説明

足底部痛回避ソックス

【課題】各種患者の足底の痛みを和らげるクッション性と表面柔軟性を有し、様々な足のサイズや形状に対応できるフィット性と、長期使用による圧縮に対する耐久性、さらには、蒸れ防止性と履き易さを兼ね備えたソックスを提供する。
【解決手段】表裏二層の編地とこれらを連結する連結糸からなる立体編地2が足底部の少なくとも一部分を形成し、伸縮性編地3が甲、踵、側面部の少なくとも一部分を形成する足底部痛回避ソックス1であって、立体編地の厚さが2〜10mm、直径200mmの円盤により立体編地を25%圧縮する際の圧縮硬さが60〜700N、表裏の編地の少なくとも片面のコース密度とウエール密度の積で表される編地密度が500〜4000個である足底部痛回避ソックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足底の痛みを和らげることのできるソックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、足底神経炎、モートン病、重度外反母趾、難治性の胼胝、足趾の変形性関節症、関節リウマチによる足趾の変形等により、歩行時に足底に耐えがたい痛みが生じる患者が多い。その対策として、靴底に樹脂製等の緩衝材を配置して、これらの痛みを和らげる場合が多いが、靴底に緩衝材を配置する場合は、靴を脱いだ時の痛みが防止できないだけでなく、樹脂製の緩衝材の場合、足底が蒸れて不快感が生じるという問題点があった。
【0003】
特許文献1には、足の蒸れを解消し、立体メッシュ生地の弾力性によって歩行時に足への衝撃を吸収する目的で、立体メッシュ生地で踝から下の部分をすっぽり覆うように袋状に縫製した足サポーターが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の足サポーターは、立体メッシュ生地を使用しているため、立体メッシュの表面凹凸による刺激が強すぎ、足底の痛みを解消するには不十分なものであった。さらには、立体メッシュ生地の伸縮性が不十分であるため、様々な足のサイズや形状に追従し難く、また、立体メッシュ生地でサポーターの全部位が形成されているため、靴が履き難いという問題点があった。
【0004】
特許文献2には、ダブルラッセル編による3層構造の編地からなり、足の甲、足裏及び踵を覆う立体形状のライナーであり、靴内に嵌め込んで使用し、耐摩耗性、通気性、吸汗性、クッション性を有するソックス状ライナーが開示されている。しかしながら、特許文献2に記載のソックス状ライナーは、靴に嵌め込んで使用するものであるため、靴を脱いだ時の痛み防止ができないうえに、編地の圧縮硬さが全く考慮されていないため、クッション性の維持とヘタリ防止性が不十分なものであった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−235204号公報
【特許文献2】特開平7−148004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記の問題点を解決し、各種の病状の患者の足底の痛みを和らげうるクッション性と表面柔軟性を有し、様々な足のサイズや形状に対応できるフィット性と、長期使用した場合の圧縮に対する耐久性、さらには蒸れ防止性と履き易さを兼ね備えたソックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、立体編地の圧縮硬さ、表面密度、伸縮性等を鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0008】
(1)表裏二層の編地とこれらを連結する連結糸からなる立体編地が足底部の少なくとも一部分を形成し、伸縮性編地が甲、踵、側面部の少なくとも一部分を形成する足底部痛回避ソックスであって、立体編地の厚さが2〜10mm、直径200mmの円盤により立体編地を25%圧縮する際の圧縮硬さが60〜700N、表裏の編地の少なくとも片面のコース密度とウエール密度の積で表される編地密度が500〜4000個であることを特徴とする足底部痛回避ソックス。
【0009】
(2)立体編地のタテ及びヨコ方向の伸長率が15〜150%、伸長残留歪が10%以下であることを特徴とする上記1に記載の足底部痛回避ソックス。
(3)伸縮性編地のタテ方向及びヨコ方向の伸長率が25〜150%、伸長残留歪が10%以下であることを特徴とする上記1又は2に記載の足底部痛回避ソックス。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のソックスの底部に用いる立体編地とは、表裏二層の編地を連結糸で連結した立体的な編地のことをいい、ダブルラッセル編機やダブル丸編機等、2列の針列を有する編機で編成される編地を指す。
