説明

車両のバッテリ交換装置

【課題】装置の大型化を招くことなく、バッテリ交換位置に停止した車体が傾斜した状態であっても支障なくバッテリ交換を行う。
【解決手段】バッテリ交換装置11は、バッテリ載置部13と、車両(電気自動車41)に設けられたバッテリ支持部43に対するバッテリユニット42の脱着時にバッテリ載置部13と一体に移動して車体に当接する車両持上げ部材14と、バッテリ載置部13を昇降移動する昇降手段15とを備えている。車両持上げ部材14は、車両の前後方向に延びる棒状に形成されるとともにバッテリ載置部13に載置されたバッテリユニット42の左右両側を挟むように延設されている。そして、バッテリ支持部43に車両の下方からバッテリユニット42を脱着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバッテリ交換装置に係り、詳しくは車両に設けられたバッテリ支持部に車両の下方からバッテリを脱着する車両のバッテリ交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車においては、バッテリの充電量が所定量以下になると電気自動車に搭載された状態でバッテリの充電を行うか、消耗したバッテリを満充電されたバッテリと交換する必要がある。電気自動車のバッテリを交換する方式として、車両の下方に位置する昇降手段を用いて複数のバッテリを収納したバッテリユニットを出し入れする装置が公開されている(特許文献1参照)。このように、車両の下方に位置する昇降手段を用いてバッテリユニットを交換する方式では、対応するバッテリユニットを、車両の床面に沿った、薄く広い形状にできる。電気自動車用のバッテリユニットは、内部に多数のバッテリを有する重いものである為、バッテリを広い面積に分散して配置できる前記の構造は、車両の後方や側方からバッテリを水平に移動させて交換を行う方式に比べて、大型で重いバッテリを使用する電気自動車にて、車両の重量バランスに優れる。
【0003】
ところが、特許文献1に記載の技術にあっては、バッテリユニットを単に上下に昇降させるのみであるため、乗員や積載物といった車載重量物の影響により車体が傾斜している状態では、着脱時、車両下面やバッテリユニットの一部に強い荷重が加わるという問題があった。この問題を解消するため、車体の傾斜に拘らずバッテリを着脱可能なバッテリ交換装置が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載のバッテリ交換装置は、バッテリを載置して固定するバッテリ固定手段の傾斜状態を調整し、この調整された傾斜状態で車両の下面からバッテリを取り付けることとした。具体的には、車両用基台に停止した車両に対し、位置検出センサにより車体のピッチ方向の傾きを検出し、その傾きに応じて回転駆動アクチュエータの第1回転軸周りの回転量を補正し、傾斜状態を調整する。また、位置検出センサにより車体のロール方向の傾きを検出し、その傾きに応じて回転駆動アクチュエータの第2回転軸周りの回転量を補正し、傾斜状態を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−262951号公報
【特許文献2】特開2010−173364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載のバッテリ交換装置は、特許文献1に記載の装置と異なり車体が傾斜している状態であってもバッテリの着脱(交換)を支障なく行うことができる。しかし、特許文献2に記載のバッテリ交換装置は、バッテリを載置して固定するバッテリ固定手段が配置された回転体である多面体治具と、車幅方向に延びる第1回転軸と、車両進行方向に延び第1回転軸の向きを回動する第2回転軸とにより、多面体治具を所定位置及び所定傾斜状態に駆動する回転駆動アクチュエータを有する。また、車幅方向運転席側に配置された一本の支柱を有し、支柱内に収容された回転駆動アクチュエータを支持すると共に、回転駆動アクチュエータを介して支持された多面体治具を片持ち支持する昇降アクチュエータを有する。そのため、バッテリ交換装置が大型化し、特に車両用基台の下に、高く広い床下スペースを必要とするという問題がある。
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の大型化を招くことなく、バッテリ交換位置に停止した車体が傾斜した状態であっても支障なくバッテリ交換を行うことができる車両のバッテリ交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両に設けられたバッテリ支持部に、車両の下方からバッテリを脱着する車両のバッテリ交換装置である。そして、バッテリ載置部と、少なくとも前記バッテリ支持部に対する前記バッテリの脱着時に前記バッテリ載置部と一体に移動して車体に当接する車両持上げ部材と、前記バッテリ載置部を昇降移動する昇降手段とを備えている。ここで、「バッテリ」とは、1個の裸の状態のバッテリに限らず、複数のバッテリがバッテリケースに搭載されたバッテリユニットをも意味し、一般にはバッテリユニットの状態で使用される。
【0008】
