられる。別の一実施形態においては、触媒は酸化剤とともに加えられる。
【0110】
一実施形態においては、重合は、ブレンステッド酸である共酸(co−acid)の存在下で行われる。この酸は、HCl、硫酸などの無機酸、あるいは酢酸またはp−トルエンスルホン酸などの有機酸であることができる。あるいは、この酸は、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸などの水溶性ポリマー酸、または前述の第2の超高純度のFFAPであることができる。複数の酸の組み合わせを使用することもできる。
【0111】
共酸は、どちらが最後に加えられても、酸化剤または前駆体モノマーのいずれかが加えられる前の、本発明の方法の任意の時点で反応混合物に加えることができる。一実施形態においては、共酸が加えられた後で、前駆体モノマーと超高純度のFFAPとの両方が加えられ、最後に酸化剤が加えられる。一実施形態においては、共酸が加えられた後で、前駆体モノマーが加えられ、続いて超高純度のFFAPが加えられ、最後に酸化剤が加えられる。
【0112】
一実施形態においては、最初に、水と無機共酸との混合物を反応容器に投入する。これに、前駆体モノマー、超高純度のFFAPの水溶液または分散体、および酸化剤をこの順序で加える。混合物を不安定化する可能性のある高イオン濃度局所領域の形成を防止するため、酸化剤はゆっくり滴下する。この混合物を撹拌し、次に、制御された温度において反応を進行させる。重合が完了してから、反応混合物を強酸陽イオン樹脂で処理し、撹拌し、濾過し、続いて、塩基性陰イオン交換樹脂で処理し、撹拌し、濾過する。前述したように、別の添加順序を使用することもできる。
【0113】
ある実施形態においては、酸化剤と前駆体モノマーとが同時に、遅い速度で、超高純度のFFAPと触媒との水溶液または分散液に加えられる。
【0114】
ある実施形態においては、前駆体モノマーが、超高純度のFFAPと、触媒と、酸化剤とを含有する水溶液または分散液中へ素速く注入される。
【0115】
すべての場合に、反応体がVOC分に関して超高純度であるように注意を払わなければならない。
【0116】
本発明の新規導電性ポリマー組成物の製造方法において、酸化剤の全前駆体モノマーに対するモル比は、一般に0.1〜2.0の範囲内であり、一実施形態においては0.4〜1.5である。超高純度のFFAPの全前駆体モノマーに対するモル比は、一般に0.3〜10の範囲内である。一実施形態においては、この比は1〜7の範囲内である。全体の固形分は、重量パーセントの単位で、一般に約0.5%〜15%の範囲内であり、一実施形態においては約2%〜10%の範囲内である。反応温度は、一般に約4℃〜50℃の範囲内であり、一実施形態においては約20℃〜35℃範囲内であり、一実施形態においては約10℃〜25℃範囲内である。任意選択の共酸の前駆体モノマーに対するモル比は約0.05〜4である。反応時間は、一般に約1〜約30時間の範囲内である。
【0117】
5.pHの調整
一実施形態においては、上記のような本発明の導電性ポリマー組成物は、酸性プロトンを陽イオンで置き換えるのに好適な条件下に少なくとも1つのイオン交換樹脂と接触させられる。本発明の組成物は、同時にまたは順次に、1つまたは複数の種類のイオン交換樹脂で処理することができる。
【0118】
イオン交換は、流体媒体(水性分散体など)中のイオンが、流体媒体に対して不溶性である固定された固体粒子に結合した類似の荷電イオンと交換される可逆的な化学反応である。本明細書においては、あらゆるこのような物質を意味するために用語「イオン交換樹脂」が使用される。イオン交換基が結合するポリマー支持体が架橋性を有するため、この樹脂は不溶性となる。イオン交換樹脂は、陽イオン交換体または陰イオン交換体に分類される。陽イオン交換体は、交換に利用可能な正に帯電した可動イオンを有し、典型的には、ナトリウムイオンなどの金属イオンを有する。陰イオン交換体は、負に帯電した交換可能なイオンを有し、典型的には水酸化物イオンを有する。
【0119】
一実施形態においては、第1のイオン交換樹脂は、金属イオンの形態、典型的にはナトリウムイオンの形態であることができる陽イオン酸交換樹脂である。第2のイオン交換樹脂は塩基性陰イオン交換樹脂である。酸性陽イオンプロトン交換樹脂と塩基性陰イオン交換樹脂との両方を使用することができる。一実施形態においては、酸性陽イオン交換樹脂は、スルホン酸陽イオン交換樹脂などの無機酸陽イオン交換樹脂である。本発明の実施において使用が考慮されるスルホン酸陽イオン交換樹脂としては、たとえば、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ベンゼン−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、およびそれらの混合物が挙げられる。別の実施形態においては、酸性陽イオン交換樹脂は、カルボン酸、アクリルまたはリンの陽イオン交換樹脂などの有機酸陽イオン交換樹脂である。さらに、異なる陽イオン交換樹脂の混合物を使用することができる。
【0120】
別の一実施形態においては、塩基性陰イオン交換樹脂は、第3級アミン陰イオン交換樹脂である。本発明の実施において使用が考慮される第3級アミン陰イオン交換樹脂としては、たとえば、第3級アミノ化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、第3級アミノ化架橋スチレンポリマー、第3級アミノ化フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、第3級アミノ化ベンゼン−ホルムアルデヒド樹脂、およびそれらの混合物が挙げられる。さらに別の一実施形態においては、塩基性陰イオン交換樹脂は、第4級アミン陰イオン交換樹脂、あるいはこれらおよびその他の交換樹脂の混合物である。
