車両の後部車体構造
【課題】バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物を十分に覆う。
【解決手段】トノカバー部材32の車幅方向両端部に、バックドア3が開状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32が車体後面開口部の周縁部と干渉しないように切欠き部35aをそれぞれ形成する。各切欠き部35aは、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて後半分が巻取り装置33外に位置する。車体後部の左右の下側側壁トリム18に、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて各切欠き部35aにおける巻取り装置33外に位置する後半分を覆う遮蔽部材39をそれぞれ配設する。
【解決手段】トノカバー部材32の車幅方向両端部に、バックドア3が開状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32が車体後面開口部の周縁部と干渉しないように切欠き部35aをそれぞれ形成する。各切欠き部35aは、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて後半分が巻取り装置33外に位置する。車体後部の左右の下側側壁トリム18に、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて各切欠き部35aにおける巻取り装置33外に位置する後半分を覆う遮蔽部材39をそれぞれ配設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体後部の荷室と、車体後面開口部と、該車体後面開口部の上縁近傍部に軸支され、該車体後面開口部を開閉自在に覆うバックドアと、後端部が該バックドアの内面部に連結可能に構成され、幅が前記車体後面開口部の上縁部よりも長いトノカバー部材と、後部シートのシートバックの車両後側に配設され、前記トノカバー部材を巻き取る巻取り装置とを備えている車両の後部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両の後部車体構造においては、バックドアの開閉操作に連動してトノカバー部材が開閉するように構成され、バックドアを開放したときにトノカバー部材を上方に移動させて荷室内に対する荷物の出し入れを行えるようになっている。
【0003】
ところで、バックドアを閉めたときに、荷室内の荷物を確実に覆うためトノカバー部材の車幅方向寸法を車体後面開口部の下部と略同じ寸法にする必要があるが、例えば、車体後面開口部が下辺部よりも上辺部の短い台形状に構成された自動車の場合、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉する虞がある。
【0004】
特許文献1には、トノカバー部材の後端部の車幅方向両端部に車幅方向にスライド移動可能なスライド板をそれぞれ配設し、バックドアを開いたとき、スライド板が車体後面開口部の周縁部と当接して車幅方向にスライド移動することで、トノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないように構成されたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−241839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成は、スライド板をトノカバー部材に配設しているため、トノカバー部材の重量が重くなり、バックドアの開閉操作性が悪くなるという課題がある。
【0007】
そこで、トノカバー部材の車幅方向両端部に切欠き部をそれぞれ形成し、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないように構成されたものが考えられるが、この場合、切欠き部をトノカバー部材に形成しているため、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物をトノカバー部材で十分に覆うことができないという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物を十分に覆うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、車体後部の荷室と、車体後面開口部と、該車体後面開口部の上縁近傍部に軸支され、該車体後面開口部を開閉自在に覆うバックドアと、後端部が該バックドアの内面部に連結可能に構成され、幅が前記車体後面開口部の上縁部よりも長いトノカバー部材と、後部シートのシートバックの車両後側に配設され、前記トノカバー部材を巻き取る巻取り装置とを備えている車両の後部車体構造であって、前記トノカバー部材の車幅方向両端部には、前記バックドアが開状態で且つ該トノカバー部材が前記バックドアに連結された状態のときにおいて該トノカバー部材が前記車体後面開口部の周縁部と干渉しないように切欠き部がそれぞれ形成され、前記各切欠き部は、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて少なくとも一部が前記巻取り装置外に位置し、車体後部の左右の側壁には、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記各切欠き部における前記巻取り装置外に位置する部分を覆う遮蔽部材がそれぞれ配設されていることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、トノカバー部材の車幅方向両端部に、バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおいてトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないように切欠き部をそれぞれ形成しているため、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しない。
【0011】
また、車体後部の左右の側壁には、バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおいて各切欠き部における巻取り装置外に位置する部分を覆う遮蔽部材をそれぞれ配設しているため、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物をトノカバー部材及び遮蔽部材で十分に覆うことができる。
【0012】
以上により、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物を十分に覆うことができる。
【0013】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記各遮蔽部材は、前記各側壁に車両前後方向に延びる軸周りに回動可能に支持され、該回動により水平になり且つ前記各切欠き部における前記巻取り装置外に位置する部分を覆う使用状態と上方に起立した又は下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