乗員及び積載物を含めた車両の左右又は前後の重量バランスにはバラツキが存在する。また、車両に取り付けられた複数のタイヤの状態(空気圧や摩耗の状態)やサスペンションの状態は異なる。そのため、車両がバッテリ交換位置に停止すると、車両のバッテリ支持部(バッテリ収納部)には水平方向に対する傾きが存在する。この発明では、バッテリ載置部と車両持上げ部材とが少なくともバッテリ支持部に対するバッテリの脱着時に一体に昇降手段により昇降される。そのため、車両がバッテリ交換位置に停止した状態で車両のバッテリ支持部に水平方向に対する傾きが存在しても、バッテリ載置部がバッテリ脱着位置に上昇移動された状態では、車両はバッテリ載置部と一体に移動された車両持上げ部材により持ち上げられて水平状態になる。そして、バッテリをバッテリ支持部にロックするロック手段のロックあるいはロック解除を支障なく行うことができる。したがって、装置の大型化を招くことなく、バッテリ交換位置に停止した車体が傾斜した状態であっても支障なくバッテリ交換を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記車両持上げ部材は、車両の前後方向に延びる棒状に形成されるとともに、前記バッテリ載置部に載置された前記バッテリの左右両側を挟むように延設されている。ここで、「バッテリの左右」とは、バッテリが車両のバッテリ支持部に支持された状態で車両の左右に対応する部分を意味する。
【0010】
車両を安定した状態で支持するには少なくとも3点で、かつ車両の重心がその3点で囲まれる範囲内に存在する必要がある。この発明では、車両持上げ部材は車両の前後方向に延びる棒状に形成されるとともに、バッテリ載置部に載置されたバッテリを挟むように延設されているため、車両を安定した状態で支持し易い。また、バッテリの前後両側を挟むように延接する場合に比べてバッテリ支持部が支持するバッテリの面積を広く確保し易い。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記車両持上げ部材は、前記バッテリ支持部の左右に配置されているアンダリーンフォースに当接して車両を支持する。車両持上げ部材が車両をロッカーで支持する構成の場合は意匠面に傷がつく虞がある。しかし、この発明では、アンダリーンフォースの部分で車両を支持するため、意匠面に傷がつかずに車両を支持することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記バッテリ載置部には、前記昇降手段による移動量に対し、前記バッテリにより小さな移動量を与えるバッテリ昇降部が配置されている。
【0013】
バッテリ載置部が最上昇位置に移動した状態において、バッテリ載置部上に載置されたバッテリの上面が、車両のフロア下面に当接する状態になる構成では、バッテリを載置した状態でバッテリ載置部が最上昇位置まで移動される際に、車体が傾斜した状態においてフロアとバッテリとが干渉してフロアの下面やバッテリに過大な力が加わる場合がある。この発明では、フロアとバッテリとの干渉を回避するため、昇降手段による移動量ではバッテリ載置部が最上昇位置に移動した状態においては、バッテリの上面と、車両のフロア下面との間に隙間が形成される状態となる。そして、バッテリ昇降部によりバッテリをその上面がフロア下面に当接する位置まで上昇させて、フロア下面とバッテリの上面との間に隙間が存在しない状態でロック装置によりバッテリをロックすることができる。そのため、車両の走行中におけるバッテリのがたつきを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置の大型化を招くことなく、バッテリ交換位置に停止した車体が傾斜した状態であっても支障なくバッテリ交換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)はバッテリ交換装置の模式正面図、(b)はバッテリ載置部の部分断面図。
【図2】(a)はバッテリ交換装置の模式側面図、(b)は模式平面図。
【図3】(a)はバッテリ載置台とバッテリ載置部及び車両持上げ部材との関係を示す模式平面図、(b)はバッテリ載置台を回動する構成を示す模式断面図。
【図4】(a)は車両がバッテリ交換位置に停止した状態の模式正面図、(b)はバッテリ載置部が最上昇位置に移動した状態の模式図、(c)はバッテリ昇降部が上昇位置に移動しロック装置のロックが解除された状態の模式図、(d)はバッテリ載置部が待機位置に移動してバッテリがバッテリ載置台上に載置された状態の模式図。
【図5】(a),(b)は車両が所定位置に対して斜めに停止した場合の、バッテリ載置台の回動調整作用を説明するための模式平面図。
【図6】(a)は待機位置のバッテリ載置部上に新たなバッテリが移載された状態の模式図、(b)はバッテリ載置部が最上昇位置に移動した状態の模式図、(c)はバッテリ昇降部が上昇位置に移動してバッテリがロック装置によりロックされた状態の模式図、(d)はバッテリ載置部が待機位置に移動した状態の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を電気自動車のバッテリ交換装置に具体化した一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1(a)及び図2(a)に示すように、バッテリ交換装置11は床面上に設けられ、バッテリ交換装置11の上方には車両としての電気自動車41を支持し、上面が水平な支持プレート12が、バッテリ交換の際に電気自動車41が水平状態で停止可能に設けられている。支持プレート12上にはバッテリ交換の際に電気自動車41の前輪に当接して電気自動車41のバッテリ交換位置への位置決めを行う車輪止め(図示せず)が設けられている。支持プレート12は、図示しないスロープから電気自動車41が前進移動で走行してバッテリ交換位置に停止するように構成されている。
【0017】
