距離測定装置および距離測定方法
【課題】精度よく距離情報を測定できる小型かつ低コストの距離測定装置を提供する。
【解決手段】本願発明に係る距離測定装置は、画像センサカメラ1と、画像キャプチャボード2と、画像データを保存するメモリ3と、メモリ3に保存された画像データから対象物までの距離情報を算出する画像処理部4と、画像処理部4で算出された距離情報を表示する表示モニタ5とを備える。画像処理部4は、再構成部4aと、輝度情報算出部4bと、距離情報算出部4cと、マスク部4dとからなる。マスク部4dは、画像センサカメラ1内部のマイクロレンズアレイ12の非レンズ部に対応する画素の値を所定の値に変換する。
【解決手段】本願発明に係る距離測定装置は、画像センサカメラ1と、画像キャプチャボード2と、画像データを保存するメモリ3と、メモリ3に保存された画像データから対象物までの距離情報を算出する画像処理部4と、画像処理部4で算出された距離情報を表示する表示モニタ5とを備える。画像処理部4は、再構成部4aと、輝度情報算出部4bと、距離情報算出部4cと、マスク部4dとからなる。マスク部4dは、画像センサカメラ1内部のマイクロレンズアレイ12の非レンズ部に対応する画素の値を所定の値に変換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物までの距離を測定する距離測定装置および距離測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業用ロボットや各種FA機器を用いて生産ラインを自動化するシステムや、知能ロボットのインテリジェント化を図るために、視覚センサが重要となってきている。特に、ロボットアームを用いたシステムにおいては、ワークの位置、姿勢、形状等の計測に視覚センサとして画像センサカメラが多く用いられている。
【0003】
また、半導体デバイスや回路部品の実装基板の製造などにおいては、品質を管理するために半田バンプや金バンプなど2次元状に配置された微小なデバイスの高さ情報を測定するというニーズが高まっている。
【0004】
このようなニーズに対応すべく、従来より、複数の画像センサカメラを用いたステレオ方式による3次元情報測定システムなどが用いられている。しかしながら、このシステムには、複数のカメラや複雑な画像処理が必要などの課題があった。
【0005】
また、比較的小さな対象物の高さ情報を測定する方法として、共焦点顕微鏡の原理を利用した高さ測定法が提案されている。例えば、特開2003−75119号公報(特許文献1)に記載された共焦点顕微鏡の原理を用いた高さ情報測定装置は、図18に示すように、光源103、対物レンズ104、2次元画像カメラ102を備えた共焦点光学系101により、試料106をステージ105を高さ方向に移動させながら、その高さ方向において互いに異なる複数の高さ位置で水平面の共焦点画像107をそれぞれ撮像する構成を有している(図19(a)(b))。そして、複数の共焦点画像の画素毎の輝度情報を比較し最大輝度を有する画素を含む共焦点画素データを用いて粒子解析を行ない、特定領域を抽出した後、抽出された領域における輝度と高さの代表値を算出し、試料の高さ情報を求めるものである(図19(c))。
【0006】
また、撮像素子を用いたカメラシステムにおいて、取得した画像データをデジタル処理により合成し、後で好きなようにピントを手前または奥に移動できるプレノプティックカメラ技術が“Single Lens Stereo with a Plenoptic Camera”,IEEE TRANSACTIONS ON PATTERN ANALYSIS AND MACHINE INTELLIGENCE,VOL.14,NO.2,FEBRUARY 1992(非特許文献1)や“Light Field Photography with a Hand−held Plenoptic Camera”,Stanford Tech Report CTSR 2005−02(非特許文献2)の中で提案されている。
【0007】
プレノプティックカメラは、通常の方法で画像を形成する普通のカメラレンズの他に、、カメラレンズの像平面に正確に配置されたマイクロレンズアレイを備える。さらに、マイクロレンズアレイのすぐ背後に配置され、マイクロレンズアレイより多くの撮像素子を有するイメージセンサアレイ(撮像素子アレイ)を備える。
【0008】
マイクロレンズアレイ内のレンズの数で最終画像の画素数は決まるが、単一マイクロレンズに割り当てられた多数のセンサピクセルにより、そのマイクロレンズに入射する光の方向と強度を記録することができる。そのデータを用いて、所定の距離にピントを合わせた画像を再構成することができるというものである。
【特許文献1】特開2003−75119号公報
【非特許文献1】“Single Lens Stereo with a Plenoptic Camera”,IEEE TRANSACTIONS ON PATTERN ANALYSIS AND MACHINE INTELLIGENCE,VOL.14,NO.2,FEBRUARY 1992
【非特許文献2】“Light Field Photography with a Hand−held Plenoptic Camera”,Stanford Tech Report CTSR 2005−02
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のように、共焦点顕微鏡の原理を用いて複数の共焦点画像を取得する場合、ステージの面方向への走査と高さ方向への移動という操作が必要で、オートフォーカス機構を含む移動機構系による大型化や、2次元画像データを高さを変えて複数回取得するための時間(ステージの移動時間、静止に要する時間、対物レンズなどのオートフォーカシング時間などが含まれる)が必要になるなどの課題がある。
【0010】
また、非特許文献1には、取得画像データに対して、例えばオペレータがピント位置(距離)を入力することで、その位置にフォーカシングされた画像をデータの並び替え(再構成)により作り出すことは示されているが、それを用いて対象物の距離情報を算出することは示されていない。
【0011】
また、マイクロレンズアレイの各マイクロレンズの間あるいは各マイクロレンズの周辺に存在する非レンズ部分により、再構成画像にノイズが発生するという問題もあった。非レンズ部分を透過して撮像素子に入射した光(不要光)は、再構成画像にはノイズとして現れる。
【0012】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、精度よく距離情報を測定できる小型かつ低コストの距離測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの局面に係る本願発明は、対象物までの距離を測定するための距離測定装置であって、対象物からの物体光を撮像するカメラを備え、カメラは、物体光を集光する撮像レンズと、撮像レンズを通過した物体光が入射する複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、マイクロレンズアレイを通過した物体光を検出し、画像データに変換する撮像デバイスとを含み、撮像デバイスは、それぞれがマイクロレンズアレイを通過した物体光を検出し、画像信号に変換する複数の撮像素子を有し、複数の撮像素子は、それぞれに1つのマイクロレンズを透過した物体光が入射する複数の素子群に分割されており、マイクロレンズアレイの非レンズ部を透過した光が入射する外縁部の撮像素子に対応する画素データの画素値を所定の値に変換するマスク手段と、マスク手段により処理された画像データに含まれる複数の画素データを、各素子群における物体光を検出した撮像素子の位置により定まる物体光のマイクロレンズへの入射方向に基づいて並び替えて、撮像デバイスが複数の仮想位置の各々に位置する場合に得られるべき再構成画像を生成する再構成手段と、複数の再構成画像に共通の領域において、複数の再構成画像の各々について、各画素と各画素近傍の画素との間の輝度の差分値を算出する差分値算出手段と、共通の領域に含まれる各画素位置に対して、差分値が最大である画素を有する再構成画像に対応する仮想位置を特定し、カメラの光学系のパラメータに基づき特定された仮想位置を変換し距離を算出する距離算出手段とを備える。
【0014】
好ましくは、差分値算出手段は、各素子群に対応する画像データの領域に含まれる複数の画素の画素値に基づいて一様輝度を算出し、各領域に含まれる複数の画素を一様輝度を有する画素に変換する平均化手段をさらに含み、一様輝度を有する画素に基づき差分値を算出する。
【0015】
さらに好ましくは、平均化手段は、各領域に含まれる画素のうち、外縁部の画素を除いた画素の画素値に基づいて一様輝度を算出する。
【0016】
さらに好ましくは、平均化手段は、各領域に含まれる画素のうち、所定の値を持つ画素を除いた画素の画素値に基づいて一様輝度を算出する。
【0017】
好ましくは、所定の値は、画素値の取りうる最小値である。
好ましくは、所定の値は、画素値の取りうる最大値である。
【0018】
好ましくは、マスク手段は、画像データの所定の領域に含まれる画素値の平均値が所定の閾値以上であるとき、所定の値を画像信号の取りうる最小値に設定し、平均値が所定の閾値未満であるとき、所定の値を画像信号の取りうる最大値に設定する。
【0019】
好ましくは、マスク手段は、画像データから外縁部の画素データを削除し、再構成手段は、外縁部の画素データが削除された画像データに含まれる複数の画素データを並び替えて、再構成画像を生成する。
【0020】
他の局面に係る本願発明は、対象物からの物体光を撮像するカメラ対象物で対象物までの距離を測定するための距離測定方法であって、カメラは、物体光を集光する撮像レンズと、撮像レンズを通過した物体光が入射する複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、マイクロレンズアレイを通過した物体光を検出し、画像データに変換する撮像デバイスとを含み、撮像デバイスは、それぞれがマイクロレンズアレイを通過した物体光を検出し、画像信号に変換する複数の撮像素子を有し、複数の撮像素子は、それぞれに1つのマイクロレンズを透過した物体光が入射する複数の素子群に分割されており、マイクロレンズアレイの非レンズ部を透過した光が入射する外縁部の撮像素子に対応する画素データの画素値を所定の値に変換するステップと、外縁部の撮像素子に対応する画素データの画素値を所定の値に変換された画像データに含まれる複数の画素データを、各素子群における物体光を検出した撮像素子の位置により定まる物体光のマイクロレンズへの入射方向に基づいて並び替えて、撮像デバイスが複数の仮想位置の各々に位置する場合に得られるべき再構成画像を生成するステップと、複数の再構成画像に共通の領域において、複数の再構成画像の各々について、各画素と各画素近傍の画素との間の輝度の差分値を算出するステップと、共通の領域に含まれる各画素位置に対して、差分値が最大である画素を有する再構成画像に対応する仮想位置を特定し、カメラの光学系のパラメータに基づき特定された仮想位置を変換し距離を算出するステップとを備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一度の撮像データから画像処理により、異なるフォーカシング状態の複数の画像を生成し、そのデータより距離画像を得ることができるため、カメラレンズのフォーカシング機構やステージなどの移動機構が不要である。また、非レンズ部分に対応する領域中の撮像素子からの画像情報をマスク処理して仮想位置の再構成像を生成することにより、高精度なマイクロレンズアレイを不要としながら、高精度な距離検出を行なえる。よって、小型かつ低コストな高精度の距離情報測定装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、撮像レンズで結像した画像を、マイクロレンズアレイを通して撮像素子で撮影し、その画像データから対象物の3次元情報を取得する距離測定装置に関するものである。以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
(1.距離測定装置の構成)
図1を参照して、本発明に係る距離測定装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る距離測定装置の概略構成図である。
【0024】