これによれば、各遮蔽部材は、各側壁に車両前後方向に延びる軸周りに回動可能に支持され、この回動により水平になり且つ各切欠き部における巻取り装置外に位置する部分を覆う使用状態と上方に起立した又は下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成されているため、トノカバー部材を巻取り装置に巻き取ったときに各遮蔽部材を上方に起立した又は下方に垂下した非使用状態に切り換えることで、荷物を荷室内に積むときに各遮蔽部材がその邪魔になることを抑制することができる。
【0015】
第3の発明は、上記第2の発明において、前記各遮蔽部材は、前記バックドアが閉状態で、前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態で且つ前記各遮蔽部材が使用状態のときにおいて、車両平面視で前記トノカバー部材と重なるように配設されていることを特徴とするものである。
【0016】
これによれば、各遮蔽部材は、バックドアが閉状態で、トノカバー部材がバックドアに連結された状態で且つ各遮蔽部材が使用状態のときにおいて、車両平面視でトノカバー部材と重なるように配設されているため、バックドアを開いたときにトノカバー部材の後端部が車両後方へ斜めに上昇することに連動して、各遮蔽部材を上方に起立した状態に切り換えることができる。
【0017】
第4の発明は、上記第3の発明において、前記各遮蔽部材を非使用状態側に付勢する付勢部材をさらに備えていることを特徴とするものである。
【0018】
これによれば、各遮蔽部材を非使用状態側に付勢する付勢部材をさらに設けているため、トノカバー部材を巻取り装置に巻き取ったときに各遮蔽部材を自動で非使用状態に切り換えることができる。
【0019】
第5の発明は、上記第2〜4のいずれか1つの発明において、前記各遮蔽部材は、使用状態と上方に起立した非使用状態とに切換可能に構成され、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記トノカバー部材の下方に位置するように配設されていることを特徴とするものである。
【0020】
これによれば、各遮蔽部材は、使用状態と上方に起立した非使用状態とに切換可能に構成され、バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおいてトノカバー部材の下方に位置するように配設されているため、各遮蔽部材を回動するときに各遮蔽部材が荷室内の荷物と干渉することを抑制することができる。
【0021】
第6の発明は、上記第2〜5のいずれか1つの発明において、前記トノカバー部材には、該トノカバー部材を前記巻取り装置から引き出すときにおいて該引出し動作に伴って前記各遮蔽部材を非使用状態から使用状態へと切り換える切換手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
これによれば、トノカバー部材に、トノカバー部材を巻取り装置から引き出すときにおいてその引出し動作に伴って各遮蔽部材を非使用状態から使用状態へと切り換える切換手段を設けているため、トノカバー部材を巻取り装置から引き出すのと同時に各遮蔽部材を使用状態に切り換えることができる。
【0023】
第7の発明は、上記第6の発明において、前記トノカバー部材は、カバー本体部分と、該カバー本体部分の後端に車幅方向に延びる軸周りに回動可能に連結され、前記トノカバー部材が前記巻取り装置に巻き取られた状態のときにおいて下方に垂下したボード部材とを有し、前記各遮蔽部材は、使用状態と下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成され、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記トノカバー部材の上方に位置するように配設され、前記切換手段は、前記ボード部材の車幅方向両端部にそれぞれ配設され、前記トノカバー部材を前記巻取り装置から引き出すときにおいて前記ボード部材の上方への回動動作に伴って前記各遮蔽部材を押し上げて非使用状態から使用状態へと切り換える左右の棒部材であることを特徴とするものである。
【0024】
これによれば、ボード部材の車幅方向両端部に、トノカバー部材を巻取り装置から引き出すときにおいてボード部材の上方への回動動作に伴って各遮蔽部材を押し上げて非使用状態から使用状態へと切り換える左右の棒部材を切換手段としてそれぞれ配設しているため、簡単な構造で、トノカバー部材を巻取り装置から引き出すのと同時に各遮蔽部材を使用状態に切り換えることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、トノカバー部材の車幅方向両端部に、バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおいてトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないように切欠き部をそれぞれ形成しているため、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉せず、また、車体後部の左右の側壁には、バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおいて各切欠き部における巻取り装置外に位置する部分を覆う遮蔽部材をそれぞれ配設しているため、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物をトノカバー部材及び遮蔽部材で十分に覆うことができ、以上により、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物を十分に覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1に係る車両の後部車体構造の側面図である。
【図2】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の平面図である。
【図3】バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の背面図である。
【図4】トノカバー部材が巻取り装置に巻き取られた状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大断面図である。
【図5】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大断面図である。
【図6】バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大断面図である。
【図7】トノカバー部材が巻取り装置に巻き取られた状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の斜視図である。
【図8】トノカバー部材が巻取り装置に巻き取られた状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大斜視図である。
【図9】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の斜視図である。
