説明

距離測定装置

【課題】トランスポンダの応答効率を容易及び正確に算出し、トランスポンダの監視を正確に行う。
【解決手段】質問信号に応答する応答信号と、局識別符号を出力するトランスポンダ12と、トランスポンダ12に制御信号を出力し、局識別信号送信中信号を生成する制御部15と、質問信号を出力するトランスポンダ検査手段131、応答信号を入力するとトランスポンダ12の異常を判定する動作判定手段137及び制御部15から局識別符号送信中信号を入力する期間、応答効率算出停止信号を出力する局識別符号判定手段138を有する監視処理部13と、航空機から受信した質問信号をトランスポンダ12に出力するとともにこの質問信号に対する応答信号を送信し、監視処理部13から入力する質問信号をトランスポンダ12に出力するとともにこの質問信号に対する応答信号を出力し、局識別符号を航空機及び監視処理部に出力するスイッチ回路14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上局に設置され、地上との距離を測定する航空機から受信する信号に対して応答信号を送信する距離測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機と地上局間の距離を測定するため、距離測定装置(DME:Distance Measuring Equipment)を利用することがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3に示すように、距離測定装置1aは、地上局に設置される装置であり、航空機2に設置されるインタロゲータ20から送信される質問信号を受信すると、受信した質問信号に応答する応答信号を航空機2のインタロゲータ20に送信する。航空機2では、この信号の送受信に要する時間と信号の送信速度を利用して、航空機2と地上の基準位置(例えば、距離測定装置1aの設置位置)との距離を測定することができる。
【0004】
具体的には、距離測定装置1aは、図4に示すように、信号の送受信に利用されるアンテナ11と、複数のトランスポンダ12(12a,12b)と、複数の監視処理部13(13a,13b)と、受信する信号の出力や入力する信号の送信または出力を制御するスイッチ回路14と、トランスポンダ12及び監視処理部13を制御する制御部15を備えている。
【0005】
トランスポンダ12は、航空機2のインタロゲータ20から送信された質問信号を受信する受信手段121と、この質問信号に応答する応答信号を生成する応答手段122と、応答を送信する期間を切り替える切替手段123と、応答手段122で生成された応答信号や制御部15から入力する局識別符号を送信する送信手段124とを備えている。
【0006】
局識別符号は、距離測定装置1aの特定に利用される信号であって、トランスポンダ12は、定期的(例えば、30秒または40秒毎)に局識別符号を送信する。そのため、距離測定装置1aでは、定期的に「局識別符号送信期間」を設定し、トランスポンダ12は、この局識別符号送信期間で局識別符号を送信する。
【0007】
また、トランスポンダ12では、局識別符号送信期間以外の期間を「応答信号送信期間」と設定し、この応答信号送信期間に質問信号を受信した場合には、受信した質問信号に応答する応答信号を送信する。さらに、距離測定装置1aは、応答信号送信期間であって応答信号を送信していないタイミングでスキッタパルスを送信している。したがって、トランスポンダ12は、仮に、局識別符号送信期間に質問信号を受信した場合には、この質問信号に応答する応答信号を送信しない。
【0008】
監視処理部13は、切替手段133に従って擬似質問信号を生成するトランスポンダ検査手段131と、切替手段133に従ってセルフ検査信号を生成するセルフ検査手段132と、擬似質問信号をスイッチ回路14及び選択手段135に出力し、セルフ検査信号を選択手段135に出力する出力手段134と、切替手段131、切替手段133に従ってスイッチ回路14から入力する信号から必要な信号を選択して供給手段136に出力する選択手段135と、応答信号及びセルフ検査信号を動作判定手段137に出力し、局識別符号を局識別符号判定手段138に出力する供給手段136と、トランスポンダ12の応答の動作及び監視処理部13の監視の動作を判定する動作判定手段137と、トランスポンダ12による局識別符号送信の動作を判定する局識別符号判定手段138とを備えている。
【0009】
この監視処理部13は、航空機が送信する質問信号と同一の形式の信号である擬似質問信号を生成し、トランスポンダ12に送信する。監視処理部13がトランスポンダ12に送信する擬似質問信号は、航空機2のインタロゲータ20が送信する通常の質問信号と同様の形式である。したがって、トランスポンダ12は、インタロゲータ20から受信した通常の質問信号と、監視処理部13から受信した擬似質問信号とを区別せず、監視処理部13から受信する擬似質問信号に対しても通常の質問信号を受信した場合と同様に応答信号を送信する。