距離測定装置は、対象物の物体光を撮像する画像センサカメラ1と、画像センサカメラ1の撮像結果から画像データを取得する画像キャプチャボード2と、画像データを保存するメモリ3と、画像データに基づいて対象物までの距離情報を算出する画像処理部4とを備える。また、必要に応じて、画像処理部4で算出された距離情報を表示する表示モニタ5をさらに備える。
【0025】
画像処理部4は、再構成部4aと、輝度情報算出部4bと、距離情報算出部4cと、マスク部4dとを含む。
【0026】
マスク部4dは、画像キャプチャボード2より取得した対象物の画像データの一部分の画素値を特定の値に変換する。再構成部4aは、画像データに含まれる画素データを並び替えて、異なる複数の仮想焦点位置の再構成画像を生成する。輝度情報算出部4bは、複数の再構成画像において、各画素あるいは複数の画素からなる画素群の各々の輝度情報を算出する。距離情報算出部4cは、輝度情報および画像センサカメラ1の光学系のパラメータに基づいて、対象物までの距離を算出する。
【0027】
画像センサカメラ1は、撮像レンズ(以後は、メインレンズ11と呼ぶ)と、複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイ12と、複数の撮像素子を含む撮像素子アレイ13とからなる。撮像素子としては、例えば、CCD(charge-coupled device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどを用いることができる。
【0028】
メインレンズ11には、対象物からの物体光が入射する。メインレンズ11は、物体光を集光する。マイクロレンズアレイ12には、メインレンズ11を通過した物体光が入射する。マイクロレンズアレイ12に含まれる複数のマイクロレンズの各々は、物体光を集光する。
【0029】
撮像素子アレイ13に含まれる複数の撮像素子の各々は、入射した光を画像信号に変換する。撮像素子アレイ13により取得される画像データについては、後で詳述する。
【0030】
(2.画像センサカメラの光学系)
本実施の形態においては、画像センサカメラ1の光学系の構成に特徴がある。図2を参照して、画像センサカメラ1の光学系について説明する。図2は、画像センサカメラ1の光学系を示す図である。なお、簡単のため、図2には、対象物14が点光源である場合を示す。
【0031】
画像センサカメラ1のマイクロレンズアレイ12は、対象物14がAの位置にある場合に、メインレンズ12より対象物14がほぼ結像する位置に配置される。このときのAの位置を合焦位置、合焦位置よりもメインレンズ11に近い側を近点位置、合焦点位置よりもメインレンズ11から遠い側を遠点位置と呼ぶ。撮像素子アレイ13はマイクロレンズアレイ12のほぼ焦点位置に配置されている。撮像素子アレイ13には、マイクロレンズアレイ12上に集光された光対象物の光が、マイクロレンズを通して、拡大されて入射される。
【0032】
また、それぞれのマイクロレンズを通過した光が、撮像素子アレイ13上の互いに異なる領域に入射するように、画像センサカメラ1の光学系のパラメータ(メインレンズ12およびマイクロレンズのFナンバーなど)は調整されているものとする。
【0033】
次に、図3〜図9を用いて、この画像センサカメラ1による撮像および距離情報検出の原理を説明する。
【0034】
図3を参照して、対象物14の結像について説明する。図3は、対象物14が近点位置Bまたは遠点位置Cにある場合の集光の様子を示す図である。対象物14が位置Bにある場合、対象物14からの光は、メインレンズ11により、面Dに集光(結像)する。また、位置Cにある場合、面Fに集光(結像)する。また、面Eは、合焦位置Aに対する集光面であり、ほぼマイクロレンズアレイ12の位置に相当する。結像面F,E,DをそれぞれC,A,Bに対する仮想焦点面と呼ぶ。
【0035】
続いて、対象物14が図3の位置A,B,Cにある場合にマイクロレンズアレイ12上にどのような形状の入射光15が入射するかについて図4を用いて説明する。図4はマイクロレンズアレイ12上の入射光15の形状を示す図である。
【0036】
図4に示すように、本実施の形態においては、マイクロレンズアレイ12は、2次元面内に配列された円形のマイクロレンズからなるものとする。また、各マイクロレンズには、それらを識別するための番号M(i,j)が与えられているものとする。図4(a)、図4(b)、図4(c)は、それぞれ、対象物14が、遠点位置Cにある場合、合焦位置Aにある場合、近点位置Bにある場合のマイクロレンズアレイ12上の入射光15の形状を示す図である。
【0037】
合焦位置Aにある対象物14からの光は図4(b)のようにほぼマイクロレンズM(2,2)上に集光される。
【0038】
対象物14が遠点位置Cにある場合、対象物14からの光は、メインレンズ11を通して一旦集光された後、さらにデフォーカス状態になって広がってマイクロレンズ12上に入射する。したがって、図4(a)に示すように、マイクロレンズアレイ12上の入射光15は、マイクロレンズM(2,2)の周辺レンズM(1,2)、M(2,1)、M(2,3)、M(3,2)にまで広がる。
【0039】
対象物14が近点位置Bにある場合は、集光前のデフォーカス状態の光が、マイクロレンズ12上に入射する。したがって、図4(b)に示すように、マイクロレンズアレイ12上の入射光15は、マイクロレンズM(2,2)の周辺レンズM(1,2)、M(2,1)、M(2,3)、M(3,2)にまで広がる。
【0040】
撮像素子アレイ13上の入射光16について図5を用いて説明する。図5に示すように、撮像素子アレイ13は、複数の素子群からなる。各素子群には、番号T(i,j)が付されている。また、各素子群は、マイクロレンズの1つを通過した物体光を検出する。言い換えると、マイクロレンズM(i,j)を通過した光は、画素群T(i,j)に入射する。なお、図では、素子群が10×10の撮像素子で構成されている場合を示しているが、素子群を構成する素子の数はこれに限られない。
【0041】
対象物14が合焦位置Aにある場合、図4(b)のようにほぼマイクロレンズM(2,2)上に集光された光が、撮像素子アレイ13に入射する。したがって、撮像素子アレイ13に入射する光は、図5(b)に示すように、素子群T(2,2)に対して全面に広がる。
【0042】
対象物14が遠点位置Cにある場合、マイクロレンズアレイ12上で、図4(a)のように周辺レンズM(1,2)、M(2,1)、M(2,3)、M(3,2)にも広がった光が、撮像素子アレイ13に入射する。これらの周辺レンズに入射した光は、撮像素子アレイ13上では、図5(a)に示すように、それぞれのマイクロレンズに対応する素子群T(1,2)、T(2,1)、T(2,3)、T(3,2)の一部に入射する。
【0043】
図5(c)は、近点位置Bに対象物14が位置する場合に、撮像素子アレイ13に入射する光の形状を示す図である。対象物が遠点位置Cにある場合と同様に、素子群T(1,2)、T(2,1)、T(2,3)、T(3,2)の一部にも光が入射する。
【0044】
(3.画像の再構成について)
次に、本発明において距離情報を算出のための基本操作である、各仮想面での像の再構成について説明する。
【0045】
画像の再構成にあたっては、画像センサカメラ1で取得した画像データから、マイクロレンズへの物体光の入射方向の情報を得られるという点が重要である。画像データから入射方向の情報が得られることを、図5を再度用いて説明する。例えば、遠点位置Cにある対象物14からの光は、図5(a)に示すように、素子群T(2,2)を中心に、周囲の素子群T(1,2)、T(2,1)、T(2,3)、T(3,2)の中の外側の一部の決まった画素に入射する。また、逆に、近点位置Bにある対象物14からの光は、図5(c)に示すように、素子群T(2,2)を中心に、周囲の画素群T(1,2)、T(2,1)、T(2,3)、T(3,2)の中の内側の一部の決まった画素に入射する。このように各素子群に含まれる撮像素子のうちどの撮像素子に光が入射したかにより、各素子群に対応する位置に設置されたマイクロレンズへの物体光の入射方向の情報を得ることができる。
【0046】
この入射方向の情報、仮想面の位置(仮想位置)、および、光学系のパラメータ(各レンズの焦点距離や、メインレンズ11とマイクロレンズアレイ12との間の距離など)に基づき、撮像素子アレイ13が取得した画素データを並び替えることで、撮像素子アレイ13が仮想面にある場合に取得されるべき画像データを取得することができる。
【0047】
並び替えの具体例を図6を用いて説明する。図6は、対象物14の撮影像のデータを変換して得た再構成画像を示す図である。例えば、図6(a)は図5(a)に示した画像データから再構成した仮想面F上での光の分布を示したもので、図5(b)の合焦位置での光ビーム状態とほぼ同じになる。周囲の決まった撮像素子の出力を集めて、素子群T(2,2)の中央付近の出力と足し合わせ、改めて素子群T(2,2)の出力とすることで、仮想面Fでの画像を作り出すことができる。
【0048】
近点位置Bにある対象物(点像)に対しても、出力の足し合わせにより、図6(c)のような再構成像が生成できる。ただし、図5からも分かるように、撮像素子アレイ13上での広がり(分割状態)が遠点状態とは異なるので、再構成像を得るためには、異なる演算(周囲画素群の内側の一部の画素出力を足し合わせる)を行なう必要がある。
【0049】
なお、ここでは対象物が点像の場合の例を示したが、大きさを有する対象物の場合にも、同様の操作で画像の再構成ができる。ただし、大きさを有する画像の場合、全てのマイクロレンズに光が入射するので、各マイクロレンズに対応する画素群T(1,1)〜T(3,3)に対して同様の操作を行う必要がある。
【0050】
対象物14が点像でない場合の再構成画像について、図7および図8を用いて説明する。図7は、矢印形状の対象物14が近点位置Bにある場合の集光の様子を示す図であり、図8は、図7中に示される仮想面で取得される画像を示す図である。
【0051】
対象物14が近点位置Bにあるため、ほぼ撮像素子アレイ13の位置にある仮想面Eにおける取得画像は図8(a)のようにボケた画像となる。しかし、仮想面をD1,D2,D3と変えていくと、それぞれの再構成画像は図8(b)、(c)、(d)のようになる。D3まで変えると、D3は位置Bに対する仮想面であるため、位置Bにある対象物のフォーカシングされた画像が得られる。
【0052】
なお、図8の画像は、マイクロレンズアレイ12を通して取得した画像に相当するため、画像を拡大すると、図9に示すように、マイクロレンズ毎の画素群を1つの単位とした画像となっている。図9は、図8中に枠で囲った部分を拡大した画像を示す図である。
【0053】
このように、一度の撮像により得た撮像データを画像処理することにより、複数の仮想面での画像を再構成することができる。
【0054】
(4.距離情報の取得方法について)
次に、対象物の距離情報(3次元情報)を取得する方法の基本的な流れについて、図10を参照しつつ説明する。図10は、距離情報の取得の各工程で生成される画像データについて説明するための図である。
【0055】
距離情報の取得にあたっては、まず、画像センサカメラ1により、対象物の画像データを取得する。取得された画像データは、画像キャプチャーボード2を介してメモリ3に記憶される。この画像データを、図10(a)に示すようにf(i,j)とする。
【0056】
その後、画像処理部4は、画像データf(i、j)を処理することにより、対象物の距離情報を取得する。この処理は大きく、「再構成ステップ」、「差分値算出ステップ」、「距離情報算出ステップ」に分かれる。以下、それぞれの処理について説明する。
【0057】
(1)再構成ステップ
画像処理部4に含まれる再構成部4aは、画像データf(i,j)を並び替えて、図10(b)に示すようなN枚の仮想面での再構成画像データgn(i,j)を生成する。ここでn(n=1〜N)は仮想面の順番を示す。この並び替えを、焦点面変換係数An(n=1〜N)を用いて、gn(i,j)=An(f(i,j))と表すことにする。ここで、Anは、各画素群における物体光を検出した画素の位置により定まる各マイクロレンズへの物体光の入射方向、仮想位置、および、光学系のパラメータに基づいて決定されるものである。
【0058】
なお、再構成部4aは、例えば、特に限られるわけではないが、本実施例においては予め定められた間隔で並んだ複数の仮想位置に対して再構成画像データを取得するものとする。また、再構成部4aは、以下で述べる方法で焦点の合った仮想位置が算出された場合、焦点の合った仮想位置近傍では、仮想位置の間隔をさらに狭くして、狭い間隔の仮想位置に対して再構成画像を取得してもよい。この構成によれば、距離検出の精度を高めることができる。