【図10】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大斜視図である。
【図11】バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の斜視図である。
【図12】バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大斜視図である。
【図13】トノカバー部材が巻取り装置に巻き取られた状態のときにおける実施形態1の変形例に係る車両の後部車体構造の斜視図である。
【図14】実施形態1の変形例に係るトノカバー部材の平面図である。
【図15】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態2に係る車両の後部車体構造の平面図である。
【図16】トノカバー部材が巻取り装置に巻き取られた状態のときにおける実施形態2に係る車両の後部車体構造の要部拡大断面図である。
【図17】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態2に係る車両の後部車体構造の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
(実施形態1)
本実施形態は、後部シートのシートバックの後側に車両前後方向長さが比較的長い荷室が設けられたハッチバック型、バン型、ワゴン型等の自動車において、荷室内に収納される荷物を覆うトノカバー装置を備えた車両の後部車体構造に、本発明を適用した場合の例である。尚、以下の図では、図を見易くするため、部材の図示を適宜省略したり簡略したりしている。
【0029】
図1〜図3に示すように、自動車の後部には、下辺部(以下、下縁部という)よりも上辺部(以下、上縁部ともいう)の短い略台形状の車体後面開口部2と、車体後面開口部2における上縁近傍部のヒンジ部1に軸支され、車体後面開口部2を開閉自在に覆う下開き式のバックドア3と、車体後面開口部2の前方の荷室4と、荷室4の前側に装備された後部シート5と、後部シート5のシートバック6の後側に装備されたトノカバー装置30などが設けられている。尚、図1において符号Sは、車体後面開口部2の周縁部に沿って設置されるシール部材の設置ラインを示している。
【0030】
次に、荷室4について図1〜図6に基づいて説明する。
【0031】
荷室4は、その上下がルーフ11とフロアパネル12とにより区画されている。このルーフ11の後縁部が車体後面開口部2の上縁部を構成している。フロアパネル12は、荷室4の領域全体に亘って平坦な状態とされている。このフロアパネル12の後縁部が車体後面開口部2の下縁部を構成している。
【0032】
また、荷室4は、その左右が車体後部の左右の後部側壁13,13により区画されている。各後部側壁13は、下側側壁14と、後部ピラー15とを備えている。各下側側壁14は、自動車の左右各側において、フロアパネル12から自動車の略半分の高さまで立ち上がっている。この下側側壁14と後部ピラー15との接続部には、車幅方向内側において段差14aが形成されており、その段差14aは一定幅をもって車両前後方向に略水平に延びている。各後部ピラー15は、下側側壁14の後側上部から上方に立ち上がっている。この後部ピラー15は、車体前方に向かうに従って上方に向かうように傾斜されている。このような各後部側壁13は、その後部ピラー15がルーフ11の後部を支持している。これに伴い、下側側壁14、後部ピラー15及びルーフ11は、リアクウォータウインドウ用開口16を形成することになり、その開口16にはリアクウォータウインドウ17が設けられている。
【0033】
下側側壁14及び後部ピラー15には、その各車幅方向内側においてトリム18,19がそれぞれ設けられている。下側側壁トリム18は、その上面18aが、下側側壁14の段差14aよりも車幅方向内側に向けて肩状に内側に張り出されており、その上面18aは一定幅をもって車両前後方向に略水平に延びている。この下側側壁トリム18には、後部シート5のシートバッグ6の車両後側近傍においてボード用凹所(不図示)が形成され、そのボード用凹所の車両後側近傍においてケース用凹所(不図示)が形成されている。そして、後部ピラートリム19と後部ピラー15とが車体後面開口部2の側縁部を構成している。尚、後部側壁13及びトリム18,19が本発明の「車体後部の左右の側壁」を構成している。
【0034】
さらに、荷室4は、その前後が後部シート5とバックドア3とにより区画されている。後部シート5は、フロアパネル12上に設けられている。この後部シート5のシートバッグ6は、起立時に、その上端位置が下側側壁トリム18の上面18aと略同じ位置に位置することになっている。
【0035】
次に、トノカバー装置30について図1〜図12に基づいて説明する。
【0036】
トノカバー装置30は、シートバック6の上端部の車両後側位置に設けられた収容ケース31と、後端部がバックドア3の内面部に連結可能に構成されたトノカバー部材32などを有する。収容ケース31は、左右後部側壁13,13間を跨ぐように車幅方向に延びており、その両端部は左右の下側側壁トリム18,18のケース用凹所に嵌合保持されている。収容ケース31内には、トノカバー部材32の前側部分のカバー本体部分35を巻き取る方向に付勢する巻取り機構が配設され、巻取り機構にトノカバー部材32の前端部が回動可能に軸支されている。この収納ケース11及び巻取り機構がトノカバー部材32を巻き取る巻取り装置33を構成している。そして、巻取り機構の付勢力によりカバー本体部分35に付与された張力によって、カバー本体部分35が車両前後方向に展張される。
【0037】
収納ケース11の車両前側近傍で且つシートバック6の上端部の車両後側近傍には、荷室4内に収納される荷物を覆うボード部材34が設けられている。このボード部材34は、左右後部側壁13,13間を跨ぐように車幅方向に延びており、その両端部は左右の下側側壁トリム18,18のボード用凹所に嵌合保持されている。
【0038】
トノカバー部材32は、伸縮性を有する生地で構成されたカバー本体部分35と、カバー本体部分35の後端に車幅方向に延びる軸(後述する棒部材36)周りに回動可能に可能に連結され、トノカバー部材32が巻取り装置33に巻き取られた状態のときにおいて巻取り装置33から下方に垂下した合成樹脂製のボード部材37などを有し、トノカバー部材32の車幅方向寸法が、車体後面開口部2の上辺部の車幅方向寸法よりも長く且つ車体後面開口部2の下部と略同じになるように構成されている。
【0039】
カバー本体部分35の後部には、車幅方向に延びる棒部材36を介して略円弧状のボード部材37が連結されている。ボード部材37において車幅方向両端部分には、係合部材38がそれぞれ設けられ、バックドア3において車幅方向両端部分の中段部に設けた被係合部3aに係合部材38がそれぞれ係合連結され、バックドア3の開閉に応じてトノカバー部材32が上下動するように連係されている。
【0040】