電気自動車41にはバッテリユニット42を車体の下方にて支持するバッテリ支持部(バッテリ収納部)43が設けられている。バッテリユニット42は、上方が開口したケース内に、複数のバッテリが収納されている。バッテリ支持部43は、車両の底部に車両の前後方向に延びるように配設された左右一対のアンダリーンフォース44の間に設けられている。バッテリ支持部43には、バッテリユニット42の落下を防止するロック装置45が設けられており、ロック装置45の操作によりバッテリユニット42は着脱可能とされている。ロック装置45は、ピストンロッド45aがバッテリケースに形成された掛止孔(図示せず)に進入、離脱可能に配設されたシリンダで構成され、バッテリユニット42を複数個所(例えば、4箇所)でロック可能に構成されている。バッテリユニット42はその上外縁が電気自動車41のフロア46の下面に当接した状態でロック装置45によりロックされて支持されるようになっている。
【0018】
支持プレート12には、電気自動車41が前輪を車輪止めに当接させてバッテリ交換位置に停止した状態において、バッテリ支持部43とバッテリ交換装置11との間におけるバッテリユニット42の移動に支障を来さない大きさの開口12aが形成されている。
【0019】
バッテリ交換装置11は、バッテリ交換位置に停止した電気自動車41のバッテリ支持部43と対向する位置に配置されるとともにバッテリユニット42が載置された状態で昇降可能なバッテリ載置部13と、バッテリ載置部13と一体に移動される車両持上げ部材14と、バッテリ載置部13を昇降移動する昇降手段15とを備えている。バッテリ載置部13は矩形板状に形成されている。また、バッテリ交換装置11に隣接して、バッテリ載置部13との間でバッテリユニット42の授受が可能で、搬送方向がバッテリ交換位置に停止した電気自動車41の前後方向と直交する方向になるように、搬送手段16が設けられている。
【0020】
車両持上げ部材14は、支柱14aを介してバッテリ載置部13の上面に固定され、車体に対する支持面を備えた棒状部材の一対であり、バッテリ載置部13上に載置されるバッテリユニット42の左右両側を挟むように延設配置されている。また、車両持上げ部材14は、バッテリ支持部43の左右に配置されているアンダリーンフォース44の底面に当接して電気自動車41の車体を支持可能な位置に配置されている。
【0021】
車両持上げ部材14上面のバッテリ載置部13上面からの高さは、車両持上げ部材14がバッテリ載置部13と共に最上昇位置に移動され、電気自動車41の車体を支持して水平に持ち上げた状態において、バッテリ載置部13上に載置されたバッテリユニット42の上面と、電気自動車41のフロア46の下面との間に隙間Δが形成されるように設定されている。この隙間Δは、バッテリ載置部13と車両持上げ部材14とが同時に上昇移動するときに電気自動車41の車体が標準状態よりも水平方向に対して傾いた状態であっても、バッテリユニット42が車体のフロア46下面に当接することなく、車両持上げ部材14によって車体が持ち上げられるようにするために設けられている。隙間Δの大きさは、車両の大きさにもよるが10mm程度である。したがって、ロック装置45によりロックされてバッテリ支持部43に支持されているバッテリユニット42を取り外すためにバッテリ載置部13が最上昇位置に移動された状態においては、バッテリユニット42の下面とバッテリ載置部13の上面との間に隙間Δが存在する状態になる。
【0022】
図1(b)及び図2(b)に示すように、バッテリ載置部13には、フロア46の下面に当接した位置にあるバッテリユニット42をバッテリ載置部13上に移動させたり、フロア46の下面との間に隙間Δが存在する状態でバッテリ載置部13上に載置されているバッテリユニット42を上昇させたりするためのバッテリ昇降部17aが設けられている。バッテリ昇降部17aはバッテリ載置部13の中央部に設けられ、バッテリ載置部13の下面に固定されたシリンダ17のピストンロッドの先端に固定されている。バッテリ載置部13の中央部にはバッテリ昇降部17aの移動を許容する孔13aが形成され、バッテリ昇降部17aはその上面がバッテリ載置部13の上面より下がった位置と、バッテリ載置部13上に載置されたバッテリユニット42を隙間Δ分上昇移動させることが可能な突出位置とにシリンダ17により駆動されるようになっている。即ち、バッテリ載置部13には、昇降手段15による移動量に対し、バッテリユニット42により小さな移動量を与えるバッテリ昇降部17aが配置されている。
【0023】
昇降手段15はパンタグラフ式の構成で、バッテリ載置部13を昇降させるパンタグラフ機構は2組の第1リンク18a及び第2リンク18bを備えている。両リンク18a,18bは、同じ長さで中央部が軸により回動可能に連結され、上端がバッテリ載置部13に固定された一対の上側支持部材19に連結され、下端が一対の下側支持部材20に連結されている。第1リンク18aは下端が下側支持部材20に回動可能に連結され、上端が上側支持部材19に形成された長孔19aに沿って移動可能に設けられた上側支軸21に回動可能に連結されている。第2リンク18bは下端が下側支持部材20に形成された長孔20aに沿って移動可能に設けられた下側支軸22に回動可能に連結され、上端が上側支持部材19に回動可能に連結されている。下側支軸22はモータ23(図2(a)にのみ図示)によって回動されるねじ軸24により、ねじ軸24に沿って移動するスライダ(図示せず)に固定されている。そして、モータ23の正転駆動時には第1リンク18a及び第2リンク18bの端部の間隔が狭くなってバッテリ載置部13が上昇し、モータ23の逆転駆動時には第1リンク18a及び第2リンク18bの端部の間隔が広くなってバッテリ載置部13が下降するようになっている。
【0024】