【0010】
動作判定手段137は、擬似質問信号に応答してトランスポンダ12から受信する応答信号の応答効率を算出し、トランスポンダ12が正常に動作しているか否かを判定する。具体的には、動作判定手段137は、所定期間に送信した質問信号の送信回数に対し応答信号の受信回数の割合を応答効率として求め、求めた応答効率がトランスポンダ12の異常を判定するために定めて所定値より低い場合、トランスポンダ12に異常が発生している可能性があると判定し、制御部15に異常を検出した信号を出力する。また、動作判定手段137は、セルフ検査信号の入力を利用して、監視処理部13が正常に動作しているか否かを判定し、異常を検出した場合には制御部15に出力する。
【0011】
局識別符号判定手段138は、入力する局識別符号の受信タイミングや信号の内容等を検出し、トランスポンダ12が正確に局識別符号を送信しているか否か判定する。
【0012】
上述したように、トランスポンダ12は、応答信号送信期間に質問信号又は擬似質問信号を受信した場合には応答信号を送信するが、局識別符号送信期間に質問信号又は擬似質問信号を受信した場合には応答信号を送信しない。したがって、監視処理部13が擬似質問信号を送信したタイミングが局識別符号送信期間であるとき、監視処理部13は、この擬似質問信号に対する応答信号を受信できないため、動作判定手段137で算出する応答効率が低下しする問題があった。このように、局識別符号送信期間に擬似質問信号が送信されることによって応答効率が低下すると、トランスポンダ12が正常であっても、トランスポンダ12を異常と誤判定することもあり得る。
【0013】
局識別符号送信期間に擬似質問信号を送信して応答効率が低下することを防止するため、図5に示すように、局識別符号判定手段138は、局識別符号の入力を検出すると、動作判定手段137に応答効率の算出を停止させる応答効率算出停止信号を出力していた。動作判定手段137は、この応答効率算出停止信号を入力すると、局識別符号受信通知信号を受信している期間、応答効率の算出を停止して応答効率の低下を防止していた。
【0014】
しかしながら、図5に示すように、応答効率算出停止信号の出力は、実際のトランスポンダ12の局識別符号送信期間の開始から遅延することがある。また、局識別符号判定手段138が局識別符号を検出できない場合や、応答信号を局識別符号と誤検出することもあり得る。したがって、応答効率算出停止信号を利用した場合であっても、局識別符号送信期間に応答効率の算出が継続され、正確な応答効率を求めることができないことがあった。
【0015】
局識別符号送信期間に応答効率が算出されることで、トランスポンダ12が異常と判定されることを防止するためには、動作判定手段137は、複数回に渡って算出した応答効率を利用して移動平均を求め、移動平均で求めた応答効率を利用してトランスポンダ12の異常を判定する等の対応がされている。しかしながら、応答効率の移動平均を求める場合、動作判定手段137の回路規模が大きくなり、構成も複雑になるとともに、応答効率の算出までに要する時間が長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2001−249172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、従来の距離測定装置1aでは、実際の局識別符号送信期間の開始と応答効率算出停止信号の出力との時間差、局識別符号の検出もれや局識別符号の誤検出等による応答効率の低下で、実際は正常に動作しているトランスポンダが異常と判定される問題があった。
【0018】
また、このような応答効率の低下を防止するために移動平均を利用して応答効率を求めようとする場合、動作判定手段137の回路規模が大きくなり、構成も複雑になるとともに、応答効率の算出に時間が必要になる問題があった。
【0019】
従って本発明は、トランスポンダの応答効率を容易及び正確に算出し、トランスポンダの監視を正確に行う距離測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の特徴に係る距離測定装置は、地上に設置され、航空機から受信する所定の形式の質問信号に応答して航空機において地上の基準位置との距離を測定するために利用される応答信号を送信する距離測定装置であって、受信した所定形式の質問信号に応答する応答信号を生成して出力するとともに、定期的に自装置を識別するための局識別符号を出力するトランスポンダと、定期的に局識別符号の送信を制御する制御信号をトランスポンダに出力するとともに、局識別信号を送信中に送信中であることを表わす局識別信号送信中信号を生成する制御部と、トランスポンダの応答信号の送信動作を検査するために定期的に航空機が送信する質問信号と同一形式の擬似的な質問信号を出力するトランスポンダ検査手段、当該トランスポンダ検査手段が出力した質問信号に応答してトランスポンダが出力した応答信号を入力すると、質問信号の送信回数に対する応答信号の受信回数の割合である応答効率を算出してトランスポンダの異常の有無を判定する動作判定手段及び制御部から局識別符号送信中信号を入力する期間は、応答効率の算出を一時停止させる応答効率算出停止信号を動作判定手段に出力する局識別符号判定手段を有する監視処理部と、航空機から受信した質問信号をトランスポンダに出力するとともに航空機から受信した質問信号に応答してトランスポンダが生成した応答信号を航空機に送信し、監視処理部から入力する質問信号をトランスポンダに出力するとともに監視処理部から入力した質問信号に応答してトランスポンダが生成した応答信号を監視処理部に出力し、トランスポンダが出力する局識別符号を航空機に送信するとともに監視処理部に出力するスイッチ回路とを備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トランスポンダの応答効率を容易及び正確に算出し、トランスポンダの監視を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の最良の実施形態に係る距離測定装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】図1の距離測定装置における処理期間について説明する図である。
【図3】一般的な航空機と距離測定装置との関係について説明する概略図である。
【図4】従来の距離測定装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図5】図4の距離測定装置における処理期間について説明する図である。
【0023】
ートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を用いて本発明の最良の実施形態に係る距離測定装置について説明する。本発明の最良の実施形態に係る距離測定装置も、図3を用いて説明した従来の距離測定装置1aと同様に地上局に設置され、航空機2からの信号に応答して信号を送信する。以下の説明では、従来と同一の構成には、同一の符号を付して説明する。
【0025】
図1に示すように、本発明の最良の実施形態に係る距離測定装置1は、アンテナ11と、アンテナ11を介して信号の送受信を実行するトランスポンダ12(12a,12b)と、トランスポンダ12の動作を監視(モニタ)する監視処理部13(13a,13b)と、アンテナ11、トランスポンダ12及び監視処理部13間の信号の入出力を切り替えるスイッチ回路14と、トランスポンダ12及び監視処理部13の動作を制御する制御部15とを備えている。
【0026】
距離測定装置1は、第1トランスポンダ12a及び第2トランスポンダ12bの2つのトランスポンダを備えているが、一方のトランスポンダのみが運転されており、他方のトランスポンダは待機状態である。図1に示す例では、第1トランスポンダ12aが運転状態(運転中)であり、第2トランスポンダ12bは待機状態(待機中)である。また、距離測定装置1は、第1監視処理部13a及び第2監視処理部13bの2つの監視処理部を備えているが、両方の監視処理部が運転されていても、一方の監視処理部のみが運転されていてもよい。距離測定装置1では、監視処理部13でトランスポンダ12及び監視処理部13の動作状態を監視し、この監視結果に基づいて制御部15がトランスポンダ12や監視処理部13を制御する。
【0027】
第1トランスポンダ12aは、図1に示すように、信号を受信する受信手段121と、受信信号を解析して応答信号を生成する応答手段122と、応答信号又は局識別符号のいずれの信号を送信するかを切り替える切替手段123と、切替手段123から入力する信号(応答信号、局識別符号)やスキッタパルスを送信する124とを有している。
【0028】
具体的には、第1トランスポンダ12aが制御部15によって運転状態に設定されているとき、受信手段121は、アンテナ11で受信した受信信号を、スイッチ回路14を介して受信し、応答手段122に出力する。
【0029】
応答手段122は、受信手段121から入力した受信信号を解析して航空機2からDME1に送信された質問信号であるか否かを判定する。受信信号がDME1に送信された質問信号であると判定した場合、応答手段122は、質問信号に応答する送信信号を生成し、切替手段123に出力する。
【0030】
切替手段123は、局識別符号送信期間に制御部15から入力する局識別符号を送信手段124に出力する。また、切替手段123は、応答信号送信期間に応答手段122から応答信号を入力したとき、入力した応答信号を送信手段124に出力する。局識別符号送信期間は、切替手段123が制御部15の局識別符号送信制御手段152から局識別符号を入力する期間である。また、応答信号送信期間は、局識別符号送信期間以外の期間である。
