説明

車両のフロントピラー構造

【課題】アウタモールの取付強度及びアウタモールの取付時の作業性を確保する。
【解決手段】車両のフロントピラー構造10は、ウィンドシールドガラス16の縦縁部16Aに沿って設けられたフロントピラー14と、このフロントピラー14の車両外側に設けられたアウタモール64とを備えている。アウタモールは64、フロントピラー14及び縦縁部16Aに形成され、それぞれ車両幅方向外側に延出された被嵌合部40,90と、縦縁部16A及び被嵌合部40,90を車両外側から覆うモール本体66と、被嵌合部40,90に車両幅方向外側から嵌合されてモール本体66をフロントピラー14及び縦縁部16Aに固定する嵌合部68,98とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントピラー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フロントピラーを覆うようにこのフロントピラーに沿って設けられたフロントピラーガーニッシュ(アウタモール)の取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−49453号公報
【特許文献2】特開平2−96305号公報
【特許文献3】実開昭60−34046号公報
【特許文献4】実開平3−40670号公報
【特許文献5】特開2006−182079号公報
【特許文献6】特開2006−182092号公報
【特許文献7】実開昭62−44808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の構造においては、アウタモールの取付強度及びアウタモールの取付時の作業性が確保されることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、アウタモールの取付強度及びアウタモールの取付時の作業性を確保することができる車両のフロントピラー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両のフロントピラー構造は、ウィンドシールドガラスの縦縁部に沿って設けられたフロントピラーと、前記ウィンドシールドガラス及び前記フロントピラーの少なくとも一方に形成され、車両幅方向外側に延出された被嵌合部と、前記縦縁部及び前記被嵌合部を車両外側から覆うモール本体と、前記被嵌合部に車両幅方向外側から嵌合されて前記モール本体を前記ウィンドシールドガラス及び前記フロントピラーの少なくとも一方に固定する嵌合部とを有するアウタモールと、を備えている。
【0007】
この車両のフロントピラー構造によれば、ウィンドシールドガラス及びフロントピラーの少なくとも一方には、被嵌合部が形成されており、アウタモールは、この被嵌合部と嵌合可能な嵌合部を有している。そして、この嵌合部が被嵌合部と嵌合されることにより、アウタモールは、ウィンドシールドガラス及びフロントピラーの少なくとも一方に取り付けられている。従って、ウィンドシールドガラス及びフロントピラーの少なくとも一方へのアウタモールの取付に嵌合構造が用いられているので、アウタモールの取付強度を確保することができる。
【0008】
しかも、被嵌合部は、車両幅方向外側に延出されており、嵌合部は、被嵌合部に車両幅方向外側から嵌合可能とされている。従って、アウタモールをウィンドシールドガラス及びフロントピラーの少なくとも一方に車両幅方向外側から取り付けることができるので、アウタモールの組付時の姿勢が安定し、アウタモールの取付時の作業性も確保することができる。
【0009】
請求項2に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項1に記載の車両のフロントピラー構造において、前記アウタモールには、前記縦縁部における車両幅方向外側の端面に当接された当接部が形成された構成とされている。
【0010】
この車両のフロントピラー構造によれば、アウタモールがウィンドシールドガラス及びフロントピラーの少なくとも一方に車両幅方向外側から取り付けられる際には、アウタモールに形成された当接部が縦縁部における車両幅方向外側の端面に当接される。従って、ウィンドシールドガラスの縦縁部に対するアウタモールの位置精度を確保することができる。
【0011】
請求項3に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項1又は請求項2に記載の車両のフロントピラー構造において、前記嵌合部が、前記被嵌合部との嵌合位置を車両幅方向に調節可能とされた構成とされている。
【0012】
この車両のフロントピラー構造によれば、嵌合部の被嵌合部に対する嵌合位置、ひいては、ウィンドシールドガラスの縦縁部に対するアウタモールの取付位置を車両幅方向に調節することができるので、ウィンドシールドガラスの縦縁部に対するアウタモールの位置精度を向上させることができる。
【0013】
請求項4に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項1又は請求項2に記載の車両のフロントピラー構造において、前記被嵌合部が、前記縦縁部に形成され、前記モール本体は、前記嵌合部が前記被嵌合部と嵌合されることにより前記縦縁部に対して車両幅方向に位置決めされた構成とされている。
【0014】
この車両のフロントピラー構造によれば、嵌合部が縦縁部に形成された被嵌合部と嵌合されることにより、モール本体を含むアウタモールの全体を縦縁部に対して車両幅方向に位置決めすることができる。これにより、縦縁部に対するアウタモールの位置精度を向上させることができる。
【0015】
請求項5に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両のフロントピラー構造において、前記被嵌合部が、前記フロントピラーに形成され、前記アウタモールには、前記被嵌合部の車両後側に設けられ、サイドドアのウェザストリップが車両後側から押し付けられる当て部と、前記当て部と前記被嵌合部との間に設けられ、前記被嵌合部に対して前記当て部を支持する支持部と、が形成された構成とされている。
【0016】