カバー本体部分35の車幅方向両端部には、バックドア3が開状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32が車体後面開口部2の周縁部と干渉しないように略三角形状の切欠き部35aがそれぞれ形成されている。上述のように、荷室4の車両前後方向長さは比較的長いので、各切欠き部35aは、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて前半分が巻取り装置33内に位置し且つ後半分が巻取り装置33外に位置することになっている。一方、後述のように、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で、バックドア3を開くと、トノカバー部材32の後端部が車両後方へ斜めに上昇することで、カバー本体部分35の後端部が車両後方且つ上方に引っ張られるので、各切欠き部35aは巻取り装置33外に位置することになっている。
【0041】
また、上述のように、トノカバー部材32は、カバー本体部分35の後端に連結されたボード部材37を有するので、トノカバー部材32の後側部分の強度を高めることができる。そのため、バックドア3にトノカバー部材32を連結するための係合部材38をボード部材37に取り付けることができ、バックドア3を開いたときにトノカバー部材32の後端部が車両後方に引っ張られた場合にも、トノカバー部材32に対して十分な強度を確保することができる。
【0042】
左右の下側側壁トリム18,18の上面18a,18aにおける巻取り装置33の車両後側近傍には、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて各カバー本体部分35の切欠き部35aにおける巻取り装置33外に位置する後半分を覆って埋める略台形板状の遮蔽部材39がそれぞれ配設されている。各遮蔽部材39は、各下側側壁トリム18の上面18aにコ字状のブラケット40を介して車両前後方向に延びる軸(後述する軸部39a)周りに回動可能に支持されている。各ブラケット40は、ボルト及びナットを利用して各下側側壁トリム18の上面18aに取り付けられている。各ブラケット40の前後壁部には、車両前後方向に延びる軸部39aを介して遮蔽部材39が連結されている。各遮蔽部材39の車幅外側縁部の車両前後方向中央部には、矩形状の切欠き部39bが形成されている。
【0043】
各遮蔽部材39は、その回動により水平になり且つ各カバー本体部分35の切欠き部35aの後半分を上方から覆う使用状態と下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成されている。各軸部39aの車両前後方向中央部には、各遮蔽部材39を非使用状態側、すなわち、図4の反時計回り側に付勢するねじりコイルばね41が外挿されている。各ねじりコイルばね41のコイル部分は各遮蔽部材39の切欠き部39bに収容されており、その一端部は各遮蔽部材39に、他端部は各ブラケット40にそれぞれ係止されている。
【0044】
各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32の上方に位置するように配設されている。各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で且つ各遮蔽部材39が使用状態のときにおいて、車体後方に向かうに従って車体内方に向かうように傾斜されている車幅方向内側縁部が、車両平面視でカバー本体部分35の、車体後方に向かうに従って車体内方に向かうように傾斜されている各切欠き部35aの車幅方向内側縁部と重なるように配設されている。このとき、各遮蔽部材39の車幅方向内側縁部は、各ねじりコイルばね41の付勢力により各切欠き部35aの車幅方向内側縁部に押し付けられている。
【0045】
また、ボード部材37の車幅方向両端部における各係合部材38の車幅方向外側には、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいてその引出し動作に伴って各遮蔽部材39を非使用状態から使用状態へと切り換える棒部材42(切換手段)がそれぞれ配設されている。各棒部材42は、ボード部材37にカバー本体部分35とは反対側に突起するようにそれぞれ配設され、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいてボード部材37の上方への回動動作に伴って各遮蔽部材39と各下側側壁トリム18の側面18bとの間の隙間に入って、各遮蔽部材39を押し上げて非使用状態から使用状態へと切り換える。尚、各棒部材42は、トノカバー部材32が巻取り装置33に巻き取られた状態のときにおいて非使用状態の各遮蔽部材39に干渉しないことになっている。
【0046】
次に、トノカバー装置30の作用、効果について図1、図2及び図4〜図12に基づいて説明する。
【0047】
トノカバー部材32を巻取り装置33に巻き取ると、図4、図7及び図8に示すように、各遮蔽部材39が各ねじりコイルばね41の付勢力により非使用状態にされる。
【0048】
一方、巻取り装置33から下方に垂下したボード部材37を上方に持ち上げて、トノカバー部材32を巻取り装置33から車両後方に引き出すと、図2、図5、図9及び図10に示すように、各棒部材42が各遮蔽部材39と各下側側壁トリム18の側面18bとの間の隙間に入って各遮蔽部材39を押し上げ、各遮蔽部材39が非使用状態から使用状態にされる。その後、トノカバー部材32がバックドア3に連結される。
【0049】
また、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で、バックドア3を開くと、トノカバー部材32の後端部が車両後方へ斜めに上昇することで、カバー本体部分35の後端部が車両後方且つ上方に引っ張られて、図1において2点鎖線で示すように、カバー本体部分35が巻取り装置33から引き出され、トノカバー部材32が上昇位置に到達したとき、荷室4の上方に開口が開放される。
【0050】
このとき、上述のように、各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で且つ各遮蔽部材39が使用状態のときにおいて、トノカバー部材32の上方に位置し且つ車幅方向内側縁部が車両平面視でカバー本体部分35の各切欠き部35aの車幅方向内側縁部と重なるように配設されているので、カバー本体部分35の後端部が車両後方且つ上方に引っ張られることで、図6、図11及び図12に示すように、カバー本体部分35の各切欠き部35aの車幅方向内側縁部が各遮蔽部材39を各ねじりコイルばね41の付勢力に抗して押し上げ、各遮蔽部材39が使用状態から上方に起立した起立状態にされる。
【0051】
一方、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で、バックドア3を閉じると、トノカバー部材32が下降位置に移動し、図1において実線で示すように、トノカバー部材32が水平展張されるので、荷室4の上方の開口が覆われる。
【0052】
このように、トノカバー部材32が下降位置に移動することで、図5、図9及び図10に示すように、各遮蔽部材39が各ねじりコイルばね41の付勢力により起立状態から使用状態にされる。
【0053】