【0031】
送信手段124は、応答手段122から入力した局識別符号又は応答信号を、スイッチ回路14及びアンテナ11を介して送信する。また、送信手段124は、局識別符号又は応答信号を入力しないとき、定周期でスキッタパルスを送信する。
【0032】
なお、第1トランスポンダ12aは、運転中にスイッチ回路14から入力する受信信号に応答する処理を実行するが、待機中には受信信号に応答することはない。
【0033】
第2トランスポンダ12bは、第1トランスポンダ12aと同様に、受信手段121、応答手段122、切替手段123及び送信手段124を有し、第1トランスポンダ12aと同一の処理を実行するが、ここでは図示を用いた説明を省略する。
【0034】
距離測定装置1では、制御部15の制御にしたがって、第1トランスポンダ12a又は第2トランスポンダ12bの一方が運転状態となる。すなわち、第1トランスポンダ12aが運転中には第2トランスポンダ12bが待機中となり、第2トランスポンダ12bが運転中には第1トランスポンダ12aが待機中となる。
【0035】
第1監視処理部13aは、図1に示すように、トランスポンダ12の検査用の信号として擬似質問信号を生成するトランスポンダ検査手段131と、第1監視処理部13a検査用のセルフ検査信号を生成するセルフ検査手段132と、トランスポンダ検査手段131及びセルフ検査手段132の動作を切り替える切替手段133と、擬似質問信号とセルフ検査信号を出力する出力手段134と、入力する信号のうち、選択した信号を供給手段手段136に出力する選択手段135と、応答信号及びセルフ検査信号を動作判定手段137に供給し、局識別符号を局識別符号判定手段138に供給する供給手段136と、応答信号に基づいてトランスポンダ12の動作状態を判定するとともに、セルフ検査信号に基づいて第1監視処理部13aの動作状態を判定する動作判定手段137と、局識別符号に基づいて、トランスポンダ12の局識別符号の送信状態を判定する局識別符号判定手段138とを有している。
【0036】
トランスポンダ検査手段131は、切替手段133からの制御に従い、擬似質問信号を生成して出力手段134に出力する。このトランスポンダ検査手段131が生成する「擬似質問信号」は、航空機2のインタロゲータ20が距離測定の為にDME1に送信する信号と同一形式の信号である。
【0037】
セルフ検査手段132は、切替手段133からの制御に従い、セルフ検査信号を生成して出力手段134に出力する。
【0038】
切替手段133は、予め定められるタイミングに従って、トランスポンダ検査手段131にトランスポンダ12の動作を検査するための制御信号を送信させる制御信号を出力し、セルフ検査手段132に第1監視処理部13aの動作を検査するための制御信号を出力するとともに、選択手段135及び動作判定手段137にも同一の制御信号を出力する。
【0039】
出力手段134は、スイッチ回路14及び選択手段135に入力した擬似質問信号及びセルフ検査信号を出力する。
【0040】
選択手段135は、切替手段133からトランスポンダ12の動作を検査する制御信号を入力すると、スイッチ回路14から入力する応答信号及び局識別符号を供給手段136に出力し、出力手段134から入力する擬似質問信号及びセルフ検査信号は破棄する。
【0041】
また、選択手段135は、切替手段133から第1監視処理部13aの動作を検査する制御信号を入力すると、出力手段134から入力するセルフ検査信号を供給手段136に出力し、スイッチ回路14から入力する擬似質問信号及び出力手段134から入力する擬似質問信号を破棄する。
【0042】
供給手段136は、応答信号及びセルフ検査信号を動作判定手段137に供給し、局識別符号を局識別符号判定手段138に供給する。
【0043】
動作判定手段137は、“供給手段136からの応答信号の入力の有無”、“供給手段136から入力した応答信号の波形”及び“トランスポンダ検査手段131の擬似質問信号の出力時刻から動作判定手段137における応答信号の入力時刻までの時間”等に基づいて、運転中のトランスポンダ12が正常であるか否かを判定し、判定結果を制御部15に出力する。このとき、動作判定手段137は、トランスポンダ検査手段131からの擬似質問信号の出力回数に対するトランスポンダ12からの応答信号の出力回数の割合を応答効率として算出する。ここで算出された応答効率が異常として設定した所定の値以下であるとき、トランスポンダ検査手段131は、トランスポンダ12が異常であるとの判定結果を制御部15に出力する。
【0044】
また、動作判定手段137は、“供給手段136からのセルフ検査信号の入力の有無”及び“セルフ検査手段132のセルフ検査信号の出力時刻から動作判定手段137における応答信号の入力時刻までの時間”等に基づいて、第1監視処理部13aが正常であるか否かを判定し、判定結果を制御部15に出力する。
【0045】