この車両のフロントピラー構造によれば、当て部と被嵌合部との間には、被嵌合部に対して当て部を支持する支持部が形成されている。従って、サイドドアのウェザストリップが車両後側から当て部に押し付けられたときには、当て部に入力された反力を支持部を介して被嵌合部に伝達することができる。これにより、当て部の剛性を確保することができるので、ウェザストリップと当て部とのシール性を確保することができる。
【0017】
請求項6に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項5に記載の車両のフロントピラー構造において、前記嵌合部が、前記被嵌合部を車両前側及び車両後側から挟持する一対の挟持部を有し、前記一対の挟持部のうち車両後側に設けられた挟持部が、前記支持部として構成されたものである。
【0018】
この車両のフロントピラー構造によれば、嵌合部を構成する一対の挟持部のうち車両後側に設けられた挟持部は、フロントピラーに形成された被嵌合部に対して当て部を支持する支持部として構成されているので、アウタモールの構成を簡素化することができ、コストダウンすることができる。
【0019】
請求項7に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車両のフロントピラー構造において、前記被嵌合部が、前記フロントピラーに形成されると共に、前記縦縁部に対して車両幅方向外側に突出され、前記嵌合部における車両幅方向内側の端部には、前記縦縁部における車両幅方向外側の端面に当接された当接部が形成され、前記モール本体には、前記嵌合部における車両幅方向外側の端部から車両幅方向内側に延出され、その先端側が前記縦縁部の表側に前記縦縁部と離間して設けられたモール部が形成され、前記当接部、前記嵌合部、及び、前記モール部によって、車両幅方向内側に開口する排水溝が前記フロントピラーの長手方向に沿って形成された構成とされている。
【0020】
この車両のフロントピラー構造によれば、アウタモールに形成された当接部、嵌合部、及び、モール部によって、車両幅方向内側に開口する排水溝がフロントピラーの長手方向に沿って形成されている。従って、ウィンドシールドガラスの外面から流れるウォッシャ液や雨水を、この排水溝によって処理することができるので、ウィンドシールドガラスの排水性能を確保することができる。
【0021】
請求項8に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車両のフロントピラー構造において、前記被嵌合部が、前記縦縁部に形成され、前記モール本体には、前記嵌合部における車両幅方向外側の端部から車両幅方向内側に延出され、その先端側が前記縦縁部の表側に前記縦縁部と離間して設けられたモール部が形成され、前記嵌合部及び前記モール部によって、車両幅方向内側に開口する排水溝が前記フロントピラーの長手方向に沿って形成された構成とされている。
【0022】
この車両のフロントピラー構造によれば、アウタモールに形成された嵌合部及びモール部によって、車両幅方向内側に開口する排水溝がフロントピラーの長手方向に沿って形成されている。従って、ウィンドシールドガラスの外面から流れるウォッシャ液や雨水を、この排水溝によって処理することができるので、ウィンドシールドガラスの排水性能を確保することができる。
【0023】
請求項9に記載の車両のフロントピラー構造は、請求項7又は請求項8に記載の車両のフロントピラー構造において、前記排水溝の底部が、前記嵌合部によって構成されると共に、前記縦縁部の裏面の車両幅方向外側への延長線よりも前記フロントピラー側に位置された構成とされている。
【0024】
この車両のフロントピラー構造によれば、この排水溝の底部は、嵌合部によって構成されると共に、縦縁部の裏面の車両幅方向外側への延長線よりもフロントピラー側に位置されているので、排水溝の断面積を拡大させることができる。これにより、ウィンドシールドガラスの排水性能をより確保することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上詳述したように、本発明によれば、アウタモールの取付強度及びアウタモールの取付時の作業性を確保することができる
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両のフロントピラー構造が適用された車両におけるフロントピラー周辺部の構成を示す側面図である。
【図2】図1の2−2線拡大断面図である。
【図3】図2の要部拡大断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る車両のフロントピラー構造の変形例を示す図2に対応する要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る車両のフロントピラー構造を示す図2に対応する要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第三実施形態に係る車両のフロントピラー構造を示す図2に対応する要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る車両のフロントピラー構造の変形例を示す図2に対応する要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第四実施形態に係る車両のフロントピラー構造を示す図2に対応する要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第五実施形態に係る車両のフロントピラー構造を示す図2に対応する要部拡大断面図である。
【図10】本発明の第六実施形態に係る車両のフロントピラー構造を示す図2に対応する要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
【0028】
なお、各図において示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側(左側)をそれぞれ示している。また、以下には、一例として、車両のフロントピラー構造が左ハンドル車に適用された例を説明する。
【0029】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る車両のフロントピラー構造10が適用された車両12は、フロントピラー14を備えている。このフロントピラー14は、ウィンドシールドガラス16の縦縁部16A、及び、後述するサイドドア42に備えられたサイドガラス46の前縁部46Aに沿って長手状に設けられている。