【0059】
このステップでは、1個の画像データf(i,j)が、図10(b)に示すようなN個の再構成画像データ、すなわち、g01(i,j)=An(f(i,j))、g02(i,j)=An(f(i,j))、…、gn(i,j)=An(f(i,j))、…、gN(i,j)=An(f(i,j))が得られる。
【0060】
(2)差分値算出ステップ
輝度情報算出部4bは、再構成画像データgn(i,j)から、隣接する画素の輝度の差分値を算出する。差分値の算出は、以下の手順で行なわれる。
【0061】
まず、輝度情報算出部4bは、各再構成画像データgn(i,j)に対して、図13(c)に示すような各画素群を一様輝度を有する画素に変換した画像データhn(i’,j’)を生成する。ここで、一様輝度は、各画素群に含まれる画素の輝度と対応する輝度であればよい。例えば、輝度情報算出部4bは、一様輝度として、各画素群に含まれる画素の輝度の平均値、あるいは輝度の総和を算出する。
【0062】
本実施例では、m×m個の画素からなる画素群が、一様な輝度を有する1つの画素に変換(平均化)されるものとする。この変換は、平均化係数をBnとして、hn(i’,j’)=Bn(gn(i,j))と表される。
【0063】
平均化処理の具体例を図11を用いて説明する。図11は、図9に示す画像に対し平均化処理を行った場合の画素群の輝度分布を示す図である。図11(a)〜(d)はそれぞれ図9(a)〜(d)の輝度分布を画素群内で平均化処理したものである。
【0064】
本ステップにより、処理対象となるデータ量を1/m2に削減できる。そのため、以降の処理の画像処理速度が大幅に向上する。ただし、この処理は、必須ではない。
【0065】
次に、輝度情報算出部4cは、各再構成画像について、画素間の輝度の差分値を計算する。上述の平均化処理が行なわれている場合、輝度情報算出部4cは、各画像データhn(i’,j’)において、各画素群について隣接画素群との輝度の差分値を計算し、図10(d)に示すような差分値画像データkn(i’,j’)を作成する。hnとknとの関係を、差分値変換係数をCnとして、kn(i’,j’)=Cn(h(i’,j’))と表すことにする。ここで、差分値変換係数Cnは、例えば、一般的に用いられているRoberts法と呼ばれるエッジ検出法を利用する場合には、(i’,j’)の画素群に対して、x方向の微分値dx=h(i',j’)−h(i'+1,j’+1)、y方向の微分値dy=h(i'+1,j’)−h(i',j’+1)を用いて、(dx2+dy2)1/2で与えられる。ただし、差分値変換係数としては、これに限ることなく、単純な微分法、Sobel法や2次微分を用いるラプラシアン法など様々なフィルタ窓を設定することができる。図10(d)に示すように、N枚の差分値画像が作成される。
【0066】
なお、上述の平均化処理を行なっていない場合には、輝度情報算出部4bは、単純に、各再構成画像の各画素について、隣接する画素との輝度値の差分を計算し、差分値画像データを取得する。
【0067】
(3)距離情報算出ステップ
距離情報算出部4cは、差分値算出ステップで得られたデータに基づき、次の手順で、対象物の距離情報を算出する。
【0068】
まず、距離情報算出部4cは、差分値画像データに基づき、複数の再構成画像に共通の各画素位置 p=(i’,j’) での差分値強度の最大値を検出し、その最大値が検出されるn値(以後、代表値と呼ぶ)を求め、図10(e)に示すような代表値画像データs(i’,j’)を生成する。すなわち、各p=(i’,j’)においてkn(i’,j’)〜kN(i’,j’)を最大とするnの値をs(i’,j’)とおく。図9あるいは図11で示すように、エッジ周辺の輝度変化は、合焦位置での画像において、最も大きい。よって、差分値が最大となる仮想面の位置が合焦状態を示していると判定できる。このことを利用して、対象物までの距離を算出することができる。
【0069】
あるいは、差分値分布の近似曲線から、代表値を求めてもよい。この求め方を図12を用いて説明する。図12は、差分値分布の近似曲線から代表値を求める方法を説明するための図である。図12(a)は、異なる距離に配置されている2つの対象物の再構成像を示す図である。図12(b)は、図12(a)に示した各対象物のエッジ付近の画素位置(14A、15B)における差分値強度を、仮想面の位置(n値)について、プロットしたものである。各対象物に対して、画素位置(i',j')において、n値についてプロットした差分値強度の近似曲線を求め、近似曲線のピークのn値(図12(b)中のn1、n2)を、代表値s(i',j')として求める。この代表値は対象物の像にピントが合っている仮想面の位置を示している。
【0070】
最後に、距離情報算出部4cは、各画素位置において最大差分値強度が得られる代表値画像s(i’,j’)を、既知の光学系の倍率データ等を用いて、距離測定装置から対象物までの絶対距離d(i’,j’)に変換し、図10(f)に示すような最終的な距離画像データ d(i’,j’)を生成する。
【0071】
上記アルゴリズムは、輝度情報算出処理および距離情報算出処理を画素すべてについて行い、画素すべてについて距離データを求める場合のものであるが、画素すべてについて距離データを求めなくてもよい場合は、アルゴリズム処理領域を限定してもよい。例えば、複数の再構成画像に共通の処理領域を設定し、設定した処理領域において、輝度情報算出処理および距離情報算出処理を行なってもよい。処理領域を限定することで、処理時間や計算負荷を低減できる。
【0072】
また、差分値強度画像kn(i’,j’)に閾値処理を施すなどして、画像内のエッジ領域を抽出し、抽出したエッジ領域に限定して、代表値の算出および距離情報の計算を行なってもよい。このようにエッジ領域についてのみ距離を求める構成によれば、処理時間や計算負荷を大幅に低減できる。
【0073】
上記距離情報算出アルゴリズムにより、単一の撮像データから画像処理により、異なるフォーカシング状態(仮想面)の複数の画像を生成し、そのデータより対象物の距離画像を得ることができる。
【0074】
(5.マスク処理について)
基本的には、上述の方法で撮像画像から距離画像を得ることができる。しかしながら、上述の方法では、マイクロレンズアレイ12の品質が、再構成画像の画質に影響を及ぼす。その具体例を図13および図14を参照して説明する。図13は、被写体を説明する図、図14は、図13に示す被写体の撮像画像および再構成画像を示す図である。図14に示す撮像画像は、図13に示す被写体についてモノクロ品質で撮影したものである。
【0075】
図13に示すように、被写体は15mm間隔で文字(SHA)の描かれたカードを並べたものである。正面から撮影したときに全ての文字が見えるように、各文字の位置は、メインレンズ11の径方向にずらして配置されている。メインレンズ11から100mmの位置に最前列のカードを置き、2番目のカードの位置を基準焦点面とする。つまり、2番目のカードがある面に焦点を合わせて撮影する。
【0076】
図14(a)は、上記の条件下での、この被写体の撮像画像である。また、図14(a)の四角で囲んだ部分の拡大図を図14(d)に示す。撮像画像(図14(a))について、基準焦点面からメインレンズ11側に15mm移動した位置の仮想面での再構成画像を図14(b)に示す。さらに、図14(b)の再構成画像に対し、画素群の平均化処理を施した画像を図14(c)に示す。
【0077】
今の場合、仮想面を基準焦点面からメインレンズ11側に15mm移動した位置に設定しているので、図13の被写体の最前列のカードに焦点が合った画像が得られるはずであるが、図14(c)では、最前列のカードの文字(図14(c)の最も左の文字)の輪郭があまり明瞭になっていない。
【0078】
ここでの画像品質が悪いと、その後の処理であるエッジ検出、ひいては最大差分値強度検出の精度が落ちる。輪郭が明瞭でない画像のエッジ強度は検出しにくく、最大差分値強度を見つけにくいためである。これは、つまり、画像品質が悪くなると、距離検出精度が低下する事を意味する。
【0079】
図14に示すような画像品質の劣化は、マイクロレンズアレイ12の非レンズ部によるところが大きい。一般に、マイクロレンズアレイにおいては、製造上の問題からマイクロレンズ間はレンズ形状を維持していない事が多い。また、マイクロレンズの周辺部分は、加工精度が出にくく必ずしもレンズとして機能しない。このようにマイクロレンズ間あるいはマイクロレンズ周辺部に存在し、レンズとして機能しない非レンズ部が、画像品質の劣化をもたらす。
【0080】
撮像画像の拡大図である図14(d)を参照してこのことを説明する。図14(d)で四角で囲んだ部分が、一つのマイクロレンズに対応する部分である。図14の撮像に用いたマイクロレンズアレイのマイクロレンズ間には、平坦状の隙間がある。そのため、図14(d)から分かるように、実際のマイクロレンズは、四角で囲んだ部分の内側にある。
【0081】
再構成画像を生成する計算において、マイクロレンズ間およびマイクロレンズ周辺の画素は、ノイズであると考えられる。ノイズを含んだ画像を再構成および平均化しているため、図14(c)のように、エッジが十分はっきりしない画像になってしまう。
【0082】
この画像劣化を防ぐためには、非レンズ部の少ない高精度なレンズを用いることが考えられる。しかし、そのようなレンズは、一般に高価である。
【0083】
また、非レンズ部分の光学的特性を考慮して、非レンズ部分の補正演算を行なうことも考えられるが、この方法には、非レンズ部分の詳細な光学的特性を把握する必要が生じるとともに、それを反映して演算処理が煩雑となり処理時間が長くなるという問題がある。
【0084】
本発明では、この問題を解決するため、撮像画像のマイクロレンズ間およびマイクロレンズ周辺部分にマスク部4dによりマスク処理を施す。
【0085】
マスク処理としては、例えば、マスク対象部分の画素値を特定の値に設定する。設定する特定の値としては、例えば画素値の取り得る範囲の最小値とする。あるいは、画素値の取りうる範囲の最大値とする。
【0086】
本実施の形態では、図14(a)の撮像画像の非レンズ部分に対応する画素として図15の斜線部で示すマスク画素に対して、マスク処理を行なうものとする。また、マスク処理後の値を、画素値=0(黒色)に設定するものとする。
【0087】
この処理を施した画像を図16(a)に示す。また、図16(a)の四角で囲んだ部分の拡大図を図16(d)に示す。図16(d)より、マイクロレンズ間およびマイクロレンズ周辺部分がマスクされて黒くなっていることが分かる。
【0088】
基準焦点面からメインレンズ側に15mm移動した仮想面における、図16(a)の画像の再構成画像を図16(b)に示す。さらに、図16(b)の再構成画像に平均化処理を施した画像を図16(c)に示す。
【0089】
図14(c)に比べて図15(c)の方が、最前列のカードに描かれた文字(最も左の文字)の輪郭が明瞭に出ている。また、図15(c)においては、3枚のカードの中で最前列のカードに書かれた文字にもっとも焦点が合っていることが分かる。このように、マスク処理を行なって再構成画像を生成する事で、マイクロレンズ間およびマイクロレンズ周辺部分のノイズの影響を排除する事が出来る。
【0090】
なお、マスク部分の画素を含んで平均化すると、画像全体がマスク部分の画素値にバイアスされる。本実施の形態の場合、画像全体が暗くなる。そこで、マスク部分の画素は平均化の対象から外すことが望ましい。
【0091】
このためには、ある条件を満たす画素を平均化計算から除外すればよい。マスク部分の画素値が含まれる条件を設定して、マスク画素と他の画素とを区別する。
【0092】
例えば、閾値を用いて、マスク画素と他の画素とを区別する。つまり、マスク画素の変換後の値が最小値である場合、所定の閾値以下の画素値をもつ画素をマスク画素とみなす。逆に、マスク画素の変換後の値が最大値である場合、所定の閾値以上の画素値をもつ画素をマスク画素とみなす。あるいは、変換後のマスク画素の画素値を持つ画素を、除外対象としてもよい。
【0093】
このように画素値を用いてマスク画素の抽出を行なう場合、画像全体が明るい場合や、注目したい物体画像が明るい場合は、マスク対象部分の画素値を最小値(黒)に、逆に、画像全体が暗い場合や、注目したい物体画像が暗い場合は、マスク対象部分の画素値を最大値(白)に設定するほうが、必要な画素とマスク画素との区別が明確になされるため、好ましい。
【0094】
