説明

車両のランプ制御装置

【課題】バッテリ残容量が低下したときでも車両の安全性を得るための最小限の照明を確保することを可能にした車両のランプ制御装置を提供する。
【解決手段】バッテリBATを電源として走行する車両に設けられた複数のランプHL,CL,TSL,TL,BUL,SLと、ランプの光量又は配光を制御するランプ制御手段ECUを備え、さらにバッテリの残容量を検出するバッテリ残容量検出手段BDを備える。ランプ制御手段ECUは車両の安全性を確保することを目的として複数のランプのランプ制御の順位付けを行い、バッテリ残容量検出手段BDがバッテリ残量の低下を検出したときに設定した順位の順でランプ制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両に設けたランプの点灯・消灯並びに配光等のいわゆる点灯状態を制御するためのランプ制御装置に関し、特にバッテリ(電池)を電源として走行する自動車のランプに適用して好適なランプ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載したバッテリ電力の少なくとも一部を電源として走行する電気自動車やハイブリッド自動車等の車両では、当該バッテリをヘッドランプやテールランプ等の各種ランプを点灯するための電源としても利用している。このような車両ではバッテリ残容量が低下したときにも自車の走行を確保し、あるいは走行距離を伸ばすために、ランプにおける消費電力を抑制することが好ましい。このバッテリを電源としている車両のランプにおける消費電力を抑制するために、従来からバッテリの残容量が低下したときにランプの点灯状態を制御する技術が提案されている。特許文献1ではバッテリの残容量と車外の明るさを検出してランプへの電力供給量を自動制御し、もしくは自動停止して省電力化を図りながらランプでの照明による自車の安全性を確保する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−188122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1の技術は自動車のヘッドランプに適用した形態について述べているが、この技術は複数のランプを一括して自動制御あるいは自動停止する技術である。そのため、特許文献1の技術を例えば、ロービームランプとハイビームランプを含むヘッドランプに適用したときには、バッテリの残容量が低下するとハイビームランプとロービームランプの光量が同時に低下されることになる。あるいは特許文献1の技術をヘッドランプとテールランプに適用したときには、ヘッドランプとテールランプの光量が同時に低下され、あるいはヘッドランプとテールランプの全てが同時に消灯されることになる。このように全てのランプが同時に光量低下され、あるいは消灯されると自動車の照明による安全性が確保できなくなるという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的はバッテリ残容量が低下したときにバッテリ容量の低減を抑制する一方で車両の安全に必要な最小限の照明を確保することを可能にした車両のランプ制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バッテリを電源として走行する車両に設けられた複数のランプと、これらランプの光量又は配光を制御するランプ制御手段を備える車両のランプ制御装置であって、バッテリの残容量を検出するバッテリ残容量検出手段を備え、ランプ制御手段は車両の安全性を確保することを目的として複数のランプのランプ制御を順位付けし、バッテリ残容量検出手段がバッテリ残量の低下を検出したときに当該順位に基づいてランプ制御を実行することを特徴とする。
【0007】
本発明において、ランプ制御手段は車両の走行状況と密接な関連を有する車両情報に基づいて順位付けを行う構成とする。あるいは、バッテリ残容量検出手段はバッテリの残容量を複数の区分に判定し、ランプ制御手段は判定された区分に基づいて順位付けを行う構成とする。ここで、ランプはヘッドランプと補助ランプとを含み、少なくともヘッドランプについてランプ制御を行う構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バッテリの残容量が低下したときには予め設定した順位、例えば車両の安全性を確保する際の必要度の低い順位に従ってランプ制御して当該ランプの消費電力を低減させる。これにより、後順位のランプ、すなわち車両の安全性を確保する際の必要度の高いランプの点灯状態を確保しながらもランプ全体の消費電力を低減し、バッテリの残容量の低減を抑制して自車の走行用モータによる走行を確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した自動車の概念構成図。
