身体からの体液の損失および医療機器の外れをモニタリングするための方法および装置
血液透析中の問題を医療従事者に警告する方法であって、血液透析中に当該アクセス位置にフィステル針(150)用の能動型フェイルセーフ位置センサ(180)を装着し、能動型フェイルセーフ位置センサを使用して少なくとも以下の事態−つまり、能動型フェイルセーフ位置センサの故障、能動型フェイルセーフ位置センサへの給電障害、アクセス位置からのフィステル針の部分的な外れおよびアクセス位置からの針の完全な離脱−に際して医療従事者に血液透析中の問題を自動的に警告することからなる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、身体への医療器具挿入位置からの血液またはその他の液体の漏出および該挿入位置からの医療器具の外れを医療従事者に警告するための方法および装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
「フィステル針(fistula needle)」とは、血液透析用の体外血液循環回路にフィステル針を接続するために使用される医療用チューブ区間に結合される大きな口径の、通例14〜17番の針である。
【0003】
血液透析は腎障害を有する患者の主たる療法処置の一つである。これらの生命維持療法処置には通例、毎回3〜4.5時間を要し、週に3回またはそれ以上の回数が必要となることもある。ただし、手順、技法の違いまたは患者のニーズの変化によって、血液透析療法は6時間から一晩中かかることさえもある。
【0004】
血液透析中の血管系に対する最も通例のアクセスは、慢性患者の場合、皮膚を通して動脈/心室・移植片、埋植シャントまたは埋植レセプタクルにまで挿入される大きな口径の針を使用して行われる。
【0005】
処置の間、患者の血液は一般に透析器または血液透析器と呼ばれる濾過装置によって処理される。血液は血液ポンプの作用により体外血液循環回路を通ってこの濾過装置に向かって移動し、同所を通過して還流する。いずれの血液透析装置も、患者の安全を確保するために処置の間中その状態をモニタリングする一定のアラーム装置(AAMI RD5−3.3.6)を備えていることが必要である。これらのアラームは、温度、透析液圧力、膜透過圧力、血液循環圧力、導電度、血液漏出、および血液循環回路空気塞栓防止等のためのアラームである。
【0006】
血液は身体から動脈フィステル針を通って動脈血ラインに送られる。この動脈血は次いでポンピングにより血液ラインを通って濾過装置に送られて同所を通過し、静脈血ラインに接続されたフィステル針を通って身体に還流する。本願明細書で使用されているように、「静脈」との用語は「体内還流」を意味するために使用され、「動脈」との用語は「体外導出」を意味するために使用されている。これらのフィステル針は通例、アクセス位置近傍および周辺の患者皮膚にテープで固定される。
【0007】
上記のフィステル針の一方もしくは双方は処置中に時としてアクセス位置から変位したり外れたりすることがある。こうした危険な状況が意図せずに生ずることのある事例とは、たとえば着座姿勢から仰臥姿勢へ、または仰臥姿勢から着座姿勢への姿勢変化時に血液ラインが処置椅子に引っかけられることなどである。また、通常の動きに際して着衣や毛布がフィステル針やテーピングを擦る場合にも、外れが生ずることがある。時として、誰かが脇を通り過ぎる際に、足や歩行器、車椅子あるいはカートに血液ラインが引っかけられることもある。また、患者に付されたテープが皮膚の乾燥または汗などによって簡単に剥がれて、針が離脱してしまうことさえもある。処置中に意図的に針(単数または複数)が抜き取られることも前例がないわけではなく、精神的または情緒的に不安定な患者の多くは処置中拘束しておくことが必要である。また、多動的な患者もあり、子供の患者の多くは血液ラインやテープを強く引っ張ることがあり、こうして絶えず引っ張られることによって場合によりテーピングが弛んで剥がれ、フィステル針が脱落することもある。
【0008】
万一、静脈針が処置中に部分的に外れるような場合には、患者の血液が(周辺組織部に)浸潤して通例非常な苦痛を引き起こすか、または血液が針挿入位置の周囲に漏れ出すことがあり、あるいはまた双方の事態が生ずることもある。
【0009】
万一、静脈針が血液透析処置中に完全に離脱するような場合には、患者の血液は環流されることがなく、血液は実際のところ排出されてしまうことになる。50〜650ml/min.の送出性能を有する通常の血液ポンプを使用する場合、血液ロスは非常に急速に生じ得る。この状況に対しては、放血による患者の深刻な被害または死亡を防止するために、即時の医学的対処が必要である。極めて注意深くかつ熱心な医療従事者といえども個々の患者を四六時中監視することができないのは明らかであろう。
【0010】
現在のところ、静脈針の外れをモニタリングするための主たる装置は静脈圧モニタ(VPM)である。ただし、一定の状況下で、VPMは静脈針変位にとって信頼し得るインジケータではない。というのもVPMは標準アラームリミット範囲(50ml/min.)を超える変化を「みとめ」ないことがあるからである。こうした事態はアラームリミットが平均圧力変動の「中心」に設定されない場合に増強されることがある。はなはだしい場合には、フィステル針の比較的小さなオリフィスを通って移動する粘稠な血液によって静脈血ラインに発生する固有の「背圧」により、VPMが(アラームを発するのに)十分な血圧変化を示さないこともしばしばある。
【0011】
部分的な取り外しの問題を解決する一つの試みは、Shawによって、同人の特許文献1および特許文献2に提案されている。これらは基本的に、浸潤の存在を判定するために皮膚温度の上昇を利用する。この方法は、それがこの問題に対する身体の反応に依存しているために、応答がむしろ遅いという点で制限されている。これに加えて、この方法は目下の取り外しの問題に対処することができない。さらに浸潤は苦痛をもたらし、それを解消する手術を要し、直ちに生命を脅かすわけではないにせよ、手足の喪失に至ることさえもあろう。
【0012】
完全な離脱の問題に対して提案された一つの試みは、体外血液循環回路で検知可能なパルス(ナチュラルパルスまたは付加パルス)をモニタリングする、Goldau,Rainerによる、「Method and device for monitoring a vascular access during a dialysis treat−ment」を表題とする特許文献3に記載されている。この方法は商業的成功も広範な普及をみることもなかったが、それは、説明された圧力が、4時間もしくはそれ以上に及ぶ処置中において非現実的な想定と思われる、非常に動きのない静止した患者を前提しているからだと考えられる。前述した針内部の固有のナチュラルプレッシャによって、針の取り外しがなくとも、ごく僅かな腕の動きでさえVPMを作動させることがある。
【0013】
血液またはその他の液体の固有の導電度を利用してアラームを発するように設計された、汚れた状態を示すためにおむつに最もよく使用されている、多くのセンサが存在する。
【0014】
Fisher,et al.の特許文献4には、おむつの場合に体液および汚物の固有の導電度を利用してアラームを発する「System for use in detection of electrically conductive fluids」が提案されている。このシステムはセンサエラーまたは切断が生ずることがあり、しかもスタッフにセンサエラーまたは切断の発生のアラームを発しないため、患者を適切に保護することができない。加えてこの装置は、電気絶縁されていない患者につき、当該文書2.3によって求められる、電気医療器具に関する安全電流限度の接続要件の遵守を明示的に実現していない。
【0015】
「Nonstretchable wound cover and protec−
tor」を表題とするDaneshvarの特許文献5は簡単な血液漏れ検出器を記載している。血液で汚れたガーゼパッドは回路を形成することとなり、こうして音響アラームを発生する。Fisherの装置と同じく、Daneshvarの装置もセンサエラー発生時にアラームを発しない。また、Daneshvarの装置も、電気絶縁されていない患者につき、患者の電気的ダメージを防止するための接続要件の遵守を実現していない。加えて、Daneshvarの装置がアラームを発するかどうかは、非導電性液体による飽和または圧縮による飽和あるいは一定の医用ゲル、ペーストまたは軟膏剤のコーティングによって左右されるガーゼの吸収性次第であろう。
【0016】
非特許文献1および非特許文献2に記載された装置は体外循環回路の分断を検知しようとしている。しかしながら、これらの装置のいずれもアクセス位置が支障なく見通せるように構成されていない。これらの装置に共通しているもう一つの問題は、それらが透析機械に組み込まれた部品として使用されるように設計されていることである。結果として、これらの装置は特別にスタンドアロン使用向けには設計されていない。さらに大きな問題は、これらの装置はいずれも故障時の安全性が確保されていないことである。装置がなんらかの理由、たとえばバッテリの上がりによって作動しなくなると保護は失われるが、スタッフはそのことに気付かない。これらの引用文献はいずれも装置が針の取り外しを判定するとしているが、実際には、それらは血液またはその他の導電性液体しか検知しないという点で、おむつ湿りセンサのアイデアを基礎とした単なるバリエーションにすぎない。それらは実際のところ針のポジションを判定しない。比較的最近の埋植チューブのあるものやその他の新しいタイプの血管アクセスの場合には、針が抜けても出血はほとんどなく、したがって、針の突然の抜脱時、たとえば血液ラインが足に引っかけられたりあるいは精神的に不安定な患者が故意に針を外すような場合に、スタッフにうまくアラームが発せられる可能性は限定されている。これに加えて、透析以外に適用する際に、下側領域または支持体が血液、体液またはその他の液体を押し出してセンサを湿潤させるのに十分な相対正圧を有していないこともある。
【0017】
前述した引用文献およびその他の従来の技術に述べられている再使用可能なセンサは、滅菌、滅菌保管、使用に先立って滅菌剤が残留していない旨の検証、元の患者のみによる装置の再使用、主観的評価による品質問題など−ただしこれらに限定されるわけではない−を含む、汚染した医療器具の再使用と関連した無数の問題ならびにコストを招来する。
【特許文献1】米国特許第3,618,602号明細書
【特許文献2】米国特許第4,010,749号明細書
【特許文献3】米国特許第6,077,443号明細書
【特許文献4】米国特許第5,790,036号明細書
【特許文献5】米国特許第5,779,657号明細書
【非特許文献1】国際公開第99/24145号パンフレット
【非特許文献2】米国特許出願公開第2002/0198483号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、身体アクセス位置からの体液ロスおよび同所からの医療器具の取り外しをモニタリングする装置に関する。本装置は重要な医療用モニタとして使用するために設計されたシステムを含み、所要の電気的絶縁を実現し、アクセス位置を支障なく見通すことを可能にする。本装置には、保護が失われた場合にアラームを発し、少量の漏出時にはリセットが可能であり、特別なテスト装置を要することなく「インサイチュ」テストの実施が可能であり、使用中にパッチが剥がれたり損傷した場合にアラームを発し、スタンドアロン使用可能であって、既存の通常の血液透析ユニットのアラーム回路に組込まれる必要がなく、挿入位置からの針の相対的な取り外しをモニタリングし、監視された電源を備え、患者が故意に針を外す場合にアラームを発するように構成されたフェールセーフ機能を有する滅菌された使い捨て式センサが組み込まれている。
【0019】
さらに別の面において本発明は、患者身体にフィステル針が挿入されるアクセス位置からの血液漏出および該アクセス位置からのフィステル針の取り外しを医療従事者に警告するための、少なくとも1つの血液ラインと1つのフィステル針とに取り付け可能な血液透析用位置センサに関する。この血液透析用位置センサは、上側面と患者の皮膚に接着される下側面とを有しかつ1または複数の穴が配置されて血液および蒸気の通過を可能とする医療用生体適合性材料からなる基礎メンブラン層と、上側面と下側面とを有しかつ1または複数の穴が配置されて血液および蒸気の通過を可能とする第一のメンブラン層と、上側面と下側面とを有する第三のメンブラン層と、分析回路に電気連結されるように適合された電気的接続(この電気的接続は、基礎メンブラン層の上側面と第一のメンブラン層の下側面との間に配置された第一の感知アレイと、第一のメンブラン層の上側面と第三のメンブラン層の下側面との間に配置されて、第一の感知アレイに抵抗接続された第二の感知アレイとからなる)と、アクセス位置からのフィステル針の取り外しに応じて電気的接続を切断する、少なくとも1つの血液ラインとフィステル針とに取り付け可能な切断機構とを含み、電気的接続を通じて送られた電気信号は血液が少なくとも1感知アレイに接触するかまたは電気的接続が切断機構によって切断されると変化を生じ、これに応じて分析回路はアクセス位置からのフィステル針の部分的な取り外しまたは全面的な離脱を医療従事者に通報するアラームを発生させるように構成されている。
【0020】
さらに別の面において本発明は、血液透析中に患者身体にフィステル針が挿入されるアクセス位置からのフィステル針の部分的な取り外しおよび全面的な離脱を医療従事者に警告する方法に関する。この方法は、アクセス位置において患者の皮膚に接着される下側面を有しかつ1または複数の穴が配置されて血液および蒸気の通過を可能とする医療用生体適合性材料からなる基礎メンブラン層と、最上位のメンブラン層と、基礎メンブラン層と最上位のメンブラン層との間に配置された1または複数の抵抗接続された感知アレイからなる電気的接続と、アクセス位置からのフィステル針の取り外しに応じて電気的接続を切断する、少なくとも1つの血液ラインとフィステル針とに取り付け可能な切断機構とを含む位置センサの装着と、分析回路と電気的接続との間の電気導通の実現と、分析回路から位置センサへの信号の送信および分析回路による位置センサからの信号の受信ならびに電気的接続の1または複数の抵抗接続された感知アレイを通じた信号の伝送と、アクセス位置からのフィステル針の部分的な取り外しによって生ずる血液と1または複数の抵抗接続された感知アレイとの接触と、それに起因する、分析回路からの送信信号の変化と、アクセス位置からのフィステル針の完全な離脱によって生ずる切断機構による電気的接続の切断と、それに起因する分析回路からの送信信号の変化と、分析回路による、信号が所定の範囲の範囲外へと変化したか否かに関する判定と、信号が所定の範囲の範囲外へと変化した際の分析回路によるアラームの発生とによって達成される。
【0021】
さらになお別の面において本発明は、血液透析中の問題を医療従事者に警告する方法に関する。この方法は、血液透析中に当該アクセス位置にフィステル針用、針用またはその他の皮膚刺入医療装置用の能動型フェイルセーフ位置センサを装着し、能動型フェイルセーフ位置センサを使用して少なくとも以下の事態−つまり、能動型フェイルセーフ位置センサの故障、能動型フェイルセーフ位置センサへの給電障害、アクセス位置からのフィステル針の部分的な取り外しおよびアクセス位置からの針の完全な離脱−に際して医療従事者に血液透析中の問題を自動的に警告することによって達成される。
【0022】
さらなる目的および利点は、以下に述べる好ましい実施形態の詳細な説明ならびに図面を精査すれば、当業者には明白であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
図1−10を参照して、血液透析処置中に患者105の血管アクセス位置をモニタリングし、針の取り外しが生じた場合に医療従事者にアラームを発するシステムおよび方法の1実施形態を説明する。
【0024】
本システムは血液透析処置中の血管アクセス位置のモニタリングと関連して説明されるが、このシステムは皮膚を通じた針入/アクセス・位置を、皮膚針入位置の周囲に漏出し得る血液、体液および/または医療液に関してかつ/または皮膚針入/アクセス・位置に対する針の相対的な取り外しに関してモニタリングを行うために使用することが可能である。さらに、このシステムは、血管系へのアクセス、皮下またはその他の埋植装置へのアクセス、腹腔へのアクセス、内蔵へのアクセスのそれぞれのモニタリング、経皮滲出のモニタリング、あるいは、血液、体液、医療液、液体またはその他の流体の漏出が生じた場合にアラームを発することが所望されるその他の使用例、または人体アクセス位置からの医療装置または医療器具の離脱が生じた場合にアラームを発することが所望されるその他の使用例に使用することが可能である。
【0025】
システムを詳細に説明する前に、血液透析および、血液透析中に使用される若干の装置を最初に説明することとする。
【0026】
血液透析は腎障害を有する患者105の主たる療法処置の一つである。これらの生命維持療法処置は通例、毎回3〜4.5時間を要し、週に3回のペースで行われることがある。慢性患者の場合、血管系への最も通例のアクセスは、図示した通常の位置110(図1)のいずれかの位置において、動脈/心室・移植片、埋植シャントまたは埋植レセプタクルにまで皮膚を通して挿入される、患者105の血管系へのアクセスに使用される大きな口径の針を使用して行われる。図1に示した位置が疲弊していないかぎり、これらの位置は血液透析時の血液供給アクセスおよびアフェレーシスのための通常の位置であるのみならず、インターベンショナルラジオロギー専門医が心臓に達する一次血管にアクセスするための通常の位置でもある。これらの位置のいくつかは輸液療法にも利用することが同じく可能である。
【0027】
腹膜挿入位置120を被覆するメディカルテープおよび滅菌ガーゼパッチの使用には注意しなければならない。というのもこの位置は感染を示すこともある位置の一例であり、漏出、出血、または滲出用の別途実施形態のシステムによってモニタリングすることができるからである。
【0028】
療法処置の間、患者105の血液は血液透析ユニット130(図3)によって処理される。血液は血液透析ユニット130の血液ポンプの作用によって体外血液循環回路の血液ライン140を通って血液透析ユニット130に向かって移動し、かつまた同所から還流する。
【0029】
血液は体内から動脈フィステル針150(図6)を通って動脈血ライン160に向かって体外へ移動する。この動脈血ラインはリーダーおよび適切なルアーロック(luer lock)継手によって動脈フィステル針150に接続されてよい。次いで、動脈血は、ポンプ作用によって、動脈血ライン160を通って血液透析ユニット130に向かい、同所を貫流して、静脈フィステル針に取り付けられた静脈血ラインを通って患者105に還流する。
【0030】