【0121】
一実施形態においては、両種類の樹脂が、導電性ポリマーと超高純度のFFAPとを含む液体組成物同時に加えられ、少なくとも約1時間、たとえば、約2時間〜約20時間液体組成物と接触したままにされる。次に、イオン交換樹脂は濾過によって分散体から除去することができる。フィルターのサイズは、比較的大きなイオン交換樹脂粒子が除去されるが、より小さな分散粒子は通過するように選択される。一般に、新規導電性ポリマー組成物の1グラム当たり、約1〜5グラムのイオン交換樹脂が使用される。
【0122】
ある実施形態においては、pHは、水性の塩基性溶液の添加によって調整される。塩基性化合物としては、水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩が挙げられる。このような溶液の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
一実施形態においては、最終pHは3より大きく、一実施形態においては、4より大きく、一実施形態においては、5より大きい。
【0124】
6.電子デバイス
本発明の一実施形態においては、本明細書に記載の導電性ポリマー組成物から作製される少なくとも1層を含む電子デバイスを提供する。用語「電子デバイス」は、1つまたは複数の有機半導体層または有機半導体材料を含むデバイスを意味することを意図している。電子デバイスとしては:(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、または照明パネル)、(2)電子的方法を介して信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、光電管、赤外線(「IR」)検出器、またはバイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、(4)1つまたは複数の有機半導体層を含む1つまたは複数の電子部品(たとえば、トランジスタまたはダイオード)を含むデバイス、あるいは項目(1)〜(4)中のデバイスのあらゆる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
一実施形態においては、本発明の電子デバイスは、2つの電気接触層の間に配置された少なくとも1つの電気活性層を含み、このデバイスは二層をさらに含む。用語「電気活性」は、層または材料に関する場合、電子または電気放射特性を示す層または材料を意味することを意図している。電気活性層材料は、放射線を受けつつあるときに放射線を発するかまたは電子−正孔ペアの濃度の変化を示すことができる。
【0126】
図2に示されるように、典型的なデバイス100は、アノード層110と、緩衝層120と、任意選択の正孔輸送層130と、電気活性層140と、任意選択の電子注入/輸送層150と、カソード層160とを有する。
【0127】
本発明のデバイスは、アノード層110またはカソード層160に隣接することができる支持体または基体を含むことができる。ほとんどの場合、支持体はアノード層110に隣接している。支持体は、可撓性であることも剛性であることも、有機であることも無機であることもできる。支持体材料の例としては、ガラス、セラミック、金属、およびプラスチックフィルムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0128】
アノード層110は、カソード層160よりも正孔の注入が効率的な電極である。アノードは、金属、混合金属、合金、金属酸化物、または混合酸化物を含有する材料を含むことができる。好適な材料としては、2族元素(すなわち、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)の混合酸化物、11族元素、4族、5族、および6族の元素、ならびに8〜10族の遷移元素が挙げられる。アノード層110を光透過性にするためには、インジウム・スズ酸化物などの12族、13族、および14族の元素の混合酸化物を使用することができる。本明細書において使用される場合、語句「混合酸化物」は、2族元素、あるいは12族、13族、または14族の元素から選択される2つ以上の異なる陽イオンを有する酸化物を意味する。アノード層110の材料の一部の非限定的な具体例としては、インジウム・スズ酸化物(「ITO」)、インジウム・亜鉛酸化物、アルミニウム・スズ酸化物、金、銀、銅、およびニッケルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アノードはまた、有機材料、特に「Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer」、Nature vol.357、pp 477−479(1992年6月11日)に記載されているような例示的な材料をはじめとする、ポリアニリンなどの導電性ポリマーを含むことができる。アノードおよびカソードの少なくとも1つは、発生した光を観察できるように少なくとも部分的に透明であるべきである。
【0129】
アノード層110は、化学蒸着法または物理蒸着法、あるいはスピンコーティング法によって形成することができる。化学蒸着は、プラズマ化学蒸着(「PECVD」)または金属有機化学蒸着(「MOCVD」)として行うことができる。物理蒸着としては、イオンビームスパッタリングなどのスパッタリング、ならびにeビーム蒸発、および抵抗蒸発のあらゆる形態を挙げることができる。物理蒸着の具体的な形態としては、高周波マグネトロンスパッタリング、および誘導結合プラズマ物理蒸着(「IMP−PVD」)が挙げられる。これらの堆積技術は、半導体製造分野においては周知である。