上述のように、バックドア3が開状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のとき、カバー本体部分35が車体後面開口部2の周縁部と干渉しないように、カバー本体部分35には切欠き部35aが形成されたので、バックドア3の開時に、カバー本体部分35が車体後面開口部2の周縁部に干渉することなく、トノカバー装置30の開閉をスムーズに行うことができる。しかも、このときにカバー本体部分35が車体後面開口部2の周縁部と干渉しないので、トノカバー装置30が破損するのを防止できる。
【0054】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、トノカバー部材32の車幅方向両端部に、バックドア3が開状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32が車体後面開口部2の周縁部と干渉しないように切欠き部35aをそれぞれ形成しているため、バックドア3を開いたときにトノカバー部材32が車体後面開口部2の周縁部と干渉しない。
【0055】
また、車体後部の左右の下側側壁トリム18には、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて各切欠き部35aにおける巻取り装置33外に位置する後半分を覆う遮蔽部材39をそれぞれ配設しているため、バックドア3を閉めたときに荷室4内の荷物をトノカバー部材32及び遮蔽部材39で十分に覆うことができる。
【0056】
以上により、バックドア3を開いたときにトノカバー部材32が車体後面開口部2の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドア3を閉めたときに荷室4内の荷物を十分に覆うことができる。
【0057】
また、各遮蔽部材39は、各下側側壁トリム18に車両前後方向に延びる軸周りに回動可能に支持され、この回動により水平になり且つ各切欠き部35aにおける巻取り装置33外に位置する後半分を覆う使用状態と下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成されているため、トノカバー部材32を巻取り装置33に巻き取ったときに各遮蔽部材39を下方に垂下した非使用状態に切り換えることで、荷物を荷室4内に積むときに各遮蔽部材39がその邪魔になることを抑制することができる。
【0058】
さらに、各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で且つ各遮蔽部材39が使用状態のときにおいて、車両平面視でトノカバー部材32と重なるように配設されているため、バックドア3を開いたときにトノカバー部材32の後端部が車両後方へ斜めに上昇することに連動して、各遮蔽部材39を上方に起立した状態に切り換えることができる。
【0059】
また、各遮蔽部材39を非使用状態側に付勢するねじりコイルばね41をさらに設けているため、トノカバー部材32を巻取り装置33に巻き取ったときに各遮蔽部材39を自動で非使用状態に切り換えることができる。
【0060】
さらに、ボード部材37の車幅方向両端部に、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいてボード部材37の上方への回動動作に伴って各遮蔽部材39を押し上げて非使用状態から使用状態へと切り換える左右の棒部材42をそれぞれ配設しているため、簡単な構造で、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すのと同時に各遮蔽部材39を使用状態に切り換えることができる。
【0061】
尚、本実施形態では、トノカバー部材32には、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいてその引出し動作に伴って各遮蔽部材39を非使用状態から使用状態へと切り換える切換手段として棒部材42が設けられているが、この切換手段はこれに限定されない。例えば、切換手段は棒部材36であってもよい。この場合、各遮蔽部材39は可撓性を有するものとする。また、図13に示すように、各遮蔽部材39の前縁部は、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいて各遮蔽部材39が非使用状態から使用状態へと確実に切り換わるように車体後方に向かうに従って車幅方向内方に向かうように傾斜されてもよい。さらに、図14に示すように、ボード部材37の車幅方向両端部には、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいて各遮蔽部材39がボード部材37と干渉しないように切欠き部37aをそれぞれ形成する。そして、巻取り装置33から下方に垂下したボード部材37を上方に持ち上げることなく、トノカバー部材32を巻取り装置33から車両後方に引き出すと、棒部材36が各遮蔽部材39に当接して各遮蔽部材39が撓み、棒部材36が各遮蔽部材39の下側に潜り込んで各遮蔽部材39を押し上げ、各遮蔽部材39が非使用状態から使用状態にされる。
【0062】
(実施形態2)
本実施形態は、遮蔽部材39の非使用状態やトノカバー部材32と遮蔽部材39の位置関係などが実施形態1と相違するものである。尚、以下の図では、図を見易くするため、部材の図示を適宜省略したり簡略したりしている。
【0063】
図15〜図17に示すように、各遮蔽部材39は、その回動により水平になり且つ各カバー本体部分35の切欠き部35aの後半分を下方から覆う使用状態と上方に起立した非使用状態とに切換可能に構成されている。また、各軸部39aの車両前後方向中央部には、各遮蔽部材39を非使用状態側、すなわち、図16の時計回り側に付勢するねじりコイルばね41が外挿されている。さらに、各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32の下方に位置するように配設されている。各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で且つ各遮蔽部材39が使用状態のときにおいて、車幅方向内側縁部が車両平面視でカバー本体部分35の各切欠き部35aの車幅方向内側縁部と重なるように配設されている。このとき、各遮蔽部材39の車幅方向内側縁部は、各ねじりコイルばね41の付勢力により各切欠き部35aの車幅方向内側縁部に押し付けられている。尚、トノカバー部材32には、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいてその引出し動作に伴って各遮蔽部材39を非使用状態から使用状態へと切り換える切換手段が設けられていない。
【0064】
その他の点に関しては、実施形態1とほぼ同様の構成である。
【0065】
次に、トノカバー装置30の作用、効果について説明する。
【0066】
トノカバー部材32を巻取り装置33に巻き取ると、図16に示すように、各遮蔽部材39が各ねじりコイルばね41の付勢力により非使用状態にされる。
【0067】
一方、トノカバー部材32を巻取り装置33から車両後方に引き出し、トノカバー部材32をバックドア3に連結するときには、図15及び図17に示すように、各遮蔽部材39が手動で非使用状態から使用状態にされる。
【0068】