【0030】
このフロントピラー14は、図2に示されるように、アウタパネル18及びインナパネル20を有して構成されている。このアウタパネル18及びインナパネル20には、図示しないフロントシート側(矢印A側)へ延びる側壁部22,24がそれぞれ形成されており、一方の側壁部22におけるフロントシート側の端部には、サイドガラス46と略平行に延びるフランジ26が形成されている。
【0031】
一方、他方の側壁部24におけるフロントシート側には、このフロントシート側に凸を成す車内側壁部28が形成されており、この車内側壁部28における側壁部22側の端部には、フランジ26に沿って延びるフランジ30が形成されている。このフランジ30は、フランジ26と互いに重ね合わされた状態で溶接されている。
【0032】
また、一方の側壁部22におけるフランジ26と反対側には、ウィンドシールドガラス16側へ延びる当て壁部32が形成されており、この当て壁部32におけるウィンドシールドガラス16側の端部には、車両幅方向外側に延出されたフランジ34が形成されている。一方、他方の側壁部24におけるウィンドシールドガラス16側には、車両幅方向外側に延びる対向壁部36が形成されている。この対向壁部36は、縦縁部16Aの裏側に縦縁部16Aと対向して設けられており、縦縁部16Aは、この対向壁部36に接着剤37によって接着されている。
【0033】
また、この対向壁部36における車両幅方向外側の端部には、フランジ34に沿って延びるフランジ38が形成されており、このフランジ38は、フランジ34と互いに重ね合われた状態で溶接されている。このフランジ38は、このフランジ34とで、後述するアウタモール64を取り付けるための被嵌合部40を構成している。この被嵌合部40は、縦縁部16Aに対して車両幅方向外側に突出されている。
【0034】
また、このフロントピラー14では、上述の一対の側壁部22,24、車内側壁部28、当て壁部32、対向壁部36によって閉断面部39が構成されている。この閉断面部39は、一対の側壁部22,24が延びる方向に沿った縦幅W1よりも該延びる方向から見た横幅W2の方が狭く形成されている。つまり、このフロントピラー14は、全体的には、横幅が狭く縦長の細幅化された構成とされている。
【0035】
サイドドア42は、図示しないヒンジを介してフロントピラー14にスイング可能に連結されており、ドアフレーム44とサイドガラス46とを有して構成されている。ドアフレーム44には、その長手方向に沿ってガラスラン48が設けられており、サイドガラス46は、このガラスラン48を介してドアフレーム44に昇降可能に支持されている。
【0036】
また、ドアフレーム44には、フランジ26,30側に突出する突出部50が形成されており、フランジ26,30には、ウェザストリップ52(オープニングウェザストリップ)が取り付けられている。ウェザストリップ52は、サイドガラス46側に膨出するシール部54と、このシール部54と反対側に延出するリップ部56とを有している。シール部54は、サイドドア42が閉状態とされたときには、上述の突出部50に弾性圧縮された状態で密着される構成とされており、リップ部56は、後述するインナガーニッシュ102の端末部102Bに密着されている。
【0037】
一方、ドアフレーム44におけるガラスラン48と反対側には、ウェザストリップ58(ドアウェザストリップ)が取り付けられている。ウェザストリップ58は、当て壁部32、及び、後述するアウタモール64に形成された当て部70に向けて膨出するシール部60と、当て部70に向けて延びるリップ部62とを有して構成されている。シール部60は、サイドドア42が閉状態とされたときには、弾性圧縮された状態で当て壁部32及び当て部70に密着される構成とされており、リップ部62は、サイドドア42が閉状態とされたときには、当て部70に車両後側から押し当てられて弾性変形される構成とされている。
【0038】
また、縦縁部16Aの車両幅方向外側には、樹脂製のアウタモール64が設けられている。このアウタモール64は、フロントピラー14の長手方向に沿って設けられており、図3に示されるように、モール本体66と、嵌合部68とを有している。
【0039】
モール本体66は、縦縁部16A及び被嵌合部40を車両外側から覆う構成とされており、当て部70と、モール部72とを有している。当て部70は、嵌合部68の車両後側に嵌合部68と離間して設けられており、この当て部70と嵌合部68との間には、支持部74が形成されている。
【0040】
支持部74は、当て部70と嵌合部68とに連結されており、嵌合部68に対して当て部70を支持している。モール部72は、嵌合部68における車両幅方向外側の端部から車両幅方向内側に延出されており、その先端側は、縦縁部16Aの表側に縦縁部16Aと離間して設けられている。
【0041】
嵌合部68は、車両幅方向内側へ延びる一対の挟持部76,78を有して構成されており、この一対の挟持部76,78のうち車両後側に設けられた挟持部78の先端部には、挟持部76側に凸を成す凸部80が形成されている。
【0042】
そして、嵌合部68が車両幅方向外側から被嵌合部40に嵌合されることにより、すなわち、一対の挟持部76,78が被嵌合部40を挟持すると共に、この被嵌合部40の基端側に形成された凹部82に凸部80が係合されることにより、モール本体66を含むアウタモール64の全体は、フロントピラー14に取り付けられている。
【0043】
また、車両前側に設けられた挟持部76における車両幅方向内側の端部には、被嵌合部40側と反対側(車両前側)に延びる当接部としての立壁部84が形成されている。この立壁部84の先端部には、縦縁部16Aの表側に設けられると共に車両幅方向内側に延出する腕部86が形成されており、この腕部86の先端部には、縦縁部16A側に突出する爪部87が形成されている。
【0044】
また、立壁部84の基端部には、車両幅方向内側に突出する介在部88が形成されており、この介在部88には、爪部87と対向する爪部89が形成されている。さらに、この介在部88には、対向壁部36側に突出するリブ94が形成されている。一方、縦縁部16Aの車両幅方向外側の端部には、車両幅方向外側に延出された被嵌合部90が形成されている。
【0045】
