説明

路上通信システム及び交通信号制御機並びに車載装置

【課題】 車載装置に正確な信号情報を提供することができる路上通信システムを提供する。
【解決手段】 交通信号制御機1aは、現時点で表示している信号灯色(以下、作成時信号灯色という)と当該作成時信号灯色が開始してからの経過時間、各信号灯色の点灯時間に基づいて、作成時信号灯色及び将来に表示する予定の各信号灯色並びにこれらの継続時間に関する信号情報を作成する。そして、交差点Iに流入する各道路に設置された各路上装置2について、当該路上装置2に対して信号情報を送信してから当該路上装置2が車載装置3に対して当該信号情報を送信するまでに要する時間ΔT(以下、通信所要時間ΔTという)を算出する。さらに、信号情報を通信所要時間ΔTに基づいて補正し、路上装置2に送信する。路上装置2は、この信号情報を車載装置3に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上装置と車載装置とが連携してドライバの安全運転を支援するシステムに関し、特に、このシステムに不可欠な信号灯色及びその継続時間などの信号情報を提供する路上通信システム及びこの路上通信システムに用いられる交通信号制御機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、交差点内及びその近傍での車両による交通事故を防ぐために、交差点に設けられている交通信号機の信号灯色及び継続時間などの信号情報を車両に対して提供し、車両に搭載した車載装置がその信号情報に基づいて前記交差点の手前で停止すべきか通過すべきかを判断し、車両の速度制御を行う、又はドライバに対して減速を促したり注意を喚起したりする安全運転支援システムが提唱されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されている装置では、例えば、青を表示している交通信号機が赤になるまでの時間情報を、道路に設けた送信装置から車両へ送信し、車載装置側でこの時間情報とその際の走行速度とに基づいて演算を行い、交差点を安全に通過できる時間がないと判断した場合、つまり、交差点手前で車両は停止すべきと判断した場合、自動的にブレーキがかかり車両を減速、停止させる制御を行い、交差点手前で停止させている。
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全運転支援システムでは、信号情報における信号灯色とその継続時間の正確性が極めて重要である。しかしながら、通常、信号情報が交通信号機で作成されてから車載装置に到達するまでには所定の所要時間を要するので、交通信号機が信号情報を作成した時点では信号灯色とその継続時間が正確であっても、車載装置に信号情報が到達した時点では実際の継続時間は当該信号情報における継続時間よりも当該所要時間分だけ少なくなるという問題がある。
【0005】
そして、上記所要時間のために信号灯色とその継続時間の正確性が損なわれると、安全運転支援システムは適切な制御を行うことができない可能性がある。これを具体例を挙げて説明する。例えば、現在表示中の青信号が残り10秒となった時点で、交通信号機が信号灯色「青」と継続時間「10秒」の信号情報を作成して送信し、車載装置に到達するまでに1秒を要した(すなわち、所要時間が1秒)とすると、到達時点での青信号の継続時間は実際には9秒であるにもかかわらず、車載装置は受信した信号情報により継続時間を10秒と判断してしまう。ところが、この1秒のずれの間に、例えば時速90キロで走行する車両は、25mも走行してしまう。そうすると、実際には9秒後に信号灯色が青から黄に切り替わり、そのときの車両の位置は停止線手前であるため、車両はブレーキを作動させて停止するように制御すべきであるにもかかわらず、さらに1秒後に切り替わると誤って認識し、そのときの車両の位置をさらに25m進んだ停止線通過後であると判断し、車両は速度を維持するように制御してしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、車載装置に正確な信号情報を提供することができる路上通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の路上通信システムは、信号灯器を切り替える予定に関する情報を含む信号情報を作成する信号情報作成手段を有する交通信号制御機と、前記信号情報を車載装置に対して送信する路車間通信手段を有する路上通信装置とを含み、該交通信号制御機と該路上通信装置とが通信するように構成されている路上通信システムであって、前記信号情報作成手段は、前記信号情報の作成において、前記交通信号制御機から前記路上通信装置までの通信所要時間を用いる(請求項1)。
【0008】
本発明によれば、交通信号制御機は、該交通信号制御機から路上通信装置までの通信所要時間を考慮して、路上通信装置が信号情報を車載装置に送信する予定の時点において表示されている送信時信号灯色及び該送信時信号灯色の継続予定時間を含む信号情報を作成するため、車載装置がこの信号情報を受け取れば、その受け取った時点で実際に表示されている信号灯色及びその継続予定時間が信号情報の内容と一致する。従って、車載装置に正確な信号情報を提供することができる。
【0009】
なお、通信に用いる通信回線は有線であっても無線であっても良い。また、ここにいう通信には、通信回線を通じた情報のやりとりだけでなく、内部バスや共有メモリ等を通じた情報のやりとりも含まれる。
