説明

車両のアース装置

【課題】メンテナンス時の作業性を考慮しつつも、露出導電部の腐食や飛び石による損傷や断線を防止するアース装置を提供する。
【解決手段】車両1に搭載された電池パック2と、電池パックを車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバ9、10間に支持する支持部材5と、支持部材とサイドメンバとを連結する導電性部材11、12とを備え、この導電性部材11、12を、支持部材5の車両後方で、車両の前方視において支持部材5に重なるように配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用の電動モータの動力源となる複数の充電式のバッテリーセルを備えた車両のアース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行用の駆動モータを備えた電気自動車、あるいは走行用の駆動モータと内燃機関の双方を備えた所謂ハイブリッド自動車には、駆動モータの動力源となる充電可能な電気パックが搭載されている。電池パックは、複数のバッテリーセルをケーシング内に配列して、内燃機関に用いるバッテリーよりも高い電圧を出力して駆動モータを駆動するように構成されている。
このような高電圧の電池パックは高電圧機器となり、絶縁故障した際に高電圧を帯びる可能性があることから、工具なしに触れることができる部位を露出導電部と定義されている。そしてこの露出導電部は、例えば電気的シャシ(車体)とアースすることが法規により定められている。一般に露出導電部のアース手段にはケーブル類を用いることが多く、ケーブルや電池パックを飛び石等から保護する目的でカバー部材によって覆われている事も多い。また、特許文献1では、電気自動車において、バッテリーから延びるハーネスを車体下面に配置すると、走行中にカプラーに飛び石が当たる可能性があることから、バッテリボックス側面と車体左右方向に延びるフレーム部材とによって区画された空間にカプラーを配置して保護する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3819605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アースのためのケーブル類をカバー部材で覆うことで保護することは可能であるが、車体の下部構造によってはカバー部材を設置することが難しく、また、仮にカバー部材を設置した場合、メンテナンス時の着脱作業が増えるとともに、カバー部材に例えば海水や泥などが溜まってしまうと露出導電部の腐食につながることから、カバー部材に排出構造が求められてしまう。特許文献1の構成では、カバー部材は不要となるが、カプラーを用いているため、カプラーの外れや、万が一飛び石が当たったときに、樹脂製のカプラーの場合だと損傷や断線が懸念される。
本発明は、メンテナンス時の作業性を考慮しつつも、導電性部材の腐食や飛び石による損傷や断線を防止できる車両のアース装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両に搭載された電池パックと、電池パックを車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバ間に支持する支持部材と、支持部材とサイドメンバとを連結する導電性部材とを備え、導電性部材は、支持部材の車両の後方に配置されて車両の前方視において支持部材に重なるように配置されることを特徴としている。
本発明に係る車両のアース装置において、導電性部材と接続される支持部材又はサイドメンバのうち一方は締結部材により締結され、他方は溶接により接合されることを特徴としている。
本発明に係る車両のアース装置において、導電性部材は、車両の上面視においてサイドメンバとの接続部と、支持部材との接続部とが車両幅方向にオフセットされていることを特徴としている。
本発明に係る車両のアース装置において、導電性部材は、サイドメンバの接続部と支持部材の接続部との間に、車両の衝突荷重を吸収する脆弱部が形成されていることを特徴としている。
本発明に係る車両のアース装置において、導電性部材は、サイドメンバの接続部と支持部材の接続部との間を車両上下方向に連接する縦壁が形成されていて、当該縦壁に車両前後方向に貫通する開口が形成されていることを特徴としている。
本発明に係る車両のアース装置において、導電性部材は、支持部材との接続部を複数箇所有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、支持部材とサイドメンバとを連結する導電性部材が、支持部材の車両後方に配置されて車両の前方視において支持部材に重なるように配置されるため、導電性部材となる板状部材が、支持部材の陰に配置されることとなり、従来のようにカバー部材が無くても走行時の飛び石による損傷を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のアース装置が適用された車両の概略構成図。