また、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で、バックドア3を開くと、トノカバー部材32の後端部が車両後方へ斜めに上昇することで、カバー本体部分35の後端部が車両後方且つ上方に引っ張られて、カバー本体部分35が巻取り装置33から引き出され、トノカバー部材32が上昇位置に到達したとき、荷室4の上方に開口が開放される。
【0069】
このとき、上述のように、各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で且つ各遮蔽部材39が使用状態のときにおいて、トノカバー部材32の下方に位置し且つ車幅方向内側縁部が車両平面視でカバー本体部分35の各切欠き部35aの車幅方向内側縁部と重なるように配設されているので、各遮蔽部材39がトノカバー部材32の下方に位置し且つ車両平面視でカバー本体部分35に重なったまま、各ねじりコイルばね41の付勢力により使用状態から上方に起立した起立状態にされる。
【0070】
一方、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で、バックドア3を閉じると、トノカバー部材32が下降位置に移動し、トノカバー部材32が水平展張されるので、荷室4の上方の開口が覆われる。
【0071】
このように、トノカバー部材32が下降位置に移動することで、図15及び図17に示すように、各遮蔽部材39が各ねじりコイルばね41の付勢力に抗して起立状態から使用状態にされる。
【0072】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、実施形態1とほぼ同様の効果が得られる。
【0073】
また、各遮蔽部材39は、使用状態と上方に起立した非使用状態とに切換可能に構成され、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32の下方に位置するように配設されているため、各遮蔽部材39を回動するときに各遮蔽部材39が荷室4内の荷物と干渉することを抑制することができる。
【0074】
(その他の実施形態)
前記各実施形態では、各切欠き部35aは、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて後半分が巻取り装置33外に位置するが、少なくとも一部が巻取り装置33外に位置すればよい。例えば、全部が巻取り装置33外に位置してもよい。
【0075】
また、前記各実施形態では、各遮蔽部材39を非使用状態側に付勢する付勢部材としてねじりコイルばね41が設けられているが、これに限らず、例えば、圧縮ばねや引張りばね、板ばねなどが設けられてもよい。
【0076】
さらに、本発明の趣旨を逸脱しない限り、前記各実施形態の構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0077】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0078】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、本発明に係る車両の後部車体構造は、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物を十分に覆うことが必要な用途等に適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
2 車体後面開口部
3 バックドア
4 荷室
5 後部シート
6 シートバック
13 後部側壁(車体後部の左右の側壁)
18 下側側壁トリム(車体後部の左右の側壁)
19 後部ピラートリム(車体後部の左右の側壁)
32 トノカバー部材
33 巻取り装置
35 カバー本体部分
35a 切欠き部
37 ボード部材
39 遮蔽部材
41 ねじりコイルばね(付勢部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体後部の荷室と、車体後面開口部と、該車体後面開口部の上縁近傍部に軸支され、該車体後面開口部を開閉自在に覆うバックドアと、後端部が該バックドアの内面部に連結可能に構成され、幅が前記車体後面開口部の上縁部よりも長いトノカバー部材と、後部シートのシートバックの車両後側に配設され、前記トノカバー部材を巻き取る巻取り装置とを備えている車両の後部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両の後部車体構造においては、バックドアの開閉操作に連動してトノカバー部材が開閉するように構成され、バックドアを開放したときにトノカバー部材を上方に移動させて荷室内に対する荷物の出し入れを行えるようになっている。
【0003】
ところで、バックドアを閉めたときに、荷室内の荷物を確実に覆うためトノカバー部材の車幅方向寸法を車体後面開口部の下部と略同じ寸法にする必要があるが、例えば、車体後面開口部が下辺部よりも上辺部の短い台形状に構成された自動車の場合、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉する虞がある。
【0004】
特許文献1には、トノカバー部材の後端部の車幅方向両端部に車幅方向にスライド移動可能なスライド板をそれぞれ配設し、バックドアを開いたとき、スライド板が車体後面開口部の周縁部と当接して車幅方向にスライド移動することで、トノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないように構成されたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−241839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成は、スライド板をトノカバー部材に配設しているため、トノカバー部材の重量が重くなり、バックドアの開閉操作性が悪くなるという課題がある。
【0007】
そこで、トノカバー部材の車幅方向両端部に切欠き部をそれぞれ形成し、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないように構成されたものが考えられるが、この場合、切欠き部をトノカバー部材に形成しているため、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物をトノカバー部材で十分に覆うことができないという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物を十分に覆うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、車体後部の荷室と、車体後面開口部と、該車体後面開口部の上縁近傍部に軸支され、該車体後面開口部を開閉自在に覆うバックドアと、後端部が該バックドアの内面部に連結可能に構成され、幅が前記車体後面開口部の上縁部よりも長いトノカバー部材と、後部シートのシートバックの車両後側に配設され、前記トノカバー部材を巻き取る巻取り装置とを備えている車両の後部車体構造であって、前記トノカバー部材の車幅方向両端部には、前記バックドアが開状態で且つ該トノカバー部材が前記バックドアに連結された状態のときにおいて該トノカバー部材が前記車体後面開口部の周縁部と干渉しないように切欠き部がそれぞれ形成され、前記各切欠き部は、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて少なくとも一部が前記巻取り装置外に位置し、車体後部の左右の側壁には、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記各切欠き部における前記巻取り装置外に位置する部分を覆う遮蔽部材がそれぞれ配設されていることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、トノカバー部材の車幅方向両端部に、バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおいてトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないように切欠き部をそれぞれ形成しているため、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しない。