【0010】
また、前記信号情報は、前記路車間通信手段が前記信号情報を送信する予定の時点において表示されている送信時信号灯色と、該送信時信号灯色の継続予定時間を含み、前記信号情報作成手段は、前記信号情報を作成した時点において表示されている作成時信号灯色の該作成時点からの継続時間と、前記通信所要時間とに基づいて、前記送信時信号灯色及び前記継続予定時間を決定しても良い(請求項2)。
【0011】
こうすることにより、交通信号制御機は、信号情報を作成した時点において表示されている作成時信号灯色の該作成時点からの継続時間と、該交通信号制御機から路上通信装置までの通信所要時間とに基づいて、送信時信号灯色及び該送信時信号灯色の継続予定時間を含む信号情報を作成するため、車載装置がこの信号情報を受け取れば、その受け取った時点で実際に表示されている信号灯色及びその継続予定時間が信号情報の内容と一致する。従って、車載装置に正確な信号情報を提供することができる。
【0012】
また、前記交通信号制御機は、前記通信所要時間を算出する通信時間算出手段をさらに有し、前記通信時間算出手段は、前記通信所要時間の算出において、前記交通信号制御機から前記路上通信装置に至るまでの1又は複数の通信区間における通信速度、前記交通信号制御機から前記路上通信装置に至るまでに経由する1又は複数の経由装置における情報中継処理時間、及び前記信号情報の大きさを用いても良い(請求項3)。
【0013】
通信所要時間は、通信経路上において経由する装置の数や装置の処理時間、通信区間の通信速度等によって異なる。上記のようにすれば、これらを考慮して通信所要時間を算出することができるため、車載装置により正確な信号情報を提供することができる。
【0014】
また、前記交通信号制御機は、所定の大きさを有するダミー情報を作成して路上通信装置宛に送信するダミー情報送信手段と、前記通信所要時間を計測する通信時間計測手段とをさらに有し、前記路上通信装置は、前記ダミー情報を受信し、前記ダミー情報に対するダミー応答情報を作成して前記交通信号制御機宛に返信するダミー情報返信手段をさらに有し、前記通信時間計測手段は、前記通信所要時間の計測において、前記ダミー情報を送信後、前記ダミー応答情報を受信するまでの期間を用いても良い(請求項4)。
【0015】
このようにすれば、通信所要時間を直接計測することができるため、車載装置に提供する信号情報の正確性をより高めることができる。
【0016】
また、前記信号情報作成手段は、前記通信所要時間が前記継続時間を越えない場合は、前記送信時信号灯色を前記作成時信号灯色に決定するとともに、前記継続予定時間を前記継続時間から前記通信所要時間を差し引いた値に決定しても良い(請求項5)。また、前記通信所要時間が前記継続時間を越える場合は、前記送信時信号灯色を前記作成時信号灯色よりも将来に表示される将来信号灯色に決定するとともに、前記継続予定時間の決定において、前記継続時間、前記通信所要時間及び前記将来信号灯色の表示時間を用いても良い(請求項6)。
【0017】
このようにすれば、作成時信号灯色の作成時点からの継続時間と通信所要時間との大小関係を考慮して信号情報を作成することができるので、車載装置に正確な信号情報を提供することができる。
【0018】
また、前記交通信号制御機は、所定の第一周期毎に前記信号情報を前記路上通信装置に送信するように構成されており、前記路上通信装置は、前記信号情報を受信すると、該受信時点から前記第一周期よりも短い所定の第二周期が経過する毎に、前記信号情報を更新する更新手段をさらに有しても良い(請求項7)。
【0019】
こうすることにより、交通信号制御機が大きめの第一周期(例えば100msec)毎に信号情報を送信する場合であっても、路上装置が第一周期よりも短い第二周期(例えば10msec)が経過する毎に信号情報を更新するため、車載装置に10msec単位でより一層正確な信号情報を提供することができる。
【0020】
また、第二の発明による交通信号制御機は、上述の路上通信システムにおける交通信号制御機である(請求項8)。
【0021】
また、第三の発明による路上通信システムは、信号灯器を切り替える予定に関する情報を含む信号情報を作成する信号情報作成手段を有する交通信号制御機と、前記信号情報を車載装置に対して送信する路車間通信手段を有する路上通信装置とを含み、該交通信号制御機と該路上通信装置とが通信するように構成されている路上通信システムであって、前記信号情報は、前記信号情報作成手段が該信号情報を作成した時点に表示されている作成時信号灯色と、該作成時信号灯色の該作成時点からの継続時間と、前記交通信号制御機から前記路上通信装置までの通信所要時間とを含む(請求項9)。
【0022】
また、第四の発明による車載装置は、交通信号制御機で作成された、信号灯器を切り替える予定に関する情報を含む信号情報を路上通信装置から受信する手段と、前記信号情報に基づいて現時点で表示されている信号灯色および該信号灯色の継続予定時間を算出する手段とを有する車載装置であって、前記信号情報は、該信号情報が作成された時点において表示されている作成時信号灯色と、該作成時信号灯色の該作成時点からの継続時間と、前記交通信号制御機から前記路上通信装置までの通信所要時間とを含む(請求項10)。
【0023】