そして、上述のように嵌合部68が被嵌合部40と嵌合された状態では、立壁部84、腕部86、及び介在部88によって構成された嵌合部98が、被嵌合部90と嵌合される。
【0046】
つまり、立壁部84が縦縁部16Aにおける車両幅方向外側の端面16Bに当接されると共に、腕部86及び介在部88によって被嵌合部90が挟持され、且つ、一対の爪部87,89が被嵌合部90に形成された係合凹部96とそれぞれ係合される。また、このときに、介在部88は、縦縁部16Aと対向壁部36との間に介在され、リブ94は、対向壁部36に形成された凹部99と係合される。
【0047】
なお、立壁部84は、フロントピラー14の長手方向に沿って連続して形成されていても良く、また、フロントピラー14の長手方向に間隔を空けて複数形成されていても良い。
【0048】
また、このアウタモール64では、立壁部84、挟持部76、及び、モール部72によって、車両幅方向内側に開口する断面略U字状の排水溝100が形成されている。この排水溝100は、フロントピラー14の長手方向に沿って形成されている。また、排水溝100の底部100Aは、挟持部76によって構成されており、縦縁部16Aの裏面16A2の車両幅方向外側への延長線L3よりもフロントピラー14側(矢印B側)に位置されている。
【0049】
なお、この排水溝100は、立壁部84、挟持部76、及び、モール部72の肉厚や形状を適宜設定することにより、その断面積を変更可能である。また、符合16A1は、縦縁部16Aの表面を示している。
【0050】
また、図2に示されるように、フロントピラー14の車両内側には、側壁部24及び車内側壁部28を車両内側から覆う樹脂製のインナガーニッシュ102がフロントピラー14の長手方向に沿って設けられている。また、このインナガーニッシュ102とフロントピラー14との間には、空間部104が形成されており、この空間部104には、例えば、ワイヤーハーネス、アンテナケーブル、排水ホースなどの配索部材106が収容されている。この配索部材106は、フロントピラー14の長手方向に沿って配索されている。
【0051】
また、縦縁部16Aの裏面16A2には、不透明(黒色)のセラミック部108が形成されており、インナガーニッシュ102の側面部102Aは、セラミック部108の車両幅方向内側端108Aと図示しない運転者の頭部とを結ぶ線L1に対して平行に設けられている。さらに、モール部72の先端72Aは、上述の線L1に対して車両幅方向外側に設けられている。
【0052】
なお、この場合の運転者とは、運転席を車両前後方向中央のスライド位置に設定すると共に、標準体格で且つ正しい運転姿勢の者を想定している。
【0053】
次に、本発明の第一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0054】
この車両のフロントピラー構造10によれば、フロントピラー14の閉断面部39は、縦幅W1よりも横幅W2の方が狭く形成されており、これにより、フロントピラー14は、全体的に横幅が狭く縦長の細幅化された構成とされている。従って、このフロントピラー14及びその周辺部によって構成されたフロントピラー部110の幅、すなわち、この場合、上述の線L1と、この線L1と平行でガラスラン48の先端を通る線L2との成す幅W3を狭めることができるので、車室からの視界を向上させることができる(特に、運転席に対する視界の妨害角を狭めることができる)。
【0055】
また、フロントピラー14には、被嵌合部40が形成されると共に、縦縁部16Aには、被嵌合部90が形成され、アウタモール64は、この被嵌合部40,90とそれぞれ嵌合可能な嵌合部68,98を有している。そして、この嵌合部68,98が被嵌合部40,90と嵌合されることにより、アウタモール64は、フロントピラー14及びウィンドシールドガラス16に取り付けられている。従って、フロントピラー14及びウィンドシールドガラス16へのアウタモール64の取付に嵌合構造が用いられているので、フロントピラー14が細幅化されることで取付スペースが限られていても、アウタモール64の取付強度を確保することができる。
【0056】
しかも、アウタモール64は、フロントピラー14だけでなく、ウィンドシールドガラス16にも取り付けられているので、アウタモール64の取付強度をより一層確保することができる。
【0057】
また、被嵌合部40,90は、フロントピラー14及び縦縁部16Aから車両幅方向外側にそれぞれ延出されており、嵌合部68,98は、被嵌合部40,90に車両幅方向外側からそれぞれ嵌合可能とされている。従って、アウタモール64をフロントピラー14及びウィンドシールドガラス16に車両幅方向外側から取り付けることができるので、アウタモール64の組付時の姿勢が安定し、アウタモール64の取付時の作業性も確保することができる。
【0058】
また、アウタモール64をフロントピラー14及びウィンドシールドガラス16に車両幅方向外側から取り付ける際には、立壁部84が縦縁部16Aの端面16Bに当接される。従って、縦縁部16Aに対するアウタモール64の位置精度、特に、モール部72の先端72Aと、セラミック部108の車両幅方向内側端108Aとの位置精度も確保することができる。
【0059】
また、図3に示されるように、アウタモール64に形成された一対の爪部87,89が縦縁部16Aに形成された係合凹部96にそれぞれ係合されることにより、モール本体66を含むアウタモール64の全体を縦縁部16Aに対して車両幅方向に位置決めすることができる。これにより、縦縁部16Aに対するアウタモール64の位置精度を向上させることができる。
【0060】
また、このように、アウタモール64のウィンドシールドガラス16に対する位置精度を確保することにより、熱や経時に伴ってアウタモール64に位置ずれが生じたり、アウタモール64の位置が製造時にばらついたりすることを抑制することができる。これにより、フロントピラー部110の幅W3をより狭めることができるので、車室からの視界をより向上させることができる。
【0061】
また、アウタモール64に形成された立壁部84、挟持部76、及び、モール部72によって、車両幅方向内側に開口する排水溝100がフロントピラー14の長手方向に沿って形成されている。従って、ウィンドシールドガラス16の外面から流れるウォッシャ液や雨水を、この排水溝100によって処理することができるので、フロントピラー14が細幅化されていても、ウィンドシールドガラス16の排水性能を確保することができる。