【0130】
一実施形態において、アノード層110は、リソグラフィ作業中にパターン化される。このパターンは、希望に応じて変更することができる。これらの層は、第1の電気接触層材料を適用する前に、第1の可撓性複合バリア構造上にパターンニングされたマスクまたはレジストを配置することなどによってパターンを形成することができる。あるいは、これらの層は、全体の層として適用することができ(ブランケット堆積とも呼ばれる)、続いて、たとえば、パターン化されたレジスト層と湿式化学エッチングまたはドライエッチング技術とを使用してパターン化することができる。当技術分野において周知の他のパターニング方法を使用することもできる。電子デバイスがアレイ内に配置される場合、典型的にはアノード層110は、実質的に同方向に延在する長さを有する実質的に平行なストリップに成形される。
【0131】
本明細書に記載される導電性ポリマー組成物は、緩衝層120として好適である。用語「緩衝層」または「緩衝材料」は、導電性材料または半導性材料を意味することを意図しており、下にある層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉、および有機電子デバイスの性能を促進するためのまたは性能を向上させるための他の態様を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の機能を有機電子デバイスにおいて有することができる。緩衝層は通常、当業者に周知の様々な技術を使用して基体上へ堆積される。典型的な堆積技術としては、蒸着、液相堆積(連続および不連続技術)、ならびに熱転写が挙げられる。連続堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0132】
任意選択の層130が、緩衝層120と電気活性層140との間に存在することができる。この層は、正孔輸送材料を含むことができる。正孔輸送材料の例は、たとえば、Wang,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837−860,1996にまとめられている。正孔輸送分子および正孔輸送ポリマーの両方を使用することができる。一般に使用される正孔輸送分子としては:4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP);1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB);および銅フタロシアニンなどのポルフィリン系化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。一般に使用される正孔輸送ポリマーとしては、限定するものではないが、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、およびポリピロールが挙げられる。ポリスチレンやポリカーボネートなどのポリマー中に上述のものなどの正孔輸送分子をドープすることによって正孔輸送ポリマーを得ることもできる。
【0133】
ある実施形態においては、正孔輸送層は正孔輸送ポリマーを含む。ある実施形態においては、この正孔輸送ポリマーはジスチリルアリール化合物である。ある実施形態においては、このアリール基は2つ以上の縮合芳香族環を有する。ある実施形態においては、このアリール基はアセンである。用語「アセン」は、本明細書において使用される場合、直線状配置で2つ以上のオルト縮合ベンゼン環を含有する炭化水素親構成要素を意味する。
【0134】
ある実施形態においては、正孔輸送ポリマーはアリールアミンポリマーである。ある実施形態においては、それは、フルオレンモノマーとアリールアミンモノマーとのコポリマーである。
【0135】
ある実施形態においては、このポリマーは架橋性基を有する。ある実施形態においては、架橋は、熱処理および/またはUVもしくは可視放射線への露光によって行うことができる。架橋性基の例としては、ビニル、アクリレート、パーフルオロビニルエーテル、1−ベンゾ−3,4−シクロブタン、シロキサン、およびメチルエステルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。架橋性ポリマーは、溶液法OLEDの製造において利点を有することができる。堆積の後で不溶性フィルムへ変換することができる層を形成するための可溶性ポリマー材料の適用は、層溶解問題を含まない多層溶液加工OLEDデバイスの製造を可能にすることができる。
【0136】
架橋性ポリマーの例は、たとえば、米国特許出願公開第2005−0184287号明細書および国際公開第2005/052027号パンフレットに見いだすことができる。
【0137】
ある実施形態においては、正孔輸送層は、9,9−ジアルキルフルオレンとトリフェニルアミンとのコポリマーであるポリマーを含む。ある実施形態においては、このポリマーは、9,9−ジアルキルフルオレンと4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ビフェニルとのコポリマーである。ある実施形態においては、このポリマーは、9,9−ジアルキルフルオレンとTPBとのコポリマーである。ある実施形態においては、このポリマーは、9,9−ジアルキルフルオレンとNPBとのコポリマーである。ある実施形態においては、このコポリマーは、(ビニルフェニル)ジフェニルアミンおよび9,9−ジスチリルフルオレンまたは9,9−ジ(ビニルベンジル)フルオレンから選択される第3のコモノマーから製造される。
