説明

足の組織部位に減圧を加える足マニホールド、装置、システムおよび方法

【課題】足の組織部位に減圧を加える装置、システム、および方法を提供する。
【解決手段】インソール208と、インソールの少なくとも一部を覆う組織接触面234とを具えてもよい。組織接触面の少なくとも一部は、ボイド218を形成するために脱着可能である。この装置はさらに、減圧源から減圧を受ける減圧インタフェースと、減圧インタフェースとボイドとを流体連通する少なくとも1つの流路とを具えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本明細書は、2008年3月13日出願の米国仮特許出願第61/036,433号の利益を主張するものであり、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
例示的な実施形態は、一般に医療システムに関し、より具体的には、足の組織部位に減圧を加える足マニホールド、装置、システム、および方法に関する。
【0003】
臨床研究および臨床診療は、組織部位の近傍に減圧を加えると、組織部位における新しい組織の成長を増強かつ促進させることを示してきた。この現象の適用例は非常に多いが、減圧の適用は特に、創傷治療において成功してきた。この治療法(しばしば、医学会では「負圧創傷療法」、「減圧療法」、または「真空療法」と称される)は、治癒促進および肉芽組織の形成の向上を含む多くの利点を提供する。
【発明の概要】
【0004】
例示的な実施形態によると、足の組織部位に減圧を加える装置は、インソールと、インソールの少なくとも一部を覆う組織接触面とを具える。組織接触面の少なくとも一部は、ボイドを形成するために脱着可能である。この装置は、減圧源から減圧を受ける減圧インタフェースと、減圧インタフェースとボイドとを流体結合する少なくとも1つの流路とを具えてもよい。
【0005】
例示的な一実施形態では、システムは、上記の装置に加えて、減圧を供給するように動作可能な減圧源を具えてもよい。このシステムはさらに、減圧源から装置の減圧インタフェースまで減圧を送達するように機能する送達導管を具えてもよい。
【0006】
例示的な一実施形態では、足の組織部位に減圧を加える方法は、足マニホールドを提供するステップと、ボイドを形成するために足マニホールドのインソールを覆っている組織接触面の一部を除去するステップとを具える。この方法はさらに、足の組織部位にボイドを位置合わせするステップと、ボイドと組織部位との間に実質的な空気シールを作るステップとを具える。この方法はさらに、減圧が組織部位に加わるように、減圧源からボイドまで流路を介して減圧を加えるステップを具える。
【0007】
例示的な一実施形態では、足の組織部位に減圧を加える装置を製造する方法は、インソールを提供するステップと、組織接触面を提供するステップとを具える。この方法はさらに、インソールの少なくとも一部を組織接触面で覆うステップを具えており、減圧を送達するように機能する少なくとも1つの流路を形成する。
【0008】
例示的な実施形態の他の目的、機能、および利点は、以下の図面および詳述を参照すると自明となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、例示的な実施形態による足の組織部位に減圧を加えるシステムの斜視図を示している。
【図2】図2は、例示的な実施形態による足の組織部位に減圧を加える装置の斜視図を示している。
【図3A】図3Aは、図2の装置の断面図を示している。
【図3B】図3Bは、図2の装置の断面図を示しており、当該装置は、ボイドを形成するために支持部材を取り除いている。
【図4A】図4Aは、図2の装置の支持部材の上面斜視図を示している。
【図4B】図4Bは、図4Aの支持部材の底面斜視図を示している。
【図5】図5は、例示的な実施形態による足の組織部位に減圧を加える装置の分解斜視図を示している。
【図6】図6は、ボイドを形成するために密封層の一部を除去した図5の装置の斜視図を示している。
【図7】図7は、例示的な実施形態による送達導管の断面図を示している。
【図8】図8は、例示的な実施形態による送達導管の断面図を示している。
【図9】図9は、例示的な実施形態による足の組織部位に減圧を加える装置の平面図を示している。