【図2】電池パックの取付部近傍の構成を示す拡大底面図。
【図3】サイドメンバと取付けメンバと露出導電部となる板状部材の取付け状態を車両底面側から見た拡大斜視図。
【図4】サイドメンバと取付けメンバと露出導電部となる板状部材の取付け部分を車両側面から見た部分拡大断面図。
【図5】露出導電部の取付け状態を車両底面側から見た拡大図。
【図6】開口を形成した露出導電部の取付け状態を車両側面から見た部分拡大断面図。
【図7】図2と異なる電池パックの取付部近傍の構成を示す拡大底面図
【図8】図7で用いる露出導電部の別な形態の構成を示す拡大斜視図。
【図9】サイドメンバと取付けメンバに対し、図8に示す露出導電部となる別な形態の板状部材の取付け状態を車両底面側から見た拡大斜視図。
【図10】車両走行時における飛び石と板状部材の位置関係を説明するための側面視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明に係る車両のアース装置について説明する。
図1はアース装置が適用された車両1の概略図である。この車両1は図示しない走行用の駆動モータを備えた車両である。車両1の中央部には、駆動モータの動力源となる充電可能な電気パック2が搭載されている。電池パック2は、複数のバッテリーセル30をケーシング3内に配置されていて、高電圧を出力して駆動モータを駆動するように構成されている。
【0009】
ケーシング3は樹脂製であって、その一部の開口部から外部に導電部4が露呈している。ケーシング3には、ケーシング3より車両幅方向Wに突出した支持部材となる複数の取付けメンバ5〜8が設けられている。取付けメンバ5〜8は、車両幅方向Wに延びた金属製の導電性部材で閉断面構造に構成されたものである。取付けメンバ5〜8は、車両前後方向Aに間隔を開けて配置され、ケーシング3の例えば底部3aに固定されている。これら取付けメンバ5〜8のうち、車両前方側に位置する取付けメンバ5には、導電部4が直接接触している。
【0010】
取付けメンバ5〜8の両端5a、5b、6a、6b、7a、7b、8a、8bは、図2にも示すように、車両前後方向Aに延在し、車両幅方向Wに位置する金属製の導電性部材で形成されたサイドメンバ9,10に固定されている。電池パック2は、取付けメンバ5〜8をサイドメンバ9,10に固定することで、車両1の図示しないフロアよりも下方に配置されている。
【0011】
本形態では、取付けメンバ5〜8を、電池パック2をサイドメンバ9,10に取付ける専用のものとしたが、例えば、サイドメンバ9,10間に掛け渡されてサイドメンバと相まってシャーシを構成するクロスメンバを電池パック2の下方に配置し、同クロスメンバを介して電池パック2をサイドフレーム9,10に固定することも可能である。ただクロスメンバは、シャーシの剛性確保が優先されることから、配置場所には制約が多い部材であるので、本形態のように、個別に電池パック2用の取付けメンバ5〜8を用いてサイドメンバ9,10に固定する形態の方が、電池パック2の重量を考慮して配置できるので好ましい。
【0012】
取付けメンバ5〜8はサイドメンバ9,10に横架されてそれぞれの両端5a、5b、6a、6b、7a、7b、8a、8bが固定されることから、シャーシ側からみるとクロスメンバとしての機能も有するため、シャーシの剛性を高めることができる。本形態では取付けメンバ5〜8を4本用いて電池パック2をサイドメンバ9、10に固定して取付けているが、取付けメンバの数は、本実施形態の数に限定されるものでは無く、電池パック2の平面的な大きさ、重量を考慮して適宜増減するのが好ましい。
【0013】
本形態において、取付けメンバ5〜8を車両前方側から順番に第1メンバ〜第4メンバとすると、第1メンバ(取付けメンバ5)とサイドメンバ9、サイドメンバ10との間に、金属製の板状部材11、12を配置している。板状部材11、12は、図2に示すように、導電性部材で形成されていて露出導電部を構成している。板状部材11、12は、図3,図4に示すように、板金加工によりクランク状に屈曲形成されていて、平坦で略水平な一端11a、12aと他端11b、12bの間に、車両前後方向Aに面し、下方に位置する一端11a、11bから上方に位置する他端11b、12bに向かって上り傾斜した縦壁11c、12cを有している。すなわち、板状部材11、12には、サイドメンバ9,10の接続部と取付けメンバ5の接続部との間を車両上下方向に連接する縦壁11c、12cが形成されている。これら板状部材11、12は、一端11a、12aが取付けメンバ5の両端にスポット溶接によって接合されて固定され、他端11b、12bが締結部材となるボルト13によってそれぞれサイドメンバ9,10に締結されて固定されている。なお、図3は、車両左側に配置された片側の板状部材11のみを示す。