【0011】
立体編地の連結糸に用いる繊維素材としては、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の合成繊維を用いることができるが、長期使用時の圧縮耐久性を向上させ且つ厚み減少を抑えるためには、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維を用いることが好ましく、ポリトリメチレンテレフタレート繊維がさらに好ましい。
【0012】
連結糸にはマルチフィラメントやモノフィラメントを用いることが出来るが、足で踏む際の緩衝性と痛みを和らげるためのクッション性を持たせるために、モノフィラメントを用いることがより好ましい。
【0013】
なお、連結糸に用いる繊維の繊度は20〜1000デシテックスが好ましく、より好ましくは30〜700デシテックス、更に好ましくは30〜500デシテックスである。連結糸の繊度が上記の範囲であると、十分なクッション性が得られ、また、特にモノフィラメントの場合、肌に対する刺激が強すぎず、足底の痛み防止に有効である。
【0014】
表裏の編地を形成する繊維素材としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等、任意の繊維を用いることができる。特に、綿、レーヨン、ポリアミド繊維等の吸湿性の高い繊維を用いることが、足の蒸れを防止するうえでより好ましい。
なお、表裏の編地を形成する繊維の繊度は、50〜1000デシテックスのものを好ましく用いることができる。
【0015】
本発明のソックスの底部に用いる立体編地は、足底部の痛みを和らげるための適度なクッション性を保持し、長期使用しても厚みが潰れてしまうことのない耐久性を保持させるうえで、直径200mmの円盤により立体編地を25%圧縮する際の圧縮硬さが60〜700Nであり、好ましくは70〜600Nであり、さらに好ましくは80〜500Nである。
【0016】
圧縮硬さが60N未満であると、足底部の痛みを和らげるクッション効果が不十分であると共に、圧縮の耐久性に乏しく潰れ易いものとなる。また、圧縮硬さが700Nを超えると、硬すぎて足底部の痛みを和らげるクッション効果が不十分となる。
【0017】
なお、立体編地は、連結糸の形態により硬さや圧縮耐久性が変化するが、立体編地が圧縮される際に表裏の編地がせん断によりずれて圧縮されるのを防止し、長期間圧縮される際の耐久性を向上させ、厚み減少を防止するうえで、立体編地の連結糸は編み始め方向の断面から見て、少なくとも2本の連結糸が表裏の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜してクロス状(X状)又はトラス状に連結されていることが好ましい。
【0018】
この際、クロス状、トラス状共に、連結糸が2本の連結糸で構成されていてもよく、1本の同一の連結糸が表面又は裏面で折り返し、見かけ上2本となっている場合であっても良い。また、クロス状、トラス状の形状は、同一コース上で形成されていても良く、異なるコース上で形成されていても良い。
【0019】
立体編地の厚みは2〜10mmであり、好ましくは3〜7mmである。厚みが2mm未満では足底の痛みを和らげるクッション性に乏しく、10mmを超えると靴が履き難くなる。
【0020】
本発明のソックスの底部に用いる立体編地の表裏の編地は、足底部に過度な刺激を与えないために、少なくとも片面の編地のコース密度とウエール密度の積で表される編地密度が500〜4000個であり、好ましくは600〜3800個であり、更に好ましくは700〜3600個である。
【0021】
編地密度が500個未満であると、足底を点で支える状態に近くなり、足底への編目の刺激が強く、足底の痛みの解消が困難となる。また、編地密度が4000個を超えると、立体編地の編成が困難となると共に、立体編地が硬くなり過ぎて適度なクッション性が得られなくなる。
なお、編地密度とは、1インチ(2.54cm)当りのコース密度(個/2.54cm)とウエール密度(個/2.54cm)を積算した値である。
【0022】
本発明において、立体編地は、様々な足のサイズや形状に追従するために、タテ及びヨコ方向の伸長率が15〜150%であることが好ましく、より好ましくは25〜120%、更に好ましくは30〜100%である。伸長率が上記の範囲であると、ソックス形状にして履く場合に足にフィットし易く、靴を履いた状態や、或いは履かない状態での歩行時にずれ難いものとなる。