【図10】図10は、例示的な実施形態による足の組織部位に適用される図9の装置の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の例示的な実施形態の詳述では、その一部を構成する添付の図について説明している。これらの実施形態は、当該技術分野における当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載しており、他の実施形態が利用可能であり、本発明の精神または範囲を超えることなく、論理構造的、機械的、電気的および化学的な変更が可能であることを理解されたい。当業者が本明細書に記載した実施形態を実施可能とするのに必要のない細部説明を避けるため、当業者に既知の特定の情報を説明から省略することがある。従って、以下の詳述は限定の意味で捉えるべきではなく、例示的な実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0011】
図1を参照すると、患者の足105の創傷104のような組織部位102に減圧治療を提供する減圧治療システム100の例示的な実施形態を示している。この減圧治療システム100は、足105の組織部位に減圧を供給する減圧源109から減圧を受ける足マニホールド106を具えている。足マニホールド106は、インソール108と、インソール108の面と接触している組織を覆う組織接触面110とを具える。本明細書で使用する「覆う(covers)」は、完全にまたは部分的に覆うことを含む。送達導管112を通して減圧を足マニホールド106に送達することができ、この送達導管112は、インソール108の後部116に位置する減圧インタフェース114に挿入するか着脱可能に結合される。組織接触面110の一部はボイド118を形成するために脱着可能であり、足マニホールド106と足105とが隣接している場合、ボイド118を創傷104に位置合わせすることができる。インソール108内の1またはそれ以上の流路120が減圧インタフェース114からボイド118まで減圧を送達し、これにより減圧治療を創傷104に供給する。
【0012】
本明細書で使用する「減圧(reduced pressure)」は、一般に、治療を受ける組織部位の周囲圧力より低い圧力を意味する。多くの場合、この減圧は、患者がいるところの大気圧未満となるであろう。代替的には、減圧は組織部位における組織の静水圧より低くてもよい。一実施形態では、減圧は最初に、送達導管112および創傷104近傍に流体の流れを発生させることがある。創傷104周囲の静水圧が所望の減圧に近付くと、この流れは弱まり、減圧が維持される。特に指示がなければ、本明細書に記載する圧力値はゲージ圧である。供給する減圧は、静的または動的(パターン化した、またはランダム)であってもよく、連続的または断続的に供給してもよい。用語「真空(vacuum)」および「負圧(negative pressure)」は、組織部位に加える圧力について説明するのに使用されるうるが、組織部位に加えられる実際の圧力は、完全真空に通常関連する圧力よりも高くなりうる。この用法と整合して、減圧または真空圧の増加は、通常、絶対圧力の相対的な低下を意味する。特に指示がなければ、本明細書で使用する「または」は、相互の排他性を必要としない。
【0013】
創傷104は任意の種類の創傷、または組織の損傷部位であってもよく、外傷、手術、または糖尿病性潰瘍のような他の原因による創傷を含んでもよい。創傷104を含む組織部位102は、骨組織、脂肪組織、筋組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨組織、腱、靱帯、または他の組織を有する、人間、動物、または他の生物の身体組織であってもよい。組織部位102の治療法は、例えば滲出液のような流体の除去、または減圧の供給を含むことがある。
【0014】
創傷104が下肢潰瘍である例では、インソール108は、患者が歩くか立っているような場合に、創傷104からの負荷を軽減するように機能してもよい。組織接触面110は創傷104周囲の組織と接触した状態を保っていてもよく、これにより創傷104からの圧力が軽減する。創傷104上にかかる圧力は、創傷104の近くにボイド118を設けることによって減少する。特に、創傷104に近接する組織接触面110の一部が除去されるため、創傷104の上にかかる圧力が減少する。
【0015】
足マニホールド106は、全面接触式ギプスおよび着脱可能なギプスウォーカといった治療用ギプスシステムと併用するか、その代わりとして用いてもよい。例えば、足マニホールド106を、患者が装着する治療用ギプスシステム内に配置してもよい。他の実施例では、足マニホールド106を、靴、ブーツ、サンダル、または靴下といった履物の物体内に挿入してもよい。
【0016】