バッテリユニット42はバッテリ載置部13から搬送手段16へ、あるいは搬送手段16からバッテリ載置部13へ直接受け渡されるのではなくバッテリ載置台25を介して受け渡される。図1(a)及び図2(a)に示すように、バッテリ載置台25は、最下降位置である待機位置に配置されたバッテリ載置部13より上方に配置されている。バッテリ載置台25は、車両がバッテリ交換位置に正確に停止せずに、車両の前後方向が斜めにずれた状態に車両が停止した場合でも、支障なく新たなバッテリユニット42をバッテリ支持部43に支持可能にするため水平面内で回動可能に構成されている。
【0025】
詳述すると、図3(a),(b)に示すように、支持プレート12の下方に支持部材26がブラケット27を介して水平に支持され、支持部材26上に歯車28が円環状の支持部28aにおいて軸受29を介して回転可能に設けられている。バッテリ載置台25は歯車28の上面に固定されている。バッテリ載置台25、支持部材26及び歯車28にはバッテリ載置部13の通過を許容する孔25a,26a,28bがそれぞれ形成されている。歯車28は支持部材26に固定された駆動モータ30により駆動される駆動歯車31と噛合し、駆動モータ30により正逆両方向に回転可能になっている。即ち、バッテリ載置台25は駆動モータ30の駆動により水平面内で回動可能に構成されている。
【0026】
搬送手段16は、一対のチェーン32を備えたチェーンコンベアで構成され、一対のチェーン32上にバッテリユニット42の長手方向がチェーンコンベアの搬送方向と直交する状態に支持してバッテリユニット42を搬送する。搬送手段16は、バッテリユニット42をバッテリ載置台25との間の移載位置と、バッテリ貯蔵部(保管場所)へのバッテリ搬送手段(いずれも図示せず)との間で搬送する。バッテリ貯蔵部とは、回収された使用済みバッテリを一時貯蔵するとともに、充電済みのバッテリを貯蔵する装置で、例えば、自動倉庫で構成される。チェーンコンベアは、バッテリ交換停止位置に停止した電気自動車41の前後方向と直交する方向にバッテリユニット42を搬送するように延設され、その一端がバッテリ載置台25の近傍に位置するように配置されている。そして、搬送手段16のバッテリ載置台25寄りには、搬送手段16の一端まで搬送された新たなバッテリユニット42を搬送手段16上からバッテリ載置台25上に移載する移載装置33が設けられている。
【0027】
移載装置33は、シリンダ34により移動される押圧板35を備え、シリンダ34の駆動により押圧板35がバッテリユニット42を搬送手段16上からバッテリ載置台25上に移載する。シリンダ34は、押圧板35がバッテリユニット42を押圧可能な位置と、バッテリの搬送に支障を来さない退避位置とに図示しない昇降装置により移動されるようになっている。なお、バッテリ載置台25を挟んで移載装置33と反対側には、バッテリ載置台25上に載置されたバッテリユニット42を搬送手段16上に移載する移載装置36が設けられている。
【0028】
支持部材26上のバッテリ載置台25の近傍には、バッテリ支持部43から昇降手段15によりバッテリ載置台25上に載置されたバッテリユニット42の基準位置に対するズレを検出するズレ検出手段が設けられている。バッテリユニット42の基準位置に対するズレとは、バッテリ載置台25上に載置されたバッテリユニット42の側面と、電気自動車41の前後方向とのなす角度、即ちバッテリユニット42の長手方向が電気自動車41の前後方向と平行な状態の基準位置からどれだけ回動された状態にあるのかを意味する。この実施形態ではズレ検出手段は、2個の距離計測手段としてのレーザー距離センサ37a,37bでバッテリユニット42との距離を計測してその距離に基づいて前記角度を検出する構成である。両レーザー距離センサ37a,37bはレーザーの照射方向が搬送手段16の搬送方向と平行になり、照射されるレーザーが移載装置36を避けて通過する位置に配置されている。
【0029】
昇降手段15、搬送手段16、シリンダ17、駆動モータ30及び移載装置33等は、制御装置38(図2(a)及び図3(a)に図示)により制御される。制御装置38は、バッテリ交換要求信号が入力されると、昇降手段15の上昇駆動制御、シリンダ17の突出駆動、ロック装置45のロック解除制御、シリンダ17の没入駆動、昇降手段15の下降駆動制御を順次行うことにより充電を必要とするバッテリユニット42をバッテリ支持部43から離脱させて搬送手段16への受け渡し位置まで移動させる。また、制御装置38は、充電された新たなバッテリユニット42がバッテリ載置部13上に載置されると、昇降手段15の上昇駆動制御、シリンダ17の突出駆動、ロック装置45のロック制御、シリンダ17の没入駆動、昇降手段15の下降駆動制御を順次行うことにより、新たなバッテリユニット42のバッテリ支持部43への装着を行う。なお、ロック装置45のロック解除制御及びロック制御は正確には、制御装置38が直接制御するのではなく、車両に装備された図示しない制御装置に対してロック装置45のロック解除あるいはロックの駆動を行う指令を行い、車両側の制御装置がロック解除あるいはロックの制御を行う。
【0030】
次に前記のように構成されたバッテリ交換装置11の作用を説明する。
電気自動車41は、図示されないスロープを経由して支持プレート12上まで走行し、支持プレート12の車輪止めに前輪を載せた状態で停止する。電気自動車41がバッテリ交換のためバッテリ交換位置に停止すると、図1(a)及び図2(a)に示すように、バッテリ支持部43が昇降手段15のバッテリ載置部13と対向する状態になる。電気自動車41は、複数のタイヤの状態(空気圧や摩耗の状態)やサスペンションの状態、さらには、乗員及び積載物を含めた車両左右又は前後の重量バランスにはバラツキが存在する。そのため、一般には、電気自動車41がバッテリ交換位置に停止すると、例えば、図4(a)に示すように、電気自動車41は標準状態に対し水平方向に対して傾き、バッテリ支持部43もバッテリ載置部13の上面に対して傾きが存在する状態になる。この状態からバッテリ交換装置11はバッテリ交換を開始する。