【図2】ランプ制御装置のブロック構成図。
【図3】車両情報のテーブル図。
【図4】点灯制御のテーブル図。
【図5】実施形態1の制御フロー図。
【図6】実施形態2の制御フロー図。
【図7】実施形態3の制御テーブル図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明を適用した電気自動車CARの実施形態の概念構成図、図2はランプ制御装置のブロック構成図である。電気自動車CARは車載バッテリBATを電源として回転駆動する走行用モータM(図2にのみ示す)を備えており、この走行用モータMにより自力走行が可能とされている。また、当該自動車CARの前部の左右にはそれぞれ左右のヘッドランプHLが配設されている。これらのヘッドランプHLにはロービーム配光での光照射を行うロービームランプLoLと、ハイビーム配光での光照射を行うハイビームランプHiLが設けられているとともに、前記ロービームランプLoLを水平左右方向に偏向制御するためのスイブルアクチュエータSAと、ヘッドランプHLのランプ光軸を鉛直方向に変化制御するためのレベリングアクチュエータLAが設けられている。さらに、補助ランプとして、ここでは次の各ランプが設けられている。すなわち、クリアランスランプCLは前記左右のヘッドランプHLと一体に設けられている。また、両ヘッドランプHLに並ぶように前側のターンシグナルランプTSLが配設されている。一方、自動車の後部の左右にはそれぞれリアコンビネーションランプRCLが配設されている。これらのリアコンビネーションランプRCLはテールランプTL、ストップランプSL、バックアップランプBUL、後側のターンシグナルランプTSLが一体に構成されたものである。
【0011】
図2に示すように、前記各ヘッドランプHL及び補助ランプCL,TSL,TL,BUL,SLに対してはランプ制御ユニットECUが接続されており、このランプ制御ユニットECUにより前記各ランプHL,CL,TSL,TL,BUL,SLの点灯,消灯,光量が制御され、同時に前記ヘッドランプHLにおけるスイブルアクチュエータSAとレベリングアクチュエータLAの制御によるランプ光軸が制御され、いわゆる点灯状態が制御されるようになっている。前記ランプ制御ユニットECUには前記したバッテリBATが接続されており、当該バッテリBATの残容量を検出するためのバッテリ残容量検出手段BDがランプ制御ユニットECU内に配設されている。
【0012】
他方、図1に示したように、前記自動車CARには自車の前方領域を撮像する撮像カメラCAM、自車の周囲領域の地図情報を表示するナビゲーション装置NAV、自車の車速を検出する車速センサSv、及び自車の周囲の明るさを検出する照度センサSbを備えており、それぞれ前記ランプ制御ユニットECUに接続されている。このランプ制御ユニットECUは前記バッテリ残容量検出手段BDによってバッテリBATの残容量D1を検出するとともに、前記撮像カメラCAMで撮像した画像、車速センサSvで検出した車速、照度センサSbで検出した周囲の明るさに基づいて車両情報を検出している。この車両情報としては、前記撮像カメラCAMで撮像した画像やナビゲーション装置NAVの地図情報に基づいて自車の前方の走行道路D2や道路状況D3を検出し、さらに自車の前方に存在する周囲車両D4を検出する。他の車両情報として、ランプ制御ユニットECUは車速センサSvで検出した車速D5を検出する。さらに他の車両情報として、ランプ制御ユニットECUは照度センサSbで検出した周囲の明るさD6を検出するとともに、撮像カメラCAMで撮像した画像と照度センサSbの出力とから天候D7を検出することも可能である。
【0013】
図3は前記車両情報の一例を示しており、バッテリの残容量D1は後述するようにしきい値との比較を行ってバッテリ残容量を判定する。走行道路D2は高速道路、一般道路、郊外道路、市街地道路、山間道路のいずれであるかを検出し、道路状況D3は直線路、曲路、交差路のいずれであるかを検出し、曲路の場合にはその曲率を検出する。周囲車両D4としてハ先行車、対向車、後続車のいずれかを検出するが、軽車両、歩行者を検出してもよい。車速D5については自車が停止しているか、あるいは低速、中速、高速のいずれで走行しているかを検出する。周囲の明るさD6に基づいて昼間又は夜間であるかを検出するとともに、天候D7が晴れ、雨、雪、霧等のいずれであるかを検出することも可能である。
【0014】