透析プロセスの間、患者105は通常、標準的な透析処置椅子170(図2A−3)に、以下の3つの体位−1)正常着座体位(図2A),2)リクライニング体位(図2B),3)完全リクライニング体位またはトレンデレンブルク体位(図2C)−のいずれかの体位をとって着座している。図2Cに示した完全リクライニング体位またはトレンデレンブルク体位は患者105の頭部を心臓の位置以下に低下させるために使用され、また、患者105の血圧が低くなりすぎ(「crashing」)、スタッフが患者105の一時的意識喪失を防止しようとする際に使用される。一つの体位から他の体位へ姿勢を変える際に針150が引っ張られる可能性のある椅子170の多数の隅[すみ]や椅子170のその他の箇所に注意することが肝要である。血液ライン140は、たとえば正常着座体位からリクライニング体位へあるいはリクライニング体位から正常着座体位への姿勢変化時に、処置椅子170に引っかけられ、こうしてフィステル針の一方または双方が透析中にアクセス位置から部分的に外れるかもしくは完全に外れてしまうことがある。また、患者105の通常の動きに際して着衣や毛布がフィステル針やテーピングを擦る場合にも、取り外しが生ずることがある。
【0031】
また、ほとんどの椅子の場合にそうであるが、椅子170の両脇が隠されてしまう点に注意することが重要である。これにより、針150が外れて、その後に床に溜まった血液たまりが大きくなり、こうして患者105に異変が生じていることに医療従事者が気付くまでの時間が大幅に長引くことがしばしばある。また、透析椅子170の両側に袖があることにより、椅子170の下隅に着衣または毛布が折り重なって団塊を形成し、それが漏れ出た血液を再び吸い込んでしまうため、針150が外れても医療従事者がそれに気付くまでに時間がかかるという問題も生ずる。
【0032】
図3に示した図は、通常の透析プロセスの間に血液ライン140が椅子170と血液透析ユニット130との間に垂れ下がっている様子と、血液ラインが長く延び、患者105の透析を補佐する補助スタッフがそれに絡まれて透析の間にフィステル針と血液ライン140が偶然に患者105から引っ張られてしまうという、前述の状態に起因した危険とを示している。一定の状況たとえば透析処置箇所がコーナーにある場合、椅子170に対する患者105の接近側手前に血液透析ユニット130が置かれることがある。こうした場合、血液ライン140は実際のところ患者105を横切って延びており、血液ライン140がうっかり何かに引っかけられあるいは引っ張られてしまう危険は著しく高くなる。時として、誰かが脇を通り過ぎる際に、足や歩行器、車椅子あるいはカートに血液ライン140を引っかけることもある。
【0033】
万一、静脈針が透析中に部分的に外れるような場合には、患者105の血液が(周辺組織部に)浸潤して通例非常な苦痛を引き起こすか、または血液が針挿入位置の周囲に漏れ出すことがあり、あるいは双方の事態が生ずることもある。
【0034】
万一、静脈針が血液透析処置中に完全に外れるように場合には、患者105の血液は環流されることがなく、血液は実際のところ排出されてしまうことになる。50〜650ml/min.の送出性能を有する通常の血液ポンプを使用する場合、血液ロスは非常に急速に生じ得る。この状況に対しては、放血による患者の深刻な被害または死亡を防止するために、即時の医学的対処が必要である。
【0035】
図4−7を参照して、最初にシステムの一般的な説明を行い、続いてシステム部品の詳細な説明を行う。システムは一般に、位置センサ180(図4−6)、分析回路190(図7)、および警報器200(図7)を含んでいる。電気信号は分析回路190から作動中の位置センサ180に向かって送信され、同所で信号は位置センサ180の1または複数の感知アレイを通過して再び分析回路190に戻される。分析回路190はこの戻り信号をモニタリングする。返送されたこの信号が万一変化して指定範囲から外れると、医療従事者に警告するため、警報器200に接続されたアラーム出力が発生させられる。位置センサ180は切断機構を含み、この機構は血液ライン160の十分な引張りに応じて分析回路190から位置センサ180を切断する。これは分析回路190への戻り信号を変化させ、その結果、医療従事者に警告するため警報器200に送られるアラーム出力が発生させられる。
【0036】
以下にシステムの主要素の各々の詳細な説明を順を追って行う。
【0037】
(位置センサ)
図4−6に示した位置センサ180の実施形態は、基礎メンブラン層210、第二のメンブラン層220、および第三のメンブラン層230を含んでいる。第一の導電層または感知アレイ240は基礎メンブラン層210と第二のメンブラン層220との間に配置され、第二の導電層または感知アレイ250は第二のメンブラン層220と第三のメンブラン層230との間に配置されている。感知アレイ240、250は単一の第二のメンブラン層220によって分離されているが、別途実施形態において、感知アレイ240、250は2層以上の層によって分離されかつ/またはそれらの間に付加的なセンシング層を有していてもよい。
【0038】
基礎メンブラン層210は1種類またはそれ以上の適切な医療用生体適合性材料からなり、図示したような方形を有しており、または別の形態を有していてよい。これはその他のメンブラン層220、230についても同様である。基礎メンブラン層210の下側面は医療用生体適合性粘着剤252(図5A,5B)で完全にまたは部分的にコートされているかまたはその種のコーティングによって縁取られていてよく、それはさらに、患者105の所定の箇所に位置センサ180を貼着し得るように再剥離シートで被覆されていてよい。血液ライン160に取り外し応力が加わり、位置センサ180を通じて伝送される信号が遮断されてアラーム状態が惹起される際に装置が前述したように機能し得るように、所定のライン270に沿ってまたは位置センサ180のコネクタ箇所において位置センサ180の制御された分断を容易にするため、粘着剤は異なった粘着強度を有する1または複数の粘着剤を含んでいてよい。位置センサ180は、当業者に知られた、医療用生体適合性粘着剤と結びついたもしくはそれに代わる任意の方法で保持されていてよい。位置センサ180の位置的安定性はシステムの機能的利点にとって最も重要である。位置センサ180はいかなる場合にもフィステル針150および/または血液ライン160に確実に結合されていなければならない。この結合は製造時に行われても、使用時に行われても、または時としてそれらの中間の時期に行なわれてもよい。
【0039】
別途実施形態において、基礎メンブラン層210は、患者105の皮膚との確実な接触を示すため、基礎メンブラン層210のやや下方に1または複数の電極を担持していてよい。この目的に使用することのできる代表的な電極はプレチスモグラフまたは心電図(ECG)リードセットに使用される銀/塩化銀タイプの電極であるが、当業者に公知の類のその他のタイプの電極および/または補助センサが使用されてもよい。1または複数の電極および/またはセンサは第一の感知アレイ240に結合されるかまたは患者105の皮膚との実際の物理的接触を判定するための別の電気的接続が行われていてもよい。第一の感知アレイ240は、それが基礎メンブラン層210の下側に配置されるかまたは基礎メンブラン層210が存在しない場合には、患者105との良好かつ安定した結合を表すバイオリズム出力を供することができる(たとえばECG波形が分析回路190に伝送されてよい)。この実施態様の付加的な利点は、患者に異変が生じて波形が終了させられると、警報器200によるアラームが作動させられることである。
【0040】
基礎メンブラン層210は、発汗、血液、その他の液体および/または蒸気が層を自由に通過し得るようにする穴260を有していてよい。これらの一連の穴260は、サイズ、形状、数量および場所的密度の点で同一もしくは相違していてよい。基礎メンブラン層210(およびその他のメンブラン層220、230)は所定のルートに沿って目打ち270を有するかまたはその他の予備的処理が行われていてよく、これにより、血液ライン160またはフィステル針の引っ張りによって同所に物理的な力が加わると所定のラインに沿って位置センサ180が容易に分断されることになり、こうしてアラーム状態が生ずることとなる。目打ち270は、脱離部269の折返し接着タブ268の境界を形成する一般に矩形の切り欠き266に連続している。接着タブ268はその上側面に剥離性シートで覆われた粘着剤を有していてよい。折返し接着タブ268と目打ち270とは組になって脱離機構を形成する。別途実施形態において、脱離機構は別途構造、異なった要素、および/またはより多数または少数の要素を有していてよい。図6に示したように、使用中、血液ライン140および/またはフィステル針150は切り欠き266を横断して、接着タブ268の上側かつ残りの位置センサ180の下側に配置され、剥離性シートが接着タブ268から剥がされて接着剤が露出され、こうして接着タブ268は血液ライン140および/またはフィステル針150を包むようにして折り返されて第三のメンブラン層230の上側表面に接着されるため、血液ライン140および/またはフィテル針150はタブ268によりしっかり固定される。その結果、血液ライン140に引張りが加わると、導線272または接続284と脱離部269が目打ち270に沿って残りの位置センサ180から切り離され、こうして導電路が遮断され、分析回路190が警報器200によるアラームを作動させる。
【0041】
基礎メンブラン層210の上側面は第一の感知アレイ240がその上に布設、塗設、蒸着、接着またはその他の方法で配置されるベースとして使用されてよい。第一の感知アレイ240は基礎メンブラン層210と第二のメンブラン層220との間に保持され、複数の導線またはトレース272を含んでいてよい。位置センサ180と分析回路190とを接続する導線273(図6)の1つは第一の感知アレイ240の一端の接続点274(図4)で第一の感知アレイ240に接続されてよい。1個もしくは複数の抵抗276は第一の感知アレイ240の他端に配置され、第一の感知アレイ240を第二のメンブラン層220に設けられた穴278を通して第二の感知アレイ250と抵抗接続するのに使用されてよい。第一の感知アレイ240は基礎メンブラン層210と第二のメンブラン層220との間の領域を均等に覆うように構成、配置されていてよい。第一の感知アレイ240は基礎メンブラン層210に設けられた穴260の一部または全部を覆っても、あるいはそれらの穴をまったく覆わなくてもよい。第一の感知アレイ240は層210、220の一方に埋設されるかまたは層210、220の間に単に固定されるかまたは保持されればよい。第一の感知アレイ240は単極性であるかまたは複数のリードで構成されて多極性を有していてもよい。
【0042】
第二のメンブラン層220も穴280を有し、これらの穴はサイズ、形状、数量および場所的密度の点で同一もしくは相違していてよい。
【0043】
これらの穴280はその他の層の穴と整合していても、整合していなくてもよい。第二のメンブラン層240の上面は第二の感知アレイ250がその上に布設、塗設、蒸着、接着またはその他の方法で配置されるベースとして使用されてよい。第二の感知アレイ250は第二のメンブラン層220と第三のメンブラン層230との間に保持され、複数の導線またはトレース282を含んでいてよい。位置センサ180と分析回路190とを接続する導線273の1つは第二の感知アレイ250の一端の接続点284で、はんだまたはその他のよく知られた電気的接続方法で第二の感知アレイ250に接続されてよい。これらのコネクタは調整された強度または保持力を有するものであってよい。第二の感知アレイ250は第二の感知アレイ250の他端に配置された1個もしくは複数の抵抗276と接続されている。第二の感知アレイ250は基礎メンブラン層210と第二のメンブラン層220との間の領域を均等に覆うように構成、配置されていてよい。第二の感知アレイ250は第二のメンブラン層220に設けられた穴280の一部または全部を覆っても、あるいはそれらの穴をまったく覆わなくてもよい。第二の感知アレイ250は層220、230の一方に埋設されるかまたは層220、230の間に単に固定されるかまたは保持されればよい。第二の感知アレイ250は単極性であるかまたは複数のリードで構成されて多極性を有していてもよい。
【0044】
感知アレイ240、250は1個もしくは複数の抵抗276によって抵抗接続されて、以下に詳細に述べるように、本発明のフェイルセーフ機能を可能とするのが好ましい。別途実施形態において、双方のアレイ240、250の回線またはトレースは抵抗性材料で構成されてよい。
【0045】
感知アレイ240、250は層210、220、230の間の領域を均等に覆うように構成、配置されるものとして説明したが、感知アレイ240、250による前述した領域の被覆は必ずしも均等でなくてもよい。別途実施形態において、異なった領域が異なった形で被覆されてもよい。たとえば、位置センサ180の中心近傍にスペースが配置され、こうして感知アレイ240、250のいずれにも損傷、障害、接触を生ずることなく、位置センサ180を貫いて針入することが可能とされてもよい。
【0046】
第三のメンブラン層230も1種類またはそれ以上の適切な医療用生体適合性材料で構成されていてよい。第三のメンブラン層230は基礎メンブラン層210および第二のメンブラン層220のように穴を含んでいないのが好ましいが、ただし、発汗および蒸気の蒸散を可能とし、血液またはその他の液体の蒸散を不可とする1種類またはそれ以上の適切な材料からなっているのが好ましい。この選択的透過膜層または半透膜層230は、基礎メンブラン層210の粘着剤によって形成されるシールと連携して、感知アレイ240、250が、保護された領域から生ずるいっさいの血液または液体と確実に接触することを保証する。
【0047】
メンブラン層210、220、230の外側端縁は、当業者に公知のいかなる方法で、互いに封止、接着または接合されていてもよい。
【0048】
位置センサ180は針挿入位置上の1またはそれ以上の層のすべてが透明であるのが好ましい。
【0049】
図8には位置センサ180の別途実施形態が示されており、同図において、リード線273は脱離部269とは反対側に位置する位置センサ180の一端近傍の脱離コーナー部292で位置センサ180と接続され、患者の腕に巻着されている。巻着機構300はリード線273を締めて腕にぴったりフィットさせ、腕に対する位置センサ180の物理的保持固定をより安定化させるために使用される。血液ライン160は、図4−6に関連して既述したのと同様にして、脱離部269の接着タブ268によって位置センサ180に固定されており、その結果、フィステル針150の離脱・外れを招来する力は目打ち270に沿って接着タブ268と脱離部269とを位置センサ180から切り離して導電路を遮断し、これが分析回路190によって検知されてアラームが発生する。同じく、フィステル針150の外れを招来する力(または患者の腕の動き)は、患者の皮膚にしっかり付着されている位置センサ180と脱離コーナー部292の一方もしくは双方を目打ち294の一方または双方に沿って切り離すこととなる。これによって導電路は遮断され、これが分析回路190によって検知されてアラームが発生する。別途実施形態において、位置センサ180の目打ち276、294の一方もしくは双方は、図示例とは異なり、真っ直ぐな一直線状または曲線状に形成されていてもよい。
【0050】
位置センサ180を使用しない別途1実施形態において、リード線と同様な1つの導線290を単に患者の腕に巻着して、この導線をフィステル針150に固定し、こうして、漏れ検知なしで針の外れが示されるようにすることができよう。というのも、この実施形態において、血液ライン160に引っ張りが加わると、導線が切断されて導電路が遮断され、これが分析回路190によって検知されてアラームが発生するからである。この実施形態において、導線はメディカルテープ、パッチまたは当業者に公知の方法で腕に固定されるのが望ましいであろう。
【0051】
次項以下において、本願明細書に述べるシステムまたは位置センサの1または複数の実施例180、310、350(以下、「位置センサ180」と称する)の一部であってよい特徴を示す。
【0052】
たとえば、システムの1または複数の実施例において、システムは以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。システム全体は単一のユニットで構成されている。1または複数の位置センサ180、分析回路190および警報器200は互いに統合されている。このシステムは人体または動物のアクセス位置における血液/液体・漏出および/または針の外れをモニタリングするために使用される。位置センサ180、分析回路190及び警報器200はいかなる機械的接続装置で互いに接続されていてもよい。位置センサ180、分析回路190および警報器200はいかなる電気的接続装置で互いに接続されていてもよい。位置センサ180、分析回路190および警報器200はいかなるハローファイバまたはソリッドファイバ装置で互いに接続されていてもよい。位置センサ180、分析回路190および警報器200はいかなるタイプのテレメータリング機器を介して接続されていてもよい。位置センサ180、分析回路190および警報器200はいかなるタイプの光学/フォトニクス・機器を介して接続されていてもよい。位置センサ180、分析回路190および警報器200はいかなるタイプの機器コンビネーションを介して接続されていてもよい。位置センサ180および警報器200は独立した別個の制御器で制御される。位置センサ180は端部に、導電トレースまたはリードの接続領域を有する一連のタブを有している。位置センサ180は導電トレースまたはリードの接続領域を有する端部に一連のタブを有し、該タブは回路を完成する折り返しタブを備え、すべてのタブが(粘着接触で)折り返されると、回路は連続して、分析回路190または警報器200(または両者のコンビネーション)につながる実際のコネクタが位置する1つのコーナーまたはタブの箇所で終端を形成する。位置センサ180は、位置センサ180の端縁のいかなる場所にもコネクタが取り付けられて感知アレイの所要のリードとの間の十分な接点をつくり出すことができるように、位置センサ180の外側を取り巻く一連の導電リングを有している。位置センサ180は所要の数の不連続接触領域を有するステレオプラグまたはその他のタイプのプラグを使用する。位置センサ180は各々のレベルに(さまざまなレベルをアクティブにすることを可能にする)接点またはコネクタを有しており、これらは互いに相互接続されてもされなくてもよい。位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリは被験者の監視位置に粘着固定されるかまたは適正に配置される。被験者の監視位置に粘着固定または適正に配置される、位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリは、位置センサ180が所定のラインに沿って容易に分断されるようにするため、相対粘着強度の異なる粘着剤を有している。被験者のモニタ位置への位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリの固定または適正な配置は−(a)以下の材料たとえば繊維、プラスチック、チューブ、ストラップまたはその他の有用な材料あるいは、位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリを被験者のモニタ位置に接触または適正に配置し得るように結合、接続、接合またはその他の方法で連結された装置の配備によるか、(b)位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリを被験者の監視位置に接触または適正に配置し得るようにする、それらと直接に結合されてもされなくてもよい粘着テープの配備によるか、(c)位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリを被験者のモニタ位置に物理的に接触または適正に配置し得るようにするクランプの配備によるか、(d)位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリを被験者のモニタ位置に接触または適正に配置し得るようにする前述した方法(a),(b)および/または(c)のコンビネーションによるか−のいずれか1または複数の方法によって行われる。電源と分析回路190とは透析ユニット内に収容されている。電源と分析回路190とはアフェレーシスユニット内に収容されている。電源と分析回路190とは輸液ユニット内に収容されている。電源と分析回路190とは医療器具内またはその他の医療装置内に収容されている。電源と分析回路190とは輸液ポンプユニット内に収容されている。位置センサ180は、導線、導線セット、コイル線セットまたは当業者に知られたその他の形の導線またはケーブルで、分析ユニット190および/または警報器・アセンブリに接続されている。位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリは、座席、ベッド、マットレス、フロート、クッション、車輪付き寝台、または患者を支えるその他の物理的手段に取付けられている。位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリは、床、天井、壁、柱、支柱、バー、または患者の上、周囲または近傍のその他の物理的構造物に取付けられている。