足マニホールド106を他の方法で足105に固定してもよい。例えば、固定部材122が、インソール108と足105の周囲を少なくとも部分的に包み込んでもよい。接着剤を用いて、固定部材122が広がるのを防いでもよい。必要に応じて、固定部材122によって包み込んでいる足105と足マニホールド106とを、治療用ギプスシステムを含む履物内に配置してもよい。足マニホールド106と足105とを互いに押し付け合う1またはそれ以上の弾性バンドを用いて、足マニホールド106を足105に固定してもよい。
【0017】
他の実施例では、固定部材122または履物を必要とせずに、足マニホールド106を足105に付着させてもよい。この実施例では、足マニホールド106の組織接触面110は、足105を足マニホールド106に固定する粘着性材料で作るか、覆われてもよい。
【0018】
発泡体マニホールド124をボイド118内に挿入してもよい。発泡体マニホールド124は、創傷104に減圧を加え、流体を供給し、または流体を除去するのを補助する。発泡体マニホールド124は通常、発泡体マニホールド124に近接する創傷104に供給および除去する流体の分配を強化するように相互接続された、複数の流路または経路を具えている。発泡体マニホールド124は、創傷104と接触して配置することができ、創傷104に減圧を分配可能な生体適合性材料であってもよい。発泡体マニホールド124の実施例は、例えば、細胞状フォーム、開放セルフォーム、多孔性組織の収集、液体、ゲル、および流路を具えるか流路を具えるよう硬化した泡といった、流路を形成するように構成された構造要素を有するデバイスを含んでもよいが、それらに限定はされない。発泡体マニホールド124は多孔質であってもよく、発泡体、ガーゼ、フェルトマット、または特定の生物学的用途に適した他の材料で作られてもよい。一実施形態では、発泡体マニホールド124は多孔質発泡体であり、流路として機能する相互接続された複数のセルまたは気孔を具えている。多孔質発泡体は、テキサス州San Antonioの Kinetic Concepts社で製造されているGranuFoam(登録商標)材料のような、ポリウレタン、開放セル、網状フォームであってもよい。いくつかの状態では、発泡体マニホールド124はまた、薬剤、抗菌物質、成長因子、および様々な溶液といった流体を創傷104に分配するために用いてよい。吸収性材料、ウィッキング材料、疎水性材料、および親水性材料といった発泡体マニホールド124内またはその上に、他の層を具えてもよい。
【0019】
減圧は、流路120を通ってボイド118まで送達される。図示する足マニホールド106は1つの流路120のみを有しているが、足マニホールド106は、任意の数の流路120のような流路を具えることができ、インソール108または組織接触面110の一部と減圧インタフェース114との流体連通が可能となる。以下の図に示すように、これらの流路は相互接続され、パターンを形成するか、インソール108または組織接触面110上の1またはそれ以上の溝部によって規定されてもよい。流路120はまた、減圧インタフェース114とボイド118とを流体結合する管または導管であってもよい。
【0020】
減圧は、減圧インタフェース114を介して流路120に送達される。この減圧インタフェース114は、送達導管112と足マニホールド106との間の流体結合を含む結合を容易にできる、ソケット、ポート、穴部、または他の取付部であってもよい。本明細書で使用する用語「結合(coupled)」は、別個の物体を介する結合および直接的な結合を含む。用語「結合」はさらに、各要素を材料の同一部分で形成することによって互いに連続する2またはそれ以上の要素を包含する。また、用語「結合」は、化学バンドを介するような化学結合、機械的結合、熱的結合、または電気的結合を含んでもよい。流体結合は、指定した部分または位置間の流体が連通していることを意味する。
【0021】
非制限的な一実施形態では、減圧インタフェース114は、送達導管112を中に挿入できる穴を具えていてもよく、これによって締りばめを形成する。送達導管112を減圧インタフェース114内に挿入すると、減圧を減圧源109から流路120およびボイド118まで送達することができる。送達導管112が減圧インタフェース114から抜けるのを防ぐために、送達導管112を減圧インタフェース114に固定するための機構を用いてもよい。一実施形態では、送達導管112を減圧インタフェース114に固定的に結合すべく、送達導管112を減圧インタフェース114と一体的に形成してもよい。減圧インタフェース114はさらに、送達導管112がインソール108を基準として移動するか回転できるように、スイベル、ヒンジ、または他の可動取付機構を具えてもよい。
【0022】
送達導管112は、流体が流れることができる1またはそれ以上のルーメンを具えてもよい。一実施形態では、送達導管112は2またはそれ以上のルーメンを具えており、それらの何れも、減圧を足マニホールド106に送達、滲出液のような液体を足マニホールド106から運搬、あるいは治療用流体を足マニホールド106に運搬するのに用いることができる。
