説明

踏切警報灯

【課題】踏切警報灯の配線作業の簡易化及び接続電線の挟み込み防止を図る。
【解決手段】灯体1の取付部6が固定金具17、18に取り付けられ、接続電線19が固定金具及び取付部の内部を通して配線される踏切警報灯であって、取付部の内部に連通し、灯体の下部に下端部が達する電線導入パイプ11と、灯体の下部に位置する、電線を接続する端子13と、電線導入パイプの下端部と端子を露出させる開口と、開口を開閉可能に閉ざす蓋とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の踏切に設置されて、踏切に近付く通行者や車両などに列車の接近を点滅により警報する踏切警報灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願出願人外1名により赤色の発光ダイオードを用いた全方向踏切警報灯が既に開発され(特許文献1)、実用されている。図6は、このような二つの全方向踏切警報灯101、102が上下方向(左右方向、斜め方向などもある)に並んで警報機柱103にブラケット104及びソケット105により取り付けられた状態を示している。列車が踏切から所定距離以内に接近すると、全方向踏切警報灯101、102は交互に点滅する。
【0003】
全方向踏切警報灯101、102への配線は、警報機柱103の内部を通った外線106がブラケット104及びソケット105の内部を通り、全方向踏切警報灯101、102の回転接手107の内部に設置されている外線端子(不図示)に接続されることによって、行われる。また、回転接手107がソケット105に固定されることによって、全方向踏切警報灯101、102は機械的に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4313700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図6における配線作業は、作業員が全方向踏切警報灯101又は102を手で保持しながら外線106を外線端子に接続しなければならず、不安定な作業となっていた。また、外線106を外線端子に接続した際に外線106がまっすぐ延びておらず、外線106が回転接手107の手前で曲がっていたり、丸まっていたりすることがある。このような状態で回転接手107をソケット105に固定すると、回転接手107とソケット105の間に外線106が挟み込まれてしまい、断線事故につながるおそれがある。
【0006】
上記のような課題は、全方向踏切警報灯以外の踏切警報灯にもありえる。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、配線作業の簡易化及び接続電線の挟み込み防止を図ることができる踏切警報灯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の踏切警報灯は、灯体の取付部が固定金具に取り付けられ、接続電線が前記固定金具及び前記取付部の内部を通して配線される踏切警報灯であって、前記取付部の内部に連通し、前記灯体の下部に下端部が達する電線導入パイプと、前記灯体の下部に位置する、電線を接続する端子と、前記電線導入パイプの下端部と前記端子を露出させる開口と、前記開口を開閉可能に閉ざす蓋とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、踏切警報灯の配線作業の簡易化及び接続電線の挟み込み防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例である踏切警報灯を示す図である。
【図2】ブラケット及びソケットの配線準備を示す図である。
【図3】実施例の配線準備を示す図である。
【図4】実施例の配線作業の前半を示す図である。
【図5】実施例の配線作業の後半を示す図である。
【図6】従来の踏切警報灯が警報機柱に取り付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態は、後述する実施例に記載の通りである。
【実施例】
【0012】
図1は本発明の実施例である踏切警報灯を示す正面図、側面図及び底面図である。
【0013】
図1において、灯体1は、金属製などのひさし2、ひさし2に固定された透明樹脂製で円筒形のカバー3、カバー3内にY字状に配置された3枚の発光ダイオード基板4、金属製などの背板5、及び回転接手6から主として構成されている。
【0014】