【0053】
位置センサ180、310、350の1または複数の実施例において、位置センサ180は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。異なった量の液体でもアラームが発生されるようにするため、材料層の数は相違し、固有の電気コネクタを有する1もしくは複数の感知アレイによって被覆される領域は相違していてもよい。複数のレベルの保護を可能とするかまたは新たな位置センサ180を使用する必要なしにシステムのリセットを可能とすべく、感知アレイに同心領域が設けられてよい。位置センサ180は、位置センサ180の機能検証を可能とするために、テストエリアを含んでいてよい。位置センサ180は1または複数の針が位置センサ180を斜めおよび/または直角に貫くことができるように形成されていても、1または複数の針が図示かつ上述したようにして取り付けられるように形成されていてもよい。この種の実施形態は、上胸域または鎖骨域に埋植された装置たとえばヴァスカ装置(Vasca device)、多くの手術に使用される排液チューブの類、および留置カテーテル、セントラルライン・カテーテル等と共に使用するのに理想的であろう。層210、220、230の間のスペースまたはギャップは異なっていてもよく、または位置センサ180のアラームの発生に必要な血液量またはその他の液体量の判定に使用される較正変数として機能してもよい。アラームを発生させた血液または充満するその他の液体を除去するために1または複数のドレン穴が位置センサ180に設けられていてよい。フィステル針150を再ポジショニングした後、位置センサ180の上面を押せば、1または複数のドレン穴−これには弁またはその他の流れ制御装置が設けられていてよい−から血液または充満液が排除され、こうして、交換の必要なしに位置センサ180を使用し続けることができよう。これは大型の位置センサ180、たとえば大きな創傷のカバリング用または、X線撮像による心臓検査(血管造影、血管形成術等)に使用されるようなシャントのモニタリング用位置センサ180の場合に著しく有利であろう。別法として、インサイチュ外で位置センサ180を洗浄するために非導電性滅菌水または空気さえも使用し得るように、位置センサ180は「ルアーロック」継手またはその他のチューブ/シリンジ・継手を有していてよい。この種の実施形態において、第三のメンブラン層230は前述の作業を容易にするため1または複数の排出穴を有していてよい。
位置センサ180の1または複数の実施例において、位置センサ180は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。位置センサ180はスイッチである。位置センサ180は使い捨て式である。位置センサ180は再使用可能である。位置センサ180の耐久寿命または使用回数は限定されている。位置センサ180は能動型センサである。位置センサ180は受動型センサである。位置センサ180は電子センサである。位置センサ180はフォトニックセンサである。位置センサ180は化学センサである。位置センサ180は機械式センサである。位置センサ180はあらゆる、接触、応力、温度、光、におい、化学物質、電位、または測定可能なその他の任意の物理的特性に反応する。位置センサ180は、接触、応力、温度、光、におい、機械的、化学的、電気的または電子的特性、および測定可能なその他の任意の物理的特性の1つまたは複数に反応する。位置センサ180は、モニタリングされている位置センサ180の、接触、応力、温度、光、におい、電気的または電子的特性、機械的、化学的、光学的またはその他の任意の物理的特性のいずれかの欠如に反応する。位置センサ180は疎水性および/または親水性材料の別々の層からなっている。位置センサ180は透明な医療用生体適合性材料の別々の層からなっている。位置センサ180の1または複数の層は、下側の液体が別々の層(単数または複数)を通って自由に流れることを可能にする、それまたはそれらを貫く透過孔、穴、開口、または通路(単数または複数)を有している。位置センサ180のさまざまな透過孔、穴、開口、通路(単数または複数)は、数、サイズ、形状、場所、密度、僅少性、透過性、耐久性または機能の点で任意であってよい。位置センサ180のさまざまな透過孔、穴、開口、通路(単数または複数)は、数、サイズ、形状、場所、密度、僅少性、透過性、耐久性または機能の点で異なっていてよい。1または複数の位置センサ180のさまざまな透過孔、穴、開口、通路(単数または複数)は、数、サイズ、形状、場所、密度、僅少性、透過性、耐久性または機能の点で層ごとに異なっていてよい。メンブラン層は液体または蒸気の存在または欠如に反応し、穴、開口、通路(単数または複数)またはメンブランを貫くその他のルートの、サイズ、形状またはその他の特徴を変化、調整、軽減、増強、増大またはその他の形で変化させることができる。位置センサ180は不透明材料のコンビネーションである。位置センサ180は、目打ちの入れられた、薄化、脆弱化された、またはその他の方法で処理されて、力(せん断力)を所定のラインに沿って位置センサ180上に、または該センサに沿って、または該センサを横断して、または該センサ全体にあるいは該センサを貫いて導いて、パッチが確実に切り離されるかまたは二分され、こうして、それに加わる物理的な力に基づいて位置センサ180の電気的、機械的、化学的、光学的、音響的または、モニタリングされるその他の物理的特性を変化させる領域を含んでいる。位置センサ180は、センサ180の全体を横切っていてもいなくともよい、前述した目打ちのつけられた、薄化、脆弱化された区域または力誘導区域を含んでいる。1または複数の層の、目打ちの入れられた、薄化、脆弱化された区域または力誘導区域はそれぞれの層で相違していてよい。位置センサ180は、直線状ではなく、曲がった形状、円状またはその他の所望の形状の、前述した目打ちのつけられた、薄化、脆弱化された区域または力誘導区域を含んでいる。位置センサ180は、位置センサ180の1コーナーまたはコーナーの1つまたは端部に配置された、前述した目打ちのつけられた、薄化、脆弱化された区域または力誘導区域を含んでいる。層の能動型センシングエリアは、導線、トレース、さまざまな導電性材料、金属、塗設トレース、導電性液体塗設、スパッタリング蒸着膜、化学蒸着膜、MEM生成、ホトリソグラフィー、またはその他の電気的接続形成法で形成されている。位置センサ180は、液体または蒸気の存在下で溶解してもしなくともよい導電相またはアレイを有している。位置センサ180は、身体の異なった領域への適用に所望される、いかなる形状、厚さ、曲面を有していてもよい。異なったレベルの能動型センシングエリアはサイズおよび/または形状の点で相違していてよい。位置センサ180の特定の領域はその一連の層を通じて、位置センサ180自体への針またはその他の装置または観察手段またはその他のモニタリングアクセス手段の貫入を可能とするために、能動型センシングエリアのない部域を有している。位置センサ180はその内部に、モニタリングされる身体との実際の物理的接触を判定し得る任意の補助的位置センサ180を含んでいる。位置センサ180はその内部に、モニタリングされる身体との実際の物理的接触の程度を、光、熱、および音響−ただしこれらに限定されるわけではない−による応用センシング法を用いて感知する機能を有している。位置センサ180は湿式、乾式または湿乾双方の部品を含んでいる。位置センサ180は公知のタイプの任意の「ドライゼリー(dry jell)」材料を含んでいる。位置センサ180の内実および構造はモノリシックであるかまたはディスクリート部品で構成されていてよい。位置センサ180は全体として、蒸気が透過可能なメンブランまたは層からなるかまたは部品としてそれらを有している。位置センサ180は、透過性の異なるかつ/または可変的な蒸気透過性メンブラン層を含んでいる。位置センサ180の層は、縫い付け、接合、結合、封止、融着、粘着固定、接着、融合または当業者に公知のその他の任意の方法で連結されている。位置センサ180の外周は吸収性材料領域で包囲されている。位置センサ180は吸収性材料層を含んでいる。位置センサ180は測定または評価可能な任意の物理的特性をモニタリングする。位置センサ180は分析回路への出力を行うために、サーミスタ、熱変換器、または熱検出器からなっている。位置センサ180は、サーミスタ、熱変換器、または熱検出器の応答性を向上させるため、発熱性または吸熱性化学物質(単数または複数)を使用する。位置センサ180は、リードスイッチまたは、スイッチに圧力を及ぼす親水性材料の充満に起因する圧力によって状態が変化させられるその他の機械式スイッチと組み合わせて親水性材料を使用する。親水性スイッチは、収納および/または圧力をスイッチに向けることを目的とした半硬質カバーの内部に収容されていてもいなくともよい。位置センサ180は、任意の適切な材料またはクロス製の非導電カバー内に完全に入れられたリードスイッチまたはその他のタイプの物理スイッチを含んでいる。位置センサ180は位置センサ180の状態を判定するために共振周波数を使用する。位置センサ180は位置センサ180の状態を判定するために共振周波数およびその安定性ならびに範囲を電子的に判定するシステムを使用し、位置センサ180の部分的充満または位置センサ180の領域の僅かな動きが生じた場合に、新たな周波数の近辺にリセットすることが可能である。位置センサ180は、位置センサ180と接触するものの当否の区別を支援するために、異なった層に適用される異なった化学物質またはその他のディスクリートセンサを有している。位置センサ180は身体との接触を判定するために、2またはそれ以上の電極を使用し、それらの間で測定を行う。位置センサ180は身体との接触を判定するために単一の電極を使用する。位置センサ180は、アラーム状態の作動に要される血液量または液体量を制御または調整するために、位置センサ180の別々の層間の間隔またはスペースを使用する。位置センサ180は、充満する血液または液体を排出し得るように、位置センサ180の1または複数の領域にドレン穴を有している。位置センサ180は蒸気不透過メンブランまたは限定的透過性を有するメンブランからなる最上層に、指で押さえられて位置センサ180に加えられる圧力によって血液がドレン穴から押し出されて位置センサ180のリセットを可能とする1または複数の穴を有している。位置センサ180は、位置センサ180の内部スペースを浄化するために液体またはガスまたは蒸気の注入を可能とするルアー継手またはその他の適切な継手を有している。位置センサ180は、陰圧または、液体、血液または充満を生ずる蒸気の吸引除去を可能とする吸引口を有している。位置センサ180は、位置センサ180に接触している液体の判定を可能とする種々の化学的判定センサを含んでいる。位置センサ180は、位置センサ180に接触している液体を判定するために、異なった液体のさまざまな光学的特性を使用する。位置センサ180は、液体の存在を判定するために、容量型または誘導型の位置センサ180を有する親水性内側層を使用する。容量型または誘導型の素子はセンサ180自体に対して外付けである。位置センサ180は、硬質または半硬質の容器またはパッケージに収容された親水性パッドの液体の圧力を変化させる圧電結晶または装置を使用する。位置センサ180は、湿潤すると電位または電流を生ずる電気活性粉末を使用する。
【0054】
位置センサ180のその他の1または複数の実施例において、位置センサ180は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。位置センサ180への入力は、電気式センサ、機械式センサ、化学センサ、光学センサ、またはその他の任意のタイプのセンサによる。位置センサ180への入力は直流(DC)電圧電位である。位置センサ180への入力は交流(AC)電圧電位である。位置センサ180への入力は振幅変調された(AM)信号である。位置センサ180への入力は周波数変調された(FM)信号である。位置センサ180への入力はパルス幅変調された信号である。位置センサ180への入力は(任意の波長の)光源である。位置センサ180への入力は電磁スペクトルの一部である。位置センサ180への入力は熱的変化である。位置センサ180への入力は機械的な力である。位置センサ180への入力は電気化学的変化である。位置センサ180への入力は任意のコンビネーションの入力である。センサ入力はコンピュータファイルに送られる。センサ入力は電子記憶装置またはメディア装置に送られる。センサ入力はコンピュータモニタに表示される。センサ入力はメディア装置のユーザインタフェースに表示される。位置センサ180への入力は出力と相違している。位置センサ180は多重または単一モードで動作する。位置センサ180の動作はモードを変えることができる。
位置センサ180のさらなる1または複数の実施例において、位置センサ180は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。位置センサ180からの出力は、電気的、機械的、化学的、熱的、光学的、またはその他の任意のタイプの出力による。位置センサ180からの出力は直流電圧(VDC)電位である。位置センサ180からの出力は交流電圧(VAC)電位である。位置センサ180からの出力は振幅変調された(AM)信号である。位置センサ180からの出力は周波数変調された(FM)信号である。位置センサ180からの出力はパルス幅変調された信号である。位置センサ180からの出力は(任意の波長の)光源である。位置センサ180からの出力は電磁スペクトルの一部である。位置センサ180からの出力は機械的な力である。位置センサ180からの出力は電気化学的変化である。位置センサ180からの出力は任意のコンビネーションの出力である。位置センサ180の出力は入力と相違している。センサ入力は出力と相違している。センサ出力はコンピュータファイルに送られる。センサ出力は電子データ記憶装置またはメディア装置に送られる。センサ出力はコンピュータモニタに表示される。センサ出力は医療装置のユーザインタフェースに表示される。センサ出力は、いずれの層が応答または出力を供しているかまたはどこで分散が検出されるかに応じて、可変的である。センサ出力は、位置センサ180によって検出された液体量に応じて、可変的または漸進的または逆進的である。
【0055】
(分析回路/警報器)
図7には、分析回路190の1実施形態の電気回路が示されている。図示した分析回路190は、1実施形態において導線273を経て位置センサ180に送られる電気出力信号の値を、位置センサ180から導線273を通じて受け取る入力信号の値と比較する標準コンパレータである。これによって本発明のフェイルセーフ機能が実現されるが、それはもし出力信号と入力信号との間の差が所定の範囲の範囲外にあるかまたは、検出部269が位置センサ180から脱離した場合のように、戻り信号がないかすれば、分析回路190はそうした変化に応答して、警報器200に出力信号を送り、1または複数のスイッチが閉じられて警報器200が作動させられるからである。分析回路180と警報器200には電源302による給電が行われてよい。分析回路はコンパレータを含むものとして示されているが、別途実施形態において、本発明のフェイルセーフ機能を実現するために他の分析回路を使用することも可能である。さらに、本願明細書に記載の機能を実行するハードウェアは、特定用途向け集積回路(ASIC)、一連のワイヤード論理回路、および電気部品たとえばトランジスタ、キャパシタ、および抵抗のハードワイヤード回路−ただしこれらに限定されるわけではない−を含んでいる。さらに、本願明細書に記載の機能を実行するために、ハードウェアおよびソフトウェアが使用されてよい。本願明細書に記載の機能を実行するためのハードウェアおよびソフトウェアの例はプログラムドコンピュータおよび特定用途向けコンピュータ−ただしこれらに限定されるわけではない−などである。分析回路190は電源から給電される。
【0056】
分析回路190の1または複数の実施例において、分析回路190は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。分析回路190は、電気絶縁されていない患者につき、当該文書2.3によって求められる電気医療器具の安全電流限度の接続要件に準拠した電気的絶縁を実現する。分析回路190はセンサ180、310、350の一部である。分析回路190はセンサ/警報器・アセンブリの一部である。分析回路190は、警報器200によってアラームが生じた場合に分析回路190をリセットするためのかつ/または警報器200のアラームを消すための、リセットボタンおよび/またはミュートボタンを含んでいてよい。
【0057】