【0023】
減圧源109は、減圧を足マニホールド106に供給する。減圧源109は、真空ポンプのような、減圧を供給する任意の手段であってもよい。部位に加える減圧の量および性質は、通常は用途によって異なるが、この減圧は通常−5mmHg乃至−500mmHgである。
【0024】
送達導管112の中央部125は、デバイス126のような1またはそれ以上のデバイスを有してもよい。例えば、このデバイス126は、他の流体リザーバ、または除去した滲出液および他の流体を保持する採集部材であってもよい。送達導管112の中央部125上に具わっている、あるいは送達導管112と流体結合しているデバイス126の他の実施例は、以下の非制限的な例:圧力フィードバックデバイス、体積検出システム、血液検出システム、感染検出システム、流量監視システム、温度監視システム等を含む。これらのデバイスのうちのいくつかは、減圧源109と一体的に形成してもよい。例えば、減圧源109上の減圧ポート128は、例えば、臭気フィルタのような1またはそれ以上のフィルタを含むフィルタ部材を具えてもよい。
【0025】
使用時、患者または介護人は、ボイド118を形成するために組織接触面110の一部を除去してもよい。除去される組織接触面110の一部は、インソール108に脱着可能に嵌っており、足マニホールド106と足105とが互いに近接したときに、ボイド118が創傷104の位置に合うか、創傷104と近接するように選択される。グリッドラインまたは目印を組織接触面110上に具えて、組織接触面110の除去するのに適した部分を選択するのを補助してもよい。発泡体マニホールド124をボイド118内に挿入してもよい。使用中、足105および足マニホールド106が互いに接触して配置され、ボイド118と創傷104との間に実質的な空気シールを作りだす。以下に記載するように、実質的な空気シールは、密閉部材(図示せず)または組織接触層110自体の使用を含む様々な方法で容易になされうる。その後、減圧を減圧源109から足マニホールド106に供給してもよい。減圧は、送達導管112を通り、減圧インタフェース114および流路120を介してボイド118に送達され、これによって減圧治療を創傷104に与える。創傷104に形成した実質的な空気シールは、治療レベルに減圧を維持する効果がある。
【0026】
図2、図3A−B、および図4A−Bを参照すると、足マニホールド206の例示的な実施形態は、インソール208を具えている。足マニホールド206はさらに、図1の組織接触面110と機能的に類似する支持部材232を具えている。
【0027】
一実施形態では、インソール208は、足205の足底領域230と近似するように形成され、寸法調整されるが、踵領域などの足底領域230の一部のみを覆ってもよい。インソール208は、足205の足背領域、爪先、側面、後方の全体または一部を覆ってもよい。インソール208は隆起部252を具えており、足205を足マニホールド206に固定するのを助け、足205または創傷204に対してインソール208が動くのを防ぐことができる。他の実施例では、インソール208は、隆起部252を有さない。
【0028】
インソール208は、任意の材料で形成することができる。例えば、インソール208は、シリコン、ポリウレタン、または熱可塑性エラストマといった、可撓性または弾性の材料で構成してもよい。インソール208の可撓性または弾性の組成物は更に、履物へのインソール208の挿入を容易にできる。
【0029】
支持部材232は、インソール208の組織接触面234を覆う層を形成する。支持部材232は足205の足底領域230と接触し、創傷204上にかかる圧力を減少できる負担軽減機能を提供してもよい。図示では六角形だが、支持部材232は、限定しないが、正方形、矩形、三角形、八角形、多角形、円形、楕円形、または不規則な形状を含む任意の形状を有していてもよい。
【0030】
流路220は、支持部材232とインソール208との間に配置され、インソール208の組織接触面254および支持部材232のインソール接触面237上の溝部236によって形成される。溝部236は、3つの軸238、239、240に沿って形成してもよい。支持部材232の各側面242が溝部236を具えてもよい。しかしながら、支持部材232によって形成された層の外辺部244上の支持部材のような、いくつかの支持部材232は、溝部236を含まない側面242を有してもよい。支持部材232がインソール208を覆っている場合、溝部236は、支持部材232とインソール208との間のインタフェース245に沿って減圧を分配する相互接続された流路220のネットワークを形成する。支持部材232は、インソール208と接触した状態になるか、限定しないが、溶接(例えば、超音波またはRF溶接)、ボンド、接着剤、セメント等を含む既知の技術を用いてインソール208と結合してもよい。一実施形態では、支持部材232はインソール208と結合して流路220を密閉し、減圧がボイド218につながる流路220から漏れないようにする。