【0023】
なお、伸長率とは、立体編地を5cm幅の短冊として14.7N/5cm幅当たりの荷重を掛けた時の伸長率のことを指す。
本発明において、立体編地は、足へのフィット性を良好にし、ソックスの緩みや着用時のズレを防止するために、伸長残留歪が10%以下であることが好ましい。
【0024】
立体編地のタテ方向及びヨコ方向の伸長率及び伸長残留歪を適正な範囲とするには、立体編地の表裏の素材、編組織および仕上げ加工方法が重要となる。特に素材に関しては、スパンデックス繊維を表裏の編地に編み込むことが好ましい。スパンデックス繊維は、原糸の状態や、ポリアミド繊維やポリエステル繊維等の他の繊維によってカバリングされた状態で、表裏の編地を構成する他の繊維と交編する方法で編み込むことが好ましい。この際、スパンデックス繊維の繊度は40〜350デシテックスが好ましく用いられる。
【0025】
表裏の編組織は、表面がスムースな組織の場合は、スパンデックス繊維を1×1トリコット編や挿入編等で編成し、交編する他の繊維を1×2トリコットや各種編組織で編成することが好ましい。また、小さな孔空き組織であれば1メッシュを構成する編目数(コース数)を2コース以上12コース以下とし、スパンデックス繊維を挿入編やニットループ編の編組織で、他の繊維と交編することが好ましい。なお、スパンデックス繊維を交編する場合は、スパンデックス繊維が立体編地の表面に出ないように隠すことが、スパンデックス繊維の脆化を防止するうえで好ましい。
【0026】
スパンデックス繊維を使用しない場合は、表裏の編地に伸縮性を有する捲縮糸等を用いることが好ましく、仕上げ加工にてタテ方向とヨコ方向の伸長率のバランスをとり、タテ方向及びヨコ方向の過度な引張りを抑えてヒートセット加工することが好ましい。
【0027】
本発明のソックスは、足底部の少なくとも一部分が立体編地で形成されており、甲、踵、側面部の少なくとも一部分が伸縮性編地で形成されたソックスである。立体編地は足底部の少なくとも一部分に使用されていれば良いが、足底部の全面に使用されていることが足底の段差を防止し、全面にクッション性を持たせる上で好ましい。
【0028】
本発明のソックスにおいて、立体編地は足底部の少なくとも一部分を形成すると同時に、甲、踵、側面部を部分的に形成することにより、足の側面部等の痛みも和らげることができるものとなる。
なお、本発明のソックスは、甲、踵、側面部の少なくとも一部分に、立体編地ではない伸縮性編地を使用することが必要である。特に、足の痛みを和らげる必要のない部位に伸縮性編地を使用することにより、ソックスの足へのフィット性が増すと同時に、余計な厚みがなくなるので、靴が履き易くなる。
【0029】
立体編地と伸縮性編地は、主に縫製によって接合されて所望の形状のソックスに形成されるが、伸縮性編地で基本のソックス形状を形成しておき、足底を中心に部分的に立体編地を縫い付けたり、接着剤や両面ファスナー等で接着する方法によりソックスを形成してもよい。
【0030】
本発明でいう伸縮性編地とは、2ウエイ(way)トリコットやベアー天竺の様な、スパンデックス繊維を交編したシングル編地や、スパンデックス繊維は交編せずに、捲縮糸を用いたシングル丸編地やダブル丸編地等が好ましく用いられる。
伸縮性編地は、タテ方向及びヨコ方向の伸長率が25〜150%、伸長残留歪が10%以下であることが、足へのフィット性を十分なものとし、着用時のズレを防止する上で好ましい。
【0031】
さらに伸縮性編地は、厚みが1mm以下であることが靴の履き易さの点で好ましい。また、伸縮性編地に用いる繊維は、ポリエステル系繊維、ポリアミド繊維、綿、レーヨン等の各種繊維を用いることができるが、特に、綿、レーヨン、ポリアミド繊維等の吸湿性の高い繊維を交編することが、足の蒸れを防止する上でより好ましい。
【0032】
本発明のソックスは、立体編地や伸縮性編地に抗菌、消臭等の加工が付与されていることが好ましく、また、立体編地の底面には滑り止めの樹脂がコーティングされていることが好ましい。