警報器200の1または複数の実施例において、警報器200は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。警報器200への入力は、電気式センサ、機械式センサ、化学センサ、光学センサ、またはその他の任意のタイプのセンサの出力である。警報器200への入力は直流(DC)電圧電位である。警報器200への入力は交流(AC)電圧電位である。警報器200への入力は振幅変調された(AM)信号である。警報器200への入力は周波数変調された(FM)信号である。警報器200への入力はパルス幅変調された信号である。警報器200への入力は(任意の波長の)光源である。警報器200への入力は電磁スペクトルの一部である。警報器200への入力は熱的変化である。警報器200への入力は機械的な力である。警報器200への入力は電気化学的変化である。警報器200への入力は任意のコンビネーションの入力である。警報器200への入力は出力と相違している。警報器200は多重または単一モードで動作する。警報器200の動作はモードを変えることができる。警報器200からの出力は、電気的、機械的、化学的、熱的、光学的、またはその他の任意のタイプの出力である。警報器200からの出力は直流電圧(VDC)電位である。警報器200からの出力は交流電圧(VAC)電位である。警報器200からの出力は振幅変調された(AM)信号である。警報器200からの出力は周波数変調された(FM)信号である。警報器200からの出力はパルス幅変調された信号である。警報器200からの出力は(任意の波長の)光源である。警報器200からの出力は電磁スペクトルの一部である。警報器200からの出力は機械的な力である。警報器200からの出力は電気化学的変化である。警報器200からの出力は任意のコンビネーションの出力である。警報器200のセンサ出力は入力と相違している。警報器入力は出力と相違している。警報器出力はコンピュータファイルに送られる。警報器出力は電子データ記憶装置またはメディア装置に送られる。警報器出力はコンピュータモニタに表示される。警報器出力は医療装置のユーザインタフェースに表示される。警報器出力は、いずれの層が応答または出力を供しているかまたはどこで分散が検出されるかに応じて、可変的である。警報器出力は、位置センサ180によって検出された液体量または変化の速度に応じて、可変的または漸進的または逆進的である。警報器200の出力は任意の電子データ記憶装置に向かう。各々の部品用の独立した電源は互いに相違していてよい。警報器200の出力は視覚的である。警報器出力は任意の音量または周波数で聴くことが可能である。警報器出力は振動である。警報器の出力は電子信号である。警報器出力は光学/フォトニック・信号である。警報器出力は電磁スペクトルの任意の一部である。警報器200自体は任意の形状またはサイズであってよい。警報器出力は任意のコンビネーションの出力である。位置センサ180、分析回路190および警報機200は任意の物理的結合装置で互いに結合されていてよい。
【0058】
分析回路190の電源302の1または複数の実施例において、電源302は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。分析回路190は外部電源から給電される。分析回路190は内蔵電源から給電される。分析回路190は太陽エネルギによって給電される。分析回路190は、外部電源、内蔵電源または太陽電源のコンビネーションによって給電される。分析回路190は、内蔵されているかまたは外部にあるかまたはそれらのいずれであってもよい異なった電源のコンビネーションによって給電される。電源は使い捨て式バッテリである。電源は充電式バッテリである。電源の充電式バッテリは、それが取付けられている医療装置たとえば輸液ポンプまたは透析ユニットから充電される。電源は「Capバッテリ」またはその他の蓄電装置である。電源はさまざまな形状または電圧または出力を有する、知的所有権によって保護されているかまたは特注のバッテリである。電源は各々の部品用に独立している。電源は冗長システムまたは「バックアップ」システムを備えている。電源はバッテリ切れ状態がモニタリングされる。電源は容量動向がモニタリングされる。電源は、容量動向と、予測電流サイクル容量および/または性能が受け入れ不可となる前の残存サイクルに関する示度とについてモニタリングされる。電源の状態はモニタリングされ、その状態はユーザインタフェースたとえばインジケータランプ、図的表現、モニタ(CRT、フラットパネル等)、または当業者に公知のその他の任意のフォーマットで表示される。電源は蓄電装置である。
【0059】
(使用法)
以下、図4−7を参照して、システムの使用法を説明する。電気信号は分析回路190から作動中の位置センサ180に送信される。信号は位置センサ180の第一の感知アレイ240から抵抗276を通過して第二の感知アレイ250に達し、同所から再び分析回路190に戻る。分析回路190はこの戻り信号をモニタリングする。この戻り信号が指定範囲の範囲外へ変化すると出力が生み出され、この出力が警報器200に送られてアラームを作動させる。モニタリングされる、戻り信号を指定範囲外へ変化させることとなる状態とは、静脈針の部分的な外れが生ずる場合および静脈針の完全な外れ/離脱が生ずる場合である。
静脈針の部分的な外れ(浸潤とは限らない)の間に、フィステル針150の周辺などに漏出またはその他の形で流れ出る血液は基礎メンブラン層210を通って第一の感知アレイ240に接触し、続いて第二のメンブラン層220を通り、こうして第二の感知アレイ250と接触するに至る。感知アレイ240、250は抵抗接続されており、分析回路190からの信号入力は(フェイルセーフ機能を実現するため)システム全体を通じて定値を供するため、血液との接触に起因する感知アレイ240、250の抵抗の変化は信号を変化させ、分析回路190への戻り信号は指定された範囲の範囲外にあることになる。分析回路190はこの状態に応答して警報器200に通電し、アラームを発生させる。
【0060】
静脈針が完全に離脱する間に、血液ライン160を包んでいるタブ268は離脱の原因となる引張り力を目打ち270またはその他の方法で弱化された領域に伝え、こうして、脱離部169が残りの位置センサ180から切り離されて、導線273と感知アレイ240、250との間の接続が切断される結果、電気回路は開路される。電気回路の分断によって分析回路190への戻り信号が消去される結果、送信信号と戻り信号(または戻り信号の欠落)との間の差は分析回路190によって定められた所定の範囲の範囲外にあることになる。分析回路190はこの状態に応答して警報器200に通電し、アラームを発生させる。
【0061】
(感熱型位置センサ)
図9には位置センサの別途実施形態310が示されている。この実施形態において、1または複数の感知アレイ320は、基礎メンブラン層と第二のメンブラン層(および、場合により、その他のメンブラン層)との間のスペースに、感知アレイ320に沿って離間配置された複数個のサーミスタ330を含んでいる。サーミスタ330は、基礎メンブラン層と第二のメンブラン層(および、場合により、その他のメンブラン層)との間のスペース内部に配された発熱性化学物質340内に配置されている。基礎メンブラン層はその下側面の周縁近傍が粘着剤でコートされており、蒸気、血液、またはその他の液体が自由に通過し得るようにする穴を有している。発熱性化学物質340は、血液またはその他の液体がそれに接触すると、熱ポテンシャルを発生する。こうして生じた熱的変化はサーミスタ330を昇温させ、この熱変化量と相関してサーミスタ330の抵抗値を変化させる。この抵抗の変化は分析回路190によって検出されて、アラームが発される。位置センサ310は、図6に関連して既述した脱離部269に類似した脱離部269を含んでいる。
【0062】
図10には位置センサ350のさらに別の実施形態が示されている。位置センサ350は、基礎メンブラン層と第二のメンブラン層(および、場合により、その他のメンブラン層)との間のスペースに配置された1または複数本の光ファイバ370からなる1または複数の感知アレイ360を含んでいてよい。上記に図示、説明した実施形態と同様に、基礎メンブラン層はその下側面の周縁近傍が粘着剤でコートされており、蒸気、血液またはその他の液体が自由に通過し得るようにする穴を有している。感知アレイ360の1または複数本の光ファイバは光源に接続することができる。1または複数本の光ファイバの外側は血液またはその他の液体の付着が促進されるように処理されていてよい。光源からの光は基礎メンブラン層と第二のメンブラン層との間に配置された1または複数本の光ファイバ内を通過する。血液またはその他の液体が基礎メンブラン層に設けられた穴を通過し、基礎メンブラン層と第二のメンブラン層との間のスペースを充満して1または複数本の光ファイバに接触すると、1または複数本の光ファイバを通る光の伝送は影響を受ける。これは分析回路によって検出されて、アラームが発される。別途実施形態において、光は血液またはその他の液体の存在によって遮られるブロックまたはその他の光学ユニットを通過し、分析回路によってそれが検出されるようにしてもよい。さらに別途実施形態において、層間スペースにおける血液またはその他の液体の物理的存在によって光路が変化させられて光画像が変化し、これが分析回路190によって検出されて、アラームが発されるようにしてもよい。
【0063】
本願明細書に述べた実際の構想に、以下の請求項によって定める本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、さらなる変化、修正を容易に加えることが可能であることは当業者には直ちに明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は人の正面図であり、多数の代表的な血管/腹膜・アクセス位置を示したものである。
【図2A】図2Aは通常ポジションにある透析処置椅子の1実施形態の正面透視図である。
【図2B】図2Bは図2Aの透析処置椅子の右側からの透視図であり、リクライニングポジションにある椅子を示したものである。
【図2C】図2Cは図2Aの透析処置椅子の右側からの透視図であり、完全にリクライニングされた、トレンデレンブルク体位ポジションにある椅子を示したものである。
【図3】図3は透析処置椅子に着座した透析患者に接続された血液透析ユニットの1実施形態の正面透視図である。
【図4】図4は、身体アクセス位置からの体液ロスおよび同所からの医療器具の外れをモニタリングするシステムの位置センサの1実施形態の分解透視図である。
【図5A】図5Aは、図4の5A−5A線に沿った位置センサの断面図である。
【図5B】図5Bは、図4の5B−5B線に沿った位置センサの断面図である。
【図6】図6は、患者の腕に付された図4の位置センサを体外血液循環回路の血液ラインおよび位置センサから延びる導電線と共に示す透視図である。
【図7】図7は、位置センサと共に使用される分析回路と警報器との1実施形態の電気回路図である。
【図8】図8は、患者の腕に付された別途実施形態の位置センサをフィステル針/体外血液循環回路の血液ラインおよび位置センサから延びる導電線と共に示す透視図である。
【図9】図9は位置センサのさらに別の実施形態の平面図である。
【図10】図10は位置センサのさらなる別の実施形態の平面図である。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、身体への医療器具挿入位置からの血液またはその他の液体の漏出および該挿入位置からの医療器具の外れを医療従事者に警告するための方法および装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
「フィステル針(fistula needle)」とは、血液透析用の体外血液循環回路にフィステル針を接続するために使用される医療用チューブ区間に結合される大きな口径の、通例14〜17番の針である。
【0003】
血液透析は腎障害を有する患者の主たる療法処置の一つである。これらの生命維持療法処置には通例、毎回3〜4.5時間を要し、週に3回またはそれ以上の回数が必要となることもある。ただし、手順、技法の違いまたは患者のニーズの変化によって、血液透析療法は6時間から一晩中かかることさえもある。
【0004】
血液透析中の血管系に対する最も通例のアクセスは、慢性患者の場合、皮膚を通して動脈/心室・移植片、埋植シャントまたは埋植レセプタクルにまで挿入される大きな口径の針を使用して行われる。
【0005】
処置の間、患者の血液は一般に透析器または血液透析器と呼ばれる濾過装置によって処理される。血液は血液ポンプの作用により体外血液循環回路を通ってこの濾過装置に向かって移動し、同所を通過して還流する。いずれの血液透析装置も、患者の安全を確保するために処置の間中その状態をモニタリングする一定のアラーム装置(AAMI RD5−3.3.6)を備えていることが必要である。これらのアラームは、温度、透析液圧力、膜透過圧力、血液循環圧力、導電度、血液漏出、および血液循環回路空気塞栓防止等のためのアラームである。
【0006】
血液は身体から動脈フィステル針を通って動脈血ラインに送られる。この動脈血は次いでポンピングにより血液ラインを通って濾過装置に送られて同所を通過し、静脈血ラインに接続されたフィステル針を通って身体に還流する。本願明細書で使用されているように、「静脈」との用語は「体内還流」を意味するために使用され、「動脈」との用語は「体外導出」を意味するために使用されている。これらのフィステル針は通例、アクセス位置近傍および周辺の患者皮膚にテープで固定される。
【0007】
上記のフィステル針の一方もしくは双方は処置中に時としてアクセス位置から変位したり外れたりすることがある。こうした危険な状況が意図せずに生ずることのある事例とは、たとえば着座姿勢から仰臥姿勢へ、または仰臥姿勢から着座姿勢への姿勢変化時に血液ラインが処置椅子に引っかけられることなどである。また、通常の動きに際して着衣や毛布がフィステル針やテーピングを擦る場合にも、外れが生ずることがある。時として、誰かが脇を通り過ぎる際に、足や歩行器、車椅子あるいはカートに血液ラインが引っかけられることもある。また、患者に付されたテープが皮膚の乾燥または汗などによって簡単に剥がれて、針が離脱してしまうことさえもある。処置中に意図的に針(単数または複数)が抜き取られることも前例がないわけではなく、精神的または情緒的に不安定な患者の多くは処置中拘束しておくことが必要である。また、多動的な患者もあり、子供の患者の多くは血液ラインやテープを強く引っ張ることがあり、こうして絶えず引っ張られることによって場合によりテーピングが弛んで剥がれ、フィステル針が脱落することもある。
【0008】
万一、静脈針が処置中に部分的に外れるような場合には、患者の血液が(周辺組織部に)浸潤して通例非常な苦痛を引き起こすか、または血液が針挿入位置の周囲に漏れ出すことがあり、あるいはまた双方の事態が生ずることもある。
【0009】
万一、静脈針が血液透析処置中に完全に離脱するような場合には、患者の血液は環流されることがなく、血液は実際のところ排出されてしまうことになる。50〜650ml/min.の送出性能を有する通常の血液ポンプを使用する場合、血液ロスは非常に急速に生じ得る。この状況に対しては、放血による患者の深刻な被害または死亡を防止するために、即時の医学的対処が必要である。極めて注意深くかつ熱心な医療従事者といえども個々の患者を四六時中監視することができないのは明らかであろう。
【0010】
現在のところ、静脈針の外れをモニタリングするための主たる装置は静脈圧モニタ(VPM)である。ただし、一定の状況下で、VPMは静脈針変位にとって信頼し得るインジケータではない。というのもVPMは標準アラームリミット範囲(50ml/min.)を超える変化を「みとめ」ないことがあるからである。こうした事態はアラームリミットが平均圧力変動の「中心」に設定されない場合に増強されることがある。はなはだしい場合には、フィステル針の比較的小さなオリフィスを通って移動する粘稠な血液によって静脈血ラインに発生する固有の「背圧」により、VPMが(アラームを発するのに)十分な血圧変化を示さないこともしばしばある。
【0011】
部分的な取り外しの問題を解決する一つの試みは、Shawによって、同人の特許文献1および特許文献2に提案されている。これらは基本的に、浸潤の存在を判定するために皮膚温度の上昇を利用する。この方法は、それがこの問題に対する身体の反応に依存しているために、応答がむしろ遅いという点で制限されている。これに加えて、この方法は目下の取り外しの問題に対処することができない。さらに浸潤は苦痛をもたらし、それを解消する手術を要し、直ちに生命を脅かすわけではないにせよ、手足の喪失に至ることさえもあろう。
【0012】
完全な離脱の問題に対して提案された一つの試みは、体外血液循環回路で検知可能なパルス(ナチュラルパルスまたは付加パルス)をモニタリングする、Goldau,Rainerによる、「Method and device for monitoring a vascular access during a dialysis treat−ment」を表題とする特許文献3に記載されている。この方法は商業的成功も広範な普及をみることもなかったが、それは、説明された圧力が、4時間もしくはそれ以上に及ぶ処置中において非現実的な想定と思われる、非常に動きのない静止した患者を前提しているからだと考えられる。前述した針内部の固有のナチュラルプレッシャによって、針の取り外しがなくとも、ごく僅かな腕の動きでさえVPMを作動させることがある。
【0013】
血液またはその他の液体の固有の導電度を利用してアラームを発するように設計された、汚れた状態を示すためにおむつに最もよく使用されている、多くのセンサが存在する。
【0014】
Fisher,et al.の特許文献4には、おむつの場合に体液および汚物の固有の導電度を利用してアラームを発する「System for use in detection of electrically conductive fluids」が提案されている。このシステムはセンサエラーまたは切断が生ずることがあり、しかもスタッフにセンサエラーまたは切断の発生のアラームを発しないため、患者を適切に保護することができない。加えてこの装置は、電気絶縁されていない患者につき、当該文書2.3によって求められる、電気医療器具に関する安全電流限度の接続要件の遵守を明示的に実現していない。
【0015】
「Nonstretchable wound cover and protec−
tor」を表題とするDaneshvarの特許文献5は簡単な血液漏れ検出器を記載している。血液で汚れたガーゼパッドは回路を形成することとなり、こうして音響アラームを発生する。Fisherの装置と同じく、Daneshvarの装置もセンサエラー発生時にアラームを発しない。また、Daneshvarの装置も、電気絶縁されていない患者につき、患者の電気的ダメージを防止するための接続要件の遵守を実現していない。加えて、Daneshvarの装置がアラームを発するかどうかは、非導電性液体による飽和または圧縮による飽和あるいは一定の医用ゲル、ペーストまたは軟膏剤のコーティングによって左右されるガーゼの吸収性次第であろう。
【0016】