【0031】
一実施形態では、溝部236はアーチ形状の溝部である。しかしながら、溝部236は任意の形状を有してもよい。例えば、溝部236は、1またはそれ以上の直線的な側壁を有してもよく、これにより、支持部材232がインソール208と結合している場合、少なくとも部分的に多角形の流路を形成する。
【0032】
支持部材232は、1またはそれ以上の挿入スロット246を具えてもよい。この挿入スロット246は、支持部材232それぞれの除去を容易にする、メスのようなデバイスを受けるように構成されてもよい。挿入スロット246は任意の形状を有してもよく、この形状は、支持部材232を除去するのに用いるであろうデバイスの種類に応じてもよい。
【0033】
外辺部244における支持部材232は、ラップジョイント248を具える。一実施例では、ラップジョイント248は、支持部材232によって形成された層の外辺部244上の支持部材232にのみ具えられている。ラップジョイント248は、支持部材232とインソール208との間の密封接合を容易にする。ラップジョイント248を多角形突起部に図示しているが、ラップジョイント248は、支持部材232とインソール208との間の密封接合を容易にできる曲線突起部または他の突起部であってもよい。
【0034】
支持部材232は、足205を支持可能な任意の材料で作られてもよい。例えば、それぞれの支持部材232は、弾性、可撓性、または軟質の材料で作られてもよい。支持部材232の弾性特性によって、組織部位にかかる圧力を減少させることができる。支持部材232を構成しうる材料の非制限的な例は、シリコン(軟質の、形状適合性シリコン)、ポリウレタン、および熱可塑性エラストマ(TPE)を含む。
【0035】
ボイド218を形成するために、1またはそれ以上の支持部材232を除去することができる。図2では、支持部材232aを除去してボイド218を形成している。支持部材232aは、足205が足マニホールド206と隣接して位置している場合に創傷204がボイド218と近接するように、インソール208上の位置に基づいて選択されてもよい。文字のような目印を支持部材232上に具えてもよく、創傷204に位置合わせした支持部材232aを配置するのに役立つ。足205を足マニホールド206に適用した場合、密閉部材250をボイド218周辺かつ足205と支持部材232との間に配置してもよい。足205を密閉リング250および支持部材232上に配置し、ボイド218に密閉状態を形成してもよい。密閉部材250によって形成された密閉状態は、減圧がボイド218から漏れるのを防ぐ効果があり、これにより治療減圧をボイド218に維持して創傷204に加えることができる。
【0036】
密閉部材250は任意の形状を有していてもよく、ボイド218に密閉状態を形成する効果がある任意の材料で作ってもよい。例えば、密閉部材250はハイドロゲルリングであってもよい。密閉部材250は、パテ、シリコン、閉鎖セルポリマフォーム、TPE、または軟質、可撓性、弾性、または接着性の材料で形成されてもよい。
【0037】
支持部材232aを除去すると、ボイド218を完全にまたは部分的に発泡体マニホールド224で塞ぐことができる。ボイド218に配置する前、発泡体マニホールド224は、ボイド218の体積よりも小さい、大きい、またはほぼ同等であってもよい。発泡体マニホールド224の形状は、予め決められた形状、またはボイド218に合うようにカスタマイズされた形状であってもよい。さらに、発泡体マニホールド224が一旦ボイド218内に挿入されると、膨脹してボイド218を塞ぎ、インソール208またはボイド218と近接する支持部材232を圧迫してもよい。
【0038】
一実施形態では、発泡体マニホールド224は、フォームシートを破くか切断したものであってもよい。ボイド218の大きさ、または支持部材232の大きさに近い発泡体マニホールド224を具えるように、このフォームシートを事前に切断してもよい。代替的な実施形態では、足205を足マニホールド206に適用する前に、発泡体マニホールド224を創傷204内またはその上に配置してもよい。他の実施形態では、創傷204を減圧で治療する際に、発泡体マニホールド224を使う必要はない。