【0138】
デバイスの用途に依存して、電気活性層140は、印加電圧によって励起される発光層(発光ダイオードまたは発光電気化学セル中など)、放射エネルギーに応答し、そして印加バイアス電圧を使用してまたは使用せずに信号を発生する材料の層(光検出器中など)であることができる。一実施形態においては、電気活性材料は、有機エレクトロルミネセンス(「EL」)材料である。小分子有機蛍光化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない、あらゆるEL材料を本発明のデバイスに使用することができる。蛍光化合物の例としては、ピレン、ペリレン、ルブレン、クマリン、それらの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属錯体の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;Petrovらの米国特許第6,670,645号明細書、ならびに国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに開示されるような、フェニルピリジン配位子、フェニルキノリン配位子、またはフェニルピリミジン配位子を有するイリジウムの錯体などのシクロメタレート化イリジウムおよび白金エレクトロルミネッセンス化合物、ならびに、たとえば、国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレット、および国際公開第03/040257号パンフレットに記載されているような有機金属錯体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。電荷輸送ホスト材料と金属錯体とを含むエレクトロルミネッセンス発光層が、Thompsonらによる米国特許第6,303,238号明細書、ならびにBurrowsおよびThompsonによる国際公開第00/70655号パンフレットおよび国際公開第01/41512号パンフレットに記載されている。共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0139】
任意選択の層150は、電子の注入/輸送の両方を促進する機能を果たすことができ、かつ、層界面での消光反応を防止するための閉じ込め層としても機能することもできる。より具体的には、層150は、電子の移動を促進し、そしてこの層がなければ層140および160が直接接触する場合の消光反応の可能性を減少させることができる。任意選択の層150用の材料の例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニル−フェノラト)アルミニウム(III)(BAIQ)、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq)、およびテトラキス(8−ヒドロキシキノリナト)ジルコニウム(Zrq4)などの金属キレート化オキシノイド化合物;2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;9,10−ジフェニルフェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン誘導体;ならびにそれらの1つまたは複数のあらゆる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。あるいは、任意選択の層150は無機であってよく、BaO、LiF、LiOなどを含むことができる。
【0140】
カソード層160は、電子または負電荷キャリアの注入に特に有効な電極である。カソード層160は、第1の電気接触層(この場合、アノード層110)よりも低い仕事関数を有するあらゆる金属または非金属であってよい。本明細書で使用される際、用語「低い仕事関数」は、約4.4eV以下の仕事関数を有する材料を意味することを意図している。本明細書で使用される際、「高い仕事関数」は、少なくとも約4.4eVの仕事関数を有する材料を意味することを意図している。
【0141】
カソード層の材料は、1族のアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Rb、Cs,)、2族金属(たとえば、Mg、Ca、Baなど)、12族金属、ランタニド(たとえば、Ce、Sm、Euなど)、およびアクチニド(たとえば、Th、Uなど)から選択することができる。アルミニウム、インジウム、イットリウム、およびそれらの組み合わせなどの材料を使用することもできる。カソード層160の材料の非限定的な具体例としては、バリウム、リチウム、セリウム、セシウム、ユウロピウム、ルビジウム、イットリウム、マグネシウム、サマリウム、ならびにそれらの合金および組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0142】
通常、カソード層160は、化学蒸着法または物理蒸着法によって形成される。ある実施形態においては、カソード層は、アノード層110に関して上に議論されたように、パターン化される。
【0143】
本発明のデバイス中のその他の層は、このような層によって果たされるべき機能を考慮してこのような層に有用であることが知られているあらゆる材料でできていることができる。
【0144】
ある実施形態においては、封入層(図示せず)が、デバイス100中への水および酸素などの望ましくない成分の進入を防ぐために接触層160の上に堆積される。このような成分は、有機層140に有害な影響を及ぼしうる。一実施形態においては、この封入層はバリア層またはフィルムである。一実施形態においては、封入層はガラス蓋である。
