説明

車両のロールシェード装置

【課題】組み付け性に優れた車両のロールシェード装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ルーフの内開口部を開閉するシェードと、シェードの基端側をロール状に巻き取るリトラクタ4と、シェードの開閉に連動して巻き取り又は繰り出しするワイヤを巻き回した第2ワイヤドラム6と、リトラクタ4と第2ワイヤドラム6とを連結した弾性部材8と、有する車両のロールシェード装置であって、リトラクタ4は、パイプリトラクタ41とこのパイプリトラクタ41に内嵌された有底筒状のキャップリトラクタ42とを備え、弾性部材8は、キャップリトラクタ42の内部に収容されるとともに一端側を第2ワイヤドラムに、他端側をキャップリトラクタ42の底部44側に係合されており、キャップリトラクタ42は、パイプリトラクタ41の開口端にこのパイプリトラクタ41と一体回転可能に係止されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフの内開口部に取り付けられるロールシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、自動車のルーフの内開口部に設けられたロールシェード装置が記載されている。このロールシェード装置は、シート状のシェードと、シェードを巻き取る筒状のリトラクタと、リトラクタの内部に収容されたスプリングと、スプリングの内部を挿通する連結軸と、連結軸を保持するフレーム構造体とを有している。スプリングの一端は連結軸に、他端はリトラクタに形成された引っ掛け穴に係合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−214073号公報(図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のロールシェード装置を組み付ける場合には、連結軸にスプリングの一端を係合した後、リトラクタの内部に連結軸及びスプリングを挿通させて行うが、リトラクタの内側からリトラクタの引っ掛け穴にスプリングの端部を引っ掛ける作業が困難であった。つまり、従来のロールシェード装置は、組み付け性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、組み付け性の優れた車両のロールシェード装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、ルーフの内開口部を開閉するシェードと、前記シェードの基端側をロール状に巻き取るリトラクタと、前記リトラクタと同軸に設けられ前記シェードの開閉に連動して巻き取り又は繰り出しするワイヤを巻き回したワイヤドラムと、前記リトラクタと前記ワイヤドラムとを互いの回転力の伝達を可能に、かつ、それぞれをシェード巻取り方向、ワイヤ巻取り方向に回転付勢して連結された弾性部材と、有する車両のロールシェード装置であって、前記リトラクタは、前記シェードが取り付けられるパイプリトラクタとこのパイプリトラクタに内嵌された有底筒状のキャップリトラクタとを備え、前記弾性部材は、前記キャップリトラクタの内部に収容されるとともに一端側を前記ワイヤドラムに、他端側を前記キャップリトラクタの底部側に係合されており、前記キャップリトラクタは、前記パイプリトラクタの開口側にこのパイプリトラクタと一体回転可能に係止されていることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、キャップリトラクタを介して弾性部材の係合作業を行うことができる。つまり、キャップリトラクタに弾性部材を収容しつつ、パイプリトラクタの開口側にキャップリトラクタを一体回転可能に係止させるだけで、リトラクタに対する弾性部材の係合作業を行うことができる。これにより、ロールシェード装置の組み付け性を高めることができる。
【0008】
また、前記ワイヤドラムは、前記弾性部材の圧縮力により前記ホルダに押圧保持されていることが好ましい。
【0009】