【0011】
また、車体後部の左右の側壁には、バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおいて各切欠き部における巻取り装置外に位置する部分を覆う遮蔽部材をそれぞれ配設しているため、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物をトノカバー部材及び遮蔽部材で十分に覆うことができる。
【0012】
以上により、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物を十分に覆うことができる。
【0013】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記各遮蔽部材は、前記各側壁に車両前後方向に延びる軸周りに回動可能に支持され、該回動により水平になり且つ前記各切欠き部における前記巻取り装置外に位置する部分を覆う使用状態と上方に起立した又は下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
これによれば、各遮蔽部材は、各側壁に車両前後方向に延びる軸周りに回動可能に支持され、この回動により水平になり且つ各切欠き部における巻取り装置外に位置する部分を覆う使用状態と上方に起立した又は下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成されているため、トノカバー部材を巻取り装置に巻き取ったときに各遮蔽部材を上方に起立した又は下方に垂下した非使用状態に切り換えることで、荷物を荷室内に積むときに各遮蔽部材がその邪魔になることを抑制することができる。
【0015】
第3の発明は、上記第2の発明において、前記各遮蔽部材は、前記バックドアが閉状態で、前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態で且つ前記各遮蔽部材が使用状態のときにおいて、車両平面視で前記トノカバー部材と重なるように配設されていることを特徴とするものである。
【0016】
これによれば、各遮蔽部材は、バックドアが閉状態で、トノカバー部材がバックドアに連結された状態で且つ各遮蔽部材が使用状態のときにおいて、車両平面視でトノカバー部材と重なるように配設されているため、バックドアを開いたときにトノカバー部材の後端部が車両後方へ斜めに上昇することに連動して、各遮蔽部材を上方に起立した状態に切り換えることができる。
【0017】
第4の発明は、上記第3の発明において、前記各遮蔽部材を非使用状態側に付勢する付勢部材をさらに備えていることを特徴とするものである。
【0018】
これによれば、各遮蔽部材を非使用状態側に付勢する付勢部材をさらに設けているため、トノカバー部材を巻取り装置に巻き取ったときに各遮蔽部材を自動で非使用状態に切り換えることができる。
【0019】
第5の発明は、上記第2〜4のいずれか1つの発明において、前記各遮蔽部材は、使用状態と上方に起立した非使用状態とに切換可能に構成され、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記トノカバー部材の下方に位置するように配設されていることを特徴とするものである。
【0020】
これによれば、各遮蔽部材は、使用状態と上方に起立した非使用状態とに切換可能に構成され、バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおいてトノカバー部材の下方に位置するように配設されているため、各遮蔽部材を回動するときに各遮蔽部材が荷室内の荷物と干渉することを抑制することができる。
【0021】
第6の発明は、上記第2〜5のいずれか1つの発明において、前記トノカバー部材には、該トノカバー部材を前記巻取り装置から引き出すときにおいて該引出し動作に伴って前記各遮蔽部材を非使用状態から使用状態へと切り換える切換手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
これによれば、トノカバー部材に、トノカバー部材を巻取り装置から引き出すときにおいてその引出し動作に伴って各遮蔽部材を非使用状態から使用状態へと切り換える切換手段を設けているため、トノカバー部材を巻取り装置から引き出すのと同時に各遮蔽部材を使用状態に切り換えることができる。
【0023】
第7の発明は、上記第6の発明において、前記トノカバー部材は、カバー本体部分と、該カバー本体部分の後端に車幅方向に延びる軸周りに回動可能に連結され、前記トノカバー部材が前記巻取り装置に巻き取られた状態のときにおいて下方に垂下したボード部材とを有し、前記各遮蔽部材は、使用状態と下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成され、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記トノカバー部材の上方に位置するように配設され、前記切換手段は、前記ボード部材の車幅方向両端部にそれぞれ配設され、前記トノカバー部材を前記巻取り装置から引き出すときにおいて前記ボード部材の上方への回動動作に伴って前記各遮蔽部材を押し上げて非使用状態から使用状態へと切り換える左右の棒部材であることを特徴とするものである。
【0024】
これによれば、ボード部材の車幅方向両端部に、トノカバー部材を巻取り装置から引き出すときにおいてボード部材の上方への回動動作に伴って各遮蔽部材を押し上げて非使用状態から使用状態へと切り換える左右の棒部材を切換手段としてそれぞれ配設しているため、簡単な構造で、トノカバー部材を巻取り装置から引き出すのと同時に各遮蔽部材を使用状態に切り換えることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、トノカバー部材の車幅方向両端部に、バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおいてトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないように切欠き部をそれぞれ形成しているため、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉せず、また、車体後部の左右の側壁には、バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおいて各切欠き部における巻取り装置外に位置する部分を覆う遮蔽部材をそれぞれ配設しているため、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物をトノカバー部材及び遮蔽部材で十分に覆うことができ、以上により、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物を十分に覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1に係る車両の後部車体構造の側面図である。