【0145】
図示されていないが、本発明のデバイス100が追加の層を含んでもよいことは理解される。当技術分野においてまたは別の方法で公知であるその他の層を使用することができる。さらに、上記の層のいずれも2つ以上のサブ層を含むことができるか、または薄層状構造を形成することができる。あるいは、層の幾らかまたはすべてを、デバイスの電荷キャリア輸送効率または他の物理的特性を上げるために、処理する、特に表面処理することができる。各構成層の材料の選択は、デバイスの稼働寿命を考慮して高いデバイス効率を有するデバイスを得ること、製造時間、および複雑な要因、ならびに当業者に認識されている他の問題点の目標の釣り合いを取ることによって、好ましくは決定される。最適な構成要素、構成要素の構成、および組成の決定は、当業者の日常的な作業であることは理解できるであろう。
【0146】
一実施形態においては、種々の層は以下の範囲の厚さを有する:アノード110、500〜5000Å、一実施形態においては1000〜2000Å;緩衝層120、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;任意選択の正孔輸送層130、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;光活性層140、10〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;任意選択の電子輸送層150、50〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;カソード160、200〜10000Å、一実施形態においては300〜5000Å。デバイス中の電子−正孔再結合ゾーンの位置、したがってデバイスの発光スペクトルは、各層の相対厚さによって影響されうる。したがって、電子−正孔再結合ゾーンが発光層中に存在するように、電子輸送層の厚さを選択すべきである。層の厚さの望ましい比は、使用される材料の厳密な性質に依存する。
【0147】
動作中、適切な電源(図示せず)からの電圧がデバイス100に印加される。それによって、デバイス100の層に電流が流れる。電子が有機ポリマー層に入り、フォトンを放出する。アクティブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれる一部のOLEDでは、光活性有機フィルムの個別の堆積物を、電流の流れによって独立に励起させることができ、それによって個別のピクセルを発光させることができる。パッシブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれる一部のOLEDでは、光活性有機フィルムの堆積物は、電気接触層の横列および縦列によって励起させることができる。
【実施例】
【0148】
本明細書に記載される概念を以下の実施例でさらに説明するが、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0149】
VOC分析方法
ポリマー分散体を好適な溶剤、通常は0.05N水酸化ナトリウムで希釈し、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。ポリマー溶液および溶剤の量を分析秤量する。希釈試料を、GCカラムに取り付けたガラスインサート中へ注入する。ポリマーはガラスインサートの側面およびガラスウール上に堆積し、揮発性有機成分がカラムへ移行する。水酸化ナトリウムは、ポリマー分散体のスルホン酸基と反応し、その触媒効果を阻害する。揮発性成分(水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、および1−プロパノール)はカラム上で分離され、存在する揮発性成分の量に相当する面積パーセントのピークをもたらす。これらのピークを、存在する揮発性物質について100%に標準化し、各揮発性成分について計算を行う。希水酸化ナトリウムとして加えた水を逆算することができ、それ故、もしあれば、元のポリマー溶液中の水の量を計算することができる。実施例において示す有機揮発性成分は水を含まないことに留意されたい。本方法による検出限界は、少なくとも約0.01重量%である。
【0150】
比較例A
本比較例は、わずかな比率のVOCを含有する、それ故超高純度ではない、テトラフルオロエチレン(TFE)と3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸(「PSEPVE」)とのコポリマーをFFAPとして使用する3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)の重合を例示する。このコポリマーはp−(TFE/PSEPVE)と略記される。
【0151】
p−(TFE/PSEPVE)は、1スルホン酸当たり1050gの酸当量(EW)を有した。それは、水中に11.4%(w/w)のポリマーを含有し、VOC分析方法によれば0.08%(w/w)の揮発性有機化合物を有すると分析された。VOCは主としてプロパノールであった。
【0152】
米国特許出願公開第2004−02542970号明細書に記載されているように3,4−エチレンジオキシチオフェン(「EDOT」)モノマーをp−(TFE/PSEPVE)分散体と反応させた。重合原料は次のモル比を有した:p−(TFE/PSEPVE)/EDOT:2.75、Na/EDOT:1.25、Fe(SO/EDOT:0.033、HCl/EDOT:0.5。固形分は4%(w/w)であると計算された。
【0153】