【0062】
しかも、この排水溝100の底部100Aは、挟持部76によって構成されており、縦縁部16Aの裏面16A2の車両幅方向外側への延長線L3よりもフロントピラー14側(矢印B側)に位置されている。これにより、排水溝100の断面積を拡大させることができるので、ウィンドシールドガラス16の排水性能をより確保することができる。
【0063】
また、当て部70と嵌合部68との間には、嵌合部68に対して当て部70を支持する支持部74が形成されている。従って、ウェザストリップ58が車両後側から当て部70に押し付けられたときには、当て部70に入力された反力を支持部74及び嵌合部68を介して被嵌合部40に伝達することができる。これにより、フロントピラー14が細幅化されていても、当て部70の剛性を確保することができるので、ウェザストリップ58と当て部70とのシール性を確保することができる。
【0064】
なお、図4に示されるように、モール部72と立壁部84との間には、これらを連結する連結リブ112が形成されていても良い。この連結リブ112は、フロントピラー14の長手方向に間隔を空けて複数形成されている。このように構成されていると、モール部72の剛性を向上させることができる。
【0065】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0066】
図5に示される本発明の第二実施形態に係る車両のフロントピラー構造120は、上述の本発明の第一実施形態に係る車両のフロントピラー構造10(図3参照)に対し、次の如く構成が変更されている。
【0067】
つまり、この車両のフロントピラー構造120において、アウタモール64は、モール本体66と、一対の嵌合リブ126,128と、クリップ130とを有して構成されている。モール本体66は、上述の本発明の第一実施形態における構成と同一とされている。
【0068】
クリップ130は、U字状の本体部131を有しており、この本体部131には、車両幅方向内側へ延びる一対の腕部132,134が形成されている。この一対の腕部132,134の先端側には、互いに対向するように爪部137,139がそれぞれ形成されており、一対の腕部132,134の基端側には、車両前側及び後側に突出する係止部138がそれぞれ形成されている。また、一対の腕部132,134のうち車両前側に設けられた腕部132の先端部には、車両幅方向内側に延びる介在部148が形成されている。
【0069】
また、車両前側に設けられた一方の嵌合リブ126は、腕部132に向けて延びる立壁部142と、この立壁部142から縦縁部16Aの端面16Bに向けて延出された延出部146とを有する断面V字状に形成されている。延出部146の先端には、当接部144が形成されている。また、他方の嵌合リブ128は、当て部70から腕部134に向けて延出されている。
【0070】
また、当て壁部32におけるウィンドシールドガラス16側の端部には、車両幅方向外側に延びるフランジ154が形成されており、対向壁部36の車両幅方向外側には、フランジ154に沿って延びるフランジ158が形成されている。このフランジ158は、フランジ154と互いに重ね合われた状態で溶接されており、このフランジ154とで、後述する如くアウタモール64を取り付けるための被嵌合部160を構成している。この被嵌合部160を構成する一対のフランジ154,158は、縦縁部16Aに対して車両幅方向外側に突出されており、この各フランジ154,158の長手方向中央部には、穴部162がそれぞれ形成されている。
【0071】
なお、本発明の第二実施形態では、クリップ130と、一対の嵌合リブ126,128とによって本発明における嵌合部が構成されている。また、腕部132及び嵌合リブ126によって本発明における車両前側の挟持部が構成されており、腕部134及び嵌合リブ128によって本発明における車両後側の挟持部及び支持部が構成されている。
【0072】
そして、アウタモール64は、フロントピラー14に次の要領で取り付けられている。すなわち、先ず、クリップ130が被嵌合部160に取り付けられ、穴部162に爪部137,139がそれぞれ係合される。続いて、一対の嵌合リブ126,128の間にクリップ130が配置されるように、このクリップ130にアウタモール64が取り付けられる。
【0073】
そして、これにより、当接部144が縦縁部16Aの端面16Bに当接され、且つ、一対の係止部138が一対の嵌合リブ126,128に車両幅方向外側から係止される。このようにして、アウタモール64は、フロントピラー14に取り付けられている。また、この状態では、介在部148が縦縁部16Aと対向壁部36との間に介在されている。
【0074】
また、このアウタモール64では、当接部144、嵌合リブ126、及び、モール部72によって、車両幅方向内側に開口する断面略U字状の排水溝170が形成されている。この排水溝170は、フロントピラー14の長手方向に沿って形成されている。また、排水溝170の底部170Aは、立壁部142と延出部146との間の角部166によって構成されており、縦縁部16Aの裏面16A2の車両幅方向外側への延長線L3よりもフロントピラー14側(矢印B側)に位置されている。
【0075】
なお、この排水溝170は、当接部144、嵌合リブ126、及び、モール部72の肉厚や形状を適宜設定することにより、その断面積を変更可能である。
【0076】
次に、本発明の第二実施形態の作用及び効果について、上述の本発明の第一実施形態と異なる点を説明する。
【0077】
この車両のフロントピラー構造120によれば、フロントピラー14には、被嵌合部160が形成されており、アウタモール64は、この被嵌合部160と嵌合可能な嵌合部として、クリップ130と、一対の嵌合リブ126,128を有している。
【0078】
そして、この一対の嵌合リブ126,128の間に配置されたクリップ130が被嵌合部160に差し込まれ、穴部162に爪部137,139がそれぞれ係合されると共に、当接部144が縦縁部16Aの端面16Bに当接され、且つ、一対の係止部138が一対の嵌合リブ126,128に車両幅方向外側から係止されることにより、アウタモール64は、フロントピラー14に取り付けられている。
【0079】