【0031】
先ず、昇降手段15が上昇駆動されて、バッテリ載置部13が車両持上げ部材14と共に上昇移動される。上昇移動の途中に車両持上げ部材14が電気自動車41のアンダリーンフォース44の下面の一部に当接する状態になる。その後、バッテリ載置部13及び車両持上げ部材14の上昇移動に伴い電気自動車41が持ち上げられ、バッテリ載置部13の上昇に伴って車体の傾きが修正されて水平になった時点で昇降手段15の駆動が停止される。その状態では、図4(b)に示すように、車体の傾きが水平に修正されるとともにバッテリ載置部13の上面と、バッテリ支持部43に支持されているバッテリユニット42の下面との間に隙間Δが形成された状態になる。次にシリンダ17が突出駆動されてバッテリ昇降部17aが上昇移動され、図4(c)に示すように、バッテリユニット42はその上面がフロア46の下面に当接する状態になり、その状態でロック装置45が駆動されてバッテリユニット42のバッテリ支持部43に対するロックが解除される。次にシリンダ17が没入駆動されてバッテリユニット42がバッテリ載置部13上に載置された状態になる。次に、昇降手段15が下降駆動され、バッテリユニット42はバッテリ載置部13に載置された状態で下降し、下降途中でバッテリユニット42の下面がバッテリ載置台25の上面と当接する状態になる。更に昇降手段15の下降駆動が継続されてバッテリユニット42がバッテリ載置台25に受け渡されるとともにバッテリ載置部13が待機位置まで下降して、図4(d)に示す状態になる。また、車両持上げ部材14がバッテリ載置部13とともに下降することにより、車両持上げ部材14による支持がなくなって電気自動車41は傾いた状態に戻る。
【0032】
電気自動車41がバッテリ交換のためバッテリ交換停止位置に停止した場合、前輪の位置決めを行う車輪止めが存在しても、タイヤの状態やハンドル操作によっては、電気自動車41の前後方向と搬送手段16の搬送方向とが所定の位置関係とならずに水平面内で斜めにずれた状態となる場合がある。その場合、図5(a)に示すように、バッテリ支持部43から取り外されてバッテリ載置台25上に載置されたバッテリユニット42は、基準位置に対して斜めにずれた状態になる。一方、搬送手段16によりバッテリ載置台25の近傍まで搬送された後、移載装置33によってバッテリ載置台25上に移載されたバッテリユニット42は、図5(b)に2点鎖線で示すように、基準位置に配置される。そのため、バッテリユニット42が基準位置に配置された状態で昇降手段15が上昇駆動されると、バッテリユニット42は斜めに停止した電気自動車41のバッテリ支持部43に対して位置がずれた状態で上昇されることになり、新たなバッテリユニット42のバッテリ支持部43への装着に支障を来す。
【0033】
電気自動車41の前後方向と搬送手段16の搬送方向とが所定の位置関係とならない場合でも、新たなバッテリユニット42のバッテリ支持部43への装着を支障なく行うため、バッテリ支持部43からバッテリ載置台25上に載置されたバッテリユニット42の状態が制御装置38のメモリに記憶される。具体的にはズレ検出手段としてのレーザー距離センサ37a,37bがバッテリ載置台25上に載置された使用済みのバッテリユニット42迄の距離を検出し、その検出データが制御装置38のメモリに記憶される。次に移載装置36が駆動されてバッテリユニット42がバッテリ載置台25上から搬送手段16上に移載された後、搬送手段16が駆動されて使用済みのバッテリユニット42はバッテリ交換装置11から搬出される。
【0034】
次に満充電された新たなバッテリユニット42がバッテリ貯蔵部からバッテリ搬送手段により搬送手段16上に移載されてバッテリ交換装置11に搬入される。そして、新たなバッテリユニット42は搬送手段16によりバッテリ載置台25への受け渡し位置(移載位置)まで搬送される。その状態で移載装置33が駆動され、新たなバッテリユニット42は搬送手段16上からバッテリ載置台25上に移載されて図6(a)に示す状態になる。このときバッテリユニット42は図5(b)に2点鎖線で示すように、バッテリ載置台25上の基準位置に載置される。一方、電気自動車41は図5(b)に2点鎖線で示すように、斜めに停止しているため、新たなバッテリユニット42のバッテリ支持部43への装着を支障なく行うために、バッテリ載置台25上に載置された新たなバッテリユニット42の位置(状態)の調整が必要になる。そこで、バッテリユニット42の取り出し時に、レーザー距離センサ37a,37bによって検出されてメモリに記憶されている使用済みのバッテリユニット42のデータに合わせるように、バッテリ載置台25の位置が回動調整される。その結果、バッテリユニット42は基準位置から水平面内で回動されて、図5(b)に実線で示すように、バッテリ載置部13が上昇移動されてもバッテリユニット42の位置がバッテリ支持部43への支持に支障のない状態となる。
【0035】
新たなバッテリユニット42の位置調整が終了した後、昇降手段15が上昇駆動され、バッテリ載置部13が車両持上げ部材14とともに上昇移動される。上昇途中でバッテリ載置部13がバッテリ載置台25からバッテリユニット42を受け取り、バッテリユニット42がバッテリ載置部13上に載置された状態で更に上昇を継続する。そして、前記と同様に、車両持上げ部材14が電気自動車41のアンダリーンフォース44の下面の一部に当接する状態になる。その後、バッテリ載置部13及び車両持上げ部材14の上昇移動に伴い電気自動車41が持ち上げられ、バッテリ載置部13の上昇に伴って車体の傾きが修正されて水平になった時点で昇降手段15の駆動が停止され、図6(b)に示すように、バッテリユニット42はフロア46の下面との間に隙間Δが存在する状態でバッテリ載置部13上に保持される。