前記各ランプHL,CL,TSL,TL,BUL,SLの点灯状態の制御は図4に例示するとおりである。一部のランプについての説明は省略するが、ヘッドランプHLについてはロービームランプLoL、ハイビームランプHiL、スイブルアクチュエータSA、レベリングアクチュエータLAの制御を実行する。ロービームランプLoLについては通常の光量での点灯である常光と、通常よりも光量が少ない減光と、消灯のいずれかに制御することが可能とされている。ハイビームランプHiLについては自車の前方領域のほぼ全領域を照明する全配光と、先行者や対向車が存在する領域以外の領域を照明する部分配光(例えば、ADB(Adaptive Driving Beam)等)の制御ができ、しかもこれら全配光と部分配光ではそれぞれ通常の光量での点灯である常光と、通常よりも光量が少ない減光と、消灯のいずれかに制御することが可能とされている。スイブルアクチュエータSAについては、通常のスイブル制御を可能とする常態と、ランプ光軸を自車線側に向けて固定する停止の制御が可能である。レベリングアクチュエータLAについては、通常のレベリング制御を可能とする常態と、ランプ光軸を下方向に固定する停止の制御が可能である。
【0015】
補助ランプとしてのクリアランスランプCL、ターンシグナルランプTSL、テールランプTL、バックアップランプBUL及びストップランプSLについても図4に示すとおりであり、個々についての詳細な説明は省略するが、いずれも通常の点灯常態である常光と、通常よりも低光量で点灯する減光と、さらに一部のランプでは所定周期で点灯・消灯する点滅とに制御することが可能である。
【0016】
このような撮像カメラCAM、ナビゲーション装置NAV及び各種センサSv,Sbが接続されたランプ制御ユニットECUは、前記したように各ランプ各ランプHL,CL,TSL,TL,BUL,SLの点灯状態を制御する際の順位を予め設定している。この順位は基本的にはランプの点灯時やランプ制御時における消費電力の違いと、自動車の安全を確保するために点灯が必要とされるランプ種別等を考慮して設定するものである。例えば、自動車の安全走行における重要度の低いランプを先順位とし、重要度の高いランプを後順位とする。また、この順位は固定的に設定されるものではなく、自動車を運転する者が任意に変更して設定することが可能とされている。そして、ランプ制御ユニットECUはバッテリ残容量検出手段BDにおいて検出したバッテリBATの残容量を予め設定した1つ又は複数のしきい値(しきい容量)と比較し、この比較に基づいてバッテリBATの残容量を判定し、この判定に基づいて設定した順位の順にランプ制御を実行する
【0017】
(実施形態1)
図5は実施形態1のフロー図である。この実施形態1では電力消費量が高く、モータMによる自車の走行に対する影響が大きいヘッドランプHlにのみ本発明を適用したものである。ランプ制御ユニットECUはバッテリ残容量検出手段BDにおいてバッテリBATの残容量(以下、単に残容量と称することもある)を検出し(S1)、検出した残容量を順次第1しきい値Th1、第2しきい値Th2、第3しきい値Th3と比較する(S2)。ここで、Th1>Th2>Th3である。ステップS2において残容量が第1しきい値Th1以上の場合にはヘッドランプHLを通常制御する(S3)。すなわち、ロービームランプLoLを通常点灯し、ハイビームランプHiLも必要に応じて点灯又は部分点灯し、さらにスイブル制御SAとレベリング制御LAも必要に応じて実行する。残容量が第1しきい値Th1よりも少ないときには第2しきい値Th2と比較し(S4)、第2しきい値Th2以上のときにはロービームランプLoLは通常点灯するがハイビームランプHiLは減光しあるいは消灯する。このとき、スイブル制御SAとレベリング制御LAは実行可能とする(S5)。残容量が第2しきい値Th2よりも少ないときには第3しきい値Th3と比較し(S6)、第3しきい値Th3以上のときにはロービームランプLoLは通常点灯し、ハイビームランプHiLは消灯する。さらにスイブル制御SAとレベリング制御LAは停止し、ランプ光軸を例えば左方向の下方向に固定する(S7)。残容量が第3しきい値Th3よりも少ないときには、ステップS7の制御に加えてさらにロービームランプLoLを減光する制御を実行する(S8)。
【0018】
したがって、残容量が第1しきい値Th1以上のときにはヘッドランプHLを通常の点灯状態に制御するが、残容量が徐々に低減して行くのに従って順位の低い制御、すなわち消費電力の大きなハイビームランプHiLによるハイビーム配光での点灯、スイブルアクチュエータSAとレベリングアクチュエータLAによるスイブル制御とレベリング制御、さらには最後にロービームランプLoLの光量の順序でランプ制御を行う。これにより、ランプを点灯し、あるいはアクチュエータを駆動することによるバッテリBATの容量の低減を抑制し、当該バッテリBATを電源とする自動車の走行用モータMによる走行を確保するとともに、自動車の安全走行に必要な最低限のヘッドランプHLの照明を確保することが可能になる。
【0019】
(実施形態2)