【0039】
ボイド218内の発泡体マニホールド224は、支持部材232の高さに近い高さ256を有してもよい。発泡体マニホールド224はまた、支持部材232の高さよりも大きい高さ258を有してもよく、創傷204に接触しうる。他の実施形態では、発泡体マニホールド224は支持部材232の高さ256よりも低い。
【0040】
図3Bでは、図3Aにおける支持部材232bと232dとの間に配置されている支持部材232cが、ボイド218を形成するために除去されている。足マニホールド206に加わる減圧は、溝部236によって形成された相互接続している流路220と、インソール208の組織接触面254とを通過し、ボイド218に到達する。上述のように、密閉部材250を用いてボイド218に密閉を作りだしてもよく、これにより、治療減圧がボイド218で維持されて創傷204に加えられる。例示的な実施形態では、減圧治療するのが望ましい足205の一部のみに減圧を加えて、一方で支持部材232を用いて足205の残りの部分を支持してもよい。
【0041】
図5および図6を参照すると、例示的な実施形態による、密閉層510を具える足マニホールド506を示している。この密閉層510は、機能的には図1の組織接触層110と類似している。密閉層510はインソール508に接着または結合しており、インソール508の総てまたは一部を覆っている。
【0042】
インソール508は流路520を具えており、流路520は相互接続され、インソール508内の溝部536と突起部560とによって形成されている。流路520はグリッドを形成する。しかしながら、流路520は、不規則パターンを含む任意のパターンか、全くパターン化されていないものを形成してもよい。密閉層510がインソール508と近接している場合、流路520はさらに、密閉層510のインソール接触面によって規定されてもよい。送達導管512を介して、減圧を流路520に提供してもよい。
【0043】
密閉層510は、任意の材料で構成することができる。例えば、密閉層510は、密閉層510とインソール508との間の密封接合を提供可能な可撓性材料で構成されてもよい。非制限的な一実施例では、密閉層510はヒドロゲル層であってもよい。密閉層510の組織接触面562またはインソール接触面は粘着性であってもよい。密閉層510の組織接触面562と足105との間の付着が、足105を足マニホールド506に固定するのを補助してもよい。
【0044】
部分532を確認して切断し、密閉層510から除去して、ボイド518を形成する。部分532は、メスのような、密閉層510を切断可能な任意のデバイスを用いて除去してもよい。発泡体マニホールドをボイド518内に挿入してもよい。足の組織部位、例えば、創傷がボイド518と接触するように、足を密閉層510の上部に配置してもよい。送達導管512を介して減圧を流路520に送達することができ、流路520を通して減圧をボイド518に送達することができる。
【0045】
密閉層510の密封特性は、ボイド518に送達される減圧が漏れるのを防ぐ効果があり、これによりボイド518と隣接する組織部位に対して治療減圧を維持する。従って、密閉層510は、密閉部材を使用する必要性をなくすことができる。密閉層510を用いると、ボイド518を密閉層510上のどこでも配置することができ、ボイド518を形成するために除去される密閉層510の部分532は任意の形状を有してもよい。除去部分532の位置および形状は、下肢潰瘍といった足の創傷の位置および形状に基づいて判断されうる。グリッドラインのようなグリッド目印を、密閉層510上に印刷するか具えてもよく、除去すべき密閉層510の部分を識別する助けとなり、ボイド518が足上の創傷の位置に合わせられる。グリッド目印は更に、全体的な創傷治療中に、密閉層510を交換するといった創傷の治療過程を判断する助けとなる。
【0046】
図7を参照すると、例示的な実施形態による、図1の送達導管112と機能的に類似する送達導管712を示している。送達導管712は、薄型の細長い形状を有している。細長い送達導管712の形状は、送達導管712に近接する足、足関節、または下肢部分に加わる圧覚点を軽減する。送達導管712は、円形、楕円形、多角形、または「U」字型カーブといった他の形状を有してもよい。
【0047】
送達導管712は、可撓性、弾性、または圧縮性材料のような任意の材料で作ることができる。この可撓性、弾性、または圧縮性材料は、足、足関節、または下肢に近接する部位に加わる圧覚点を軽減することができる。送達導管712を形成する材料の非制限的な実施例は、プラスチック、ナイロン、シリコン、ポリウレタン、TPE、またはPVCを含む。
【0048】