【0036】
次にシリンダ17が突出駆動されてバッテリユニット42はその上面がフロア46の下面に当接する状態に配置され、その状態で図6(c)に示すように、ロック装置45がロック駆動される。次に昇降手段15が下降駆動され、図6(d)に示すように、新たなバッテリユニット42はバッテリ支持部43にピストンロッド45aにより支持されたロック状態で支持され、バッテリ載置部13が下降位置に配置されることによりバッテリ交換作業が完了する。また、バッテリ載置台25の位置が元の状態に戻される。
【0037】
なお、電気自動車41がバッテリ交換位置に停止した際、レアケースとしてバッテリ支持部43が水平状態となるように停止する場合がある。その場合も同様に、昇降手段15、シリンダ17、ロック装置45及び搬送手段16等が同様に駆動制御されてバッテリユニット42の交換作業が支障なく行われる。
【0038】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)バッテリ交換装置11は、バッテリ載置部13と、車両(電気自動車41)に設けられたバッテリ支持部43に対するバッテリユニット42の脱着時にバッテリ載置部13と一体に移動して車体に当接する車両持上げ部材14と、バッテリ載置部13を昇降移動する昇降手段15とを備えている。そして、バッテリ支持部43に車両の下方からバッテリユニット42を脱着する。そのため、車両がバッテリ交換位置に停止した状態で車両のバッテリ支持部43に水平方向に対する傾きが存在しても、バッテリ載置部13がバッテリ脱着位置に上昇移動された状態では、車両はバッテリ載置部13と一体に移動された車両持上げ部材14により持ち上げられて水平状態になる。したがって、装置の大型化を招くことなくバッテリ交換位置に停止した車体が傾斜した状態であっても支障なくバッテリ交換を行うことができる。
【0039】
(2)車両持上げ部材14は、レール状に形成されるとともにバッテリ載置部13に載置されたバッテリユニット42の左右両側を挟むように延設されている。したがって、車両を安定した状態で支持し易い。また、バッテリユニット42の前後両側を挟むように延接する場合に比べてバッテリ支持部43が支持するバッテリユニット42の面積を広く確保し易い。後者を詳述すると、バッテリユニット42を車両床面下に配置する電気自動車では、車体側面に側方より荷重が加わったときに、バッテリの損傷を抑制する為に、バッテリの両側端は車両側端よりも内側に設定されることが多い。つまり、車両フロア下で、バッテリユニット42の車幅方向外側には、バッテリユニット42を配置できない空間があり、本実施形態の車両持上げ部材14は、この空間で車両を支持することが可能である。
【0040】
(3)車両持上げ部材14は、バッテリ支持部43の左右に配置されているアンダリーンフォース44に当接して車両を支持する。したがって、車両持上げ部材14が車両をロッカーで支持する構成の場合と異なり、意匠面に傷がつかずに車両を支持することができる。
【0041】
(4)車両持上げ部材14は、常にバッテリ載置部13と一体に移動するようにバッテリ載置部13に固定されている。したがって、バッテリ載置部13に対して相対移動可能に、かつバッテリユニット42の脱着時にバッテリ載置部13と一体に移動されるように構成された場合に比較して構成が簡単になる。
【0042】
(5)車両持上げ部材14のバッテリ載置部13上面からの高さは、車両持上げ部材14が電気自動車41を支持して水平に持ち上げた状態において、バッテリ載置部13上に載置されたバッテリユニット42の上面と、電気自動車41のフロア46の下面との間に隙間Δが形成されるように設定されている。したがって、バッテリユニット42を載置した状態でバッテリ載置部13がバッテリ支持部43と対応する位置まで上昇移動される際に、車体が傾斜した状態において車体とバッテリユニット42とが干渉してフロア46の下面やバッテリユニット42の一部に過大な力が加わることを防止することができる。
【0043】
(6)バッテリ載置部13には、前記隙間Δの分、バッテリユニット42を昇降可能なバッテリ昇降部17aが設けられている。したがって、バッテリ載置部13が最上昇位置に移動した状態において、バッテリ昇降部17aによりバッテリユニット42をその上面がフロア46の下面に当接する位置まで上昇させて、フロア46の下面とバッテリユニット42の上面との間に隙間Δが存在しない状態でロック装置45によりバッテリユニット42をロックすることができる。そのため、車両の走行中におけるバッテリユニット42のがたつきを防止することができる。
【0044】
(7)バッテリ支持部43から取り外されたバッテリユニット42をバッテリ載置部13から受け取り、充電された新たなバッテリユニット42をバッテリ載置部13に受け渡すバッテリ載置台25が水平面内で回動可能に構成されている。そして、バッテリ支持部43から昇降手段15によりバッテリ載置台25上に載置されたバッテリユニット42の基準位置に対するズレを検出するズレ検出手段が設けられている。したがって、新たなバッテリユニット42をバッテリ載置部13上に載置して上昇させる前にバッテリ載置台25上の新たなバッテリユニット42の位置(水平面内における傾き)を必要に応じて調整することにより、電気自動車41が所定の位置から水平面内で斜めにずれて停止した場合でも、バッテリユニット42をバッテリ支持部43に支障なく支持することができる。