局識別符号判定手段138は、“供給手段136からの局識別符号の入力の有無”、“局識別符号の入力の間隔”及び“入力する局識別符号の内容”等に基づいて、トランスポンダ12が局識別符号を正確に送信しているか否かを判定し、判定結果を制御部15に出力する。
【0046】
また、局識別符号判定手段138は、局識別符号送信期間には、制御部15の局識別符号送信制御手段152から局識別符号送信中信号を入力すると、局識別符号送信中信号を入力中、応答効率の算出を停止させる応答効率算出停止信号を動作判定手段137に出力する。一方、局識別符号判定手段138は、局識別符号送信制御手段152から局識別符号送信中信号を入力しても供給手段136から局識別符号が供給されないとき、トランスポンダ12の局識別符号の送信に異常が発生しているとする判定結果を制御部15に出力する。
【0047】
第2監視処理部13bは、第1監視処理部13aと同様に、トランスポンダ検査手段131、セルフ検査手段132、切替手段133、出力手段134、選択手段135、供給手段136、動作判定手段137及び局識別符号判定手段138を有し、第1監視処理部13aと同一の処理を実行するが、ここでは図示を用いた説明を省略する。
【0048】
なお、監視処理部13a,13bは、制御部15によって運転状態に設定されている場合に監視処理を実行し、待機状態に設定されているときには監視処理を実行することはない。監視処理部13a,13bの両方が運転状態であっても、一方のみが運転状態であり、他方が待機状態であってもよいが、両方の監視処理部13a,13bが運転状態の方が、トランスポンダ12の監視の精度は高くなる。
【0049】
監視処理部13がトランスポンダ12に出力する擬似質問信号は、航空機2のインタロゲータ20が送信する信号と同一の形式である。したがって、運転状態の第1トランスポンダ12aは、擬似質問信号を入力すると、インタロゲータ20から通常の信号を受信した場合と同様に処理する。すなわち、第1トランスポンダ12aの応答手段122は、擬似質問信号を入力すると、入力した擬似質問信号に応答する応答信号を生成する。また、応答手段122に生成された応答信号は、切替手段123及び送信手段124を介してスイッチ回路14に出力される。
【0050】
スイッチ回路14は、アンテナ11が受信した信号を入力すると、入力した信号を受信手段121に出力する。また、スイッチ回路14は、送信手段124から通常の質問信号に応答する応答信号を入力すると、入力した応答信号をアンテナ11を介して航空機2に送信し、擬似質問信号に応答する応答信号を入力すると、入力した応答信号を選択手段135に出力する。さらに、スイッチ回路14は、出力手段134から擬似質問信号を入力するとトランスポンダ12の受信手段121に出力し、セルフ検査信号を入力すると破棄する。
【0051】
制御部15は、局識別符号151を生成する局識別符号生成手段151と、局識別符号生成手段151又は外部のVOR3から入力する局識別符号を切替手段123に出力するとともに、局識別符号を出力中に局識別符号送信中信号を送信する局識別符号送信制御手段152と、動作判定手段137から入力する判定結果に基づいて、トランスポンダ12を制御するトランスポンダ切替手段153と、動作判定手段137の判定結果やトランスポンダ切替手段153の制御に基づいて、トランスポンダ12や監視処理部13の異常の状態をオペレータ端末4に通知する異常通知手段154と、局識別符号送信制御手段153で局識別符号生成手段151で生成した局識別符号を送信するか、VOR3で生成した局識別符号を送信するかを設定する設定手段155とを有している。
【0052】
局識別符号生成手段151は、設定手段155の設定に従って、距離測定装置1を識別する局識別符号を生成し、局識別符号送信制御手段152に出力する。局識別符号送信期間は10秒であるため、局識別符号生成手段151が生成する局識別符号は、10秒以内で送信可能な長さである。
【0053】
局識別符号送信制御手段152は、局識別符号送信期間に局識別符号生成手段151又はVOR3から入力した局識別符号をトランスポンダ12に出力する。また、局識別符号送信制御手段152は、図2に示すように、トランスポンダ12に局識別符号を出力する局識別符号送信期間、局識別符号送信中信号を生成して監視処理部13に出力する。監視処理部13の局識別符号判定手段138は、局識別符号送信制御手段152から局識別符号送信中信号を入力中、動作判定手段137に応答効率算出停止信号を出力して応答効率の算出を停止させる。
【0054】
具体的には、局識別符号送信期間は、約9〜10秒間であって、30秒毎又は40秒毎に開始する。また、応答信号送信期間は、約20〜30秒間であって、局識別符号送信期間以外の期間である。この局識別符号送信期間及び応答信号送信期間は、局識別符号の長さによって異なる。例えば、送信時間が9秒の局識別符号の場合、局識別符号送信期間は9秒であり、局識別符号送信期間終了後から21秒又は31秒間が応答信号送信期間となる。