送達導管712は、2つのルーメン766、768を具えている。一実施例では、ルーメン766、768は減圧を足マニホールド内の1またはそれ以上の流路まで送達する。送達導管712は、3またはそれ以上のルーメンを含む、任意の数のルーメンを有してもよい。さらに、送達導管712内の1またはそれ以上のルーメンは、液体または滲出液のような流体を創傷から液体収集装置まで運搬するために用いてもよい。他の実施形態では、ルーメン766、768は、円形、楕円形、または多角形状といった任意の形状を有してもよい。
【0049】
ルーメン766は、第1の壁770および第2の壁771によって境界づけられている。同様に、ルーメン768は、第1の壁772および第2の壁773によって境界づけられている。第1の壁770、772は、それぞれ突起部774、775を具えている。矢印776が示す方向へ送達導管712に力が加わる場合、突起部774は、第1の壁770が第2の壁771に接触するのを防ぐ。矢印776が示す方向へ送達導管712に力が加わる場合、突起部775は、第1の壁772が第2の壁773に接触するのを防ぐ。この方法では、突起部774、775には、ルーメン766、768がつぶれるのを防ぐ効果がある。
【0050】
第2の壁771、773は、それぞれ突起部777、778を具えている。矢印776が示す方向へ送達導管712に力が加わる場合、突起部774および777を有していない第1の壁770および第2の壁771の一部が互いに接触しないように、突起部774が突起部777に接触する。同様に、矢印776に示す方向へ送達導管712に力が加わる場合、突起部775および778を有していない第1の壁772および第2の壁773の一部が互いに接触しないように、突起部775が突起部778に接触する。ルーメン766、768は、この方法でつぶれるのを防ぐことができる。
【0051】
図8を参照すると、送達導管812は傾斜仕切り880を具えており、ルーメン866、868を互いに分離している。矢印876が示す方向に足、足関節、または下肢が送達導管812を圧迫する場合、傾斜仕切り880が足、足関節、または下肢上の圧覚点を軽減することができる。この実施例では、矢印876が示す方向に足、足関節、または下肢が送達導管812を圧迫する場合、傾斜仕切り880が平らになることがある。傾斜仕切り880は、ルーメン868の壁873、または送達導管812における他のルーメンの壁と約45度の角度を形成してもよい。
【0052】
図9および図10を参照すると、例示的な実施形態によるインソール908を示している。このインソール908は、足905の足背領域982、特に足905のつま先領域に配置してもよい。一実施例では、インソール908は、網状フォームまたはGranuFoam(登録商標)材料のようなフォームで構成されてもよい。インソール908は、固定部材922を介して足905のつま先領域と結合してもよい。減圧源から供給され、送達導管912を介して送達される減圧を用いて、減圧をインソール908によってつま先領域に加えてもよい。
【0053】
インソール908は突起部984を具えて、足905の足指間に挿入してもよい。インソール908は、足905の足指間の領域に加わる減圧が通るボイド918を具えてもよい。他の非制限的な実施例では、それぞれの突起部984を足905の各足指に配置してもよい。突起部984は、足905のつま先領域の所望の部分に減圧が容易に加わる形状を有してもよい。
【0054】
本発明およびその利点が、特定の例示的、非制限的な実施形態の文脈において開示されてきたが、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、代替、交換、および交替ができることを理解されたい。任意の実施形態に関連して記載された任意の性質は、他の実施形態に適用してもよいということを理解されたい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の組織部位に減圧を加える装置において、当該装置が:
インソールと;
前記インソールの少なくとも一部を覆う組織接触面であって、ボイドを形成するために少なくとも一部が脱着可能な組織接触面と;
減圧源から減圧を受ける減圧インタフェースと;