かかる構成によれば、弾性部材の伸縮作用によってワイヤドラムの組み付け作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロールシェード装置の組み付け性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るロールシェード装置の平面図である。
【図2】本実施形態に係るロールシェード装置の外観斜視図である。
【図3】本実施形態に係るリトラクタ周りの内部構造を示した断面図である。
【図4】本実施形態に係るリトラクタ、弾性部材及び第2ワイヤドラムを示した斜視図である。
【図5】本実施形態に係るロールシェード装置の側面図であり、(a)、(b)、(c)はそれぞれシェードの全閉状態、半開状態、全開状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態に係るロールシェード装置1は、図1に示すように、車両のルーフ、具体的には車室天井に形成された内開口部2において採光及び遮光を行うための装置であり、内開口部2を開閉するシェード3と、シェード3の基端(後端)側をロール状に巻き取るリトラクタ4とを有する。ロールシェード装置1の上方には、通常、サンルーフ装置のガラスパネル等が取り付けられているが図では省略している。
【0013】
シェード3自体の構造は特に限定されるものではないが、シェード3の基本的な層構成としては基材層を表皮材層で挟んだものが一般的であり、勿論このような多層構造の場合であってもリトラクタ4で巻取り可能となる程度の柔軟性を有する薄布として形成されている。表皮材としては合成繊維、天然繊維、皮革等が挙げられ、基材としては繊維材や合成樹脂材、繊維と合成樹脂材との混合物等が挙げられる。
【0014】
筒形状を呈したリトラクタ4は、その軸方向を車幅方向として内開口部2の後方に回転自在に配置されており、周面にはシェード3の基端が取り付けられている。リトラクタ4の手前には、図2に示すように、シェード3の上面に当接して、シェード3の面を水平方向からリトラクタ4の接線と略平行な傾斜方向に変えるためのシェード押さえ部材18が設けられている。
【0015】
図1、図2において、符号Fは、内開口部2の側部に沿って延設され、図示しない車体フレームに固定されるガイドフレームを示す。このガイドフレームFは、シェード3のスライドシュー(図示せず)やサンルーフ装置のガラスパネルのスライドシュー(図示せず)のガイド機能等を有する部材であり、例えばアルミニウム合金の押出形材から構成される。本実施形態では、後記するラックギア13やホルダ16などの固定部としてこのガイドフレームFを利用している。
【0016】
図1ないし図5において、本実施形態に係るロールシェード装置1は、シェード3の先端側の側部に回転自在に設けられ、シェード3の開方向の手動操作力を受けたときワイヤ巻き取り方向(P1方向)に、閉方向の手動操作力を受けたときワイヤ繰り出し方向(P2方向)に回転しながらシェード3と共に移動する第1ワイヤドラム5と、リトラクタ4と一体回転可能に連結し、このリトラクタ4の側部に、同軸かつワイヤ巻き取り方向(Q1方向)がリトラクタ4のシェード巻き取り方向(R1方向)と反対となるように回転自在に設けられる第2ワイヤドラム6と、第1ワイヤドラム5がワイヤ巻き取り方向(P1方向)、ワイヤ繰り出し方向(P2方向)に回転したときに第2ワイヤドラム6がそれぞれワイヤ繰り出し方向(Q2方向)、ワイヤ巻き取り方向(Q1方向)に回転するように両ワイヤドラム5,6間に掛け渡されるワイヤ7と、を備えている。また、本実施形態では、図3及び図4に示すように、リトラクタ4と第2ワイヤドラム6との間に、互いの回転力の伝達を可能に、かつリトラクタ4をシェード巻取り方向(R1方向)に回転付勢し、第2ワイヤドラム6をワイヤ巻取り方向(Q1方向)に回転付勢する弾性部材8が介設されている。
【0017】
以下、各構成についてさらに詳細に説明する。ロールシェード装置1は、左右対称に形成されているため、対になっている部材については車両の運転者を基準に左側の構造を例に説明する。
【0018】
シェード3の先端周りには例えば車幅方向に延設した剛性体からなるステー9が形成されている。ステー9の下部側には窪み状引手などのハンドル部10が設けられる。ステー9の両端部には車幅方向を軸方向とする支軸11が突設され、この支軸11に第1ワイヤドラム5が回転自在に取り付けられている。
【0019】
リトラクタ4は、図3及び図4に示すように、パイプリトラクタ41と、このパイプリトラクタ41に内嵌するキャップリトラクタ42とを有する。パイプリトラクタ41は、円筒状を呈する金属製の部材である。パイプリトラクタ41の外周には、シェード3がロール状に巻き取られる。パイプリトラクタ41の一端側には、開口から軸方向に向けて切り欠かれた切欠き部43が形成されている。具体的な図示はしないが、キャップリトラクタ42は、パイプリトラクタ41の両開口端に一対設けられる。
【0020】
キャップリトラクタ42は、図3及び図4に示すように、有底筒状を呈する樹脂又は金属製の部材である。キャップリトラクタ42の長さは、特に制限されないが、本実施形態ではパイプリトラクタ41の1/4程度の長さになっている。キャップリトラクタ42は、底部44と、底部44から垂直に延設された筒部45と、筒部45の開口部に形成されたリブ46と、リブ46から底部44に向けて筒部45の外周面に延設された係止部47と、を有する。底部44には、貫通孔48が形成されている。
【0021】
底部44及び筒部45の外径は、パイプリトラクタ41の内径と略同等に形成されている。リブ46の外径は、パイプリトラクタ41の外径と略同等に形成されている。係止部47は、パイプリトラクタ41の切欠き部43に係止される部位である。貫通孔48には、後記する弾性部材8の挿通部82が挿通される。
【0022】
なお、切欠き部43、リブ46及び係止部47の形状は、特に制限されるものではない。パイプリトラクタ41にキャップリトラクタ42を挿入した際に、パイプリトラクタ41及びキャップリトラクタ42が一体回転可能に係止されれば他の形態であってもよい。
【0023】
第1ワイヤドラム5は、図1及び図2に示すように、円柱状を呈する部材であって、ステー9の幅方向両側に一対設けられている。第1ワイヤドラム5は、ステー9の移動に伴って、ワイヤ7を巻き取ったり繰り出したりする部材である。第1ワイヤドラム5は、乗員がハンドル部10に手をかけてシェード3を手動開閉したときにシェード3と共に前後移動するが、その際には滑り等による移動量と回転量とのずれが生じないように第1ワイヤドラム5を回転させる必要がある。そのため、シェード3の手動操作力を第1ワイヤドラム5の回転力に変換する変換機構12として、本実施形態では、シェード3の開閉方向に延設されるラックギア13と、ラックギア13と噛合し、第1ワイヤドラム5と一体回転するピニオンギア14とからなるラックアンドピニオン機構を備えている。
【0024】
ラックギア13は例えばギア形成部が下向きとなるようにガイドフレームFに取り付けられる。第1ワイヤドラム5の外側面側にはピニオンギア14が同軸に設けられる。これにより、シェード3が開閉するとピニオンギア14はその前後移動に応じて滑りを伴うことなく回転するので、第1ワイヤドラム5においてシェード3の開閉量に応じた回転量が確保される。なお、ピニオンギア14のピッチ径は第1ワイヤドラム5におけるワイヤ巻取り部の径に対して同等以下の値である。
【0025】
ワイヤ7は、前記したように第1ワイヤドラム5がワイヤ巻き取り方向(P1方向)、ワイヤ繰り出し方向(P2方向)に回転したときに第2ワイヤドラム6がそれぞれワイヤ繰り出し方向(Q2方向)、ワイヤ巻き取り方向(Q1方向)に回転するように両ワイヤドラム5,6間に張力がかかるように掛け渡される。図5(a)に示すように、第1ワイヤドラム5がその移動ストロークの前端に位置しているとき、ワイヤ7には最長の直線部分Lが形成されることとなるが、第1ワイヤドラム5が図5(b)、(c)に示すように後方に移動してワイヤ7を巻き取っていく際には最初の直線部分Lの分を巻き取るだけでは足らず、第2ワイヤドラム6がQ2方向に回転して第2ワイヤドラム6から不足分のワイヤ7が繰り出されるようになっている。このように第1ワイヤドラム5の移動量、すなわちシェード3の開閉量よりもワイヤ7の巻取り量が大きくなるように、第1ワイヤドラム5、第2ワイヤドラム6のドラム径が設定されている。