交通信号制御機が送信時信号灯色及び該送信時信号灯色の継続予定時間を含む信号情報を作成する代わりに、車載装置が当該信号情報を作成しても良い。これにより、車載装置が正確な信号情報を取得できるのみならず、交通信号制御機の処理負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明の路上通信システムによれば、信号情報が交通信号機で作成されてから車載装置に対して送信されるまでの通信所要時間を考慮することで、車載装置に正確な信号情報を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
実施の形態1:
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明に係る交通信号制御機を含む路上通信システムの概要を示す模式図である。路上通信システムは、交通信号機1、路上装置2、車載装置3、中央装置4などを含む。中央装置4は、交通情報の提供などを行う装置であり、交通管制センター内に設置されている。なお、中央装置4は、交通管制センター内に設置されず、道路上に設置されていても良い。中央装置4は、複数の交差点のそれぞれに設置された交通信号機1と電話回線などの通信回線を介して接続されている。交通信号機1は、道路Rを含む交差点Iに流入する複数の道路のそれぞれに設置された路上装置と電話回線などの通信回線を介して接続されている。
【0026】
交通信号機1は、交通信号制御機1aと複数の信号灯器1bなどを含んでいる。交通信号制御機1aは、信号灯器1bの各信号灯の点灯、消灯及び点滅を制御する。また、交通信号制御機1aは、中央装置4から交通規制情報を含む交通情報、スプリット等の情報を含む信号制御指令を受信する。また、交通信号制御機1aは、後述する処理により信号灯色及びその継続時間を含む信号情報を作成し、受信した交通情報とともに当該交通信号制御機1aに接続されている複数の路上装置2に送信する。
【0027】
図2は交通信号制御機1aの構成を示すブロック図である。制御部101は、1又は複数のマイクロコンピュータから構成されている。制御部101には、内部バスを介して灯器駆動部102、通信部103、記憶部104が接続されており、制御部101は、これらのハードウエア各部の動作を制御する。また、制御部101は、後述する信号情報作成処理により信号情報を作成する。
【0028】
灯器駆動部102は、半導体リレー(不図示)を備え、制御部101から入力された信号灯器出力指令に基づいて、複数の信号灯器1bの青色灯、黄色灯、赤色灯それぞれに対応して各色の信号灯に供給される交流電圧(AC100V)又は直流電圧をオン/オフする。
【0029】
通信部103は、中央装置4との間の通信及び路上装置2との間の通信を行うための通信機能を備えている。通信部103は、中央装置4から交通情報、信号制御指令を受信する。また、所定の周期(例えば、100msecなど)で受信した交通情報、作成した信号情報を路上装置2へ送信する。
【0030】
記憶部104は、受信した交通情報及び信号制御指令、作成した信号情報、各階梯と各現示との関係を表す定数などの各種定数の情報などを記憶している。
【0031】
路上装置2は、光ビーコン、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication : 専用狭域通信)、WiMAX(Worldwide interoperability for microwave access)などであり、車両10に搭載された車載装置3との間で各種情報を無線通信する。路上装置2は、車載装置3と各種情報の通信を行う通信部2aと、通信部2aを制御する通信制御装置2bとを含んでいる。通信制御装置2bにはROM等の記憶部が備えられており、路上装置2から当該路上装置2が設置されている道路の流入先の交差点までの距離の情報が予め記憶されている。例えば、道路Rに設置された路上装置2の記憶部には、当該路上装置2から交差点Iまでの距離の情報が予め記憶されている。なお、これらの距離の情報は、予め記憶されている構成に限定されず、中央装置4等から取得して記憶する構成であっても良い。路上装置2は、交通信号機1から交通情報及び信号情報を受信し、これらの情報と距離情報を車載装置3に送信する。
【0032】
中央装置4は、所定の周期で交通情報、信号制御指令を複数の交通信号機に送信する。図3は信号制御指令のフォーマットを示す図である。図において、スプリット1は現示1のスプリットを、スプリット6は現示6のスプリットを示している。なお、本フォーマットの詳細については、社団法人新交通管理システム協会(以下、UTMS協会)から発行されている規格書に記載されている。
【0033】
車両10には、車載装置3が搭載されており、車載装置3は、路上装置2との間で各種情報を無線通信する。車載装置3を搭載した車両10は、路上装置2の通信領域Q(斜線部分)を通過する際に、路上装置2との間で無線通信を行い、交通情報、信号情報及び距離情報を取得する。
【0034】
車両10は、車載装置3により交通情報、信号情報及び距離情報を取得すると、これらに基づいて次のような安全運転支援制御処理を行う。すなわち、車両10は、交差点Iを青で安全に通過できるか否かを判断し、通過できると判断した場合には、現在の速度を保持して走行し、通過できないと判断した場合には、交差点I手前の停止線Pで安全に停止できるように速度を減速し、停止線Pで停止する。その際、交通情報に道路Rに関する交通規制情報が含まれている場合には、その交通規制も考慮して速度制御を行う。例えば、道路Rについて40km/hの速度規制があれば、車両10は40km/hを超えないように速度制御を行う。