発光ダイオード基板4は四角形のもので、その3枚は、垂直な一辺が灯体1の中心位置で合わさるように、120度間隔でY字状にかつ垂直に配置されている。発光ダイオード基板4の両面には発光領域が定められていて、各発光領域に多数の赤色の発光ダイオード7が取り付けられている。発光領域の輪郭を表す図形は半楕円形となっている。半楕円形の発光領域は、半楕円形の短軸が発光ダイオード基板4の合せ目となる一辺に一致するように定められている。3枚の発光ダイオード基板4はひさし2及び後述する底板に取り付けられた取付片(不図示)に固定ねじ(不図示)などにより着脱可能に固定される。
【0015】
カバー3は、ひさし2に固定された垂直下方に延びる支柱9及び底板10によってひさし2に固定される。カバー3としては例えば非拡散性の赤色アクリルカバーが用いられる。
【0016】
背板5はL字形のもので、カバー3の周囲に、発光ダイオード基板4と同一平面上に位置するようにひさし2に固定される。背板5は発光ダイオード基板4の周囲の外光を遮断し、その発光を見やすくするためのものである。
【0017】
カバー3内には、回転接手6の内部に連通する外線導入パイプ11が垂直に設けられている。カバー3の内部では発光ダイオード基板4と共に外線端子取付板12が固定され、外線端子取付板12の裏面には外線端子13が取り付られる。外線端子13は発光ダイオード基板4の発光ダイオード7に電気的に接続されるものである。外線導入パイプ11の下端部は外線端子取付板12を貫通するとともにそれに固定される。
【0018】
底板10には外線導入パイプ11の下端部及び外線端子13が下方に向かって露出するように開口14が設けられる。開口14は蓋15により開閉可能に覆われる。蓋15はビス16を緩め、開口14からずらすことによって開かれる。
【0019】
次に配線作業について説明する。
【0020】
図2及び図3は配線準備の状態を示す図である。図2において、従来の場合と同様にブラケット17及びソケット18の内部に外線を通す。また、図3に示すように灯体1のビス16を緩め、蓋15を反時計方向にずらして開口14を開く。開くことによって、外線導入パイプ11の下端部及び外線端子13が露出する。
【0021】
図4は外線導入、灯体取付の状態を示す図である。先ず、外線19を回転接手6及び外線導入パイプ11に通し、下から引っ張ることによって外線19にたるみがないようにする。この状態で回転接手6をソケット18にねじ20を締め付けることによりソケット18を介してブラケット17に取り付ける。この状態では灯体1がブラケット17及びソケット18に支持されているので、これ以後作業員は灯体1を保持する必要はない。
【0022】
図5は配線の状態を示す図である。作業員は外線19を図5(a)に示されるように外線導入パイプ11から引き出し、図5(b)に示されるように外線端子13に接続する。その後、蓋15で開口14を閉ざし、ビス16を締め付ける。
【0023】
なお、本実施例において、回転接手6が本発明の取付部に、ブラケット17及びソケット18が本発明の固定金具に、外線19が本発明の接続電線に、外線導入パイプ11が本発明の電線導入パイプに、外線端子13が本発明の電線を接続する端子に、それぞれ相当する。
【0024】
本実施例では、灯体1をブラケット17及びソケット18に固定した状態で外線19を外線端子13に接続するようにしているので、配線作業を簡易化することができる。また、外線19を外線導入パイプ11に通して、下から引っ張った状態で回転接手6をソケット18に固定するようにしたので、外線19を回転接手6とソケット18の間に挟み込むことを防止することができる。
【0025】
本発明は、全方向踏切警報灯以外の踏切警報灯にも有用なものである。
【符号の説明】
【0026】
1 灯体
6 回転接手
10 底板
11 外線導入パイプ
13 外線端子
14 開口
15 蓋
19 外線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯体の取付部が固定金具に取り付けられ、接続電線が前記固定金具及び前記取付部の内部を通して配線される踏切警報灯であって、
前記取付部の内部に連通し、前記灯体の下部に下端部が達する電線導入パイプと、
前記灯体の下部に位置する、電線を接続する端子と、
前記電線導入パイプの下端部と前記端子を露出させる開口と、
前記開口を開閉可能に閉ざす蓋とを有することを特徴とする踏切警報灯。
【請求項2】
前記接続電線を前記電線導入パイプに通して下から引っ張った状態で前記取付部を前記固定金具に固定するようにし、前記灯体を固定した状態で前記接続電線を前記端子に接続するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の踏切警報灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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