従って、フロントピラー14へのアウタモール64の取付に嵌合構造が用いられているので、フロントピラー14が細幅化されることで取付スペースが限られていても、フロントピラー14に対するアウタモール64の取付強度を確保することができる。
【0080】
しかも、被嵌合部160は、フロントピラー14から車両幅方向外側に延出されており、クリップ130は、被嵌合部160に車両幅方向外側から嵌合可能とされている。従って、アウタモール64をフロントピラー14に車両幅方向外側から取り付けることができるので、アウタモール64の組付時の姿勢が安定し、アウタモール64の取付時の作業性も確保することができる。
【0081】
また、アウタモール64をフロントピラー14に車両幅方向外側から取り付ける際には、アウタモール64に形成された当接部144が縦縁部16Aの端面16Bに当接される。従って、縦縁部16Aに対するアウタモール64の位置精度、特に、モール部72の先端72Aと、セラミック部108の車両幅方向内側端108Aとの位置精度も確保することができる。
【0082】
また、アウタモール64に形成された当接部144、嵌合リブ126、及び、モール部72によって、車両幅方向内側に開口する排水溝170がフロントピラー14の長手方向に沿って形成されている。従って、ウィンドシールドガラス16の外面から流れるウォッシャ液や雨水を、この排水溝170によって処理することができるので、フロントピラー14が細幅化されていても、ウィンドシールドガラス16の排水性能を確保することができる。
【0083】
しかも、この排水溝170の底部170Aは、立壁部142と延出部146との間の角部166によって構成されており、縦縁部16Aの裏面16A2の車両幅方向外側への延長線L3よりもフロントピラー14側(矢印B側)に位置されている。これにより、排水溝170の断面積を拡大させることができるので、ウィンドシールドガラス16の排水性能をより確保することができる。
【0084】
また、クリップ130に形成された車両後側の腕部134と当て部70との間には、嵌合リブ128が設けられており、この嵌合リブ128は、腕部134に対して当て部70を支持している。従って、ウェザストリップ58が車両後側から当て部70に押し付けられたときには、当て部70に入力された反力を嵌合リブ128及び腕部134を介して被嵌合部160に伝達することができる。これにより、当て部70の剛性を確保することができるので、フロントピラー14が細幅化されていても、ウェザストリップ58と当て部70とのシール性を確保することができる。
【0085】
また、この嵌合リブ128は、被嵌合部160と嵌合される嵌合部としての機能だけでなく、被嵌合部160に対して当て部70を支持する支持部としての機能も有しているので、アウタモール64の構成を簡素化することができ、コストダウンすることができる。
【0086】
なお、本発明の第二実施形態では、アウタモール64がクリップ130を有して構成されていたが、図6に示されるように、それぞれ断面V字状に形成された一対の嵌合リブ176,178が設けられ、この一対の嵌合リブ176,178が被嵌合部160と直接嵌合される構成とされていても良い。また、この場合に、一対の嵌合リブ176,178の各折返し部187,189が穴部162と係合されても良い。
【0087】
このように構成されていると、アウタモール64の構成を簡素化することができるので、コストダウンすることができる。
【0088】
また、この場合に、図7に示されるように、フランジ154,158に一対の突起182がそれぞれ形成され、嵌合リブ176,178の折返し部187,189が一対の突起182の間に形成された凹部184にそれぞれ係合される構成とされていても良い。
【0089】
なお、この図6,図7に示される変形例において、一対の嵌合リブ176,178は、本発明における嵌合部及び一対の挟持部に相当する。また、嵌合リブ178は、本発明における車両後側の挟持部及び支持部に相当する。
【0090】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
【0091】
図8に示される本発明の第三実施形態に係る車両のフロントピラー構造190は、上述の本発明の第二実施形態に係る車両のフロントピラー構造120の変形例(図6参照)に対し、次の如く構成が変更されている。
【0092】
つまり、嵌合リブ176,178における互いの対向面には、複数の突起192が車両幅方向に連続して形成されており、被嵌合部160を構成する一対のフランジ154,158の先端には、一対の嵌合リブ176,178に向けて延びる係合部194がそれぞれ形成されている。
【0093】
そして、複数の突起192の間に形成された凹部196のいずれかと係合部194が選択的に係合されることにより、一対の嵌合リブ176,178は、被嵌合部160との嵌合位置を車両幅方向に調節可能とされている。また、これにより、縦縁部16Aに対するアウタモール64の取付位置が車両幅方向に調節可能となっている。
【0094】
また、縦縁部16Aに対するアウタモール64の取付位置が車両幅方向に調節される際に、当接部144が縦縁部16Aの端面16Bに当接されることにより、縦縁部16Aに対するアウタモール64の位置精度が確保されるようになっている。
【0095】
次に、本発明の第三実施形態の作用及び効果について、上述の本発明の第二実施形態の変形例と異なる点を説明する。
【0096】
この車両のフロントピラー構造190によれば、縦縁部16Aに対するアウタモール64の取付位置を車両幅方向に調節することにより、縦縁部16Aに対するアウタモール64の位置精度、特に、モール部72の先端72Aと、セラミック部108の車両幅方向内側端108Aとの位置精度を向上させることができる。
【0097】
また、当接部144がたわむ構造とされれば、縦縁部16Aの位置がボデー側の基準に対してずれた(ばらついた)場合でも、アウタモール64、特に、モール部72の先端72Aの位置精度を向上させることができる。
【0098】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
【0099】
図9に示される本発明の第四実施形態に係る車両のフロントピラー構造200は、上述の本発明の第一実施形態に係る車両のフロントピラー構造10(図3参照)に対し、次の如く構成が変更されている。
【0100】