【0045】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ バッテリ載置部13が最上昇位置に配置された状態において、バッテリ載置部13上に載置されたバッテリユニット42の上面と、電気自動車41のフロア46の下面との間に形成された隙間Δの分、バッテリユニット42を上昇させる方法として、バッテリユニット42の持上げ機能を有するロック装置を用いてもよい。例えば、ツメ形状のロック部材が垂直面内で回転することでバッテリユニット42を支えるロック位置と、ロック解除位置とに配置される構成のロック装置を用いて、ロック時にバッテリユニット42を持ち上げるようにしてもよい。
【0046】
○ 電気自動車41のフロア46下面に隙間Δの分より大きな厚みを有するゴム等の弾性部材を固定してもよい。この場合、バッテリ載置部13が最上昇位置に配置された状態では、弾性部材がバッテリユニット42の上面とフロア46の下面との間に隙間Δの厚さに圧縮された状態でバッテリユニット42がロック装置45によってロックされる。そのため、バッテリユニット42は弾性部材の圧縮反力を受けた状態でバッテリ支持部43に支持され、車両の走行中におけるバッテリユニット42のがたつきが防止される。
【0047】
○ 車両持上げ部材14は、常にバッテリ載置部13と一体に移動するようにバッテリ載置部13に固定されている構成に限らない。例えば、バッテリ載置部13の上昇途中にバッテリ載置部13と当接した後、バッテリ載置部13と共に上昇移動して最上昇位置まで移動し、バッテリ載置部13の下降途中にバッテリ載置部13との当接が解除されてバッテリ載置部13の待機位置より上方に保持される構成としてもよい。
【0048】
○ バッテリ載置部13は昇降手段15に分離不能に固定された構成に限らない。例えば、昇降手段15に固定された部分と、その固定部分に対して分離可能で車両持上げ部材14を備えるとともにバッテリユニット42が載置されるパレットとで構成されてもよい。この場合、バッテリユニット42はパレットごとバッテリ載置台25上に配置され、バッテリ載置台25と搬送手段16との間で受け渡されて搬送される。
【0049】
○ 車両持上げ部材14は車両の前後方向に延びる棒状に形成されて車両を線で持ち上げる構成に限らず、点で持ち上げる構成としてもよい。例えば、車両持上げ部材14の形状を棒状ではなく、棒状部材の両端に相当する位置にそれぞれ車両と当接可能な当接部が形成された形状としてもよい。
【0050】
○ 車両の水平方向に対する傾きを検出する傾き検出手段を設け、傾き検出手段の検出情報に基づいて昇降手段15によるバッテリ載置部13及び車両持上げ部材14の上昇量を調整してもよい。傾き検出手段の検出情報を用いない構成では、車両持上げ部材14の上昇量をバッテリ支持部43の高さ及び車輪の大きさに対応して予め設定された値とする必要がある。そのため、その値が同じ車両についてのみバッテリ交換を行うこととした場合には問題はないが、その値が異なる車両に対してもバッテリ交換を行う場合は、バッテリ交換に先立ってその値の情報を入手して車両持上げ部材14の上昇量を設定する必要がある。しかし、傾き検出手段の検出情報を利用する場合は、車種に拘らず車両が水平になる位置まで車両持上げ部材14を上昇させればよい。
【0051】
○ 車両を車両持上げ部材14の上昇により持ち上げて水平状態に車両の姿勢を調整する際、全ての車輪が支持プレート12から浮く状態となるまで車両を上昇させる構成としてもよい。この構成の場合、車両のバッテリ支持部43までの高さが異なる複数種の車両に対して車両持上げ部材14の上昇量を同じ値にして対処することが可能になる。
【0052】
○ 第1の実施形態のように車両持上げ部材14がアンダリーンフォース44と当接して車体を持ち上げる構成の場合、アンダリーンフォース44の下面(底面)を拡げて車両持上げ部材14との当接面積を増加させる補助部材をアンダリーンフォース44に固定してもよい。
【0053】
○ 第1の実施形態のように車両持上げ部材14により車体を持ち上げることにより車両の姿勢を調整する場合、車両持上げ部材14はバッテリ支持部43の左右両側に位置するアンダリーンフォース44と当接して車体を持ち上げる構成に限らず、例えば、ロッカーで支持するようにしてもよい。また、バッテリ支持部43の左右両側において車両を支持する構成に代えて、バッテリ支持部43の前後両側において車両を支持する構成としてもよい。
【0054】
○ バッテリ交換停止位置に停止した状態において、電気自動車41の前後方向と搬送手段16の搬送方向とが所定の位置関係とならない場合でも、新たなバッテリユニット42のバッテリ支持部43への装着を支障なく行う構成は、バッテリ載置台25を水平面内で回動可能にして水平面内においてバッテリユニット42位置を回動調整する構成に限らない。例えば、搬送手段16を、独立に駆動可能な左側搬送ベルト及び右側搬送ベルトを備えた構成にし、バッテリ載置部13は両搬送ベルトの間を通過して、待機位置と、バッテリ支持部43へバッテリユニット42を支持する最上昇位置との間を移動する構成にする。バッテリ支持部43から取り外された使用済みのバッテリユニット42は、両搬送ベルトに跨る状態で搬送手段16に受け渡される。バッテリ支持部43から両搬送ベルト上に受け渡されたバッテリユニット42の状態がレーザー距離センサ37a,37bにより検出されて、その検出データが制御装置38のメモリに記憶される。制御装置38は充電済みの新たなバッテリユニット42のバッテリ載置部13と対応する位置における状態(水平面内の基準位置からの傾き)を、使用済みのバッテリユニット42がバッテリ支持部43から搬送手段16上に降ろされた際の状態に合わせるように、両搬送ベルトを制御する。左側搬送ベルト及び右側搬送ベルトの駆動量を変えることにより、両搬送ベルト上に載置されているバッテリユニット42が水平面内で回動される。この場合、回動可能なバッテリ載置台25を設ける構成に比べて、装置の構成が簡単になる。