15gのLewatit Monoplus S100と、15gのAmberjet 4400(OH)と、20gのn−プロパノールとを加えることによって重合反応を停止した。Lewatit Monoplus S100は、Bayer(Pittsburgh,PA)製の架橋ポリスチレンのスルホン酸ナトリウムに対する商品名であり、Amberjet 4400(OH)は、Rohm and Haas Co.(Philadelphia,PA)製の陰イオン交換樹脂である。使用前に、Monoplus S-100を、水洗液に色が全くなくなるまで水で洗浄した。Amberjet 4400は、32%のn−プロパノール(DI水中)で多数回リンスした。最終分散体は5.7のpHを有した。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で1×10−9S/cm未満であると測定された。
【0154】
比較例B
本比較例は、わずかな比率のVOCを含有する、それ故超高純度ではない、p−(TFE/PSEPVE)をFFAPとして使用するEDOTの重合を例示する。
【0155】
p−(TFE/PSEPVE)コポリマーは、1スルホン酸当たり999gの酸当量(EW)を有した。それは、水中に12%(w/w)のコポリマーを含有し、VOC分析方法によれば0.3%(w/w)の揮発性有機成分を有すると分析された。VOCは主としてプロパノールであった。
【0156】
比較例Aに記載されるものと同じ手順に従って、そして同じモル比の各成分および同じ量の原料を使用してEDOTモノマーをp−(TFE/PSEPVE)分散体と重合させた。比較例Aにおけるように、重合反応を停止し、ワークアップして最終分散体を得た。それは4.22のpHを有した。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で1×10−9S/cm未満であると測定された。
【0157】
実施例1
本実施例は、検出できるVOCを全く含有しないp−(TFE/PSEPVE)の超高純度の水性分散体でのEDOTの重合を例示する。
【0158】
p−(TFE/PSEPVE)の水性分散体は、温度が約270℃であったことを除いて、米国特許第6,150,426号明細書、実施例1、パート2の手順に類似の手順を使用して製造した。1050のEWを有するp-(TFE/PSEPVE)を、超高純度の水の使用によって純粋に水性分散体に変換した。この分散体変換方法は、VOC分析から確認された、あらゆる微量の有機揮発性成分を排除するようにデザインされている。VOCは、VOC分析から全く検出できなかった。この水性分散体は、水中に25%(w/w)のp−(TFE/PSEPVE)を有し、EDOTとの重合のために使用する前に脱イオン水で12%に希釈した。
【0159】
比較例Aに記載されるものと同じ手順に従って、そして同じモル比の各成分および同じ量の原料を使用して重合を行った。比較例Aにおけるように、重合反応を停止し、ワークアップして最終分散体を得た。それは4.15のpHを有した。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で2.1×10−2S/cmであると測定された。この導電率は、比較例AおよびBに示されたものよりもはるかに高い。これらの結果を表1にまとめる。
【0160】
実施例2
950のEWを有する超高純度のp−(TFE/PSEPVE)試料を水中の11.5%(w/w)分散体として使用して実施例1を繰り返した。結果として得られるPEDOT/p−(TFE/PSEPVE)導電性ポリマーは、4.72のpHを有した。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で2.4×10−3S/cmであると測定された。この導電率は、比較例AおよびBに示されたものよりもはるかに高い。これらの結果を表1にまとめる。
【0161】
比較例C
本比較例は、FFAPの超高純度の水性分散体へのn−プロパノールの添加の影響を例示する。
【0162】
実施例1からのp−(TFE/PSEPVE)の12%の水性分散体にn−プロパノールを0.08%(w/w)のレベルまで加えた。実施例1におけるものと同じ手順に従って、同じモル比の各成分および同じ量の原料を使用してEDOTの重合を行った。重合反応を停止し、ワークアップして最終分散体を得た。それは3.91のpHを有した。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で3.7×10−5S/cmであると測定された。この導電率は、実施例1に示されたものよりもはるかに低い。これらの結果を、PEDOT/p−(TFE/PSEPVE)の導電率への有機揮発性成分の影響を例示する、表1にまとめる。
【0163】
比較例D
本比較例は、FFAPの超高純度の水性分散体へのジエチルエーテルの添加の影響を例示する。
【0164】
0.3%のジエチルエーテルをn−プロパノールの代わりに0.3%(w/w)のレベルまで加えたことを除いて比較例Cを繰り返した。最終分散体は4.22のpHを有した。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で6.5×10−5S/cmであると測定された。この導電率は、実施例1に示されたものよりもはるかに低い。これらの結果を、再びPEDOT/p−(TFE/PSEPVE)の導電率への有機揮発性成分の影響を例示する、表1にまとめる。
【0165】
比較例E
本比較例は、p−(TFE/PSEPVE)の超高純度の水性分散体に加えたより高い%のn−プロパノールの影響を例示する。
【0166】