さらに、画像によって、自動的にマスク画素の変換後の値を設定するようにしてもよい。例えば、画像全体あるいは注目する物体画像が明るいか暗いかを、画像全体あるいは、画像の一部の領域の画素値の平均値を所定の閾値と比較することで判断し、平均値が閾値以上の場合、マスク処理後の画素値を最小値に、平均値が閾値未満の場合、マスク処理後の画素値を最大値とすれば、マスク画素と他の画素との区別をより明確にできる。
【0095】
マスク部分の画素を平均化の対象から外すための他の方法として、マスク対象部分に含まれる画素を平均化の対象から除外してもよい。この方法では、平均化処理において閾値による画素の判断が省略できるために、処理速度が高速化できる。
【0096】
特に、マスク部4dは、マスク対象部分の画素データを画像データから削除してもよい。マスク部分が図15のようであった場合、対象部分の削除後の画像データは、格子状になる。再構成部4aは、この画像データに対して、画素データの並び替え、平均化を行なう。このようにマスク部分のデータを画像データから削除することで、画像データ量が減る。
【0097】
(6.処理の流れ)
本実施の形態に係る距離測定における処理の流れを図16を用いて説明する。図17は本実施の形態に係る距離測定の処理の流れを示すフローチャートである。
【0098】
まず、画像処理部4は、ステップS101において、画像データを取得する。この画像データは、画像センサ1により対象物を1回撮影することにより得られる。
【0099】
次に、画像処理部4は、ステップS102において、画像データに対し、マスク処理を行なう。つまり、非レンズ部に対応するマスク対象部分の画素データを所定の値に変換する。
【0100】
そして、画像処理部4は、ステップS103において、画像データから、距離測定を行なう対象となる処理領域を決定する。処理領域は、エッジ判定によって行なわれてもよいし、利用者が設定してもよい。また、画像データの全領域について距離測定を行なう場合は、このステップは、省略される。
【0101】
続いて、画像処置装置4は、ステップS104において、選択領域中の画像データを並び替え、複数の仮想位置について再構成画像を作成する。
【0102】
そして、画像処理部4は、ステップS105において、各画素群の平均化を行なう。すなわち、各画素群を一様輝度を有する画素に変換する。この際、マスク対象部分の画素を平均化の対象から外してもよい。
【0103】
そして、画像処理部4は、ステップS106において、再構成画像データから差分値画像データを作成する。
【0104】
さらに、画像処理部4は、ステップS107において、差分値画像データから、代表値データを作成する。
【0105】
そして、画像処理部4は、ステップS108において、光学系の倍率より、代表値データを対象物の距離データに変換し、距離データを作成する。
【0106】
(7.まとめ)
これまで説明してきたように、本発明によれば、単一の撮像データから画像処理により、異なるフォーカシング状態(仮想面)の複数の画像を生成し、そのデータより対象物の距離画像を得ることができる。また、奥行き方向の前後の位置関係や、対象物の異なるエッジの距離情報から傾きや姿勢を求めることも可能である。
【0107】
非特許文献1に記載されているような従来のプレノプティックカメラは、設定した距離にピントを合せた画像は再構成できるが、画像の対象物の距離情報を求めることはできなかった。これに対し、本発明では、距離情報を算出することができる。
【0108】
また、特許文献1のようにステージ等で対象物の高さを変化させて、オートフォーカシングを行った後、複数枚の画像を取得し、それらの輝度情報に基づいて、高さ情報を求める方法に対して、本発明の方法は、カメラレンズのフォーカシング機構やステージなどの移動機構が不要となるため、小型かつ低コストである。
【0109】
しかも一度の撮像操作で取得した画像データから距離データを算出できるため、カメラや対象物の複数回の移動時間や撮影時間または移動に伴う各画像のマッチング操作などの時間が不要となり、大幅な測定時間短縮も可能となる。1つの取得画像から複数の再構成画像を生成する操作については、シリアルに処理する必要はなくパラレルに合成できるため、複数回の撮影時間が省略でき、高速測定に有利である。
【0110】
さらに、本光学系は、撮像素子のごく近傍にマイクロレンズアレイを組み込む構成なので、従来の画像センサカメラとほぼ同サイズであるため、広くFA用途としてロボットなどの視覚センサに用いられている2次元画像センサカメラとほぼ同じ外径サイズに収まるため、従来カメラとの互換性(置換え)が高い。
【0111】
さらに、マイクロレンズ間やマイクロレンズ周辺の非レンズ部分の画像情報をマスク処理して仮想面での再構成像を生成する事により、高精度なマイクロレンズアレイを用いなくても、精度よく距離検出する事ができる。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等な意味および範囲内でのすべての変更点が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態に係る距離情報検出装置の概略構成図である。
【図2】画像センサカメラ1の光学系を示す図である。
【図3】対象物14が近点位置Bまたは遠点位置Cにある場合の集光の様子を示す図である。
【図4】マイクロレンズアレイ12上の入射光15の形状を示す図である。
【図5】撮像素子アレイ13上の入射光16の形状を示す図である。
【図6】対象物14の撮影像のデータを変換して得た再構成画像を示す図である。
【図7】矢印形状の対象物14が近点側Bにある場合の集光の様子を示す図である。
【図8】図7中に示される仮想面で取得される画像を示す図である。
【図9】図8中に枠で囲った部分を拡大した画像を示す図である。
【図10】距離情報の取得の各工程で生成される画像データについて説明するための図である。
【図11】図9に示す画像に対し平均化処理を行った場合の画素群の輝度分布を示す図である。
【図12】差分値分布の近似曲線から代表値を求める方法を説明するための図である。
【図13】被写体を説明する図である。
【図14】図13に示す被写体の撮像画像および再構成画像を示す図である。
【図15】マスク部分を説明する図である。
【図16】マスク画像およびマスク画像の再構成画像を示す図である。
【図17】本実施の形態に係る距離測定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】共焦点顕微鏡の原理を用いた高さ情報測定装置の構成を示す図である。
【図19】共焦点顕微鏡の原理を用いた高さ情報測定装置による試料の高さ情報の検出アルゴリズムを説明する図である。
【符号の説明】
【0114】
1 画像センサカメラ、2 画像キャプチャボード、3 メモリ、4 画像処理部、4a 再構成部、4b 輝度情報算出部、4c 距離情報算出部、5 表示モニタ、11 撮像レンズ、12 マイクロレンズアレイ、13 撮像素子アレイ、14 対象物、15 マイクロレンズアレイ12上の入射光、16 撮像素子アレイ13上の入射光。
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物までの距離を測定する距離測定装置および距離測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業用ロボットや各種FA機器を用いて生産ラインを自動化するシステムや、知能ロボットのインテリジェント化を図るために、視覚センサが重要となってきている。特に、ロボットアームを用いたシステムにおいては、ワークの位置、姿勢、形状等の計測に視覚センサとして画像センサカメラが多く用いられている。
【0003】
また、半導体デバイスや回路部品の実装基板の製造などにおいては、品質を管理するために半田バンプや金バンプなど2次元状に配置された微小なデバイスの高さ情報を測定するというニーズが高まっている。
【0004】
このようなニーズに対応すべく、従来より、複数の画像センサカメラを用いたステレオ方式による3次元情報測定システムなどが用いられている。しかしながら、このシステムには、複数のカメラや複雑な画像処理が必要などの課題があった。
【0005】
また、比較的小さな対象物の高さ情報を測定する方法として、共焦点顕微鏡の原理を利用した高さ測定法が提案されている。例えば、特開2003−75119号公報(特許文献1)に記載された共焦点顕微鏡の原理を用いた高さ情報測定装置は、図18に示すように、光源103、対物レンズ104、2次元画像カメラ102を備えた共焦点光学系101により、試料106をステージ105を高さ方向に移動させながら、その高さ方向において互いに異なる複数の高さ位置で水平面の共焦点画像107をそれぞれ撮像する構成を有している(図19(a)(b))。そして、複数の共焦点画像の画素毎の輝度情報を比較し最大輝度を有する画素を含む共焦点画素データを用いて粒子解析を行ない、特定領域を抽出した後、抽出された領域における輝度と高さの代表値を算出し、試料の高さ情報を求めるものである(図19(c))。
【0006】
また、撮像素子を用いたカメラシステムにおいて、取得した画像データをデジタル処理により合成し、後で好きなようにピントを手前または奥に移動できるプレノプティックカメラ技術が“Single Lens Stereo with a Plenoptic Camera”,IEEE TRANSACTIONS ON PATTERN ANALYSIS AND MACHINE INTELLIGENCE,VOL.14,NO.2,FEBRUARY 1992(非特許文献1)や“Light Field Photography with a Hand−held Plenoptic Camera”,Stanford Tech Report CTSR 2005−02(非特許文献2)の中で提案されている。
【0007】
プレノプティックカメラは、通常の方法で画像を形成する普通のカメラレンズの他に、、カメラレンズの像平面に正確に配置されたマイクロレンズアレイを備える。さらに、マイクロレンズアレイのすぐ背後に配置され、マイクロレンズアレイより多くの撮像素子を有するイメージセンサアレイ(撮像素子アレイ)を備える。
【0008】
マイクロレンズアレイ内のレンズの数で最終画像の画素数は決まるが、単一マイクロレンズに割り当てられた多数のセンサピクセルにより、そのマイクロレンズに入射する光の方向と強度を記録することができる。そのデータを用いて、所定の距離にピントを合わせた画像を再構成することができるというものである。
【特許文献1】特開2003−75119号公報
【非特許文献1】“Single Lens Stereo with a Plenoptic Camera”,IEEE TRANSACTIONS ON PATTERN ANALYSIS AND MACHINE INTELLIGENCE,VOL.14,NO.2,FEBRUARY 1992
【非特許文献2】“Light Field Photography with a Hand−held Plenoptic Camera”,Stanford Tech Report CTSR 2005−02
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のように、共焦点顕微鏡の原理を用いて複数の共焦点画像を取得する場合、ステージの面方向への走査と高さ方向への移動という操作が必要で、オートフォーカス機構を含む移動機構系による大型化や、2次元画像データを高さを変えて複数回取得するための時間(ステージの移動時間、静止に要する時間、対物レンズなどのオートフォーカシング時間などが含まれる)が必要になるなどの課題がある。
【0010】
また、非特許文献1には、取得画像データに対して、例えばオペレータがピント位置(距離)を入力することで、その位置にフォーカシングされた画像をデータの並び替え(再構成)により作り出すことは示されているが、それを用いて対象物の距離情報を算出することは示されていない。
【0011】
また、マイクロレンズアレイの各マイクロレンズの間あるいは各マイクロレンズの周辺に存在する非レンズ部分により、再構成画像にノイズが発生するという問題もあった。非レンズ部分を透過して撮像素子に入射した光(不要光)は、再構成画像にはノイズとして現れる。