【0026】
第2ワイヤドラム6は、リトラクタ4の幅方向両側に一対設けられており、リトラクタ4と同軸に設けられている。第2ワイヤドラム6は、ステー9の移動に伴って、ワイヤ7を繰り出したり、巻き取ったりする部材である。第2ワイヤドラム6は、図3及び図4に示すように、円錐台形状を呈する本体61と、本体61から車両内側方向に突出する第1軸部62と、本体61から車両外側方向に突出する第2軸部63と、を備えている。
【0027】
本体61の外周面には、ワイヤ7を係止させるための溝が形成されている。第1軸部62は、略円柱状を呈しキャップリトラクタ42の内径よりもやや小さく形成されている。第1軸部62(第2ワイヤドラム6)は、キャップリトラクタ42とは相対的に回転する。第1軸部62には、第1軸部62の先端から外周面の軸長方向に切り欠かれた溝64と、溝64に連続して軸径方向に延設された穴65が形成されている。第2軸部63は、円柱状を呈し、図3に示すように、ホルダ16の凹部66に軸支される部位である。ホルダ16は、ガイドフレームFに固定されている。
【0028】
弾性部材8は、本実施形態では、捩りコイルばねを用いている(以下、弾性部材を捩りコイルばねともいう)。捩りコイルばね8は、キャップリトラクタ42と第2ワイヤドラム6とを捩った状態で連結している。キャップリトラクタ42と捩りコイルばね8とは同芯となるように配設される。捩りコイルばね8の長さは、特に制限されないが、本実施形態では、リトラクタ4の長さの約5分の1に設定している。捩りコイルばね8は、伸縮する基部81と、基部81から車両内側方向に延設された挿通部82と、基部81から車両外側方向に延設された係合部83とを備えている。
【0029】
挿通部82は、直線上に形成されており、キャップリトラクタ42の貫通孔48に挿通(係合)される。係合部83は、鉤状に形成されており、第2ワイヤドラム6の溝64及び穴65に係合される。捩りコイルばね8と第2ワイヤドラム6とを係合させると、捩りコイルばね8の基部81の外周面と第2ワイヤドラム6の第1軸部62の外周面とが面一になる。
【0030】
捩りコイルばね8によりリトラクタ4と第2ワイヤドラム6とは互いに反対方向に付勢されることとなり、図5に示すように、リトラクタ4にはシェード3を巻き取る方向であるR1方向の回転モーメントが付与され、第2ワイヤドラム6にはワイヤ7を巻き取る方向であるQ1方向の回転モーメントが付与される。
【0031】
次に、リトラクタ4の組み付け方法について説明する。図4に示すように、まず、第2ワイヤドラム6の溝64及び穴65に、捩りコイルばね8の係合部83を係合させる。次に、キャップリトラクタ42の内部に捩りコイルばね8を挿入させつつ、貫通孔48に捩りコイルばね8の挿通部82を挿通させる。次に、パイプリトラクタ41の切欠き部43に、キャップリトラクタ42の係止部47を係止させる。図3に示すように、一体化したリトラクタ4及び第2ワイヤドラム6をホルダ16に組み付ける際には、捩りコイルばね8の付勢に抗して第2ワイヤドラム6をリトラクタ4側に押し込み、リトラクタ4に対して第2ワイヤドラム6を相対的に移動させた後、第2ワイヤドラム6の第2軸部63をホルダ16の凹部66に挿入する。これにより、第2ワイヤドラム6は、捩りコイルばね8の圧縮力によりホルダ16に押圧保持される。
【0032】
以上の構成からなるロールシェード装置1の作用を説明する。
「シェード3を開く場合」
シェード3が全閉となった図5(a)の状態から、ハンドル部10に手をかけてシェード3を図5(b)に示すように後方に引くと、シェード3の先端周りと一緒に第1ワイヤドラム5及びピニオンギア14が後方に移動し、その際、ラックギア13との噛合によりピニオンギア14が回転することで第1ワイヤドラム5はP1方向に回転してワイヤ7を巻き取りながら後方に移動する。