前記減圧インタフェースと前記ボイドとを流体結合する少なくとも1つの流路とを具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記組織接触面が複数の脱着可能な支持部材を具えており、前記少なくとも1つの流路が、前記複数の脱着可能な支持部材それぞれのインソール接触面上の少なくとも1つの溝部によって形成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記組織接触面が複数の脱着可能な支持部材を具えており、前記少なくとも1つの流路が、前記複数の脱着可能な支持部材のインソール接触面上の複数の溝部によって形成された複数の相互接続した流路を具えることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記組織接触面が複数の脱着可能な支持部材を具えており、当該複数の脱着可能な支持部材それぞれの少なくとも1つの縁部が挿入スロットの少なくとも一部を規定し、当該挿入スロットが前記複数の脱着可能な支持部材それぞれの除去を容易にするデバイスを受けるように構成されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つの流路が、前記減圧インタフェースから前記ボイドに減圧を送達する管であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置がさらに:
前記ボイドを実質的に密閉するように機能する密閉部材を具えており、当該密閉部材が複数の脱着可能な支持部材と前記組織部位との間に配置されるよう構成されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記組織接触面が密閉層を具えており、当該密閉層の少なくとも一部が前記ボイドを形成するために脱着可能なことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記組織接触面が密閉層を具えており、前記少なくとも1つの流路が前記インソール上の溝部によって少なくとも部分的に形成されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記溝部がグリッドパターンを形成することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置がさらに:
前記ボイド内に挿入するように構成され、前記組織部位に減圧を分配するように更に構成された発泡体マニホールドを具えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置がさらに:
前記減圧インタフェースに結合され、前記減圧源から前記減圧インタフェースに減圧を送達するように機能する送達導管を具えることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、前記送達導管が細長い断面形状を有しており、当該送達導管が前記減圧源から前記減圧インタフェースに減圧を送達するように機能する複数のルーメンを具え、当該複数のルーメンそれぞれの少なくとも1つの壁が前記ルーメンがつぶれるのを防ぐように機能する突起部を具えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置がさらに:
前記インソールを前記組織部位に隣接させて固定するように機能する固定部材を具えることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記ボイドが前記組織部位に近接しており、前記ボイドを介して減圧が前記組織部位に加えられることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、前記組織接触面の少なくとも一部が、前記インソールに脱着可能に嵌っていることを特徴とする装置。
【請求項16】
足の組織部位に減圧を加える装置を製造する方法において、当該方法が:
インソールを提供するステップと;
組織接触面を提供するステップと;
減圧を送達するように機能する少なくとも1つの流路を形成するために、前記組織接触面で前記インソールの少なくとも一部を覆うステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法がさらに:
減圧インタフェースを提供するステップと;
前記減圧インタフェースと前記インソールとを結合するステップとを具えることを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−46776(P2013−46776A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224738(P2012−224738)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2010−550905(P2010−550905)の分割
【原出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】