なお、ソックスの口部は、パイプ状に縫製し、ゴム紐を挿入したりゴム紐等を縫い付けることで、より大きな伸縮性を持たせることが、脱着性、フィット性を良好にする上で好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明の足底部痛回避ソックスは、底部を形成する編地に適正なカバーファクター、圧縮硬さを有する立体編地を使用しているため、各種の病状に起因する足底部の痛みを和らげることのできるソックスである。また、立体編地の伸長率、伸長残留歪を適性範囲としていることにより、様々なサイズ、形状の足にフィットし易いものである。さらには、甲、踵、側面部の少なくとも一部分に伸縮性シングル編地を使用することにより、足の形状によりいっそうフィットし、靴が履き易いという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、実施例を挙げて、さらに本発明を説明するが、本発明は実施例等により何ら限定されるものではない。なお、各特性の評価方法および測定方法は下記の通りである。
【0035】
(1)立体編地、伸縮性編地の厚み(mm)
試料を10cm角に切り取り、(株)尾崎製作所製、JA型特殊ダイヤルシックネスゲージ(ピーコック)を用い、直径30mmの測定板で挟んだ状態で厚みを測定する。測定は5回行い平均値を求める。
【0036】
(2)伸長率、伸長残留歪
試料を15cm(長)×5cm(幅)にカットして試験片を作製し、試験片の10cmの間隔に印を付ける。試験片は、タテ方向(ウエール列に沿った方向)とヨコ方向(コース列に沿った方向)のものを採取する。
【0037】
試験片の一端をチャックに固定して吊るし、さらにもう一端に14.7Nの荷重をチャックで固定して吊るす。1分後に印間の長さLを測定し、荷重を開放して2分後の印間の長さLを測定する。下記式に従い、伸長率I(%)及び伸長残留歪ε(%)を算出する。
伸長率I(%)=〔(L−10)/10〕×100
伸長残留歪ε(%)=(L−10)/10
【0038】
(3)圧縮硬さ(N)
島津オートグラフAG−B型((株)島津製作所製)を用い、直径200mmの圧縮板により、剛体平面上に置いた25cm角の立体編地を100mm/minの速度で立体編地の初期の厚みの25%を圧縮した後、直ちに100mm/minの速度で開放する。この際の25%圧縮時の荷重(N)を測定する。
【0039】
(4)足底部の痛み和らげ効果
歩行時に足底部に痛みを感じる関節リウマチ患者3名に、実施例で試作したソックスを1週間着用してもらい、以下の基準で痛み和らげ効果を評価し、3名の平均値を求めた。
【0040】
5点:痛みを和らげる効果が非常に高い
4点:痛みを和らげる効果がやや高い
3点:痛みを和らげる効果が殆どない
2点:痛みが増加する。
【0041】
(5)足へのフィット性
上記の(4)と同様にして、関節リウマチ患者3名に、実施例で試作したソックスを1週間着用してもらい、以下の基準で足へのフィット性を評価し、3名の平均値を求めた。
【0042】
5点:非常にフィットする
4点:ややフィットする
3点:殆どフィットしない
2点:緩い又はきつい
【0043】
(6)靴の履き易さ
上記の(4)と同様にして、関節リウマチ患者3名に、実施例で試作したソックスを1週間着用してもらい、以下の基準で靴の履き易さを評価し、3名の平均値を求めた。
【0044】
5点:非常に靴が履き易い
4点:やや靴が履き易い
3点:やや靴が履き難い
2点:非常に靴が履き難い
【0045】
(7)立体編地の圧縮耐久性
上記の(4)と同様にして、関節リウマチ患者3名に、実施例で試作したソックスを1週間着用してもらい、1週間使用後の立体編地の厚み減少を以下の基準で評価し、3名の平均値を求めた。
【0046】
5点:厚み減少が殆どない
4点:厚み減少がややある
3点:厚み減少がかなりある
2点:厚み減少が激しく、殆ど厚みが無くなる
【0047】
[実施例1]
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間3.8mmのダブルラッセル編機を用い、表側の編地を形成する筬(L1)から77dtex/4フィラメントのスパンデックス繊維を、(L2)から84dtex/36フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維をそれぞれオールインの配列で供給し、連結糸用の筬(L3)から33dtexのポリエチレンテレフタレートモノフィラメントをオールインの配列で、また、裏側の編地を形成する筬(L5)から84dtex/36フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維を3イン1アウトの配列で、筬(L6)から77dtex/4フィラメントのスパンデックス繊維を1イン1アウト3イン1アウトの配列で供給した。
【0048】
下記の「編組織1」で示す編組織で、機上コース42.8コース/2.54cmで生機を編成し、精練、染色後、ヒートセットした後、コース密度65個/2.54cm、ウエール密度38個/2.54cm、厚さ3.3mmの立体編地を得た。