【0012】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、精度よく距離情報を測定できる小型かつ低コストの距離測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの局面に係る本願発明は、対象物までの距離を測定するための距離測定装置であって、対象物からの物体光を撮像するカメラを備え、カメラは、物体光を集光する撮像レンズと、撮像レンズを通過した物体光が入射する複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、マイクロレンズアレイを通過した物体光を検出し、画像データに変換する撮像デバイスとを含み、撮像デバイスは、それぞれがマイクロレンズアレイを通過した物体光を検出し、画像信号に変換する複数の撮像素子を有し、複数の撮像素子は、それぞれに1つのマイクロレンズを透過した物体光が入射する複数の素子群に分割されており、マイクロレンズアレイの非レンズ部を透過した光が入射する外縁部の撮像素子に対応する画素データの画素値を所定の値に変換するマスク手段と、マスク手段により処理された画像データに含まれる複数の画素データを、各素子群における物体光を検出した撮像素子の位置により定まる物体光のマイクロレンズへの入射方向に基づいて並び替えて、撮像デバイスが複数の仮想位置の各々に位置する場合に得られるべき再構成画像を生成する再構成手段と、複数の再構成画像に共通の領域において、複数の再構成画像の各々について、各画素と各画素近傍の画素との間の輝度の差分値を算出する差分値算出手段と、共通の領域に含まれる各画素位置に対して、差分値が最大である画素を有する再構成画像に対応する仮想位置を特定し、カメラの光学系のパラメータに基づき特定された仮想位置を変換し距離を算出する距離算出手段とを備える。
【0014】
好ましくは、差分値算出手段は、各素子群に対応する画像データの領域に含まれる複数の画素の画素値に基づいて一様輝度を算出し、各領域に含まれる複数の画素を一様輝度を有する画素に変換する平均化手段をさらに含み、一様輝度を有する画素に基づき差分値を算出する。
【0015】
さらに好ましくは、平均化手段は、各領域に含まれる画素のうち、外縁部の画素を除いた画素の画素値に基づいて一様輝度を算出する。
【0016】
さらに好ましくは、平均化手段は、各領域に含まれる画素のうち、所定の値を持つ画素を除いた画素の画素値に基づいて一様輝度を算出する。
【0017】
好ましくは、所定の値は、画素値の取りうる最小値である。
好ましくは、所定の値は、画素値の取りうる最大値である。
【0018】
好ましくは、マスク手段は、画像データの所定の領域に含まれる画素値の平均値が所定の閾値以上であるとき、所定の値を画像信号の取りうる最小値に設定し、平均値が所定の閾値未満であるとき、所定の値を画像信号の取りうる最大値に設定する。
【0019】
好ましくは、マスク手段は、画像データから外縁部の画素データを削除し、再構成手段は、外縁部の画素データが削除された画像データに含まれる複数の画素データを並び替えて、再構成画像を生成する。
【0020】
他の局面に係る本願発明は、対象物からの物体光を撮像するカメラ対象物で対象物までの距離を測定するための距離測定方法であって、カメラは、物体光を集光する撮像レンズと、撮像レンズを通過した物体光が入射する複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、マイクロレンズアレイを通過した物体光を検出し、画像データに変換する撮像デバイスとを含み、撮像デバイスは、それぞれがマイクロレンズアレイを通過した物体光を検出し、画像信号に変換する複数の撮像素子を有し、複数の撮像素子は、それぞれに1つのマイクロレンズを透過した物体光が入射する複数の素子群に分割されており、マイクロレンズアレイの非レンズ部を透過した光が入射する外縁部の撮像素子に対応する画素データの画素値を所定の値に変換するステップと、外縁部の撮像素子に対応する画素データの画素値を所定の値に変換された画像データに含まれる複数の画素データを、各素子群における物体光を検出した撮像素子の位置により定まる物体光のマイクロレンズへの入射方向に基づいて並び替えて、撮像デバイスが複数の仮想位置の各々に位置する場合に得られるべき再構成画像を生成するステップと、複数の再構成画像に共通の領域において、複数の再構成画像の各々について、各画素と各画素近傍の画素との間の輝度の差分値を算出するステップと、共通の領域に含まれる各画素位置に対して、差分値が最大である画素を有する再構成画像に対応する仮想位置を特定し、カメラの光学系のパラメータに基づき特定された仮想位置を変換し距離を算出するステップとを備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一度の撮像データから画像処理により、異なるフォーカシング状態の複数の画像を生成し、そのデータより距離画像を得ることができるため、カメラレンズのフォーカシング機構やステージなどの移動機構が不要である。また、非レンズ部分に対応する領域中の撮像素子からの画像情報をマスク処理して仮想位置の再構成像を生成することにより、高精度なマイクロレンズアレイを不要としながら、高精度な距離検出を行なえる。よって、小型かつ低コストな高精度の距離情報測定装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、撮像レンズで結像した画像を、マイクロレンズアレイを通して撮像素子で撮影し、その画像データから対象物の3次元情報を取得する距離測定装置に関するものである。以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
(1.距離測定装置の構成)
図1を参照して、本発明に係る距離測定装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る距離測定装置の概略構成図である。
【0024】
距離測定装置は、対象物の物体光を撮像する画像センサカメラ1と、画像センサカメラ1の撮像結果から画像データを取得する画像キャプチャボード2と、画像データを保存するメモリ3と、画像データに基づいて対象物までの距離情報を算出する画像処理部4とを備える。また、必要に応じて、画像処理部4で算出された距離情報を表示する表示モニタ5をさらに備える。
【0025】
画像処理部4は、再構成部4aと、輝度情報算出部4bと、距離情報算出部4cと、マスク部4dとを含む。
【0026】
マスク部4dは、画像キャプチャボード2より取得した対象物の画像データの一部分の画素値を特定の値に変換する。再構成部4aは、画像データに含まれる画素データを並び替えて、異なる複数の仮想焦点位置の再構成画像を生成する。輝度情報算出部4bは、複数の再構成画像において、各画素あるいは複数の画素からなる画素群の各々の輝度情報を算出する。距離情報算出部4cは、輝度情報および画像センサカメラ1の光学系のパラメータに基づいて、対象物までの距離を算出する。
【0027】
画像センサカメラ1は、撮像レンズ(以後は、メインレンズ11と呼ぶ)と、複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイ12と、複数の撮像素子を含む撮像素子アレイ13とからなる。撮像素子としては、例えば、CCD(charge-coupled device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどを用いることができる。
【0028】
メインレンズ11には、対象物からの物体光が入射する。メインレンズ11は、物体光を集光する。マイクロレンズアレイ12には、メインレンズ11を通過した物体光が入射する。マイクロレンズアレイ12に含まれる複数のマイクロレンズの各々は、物体光を集光する。
【0029】
撮像素子アレイ13に含まれる複数の撮像素子の各々は、入射した光を画像信号に変換する。撮像素子アレイ13により取得される画像データについては、後で詳述する。
【0030】
(2.画像センサカメラの光学系)
本実施の形態においては、画像センサカメラ1の光学系の構成に特徴がある。図2を参照して、画像センサカメラ1の光学系について説明する。図2は、画像センサカメラ1の光学系を示す図である。なお、簡単のため、図2には、対象物14が点光源である場合を示す。
【0031】
画像センサカメラ1のマイクロレンズアレイ12は、対象物14がAの位置にある場合に、メインレンズ12より対象物14がほぼ結像する位置に配置される。このときのAの位置を合焦位置、合焦位置よりもメインレンズ11に近い側を近点位置、合焦点位置よりもメインレンズ11から遠い側を遠点位置と呼ぶ。撮像素子アレイ13はマイクロレンズアレイ12のほぼ焦点位置に配置されている。撮像素子アレイ13には、マイクロレンズアレイ12上に集光された光対象物の光が、マイクロレンズを通して、拡大されて入射される。
【0032】
また、それぞれのマイクロレンズを通過した光が、撮像素子アレイ13上の互いに異なる領域に入射するように、画像センサカメラ1の光学系のパラメータ(メインレンズ12およびマイクロレンズのFナンバーなど)は調整されているものとする。
【0033】
次に、図3〜図9を用いて、この画像センサカメラ1による撮像および距離情報検出の原理を説明する。
【0034】
図3を参照して、対象物14の結像について説明する。図3は、対象物14が近点位置Bまたは遠点位置Cにある場合の集光の様子を示す図である。対象物14が位置Bにある場合、対象物14からの光は、メインレンズ11により、面Dに集光(結像)する。また、位置Cにある場合、面Fに集光(結像)する。また、面Eは、合焦位置Aに対する集光面であり、ほぼマイクロレンズアレイ12の位置に相当する。結像面F,E,DをそれぞれC,A,Bに対する仮想焦点面と呼ぶ。
【0035】
続いて、対象物14が図3の位置A,B,Cにある場合にマイクロレンズアレイ12上にどのような形状の入射光15が入射するかについて図4を用いて説明する。図4はマイクロレンズアレイ12上の入射光15の形状を示す図である。
【0036】
図4に示すように、本実施の形態においては、マイクロレンズアレイ12は、2次元面内に配列された円形のマイクロレンズからなるものとする。また、各マイクロレンズには、それらを識別するための番号M(i,j)が与えられているものとする。図4(a)、図4(b)、図4(c)は、それぞれ、対象物14が、遠点位置Cにある場合、合焦位置Aにある場合、近点位置Bにある場合のマイクロレンズアレイ12上の入射光15の形状を示す図である。
【0037】
合焦位置Aにある対象物14からの光は図4(b)のようにほぼマイクロレンズM(2,2)上に集光される。
【0038】
対象物14が遠点位置Cにある場合、対象物14からの光は、メインレンズ11を通して一旦集光された後、さらにデフォーカス状態になって広がってマイクロレンズ12上に入射する。したがって、図4(a)に示すように、マイクロレンズアレイ12上の入射光15は、マイクロレンズM(2,2)の周辺レンズM(1,2)、M(2,1)、M(2,3)、M(3,2)にまで広がる。
【0039】
対象物14が近点位置Bにある場合は、集光前のデフォーカス状態の光が、マイクロレンズ12上に入射する。したがって、図4(b)に示すように、マイクロレンズアレイ12上の入射光15は、マイクロレンズM(2,2)の周辺レンズM(1,2)、M(2,1)、M(2,3)、M(3,2)にまで広がる。
【0040】
撮像素子アレイ13上の入射光16について図5を用いて説明する。図5に示すように、撮像素子アレイ13は、複数の素子群からなる。各素子群には、番号T(i,j)が付されている。また、各素子群は、マイクロレンズの1つを通過した物体光を検出する。言い換えると、マイクロレンズM(i,j)を通過した光は、画素群T(i,j)に入射する。なお、図では、素子群が10×10の撮像素子で構成されている場合を示しているが、素子群を構成する素子の数はこれに限られない。
【0041】
対象物14が合焦位置Aにある場合、図4(b)のようにほぼマイクロレンズM(2,2)上に集光された光が、撮像素子アレイ13に入射する。したがって、撮像素子アレイ13に入射する光は、図5(b)に示すように、素子群T(2,2)に対して全面に広がる。
【0042】
対象物14が遠点位置Cにある場合、マイクロレンズアレイ12上で、図4(a)のように周辺レンズM(1,2)、M(2,1)、M(2,3)、M(3,2)にも広がった光が、撮像素子アレイ13に入射する。これらの周辺レンズに入射した光は、撮像素子アレイ13上では、図5(a)に示すように、それぞれのマイクロレンズに対応する素子群T(1,2)、T(2,1)、T(2,3)、T(3,2)の一部に入射する。
【0043】
図5(c)は、近点位置Bに対象物14が位置する場合に、撮像素子アレイ13に入射する光の形状を示す図である。対象物が遠点位置Cにある場合と同様に、素子群T(1,2)、T(2,1)、T(2,3)、T(3,2)の一部にも光が入射する。