【0014】
つまり、電池パック2の外部に露呈した導電部4は、取付けメンバ5、板状部材11,12を介してサイドメンバ9,10に接続されていて、アース経路が確保されている。ここでは、取付けメンバ5とサイドメンバ9、取付けメンバ5とサイドメンバ10の間に板状部材11、12をそれぞれ介在させて連結してアース経路を形成しているが、取付けメンバ5とサイドメンバ9あるいは、取付けメンバ5とサイドメンバ10の少なくとも一方に板状部材11または板状部材12を連結してアース経路を形成しても良い。
【0015】
板状部材11、12は、取付けメンバ5の接続部となる一端11a、12aとサイドメンバ9、10との接続部となる他端11b、12bを除く部分において、車両前後方向から衝突荷重が加えられたときに車両前後方向Aに変形するように、部分的に脆弱部となる折れ部11d、12dと折れ部11e、12eが形成されている。すなわち、板状部材11、12、サイドメンバ9,10の接続部と取付けメンバ5の接続部との間に、車両1の衝突荷重を吸収する脆弱部が形成されている。
【0016】
板状部材11、12は、取付けメンバ5よりも車両後方側に配置されている。具体的には、取付けメンバ5との接続部となる板状部材11、12の一端11a、12bよりも、車両後方側に位置し、サイドメンバ9,10との接続部をなす板状部材11、12の他端11b、12b及び縦壁11c、12cが、取付けメンバ5よりも車両後方側に配置されている。すなわち、板状部材11、12は、取付けメンバ5の車両後方に配置され、かつ車両1の前方視において取付けメンバ5に重なるように配置されている。
【0017】
また、本形態において、板状部材11、12は、サイドメンバ9,10との接続部となる他端11b、12bに対して、取付けメンバ5との接続部となる一端11a、12aが、図5に示すように、車両1の上面視において車両幅方向Wにオフセットされて配置されている。具体的には、他端11b、12bに対して一端11a、12aが車両1の内側に位置するように、板状部材11、12を斜めに配置している。無論、板状部材11、12の配置としては、他端11b、12bに対して一端11a、12aが車両1の外側に位置するようにしてもよい。
【0018】
すなわち、本形態にかかるアース装置は、車両に搭載された電池パック2と、電池パックを車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバ9,10間に支持する取付けメンバ5と、取付けメンバ5とサイドメンバ9,10とを連結する板状部材11、12とを備え、板状部材11、12は、取付けメンバ5の車両の後方に配置されて車両の前方視において取付けメンバ5に重なるように配置されている。
【0019】
このように、電池パック2のケーシング3よりも車両幅方向Wに突出し、その一部が電池パックBの導電部4と接触するとともに、車両前後方向Aに延在して車両幅方向にそれぞれ位置する導電性のサイドメンバ9,10に固定される、導電性の取付けメンバ5よりも車両後方側に、取付けメンバ5とサイドメンバ9,10とに接合される導電性の板状部材11、12を、車両1の前方視において取付けメンバ5に重なるように配置したので、露出導電部となる板状部材11,12が取付けメンバ5の陰に配置されることとなり、従来のようにカバー部材が無くても走行時の飛び石による損傷を回避することができるとともに海水や泥等も堆積し難くなる。また、従来アースのためのケーブル類で構成されていた露出導電部を金属製の板状部材11,12で構成したので、飛び石が当たった場合でも断線のおそれがなくなる。このため、メンテナンス時の作業性を考慮しつつも、良好な絶縁性を確保することができ、乗員や作業者に対して安全な状態を維持することができる。
【0020】
板状部材11,12に、車両前後方向Aから衝突荷重が加えられたときに同方向に変形するように、部分的に脆弱部となる折れ部11d、11eと折れ部12d、12eをそれぞれ形成したので、電池パック2とシャーシとなるサイドメンバ9,10との間に相対変位が生じた場合でも、折れ部11d、11eと折れ部12d、12eの変形により吸収することができるため、衝突後においても良好な絶縁性を維持することができる。
【0021】
本形態では、1つの取付けメンバ5に対して複数の板状部材11,12を接続し、各板状部材11,12を車両幅方向に位置するサイドメンバ9,10と接続したので、例えば車両1の左方から衝突荷重を受けて、一方の板状部材11が破損して片側のアース経路が絶たれた場合でも、衝突方向と反対側に位置する板状部材12により、導電部4、取付けメンバ5からサイドメンバ10に掛けてのアース経路を維持することができるので、事故車両等からの救出者に対しても電気的な安全を確保することができる。
【0022】