【0049】
得られた立体編地を足底部全面に使用し、また、伸縮性編地として、84dtex/36フィラメントのポリエステル仮撚糸を用いて得られたゴム編地を、甲、踵、側面部に使用して、立体編地の足底形状の周囲と伸縮性編地をオーバーロックで縫製し、本発明のソックスを得た。
【0050】
得られたソックスの表面の概略図を図1に、底面の概略図を図2に示す。なお、図1において、口部4はパイプ状に縫製してゴム紐を挿入した。
本発明のソックスは、足底部の痛みを和らげることのできるクッション性と表面柔軟性を有し、足に極めて良好にフィットし、使用後も厚み減少が少なく、耐久性が良好なものであった。また、容易に洗濯が出来、乾き易く、衛生的に使用できるものであった。
【0051】
(編組織1)
L1:2022/2422/
L2:6444/0222/
L3:2042/4624/
L5:4486/6646/6686/6624/2220/2224/2220/2224/
L6:4420/2224/2220/2246/6686/6646/6686/6646/
【0052】
[実施例2]
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間5.5mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚糸をオールインの配列で供給し、連結糸用の筬(L3)から100dtexのナイロンモノフィラメントをオールインの配列で供給し、また、裏面の編地を形成する筬(L5、L6)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、L5の筬には3イン1アウトの配列で、L6の筬には(1イン)1アウト3インの配列で供給した。
【0053】
下記の「編組織2」で示す編組織で、機上コース30コース/2.54cmで生機を編成し、精練、ヒートセット後、コース密度33個/2.54cm、ウエール密度22個/2.54cm、厚さ3.6mmの立体編地を得た。
得られた立体編地を足底部全面に使用し、実施例1と同様にして本発明のソックスを得た。
【0054】
本発明のソックスは、足底部の痛みを和らげることのできるクッション性と表面柔軟性を有し、使用後も厚み減少が少なく、耐久性が良好なものであった。また、容易に洗濯が出来、乾き易く、衛生的に使用できるものであった。
【0055】
(編組織2)
L1:2022/2422/
L2:4644/2000/
L3:2020/2424/
L5:4420/2224/2220/2224/4468/6664/6668/6664/
L6:4468/6664/6668/6664/4420/2224/2220/2224/
【0056】
[実施例3]
実施例2において、立体編地の生機をヒートセットする際、幅出し率を実施例2よりも大きくし、コース密度34個/2.54cm、ウエール密度20個/2.54cm、厚さ3.6mmの立体編地を得た。
【0057】
得られた立体編地を用い、実施例2と同様にして得たソックスは、足へのフィット性がやや劣るものの、足底部の痛みを和らげることのできるクッション性と表面柔軟性を有し、使用後も厚み減少が少なく、耐久性が良好なものであった。また、容易に洗濯が出来、乾き易く、衛生的に使用できるものであった。
【0058】
[比較例1]
実施例2において、立体編地の連結糸を22dtexのナイロンモノフィラメントに変更した以外は、実施例2と同様にしてソックスを得た。
得られたソックスは、立体編地の圧縮硬さがやや柔らか過ぎるため、底付きし易く、足底の痛みを和らげる効果が殆どなく、また、着用後の厚み減少もやや大きいものであった。
【0059】
[比較例2]
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間12mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、連結糸用の筬(L3、L4)から200dtexのナイロンモノフィラメントを供給し、また、裏面の編地を形成する筬(L5、L6)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、L1、L3、L5の筬には1イン1アウトの配列で、L2、L4、L6の筬には1アウト1インの配列で供給した。
【0060】
下記の「編組織1」に示す編組織で、機上コース22コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を精練、ヒートセット後、コース密度28個/2.54cm、ウエール密度14個/2.54cm、厚さ4.0mmの立体編地を得た。