【0035】
次に、交通信号制御機1aの信号情報作成処理の手順について説明する。交通信号制御機1aは、サイクル終了時点に、記憶部104に記憶された信号制御指令に含まれるスプリット1〜6の基準値、+変動値及び−変動値、サイクル長、各階梯と各現示との関係を表す定数などに基づいて次のサイクルの信号制御プランを作成し、この信号制御プランに基づいて交差点Iに流入する各道路における各信号灯色の点灯時間を算出する。
【0036】
図4は道路Rにおける各信号灯色の点灯時間の例を示す説明図である。同図において、項番はサイクル開始後に表示される各信号灯色の順番を、信号灯色は道路Rを走行する車両に対して表示される信号灯器1bの灯色を、点灯時間は各信号灯色が点灯する秒数を、それぞれ示している。例えば、サイクル開始後1番目に表示される信号灯色は青であり、その点灯時間は60秒であることを示している。また、サイクル開始後3番目に表示される信号灯色は青矢であり、その点灯時間は10秒であることを示している。
【0037】
また、交通信号制御機1aは、以降の処理を所定の周期(例えば、100msec)毎に実行する。まず、交通信号制御機1aは、現時点で表示している信号灯色(以下、作成時信号灯色)と当該作成時信号灯色が開始してからの経過時間を求め、この作成時信号灯色とその経過時間、及び上記の各信号灯色の点灯時間に基づいて、作成時信号灯色とその継続時間T1、将来に表示する予定の各信号灯色(例えば、1サイクル先まで)とその継続時間に関する信号情報を作成する。
【0038】
図5は道路Rにおける信号情報の例を示す説明図である。項番はこの信号情報を作成した時点以後に表示される各信号灯色の順番を、信号灯色は道路Rを走行する車両に対して表示される信号灯器1bの灯色を、継続時間は各信号灯色が継続する秒数を、それぞれ示している。項番が1の信号灯色は作成時信号灯色を示している。この信号情報を作成した時点では、図4における項番1の信号灯色「青」であり、その経過時間が40秒であったとすると、作成時点以後1番目に表示される信号灯色、すなわち、作成時信号灯色は青となり、その継続時間T1は点灯時間の60秒から経過時間の40秒を差し引いた20秒となる。また、2番目以降に表示される信号灯色とその継続時間は、図4における項番2以降の信号灯色とその点灯時間に一致することになる。
【0039】
次に、交通信号制御機1aは、交差点Iに流入する各道路に設置された各路上装置2について、当該路上装置2に対して信号情報を送信してから当該路上装置2が車載装置3に対して当該信号情報を送信するまでに要する時間ΔT(以下、通信所要時間ΔTという)を算出する。具体的には、信号情報の情報サイズSと、路上装置2までの通信経路上の通信区間i(iは1からnまでをとる)の通信速度V(i)、通信経路上の各通信装置j(jは1からmまでをとる)の処理時間P(j)に基づいて、式1により通信所要時間ΔTを算出する。
【0040】
【数1】

【0041】
例えば、交通信号制御機1aから道路Rに設置された路上装置2までの通信経路上に2台の通信装置が存在する場合について、具体的に説明する。図6は交通信号制御機から路上装置までの通信経路の例を示す図である。同図において、交通信号制御機1aから路上装置2までの通信経路上には、2台のルータ5a、5bが存在している。ルータ5aを通信装置1、ルータ5bを通信装置2、交通信号制御機1aからルータ5aまでを通信区間1、ルータ5aからルータ5bまでを通信区間2、ルータ5bから路上装置2までを通信区間3とする。
【0042】
信号情報の情報サイズSが100バイト、通信区間1の通信速度V(1)が1200バイト/秒、通信区間2の通信速度V(2)が8000バイト/秒、通信区間3の通信速度V(3)が1200バイト/秒、通信装置1の処理時間P(1)が0.40秒、通信装置2の処理時間P(2)が0.42秒であるとすると、通信所要時間ΔTは約1秒(=100/1200+100/8000+100/1200+0.40+0.42)と算出される。
【0043】
なお、情報サイズS、通信速度V(i)、処理時間P(i)が時間帯によって変動しない場合には、通信所要時間ΔTは固定と考えられるため、予め記憶部104に通信所要時間ΔTを記憶しておき、これをそのまま読み出しても良い。また、情報サイズSが可変の場合には、情報サイズSに応じた通信所要時間ΔTを格納したテーブルを予め記憶部104に記憶しておき、情報サイズSに応じた通信所要時間ΔTをそのまま読み出しても良い。また、通信区間i毎に付加されるヘッダ等のサイズが異なる場合には、通信区間i毎に情報サイズS(i)を変動させ、式1のSをS(i)に置き換えて、通信所要時間ΔTを算出すれば良い。
【0044】
次に、交通信号制御機1aは、信号情報における最初に表示される信号灯色及びそれ以降に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間が、車載装置3に対して当該信号情報が送信される時点において信号灯器1bに実際に表示されている信号灯色(以下、送信時信号灯色という)及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間に一致するように、算出した通信所要時間ΔTに基づいて信号情報を補正する。すなわち、補正後の信号情報は、送信時信号灯色とその継続時間、将来に表示する予定の各信号灯色とその継続時間を表すことになる。