板状部材11,12のサイドメンバ9,10との接続部(他端11b、12b)に対して、板状部材11,12の取付けメンバ5との接続部(一端11a、12a)を車両1の上面視において車両幅方向Wにオフセットして配置したので、車両前後方向Aから衝突荷重が加えられたときに、オフセットしない場合に比べて、板状部材11,12が突っ張ることがなく変形しやすくなり、突っ張ることによる板状部材11,12の破断を抑制でき、よりアース経路を確保して良好な絶縁性を維持することができる。
【0023】
図6は、板状部材11,12の縦壁11c、12cに、車両前後方向Aに貫通する開口15,16を形成したものである。この開口15,16の下端15a、16aは、一端11a、12aの上面まで延びるように形成されている。このため、車両走行中に海水や泥等が堆積しても、開口15,16から落下させることができるので、耐腐食性も良好となる。
【0024】
板状部材11,12では、一端11a、12aと取付けメンバ5との接続部を1箇所としたが、図7に示す導電性部材で金属製の板状部材110,120では、図8に示すように、取付けメンバ5との接続部が複数となるように一端110a、110bを二股状に形成し、別れた先端110a1,110a2及び先端120a1,120a2が車両幅方向Wに位置するように配置して、図9に示すように取付けメンバ5に各先端をスポット溶接して固定した。図9は板状部材110側の取付け状態を示す。
【0025】
板状部材110,120の他端110b、120bは、図7に示すように、サイドメンバ9,10にボルト13で締結して固定される。無論これら板状部材110,120に関しても、板状部材11,12同様の機能を有するべく、図8に示すように、縦壁110c、120cと、部分的に脆弱部となる折れ部110d、110eと折れ部120d、120eとをそれぞれ形成している。この板状部材110,120も取付けメンバ5よりも車両後方側に、少なくとも折れ部110d、110e、120d、120eと、縦部110c、120c及び他端110b、120bを配置して、かつ、車両1の前方視において取付けメンバ5に重なるように配置している。
【0026】
すなわち、本形態にかかるアース装置は、車両に搭載された電池パック2と、電池パックを車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバ9,10間に支持する取付けメンバ5と、取付けメンバ5とサイドメンバ9,10とを連結する板状部材110,120とを備え、板状部材110,120は、取付けメンバ5の車両の後方に配置されて車両の前方視において取付けメンバ5に重なるように配置されている。
【0027】
このように、導電性の取付けメンバ5よりも車両後方側に、取付けメンバ5とサイドメンバ9,10とに接合(接続)される導電性の板状部材110,120を、車両1の前方視において取付けメンバ5に重なるように配置することで、露出導電部となる板状部材110,120が取付けメンバ5の陰に配置されることとなり、従来のようにカバー部材が無くても走行時の飛び石による損傷を回避することができるとともに、塩水や泥等も堆積し難くなる。また、従来ケーブル類で構成されていた露出導電部を金属製の板状部材110,120で構成したので、飛び石が当たった場合でも断線のおそれがなくなる。このため、メンテナンス時の作業性を考慮しつつも、良好な絶縁性を確保することができ、乗員や作業者に対して安全な状態を維持することができる。
【0028】
板状部材110,120に、車両前後方向Aから衝突荷重が加えられたときに同方向に変形するように、すなわち、車両1の衝突荷重を吸収する部分的に脆弱部となる折れ部110d、110eと折れ部120d、120eを形成したので、電池パック2とシャーシとなるサイドメンバ9,10との間に相対変位が生じた場合でも、折れ部110d、110eと折れ部120d、120eの変形により吸収することができるので、良好な絶縁性を維持することができる。
【0029】
1つの取付けメンバ5に対して複数の板状部材110,120を接合し、各板状部材110,120を車両1の上面視において車両幅方向Wに位置するサイドメンバ9,10と接合したので、例えば車両1の左方から衝突荷重を受けて、一方の板状部材110が破損して片側のアース経路が絶たれた場合でも、衝突方向と反対側に位置する板状部材120により、導電部4、取付けメンバ5からサイドメンバ10に掛けてのアース経路を維持することができるので、事故車両からの救出者に対しても電気的な安全を確保することができる。
【0030】
板状部材110,120では、取付けメンバ5との接続部(一端110a、120a)を二股に形成し、別れた先端110a1,110a2及び120a1,120a2をそれぞれ取付けメンバ5にスポット溶接して固定したので、取付けメンバ5との接合強度が高められるとともに、スポット溶接不良による接合不良を低減することができ、より安定してアース経路を維持して良好な絶縁性を維持することができる。
【0031】