実施形態2は実施形態1にさらに補助ランプの制御を加えたものである。図6のフローにおいて、バッテリの残容量を第3しきい値Th3と比較するステップS6の後に、第3しきい値Th3よりもさらに低い第4しきい値Th4と残容量を比較するステップS9を加え、残容量が第4しきい値Th4以上のときには前記したステップS8を実行するが、第4しきい値Th4よりも少なくなったときには補助ランプを制御する(S10)。この補助ランプの制御については種々の形態が適用されるが、例えば、ここではクリアランスランプCL、さらにリアコンビネーションランプRCLを構成しているテールランプTL、バックアップランプBUL、ストップランプSLのいずれか1つあるいは複数又は全部を減光する。
【0020】
このような補助ランプとしての各ランプCL,TL,BUL,TL,SLを減光する場合には、予め設定したランプを減光するようにしてもよいが、これらの補助ランプについても予め順位付けを行っておき、バッテリBATの残容量が低減するのに従ってこれらランプを順序的に減光するようにしてもよい。実施形態2においては、実施形態1のようにヘッドランプHLの点灯を制御してバッテリ容量の低減を抑制するが、これにもかかわらずバッテリの残容量がさらに低減したときに補助ランプの点灯を制御することでさらなるバッテリ容量の低減を抑制し、自車の走行を確保するとともに、他車に対する自車の視認性を確保するのに必要な補助ランプの照明を確保することが可能になる。
【0021】
(実施形態3)
実施形態3はバッテリの残容量の判定に加えて自車の走行状況である車両情報を考慮してヘッドランプHLの制御を行うものである。ここでは車両情報として、撮像カメラCAMでの画像やナビゲーション装置NAVの地図情報から検出される周囲車両D4、特に前方車両の存在の有無、道路状況D3の曲路の曲率、自車の周囲の明るさD6、自車の車速D5を採用している。また、ランプ制御については、ハイビームランプHiLとロービームランプLoLの点灯状態、スイブルアクチュエータSAでのスイブル制御について行い、これらの組み合わせたランプ制御の順位を設定している。すなわち、図7のテーブルを参照すると、前記ランプ制御ユニットECUはバッテリの残容量を実施形態1と同様に第1ないし第3のしきい値Th1〜Th3と比較して残容量がV1〜V4のいずれであるかを判定し、かつ同時に車両情報についても判定する。この車両情報では、前方車両の有無を判定し、道路の曲率(ここでは曲率半径Rx)が所定のしきい値R1以上か否か、自車周囲の明るさが所定のしきい値L1以上か否かを判定する。そして、これらバッテリ残容量と車両情報の判定に基づいてヘッドランプHLを制御する。
【0022】
なお、この実施形態3では、ヘッドランプHLのハイビームランプHiLとロービームランプLoLの両方又はロービームランプLoLのみを点灯する制御を行うが、ハイビームランプHiLについては前方車両が存在しない領域のみを照明する部分ハイビーム配光を行うか否かの制御も可能とされている。また、スイブル制御を実行するか正面方向に固定するかの制御と、ロービームランプLoLを通常点灯するか減光するか否かの制御も可能とされている。
【0023】
例えば、バッテリBATの残容量について実施形態1と同様の判定を行い、残容量が第1しきい値Th1以上の容量V1のときには、前方車両が存在しているか不存在であるか、道路の曲率がしきい値R1以上か否か、自車の周囲の明るさがしきい値L1以上か否かの各判定の場合分けに応じてランプ制御を行う。例えば、前方車両が存在しておらず、曲率がしきい値R1以上であり、周囲の明るさがしきい値L1よりも暗いときにはハイビームランプHlLを点灯し、かつロービームランプも通常点灯し、スイブル制御を可能にする。このとき、周囲の明るさがしきい値L1以上になればハイビームランプHiLは消灯し、かつロービームランプLoLを減光する。
【0024】
あるいは、前方車両が存在しているときに、曲率がしきい値R1以上であり、周囲の明るさがしきい値L1よりも暗いときにはハイビームランプHlLを部分点灯し、前方車両に対する眩惑を防止し、かつロービームランプLoLも通常点灯し、スイブル制御を停止してランプ光軸を正面に固定する。このとき、周囲の明るさがしきい値L1以上になればハイビームランプHiLは消灯し、かつロービームランプLoLを減光する。
【0025】
残容量が第1しきい値Th1よりも少なく第2しきい値Th2以上の容量V2のときには前方車両の存在の有無にかかわらず、道路の曲率がしきい値R1より大きいか小さいか、自車の周囲の明るさがしきい値L1より明るいか暗いかの各判定の場合分けに応じてランプ制御を行う。ここでは、ヘッドランプHLのハイビームランプHiLは点灯せず、スイブル制御を実行するか正面方向に固定するか否か、ロービームランプLoLを通常点灯するか減光するか否かの制御を実行する。
【0026】