n−プロパノールのレベルが0.3%(w/w)であったことを除いて、比較例Cを繰り返した。最終分散体は3.91のpHを有した。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で1×10−9S/cm未満であると測定された。この導電率は、実施例1に示されたものよりもはるかに低い。これらの結果を、再びPEDOT/p−(TFE/PSEPVE)の導電率への有機揮発性成分の影響を例示する、表1にまとめる。
【0167】
【表1】

【0168】
実施例3
本実施例は、超高純度のp−(TFE/PSEPVE)の水性分散体でのピロール(「Py」)の重合を例示する。
【0169】
本実施例においては、実施例2からのp-(TFE/PSEPVE)の超高純度の水性分散体を使用した。
【0170】
米国特許出願公開第2005−0205860号明細書に記載されているようにPyモノマーを超高純度のp-(TFE/PSEPVE)分散体と反応させた。重合原料は、次のモル比を有する:p−(TFE/PSEPVE)/ピロール:2.5、Na/ピロール:0.9、Fe(SO/ピロール:0.11。固形分は8%(w/w)であると計算された。結果として得られる生成物はPpy/p−(TFE/PSEPVE)と略記され、式中Ppyはポリピロールを表す。
【0171】
1時間の反応時間後に、35gの各Dowex M31、およびDowex M43イオン交換樹脂と、350gの脱イオン水とを反応混合物に加え、120RPMでさらに4時間撹拌した。イオン交換樹脂を最終的に分散体からVWR417濾紙を通して濾過した。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で1.3×10−2S/cmであった。
【0172】
比較例F
本比較例はまた、p−(TFE/PSEPVE)の超高純度の水性分散体に加えた0.1%のn−プロパノールの影響を例示する。
【0173】
本比較例においては、実施例3に記載されたp-(TFE/PSEPVE)の12%の超高純度の水性分散体にn−プロパノールを0.1%(w/w)のレベルまで加えた。ピロールの重合を実施例3に記載されたように行った。実施例3で行ったように、重合反応を停止し、ワークアップして最終分散体を得た。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で1.3×10−3S/cmであると測定された。この導電率は、実施例3に示されたものよりも低かった。これらの結果を、Ppy/p−(TFE/PSEPVE)の導電率への有機揮発性成分の影響を例示する、表2にまとめる。
【0174】
比較例G
本比較例は、p−(TFE/PSEPVE)の超高純度の水性分散体に加えた0.5%のn−プロパノールの影響を例示する。
【0175】
本比較例においては、実施例3に記載されたp-(TFE/PSEPVE)の12%の水性分散体にn−プロパノールを0.5%(w/w)のレベルまで加えた。ピロールの重合を実施例3に記載されたように行った。実施例3で行ったように、重合反応を停止し、ワークアップして最終分散体を得た。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で3.1×10−4S/cmであると測定された。この導電率は、実施例3に示されたものよりも低い。それはまた、p−(TFE/PSEPVE)分散体がより低い%のn−プロパノールを有する比較例Fにおけるものよりも低い。これらの結果を、Ppy/p−(TFE/PSEPVE)の導電率への有機揮発性成分の影響を例示する、表2にまとめる。
【0176】
比較例H
本比較例はまた、p−(TFE/PSEPVE)の超高純度の水性分散体に加えた1.0%のn−プロパノールの影響を例示する。
【0177】
本比較例においては、実施例3に記載されたp-(TFE/PSEPVE)の12%の超高純度の水性分散体にn−プロパノールを1.0%(w/w)のレベルまで加えた。ピロールの重合を実施例3に記載されたように行った。実施例3で行ったように、重合反応を停止し、ワークアップして最終分散体を得た。空気中130℃で10分間焼き付けした、スピンコーティングしたフィルムの導電率は室温で4.8×10−5S/cmであると測定された。この導電率は、実施例3に示されたものよりも低い。それは、比較例FおよびGのそれらよりも低い。これらの結果を、Ppy/p−(TFE/PSEPVE)の導電率への有機揮発性成分の影響を例示する、表2にまとめる。
【0178】
【表2】

【0179】
概要または実施例において前述したすべての行為が必要なわけではなく、特定の行為の一部は不要である場合があり、1つまたは複数のさらに別の行為が、前述の行為に加えて実施される場合があることに留意されたい。さらに、行為が列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0180】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることが理解できよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのこのような修正は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0181】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴であるとして解釈すべきではない。
【0182】