【0033】
前記したように、第1ワイヤドラム5の移動量よりもワイヤ7の巻取り量が大きくなるように設定されているので、第1ワイヤドラム5の巻き取り動作を受けて第2ワイヤドラム6はワイヤ7を繰り出すべくQ2方向に回転する。この第2ワイヤドラム6のQ2方向の回転力は捩りコイルばね8を介してリトラクタ4に伝達される。すなわち、第2ワイヤドラム6がQ2方向に回転すると、捩りコイルばね8に引っ張られる態様でリトラクタ4はR1方向に回転し、シェード3を巻き取る。
【0034】
図5(a)の状態から図5(c)のシェード全開状態までの間、捩りコイルばね8の付勢力によって、第2ワイヤドラム6においては、ワイヤ7を巻き取る方向であるQ1方向の回転モーメントが付与されているのでワイヤ7の直線部分Lは常に張力がかかった状態となり、ワイヤ7にたるみは生じない。同様に、リトラクタ4においては、シェード3を巻き取る方向であるR1方向の回転モーメントが付与されているのでシェード3は常に張力がかかった状態となり、シェード3にたるみは生じない。
【0035】
「シェード3を閉じる場合」
図5(c)の状態からシェード3を前方に引くと、シェード3の先端周りと一緒に第1ワイヤドラム5及びピニオンギア14が前方に移動し、その際、ラックギア13との噛合によりピニオンギア14が逆回転することで第1ワイヤドラム5はP2方向に回転してワイヤ7を繰り出しながら前方に移動する。
【0036】
一方、シェード3が前方に引かれることによりリトラクタ4はシェード3を繰り出すべくR2方向に回転する。このリトラクタ4のR2方向の回転力は捩りコイルばね8を介して第2ワイヤドラム6に伝達される。すなわち、リトラクタ4がR2方向に回転すると、捩りコイルばね8に引っ張られる態様で第2ワイヤドラム6はQ1方向に回転し、第1ワイヤドラム5から繰り出されたワイヤ7の内、直線部分Lの形成分を除いた繰り出し分を巻き取る。
【0037】
そして、図5(c)の状態から図5(a)の状態までの間、捩りコイルばね8の付勢力によって、第2ワイヤドラム6においては、ワイヤ7を巻き取る方向であるQ1方向の回転モーメントが付与されているのでワイヤ7の直線部分Lは常に張力がかかった状態となり、ワイヤ7にたるみは生じない。同様に、リトラクタ4においては、シェード3を巻き取る方向であるR1方向の回転モーメントが付与されているのでシェード3は常に張力がかかった状態となり、シェード3にたるみは生じない。
【0038】
以上のように本発明のロールシェード装置1によれば、キャップリトラクタ42を設けたことにより、パイプリトラクタ41に対する捩りコイルばね8の固定(係合)作業を容易に行うことができる。つまり、捩りコイルばね8の係合部83を、第2ワイヤドラム6に係合させつつ、キャップリトラクタ42の底部44の貫通孔48に捩りコイルばね8の挿通部82を挿通させた後、パイプリトラクタ41の切欠き部43にキャップリトラクタ42の係止部47を係止させるだけで、リトラクタ4に対する捩りコイルばね8の固定(係合)作業を容易に行うことができる。
【0039】
また、キャップリトラクタ42は、リブ46及び係止部47を設けているため、パイプリトラクタ41にキャップリトラクタ42を挿入するだけで、パイプリトラクタ41に対して一体回転可能にキャップリトラクタ42を係止させることができる。
【0040】
ここで、前記した従来のロールシェード装置では、左右均等な捩れ反力を付与するために、スプリングをリトラクタの長手方向の中央に配置しなければならず、スプリングの位置決め作業が困難であった。
しかし、本実施形態では、前記したように捩りコイルばね8をキャップリトラクタ42に収容し、このキャップリトラクタ42をパイプリトラクタ41に係止するだけで、キャップリトラクタ41に対する捩りコイルばね8の深さ位置が決まる。このため、捩りコイルばね8の位置決め作業を容易に行うことができる。また、本実施形態では、捩りコイルばね8を左右両側に一対設けているため、容易にバランスよく組み付けることができる。