非特許文献1および非特許文献2に記載された装置は体外循環回路の分断を検知しようとしている。しかしながら、これらの装置のいずれもアクセス位置が支障なく見通せるように構成されていない。これらの装置に共通しているもう一つの問題は、それらが透析機械に組み込まれた部品として使用されるように設計されていることである。結果として、これらの装置は特別にスタンドアロン使用向けには設計されていない。さらに大きな問題は、これらの装置はいずれも故障時の安全性が確保されていないことである。装置がなんらかの理由、たとえばバッテリの上がりによって作動しなくなると保護は失われるが、スタッフはそのことに気付かない。これらの引用文献はいずれも装置が針の取り外しを判定するとしているが、実際には、それらは血液またはその他の導電性液体しか検知しないという点で、おむつ湿りセンサのアイデアを基礎とした単なるバリエーションにすぎない。それらは実際のところ針のポジションを判定しない。比較的最近の埋植チューブのあるものやその他の新しいタイプの血管アクセスの場合には、針が抜けても出血はほとんどなく、したがって、針の突然の抜脱時、たとえば血液ラインが足に引っかけられたりあるいは精神的に不安定な患者が故意に針を外すような場合に、スタッフにうまくアラームが発せられる可能性は限定されている。これに加えて、透析以外に適用する際に、下側領域または支持体が血液、体液またはその他の液体を押し出してセンサを湿潤させるのに十分な相対正圧を有していないこともある。
【0017】
前述した引用文献およびその他の従来の技術に述べられている再使用可能なセンサは、滅菌、滅菌保管、使用に先立って滅菌剤が残留していない旨の検証、元の患者のみによる装置の再使用、主観的評価による品質問題など−ただしこれらに限定されるわけではない−を含む、汚染した医療器具の再使用と関連した無数の問題ならびにコストを招来する。
【特許文献1】米国特許第3,618,602号明細書
【特許文献2】米国特許第4,010,749号明細書
【特許文献3】米国特許第6,077,443号明細書
【特許文献4】米国特許第5,790,036号明細書
【特許文献5】米国特許第5,779,657号明細書
【非特許文献1】国際公開第99/24145号パンフレット
【非特許文献2】米国特許出願公開第2002/0198483号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、身体アクセス位置からの体液ロスおよび同所からの医療器具の取り外しをモニタリングする装置に関する。本装置は重要な医療用モニタとして使用するために設計されたシステムを含み、所要の電気的絶縁を実現し、アクセス位置を支障なく見通すことを可能にする。本装置には、保護が失われた場合にアラームを発し、少量の漏出時にはリセットが可能であり、特別なテスト装置を要することなく「インサイチュ」テストの実施が可能であり、使用中にパッチが剥がれたり損傷した場合にアラームを発し、スタンドアロン使用可能であって、既存の通常の血液透析ユニットのアラーム回路に組込まれる必要がなく、挿入位置からの針の相対的な取り外しをモニタリングし、監視された電源を備え、患者が故意に針を外す場合にアラームを発するように構成されたフェールセーフ機能を有する滅菌された使い捨て式センサが組み込まれている。
【0019】
さらに別の面において本発明は、患者身体にフィステル針が挿入されるアクセス位置からの血液漏出および該アクセス位置からのフィステル針の取り外しを医療従事者に警告するための、少なくとも1つの血液ラインと1つのフィステル針とに取り付け可能な血液透析用位置センサに関する。この血液透析用位置センサは、上側面と患者の皮膚に接着される下側面とを有しかつ1または複数の穴が配置されて血液および蒸気の通過を可能とする医療用生体適合性材料からなる基礎メンブラン層と、上側面と下側面とを有しかつ1または複数の穴が配置されて血液および蒸気の通過を可能とする第一のメンブラン層と、上側面と下側面とを有する第三のメンブラン層と、分析回路に電気連結されるように適合された電気的接続(この電気的接続は、基礎メンブラン層の上側面と第一のメンブラン層の下側面との間に配置された第一の感知アレイと、第一のメンブラン層の上側面と第三のメンブラン層の下側面との間に配置されて、第一の感知アレイに抵抗接続された第二の感知アレイとからなる)と、アクセス位置からのフィステル針の取り外しに応じて電気的接続を切断する、少なくとも1つの血液ラインとフィステル針とに取り付け可能な切断機構とを含み、電気的接続を通じて送られた電気信号は血液が少なくとも1感知アレイに接触するかまたは電気的接続が切断機構によって切断されると変化を生じ、これに応じて分析回路はアクセス位置からのフィステル針の部分的な取り外しまたは全面的な離脱を医療従事者に通報するアラームを発生させるように構成されている。
【0020】
さらに別の面において本発明は、血液透析中に患者身体にフィステル針が挿入されるアクセス位置からのフィステル針の部分的な取り外しおよび全面的な離脱を医療従事者に警告する方法に関する。この方法は、アクセス位置において患者の皮膚に接着される下側面を有しかつ1または複数の穴が配置されて血液および蒸気の通過を可能とする医療用生体適合性材料からなる基礎メンブラン層と、最上位のメンブラン層と、基礎メンブラン層と最上位のメンブラン層との間に配置された1または複数の抵抗接続された感知アレイからなる電気的接続と、アクセス位置からのフィステル針の取り外しに応じて電気的接続を切断する、少なくとも1つの血液ラインとフィステル針とに取り付け可能な切断機構とを含む位置センサの装着と、分析回路と電気的接続との間の電気導通の実現と、分析回路から位置センサへの信号の送信および分析回路による位置センサからの信号の受信ならびに電気的接続の1または複数の抵抗接続された感知アレイを通じた信号の伝送と、アクセス位置からのフィステル針の部分的な取り外しによって生ずる血液と1または複数の抵抗接続された感知アレイとの接触と、それに起因する、分析回路からの送信信号の変化と、アクセス位置からのフィステル針の完全な離脱によって生ずる切断機構による電気的接続の切断と、それに起因する分析回路からの送信信号の変化と、分析回路による、信号が所定の範囲の範囲外へと変化したか否かに関する判定と、信号が所定の範囲の範囲外へと変化した際の分析回路によるアラームの発生とによって達成される。
【0021】
さらになお別の面において本発明は、血液透析中の問題を医療従事者に警告する方法に関する。この方法は、血液透析中に当該アクセス位置にフィステル針用、針用またはその他の皮膚刺入医療装置用の能動型フェイルセーフ位置センサを装着し、能動型フェイルセーフ位置センサを使用して少なくとも以下の事態−つまり、能動型フェイルセーフ位置センサの故障、能動型フェイルセーフ位置センサへの給電障害、アクセス位置からのフィステル針の部分的な取り外しおよびアクセス位置からの針の完全な離脱−に際して医療従事者に血液透析中の問題を自動的に警告することによって達成される。
【0022】
さらなる目的および利点は、以下に述べる好ましい実施形態の詳細な説明ならびに図面を精査すれば、当業者には明白であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
図1−10を参照して、血液透析処置中に患者105の血管アクセス位置をモニタリングし、針の取り外しが生じた場合に医療従事者にアラームを発するシステムおよび方法の1実施形態を説明する。
【0024】
本システムは血液透析処置中の血管アクセス位置のモニタリングと関連して説明されるが、このシステムは皮膚を通じた針入/アクセス・位置を、皮膚針入位置の周囲に漏出し得る血液、体液および/または医療液に関してかつ/または皮膚針入/アクセス・位置に対する針の相対的な取り外しに関してモニタリングを行うために使用することが可能である。さらに、このシステムは、血管系へのアクセス、皮下またはその他の埋植装置へのアクセス、腹腔へのアクセス、内蔵へのアクセスのそれぞれのモニタリング、経皮滲出のモニタリング、あるいは、血液、体液、医療液、液体またはその他の流体の漏出が生じた場合にアラームを発することが所望されるその他の使用例、または人体アクセス位置からの医療装置または医療器具の離脱が生じた場合にアラームを発することが所望されるその他の使用例に使用することが可能である。
【0025】
システムを詳細に説明する前に、血液透析および、血液透析中に使用される若干の装置を最初に説明することとする。
【0026】
血液透析は腎障害を有する患者105の主たる療法処置の一つである。これらの生命維持療法処置は通例、毎回3〜4.5時間を要し、週に3回のペースで行われることがある。慢性患者の場合、血管系への最も通例のアクセスは、図示した通常の位置110(図1)のいずれかの位置において、動脈/心室・移植片、埋植シャントまたは埋植レセプタクルにまで皮膚を通して挿入される、患者105の血管系へのアクセスに使用される大きな口径の針を使用して行われる。図1に示した位置が疲弊していないかぎり、これらの位置は血液透析時の血液供給アクセスおよびアフェレーシスのための通常の位置であるのみならず、インターベンショナルラジオロギー専門医が心臓に達する一次血管にアクセスするための通常の位置でもある。これらの位置のいくつかは輸液療法にも利用することが同じく可能である。
【0027】
腹膜挿入位置120を被覆するメディカルテープおよび滅菌ガーゼパッチの使用には注意しなければならない。というのもこの位置は感染を示すこともある位置の一例であり、漏出、出血、または滲出用の別途実施形態のシステムによってモニタリングすることができるからである。
【0028】
療法処置の間、患者105の血液は血液透析ユニット130(図3)によって処理される。血液は血液透析ユニット130の血液ポンプの作用によって体外血液循環回路の血液ライン140を通って血液透析ユニット130に向かって移動し、かつまた同所から還流する。
【0029】
血液は体内から動脈フィステル針150(図6)を通って動脈血ライン160に向かって体外へ移動する。この動脈血ラインはリーダーおよび適切なルアーロック(luer lock)継手によって動脈フィステル針150に接続されてよい。次いで、動脈血は、ポンプ作用によって、動脈血ライン160を通って血液透析ユニット130に向かい、同所を貫流して、静脈フィステル針に取り付けられた静脈血ラインを通って患者105に還流する。
【0030】
透析プロセスの間、患者105は通常、標準的な透析処置椅子170(図2A−3)に、以下の3つの体位−1)正常着座体位(図2A),2)リクライニング体位(図2B),3)完全リクライニング体位またはトレンデレンブルク体位(図2C)−のいずれかの体位をとって着座している。図2Cに示した完全リクライニング体位またはトレンデレンブルク体位は患者105の頭部を心臓の位置以下に低下させるために使用され、また、患者105の血圧が低くなりすぎ(「crashing」)、スタッフが患者105の一時的意識喪失を防止しようとする際に使用される。一つの体位から他の体位へ姿勢を変える際に針150が引っ張られる可能性のある椅子170の多数の隅[すみ]や椅子170のその他の箇所に注意することが肝要である。血液ライン140は、たとえば正常着座体位からリクライニング体位へあるいはリクライニング体位から正常着座体位への姿勢変化時に、処置椅子170に引っかけられ、こうしてフィステル針の一方または双方が透析中にアクセス位置から部分的に外れるかもしくは完全に外れてしまうことがある。また、患者105の通常の動きに際して着衣や毛布がフィステル針やテーピングを擦る場合にも、取り外しが生ずることがある。
【0031】
また、ほとんどの椅子の場合にそうであるが、椅子170の両脇が隠されてしまう点に注意することが重要である。これにより、針150が外れて、その後に床に溜まった血液たまりが大きくなり、こうして患者105に異変が生じていることに医療従事者が気付くまでの時間が大幅に長引くことがしばしばある。また、透析椅子170の両側に袖があることにより、椅子170の下隅に着衣または毛布が折り重なって団塊を形成し、それが漏れ出た血液を再び吸い込んでしまうため、針150が外れても医療従事者がそれに気付くまでに時間がかかるという問題も生ずる。
【0032】
図3に示した図は、通常の透析プロセスの間に血液ライン140が椅子170と血液透析ユニット130との間に垂れ下がっている様子と、血液ラインが長く延び、患者105の透析を補佐する補助スタッフがそれに絡まれて透析の間にフィステル針と血液ライン140が偶然に患者105から引っ張られてしまうという、前述の状態に起因した危険とを示している。一定の状況たとえば透析処置箇所がコーナーにある場合、椅子170に対する患者105の接近側手前に血液透析ユニット130が置かれることがある。こうした場合、血液ライン140は実際のところ患者105を横切って延びており、血液ライン140がうっかり何かに引っかけられあるいは引っ張られてしまう危険は著しく高くなる。時として、誰かが脇を通り過ぎる際に、足や歩行器、車椅子あるいはカートに血液ライン140を引っかけることもある。
【0033】
万一、静脈針が透析中に部分的に外れるような場合には、患者105の血液が(周辺組織部に)浸潤して通例非常な苦痛を引き起こすか、または血液が針挿入位置の周囲に漏れ出すことがあり、あるいは双方の事態が生ずることもある。
【0034】
万一、静脈針が血液透析処置中に完全に外れるように場合には、患者105の血液は環流されることがなく、血液は実際のところ排出されてしまうことになる。50〜650ml/min.の送出性能を有する通常の血液ポンプを使用する場合、血液ロスは非常に急速に生じ得る。この状況に対しては、放血による患者の深刻な被害または死亡を防止するために、即時の医学的対処が必要である。
【0035】
図4−7を参照して、最初にシステムの一般的な説明を行い、続いてシステム部品の詳細な説明を行う。システムは一般に、位置センサ180(図4−6)、分析回路190(図7)、および警報器200(図7)を含んでいる。電気信号は分析回路190から作動中の位置センサ180に向かって送信され、同所で信号は位置センサ180の1または複数の感知アレイを通過して再び分析回路190に戻される。分析回路190はこの戻り信号をモニタリングする。返送されたこの信号が万一変化して指定範囲から外れると、医療従事者に警告するため、警報器200に接続されたアラーム出力が発生させられる。位置センサ180は切断機構を含み、この機構は血液ライン160の十分な引張りに応じて分析回路190から位置センサ180を切断する。これは分析回路190への戻り信号を変化させ、その結果、医療従事者に警告するため警報器200に送られるアラーム出力が発生させられる。
【0036】
以下にシステムの主要素の各々の詳細な説明を順を追って行う。
【0037】
(位置センサ)
図4−6に示した位置センサ180の実施形態は、基礎メンブラン層210、第二のメンブラン層220、および第三のメンブラン層230を含んでいる。第一の導電層または感知アレイ240は基礎メンブラン層210と第二のメンブラン層220との間に配置され、第二の導電層または感知アレイ250は第二のメンブラン層220と第三のメンブラン層230との間に配置されている。感知アレイ240、250は単一の第二のメンブラン層220によって分離されているが、別途実施形態において、感知アレイ240、250は2層以上の層によって分離されかつ/またはそれらの間に付加的なセンシング層を有していてもよい。
【0038】
基礎メンブラン層210は1種類またはそれ以上の適切な医療用生体適合性材料からなり、図示したような方形を有しており、または別の形態を有していてよい。これはその他のメンブラン層220、230についても同様である。基礎メンブラン層210の下側面は医療用生体適合性粘着剤252(図5A,5B)で完全にまたは部分的にコートされているかまたはその種のコーティングによって縁取られていてよく、それはさらに、患者105の所定の箇所に位置センサ180を貼着し得るように再剥離シートで被覆されていてよい。血液ライン160に取り外し応力が加わり、位置センサ180を通じて伝送される信号が遮断されてアラーム状態が惹起される際に装置が前述したように機能し得るように、所定のライン270に沿ってまたは位置センサ180のコネクタ箇所において位置センサ180の制御された分断を容易にするため、粘着剤は異なった粘着強度を有する1または複数の粘着剤を含んでいてよい。位置センサ180は、当業者に知られた、医療用生体適合性粘着剤と結びついたもしくはそれに代わる任意の方法で保持されていてよい。位置センサ180の位置的安定性はシステムの機能的利点にとって最も重要である。位置センサ180はいかなる場合にもフィステル針150および/または血液ライン160に確実に結合されていなければならない。この結合は製造時に行われても、使用時に行われても、または時としてそれらの中間の時期に行なわれてもよい。
【0039】
別途実施形態において、基礎メンブラン層210は、患者105の皮膚との確実な接触を示すため、基礎メンブラン層210のやや下方に1または複数の電極を担持していてよい。この目的に使用することのできる代表的な電極はプレチスモグラフまたは心電図(ECG)リードセットに使用される銀/塩化銀タイプの電極であるが、当業者に公知の類のその他のタイプの電極および/または補助センサが使用されてもよい。1または複数の電極および/またはセンサは第一の感知アレイ240に結合されるかまたは患者105の皮膚との実際の物理的接触を判定するための別の電気的接続が行われていてもよい。第一の感知アレイ240は、それが基礎メンブラン層210の下側に配置されるかまたは基礎メンブラン層210が存在しない場合には、患者105との良好かつ安定した結合を表すバイオリズム出力を供することができる(たとえばECG波形が分析回路190に伝送されてよい)。この実施態様の付加的な利点は、患者に異変が生じて波形が終了させられると、警報器200によるアラームが作動させられることである。
【0040】
基礎メンブラン層210は、発汗、血液、その他の液体および/または蒸気が層を自由に通過し得るようにする穴260を有していてよい。これらの一連の穴260は、サイズ、形状、数量および場所的密度の点で同一もしくは相違していてよい。基礎メンブラン層210(およびその他のメンブラン層220、230)は所定のルートに沿って目打ち270を有するかまたはその他の予備的処理が行われていてよく、これにより、血液ライン160またはフィステル針の引っ張りによって同所に物理的な力が加わると所定のラインに沿って位置センサ180が容易に分断されることになり、こうしてアラーム状態が生ずることとなる。目打ち270は、脱離部269の折返し接着タブ268の境界を形成する一般に矩形の切り欠き266に連続している。接着タブ268はその上側面に剥離性シートで覆われた粘着剤を有していてよい。折返し接着タブ268と目打ち270とは組になって脱離機構を形成する。別途実施形態において、脱離機構は別途構造、異なった要素、および/またはより多数または少数の要素を有していてよい。図6に示したように、使用中、血液ライン140および/またはフィステル針150は切り欠き266を横断して、接着タブ268の上側かつ残りの位置センサ180の下側に配置され、剥離性シートが接着タブ268から剥がされて接着剤が露出され、こうして接着タブ268は血液ライン140および/またはフィステル針150を包むようにして折り返されて第三のメンブラン層230の上側表面に接着されるため、血液ライン140および/またはフィテル針150はタブ268によりしっかり固定される。その結果、血液ライン140に引張りが加わると、導線272または接続284と脱離部269が目打ち270に沿って残りの位置センサ180から切り離され、こうして導電路が遮断され、分析回路190が警報器200によるアラームを作動させる。