残容量が第2しきい値Th2よりも少なく第3しきい値Th3以上の容量V3のときには前方車両の存在の有無、道路の曲率の大きさの違いにかかわらず、自車の周囲の明るさがしきい値L1より明るいか暗いかの判定の場合分けに応じてランプ制御を行う。ここでは、ハイビームランプHiLは点灯せず、スイブル制御については自動車の走行又は停車にかかわらず正面方向に固定し、ロービームランプLoLを通常点灯するか減光するか否かの制御を実行する。
【0027】
残容量が第3しきい値ThLよりも少ない容量V4のときには、無条件でハイビームランプHiLは点灯せず、スイブル制御については正面方向に固定し、ロービームランプLoLを減光する制御のみとする。
【0028】
これにより、実施形態3においては、バッテリの残容量のみならず車両情報に基づいて設定した順序でランプ制御を実行することで、バッテリ残容量の低減を抑制して自車の走行を確保するとともに、自車の安全走行に必要なヘッドランプの照明を確保することが可能になる。なお、ここではバッテリ残容量を判定するための第1,第2、第3のしきい値Th1〜Th3は、残容量が50%,残容量が20%,残容量が5%の各容量に区分して設定しているが、本発明はこの具体的な数値に限定されるものではなく、また残容量を判定する区分数についても任意の区分に判定することができる。車両情報の判定に際しても同様であり、任意の区分に判定することが可能である。
【0029】
本発明においてランプ制御の対象となるランプや、ランプ制御に際しての順位付けは固定的なものではなく、例えば、検出した車両情報の一部の情報に基づいて対象となるランプや順位付けを変更するようにしてもよい。一例として、ランプ制御ユニットが自車の車速を検出したときに、自車の走行時には自車の走行の安全性の観点から自車の前方領域の照明を確保するためにヘッドランプのランプ制御に本発明を適用して順位付けを行うが、停車時には後続車に対する自車の視認性を確保するためにリアコンビネーションランプに本発明を適用して順位付けを行うようにしてもよい。
【0030】
実施形態ではバッテリ残容量検出手段をランプ制御ユニットに内蔵した例を示しているが、バッテリ残容量検出手段をランプ制御ユニットとは独立した手段として構成してもよい。
【0031】
本発明において制御するランプは実施形態に記載したランプに限られるものではなく、またランプの点灯・消灯の制御のみではなく配光を制御するように構成することも可能である。また、本発明における車両情報は実施形態に記載の車両情報に限られるものでないことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明はバッテリを電源として走行する車両のランプ制御装置に採用することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
HL ヘッドランプ
HiL ハイビームランプ
LoL ロービームランプ
CL クリアランスランプ
RCL リアコンビネーションランプ
TSL ターンシグナルランプ
TL テールランプ
BUL バックアップランプ
SL ストップランプ
SA スイブルアクチュエータ
LA レベリングアクチュエータ
ECU ランプ制御ユニット
BAT バッテリ
M 走行用モータ
BD バッテリ残容量検出手段
CAM 撮像カメラ
Sv 車速センサ
Sb 照度センサ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを電源として走行する車両に設けられた複数のランプと、前記ランプの光量又は配光を制御するランプ制御手段を備える車両のランプ制御装置であって、前記バッテリの残容量を検出するバッテリ残容量検出手段を備え、前記ランプ制御手段は車両の安全性を確保することを目的として前記複数のランプのランプ制御を順位付けし、前記バッテリ残容量検出手段がバッテリ残量の低下を検出したときに前記順位に従ってランプ制御を実行することを特徴とする車両のランプ制御装置。
【請求項2】
前記ランプ制御手段は車両の走行状況と密接な関連を有する車両情報に基づいて順位付けを行うことを特徴とする請求項1に記載の車両のランプ制御装置。
【請求項3】
前記バッテリ残容量検出手段はバッテリの残容量を複数の区分に判定し、前記ランプ制御手段は判定された区分に基づいて順位付けを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両のランプ制御装置。
【請求項4】
前記ランプはヘッドランプと補助ランプとを含み、少なくともヘッドランプについてランプ制御を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両のランプ制御装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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