つまり、この車両のフロントピラー構造200において、アウタモール64に形成された嵌合部98は、嵌合腕部215と、この嵌合腕部215から一対のフランジ34,38側と反対側に延出された当接部としての立壁部214と、この立壁部214の先端から車両幅方向内側に延出する一対の挟持部216,218とを有している。また、一対の挟持部216,218の先端には、互いに対向する爪部227,229がそれぞれ形成されている。
【0101】
そして、嵌合部98が車両幅方向外側から被嵌合部90に嵌合されることにより、すなわち、一対の挟持部216,218が被嵌合部90を挟持すると共に、立壁部214が縦縁部16Aにおける車両幅方向外側の端面16Bに当接され、且つ、係合凹部96に爪部227,229が係合されることにより、モール本体66を含むアウタモール64全体は、ウィンドシールドガラス16に取り付けられている。
【0102】
また、当て部70には、一対のフランジ34,38に向けて延出された支持部としての支持リブ224が形成されている。この支持リブ224は、当て部70と一対のフランジ34,38との間に設けられて、一対のフランジ34,38に対して当て部70を支持している。
【0103】
また、このアウタモール64では、立壁部214、嵌合腕部215、及び、モール部72によって、車両幅方向内側に開口する断面略U字状の排水溝220が形成されている。この排水溝220は、フロントピラー14の長手方向に沿って形成されている。また、排水溝220の底部220Aは、嵌合腕部215によって構成されており、縦縁部16Aの裏面16A2の車両幅方向外側への延長線L3よりもフロントピラー14側(矢印B側)に位置されている。
【0104】
なお、この排水溝220は、立壁部214、嵌合腕部215、及び、モール部72の肉厚や形状を適宜設定することにより、その断面積を変更可能である。
【0105】
次に、本発明の第四実施形態の作用及び効果について、上述の本発明の第一実施形態の変形例と異なる点を説明する。
【0106】
この車両のフロントピラー構造200によれば、嵌合部98に形成された一対の挟持部216,218が被嵌合部90を挟持すると共に、立壁部214が縦縁部16Aにおける車両幅方向外側の端面16Bに当接され、且つ、係合凹部96に爪部227,229が係合されることにより、アウタモール64は、ウィンドシールドガラス16に取り付けられている。従って、ウィンドシールドガラス16へのアウタモール64の取付に嵌合構造が用いられているので、ウィンドシールドガラス16に対するアウタモール64の取付強度を確保することができる。
【0107】
しかも、嵌合部98は、被嵌合部90に車両幅方向外側から嵌合可能とされている。従って、アウタモール64をウィンドシールドガラス16に車両幅方向外側から取り付けることができるので、アウタモール64の組付時の姿勢が安定し、アウタモール64の取付時の作業性も確保することができる。
【0108】
また、アウタモール64をウィンドシールドガラス16に車両幅方向外側から取り付ける際には、アウタモール64に形成された立壁部214が縦縁部16Aの端面16Bに当接される。従って、縦縁部16Aに対するアウタモール64の位置精度、特に、モール部72の先端72Aと、セラミック部108の車両幅方向内側端108Aとの位置精度も確保することができる。
【0109】
また、アウタモール64に形成された立壁部214、嵌合腕部215、及び、モール部72によって、車両幅方向内側に開口する排水溝220がフロントピラー14の長手方向に沿って形成されている。従って、ウィンドシールドガラス16の外面から流れるウォッシャ液や雨水を、この排水溝220によって処理することができるので、ウィンドシールドガラス16の排水性能を確保することができる。
【0110】
しかも、この排水溝220の底部220Aは、嵌合腕部215によって構成されており、縦縁部16Aの裏面16A2の車両幅方向外側への延長線L3よりもフロントピラー14側(矢印B側)に位置されている。これにより、排水溝220の断面積を拡大させることができるので、ウィンドシールドガラス16の排水性能をより確保することができる。
【0111】
また、当て部70と一対のフランジ34,38との間には、支持リブ224が設けられており、この支持リブ224は、一対のフランジ34,38に対して当て部70を支持している。従って、ウェザストリップ58が車両後側から当て部70に押し付けられたときには、当て部70に入力された反力を支持部74を介して一対のフランジ34,38に伝達することができる。これにより、当て部70の剛性を確保することができるので、フロントピラー14が細幅化されていても、ウェザストリップ58と当て部70とのシール性を確保することができる。
【0112】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
【0113】
図10に示される本発明の第五実施形態に係る車両のフロントピラー構造230は、上述の本発明の第四実施形態に係る車両のフロントピラー構造200(図9参照)に対し、次の如く構成が変更されている。
【0114】
つまり、この車両のフロントピラー構造230において、縦縁部16Aには、被嵌合部としての嵌合ピース232が例えば接着、溶着、及び、一体成形のいずれかの方法により一体に設けられている。この嵌合ピース232の車両外側の面232A及び車両内側の面232Bには、それぞれ複数の突起234が車両幅方向に連続して形成されている。
【0115】
一方、アウタモール64には、嵌合ピース232に向けて延びる嵌合部としての一対の嵌合リブ236,238が形成されている。この一対の嵌合リブ236,238は、それぞれ断面V字状に形成されている。
【0116】
そして、一対の嵌合リブ236,238の各折返し部244が複数の突起234の間に形成された凹部246のいずれかと選択的に係合されることにより、一対の嵌合リブ236,238は、嵌合ピース232との嵌合位置を車両幅方向に調節可能とされている。また、これにより、縦縁部16Aに対するアウタモール64の取付位置が車両幅方向に調節可能となっている。
【0117】
次に、本発明の第五実施形態の作用及び効果について、上述の本発明の第四実施形態の変形例と異なる点を説明する。
【0118】