【0041】
基礎メンブラン層210の上側面は第一の感知アレイ240がその上に布設、塗設、蒸着、接着またはその他の方法で配置されるベースとして使用されてよい。第一の感知アレイ240は基礎メンブラン層210と第二のメンブラン層220との間に保持され、複数の導線またはトレース272を含んでいてよい。位置センサ180と分析回路190とを接続する導線273(図6)の1つは第一の感知アレイ240の一端の接続点274(図4)で第一の感知アレイ240に接続されてよい。1個もしくは複数の抵抗276は第一の感知アレイ240の他端に配置され、第一の感知アレイ240を第二のメンブラン層220に設けられた穴278を通して第二の感知アレイ250と抵抗接続するのに使用されてよい。第一の感知アレイ240は基礎メンブラン層210と第二のメンブラン層220との間の領域を均等に覆うように構成、配置されていてよい。第一の感知アレイ240は基礎メンブラン層210に設けられた穴260の一部または全部を覆っても、あるいはそれらの穴をまったく覆わなくてもよい。第一の感知アレイ240は層210、220の一方に埋設されるかまたは層210、220の間に単に固定されるかまたは保持されればよい。第一の感知アレイ240は単極性であるかまたは複数のリードで構成されて多極性を有していてもよい。
【0042】
第二のメンブラン層220も穴280を有し、これらの穴はサイズ、形状、数量および場所的密度の点で同一もしくは相違していてよい。
【0043】
これらの穴280はその他の層の穴と整合していても、整合していなくてもよい。第二のメンブラン層240の上面は第二の感知アレイ250がその上に布設、塗設、蒸着、接着またはその他の方法で配置されるベースとして使用されてよい。第二の感知アレイ250は第二のメンブラン層220と第三のメンブラン層230との間に保持され、複数の導線またはトレース282を含んでいてよい。位置センサ180と分析回路190とを接続する導線273の1つは第二の感知アレイ250の一端の接続点284で、はんだまたはその他のよく知られた電気的接続方法で第二の感知アレイ250に接続されてよい。これらのコネクタは調整された強度または保持力を有するものであってよい。第二の感知アレイ250は第二の感知アレイ250の他端に配置された1個もしくは複数の抵抗276と接続されている。第二の感知アレイ250は基礎メンブラン層210と第二のメンブラン層220との間の領域を均等に覆うように構成、配置されていてよい。第二の感知アレイ250は第二のメンブラン層220に設けられた穴280の一部または全部を覆っても、あるいはそれらの穴をまったく覆わなくてもよい。第二の感知アレイ250は層220、230の一方に埋設されるかまたは層220、230の間に単に固定されるかまたは保持されればよい。第二の感知アレイ250は単極性であるかまたは複数のリードで構成されて多極性を有していてもよい。
【0044】
感知アレイ240、250は1個もしくは複数の抵抗276によって抵抗接続されて、以下に詳細に述べるように、本発明のフェイルセーフ機能を可能とするのが好ましい。別途実施形態において、双方のアレイ240、250の回線またはトレースは抵抗性材料で構成されてよい。
【0045】
感知アレイ240、250は層210、220、230の間の領域を均等に覆うように構成、配置されるものとして説明したが、感知アレイ240、250による前述した領域の被覆は必ずしも均等でなくてもよい。別途実施形態において、異なった領域が異なった形で被覆されてもよい。たとえば、位置センサ180の中心近傍にスペースが配置され、こうして感知アレイ240、250のいずれにも損傷、障害、接触を生ずることなく、位置センサ180を貫いて針入することが可能とされてもよい。
【0046】
第三のメンブラン層230も1種類またはそれ以上の適切な医療用生体適合性材料で構成されていてよい。第三のメンブラン層230は基礎メンブラン層210および第二のメンブラン層220のように穴を含んでいないのが好ましいが、ただし、発汗および蒸気の蒸散を可能とし、血液またはその他の液体の蒸散を不可とする1種類またはそれ以上の適切な材料からなっているのが好ましい。この選択的透過膜層または半透膜層230は、基礎メンブラン層210の粘着剤によって形成されるシールと連携して、感知アレイ240、250が、保護された領域から生ずるいっさいの血液または液体と確実に接触することを保証する。
【0047】
メンブラン層210、220、230の外側端縁は、当業者に公知のいかなる方法で、互いに封止、接着または接合されていてもよい。
【0048】
位置センサ180は針挿入位置上の1またはそれ以上の層のすべてが透明であるのが好ましい。
【0049】
図8には位置センサ180の別途実施形態が示されており、同図において、リード線273は脱離部269とは反対側に位置する位置センサ180の一端近傍の脱離コーナー部292で位置センサ180と接続され、患者の腕に巻着されている。巻着機構300はリード線273を締めて腕にぴったりフィットさせ、腕に対する位置センサ180の物理的保持固定をより安定化させるために使用される。血液ライン160は、図4−6に関連して既述したのと同様にして、脱離部269の接着タブ268によって位置センサ180に固定されており、その結果、フィステル針150の離脱・外れを招来する力は目打ち270に沿って接着タブ268と脱離部269とを位置センサ180から切り離して導電路を遮断し、これが分析回路190によって検知されてアラームが発生する。同じく、フィステル針150の外れを招来する力(または患者の腕の動き)は、患者の皮膚にしっかり付着されている位置センサ180と脱離コーナー部292の一方もしくは双方を目打ち294の一方または双方に沿って切り離すこととなる。これによって導電路は遮断され、これが分析回路190によって検知されてアラームが発生する。別途実施形態において、位置センサ180の目打ち276、294の一方もしくは双方は、図示例とは異なり、真っ直ぐな一直線状または曲線状に形成されていてもよい。
【0050】
位置センサ180を使用しない別途1実施形態において、リード線と同様な1つの導線290を単に患者の腕に巻着して、この導線をフィステル針150に固定し、こうして、漏れ検知なしで針の外れが示されるようにすることができよう。というのも、この実施形態において、血液ライン160に引っ張りが加わると、導線が切断されて導電路が遮断され、これが分析回路190によって検知されてアラームが発生するからである。この実施形態において、導線はメディカルテープ、パッチまたは当業者に公知の方法で腕に固定されるのが望ましいであろう。
【0051】
次項以下において、本願明細書に述べるシステムまたは位置センサの1または複数の実施例180、310、350(以下、「位置センサ180」と称する)の一部であってよい特徴を示す。
【0052】
たとえば、システムの1または複数の実施例において、システムは以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。システム全体は単一のユニットで構成されている。1または複数の位置センサ180、分析回路190および警報器200は互いに統合されている。このシステムは人体または動物のアクセス位置における血液/液体・漏出および/または針の外れをモニタリングするために使用される。位置センサ180、分析回路190及び警報器200はいかなる機械的接続装置で互いに接続されていてもよい。位置センサ180、分析回路190および警報器200はいかなる電気的接続装置で互いに接続されていてもよい。位置センサ180、分析回路190および警報器200はいかなるハローファイバまたはソリッドファイバ装置で互いに接続されていてもよい。位置センサ180、分析回路190および警報器200はいかなるタイプのテレメータリング機器を介して接続されていてもよい。位置センサ180、分析回路190および警報器200はいかなるタイプの光学/フォトニクス・機器を介して接続されていてもよい。位置センサ180、分析回路190および警報器200はいかなるタイプの機器コンビネーションを介して接続されていてもよい。位置センサ180および警報器200は独立した別個の制御器で制御される。位置センサ180は端部に、導電トレースまたはリードの接続領域を有する一連のタブを有している。位置センサ180は導電トレースまたはリードの接続領域を有する端部に一連のタブを有し、該タブは回路を完成する折り返しタブを備え、すべてのタブが(粘着接触で)折り返されると、回路は連続して、分析回路190または警報器200(または両者のコンビネーション)につながる実際のコネクタが位置する1つのコーナーまたはタブの箇所で終端を形成する。位置センサ180は、位置センサ180の端縁のいかなる場所にもコネクタが取り付けられて感知アレイの所要のリードとの間の十分な接点をつくり出すことができるように、位置センサ180の外側を取り巻く一連の導電リングを有している。位置センサ180は所要の数の不連続接触領域を有するステレオプラグまたはその他のタイプのプラグを使用する。位置センサ180は各々のレベルに(さまざまなレベルをアクティブにすることを可能にする)接点またはコネクタを有しており、これらは互いに相互接続されてもされなくてもよい。位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリは被験者の監視位置に粘着固定されるかまたは適正に配置される。被験者の監視位置に粘着固定または適正に配置される、位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリは、位置センサ180が所定のラインに沿って容易に分断されるようにするため、相対粘着強度の異なる粘着剤を有している。被験者のモニタ位置への位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリの固定または適正な配置は−(a)以下の材料たとえば繊維、プラスチック、チューブ、ストラップまたはその他の有用な材料あるいは、位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリを被験者のモニタ位置に接触または適正に配置し得るように結合、接続、接合またはその他の方法で連結された装置の配備によるか、(b)位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリを被験者の監視位置に接触または適正に配置し得るようにする、それらと直接に結合されてもされなくてもよい粘着テープの配備によるか、(c)位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリを被験者のモニタ位置に物理的に接触または適正に配置し得るようにするクランプの配備によるか、(d)位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリを被験者のモニタ位置に接触または適正に配置し得るようにする前述した方法(a),(b)および/または(c)のコンビネーションによるか−のいずれか1または複数の方法によって行われる。電源と分析回路190とは透析ユニット内に収容されている。電源と分析回路190とはアフェレーシスユニット内に収容されている。電源と分析回路190とは輸液ユニット内に収容されている。電源と分析回路190とは医療器具内またはその他の医療装置内に収容されている。電源と分析回路190とは輸液ポンプユニット内に収容されている。位置センサ180は、導線、導線セット、コイル線セットまたは当業者に知られたその他の形の導線またはケーブルで、分析ユニット190および/または警報器・アセンブリに接続されている。位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリは、座席、ベッド、マットレス、フロート、クッション、車輪付き寝台、または患者を支えるその他の物理的手段に取付けられている。位置センサ180、センサ/分析回路・アセンブリ、またはセンサ/分析回路/警報器・アセンブリは、床、天井、壁、柱、支柱、バー、または患者の上、周囲または近傍のその他の物理的構造物に取付けられている。
【0053】
位置センサ180、310、350の1または複数の実施例において、位置センサ180は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。異なった量の液体でもアラームが発生されるようにするため、材料層の数は相違し、固有の電気コネクタを有する1もしくは複数の感知アレイによって被覆される領域は相違していてもよい。複数のレベルの保護を可能とするかまたは新たな位置センサ180を使用する必要なしにシステムのリセットを可能とすべく、感知アレイに同心領域が設けられてよい。位置センサ180は、位置センサ180の機能検証を可能とするために、テストエリアを含んでいてよい。位置センサ180は1または複数の針が位置センサ180を斜めおよび/または直角に貫くことができるように形成されていても、1または複数の針が図示かつ上述したようにして取り付けられるように形成されていてもよい。この種の実施形態は、上胸域または鎖骨域に埋植された装置たとえばヴァスカ装置(Vasca device)、多くの手術に使用される排液チューブの類、および留置カテーテル、セントラルライン・カテーテル等と共に使用するのに理想的であろう。層210、220、230の間のスペースまたはギャップは異なっていてもよく、または位置センサ180のアラームの発生に必要な血液量またはその他の液体量の判定に使用される較正変数として機能してもよい。アラームを発生させた血液または充満するその他の液体を除去するために1または複数のドレン穴が位置センサ180に設けられていてよい。フィステル針150を再ポジショニングした後、位置センサ180の上面を押せば、1または複数のドレン穴−これには弁またはその他の流れ制御装置が設けられていてよい−から血液または充満液が排除され、こうして、交換の必要なしに位置センサ180を使用し続けることができよう。これは大型の位置センサ180、たとえば大きな創傷のカバリング用または、X線撮像による心臓検査(血管造影、血管形成術等)に使用されるようなシャントのモニタリング用位置センサ180の場合に著しく有利であろう。別法として、インサイチュ外で位置センサ180を洗浄するために非導電性滅菌水または空気さえも使用し得るように、位置センサ180は「ルアーロック」継手またはその他のチューブ/シリンジ・継手を有していてよい。この種の実施形態において、第三のメンブラン層230は前述の作業を容易にするため1または複数の排出穴を有していてよい。
位置センサ180の1または複数の実施例において、位置センサ180は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。位置センサ180はスイッチである。位置センサ180は使い捨て式である。位置センサ180は再使用可能である。位置センサ180の耐久寿命または使用回数は限定されている。位置センサ180は能動型センサである。位置センサ180は受動型センサである。位置センサ180は電子センサである。位置センサ180はフォトニックセンサである。位置センサ180は化学センサである。位置センサ180は機械式センサである。位置センサ180はあらゆる、接触、応力、温度、光、におい、化学物質、電位、または測定可能なその他の任意の物理的特性に反応する。位置センサ180は、接触、応力、温度、光、におい、機械的、化学的、電気的または電子的特性、および測定可能なその他の任意の物理的特性の1つまたは複数に反応する。位置センサ180は、モニタリングされている位置センサ180の、接触、応力、温度、光、におい、電気的または電子的特性、機械的、化学的、光学的またはその他の任意の物理的特性のいずれかの欠如に反応する。位置センサ180は疎水性および/または親水性材料の別々の層からなっている。位置センサ180は透明な医療用生体適合性材料の別々の層からなっている。位置センサ180の1または複数の層は、下側の液体が別々の層(単数または複数)を通って自由に流れることを可能にする、それまたはそれらを貫く透過孔、穴、開口、または通路(単数または複数)を有している。位置センサ180のさまざまな透過孔、穴、開口、通路(単数または複数)は、数、サイズ、形状、場所、密度、僅少性、透過性、耐久性または機能の点で任意であってよい。位置センサ180のさまざまな透過孔、穴、開口、通路(単数または複数)は、数、サイズ、形状、場所、密度、僅少性、透過性、耐久性または機能の点で異なっていてよい。1または複数の位置センサ180のさまざまな透過孔、穴、開口、通路(単数または複数)は、数、サイズ、形状、場所、密度、僅少性、透過性、耐久性または機能の点で層ごとに異なっていてよい。メンブラン層は液体または蒸気の存在または欠如に反応し、穴、開口、通路(単数または複数)またはメンブランを貫くその他のルートの、サイズ、形状またはその他の特徴を変化、調整、軽減、増強、増大またはその他の形で変化させることができる。位置センサ180は不透明材料のコンビネーションである。位置センサ180は、目打ちの入れられた、薄化、脆弱化された、またはその他の方法で処理されて、力(せん断力)を所定のラインに沿って位置センサ180上に、または該センサに沿って、または該センサを横断して、または該センサ全体にあるいは該センサを貫いて導いて、パッチが確実に切り離されるかまたは二分され、こうして、それに加わる物理的な力に基づいて位置センサ180の電気的、機械的、化学的、光学的、音響的または、モニタリングされるその他の物理的特性を変化させる領域を含んでいる。位置センサ180は、センサ180の全体を横切っていてもいなくともよい、前述した目打ちのつけられた、薄化、脆弱化された区域または力誘導区域を含んでいる。1または複数の層の、目打ちの入れられた、薄化、脆弱化された区域または力誘導区域はそれぞれの層で相違していてよい。位置センサ180は、直線状ではなく、曲がった形状、円状またはその他の所望の形状の、前述した目打ちのつけられた、薄化、脆弱化された区域または力誘導区域を含んでいる。位置センサ180は、位置センサ180の1コーナーまたはコーナーの1つまたは端部に配置された、前述した目打ちのつけられた、薄化、脆弱化された区域または力誘導区域を含んでいる。層の能動型センシングエリアは、導線、トレース、さまざまな導電性材料、金属、塗設トレース、導電性液体塗設、スパッタリング蒸着膜、化学蒸着膜、MEM生成、ホトリソグラフィー、またはその他の電気的接続形成法で形成されている。位置センサ180は、液体または蒸気の存在下で溶解してもしなくともよい導電相またはアレイを有している。位置センサ180は、身体の異なった領域への適用に所望される、いかなる形状、厚さ、曲面を有していてもよい。