【0045】
具体的には、通信所要時間ΔTが作成時信号灯色の継続時間T1以下である場合には、送信時信号灯色は作成時信号灯色と同じであるので、信号灯色は変更せず、作成時信号灯色の継続時間T1のみを(T1−ΔT)に置き換え、送信時信号灯色の継続時間とする。一方、通信所要時間ΔTが作成時信号灯色の継続時間T1を越える場合には、送信時信号灯色は作成時信号灯色の次に表示される予定の信号灯色に切り替わっているため、作成時信号灯色の次に表示される予定の信号灯色を送信時信号灯色とし、当該次に表示される予定の信号灯色の継続時間T2を(T2−(ΔT−T1))に置き換え、送信時信号灯色の継続時間とする。なお、(T2−(ΔT−T1))が負の値になる場合には、送信時信号灯色はさらに次に表示される予定の信号灯色に切り替わっているため、当該さらに次に表示される予定の信号灯色を送信時信号灯色とし、当該さらに次に表示される予定の信号灯色の継続時間T3を(T3−(ΔT−T1−T2))に置き換え、送信時信号灯色の継続時間とする。(T3−(ΔT−T1−T2))も負の値になる場合は、以降同様の処理を繰り返す。
【0046】
ここで、補正の具体例を、図5の信号情報の例を用いて説明する。図7は、道路Rにおける補正後の信号情報の例を示す説明図である。(a)は通信所要時間ΔTが1秒の場合、(b)は通信所要時間ΔTが22秒の場合、(c)は通信所要時間ΔTが26秒の場合を示している。項番はこの信号情報が車載装置3に送信される時点以後に表示される各信号灯色の順番を、信号灯色は道路Rを走行する車両に対して表示される信号灯器1bの灯色を、継続時間は各信号灯色が継続する秒数を、それぞれ示している。項番が1の信号灯色は送信時信号灯色を示している。
【0047】
まず、通信所要時間ΔTが1秒の場合には、通信所要時間ΔTは図5の項番1の信号灯色(作成時信号灯色)の継続時間T1(=20秒)以下であるため、信号灯色は補正されず、図5の項番1の継続時間T1のみが20秒から19秒に置き換えられる。
【0048】
次に、通信所要時間ΔTが22秒の場合には、通信所要時間ΔTは図5の項番1の継続時間T1(=20秒)を超え、また、(図5の項番2の継続時間T2−(通信所要時間ΔT−図5の項番1の継続時間T1))=((4−(22−20))=2となって、負の値にならないので、図5の項番2の信号灯色(作成時信号灯色の次に表示される予定の信号灯色)が項番1の信号灯色(送信時信号灯色)となり、当該項番2の継続時間T2が4から2に置き換えられる。
【0049】
さらに、通信所要時間ΔTが26秒の場合には、通信所要時間ΔTは図5の項番1の継続時間T1(=20秒)を超え、また、(図5の項番2の継続時間T2−(通信所要時間ΔT−図5の項番1の継続時間T1))=((4−(26−20))=−2となって、負の値になり、かつ、(図5の項番3の継続時間T3−(通信所要時間ΔT−図5の項番1の継続時間T1−図5の項番2の継続時間T2))=(10−(26−20−4))=8となって、負の値にならないので、図5の項番3の信号灯色(作成時信号灯色の次の次に表示される予定の信号灯色)が項番1の信号灯色(送信時信号灯色)となり、当該項番3の継続時間T3が10から8に置き換えられる。
【0050】
これにより、車載装置3が受信した信号情報における送信時信号灯色と将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間は、車載装置3に対して当該信号情報が送信される時点で信号灯器1bに実際に表示されている信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間と一致することになるので、車載装置3に正確な信号情報を提供することができる。また、車両10は、この補正された信号情報に基づいて上述の安全運転支援制御処理を行えば、適切な速度制御を行うことができる。
【0051】
なお、路上装置2が車載装置3に対して補正された信号情報を送信する時点と、車載装置3に当該信号情報が到達する時点は、厳密に言えば路上装置2から車載装置3までの区間の通信時間分だけずれがあるため、車載装置3が受信した当該信号情報における送信時信号灯色の継続時間と、上記の到達時点で信号灯器1bに実際に表示されている信号灯色の継続時間にも、当該ずれがあることになる。しかし、上記路上装置2から車載装置3までの区間の通信時間は路上装置2が光ビーコンの場合には1msecと非常に短いため、上記のずれはほぼ無視することができる。従って、本発明に係る路上通信システムは車載装置3に正確な信号情報を提供することができる。
【0052】
もちろん、車載装置3が受信した上記信号情報における送信時信号灯色の継続時間と、上記の到達時点で信号灯器1bに実際に表示されている信号灯色の継続時間が一致するように、上記路上装置2から車載装置3までの区間の通信時間をさらに加算して、通信所要時間ΔTを求めても良い。これにより、信号情報の正確性をより高めることができる。また、車載装置3や車両10の内部での通信時間があれば、さらにこれらを加算して通信所要時間ΔTを求めても良い。
【0053】