【0044】
(3.画像の再構成について)
次に、本発明において距離情報を算出のための基本操作である、各仮想面での像の再構成について説明する。
【0045】
画像の再構成にあたっては、画像センサカメラ1で取得した画像データから、マイクロレンズへの物体光の入射方向の情報を得られるという点が重要である。画像データから入射方向の情報が得られることを、図5を再度用いて説明する。例えば、遠点位置Cにある対象物14からの光は、図5(a)に示すように、素子群T(2,2)を中心に、周囲の素子群T(1,2)、T(2,1)、T(2,3)、T(3,2)の中の外側の一部の決まった画素に入射する。また、逆に、近点位置Bにある対象物14からの光は、図5(c)に示すように、素子群T(2,2)を中心に、周囲の画素群T(1,2)、T(2,1)、T(2,3)、T(3,2)の中の内側の一部の決まった画素に入射する。このように各素子群に含まれる撮像素子のうちどの撮像素子に光が入射したかにより、各素子群に対応する位置に設置されたマイクロレンズへの物体光の入射方向の情報を得ることができる。
【0046】
この入射方向の情報、仮想面の位置(仮想位置)、および、光学系のパラメータ(各レンズの焦点距離や、メインレンズ11とマイクロレンズアレイ12との間の距離など)に基づき、撮像素子アレイ13が取得した画素データを並び替えることで、撮像素子アレイ13が仮想面にある場合に取得されるべき画像データを取得することができる。
【0047】
並び替えの具体例を図6を用いて説明する。図6は、対象物14の撮影像のデータを変換して得た再構成画像を示す図である。例えば、図6(a)は図5(a)に示した画像データから再構成した仮想面F上での光の分布を示したもので、図5(b)の合焦位置での光ビーム状態とほぼ同じになる。周囲の決まった撮像素子の出力を集めて、素子群T(2,2)の中央付近の出力と足し合わせ、改めて素子群T(2,2)の出力とすることで、仮想面Fでの画像を作り出すことができる。
【0048】
近点位置Bにある対象物(点像)に対しても、出力の足し合わせにより、図6(c)のような再構成像が生成できる。ただし、図5からも分かるように、撮像素子アレイ13上での広がり(分割状態)が遠点状態とは異なるので、再構成像を得るためには、異なる演算(周囲画素群の内側の一部の画素出力を足し合わせる)を行なう必要がある。
【0049】
なお、ここでは対象物が点像の場合の例を示したが、大きさを有する対象物の場合にも、同様の操作で画像の再構成ができる。ただし、大きさを有する画像の場合、全てのマイクロレンズに光が入射するので、各マイクロレンズに対応する画素群T(1,1)〜T(3,3)に対して同様の操作を行う必要がある。
【0050】
対象物14が点像でない場合の再構成画像について、図7および図8を用いて説明する。図7は、矢印形状の対象物14が近点位置Bにある場合の集光の様子を示す図であり、図8は、図7中に示される仮想面で取得される画像を示す図である。
【0051】
対象物14が近点位置Bにあるため、ほぼ撮像素子アレイ13の位置にある仮想面Eにおける取得画像は図8(a)のようにボケた画像となる。しかし、仮想面をD1,D2,D3と変えていくと、それぞれの再構成画像は図8(b)、(c)、(d)のようになる。D3まで変えると、D3は位置Bに対する仮想面であるため、位置Bにある対象物のフォーカシングされた画像が得られる。
【0052】
なお、図8の画像は、マイクロレンズアレイ12を通して取得した画像に相当するため、画像を拡大すると、図9に示すように、マイクロレンズ毎の画素群を1つの単位とした画像となっている。図9は、図8中に枠で囲った部分を拡大した画像を示す図である。
【0053】
このように、一度の撮像により得た撮像データを画像処理することにより、複数の仮想面での画像を再構成することができる。
【0054】
(4.距離情報の取得方法について)
次に、対象物の距離情報(3次元情報)を取得する方法の基本的な流れについて、図10を参照しつつ説明する。図10は、距離情報の取得の各工程で生成される画像データについて説明するための図である。
【0055】
距離情報の取得にあたっては、まず、画像センサカメラ1により、対象物の画像データを取得する。取得された画像データは、画像キャプチャーボード2を介してメモリ3に記憶される。この画像データを、図10(a)に示すようにf(i,j)とする。
【0056】
その後、画像処理部4は、画像データf(i、j)を処理することにより、対象物の距離情報を取得する。この処理は大きく、「再構成ステップ」、「差分値算出ステップ」、「距離情報算出ステップ」に分かれる。以下、それぞれの処理について説明する。
【0057】
(1)再構成ステップ
画像処理部4に含まれる再構成部4aは、画像データf(i,j)を並び替えて、図10(b)に示すようなN枚の仮想面での再構成画像データgn(i,j)を生成する。ここでn(n=1〜N)は仮想面の順番を示す。この並び替えを、焦点面変換係数An(n=1〜N)を用いて、gn(i,j)=An(f(i,j))と表すことにする。ここで、Anは、各画素群における物体光を検出した画素の位置により定まる各マイクロレンズへの物体光の入射方向、仮想位置、および、光学系のパラメータに基づいて決定されるものである。
【0058】
なお、再構成部4aは、例えば、特に限られるわけではないが、本実施例においては予め定められた間隔で並んだ複数の仮想位置に対して再構成画像データを取得するものとする。また、再構成部4aは、以下で述べる方法で焦点の合った仮想位置が算出された場合、焦点の合った仮想位置近傍では、仮想位置の間隔をさらに狭くして、狭い間隔の仮想位置に対して再構成画像を取得してもよい。この構成によれば、距離検出の精度を高めることができる。
【0059】
このステップでは、1個の画像データf(i,j)が、図10(b)に示すようなN個の再構成画像データ、すなわち、g01(i,j)=An(f(i,j))、g02(i,j)=An(f(i,j))、…、gn(i,j)=An(f(i,j))、…、gN(i,j)=An(f(i,j))が得られる。
【0060】
(2)差分値算出ステップ
輝度情報算出部4bは、再構成画像データgn(i,j)から、隣接する画素の輝度の差分値を算出する。差分値の算出は、以下の手順で行なわれる。
【0061】
まず、輝度情報算出部4bは、各再構成画像データgn(i,j)に対して、図13(c)に示すような各画素群を一様輝度を有する画素に変換した画像データhn(i’,j’)を生成する。ここで、一様輝度は、各画素群に含まれる画素の輝度と対応する輝度であればよい。例えば、輝度情報算出部4bは、一様輝度として、各画素群に含まれる画素の輝度の平均値、あるいは輝度の総和を算出する。
【0062】
本実施例では、m×m個の画素からなる画素群が、一様な輝度を有する1つの画素に変換(平均化)されるものとする。この変換は、平均化係数をBnとして、hn(i’,j’)=Bn(gn(i,j))と表される。
【0063】
平均化処理の具体例を図11を用いて説明する。図11は、図9に示す画像に対し平均化処理を行った場合の画素群の輝度分布を示す図である。図11(a)〜(d)はそれぞれ図9(a)〜(d)の輝度分布を画素群内で平均化処理したものである。
【0064】
本ステップにより、処理対象となるデータ量を1/m2に削減できる。そのため、以降の処理の画像処理速度が大幅に向上する。ただし、この処理は、必須ではない。
【0065】
次に、輝度情報算出部4cは、各再構成画像について、画素間の輝度の差分値を計算する。上述の平均化処理が行なわれている場合、輝度情報算出部4cは、各画像データhn(i’,j’)において、各画素群について隣接画素群との輝度の差分値を計算し、図10(d)に示すような差分値画像データkn(i’,j’)を作成する。hnとknとの関係を、差分値変換係数をCnとして、kn(i’,j’)=Cn(h(i’,j’))と表すことにする。ここで、差分値変換係数Cnは、例えば、一般的に用いられているRoberts法と呼ばれるエッジ検出法を利用する場合には、(i’,j’)の画素群に対して、x方向の微分値dx=h(i',j’)−h(i'+1,j’+1)、y方向の微分値dy=h(i'+1,j’)−h(i',j’+1)を用いて、(dx2+dy2)1/2で与えられる。ただし、差分値変換係数としては、これに限ることなく、単純な微分法、Sobel法や2次微分を用いるラプラシアン法など様々なフィルタ窓を設定することができる。図10(d)に示すように、N枚の差分値画像が作成される。
【0066】
なお、上述の平均化処理を行なっていない場合には、輝度情報算出部4bは、単純に、各再構成画像の各画素について、隣接する画素との輝度値の差分を計算し、差分値画像データを取得する。
【0067】
(3)距離情報算出ステップ
距離情報算出部4cは、差分値算出ステップで得られたデータに基づき、次の手順で、対象物の距離情報を算出する。
【0068】
まず、距離情報算出部4cは、差分値画像データに基づき、複数の再構成画像に共通の各画素位置 p=(i’,j’) での差分値強度の最大値を検出し、その最大値が検出されるn値(以後、代表値と呼ぶ)を求め、図10(e)に示すような代表値画像データs(i’,j’)を生成する。すなわち、各p=(i’,j’)においてkn(i’,j’)〜kN(i’,j’)を最大とするnの値をs(i’,j’)とおく。図9あるいは図11で示すように、エッジ周辺の輝度変化は、合焦位置での画像において、最も大きい。よって、差分値が最大となる仮想面の位置が合焦状態を示していると判定できる。このことを利用して、対象物までの距離を算出することができる。
【0069】
あるいは、差分値分布の近似曲線から、代表値を求めてもよい。この求め方を図12を用いて説明する。図12は、差分値分布の近似曲線から代表値を求める方法を説明するための図である。図12(a)は、異なる距離に配置されている2つの対象物の再構成像を示す図である。図12(b)は、図12(a)に示した各対象物のエッジ付近の画素位置(14A、15B)における差分値強度を、仮想面の位置(n値)について、プロットしたものである。各対象物に対して、画素位置(i',j')において、n値についてプロットした差分値強度の近似曲線を求め、近似曲線のピークのn値(図12(b)中のn1、n2)を、代表値s(i',j')として求める。この代表値は対象物の像にピントが合っている仮想面の位置を示している。
【0070】
最後に、距離情報算出部4cは、各画素位置において最大差分値強度が得られる代表値画像s(i’,j’)を、既知の光学系の倍率データ等を用いて、距離測定装置から対象物までの絶対距離d(i’,j’)に変換し、図10(f)に示すような最終的な距離画像データ d(i’,j’)を生成する。
【0071】
上記アルゴリズムは、輝度情報算出処理および距離情報算出処理を画素すべてについて行い、画素すべてについて距離データを求める場合のものであるが、画素すべてについて距離データを求めなくてもよい場合は、アルゴリズム処理領域を限定してもよい。例えば、複数の再構成画像に共通の処理領域を設定し、設定した処理領域において、輝度情報算出処理および距離情報算出処理を行なってもよい。処理領域を限定することで、処理時間や計算負荷を低減できる。
【0072】
また、差分値強度画像kn(i’,j’)に閾値処理を施すなどして、画像内のエッジ領域を抽出し、抽出したエッジ領域に限定して、代表値の算出および距離情報の計算を行なってもよい。このようにエッジ領域についてのみ距離を求める構成によれば、処理時間や計算負荷を大幅に低減できる。
【0073】
上記距離情報算出アルゴリズムにより、単一の撮像データから画像処理により、異なるフォーカシング状態(仮想面)の複数の画像を生成し、そのデータより対象物の距離画像を得ることができる。
【0074】
(5.マスク処理について)
基本的には、上述の方法で撮像画像から距離画像を得ることができる。しかしながら、上述の方法では、マイクロレンズアレイ12の品質が、再構成画像の画質に影響を及ぼす。その具体例を図13および図14を参照して説明する。図13は、被写体を説明する図、図14は、図13に示す被写体の撮像画像および再構成画像を示す図である。図14に示す撮像画像は、図13に示す被写体についてモノクロ品質で撮影したものである。
【0075】
図13に示すように、被写体は15mm間隔で文字(SHA)の描かれたカードを並べたものである。正面から撮影したときに全ての文字が見えるように、各文字の位置は、メインレンズ11の径方向にずらして配置されている。メインレンズ11から100mmの位置に最前列のカードを置き、2番目のカードの位置を基準焦点面とする。つまり、2番目のカードがある面に焦点を合わせて撮影する。