異なったレベルの能動型センシングエリアはサイズおよび/または形状の点で相違していてよい。位置センサ180の特定の領域はその一連の層を通じて、位置センサ180自体への針またはその他の装置または観察手段またはその他のモニタリングアクセス手段の貫入を可能とするために、能動型センシングエリアのない部域を有している。位置センサ180はその内部に、モニタリングされる身体との実際の物理的接触を判定し得る任意の補助的位置センサ180を含んでいる。位置センサ180はその内部に、モニタリングされる身体との実際の物理的接触の程度を、光、熱、および音響−ただしこれらに限定されるわけではない−による応用センシング法を用いて感知する機能を有している。位置センサ180は湿式、乾式または湿乾双方の部品を含んでいる。位置センサ180は公知のタイプの任意の「ドライゼリー(dry jell)」材料を含んでいる。位置センサ180の内実および構造はモノリシックであるかまたはディスクリート部品で構成されていてよい。位置センサ180は全体として、蒸気が透過可能なメンブランまたは層からなるかまたは部品としてそれらを有している。位置センサ180は、透過性の異なるかつ/または可変的な蒸気透過性メンブラン層を含んでいる。位置センサ180の層は、縫い付け、接合、結合、封止、融着、粘着固定、接着、融合または当業者に公知のその他の任意の方法で連結されている。位置センサ180の外周は吸収性材料領域で包囲されている。位置センサ180は吸収性材料層を含んでいる。位置センサ180は測定または評価可能な任意の物理的特性をモニタリングする。位置センサ180は分析回路への出力を行うために、サーミスタ、熱変換器、または熱検出器からなっている。位置センサ180は、サーミスタ、熱変換器、または熱検出器の応答性を向上させるため、発熱性または吸熱性化学物質(単数または複数)を使用する。位置センサ180は、リードスイッチまたは、スイッチに圧力を及ぼす親水性材料の充満に起因する圧力によって状態が変化させられるその他の機械式スイッチと組み合わせて親水性材料を使用する。親水性スイッチは、収納および/または圧力をスイッチに向けることを目的とした半硬質カバーの内部に収容されていてもいなくともよい。位置センサ180は、任意の適切な材料またはクロス製の非導電カバー内に完全に入れられたリードスイッチまたはその他のタイプの物理スイッチを含んでいる。位置センサ180は位置センサ180の状態を判定するために共振周波数を使用する。位置センサ180は位置センサ180の状態を判定するために共振周波数およびその安定性ならびに範囲を電子的に判定するシステムを使用し、位置センサ180の部分的充満または位置センサ180の領域の僅かな動きが生じた場合に、新たな周波数の近辺にリセットすることが可能である。位置センサ180は、位置センサ180と接触するものの当否の区別を支援するために、異なった層に適用される異なった化学物質またはその他のディスクリートセンサを有している。位置センサ180は身体との接触を判定するために、2またはそれ以上の電極を使用し、それらの間で測定を行う。位置センサ180は身体との接触を判定するために単一の電極を使用する。位置センサ180は、アラーム状態の作動に要される血液量または液体量を制御または調整するために、位置センサ180の別々の層間の間隔またはスペースを使用する。位置センサ180は、充満する血液または液体を排出し得るように、位置センサ180の1または複数の領域にドレン穴を有している。位置センサ180は蒸気不透過メンブランまたは限定的透過性を有するメンブランからなる最上層に、指で押さえられて位置センサ180に加えられる圧力によって血液がドレン穴から押し出されて位置センサ180のリセットを可能とする1または複数の穴を有している。位置センサ180は、位置センサ180の内部スペースを浄化するために液体またはガスまたは蒸気の注入を可能とするルアー継手またはその他の適切な継手を有している。位置センサ180は、陰圧または、液体、血液または充満を生ずる蒸気の吸引除去を可能とする吸引口を有している。位置センサ180は、位置センサ180に接触している液体の判定を可能とする種々の化学的判定センサを含んでいる。位置センサ180は、位置センサ180に接触している液体を判定するために、異なった液体のさまざまな光学的特性を使用する。位置センサ180は、液体の存在を判定するために、容量型または誘導型の位置センサ180を有する親水性内側層を使用する。容量型または誘導型の素子はセンサ180自体に対して外付けである。位置センサ180は、硬質または半硬質の容器またはパッケージに収容された親水性パッドの液体の圧力を変化させる圧電結晶または装置を使用する。位置センサ180は、湿潤すると電位または電流を生ずる電気活性粉末を使用する。
【0054】
位置センサ180のその他の1または複数の実施例において、位置センサ180は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。位置センサ180への入力は、電気式センサ、機械式センサ、化学センサ、光学センサ、またはその他の任意のタイプのセンサによる。位置センサ180への入力は直流(DC)電圧電位である。位置センサ180への入力は交流(AC)電圧電位である。位置センサ180への入力は振幅変調された(AM)信号である。位置センサ180への入力は周波数変調された(FM)信号である。位置センサ180への入力はパルス幅変調された信号である。位置センサ180への入力は(任意の波長の)光源である。位置センサ180への入力は電磁スペクトルの一部である。位置センサ180への入力は熱的変化である。位置センサ180への入力は機械的な力である。位置センサ180への入力は電気化学的変化である。位置センサ180への入力は任意のコンビネーションの入力である。センサ入力はコンピュータファイルに送られる。センサ入力は電子記憶装置またはメディア装置に送られる。センサ入力はコンピュータモニタに表示される。センサ入力はメディア装置のユーザインタフェースに表示される。位置センサ180への入力は出力と相違している。位置センサ180は多重または単一モードで動作する。位置センサ180の動作はモードを変えることができる。
位置センサ180のさらなる1または複数の実施例において、位置センサ180は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。位置センサ180からの出力は、電気的、機械的、化学的、熱的、光学的、またはその他の任意のタイプの出力による。位置センサ180からの出力は直流電圧(VDC)電位である。位置センサ180からの出力は交流電圧(VAC)電位である。位置センサ180からの出力は振幅変調された(AM)信号である。位置センサ180からの出力は周波数変調された(FM)信号である。位置センサ180からの出力はパルス幅変調された信号である。位置センサ180からの出力は(任意の波長の)光源である。位置センサ180からの出力は電磁スペクトルの一部である。位置センサ180からの出力は機械的な力である。位置センサ180からの出力は電気化学的変化である。位置センサ180からの出力は任意のコンビネーションの出力である。位置センサ180の出力は入力と相違している。センサ入力は出力と相違している。センサ出力はコンピュータファイルに送られる。センサ出力は電子データ記憶装置またはメディア装置に送られる。センサ出力はコンピュータモニタに表示される。センサ出力は医療装置のユーザインタフェースに表示される。センサ出力は、いずれの層が応答または出力を供しているかまたはどこで分散が検出されるかに応じて、可変的である。センサ出力は、位置センサ180によって検出された液体量に応じて、可変的または漸進的または逆進的である。
【0055】
(分析回路/警報器)
図7には、分析回路190の1実施形態の電気回路が示されている。図示した分析回路190は、1実施形態において導線273を経て位置センサ180に送られる電気出力信号の値を、位置センサ180から導線273を通じて受け取る入力信号の値と比較する標準コンパレータである。これによって本発明のフェイルセーフ機能が実現されるが、それはもし出力信号と入力信号との間の差が所定の範囲の範囲外にあるかまたは、検出部269が位置センサ180から脱離した場合のように、戻り信号がないかすれば、分析回路190はそうした変化に応答して、警報器200に出力信号を送り、1または複数のスイッチが閉じられて警報器200が作動させられるからである。分析回路180と警報器200には電源302による給電が行われてよい。分析回路はコンパレータを含むものとして示されているが、別途実施形態において、本発明のフェイルセーフ機能を実現するために他の分析回路を使用することも可能である。さらに、本願明細書に記載の機能を実行するハードウェアは、特定用途向け集積回路(ASIC)、一連のワイヤード論理回路、および電気部品たとえばトランジスタ、キャパシタ、および抵抗のハードワイヤード回路−ただしこれらに限定されるわけではない−を含んでいる。さらに、本願明細書に記載の機能を実行するために、ハードウェアおよびソフトウェアが使用されてよい。本願明細書に記載の機能を実行するためのハードウェアおよびソフトウェアの例はプログラムドコンピュータおよび特定用途向けコンピュータ−ただしこれらに限定されるわけではない−などである。分析回路190は電源から給電される。
【0056】
分析回路190の1または複数の実施例において、分析回路190は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。分析回路190は、電気絶縁されていない患者につき、当該文書2.3によって求められる電気医療器具の安全電流限度の接続要件に準拠した電気的絶縁を実現する。分析回路190はセンサ180、310、350の一部である。分析回路190はセンサ/警報器・アセンブリの一部である。分析回路190は、警報器200によってアラームが生じた場合に分析回路190をリセットするためのかつ/または警報器200のアラームを消すための、リセットボタンおよび/またはミュートボタンを含んでいてよい。
【0057】
警報器200の1または複数の実施例において、警報器200は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。警報器200への入力は、電気式センサ、機械式センサ、化学センサ、光学センサ、またはその他の任意のタイプのセンサの出力である。警報器200への入力は直流(DC)電圧電位である。警報器200への入力は交流(AC)電圧電位である。警報器200への入力は振幅変調された(AM)信号である。警報器200への入力は周波数変調された(FM)信号である。警報器200への入力はパルス幅変調された信号である。警報器200への入力は(任意の波長の)光源である。警報器200への入力は電磁スペクトルの一部である。警報器200への入力は熱的変化である。警報器200への入力は機械的な力である。警報器200への入力は電気化学的変化である。警報器200への入力は任意のコンビネーションの入力である。警報器200への入力は出力と相違している。警報器200は多重または単一モードで動作する。警報器200の動作はモードを変えることができる。警報器200からの出力は、電気的、機械的、化学的、熱的、光学的、またはその他の任意のタイプの出力である。警報器200からの出力は直流電圧(VDC)電位である。警報器200からの出力は交流電圧(VAC)電位である。警報器200からの出力は振幅変調された(AM)信号である。警報器200からの出力は周波数変調された(FM)信号である。警報器200からの出力はパルス幅変調された信号である。警報器200からの出力は(任意の波長の)光源である。警報器200からの出力は電磁スペクトルの一部である。警報器200からの出力は機械的な力である。警報器200からの出力は電気化学的変化である。警報器200からの出力は任意のコンビネーションの出力である。警報器200のセンサ出力は入力と相違している。警報器入力は出力と相違している。警報器出力はコンピュータファイルに送られる。警報器出力は電子データ記憶装置またはメディア装置に送られる。警報器出力はコンピュータモニタに表示される。警報器出力は医療装置のユーザインタフェースに表示される。警報器出力は、いずれの層が応答または出力を供しているかまたはどこで分散が検出されるかに応じて、可変的である。警報器出力は、位置センサ180によって検出された液体量または変化の速度に応じて、可変的または漸進的または逆進的である。警報器200の出力は任意の電子データ記憶装置に向かう。各々の部品用の独立した電源は互いに相違していてよい。警報器200の出力は視覚的である。警報器出力は任意の音量または周波数で聴くことが可能である。警報器出力は振動である。警報器の出力は電子信号である。警報器出力は光学/フォトニック・信号である。警報器出力は電磁スペクトルの任意の一部である。警報器200自体は任意の形状またはサイズであってよい。警報器出力は任意のコンビネーションの出力である。位置センサ180、分析回路190および警報機200は任意の物理的結合装置で互いに結合されていてよい。
【0058】
分析回路190の電源302の1または複数の実施例において、電源302は以下の特徴の1つまたは複数を具えていてよい。分析回路190は外部電源から給電される。分析回路190は内蔵電源から給電される。分析回路190は太陽エネルギによって給電される。分析回路190は、外部電源、内蔵電源または太陽電源のコンビネーションによって給電される。分析回路190は、内蔵されているかまたは外部にあるかまたはそれらのいずれであってもよい異なった電源のコンビネーションによって給電される。電源は使い捨て式バッテリである。電源は充電式バッテリである。電源の充電式バッテリは、それが取付けられている医療装置たとえば輸液ポンプまたは透析ユニットから充電される。電源は「Capバッテリ」またはその他の蓄電装置である。電源はさまざまな形状または電圧または出力を有する、知的所有権によって保護されているかまたは特注のバッテリである。電源は各々の部品用に独立している。電源は冗長システムまたは「バックアップ」システムを備えている。電源はバッテリ切れ状態がモニタリングされる。電源は容量動向がモニタリングされる。電源は、容量動向と、予測電流サイクル容量および/または性能が受け入れ不可となる前の残存サイクルに関する示度とについてモニタリングされる。電源の状態はモニタリングされ、その状態はユーザインタフェースたとえばインジケータランプ、図的表現、モニタ(CRT、フラットパネル等)、または当業者に公知のその他の任意のフォーマットで表示される。電源は蓄電装置である。
【0059】
(使用法)
以下、図4−7を参照して、システムの使用法を説明する。電気信号は分析回路190から作動中の位置センサ180に送信される。信号は位置センサ180の第一の感知アレイ240から抵抗276を通過して第二の感知アレイ250に達し、同所から再び分析回路190に戻る。分析回路190はこの戻り信号をモニタリングする。この戻り信号が指定範囲の範囲外へ変化すると出力が生み出され、この出力が警報器200に送られてアラームを作動させる。モニタリングされる、戻り信号を指定範囲外へ変化させることとなる状態とは、静脈針の部分的な外れが生ずる場合および静脈針の完全な外れ/離脱が生ずる場合である。
静脈針の部分的な外れ(浸潤とは限らない)の間に、フィステル針150の周辺などに漏出またはその他の形で流れ出る血液は基礎メンブラン層210を通って第一の感知アレイ240に接触し、続いて第二のメンブラン層220を通り、こうして第二の感知アレイ250と接触するに至る。感知アレイ240、250は抵抗接続されており、分析回路190からの信号入力は(フェイルセーフ機能を実現するため)システム全体を通じて定値を供するため、血液との接触に起因する感知アレイ240、250の抵抗の変化は信号を変化させ、分析回路190への戻り信号は指定された範囲の範囲外にあることになる。分析回路190はこの状態に応答して警報器200に通電し、アラームを発生させる。
【0060】
静脈針が完全に離脱する間に、血液ライン160を包んでいるタブ268は離脱の原因となる引張り力を目打ち270またはその他の方法で弱化された領域に伝え、こうして、脱離部169が残りの位置センサ180から切り離されて、導線273と感知アレイ240、250との間の接続が切断される結果、電気回路は開路される。電気回路の分断によって分析回路190への戻り信号が消去される結果、送信信号と戻り信号(または戻り信号の欠落)との間の差は分析回路190によって定められた所定の範囲の範囲外にあることになる。分析回路190はこの状態に応答して警報器200に通電し、アラームを発生させる。
【0061】
(感熱型位置センサ)
図9には位置センサの別途実施形態310が示されている。この実施形態において、1または複数の感知アレイ320は、基礎メンブラン層と第二のメンブラン層(および、場合により、その他のメンブラン層)との間のスペースに、感知アレイ320に沿って離間配置された複数個のサーミスタ330を含んでいる。サーミスタ330は、基礎メンブラン層と第二のメンブラン層(および、場合により、その他のメンブラン層)との間のスペース内部に配された発熱性化学物質340内に配置されている。基礎メンブラン層はその下側面の周縁近傍が粘着剤でコートされており、蒸気、血液、またはその他の液体が自由に通過し得るようにする穴を有している。発熱性化学物質340は、血液またはその他の液体がそれに接触すると、熱ポテンシャルを発生する。こうして生じた熱的変化はサーミスタ330を昇温させ、この熱変化量と相関してサーミスタ330の抵抗値を変化させる。この抵抗の変化は分析回路190によって検出されて、アラームが発される。位置センサ310は、図6に関連して既述した脱離部269に類似した脱離部269を含んでいる。
【0062】
図10には位置センサ350のさらに別の実施形態が示されている。位置センサ350は、基礎メンブラン層と第二のメンブラン層(および、場合により、その他のメンブラン層)との間のスペースに配置された1または複数本の光ファイバ370からなる1または複数の感知アレイ360を含んでいてよい。上記に図示、説明した実施形態と同様に、基礎メンブラン層はその下側面の周縁近傍が粘着剤でコートされており、蒸気、血液またはその他の液体が自由に通過し得るようにする穴を有している。感知アレイ360の1または複数本の光ファイバは光源に接続することができる。1または複数本の光ファイバの外側は血液またはその他の液体の付着が促進されるように処理されていてよい。光源からの光は基礎メンブラン層と第二のメンブラン層との間に配置された1または複数本の光ファイバ内を通過する。血液またはその他の液体が基礎メンブラン層に設けられた穴を通過し、基礎メンブラン層と第二のメンブラン層との間のスペースを充満して1または複数本の光ファイバに接触すると、1または複数本の光ファイバを通る光の伝送は影響を受ける。これは分析回路によって検出されて、アラームが発される。別途実施形態において、光は血液またはその他の液体の存在によって遮られるブロックまたはその他の光学ユニットを通過し、分析回路によってそれが検出されるようにしてもよい。さらに別途実施形態において、層間スペースにおける血液またはその他の液体の物理的存在によって光路が変化させられて光画像が変化し、これが分析回路190によって検出されて、アラームが発されるようにしてもよい。