なお、交通信号制御機1aから路上装置2に対して送信される信号情報は、所定の周期(例えば、100msec)毎に送信されると考えられる。この場合、路上装置2が信号情報を受信してから50msec経過後に、信号情報をそのまま車載装置3に送信すると、車載装置3が認識する信号灯色の継続時間は実際の継続時間に対して50msecの誤差を生じる。そこで、路上装置2は、信号情報を受信した時点から、次回の信号情報を受信するまでの間、例えば10msecが経過する毎に継続時間から10msecを減じていくと良い。そうすれば、10msec単位でより一層正確な時間を提供することができる。また、例えば、交通信号制御機1aと路上装置2の間の通信回線の帯域に制限があるなら、信号情報の送信周期を1秒等としている場合もある。そのような場合には、上記のように路上装置2が継続時間から10msecを減じていくと非常に有効である。
【0054】
また、路上装置2は、継続時間を減ずるだけでなく、送信時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色を更新しても良い。例えば、交通信号制御機1aが路上装置2に対して10秒毎に信号情報を送信し、路上装置2が信号情報を受信後1秒経過する毎に継続時間を1秒ずつ減ずる場合に、路上装置2が交通信号制御機1aから受信した信号情報の送信時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間が青7秒、黄4秒、赤42秒、・・・であったとする。路上装置2は、受信後1秒経過すると、青の継続時間を1秒減じて、青6秒、黄4秒、赤42秒、・・・という信号情報を車載装置3に送信する。6秒経過すると、青の継続時間を6秒減じて、青1秒、黄4秒、赤42秒、・・・という信号情報を車載装置3に送信する。7秒経過すると、送信時信号灯色を青から黄に更新して、黄4秒、赤42秒、・・・という信号情報を車載装置3に送信する。このようにすれば、交通信号制御機1aは短い周期で路上装置2に信号情報を送信せずに済むので、交通信号制御機1aの処理負荷を軽減することができるとともに、交通信号制御機1aと路上装置2の間の通信負荷を軽減することができる。
【0055】
また、図1は路上装置2が光ビーコンなどの狭域通信装置である場合の路上通信システムの概要を示す模式図であったが、路上装置2がWiMAXなどの広域通信装置である場合の模式図は図8のようになる。
【0056】
図8に示す構成では、車両10が交差点Iに到達するまでの間、路上装置2と車載装置3が連続して通信することができるため、車載装置3は常に最新の信号情報を受信することができ、有用である。
【0057】
実施の形態2:
上述の実施の形態1においては、交通信号制御機1aは、通信所要時間ΔTを信号情報の情報サイズS、通信経路上の通信区間の通信速度などに基づいて算出していたが、これに限定されるものではなく、例えば、通信所要時間ΔTを直接計測することもできる。
【0058】
以下、交通信号制御機1aが通信所要時間ΔTを計測する手順について説明する。まず、交通信号制御機1aは、固定サイズの所定のデータ(以下、ダミーデータという)を路上装置2に送信する。路上装置2は、当該ダミーデータを受信すると、交通信号制御機1aに固定サイズの所定のデータ(以下、応答データという)を送信する。交通信号制御機1aは、当該応答データを受信すると、ダミーデータの送信から応答データの受信までの所要時間を算出し、この所要時間の半分を通信所要時間ΔTと推定する。これにより、車載装置3に提供する信号情報の正確性をより高めることができる。
【0059】
なお、計測した通信所要時間ΔTをそのまま用いず、上記の計測を定期的に実施して、得られた計測値の平均を通信所要時間ΔTとして用いても良い。
【0060】
実施の形態3:
上述の実施の形態1,2においては、交通信号制御機1aは、作成時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間を含む信号情報を、通信所要時間ΔTに基づいて補正して、送信時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間を作成し、この補正後の信号情報を路上装置2を通じて車載装置3に送信していたが、これに限定されるものではなく、例えば、交通信号制御機1aは、作成時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間、通信所要時間ΔTを含む信号情報を作成し、この信号情報を路上装置2を通じて車載装置3に送信し、車載装置3が受信した当該信号情報に含まれる作成時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間を、同信号情報に含まれる通信所要時間ΔTに基づいて補正し、送信時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間を算出しても良い。
【0061】
図9は車両10に搭載されている車載装置3及びその他装置の構成を示すブロック図である。GPS処理部301は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、GPS信号に含まれる時刻情報、GPS衛星の軌道、測位補正情報に基づいて、車両10の位置(緯度、経度及び高度)を計測する。方位センサ302は、光ファイバジャイロなどで構成されており、方位及び角速度を計測する。車速取得部303は、車速センサ1001が車輪の角速度を検出することにより計測した車両10の速度のデータを取得する。