【0061】
得られた立体編地を足底部全面に用い、実施例1と同様にしてソックスを得た。
得られたソックスは、編地密度が小さくメッシュサイズが大きいため、足底に対する刺激が強く、足底の痛みを和らげることのできないものであった。また、編地の伸長率が小さ過ぎるため、フィット性に劣るものであった。
【0062】
(編組織1)
L1:4644/4244/4644/4244/4644/4222/2022/2422/2022/2422/2022/2444/
L2:2022/2422/2022/2422/2022/2444/4644/4244/4644/4244/4644/4222/
L3:4242/4646/4242/810810/4242/4646/6868/6464/6868/2020/6868/6464/
【0063】
L4:6868/6464/6868/2020/6868/6464/4242/4646/4242/810810/4242/4646/
L5:4446/4442/4446/4442/4446/4442/2220/2224/2220/2224/2220/2224/
L6:2220/2224/2220/2224/2220/2224/4446/4442/4446/4442/4446/4442/
【0064】
[比較例3]
実施例1において、甲、踵、側面部を全て実施例1で得た立体編地に変更し、全面が立体編地で出来たソックスを得た。得られたソックスは、靴を履かない状態では痛み防止性及びフィット性共に良好であったが、しかし、靴が履き難く、甲、側面部が厚いため、足が圧迫されて不快なものであった。
以上の実施例及び比較例の結果を表1に示す。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のソックスは、歩行時において、様々な患者の足底の痛みを和らげることができるクッション性と表面柔軟性を有し、様々な足のサイズや形状に対応できるフィット性と、長期使用での圧縮に対する耐久性、及び、蒸れ防止性と履き易さを兼ね備えたソックスであり、さらに、足が蒸れ難く、容易に洗濯が出来、乾きも早く、衛生的に使用できる。
【0066】
特に、足底神経炎、モートン病、重度外反母趾、難治性の胼胝、足趾の変形性関節症、関節リウマチによる足趾の変形等により、歩行時に足底に耐えがたい痛みが生じる患者にとって、有効に利用できるものである。
また、ウォーキング、登山、ゴルフ、ジョギング等、長時間歩行する際の緩衝用のソックスとして、一般のスポーツソックスとしても有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のソックスの表面を示す概略図である。
【図2】本発明のソックスの底面を示す概略図である。
【符号の説明】
【0068】
1 ソックス
2 立体編地
3 伸縮性編地
4 口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏二層の編地とこれらを連結する連結糸からなる立体編地が足底部の少なくとも一部分を形成し、伸縮性編地が甲、踵、側面部の少なくとも一部分を形成する足底部痛回避ソックスであって、立体編地の厚さが2〜10mm、直径200mmの円盤により立体編地を25%圧縮する際の圧縮硬さが60〜700N、表裏の編地の少なくとも片面のコース密度とウエール密度の積で表される編地密度が500〜4000個であることを特徴とする足底部痛回避ソックス。
【請求項2】
立体編地のタテ及びヨコ方向の伸長率が15〜150%、伸長残留歪が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の足底部痛回避ソックス。
【請求項3】
伸縮性編地のタテ方向及びヨコ方向の伸長率が25〜150%、伸長残留歪が10%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の足底部痛回避ソックス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−106376(P2008−106376A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287602(P2006−287602)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【出願人】(502124075)
【Fターム(参考)】