明確にするために、別々の実施形態の状況において本明細書に記載されている特定の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、1つの実施形態の状況において記載される種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。本明細書において明記される種々の範囲内の数値が使用される場合、記載の範囲内の最小値および最大値の両方の前に単語「約」が付けられているかのように近似値として記載されている。この方法では、記載の範囲よりもわずかに上およびわずかに下のばらつきを使用して、その範囲内の値の場合と実質的に同じ結果を得ることができる。また、これらの範囲の開示は、ある値の一部の成分を異なる値の一部の成分と混合した場合に生じうる分数値を含めて、最小平均値と最大平均値との間のすべての値を含む連続した範囲であることを意図している。さらに、より広い範囲およびより狭い範囲が開示される場合、ある範囲の最小値を別の範囲の最大値と一致させること、およびその逆のことが本発明の意図の範囲内となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超高純度の完全フッ素化酸ポリマーで製造された導電性ポリマーを含む導電性ポリマー組成物。
【請求項2】
前記導電性ポリマーが、チオフェン類、セレノフェン類、テルロフェン類、ピロール類、およびチエノチオフェン類からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーから形成される、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項3】
前記完全フッ素化酸ポリマーが、カルボン酸、スルホン酸、スルホンイミド、リン酸、ホスホン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される酸性基を含む、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項4】
前記完全フッ素化酸ポリマーが、スルホン酸およびスルホンアミドからなる群から選択される酸性基を含む、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項5】
前記完全フッ素化酸ポリマーが、ペンダントの過フッ素化アルキルスルホネート基、過フッ素化エーテルスルホネート基、過フッ素化エステルスルホネート基、または過フッ素化エーテルスルホンイミド基を有する過フッ素化オレフィン主鎖を含む、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項6】
前記完全フッ素化酸ポリマーが水溶性である、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項7】
前記完全フッ素化酸ポリマーが水に分散性である、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項8】
前記完全フッ素化酸ポリマーが有機溶剤でぬらすことができる、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項9】
超高純度の完全フッ素化酸ポリマーで製造された導電性ポリマーを含む水性分散体。
【請求項10】
前記完全フッ素化酸ポリマーがスルホン酸ポリマーまたはコポリマーである、請求項6に記載の水性分散体。
【請求項11】
前記完全フッ素化酸ポリマーがp−(TFE/SEPVE)である、請求項7に記載の水性分散体。
【請求項12】
アノードと、緩衝層と、光活性層と、カソードとをこの順に含む電子デバイスであって、前記緩衝層が超高純度の完全フッ素化酸ポリマーで製造された導電性ポリマーを含むデバイス。
【請求項13】
前記導電性ポリマーが、チオフェン類、セレノフェン類、テルロフェン類、ピロール類、およびチエノチオフェン類からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーから形成される、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記完全フッ素化酸ポリマーが、カルボン酸、スルホン酸、スルホンイミド、リン酸、ホスホン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される酸性基を含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記完全フッ素化酸ポリマーが、スルホン酸およびスルホンアミドからなる群から選択される酸性基を含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項16】
前記導電性ポリマーが水性分散体である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項17】
前記水性分散体がスルホン酸ポリマーまたはコポリマーを含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記酸ポリマーがp−(TFE/SEPVE)である、請求項17に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−514900(P2010−514900A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544108(P2009−544108)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/026438
【国際公開番号】WO2008/082622
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】