【0076】
図14(a)は、上記の条件下での、この被写体の撮像画像である。また、図14(a)の四角で囲んだ部分の拡大図を図14(d)に示す。撮像画像(図14(a))について、基準焦点面からメインレンズ11側に15mm移動した位置の仮想面での再構成画像を図14(b)に示す。さらに、図14(b)の再構成画像に対し、画素群の平均化処理を施した画像を図14(c)に示す。
【0077】
今の場合、仮想面を基準焦点面からメインレンズ11側に15mm移動した位置に設定しているので、図13の被写体の最前列のカードに焦点が合った画像が得られるはずであるが、図14(c)では、最前列のカードの文字(図14(c)の最も左の文字)の輪郭があまり明瞭になっていない。
【0078】
ここでの画像品質が悪いと、その後の処理であるエッジ検出、ひいては最大差分値強度検出の精度が落ちる。輪郭が明瞭でない画像のエッジ強度は検出しにくく、最大差分値強度を見つけにくいためである。これは、つまり、画像品質が悪くなると、距離検出精度が低下する事を意味する。
【0079】
図14に示すような画像品質の劣化は、マイクロレンズアレイ12の非レンズ部によるところが大きい。一般に、マイクロレンズアレイにおいては、製造上の問題からマイクロレンズ間はレンズ形状を維持していない事が多い。また、マイクロレンズの周辺部分は、加工精度が出にくく必ずしもレンズとして機能しない。このようにマイクロレンズ間あるいはマイクロレンズ周辺部に存在し、レンズとして機能しない非レンズ部が、画像品質の劣化をもたらす。
【0080】
撮像画像の拡大図である図14(d)を参照してこのことを説明する。図14(d)で四角で囲んだ部分が、一つのマイクロレンズに対応する部分である。図14の撮像に用いたマイクロレンズアレイのマイクロレンズ間には、平坦状の隙間がある。そのため、図14(d)から分かるように、実際のマイクロレンズは、四角で囲んだ部分の内側にある。
【0081】
再構成画像を生成する計算において、マイクロレンズ間およびマイクロレンズ周辺の画素は、ノイズであると考えられる。ノイズを含んだ画像を再構成および平均化しているため、図14(c)のように、エッジが十分はっきりしない画像になってしまう。
【0082】
この画像劣化を防ぐためには、非レンズ部の少ない高精度なレンズを用いることが考えられる。しかし、そのようなレンズは、一般に高価である。
【0083】
また、非レンズ部分の光学的特性を考慮して、非レンズ部分の補正演算を行なうことも考えられるが、この方法には、非レンズ部分の詳細な光学的特性を把握する必要が生じるとともに、それを反映して演算処理が煩雑となり処理時間が長くなるという問題がある。
【0084】
本発明では、この問題を解決するため、撮像画像のマイクロレンズ間およびマイクロレンズ周辺部分にマスク部4dによりマスク処理を施す。
【0085】
マスク処理としては、例えば、マスク対象部分の画素値を特定の値に設定する。設定する特定の値としては、例えば画素値の取り得る範囲の最小値とする。あるいは、画素値の取りうる範囲の最大値とする。
【0086】
本実施の形態では、図14(a)の撮像画像の非レンズ部分に対応する画素として図15の斜線部で示すマスク画素に対して、マスク処理を行なうものとする。また、マスク処理後の値を、画素値=0(黒色)に設定するものとする。
【0087】
この処理を施した画像を図16(a)に示す。また、図16(a)の四角で囲んだ部分の拡大図を図16(d)に示す。図16(d)より、マイクロレンズ間およびマイクロレンズ周辺部分がマスクされて黒くなっていることが分かる。
【0088】
基準焦点面からメインレンズ側に15mm移動した仮想面における、図16(a)の画像の再構成画像を図16(b)に示す。さらに、図16(b)の再構成画像に平均化処理を施した画像を図16(c)に示す。
【0089】
図14(c)に比べて図15(c)の方が、最前列のカードに描かれた文字(最も左の文字)の輪郭が明瞭に出ている。また、図15(c)においては、3枚のカードの中で最前列のカードに書かれた文字にもっとも焦点が合っていることが分かる。このように、マスク処理を行なって再構成画像を生成する事で、マイクロレンズ間およびマイクロレンズ周辺部分のノイズの影響を排除する事が出来る。
【0090】
なお、マスク部分の画素を含んで平均化すると、画像全体がマスク部分の画素値にバイアスされる。本実施の形態の場合、画像全体が暗くなる。そこで、マスク部分の画素は平均化の対象から外すことが望ましい。
【0091】
このためには、ある条件を満たす画素を平均化計算から除外すればよい。マスク部分の画素値が含まれる条件を設定して、マスク画素と他の画素とを区別する。
【0092】
例えば、閾値を用いて、マスク画素と他の画素とを区別する。つまり、マスク画素の変換後の値が最小値である場合、所定の閾値以下の画素値をもつ画素をマスク画素とみなす。逆に、マスク画素の変換後の値が最大値である場合、所定の閾値以上の画素値をもつ画素をマスク画素とみなす。あるいは、変換後のマスク画素の画素値を持つ画素を、除外対象としてもよい。
【0093】
このように画素値を用いてマスク画素の抽出を行なう場合、画像全体が明るい場合や、注目したい物体画像が明るい場合は、マスク対象部分の画素値を最小値(黒)に、逆に、画像全体が暗い場合や、注目したい物体画像が暗い場合は、マスク対象部分の画素値を最大値(白)に設定するほうが、必要な画素とマスク画素との区別が明確になされるため、好ましい。
【0094】
さらに、画像によって、自動的にマスク画素の変換後の値を設定するようにしてもよい。例えば、画像全体あるいは注目する物体画像が明るいか暗いかを、画像全体あるいは、画像の一部の領域の画素値の平均値を所定の閾値と比較することで判断し、平均値が閾値以上の場合、マスク処理後の画素値を最小値に、平均値が閾値未満の場合、マスク処理後の画素値を最大値とすれば、マスク画素と他の画素との区別をより明確にできる。
【0095】
マスク部分の画素を平均化の対象から外すための他の方法として、マスク対象部分に含まれる画素を平均化の対象から除外してもよい。この方法では、平均化処理において閾値による画素の判断が省略できるために、処理速度が高速化できる。
【0096】
特に、マスク部4dは、マスク対象部分の画素データを画像データから削除してもよい。マスク部分が図15のようであった場合、対象部分の削除後の画像データは、格子状になる。再構成部4aは、この画像データに対して、画素データの並び替え、平均化を行なう。このようにマスク部分のデータを画像データから削除することで、画像データ量が減る。
【0097】
(6.処理の流れ)
本実施の形態に係る距離測定における処理の流れを図16を用いて説明する。図17は本実施の形態に係る距離測定の処理の流れを示すフローチャートである。
【0098】
まず、画像処理部4は、ステップS101において、画像データを取得する。この画像データは、画像センサ1により対象物を1回撮影することにより得られる。
【0099】
次に、画像処理部4は、ステップS102において、画像データに対し、マスク処理を行なう。つまり、非レンズ部に対応するマスク対象部分の画素データを所定の値に変換する。
【0100】
そして、画像処理部4は、ステップS103において、画像データから、距離測定を行なう対象となる処理領域を決定する。処理領域は、エッジ判定によって行なわれてもよいし、利用者が設定してもよい。また、画像データの全領域について距離測定を行なう場合は、このステップは、省略される。
【0101】
続いて、画像処置装置4は、ステップS104において、選択領域中の画像データを並び替え、複数の仮想位置について再構成画像を作成する。
【0102】
そして、画像処理部4は、ステップS105において、各画素群の平均化を行なう。すなわち、各画素群を一様輝度を有する画素に変換する。この際、マスク対象部分の画素を平均化の対象から外してもよい。
【0103】
そして、画像処理部4は、ステップS106において、再構成画像データから差分値画像データを作成する。
【0104】
さらに、画像処理部4は、ステップS107において、差分値画像データから、代表値データを作成する。
【0105】
そして、画像処理部4は、ステップS108において、光学系の倍率より、代表値データを対象物の距離データに変換し、距離データを作成する。
【0106】
(7.まとめ)
これまで説明してきたように、本発明によれば、単一の撮像データから画像処理により、異なるフォーカシング状態(仮想面)の複数の画像を生成し、そのデータより対象物の距離画像を得ることができる。また、奥行き方向の前後の位置関係や、対象物の異なるエッジの距離情報から傾きや姿勢を求めることも可能である。
【0107】
非特許文献1に記載されているような従来のプレノプティックカメラは、設定した距離にピントを合せた画像は再構成できるが、画像の対象物の距離情報を求めることはできなかった。これに対し、本発明では、距離情報を算出することができる。
【0108】
また、特許文献1のようにステージ等で対象物の高さを変化させて、オートフォーカシングを行った後、複数枚の画像を取得し、それらの輝度情報に基づいて、高さ情報を求める方法に対して、本発明の方法は、カメラレンズのフォーカシング機構やステージなどの移動機構が不要となるため、小型かつ低コストである。
【0109】
しかも一度の撮像操作で取得した画像データから距離データを算出できるため、カメラや対象物の複数回の移動時間や撮影時間または移動に伴う各画像のマッチング操作などの時間が不要となり、大幅な測定時間短縮も可能となる。1つの取得画像から複数の再構成画像を生成する操作については、シリアルに処理する必要はなくパラレルに合成できるため、複数回の撮影時間が省略でき、高速測定に有利である。
【0110】
さらに、本光学系は、撮像素子のごく近傍にマイクロレンズアレイを組み込む構成なので、従来の画像センサカメラとほぼ同サイズであるため、広くFA用途としてロボットなどの視覚センサに用いられている2次元画像センサカメラとほぼ同じ外径サイズに収まるため、従来カメラとの互換性(置換え)が高い。
【0111】
さらに、マイクロレンズ間やマイクロレンズ周辺の非レンズ部分の画像情報をマスク処理して仮想面での再構成像を生成する事により、高精度なマイクロレンズアレイを用いなくても、精度よく距離検出する事ができる。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等な意味および範囲内でのすべての変更点が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態に係る距離情報検出装置の概略構成図である。
【図2】画像センサカメラ1の光学系を示す図である。
【図3】対象物14が近点位置Bまたは遠点位置Cにある場合の集光の様子を示す図である。
【図4】マイクロレンズアレイ12上の入射光15の形状を示す図である。
【図5】撮像素子アレイ13上の入射光16の形状を示す図である。
【図6】対象物14の撮影像のデータを変換して得た再構成画像を示す図である。
【図7】矢印形状の対象物14が近点側Bにある場合の集光の様子を示す図である。
【図8】図7中に示される仮想面で取得される画像を示す図である。
【図9】図8中に枠で囲った部分を拡大した画像を示す図である。
【図10】距離情報の取得の各工程で生成される画像データについて説明するための図である。
【図11】図9に示す画像に対し平均化処理を行った場合の画素群の輝度分布を示す図である。
【図12】差分値分布の近似曲線から代表値を求める方法を説明するための図である。
【図13】被写体を説明する図である。
【図14】図13に示す被写体の撮像画像および再構成画像を示す図である。
【図15】マスク部分を説明する図である。
【図16】マスク画像およびマスク画像の再構成画像を示す図である。
【図17】本実施の形態に係る距離測定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】共焦点顕微鏡の原理を用いた高さ情報測定装置の構成を示す図である。
【図19】共焦点顕微鏡の原理を用いた高さ情報測定装置による試料の高さ情報の検出アルゴリズムを説明する図である。
【符号の説明】
【0114】
1 画像センサカメラ、2 画像キャプチャボード、3 メモリ、4 画像処理部、4a 再構成部、4b 輝度情報算出部、4c 距離情報算出部、5 表示モニタ、11 撮像レンズ、12 マイクロレンズアレイ、13 撮像素子アレイ、14 対象物、15 マイクロレンズアレイ12上の入射光、16 撮像素子アレイ13上の入射光。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物までの距離を測定するための距離測定装置であって、