【0055】
ここで、制御部15は、1つの監視処理部のみが運転状態であるときには1つの監視処理部の判定結果からトランスポンダ及び監視処理部の状態を判断及び制御し、複数の監視処理部が運転状態であるときには、複数の監視処理部の判定結果を合わせてトランスポンダ及び監視処理部の状態を判断及び制御する。
【0056】
上述したように、本発明の最良の実施形態に係る距離測定装置1では、制御部15から監視処理部13に局識別信号送信中信号を出力し、監視処理部13ではこの局識別信号送信中信号を利用して応答効率の算出を停止している。したがって、監視処理部13における局識別信号の検出に応じて応答効率の算出を停止する従来の方法と比較して、局識別信号を検出する手段が必須でなく、回路規模及び構成を簡易化することができるとともに、正確な応答効率を求めることができる。
【0057】
なお、図1で上述したDME1では、それぞれ2台のトランスポンダ12a,12b及び監視処理部13a,13bが表わされているが、複数台存在し制御部15によって各動作が切り替え可能なトランスポンダ及び監視処理部が備えられていれば、その数は限定されない。
【符号の説明】
【0058】
1…距離測定装置(DME)
11…アンテナ
12(12a,12b)…トランスポンダ
121…受信手段
122…応答手段
123…切替手段
124…送信手段
13(13a,13b)…監視処理部
131…トランスポンダ検査手段
132…セルフ検査手段
133…切替手段
134…出力手段
135…選択手段
136…供給手段手段
137…動作判定手段
138…局識別符号判定手段
14…スイッチ回路
15…制御部
151…局識別符号生成手段
152…局識別符号送信制御手段
153…トランスポンダ切替手段
154…異常通知手段
155…設定手段
2…航空機
20…インタロゲータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設置され、航空機から受信する所定の形式の質問信号に応答して前記航空機において地上の基準位置との距離を測定するために利用される応答信号を送信する距離測定装置であって、
受信した所定形式の質問信号に応答する応答信号を生成して出力するとともに、定期的に自装置を識別するための局識別符号を出力するトランスポンダと、
定期的に局識別符号の送信を制御する制御信号を前記トランスポンダに出力するとともに、局識別信号を送信中に送信中であることを表わす局識別信号送信中信号を生成する制御部と、
前記トランスポンダの応答信号の送信動作を検査するために定期的に航空機が送信する質問信号と同一形式の擬似的な質問信号を出力するトランスポンダ検査手段、当該トランスポンダ検査手段が出力した質問信号に応答して前記トランスポンダが出力した応答信号を入力すると、質問信号の送信回数に対する応答信号の受信回数の割合である応答効率を算出して前記トランスポンダの異常の有無を判定する動作判定手段及び前記制御部から局識別符号送信中信号を入力する期間は、応答効率の算出を一時停止させる応答効率算出停止信号を前記動作判定手段に出力する局識別符号判定手段を有する監視処理部と、
航空機から受信した質問信号を前記トランスポンダに出力するとともに前記航空機から受信した質問信号に応答して前記トランスポンダが生成した応答信号を前記航空機に送信し、前記監視処理部から入力する前記質問信号を前記トランスポンダに出力するとともに前記監視処理部から入力した質問信号に応答して前記トランスポンダが生成した応答信号を前記監視処理部に出力し、前記トランスポンダが出力する局識別符号を航空機に送信するとともに前記監視処理部に出力するスイッチ回路と、
を備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
前記動作判定手段は、前記応答効率停止信号を入力しない期間に算出した応答効率が所定値より低いとき、前記トランスポンダの応答信号の送信動作に異常を検出した判定結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記局識別符号判定手段は、前記制御部から局識別符号送信期間中信号を入力するタイミングで局識別符号を入力しないとき、前記トランスポンダの局識別符号の送信動作に異常を検出した判定結果を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記局識別符号判定手段は、前記制御部から局識別符号送信期間中信号を入力しないタイミングで局識別符号を入力したとき、前記トランスポンダの局識別符号の送信動作に異常を検出した判定結果を出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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