説明

車両における車輪

【課題】車輪の構成を根本的に変更することにより、車両全体の構造を単純化し、車両の製造コストを低減し、伝動効率を向上させる。
【解決手段】車輪1のスポーク部5を車両本体3に回転不能に支持させ、該スポーク部の外端5aには車輪のリム部9を回転自在に支持させ、該リム部の外面にはタイヤ17を装着し、該リム部の内方には駆動手段19を配設し、該駆動手段は車両本体又はスポーク部に固定し、該駆動手段には回転駆動アーム21を突設し、該回転駆動アームの外端21aを該リム部に固定することにより該駆動手段により該リム部を回転させるようにしたことを特徴とする車両における車輪。前記スポーク部の外端には転動体7又は軸受23を介して車輪のリム部を回転自在に支持させる。前記駆動手段は、好ましくは電気モータである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、オートバイ、自転車、車椅子等の車両における車輪に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両における車輪は、例えば特開2005−297688号公報に示すように、一般に、車軸が挿通されるハブ部と、タイヤが装着されるリム部と、該ハブ部と該リム部とを連結するスポーク部とよりなり、該車軸は車両本体に搭載されたエンジン等の駆動手段により回転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−297688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記従来の車輪においては、車軸が車両本体に搭載されたエンジン等の駆動手段により回転されるようにしているため、該駆動手段の回転は伝動軸、伝動チェーン等の伝動手段を介して車軸に伝えられ、該車軸の回転がハブ部とスポーク部とを介してリム部に伝えられる。
【0005】
したがって、車両全体の構造が複雑になり、製造コストが上昇し、伝動効率が低下するという問題が生じている。
【0006】
このような状況に鑑み、本発明は、車輪の構成を根本的に変更することにより、車両全体の構造を単純化し、車両の製造コストを低減し、伝動効率を向上させようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、下記の車両における車輪を提供するものである。
【0008】
(1)車輪のスポーク部を車両本体に回転不能に支持させ、該スポーク部の外端には車輪のリム部を回転自在に支持させ、該リム部の外面にはタイヤを装着し、該リム部の内方には駆動手段を配設し、該駆動手段は車両本体又はスポーク部に固定し、該駆動手段には回転駆動アームを突設し、該回転駆動アームの外端を該リム部に固定することにより該駆動手段により該リム部を回転させるようにしたことを特徴とする車両における車輪(請求項1)。
【0009】
(2)前記スポーク部の外端には転動体を介して車輪のリム部を回転自在に支持させる(請求項2)。
【0010】
(3)前記スポーク部の外端には軸受を介して車輪のリム部を回転自在に支持させる(請求項3)。
【0011】
(4)前記駆動手段は電気モータである(請求項4)。
【発明の効果】
【0012】
本発明による車輪は、リム部の内方に配設した駆動手段により直接駆動されるため、該車輪が車軸とハブ部とを有しないのみならず、車両には伝動軸、伝動チェーン等の伝動手段も不要である。
【0013】
したがって、本発明によれば、車両全体の構造が簡単になり、製造コストが低減され、伝動効率が上昇する。
【0014】
また、各車輪を駆動手段により直接駆動させるようにしたため、例えば自動車、車椅子等の車両の場合には、左右いずれか一方の車輪のみを回転させることによる信地旋回、左右の車輪を相互に異なる方向に回転させることによる超信地旋回が可能となる。すなわち、左右の車輪の駆動手段を制御することにより、車両を極めて狭い場所で旋回させることができる。
【0015】
更に、例えばオートバイ等の車両の場合には、伝動チェーン等の伝動手段が不要であるため、車両の意匠が向上する。
【0016】
駆動手段として電気モータを使用する場合には、本発明による車輪を備えた車両は、走行時に二酸化炭素を排出することがなく、排気ガスも全く生じない。また、駆動手段として電気モータを使用する場合には、本発明による車輪を備えた車両は、走行時に大きな騒音を発することがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明による車輪の一例を概略的に示す断面図である。
【図2】図2は、同上車輪の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】図3は、同上車輪の側面図である。
【図4】図4は、本発明による車輪の別の一例を概略的に示す断面図である。
【図5】図5は、同上車輪の一部を拡大して示す断面図である。
【図6】図6は、同上車輪の側面図である。
【図7】図7は、本発明による車輪の更に別の一例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
符号1に示すものは車輪、符号3に示すものは車両本体である。
【0019】
まず、図1〜図3に示す事例について説明する。
【0020】
車輪1のスポーク部5を車両本体3に回転不能に支持させ、該スポーク部5の外端5aには車輪1のリム部9を回転自在に支持させる。
【0021】
車輪1のスポーク部5は、図1に示すように、リム部9の内側における車両本体3に近い部分と車両本体3から離れた部分とにそれぞれ配設することが望ましいが、例えばリム部9の内側における車両本体3に近い部分又は車両本体3から離れた部分にのみ配設しても差し支えない。