【0063】
本願明細書に述べた実際の構想に、以下の請求項によって定める本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、さらなる変化、修正を容易に加えることが可能であることは当業者には直ちに明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は人の正面図であり、多数の代表的な血管/腹膜・アクセス位置を示したものである。
【図2A】図2Aは通常ポジションにある透析処置椅子の1実施形態の正面透視図である。
【図2B】図2Bは図2Aの透析処置椅子の右側からの透視図であり、リクライニングポジションにある椅子を示したものである。
【図2C】図2Cは図2Aの透析処置椅子の右側からの透視図であり、完全にリクライニングされた、トレンデレンブルク体位ポジションにある椅子を示したものである。
【図3】図3は透析処置椅子に着座した透析患者に接続された血液透析ユニットの1実施形態の正面透視図である。
【図4】図4は、身体アクセス位置からの体液ロスおよび同所からの医療器具の外れをモニタリングするシステムの位置センサの1実施形態の分解透視図である。
【図5A】図5Aは、図4の5A−5A線に沿った位置センサの断面図である。
【図5B】図5Bは、図4の5B−5B線に沿った位置センサの断面図である。
【図6】図6は、患者の腕に付された図4の位置センサを体外血液循環回路の血液ラインおよび位置センサから延びる導電線と共に示す透視図である。
【図7】図7は、位置センサと共に使用される分析回路と警報器との1実施形態の電気回路図である。
【図8】図8は、患者の腕に付された別途実施形態の位置センサをフィステル針/体外血液循環回路の血液ラインおよび位置センサから延びる導電線と共に示す透視図である。
【図9】図9は位置センサのさらに別の実施形態の平面図である。
【図10】図10は位置センサのさらなる別の実施形態の平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィステル針が患者の身体に入るアクセス位置からの血液漏出、および該アクセス位置からの該フィステル針の外れを医療従事者に警告するために少なくとも1つの血液ラインおよび該フィステル針に取り付け可能な血液透析用位置センサであって、該血液透析用位置センサは、以下:
医療等級の生体適合性材料で作製され、上側面、該患者の皮膚に接着可能な下側面、ならびに血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴を備える基礎メンブラン層;
上側面、下側面、ならびに血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴を備える第二のメンブラン層;
上側面、下側面を備える第二のメンブラン層;
分析回路に電気連結されるように適合され、以下:
該基礎メンブラン層の該上側面と該第二のメンブラン層の該下側面との間に配置される第一の感知アレイ、
該第二のメンブラン層の該上側面と該第三のメンブラン層の該下側面との間に配置され、該第一の感知アレイに抵抗接続される、第二の感知アレイ
を備える電気的接続;
少なくとも1つの該血液ラインおよび該フィステル針に取り付け可能であり、該アクセス位置から該フィステル針が外れた際に該電気的接続を切断する切断機構
を備え、
ここで、血液が少なくとも1つの該感知アレイに接触するか、または該電気的接続が該切断機構によって切断される場合に、該電気的接続を通じて送信される電気信号が変化し、該分析回路を作動させ該アクセス位置からの該フィステル針の部分的もしくは全体的な外れを医療従事者に通知する警告を引き起こす、血液透析用位置センサ。
【請求項2】
前記切断機構は、前記フィステル針の外れの際に、目打ちに沿って前記センサから該切断機構が分離し、前記電気的接続が切断されるように、少なくとも1つの前記血液ラインおよび該フィステル針に取り付け可能な接着タブ、ならびに前記メンブラン層に沿う目打ちとからなり、請求項1に記載の血液透析用位置センサ。
【請求項3】
前記電気的接続は、アクセス位置である患者の四肢に巻かれる導電線である、請求項1または2に記載の血液透析用位置センサ。
【請求項4】
血液透析中にフィステル針が患者の身体に入るアクセス位置からの該フィステル針の部分的および全体的な外れを医療従事者に警告する方法であって、該方法は、以下:
位置センサを提供する工程であって、該位置センサは、基礎メンブレン層、上部メンブレン層、該基礎メンブレン層と該上部メンブレン層との間に配置される1または複数の抵抗接続された感知アレイを備える電気的接続、ならびに少なくとも1つの該血液ラインおよび該フィステル針に取り付け可能であり該アクセス位置からの該フィステル針の外れの際に該電気的接続を切断する切断機構を備え、該基礎メンブレン層は医療等級の生体適合性材料で作製され、該アクセス位置で該患者の皮膚に接着可能である下側面、ならびに血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴を備える、工程;
前記電気的接続と電気的に連絡する分析回路を提供する工程;
該分析回路から位置センサへ信号を送信し、該位置センサからの信号を該分析回路で受信する工程であって、該信号が該電気的接続の1または複数の抵抗接続された感知アレイを伝わる、工程;
該アクセス位置から該フィステル針を部分的に外し、血液を該1または複数の抵抗接続された感知アレイに接触させ、該分析回路から送信される該信号を変化させる工程;
該アクセス位置から該フィステル針を全体的に外し、該切断機構に該電気的接続を切断させ、該分析回路から送信されるシグナルを変化させる工程;
該分析回路により、該変化された信号が所定の範囲の外側かどうかを決定する工程;
該変化された信号が所定の範囲の外側である場合に該分析回路により警告を作動させる工程
を包含する、方法。
【請求項5】
前記切断機構は、少なくとも1つの前記血液ラインおよび前記フィステル針に取り付け可能な接着タブと、前記メンブラン層に沿った目打ちを備え、該切断機構による前記電気的接続の切断は、少なくとも1つの該血液ラインおよび該フィステル針により該接着タブを引っ張り該電気的接続を切断させること、および該目打ち沿って該位置センサから該切断機構を分離することにより該電気的接続を切断させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記位置センサはさらに血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴、ならびに1または複数の抵抗接続された感知アレイを備え、該感知アレイは、前記基礎メンブレン層と前記第一のメンブレン層との間に配置される第一の感知アレイ、および該第一のメンブレン層と前記上部メンブレン層との間に配置される第二の感知アレイを備える、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
誤ったアラームが生じた場合に、前記位置センサをリセットする工程をさらに包含する、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
血液透析中の問題を医療従事者に警告する方法であって、該方法は、以下:
血液透析中にアクセス位置においてフィステル針用の能動型フェイルセーフ位置センサを提供する工程;
少なくとも以下:該能動型フェイルセーフ位置センサの失敗;該能動型フェイルセーフ位置センサに十分電力が供給されていない;該アクセス位置から部分的にフィステル針が外れている;および該アクセス位置から完全にフィステル針が外れている間に、該能動型フェイルセーフ位置センサを用いて血液透析中に問題を医療従事者に自動的に警告する工程
を包含する、方法。
【請求項9】
前記能動型フェイルセーフ位置センサが、電気回路および切断機構を備え、該切断機構は、少なくとも1つの血液ラインおよび前記フィステル針に取り付けられ、完全な針の外れの間に該能動型フェイルセーフ位置センサの該能動型電気回路を開放し、該アクセス位置からの完全な針の外れが、該切断機構に該能動型フェイルセーフ位置センサの該能動型電気回路を開放させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記能動型フェイルセーフ位置センサが、基礎メンブレン層、上部メンブレン層、該基礎メンブレン層と該上部メンブレン層との間に配置される1つまたは複数の抵抗接続される感知アレイを備える電気的接続、ならびに分析回路を備え、該基礎メンブレン層が、医療等級の生体適合性材料から作製され、前記患者の皮膚に接着可能な下側面、ならびに血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴を備え、該分析回路が、
該分析回路により送信される電気信号と該分析回路により受信される電気信号との間の差が所定の範囲を超える場合、該電気的接続の1または複数の抵抗接続される感知アレイに電気的に連絡し電気信号を送信し、該能動型フェイルセーフ位置センサを用いて血液透析中の問題を医療従事者に自動的に警告する、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記能動型フェイルセーフ位置センサはさらに、血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴を備える第一のメンブラン層、および1または複数の抵抗接続される感知アレイを備え、該感知アレイが、前記基礎メンブラン層と該第一のメンブラン層との間に配置される第一の感知アレイ、および該第一のメンブラン層と前記上部メンブラン層との間に配置される第二の感知アレイを備える、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
誤ったアラームが生じた場合に、前記位置センサをリセットする工程をさらに含む、請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
フィステル針が患者の身体に入るアクセス位置からの血液漏出、および該アクセス位置からの該フィステル針の外れを医療従事者に警告するために少なくとも1つの血液ラインおよび該フィステル針に取り付け可能な血液透析用位置センサであって、該血液透析用位置センサは、以下:
医療等級の生体適合性材料で作製され、上側面、該患者の皮膚に接着可能な下側面、ならびに血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴を備える基礎メンブラン層;
上側面、下側面、ならびに血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴を備える第二のメンブラン層;
上側面、下側面を備える第二のメンブラン層;
分析回路に電気連結されるように適合され、以下:
該基礎メンブラン層の該上側面と該第二のメンブラン層の該下側面との間に配置される第一の感知アレイ、
該第二のメンブラン層の該上側面と該第三のメンブラン層の該下側面との間に配置され、該第一の感知アレイに抵抗接続される、第二の感知アレイ
を備える電気的接続;
少なくとも1つの該血液ラインおよび該フィステル針に取り付け可能であり、該アクセス位置から該フィステル針が外れた際に該電気的接続を切断する切断機構
を備え、
ここで、血液が少なくとも1つの該感知アレイに接触するか、または該電気的接続が該切断機構によって切断される場合に、該電気的接続を通じて送信される電気信号が変化し、該分析回路を作動させ該アクセス位置からの該フィステル針の部分的もしくは全体的な外れを医療従事者に通知する警告を引き起こす、血液透析用位置センサ。
【請求項2】
前記切断機構は、前記フィステル針の外れの際に、目打ちに沿って前記センサから該切断機構が分離し、前記電気的接続が切断されるように、少なくとも1つの前記血液ラインおよび該フィステル針に取り付け可能な接着タブ、ならびに前記メンブラン層に沿う目打ちとからなり、請求項1に記載の血液透析用位置センサ。
【請求項3】
前記電気的接続は、アクセス位置である患者の四肢に巻かれる導電線である、請求項1または2に記載の血液透析用位置センサ。
【請求項4】
血液透析中にフィステル針が患者の身体に入るアクセス位置からの該フィステル針の部分的および全体的な外れを医療従事者に警告する方法であって、該方法は、以下:
位置センサを提供する工程であって、該位置センサは、基礎メンブレン層、上部メンブレン層、該基礎メンブレン層と該上部メンブレン層との間に配置される1または複数の抵抗接続された感知アレイを備える電気的接続、ならびに少なくとも1つの該血液ラインおよび該フィステル針に取り付け可能であり該アクセス位置からの該フィステル針の外れの際に該電気的接続を切断する切断機構を備え、該基礎メンブレン層は医療等級の生体適合性材料で作製され、該アクセス位置で該患者の皮膚に接着可能である下側面、ならびに血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴を備える、工程;
前記電気的接続と電気的に連絡する分析回路を提供する工程;
該分析回路から位置センサへ信号を送信し、該位置センサからの信号を該分析回路で受信する工程であって、該信号が該電気的接続の1または複数の抵抗接続された感知アレイを伝わる、工程;
該アクセス位置から該フィステル針を部分的に外し、血液を該1または複数の抵抗接続された感知アレイに接触させ、該分析回路から送信される該信号を変化させる工程;
該アクセス位置から該フィステル針を全体的に外し、該切断機構に該電気的接続を切断させ、該分析回路から送信されるシグナルを変化させる工程;
該分析回路により、該変化された信号が所定の範囲の外側かどうかを決定する工程;
該変化された信号が所定の範囲の外側である場合に該分析回路により警告を作動させる工程
を包含する、方法。
【請求項5】
前記切断機構は、少なくとも1つの前記血液ラインおよび前記フィステル針に取り付け可能な接着タブと、前記メンブラン層に沿った目打ちを備え、該切断機構による前記電気的接続の切断は、少なくとも1つの該血液ラインおよび該フィステル針により該接着タブを引っ張り該電気的接続を切断させること、および該目打ち沿って該位置センサから該切断機構を分離することにより該電気的接続を切断させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記位置センサはさらに血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴、ならびに1または複数の抵抗接続された感知アレイを備え、該感知アレイは、前記基礎メンブレン層と前記第一のメンブレン層との間に配置される第一の感知アレイ、および該第一のメンブレン層と前記上部メンブレン層との間に配置される第二の感知アレイを備える、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
誤ったアラームが生じた場合に、前記位置センサをリセットする工程をさらに包含する、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
血液透析中の問題を医療従事者に警告する方法であって、該方法は、以下:
血液透析中にアクセス位置においてフィステル針用の能動型フェイルセーフ位置センサを提供する工程;
少なくとも以下:該能動型フェイルセーフ位置センサの失敗;該能動型フェイルセーフ位置センサに十分電力が供給されていない;該アクセス位置から部分的にフィステル針が外れている;および該アクセス位置から完全にフィステル針が外れている間に、該能動型フェイルセーフ位置センサを用いて血液透析中に問題を医療従事者に自動的に警告する工程
を包含する、方法。
【請求項9】
前記能動型フェイルセーフ位置センサが、電気回路および切断機構を備え、該切断機構は、少なくとも1つの血液ラインおよび前記フィステル針に取り付けられ、完全な針の外れの間に該能動型フェイルセーフ位置センサの該能動型電気回路を開放し、該アクセス位置からの完全な針の外れが、該切断機構に該能動型フェイルセーフ位置センサの該能動型電気回路を開放させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記能動型フェイルセーフ位置センサが、基礎メンブレン層、上部メンブレン層、該基礎メンブレン層と該上部メンブレン層との間に配置される1つまたは複数の抵抗接続される感知アレイを備える電気的接続、ならびに分析回路を備え、該基礎メンブレン層が、医療等級の生体適合性材料から作製され、前記患者の皮膚に接着可能な下側面、ならびに血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴を備え、該分析回路が、
該分析回路により送信される電気信号と該分析回路により受信される電気信号との間の差が所定の範囲を超える場合、該電気的接続の1または複数の抵抗接続される感知アレイに電気的に連絡し電気信号を送信し、該能動型フェイルセーフ位置センサを用いて血液透析中の問題を医療従事者に自動的に警告する、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記能動型フェイルセーフ位置センサはさらに、血液および蒸気の通過を可能にするように配置される1または複数の穴を備える第一のメンブラン層、および1または複数の抵抗接続される感知アレイを備え、該感知アレイが、前記基礎メンブラン層と該第一のメンブラン層との間に配置される第一の感知アレイ、および該第一のメンブラン層と前記上部メンブラン層との間に配置される第二の感知アレイを備える、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
誤ったアラームが生じた場合に、前記位置センサをリセットする工程をさらに含む、請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−502148(P2007−502148A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523194(P2006−523194)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/022403
【国際公開番号】WO2005/019416
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506045842)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/022403
【国際公開番号】WO2005/019416
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506045842)
【Fターム(参考)】
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