【0062】
通信部304は、路上装置2から交通情報、信号情報及び距離情報を受信する。この信号情報には、作成時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間、通信所要時間ΔTが含まれている。また、通信部304は、受信した交通情報、距離情報、処理部308が信号情報に基づいて算出した送信時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間の情報を走行制御部1005に出力する。
【0063】
記憶部305は、道路地図データ、通信部304が受信した各種情報、処理部308が算出した送信時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間の情報等を記憶する。表示部306は、処理部308が探索した目的地までの誘導経路を道路地図データに重畳して描画した画像データをモニター1002に表示する。音声出力部307は、処理部308が作成した上記の誘導経路に沿った経路案内の音声データをスピーカー1003から出力する。
【0064】
処理部308は、1又は複数のマイクロコンピュータにより構成されており、GPS処理部301が計測した位置、方位センサ302が計測した方位及び角速度、車速取得部303が取得した速度の各データに基づいてマップマッチング処理を行い、記憶部305に記憶している道路地図データ上における車両の位置を求める。また、処理部308は、道路地図データ上の車両の位置から目的地までの誘導経路を探索するとともに、その誘導経路に沿った経路案内の音声データを作成する。また、処理部308は、通信部304が受信した信号情報に含まれる作成時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間を、同信号情報に含まれる通信所要時間ΔTに基づいて補正し、送信時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間を算出する。この算出方法は、上述の実施の形態1で説明した交通信号制御機1aにおける信号情報の補正方法と同じであるので、説明を省略する。
【0065】
走行制御部1005は、1又は複数のマイクロコンピュータにより構成されており、通信部304から取得した交通情報、距離情報、送信時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間の情報、車速センサ1001から取得した車両10の速度データに基づいて、安全運転支援制御処理を行う。すなわち、交差点Iを青で安全に通過できるか否かを判断し、通過できると判断した場合には、現在の速度を保持するように駆動部(エンジン)1006を制御する。通過できないと判断した場合には、制動部(ブレーキ)1007を制御し、交差点I手前の停止線Pで安全に停止できるように速度を減速し、停止線Pで停止させる。また、交通情報に道路Rに関する交通規制情報が含まれている場合には、その交通規制も考慮して駆動部106及び制動部107を制御する。
【0066】
このように車載装置3で送信時信号灯色及び将来に表示される予定の信号灯色並びにこれらの継続時間を算出することにより、交通信号制御機1aの処理負荷を軽減することができる。
【0067】
上述の実施の形態においては、交通信号制御機1aと路上装置2は別々の筐体に収められている構成であったが、これに限定されるものではなく、交通信号制御機1aと路上装置2が1つの筐体に収められている構成であっても良い。この場合、交通信号制御機1aと路上装置2の間の情報のやり取りは、有線、無線、内部バス等のいずれを用いたものでも良い。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る交通信号制御機を含む路上通信システムの概要を示す模式図である。
【図2】交通信号制御機の構成を示すブロック図である。
【図3】信号制御指令のフォーマットを示す図である。
【図4】各信号灯色の点灯時間の例を示す説明図である。
【図5】信号情報の例を示す説明図である。
【図6】交通信号制御機から路上装置までの通信経路の例を示す図である。
【図7】補正後の信号情報の例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る交通信号制御機を含む路上通信システムの概要を示す模式図である。
【図9】車両に搭載されている車載装置及びその他装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0070】
1 交通信号機
1a 交通信号制御機
1b 信号灯器
101 制御部
102 灯器駆動部
103 通信部
104 記憶部
2 路上装置
2a 通信部
2b 通信制御装置
3 車載装置
301 GPS処理部
302 方位センサ
303 車速取得部
304 通信部
305 記憶部
306 表示部
307 音声出力部
308 処理部
4 中央装置
5a、5b ルータ
10 車両
1001 車速センサ
1002 モニター
1003 スピーカー
1005 走行制御部
1006 駆動部
1007 制動部
I 交差点
P 停止線
Q 通信領域