前記対象物からの物体光を撮像するカメラを備え、
前記カメラは、
前記物体光を集光する撮像レンズと、
前記撮像レンズを通過した前記物体光が入射する複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、
前記マイクロレンズアレイを通過した前記物体光を検出し、画像データに変換する撮像デバイスとを含み、
前記撮像デバイスは、それぞれが前記マイクロレンズアレイを通過した前記物体光を検出し、画像信号に変換する複数の撮像素子を有し、
前記複数の撮像素子は、それぞれに1つの前記マイクロレンズを透過した前記物体光が入射する複数の素子群に分割されており、
前記マイクロレンズアレイの非レンズ部を透過した光が入射する外縁部の前記撮像素子に対応する画素データの画素値を所定の値に変換するマスク手段と、
前記マスク手段により処理された前記画像データに含まれる複数の前記画素データを、各前記素子群における前記物体光を検出した前記撮像素子の位置により定まる前記物体光の前記マイクロレンズへの入射方向に基づいて並び替えて、前記撮像デバイスが複数の仮想位置の各々に位置する場合に得られるべき再構成画像を生成する再構成手段と、
前記複数の再構成画像に共通の領域において、前記複数の再構成画像の各々について、各画素と前記各画素近傍の画素との間の輝度の差分値を算出する差分値算出手段と、
前記共通の領域に含まれる各画素位置に対して、前記差分値が最大である前記画素を有する前記再構成画像に対応する前記仮想位置を特定し、前記カメラの光学系のパラメータに基づき前記特定された前記仮想位置を変換し前記距離を算出する距離算出手段とを備える、距離測定装置。
【請求項2】
前記差分値算出手段は、
各素子群に対応する前記画像データの領域に含まれる複数の前記画素の画素値に基づいて一様輝度を算出し、各前記領域に含まれる複数の前記画素を前記一様輝度を有する画素に変換する平均化手段をさらに含み、
前記一様輝度を有する画素に基づき前記差分値を算出する、請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記平均化手段は、各前記領域に含まれる前記画素のうち、前記外縁部の前記画素を除いた前記画素の画素値に基づいて前記一様輝度を算出する、請求項2に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記平均化手段は、各前記領域に含まれる前記画素のうち、前記所定の値を持つ画素を除いた前記画素の画素値に基づいて前記一様輝度を算出する、請求項3に記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記所定の値は、前記画素値の取りうる最小値である、請求項1から4のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項6】
前記所定の値は、前記画素値の取りうる最大値である、請求項1から4のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項7】
前記マスク手段は、前記画像データの所定の領域に含まれる画素値の平均値が所定の閾値以上であるとき、前記所定の値を前記画像信号の取りうる最小値に設定し、前記平均値が前記所定の閾値未満であるとき、前記所定の値を前記画像信号の取りうる最大値に設定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項8】
前記マスク手段は、前記画像データから前記外縁部の前記画素データを削除し、
前記再構成手段は、前記外縁部の前記画素データが削除された前記画像データに含まれる複数の前記画素データを並び替えて、前記再構成画像を生成する、請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項9】
対象物からの物体光を撮像するカメラ対象物で前記対象物までの距離を測定するための距離測定方法であって、
前記カメラは、
前記物体光を集光する撮像レンズと、
前記撮像レンズを通過した前記物体光が入射する複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、
前記マイクロレンズアレイを通過した前記物体光を検出し、画像データに変換する撮像デバイスとを含み、
前記撮像デバイスは、それぞれが前記マイクロレンズアレイを通過した前記物体光を検出し、画像信号に変換する複数の撮像素子を有し、
前記複数の撮像素子は、それぞれに1つの前記マイクロレンズを透過した前記物体光が入射する複数の素子群に分割されており、
前記マイクロレンズアレイの非レンズ部を透過した光が入射する外縁部の前記撮像素子に対応する画素データの画素値を所定の値に変換するステップと、
前記外縁部の前記撮像素子に対応する画素データの画素値を前記所定の値に変換された前記画像データに含まれる複数の前記画素データを、各前記素子群における前記物体光を検出した前記撮像素子の位置により定まる前記物体光の前記マイクロレンズへの入射方向に基づいて並び替えて、前記撮像デバイスが複数の仮想位置の各々に位置する場合に得られるべき再構成画像を生成するステップと、
前記複数の再構成画像に共通の領域において、前記複数の再構成画像の各々について、各画素と前記各画素近傍の画素との間の輝度の差分値を算出するステップと、
前記共通の領域に含まれる各画素位置に対して、前記差分値が最大である前記画素を有する前記再構成画像に対応する前記仮想位置を特定し、前記カメラの光学系のパラメータに基づき前記特定された前記仮想位置を変換し前記距離を算出するステップとを備える、距離測定方法。
【請求項1】
対象物までの距離を測定するための距離測定装置であって、
前記対象物からの物体光を撮像するカメラを備え、
前記カメラは、
前記物体光を集光する撮像レンズと、
前記撮像レンズを通過した前記物体光が入射する複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、
前記マイクロレンズアレイを通過した前記物体光を検出し、画像データに変換する撮像デバイスとを含み、
前記撮像デバイスは、それぞれが前記マイクロレンズアレイを通過した前記物体光を検出し、画像信号に変換する複数の撮像素子を有し、
前記複数の撮像素子は、それぞれに1つの前記マイクロレンズを透過した前記物体光が入射する複数の素子群に分割されており、
前記マイクロレンズアレイの非レンズ部を透過した光が入射する外縁部の前記撮像素子に対応する画素データの画素値を所定の値に変換するマスク手段と、
前記マスク手段により処理された前記画像データに含まれる複数の前記画素データを、各前記素子群における前記物体光を検出した前記撮像素子の位置により定まる前記物体光の前記マイクロレンズへの入射方向に基づいて並び替えて、前記撮像デバイスが複数の仮想位置の各々に位置する場合に得られるべき再構成画像を生成する再構成手段と、
前記複数の再構成画像に共通の領域において、前記複数の再構成画像の各々について、各画素と前記各画素近傍の画素との間の輝度の差分値を算出する差分値算出手段と、
前記共通の領域に含まれる各画素位置に対して、前記差分値が最大である前記画素を有する前記再構成画像に対応する前記仮想位置を特定し、前記カメラの光学系のパラメータに基づき前記特定された前記仮想位置を変換し前記距離を算出する距離算出手段とを備える、距離測定装置。
【請求項2】
前記差分値算出手段は、
各素子群に対応する前記画像データの領域に含まれる複数の前記画素の画素値に基づいて一様輝度を算出し、各前記領域に含まれる複数の前記画素を前記一様輝度を有する画素に変換する平均化手段をさらに含み、
前記一様輝度を有する画素に基づき前記差分値を算出する、請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記平均化手段は、各前記領域に含まれる前記画素のうち、前記外縁部の前記画素を除いた前記画素の画素値に基づいて前記一様輝度を算出する、請求項2に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記平均化手段は、各前記領域に含まれる前記画素のうち、前記所定の値を持つ画素を除いた前記画素の画素値に基づいて前記一様輝度を算出する、請求項3に記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記所定の値は、前記画素値の取りうる最小値である、請求項1から4のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項6】
前記所定の値は、前記画素値の取りうる最大値である、請求項1から4のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項7】
前記マスク手段は、前記画像データの所定の領域に含まれる画素値の平均値が所定の閾値以上であるとき、前記所定の値を前記画像信号の取りうる最小値に設定し、前記平均値が前記所定の閾値未満であるとき、前記所定の値を前記画像信号の取りうる最大値に設定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項8】
前記マスク手段は、前記画像データから前記外縁部の前記画素データを削除し、
前記再構成手段は、前記外縁部の前記画素データが削除された前記画像データに含まれる複数の前記画素データを並び替えて、前記再構成画像を生成する、請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項9】
対象物からの物体光を撮像するカメラ対象物で前記対象物までの距離を測定するための距離測定方法であって、
前記カメラは、
前記物体光を集光する撮像レンズと、
前記撮像レンズを通過した前記物体光が入射する複数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、
前記マイクロレンズアレイを通過した前記物体光を検出し、画像データに変換する撮像デバイスとを含み、
前記撮像デバイスは、それぞれが前記マイクロレンズアレイを通過した前記物体光を検出し、画像信号に変換する複数の撮像素子を有し、
前記複数の撮像素子は、それぞれに1つの前記マイクロレンズを透過した前記物体光が入射する複数の素子群に分割されており、
前記マイクロレンズアレイの非レンズ部を透過した光が入射する外縁部の前記撮像素子に対応する画素データの画素値を所定の値に変換するステップと、
前記外縁部の前記撮像素子に対応する画素データの画素値を前記所定の値に変換された前記画像データに含まれる複数の前記画素データを、各前記素子群における前記物体光を検出した前記撮像素子の位置により定まる前記物体光の前記マイクロレンズへの入射方向に基づいて並び替えて、前記撮像デバイスが複数の仮想位置の各々に位置する場合に得られるべき再構成画像を生成するステップと、
前記複数の再構成画像に共通の領域において、前記複数の再構成画像の各々について、各画素と前記各画素近傍の画素との間の輝度の差分値を算出するステップと、
前記共通の領域に含まれる各画素位置に対して、前記差分値が最大である前記画素を有する前記再構成画像に対応する前記仮想位置を特定し、前記カメラの光学系のパラメータに基づき前記特定された前記仮想位置を変換し前記距離を算出するステップとを備える、距離測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図13】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図8】
【図11】
【図12】
【図14】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図13】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図8】
【図11】
【図12】
【図14】
【図16】
【公開番号】特開2009−229125(P2009−229125A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71969(P2008−71969)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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