図10は、車両1の前輪20による飛び石と、例えば板状部材11,12との位置関係を示すものである。無論板状部材11,12ではなく板状部材110,120であってもよい。図中、車両1が前進走行しているものとすると、車輪20は反時計回りに回転する。このとき、小石などを前輪20が踏んでしまうと、符号Xで示す軌道で小石が後方に飛ばされたものとする。飛び石の軌道Xよりも車両後方側に位置する取付けメンバ6,7,8においては、飛び石の飛んでくる範囲に位置することになり、これら取付けメンバよりも車両後方側に板状部材11,12あるいは板状部材110,120を、車両1の前方視においてこれら取付けメンバに重なるように配置すると、各取付けメンバの陰にはなるが、飛び石がぶつかってしまうおそれが高い
しかし、飛び石の軌道Xよりも車両前方側に位置する取付けメンバ5においては、飛び石の飛んでくる範囲外に位置することになるので、取付けメンバ5よりも車両後方側に板状部材11,12や板状部材110,120を、車両1の前方視において取付けメンバ5に重なるように配置しても飛び石とぶつかうおそれは格段に低くなることから、本形態では、複数の取付けメンバのうち、飛び石の軌道Xよりも車両前方側に位置する取付けメンバ5の車両後方側で、車両1の前方視において取付けメンバ5に重なるように板状部材11,12や板状部材110,120を配置するようにした。
【0032】
飛び石の軌道Xは、前輪20の外形や回転速度によっても変化するため、最も車両前方側となる飛び石の軌道Xを観察あるいはコンピュータ等のシミュレーションにより想定し、想定した最前の軌道Xよりも車両前方側に少なくとも各板状部材を配置するのが好ましく、より板状部材と飛び石との干渉を防ぐためには、想定した最前の軌道Xよりも車両前方側に少なくとも1つの取付けメンバを配置し、その取付けメンバよりも車両後方側に、車両1の前方視において当該取付けメンバに重なるように各板状部材を配置するのが好ましと言える。
【符号の説明】
【0033】
2 電池パック
3 ケーシング
4 導電部
5〜8 支持部材(取付けメンバ)
9,10 サイドメンバ
11,12、110,120 導電性部材(板状部材)
11(a、b)、12(a、b) 板状部材の両端
110(a、b)、120(a、b) 板状部材の両端
11b、12b、110b、120b サイドメンバとの接続部
11a、12a、110a、120a 取付けメンバとの接続部
11(d、e)、12(d、e) 脆弱部
110(d、e)、120(d、e) 脆弱部
11c、12c、110c、120c 縦壁
15,16 開口
30 複数のバッテリーセル
A 車両前後方向
W 車両幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電池パックと、
前記電池パックを前記車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバ間に支持する支持部材と、
前記支持部材と前記サイドメンバとを連結する導電性部材とを備え、
前記導電性部材は、前記支持部材の前記車両の後方に配置されて前記車両の前方視において前記支持部材に重なるように配置される
ことを特徴とする車両のアース装置。
【請求項2】
前記導電性部材と接続される前記支持部材又は前記サイドメンバのうち一方は締結部材により締結され、他方は溶接により接合されることを特徴とする請求項1記載の車両のアース装置。
【請求項3】
前記導電性部材は、前記車両の上面視において前記サイドメンバとの接続部と、前記支持部材との接続部とが車両幅方向にオフセットされていることを特徴とする請求項1または2記載の車両のアース装置。
【請求項4】
前記導電性部材は、前記サイドメンバの接続部と前記支持部材の接続部との間に、車両の衝突荷重を吸収する脆弱部が形成されていることを特徴とする請求項1,2または3記載の車両のアース装置。
【請求項5】
前記導電性部材は、前記サイドメンバの接続部と前記支持部材の接続部との間を前記車両上下方向に連接する縦壁が形成されていて、当該縦壁に車両前後方向に貫通する開口が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の車両のアース装置。
【請求項6】
前記導電性部材は、前記支持部材との接続部を複数箇所有することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の車両のアース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−112160(P2013−112160A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260007(P2011−260007)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】