R 道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号灯器を切り替える予定に関する情報を含む信号情報を作成する信号情報作成手段を有する交通信号制御機と、前記信号情報を車載装置に対して送信する路車間通信手段を有する路上通信装置とを含み、該交通信号制御機と該路上通信装置とが通信するように構成されている路上通信システムであって、
前記信号情報作成手段は、
前記信号情報の作成において、前記交通信号制御機から前記路上通信装置までの通信所要時間を用いる
ことを特徴とする路上通信システム。
【請求項2】
前記信号情報は、前記路車間通信手段が前記信号情報を送信する予定の時点において表示されている送信時信号灯色と、該送信時信号灯色の継続予定時間を含み、
前記信号情報作成手段は、前記信号情報を作成した時点において表示されている作成時信号灯色の該作成時点からの継続時間と、前記通信所要時間とに基づいて、前記送信時信号灯色及び前記継続予定時間を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の路上通信システム。
【請求項3】
前記交通信号制御機は、前記通信所要時間を算出する通信時間算出手段をさらに有し、
前記通信時間算出手段は、
前記通信所要時間の算出において、前記交通信号制御機から前記路上通信装置に至るまでの1又は複数の通信区間における通信速度、前記交通信号制御機から前記路上通信装置に至るまでに経由する1又は複数の経由装置における情報中継処理時間、及び前記信号情報の大きさを用いる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の路上通信システム。
【請求項4】
前記交通信号制御機は、
所定の大きさを有するダミー情報を作成して路上通信装置宛に送信するダミー情報送信手段と、
前記通信所要時間を計測する通信時間計測手段とをさらに有し、
前記路上通信装置は、前記ダミー情報を受信し、前記ダミー情報に対するダミー応答情報を作成して前記交通信号制御機宛に返信するダミー情報返信手段をさらに有し、
前記通信時間計測手段は、
前記通信所要時間の計測において、前記ダミー情報を送信後、前記ダミー応答情報を受信するまでの期間を用いる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の路上通信システム。
【請求項5】
前記信号情報作成手段は、前記通信所要時間が前記継続時間を越えない場合は、前記送信時信号灯色を前記作成時信号灯色に決定するとともに、前記継続予定時間を前記継続時間から前記通信所要時間を差し引いた値に決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の路上通信システム。
【請求項6】
前記信号情報作成手段は、前記通信所要時間が前記継続時間を越える場合は、前記送信時信号灯色を前記作成時信号灯色よりも将来に表示される将来信号灯色に決定するとともに、前記継続予定時間の決定において、前記継続時間、前記通信所要時間及び前記将来信号灯色の表示時間を用いる
ことを特徴とする請求項2に記載の路上通信システム。
【請求項7】
前記交通信号制御機は、所定の第一周期毎に前記信号情報を前記路上通信装置に送信するように構成されており、
前記路上通信装置は、前記信号情報を受信すると、該受信時点から前記第一周期よりも短い所定の第二周期が経過する毎に、前記信号情報を更新する更新手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の路上通信システム。
【請求項8】
信号灯器を切り替える予定に関する情報を含む信号情報を作成する信号情報作成手段と、
前記信号情報を路上通信装置に送信する手段とを有する交通信号制御機であって、
前記信号情報作成手段は、
前記信号情報の作成において、前記交通信号制御機から前記路上通信装置までの通信所要時間を用いる
ことを特徴とする交通信号制御機。
【請求項9】
信号灯器を切り替える予定に関する情報を含む信号情報を作成する信号情報作成手段を有する交通信号制御機と、前記信号情報を車載装置に対して送信する路車間通信手段を有する路上通信装置とを含み、該交通信号制御機と該路上通信装置とが通信するように構成されている路上通信システムであって、
前記信号情報は、前記信号情報作成手段が該信号情報を作成した時点に表示されている作成時信号灯色と、該作成時信号灯色の該作成時点からの継続時間と、前記交通信号制御機から前記路上通信装置までの通信所要時間とを含む
ことを特徴とする路上通信システム。
【請求項10】
交通信号制御機で作成された、信号灯器を切り替える予定に関する情報を含む信号情報を路上通信装置から受信する手段と、
前記信号情報に基づいて現時点で表示されている信号灯色および該信号灯色の継続予定時間を算出する手段とを有する車載装置であって、
前記信号情報は、該信号情報が作成された時点において表示されている作成時信号灯色と、該作成時信号灯色の該作成時点からの継続時間と、前記交通信号制御機から前記路上通信装置までの通信所要時間とを含む
ことを特徴とする車載装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−152680(P2008−152680A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342000(P2006−342000)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】