この車両のフロントピラー構造230によれば、縦縁部16Aに対するアウタモール64の取付位置を車両幅方向に調節することにより、縦縁部16Aに対するアウタモール64の位置精度、特に、モール部72の先端72Aと、セラミック部108の車両幅方向内側端108Aとの位置精度を向上させることができる。
【0119】
なお、特に図示しないが、本発明の第五実施形態においては、アウタモール64に、縦縁部16Aの端面16Bに当接される当接部が形成され、縦縁部16Aに対するアウタモール64の位置精度が確保されるように構成されていても良い。
【0120】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能である。
【0121】
また、上記各実施形態(変形例を含む)のうち組み合わせ可能な実施形態は、適宜、組み合わされて実施可能である。
【0122】
次に、特許請求の範囲に記載された発明以外に、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0123】
つまり、前記フロントピラーは、フロントシート側へ延びると共に該延びる方向に沿った縦幅よりも該延びる方向から見た横幅の方が狭く形成された閉断面部を有している請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の車両のフロントピラー構造である。
【0124】
この構成によれば、フロントピラーは、横幅が狭く縦長の細幅化された構成とされるので、車室からの視界を向上させることができる。
【符号の説明】
【0125】
10,120,190,200,230 車両のフロントピラー構造
14 フロントピラー
16 ウィンドシールドガラス
16A 縦縁部
40,90,160 被嵌合部
64 アウタモール
66 モール本体
68,98 嵌合部
70 当て部
72モール部
74 支持部
84,214 立壁部(当接部)
100,170,220 排水溝
100A,170A,220A 底部
126 嵌合リブ(嵌合部の一部、車両前側の挟持部の一部)
128 嵌合リブ(嵌合部の一部、車両後側の挟持部の一部、支持部の一部)
130 クリップ(嵌合部の一部)
132 腕部(車両前側の挟持部の一部)
134 腕部(車両後側の挟持部の一部、支持部の一部)
144 当接部
176 嵌合リブ(嵌合部の一部、車両前側の挟持部)
178 嵌合リブ(嵌合部の一部、車両後側の挟持部、支持部)
224 支持リブ(支持部)
232 嵌合ピース(被嵌合部)
236,238 嵌合リブ(嵌合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィンドシールドガラスの縦縁部に沿って設けられたフロントピラーと、
前記ウィンドシールドガラス及び前記フロントピラーの少なくとも一方に形成され、車両幅方向外側に延出された被嵌合部と、
前記縦縁部及び前記被嵌合部を車両外側から覆うモール本体と、前記被嵌合部に車両幅方向外側から嵌合されて前記モール本体を前記ウィンドシールドガラス及び前記フロントピラーの少なくとも一方に固定する嵌合部とを有するアウタモールと、
を備えた車両のフロントピラー構造。
【請求項2】
前記アウタモールには、前記縦縁部における車両幅方向外側の端面に当接された当接部が形成されている、
請求項1に記載の車両のフロントピラー構造。
【請求項3】
前記嵌合部は、前記被嵌合部との嵌合位置を車両幅方向に調節可能とされている、
請求項1又は請求項2に記載の車両のフロントピラー構造。
【請求項4】
前記被嵌合部は、前記縦縁部に形成され、
前記モール本体は、前記嵌合部が前記被嵌合部と嵌合されることにより前記縦縁部に対して車両幅方向に位置決めされている、
請求項1又は請求項2に記載の車両のフロントピラー構造。
【請求項5】
前記被嵌合部は、前記フロントピラーに形成され、
前記アウタモールには、前記被嵌合部の車両後側に設けられ、サイドドアのウェザストリップが車両後側から押し付けられる当て部と、前記当て部と前記被嵌合部との間に設けられ、前記被嵌合部に対して前記当て部を支持する支持部と、が形成されている、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両のフロントピラー構造。
【請求項6】
前記嵌合部は、前記被嵌合部を車両前側及び車両後側から挟持する一対の挟持部を有し、
前記一対の挟持部のうち車両後側に設けられた挟持部は、前記支持部として構成されている、
請求項5に記載の車両のフロントピラー構造。
【請求項7】
前記被嵌合部は、前記フロントピラーに形成されると共に、前記縦縁部に対して車両幅方向外側に突出され、
前記嵌合部における車両幅方向内側の端部には、前記縦縁部における車両幅方向外側の端面に当接された当接部が形成され、
前記モール本体には、前記嵌合部における車両幅方向外側の端部から車両幅方向内側に延出され、その先端側が前記縦縁部の表側に前記縦縁部と離間して設けられたモール部が形成され、
前記当接部、前記嵌合部、及び、前記モール部によって、車両幅方向内側に開口する排水溝が前記フロントピラーの長手方向に沿って形成されている
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車両のフロントピラー構造。
【請求項8】
前記被嵌合部は、前記縦縁部に形成され、
前記モール本体には、前記嵌合部における車両幅方向外側の端部から車両幅方向内側に延出され、その先端側が前記縦縁部の表側に前記縦縁部と離間して設けられたモール部が形成され、
前記嵌合部及び前記モール部によって、車両幅方向内側に開口する排水溝が前記フロントピラーの長手方向に沿って形成されている
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車両のフロントピラー構造。
【請求項9】
前記排水溝の底部は、前記嵌合部によって構成されると共に、前記縦縁部の裏面の車両幅方向外側への延長線よりも前記フロントピラー側に位置されている、
請求項7又は請求項8に記載の車両のフロントピラー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−245928(P2011−245928A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119336(P2010−119336)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】