【0041】
また、単一の捩りコイルばね8をリトラクタ4の約5分の1の長さに設定した。これにより、前記した従来のロールシェード装置で用いているスプリングよりもスプリングの全長を短くできるため、部品のコストを削減することができる。
【0042】
また、リトラクタ4を組み付ける際には、捩りコイルばね8の伸縮を利用してリトラクタ4をホルダ16に組み付けることができるため、組み付け性を高めることができる。また、リトラクタ4は、捩りコイルばね8の伸縮作用によって容易に着脱することができるため、リトラクタ4のメンテナンス作業においても好適である。
【0043】
また、シェード3の手動操作力を第1ワイヤドラム5の回転力に変換する変換機構12として、シェード3の開閉方向に延設されるラックギア13と、ラックギア13と噛合し、第1ワイヤドラム5と一体回転するピニオンギア14とからなるラックアンドピニオン機構を備える構成とすれば、簡単な構造で、シェード3の開閉量に応じて第1ワイヤドラム5を回転させることができる。
【0044】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、第2ワイヤドラム6は、本実施形態では円錐台状を呈するように形成したが、円筒状であってもよい。また、捩りコイルばね8の長さや配設位置については、キャップリトラクタ42の深さや、第2ワイヤドラム6の第1軸部62の長さ等を考慮して適宜設定すればよい。
【0045】
また、具体的な図示は省略するが、シェード3及びワイヤ7の掛け回し形態や変換機構12については、利用者の所望の開閉位置でシェード3を保持することができるとともに、開閉によってシェード3及びワイヤ7が弛まない構成であれば、他の形態であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 ロールシェード装置
2 内開口部
3 シェード
4 リトラクタ
5 第1ワイヤドラム
6 第2ワイヤドラム
7 ワイヤ
8 弾性部材(捩りコイルばね)
12 変換機構
13 ラックギア
14 ピニオンギア
41 パイプリトラクタ
42 キャップリトラクタ
43 切欠き
47 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフの内開口部を開閉するシェードと、
前記シェードの基端側をロール状に巻き取るリトラクタと、
前記リトラクタと同軸に設けられ前記シェードの開閉に連動して巻き取り又は繰り出しするワイヤを巻き回したワイヤドラムと、
前記リトラクタと前記ワイヤドラムとを互いの回転力の伝達を可能に、かつ、それぞれをシェード巻取り方向、ワイヤ巻取り方向に回転付勢して連結された弾性部材と、有する車両のロールシェード装置であって、
前記リトラクタは、前記シェードが取り付けられるパイプリトラクタとこのパイプリトラクタに内嵌された有底筒状のキャップリトラクタとを備え、
前記弾性部材は、前記キャップリトラクタの内部に収容されるとともに一端側を前記ワイヤドラムに、他端側を前記キャップリトラクタの底部側に係合されており、
前記キャップリトラクタは、前記パイプリトラクタの開口側にこのパイプリトラクタと一体回転可能に係止されていることを特徴とする車両のロールシェード装置。
【請求項2】
前記ワイヤドラムは、前記弾性部材の圧縮力により前記ホルダに押圧保持されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のロールシェード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−201448(P2011−201448A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71500(P2010−71500)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(390023917)八千代工業株式会社 (186)
【Fターム(参考)】