【0022】
車輪1のスポーク部5を車両本体3に回転不能に支持させるに当っては、一例として連結部材11を介して該スポーク部5を車両本体3に固定する。
【0023】
スポーク部5をリム部9の内側における車両本体3に近い位置と車両本体3から離れた位置とにそれぞれ配設する場合には、例えば、車両本体3に近い位置のスポーク部5と車両本体3から離れた位置のスポーク部5との間に後述の駆動手段を固定し、車両本体3に近い位置のスポーク部5を連結部材11を介して車両本体3に固定し、車両本体3から離れた位置のスポーク部5を該駆動手段に固定してもよい。また、スポーク部5をリム部9の内側における車両本体3から離れた部分に配設する場合には、後述の駆動手段を車両本体3に固定し、該駆動手段に該スポーク部5を固定してもよい。
【0024】
スポーク部5の外端5aには、一例として転動体7を介して、車輪1のリム部9を回転自在に支持させる。
【0025】
スポーク部5の外端5aに転動体7を介して車輪1のリム部9を回転自在に支持させるために、スポーク部5の外端5aには転動体7を突出状態で転動自在に保持する保持凹部13を形成し、リム部9の内面には転動体7を転動自在に受ける環状溝15を形成し、車輪1の回転時には保持凹部13に突出状態で保持させた転動体7がリム部9内面の環状溝15に沿って転動するようになす。
【0026】
転倒体7は、好ましくは球体とするが、例えば円柱状体であっても差し支えない。
【0027】
リム部9の外面にはタイヤ17を装着する。
【0028】
リム部9の内方には駆動手段19を配設する。
【0029】
駆動手段19は、前記連結部材11を介して車両本体3に固定し、又はスポーク部5に固定する。
【0030】
駆動手段19には回転駆動アーム21を突設し、該回転駆動アーム21の外端21aをリム部9に固定することにより該駆動手段19により該リム部9を回転させるようになす。
【0031】
駆動手段19は、適宜の減速機構(図示せず。)を備えており、駆動手段19の回転は該減速機構を介して、回転駆動アーム21に伝えられる。
【0032】
各車輪1の駆動手段19の始動、停止、回転速度、回転方向等は車両本体3に備えさせた制御手段により適宜制御される。
【0033】
図4〜図6に示す事例においては、スポーク部5の外端5aには軸受23を介して車輪1のリム部9を回転自在に支持させている。その他の点においては、図4〜図6に示す事例は、前記図1〜図3に示す事例と同様である。
【0034】
軸受23としては、例えば、外輪25と内輪27との間に転動体29を転動自在に配設してなるものを使用する。
【0035】
図5においては、転動体29は2列に配設されているが、転動体29は1列ないし3列以上の複数列に配設してもよい。
【0036】
転倒体29は、好ましくは球状体とするが、例えば円柱状体であっても差し支えない。
【0037】
図5においては、軸受23の外輪25は車輪1のリム部9内面に固定され、軸受23の内輪27はスポーク部5の外端5aに備えさせたアーム部31に固定されている。
【0038】
図7に示す事例は、図4〜図6に示す事例の変形例である。
【0039】
図7に示す事例においては、スポーク部5は略円板状体であり、スポーク部5の外端5a(外周)には多数個の軸受23、23・・・を介して車輪1のリム部9を回転自在に支持させている。各軸受23の外輪25は車輪1のリム部9内面に固定され、各軸受23の内輪27はスポーク部5の外端5aに備えさせたアーム部31(図示せず。)に固定されている。スポーク部5は、連結部材11を介して車両本体3に固定される。
【0040】
駆動手段19は、内燃機関であってもよいが、好ましくは電気モータとする。
【符号の説明】
【0041】
1 車輪
3 車両本体
5 スポーク部
5a 外端
7 転動体
9 リム部
11 連結部材
13 保持凹部
15 環状溝
17 タイヤ
19 駆動手段
21 回転駆動アーム
21a 外端
23 軸受
25 外輪
27 内輪
29 転動体
31 アーム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪のスポーク部を車両本体に回転不能に支持させ、該スポーク部の外端には車輪のリム部を回転自在に支持させ、該リム部の外面にはタイヤを装着し、該リム部の内方には駆動手段を配設し、該駆動手段は車両本体又はスポーク部に固定し、該駆動手段には回転駆動アームを突設し、該回転駆動アームの外端を該リム部に固定することにより該駆動手段により該リム部を回転させるようにしたことを特徴とする車両における車輪。
【請求項2】
前記スポーク部の外端には転動体を介して車輪のリム部を回転自在に支持させたことを特徴とする請求項1に記載の車両における車輪。
【請求項3】
前記スポーク部の外端には軸受を介して車輪のリム部を回転自在に支持させたことを特徴とする請求項1に記載の車両における車輪。
【請求項4】
前記駆動手段は電気モータであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両における車輪。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−5925(P2011−5925A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150472(P2009−150472)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(506260641)
【Fターム(参考)】