【0055】
○ 電気自動車41がバッテリ交換停止位置に停止した状態において、電気自動車41の前後方向と搬送手段16の搬送方向とが所定の位置関係となるように、ガイド部を設けて電気自動車41が所定の位置に停止する構成にしたり、電気自動車41の所定の停止位置からずれて停止した場合には、停止をやり直す指示を行うようにしたりしてもよい。この場合、バッテリ載置台25を回動調整する構成を設けたり、搬送手段16を独立に駆動可能な左側搬送ベルト及び右側搬送ベルトを備えた構成にして、両搬送ベルト上に載置されているバッテリユニット42を水平面内で回動するように制御したりする必要がない。
【0056】
○ ロック装置45は、ロックピン(ピストンロッド45a)を水平にスライドさせてバッテリユニット42側に形成された長孔に挿入してロックする構成に限らない。例えば、バッテリユニット42側にピンを突設し、車両側にピンをつかむ把持装置を設けてもよい。
【0057】
○ 昇降手段15はパンタグラフ式の構成に限らず、例えば、油圧シリンダや電動シリンダ等のシリンダを利用してバッテリ載置部13を昇降させる構成としてもよい。
○ 搬送手段16の搬送方向と、バッテリ交換位置に停止した車両の前後方向との関係は、直交に限らず平行(同方向)であってもよい。
【0058】
○ 車両が前進移動でバッテリ交換位置へ進んで停止するのではなく、後退移動でバッテリ交換位置へ進んで停止する構成としてもよい。この場合、車輪止めは、車両の後輪に当接して車両のバッテリ交換位置への位置決めを行う。
【0059】
○ 搬送手段16はチェーンコンベアに限らず、ベルトコンベアやローラコンベアで構成してもよい。ローラコンベアの場合、移載装置33は、シリンダ34が上昇位置と搬送手段16の下方の下降位置とにリフタにより移動される構成は採用できず、ローラコンベアの上方で押圧板35がバッテリユニット42を押圧可能な位置と、押圧板35がローラコンベア上のバッテリユニット42と干渉しない位置とに移動可能に構成される。
【0060】
○ バッテリ交換の際に車両がバッテリ交換装置11の上方で停止する構成として、バッテリ交換装置11を地上に形成したピット内に設け、車両はそのピットを覆うプレート上、あるいはピットを跨ぐように地上で停止する構成としてもよい。
【0061】
○ 車両は動力源として大型のバッテリを搭載した車両であればよく、バッテリのみを走行用動力源として備えた電気自動車41に限らず、モータ及びエンジンの両方を備えたハイブリッドカーであってもよい。
【0062】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記車両持上げ部材の前記バッテリ載置部上面からの高さは、前記車両持上げ部材が車両を支持して水平に持ち上げた状態において、前記バッテリ載置部上に載置された前記バッテリの上面と、前記車両のフロアの下面との間に隙間Δが形成されるように設定されている。
【0063】
(2)技術的思想(1)に記載の発明において、前記バッテリ載置部には、前記隙間Δの分、バッテリを昇降可能なバッテリ昇降部が設けられている。
(3)技術的思想(1)に記載の発明において、前記車両のフロアの下面には前記隙間Δの分より大きな厚みを有するゴム等の弾性部材が固定されている。
【符号の説明】
【0064】
11…バッテリ交換装置、13…バッテリ載置部、14…車両持上げ部材、15…昇降手段、17a…バッテリ昇降部、41…車両としての電気自動車、42…バッテリとしてのバッテリユニット、43…バッテリ支持部、44…アンダリーンフォース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられたバッテリ支持部に、車両の下方からバッテリを脱着する車両のバッテリ交換装置であって、
バッテリ載置部と、
少なくとも前記バッテリ支持部に対する前記バッテリの脱着時に前記バッテリ載置部と一体に移動して車体に当接する車両持上げ部材と、
前記バッテリ載置部を昇降移動する昇降手段と
を備えていることを特徴とする車両のバッテリ交換装置。
【請求項2】
前記車両持上げ部材は、車両の前後方向に延びる棒状に形成されるとともに、前記バッテリの左右両側を挟むように延設配置されている請求項1に記載の車両のバッテリ交換装置。
【請求項3】
前記車両持上げ部材は、前記バッテリ支持部の左右に配置されているアンダリーンフォースに当接して車両を支持する請求項1又は請求項2に記載の車両のバッテリ交換装置。
【請求項4】
前記バッテリ載置部には、前記昇降手段による移動量に対し、前記バッテリにより小さな移動量を与えるバッテリ昇降部が配置されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両のバッテリ交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−192783(P2012−192783A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56843(P2011−56843)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】