【図2】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の平面図である。
【図3】バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の背面図である。
【図4】トノカバー部材が巻取り装置に巻き取られた状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大断面図である。
【図5】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大断面図である。
【図6】バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大断面図である。
【図7】トノカバー部材が巻取り装置に巻き取られた状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の斜視図である。
【図8】トノカバー部材が巻取り装置に巻き取られた状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大斜視図である。
【図9】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の斜視図である。
【図10】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大斜視図である。
【図11】バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の斜視図である。
【図12】バックドアが開状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態1に係る車両の後部車体構造の要部拡大斜視図である。
【図13】トノカバー部材が巻取り装置に巻き取られた状態のときにおける実施形態1の変形例に係る車両の後部車体構造の斜視図である。
【図14】実施形態1の変形例に係るトノカバー部材の平面図である。
【図15】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態2に係る車両の後部車体構造の平面図である。
【図16】トノカバー部材が巻取り装置に巻き取られた状態のときにおける実施形態2に係る車両の後部車体構造の要部拡大断面図である。
【図17】バックドアが閉状態で且つトノカバー部材がバックドアに連結された状態のときにおける実施形態2に係る車両の後部車体構造の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
(実施形態1)
本実施形態は、後部シートのシートバックの後側に車両前後方向長さが比較的長い荷室が設けられたハッチバック型、バン型、ワゴン型等の自動車において、荷室内に収納される荷物を覆うトノカバー装置を備えた車両の後部車体構造に、本発明を適用した場合の例である。尚、以下の図では、図を見易くするため、部材の図示を適宜省略したり簡略したりしている。
【0029】
図1〜図3に示すように、自動車の後部には、下辺部(以下、下縁部という)よりも上辺部(以下、上縁部ともいう)の短い略台形状の車体後面開口部2と、車体後面開口部2における上縁近傍部のヒンジ部1に軸支され、車体後面開口部2を開閉自在に覆う下開き式のバックドア3と、車体後面開口部2の前方の荷室4と、荷室4の前側に装備された後部シート5と、後部シート5のシートバック6の後側に装備されたトノカバー装置30などが設けられている。尚、図1において符号Sは、車体後面開口部2の周縁部に沿って設置されるシール部材の設置ラインを示している。
【0030】
次に、荷室4について図1〜図6に基づいて説明する。
【0031】
荷室4は、その上下がルーフ11とフロアパネル12とにより区画されている。このルーフ11の後縁部が車体後面開口部2の上縁部を構成している。フロアパネル12は、荷室4の領域全体に亘って平坦な状態とされている。このフロアパネル12の後縁部が車体後面開口部2の下縁部を構成している。
【0032】
また、荷室4は、その左右が車体後部の左右の後部側壁13,13により区画されている。各後部側壁13は、下側側壁14と、後部ピラー15とを備えている。各下側側壁14は、自動車の左右各側において、フロアパネル12から自動車の略半分の高さまで立ち上がっている。この下側側壁14と後部ピラー15との接続部には、車幅方向内側において段差14aが形成されており、その段差14aは一定幅をもって車両前後方向に略水平に延びている。各後部ピラー15は、下側側壁14の後側上部から上方に立ち上がっている。この後部ピラー15は、車体前方に向かうに従って上方に向かうように傾斜されている。このような各後部側壁13は、その後部ピラー15がルーフ11の後部を支持している。これに伴い、下側側壁14、後部ピラー15及びルーフ11は、リアクウォータウインドウ用開口16を形成することになり、その開口16にはリアクウォータウインドウ17が設けられている。
【0033】
下側側壁14及び後部ピラー15には、その各車幅方向内側においてトリム18,19がそれぞれ設けられている。下側側壁トリム18は、その上面18aが、下側側壁14の段差14aよりも車幅方向内側に向けて肩状に内側に張り出されており、その上面18aは一定幅をもって車両前後方向に略水平に延びている。この下側側壁トリム18には、後部シート5のシートバッグ6の車両後側近傍においてボード用凹所(不図示)が形成され、そのボード用凹所の車両後側近傍においてケース用凹所(不図示)が形成されている。そして、後部ピラートリム19と後部ピラー15とが車体後面開口部2の側縁部を構成している。尚、後部側壁13及びトリム18,19が本発明の「車体後部の左右の側壁」を構成している。
【0034】
さらに、荷室4は、その前後が後部シート5とバックドア3とにより区画されている。後部シート5は、フロアパネル12上に設けられている。この後部シート5のシートバッグ6は、起立時に、その上端位置が下側側壁トリム18の上面18aと略同じ位置に位置することになっている。
【0035】
次に、トノカバー装置30について図1〜図12に基づいて説明する。
【0036】
トノカバー装置30は、シートバック6の上端部の車両後側位置に設けられた収容ケース31と、後端部がバックドア3の内面部に連結可能に構成されたトノカバー部材32などを有する。収容ケース31は、左右後部側壁13,13間を跨ぐように車幅方向に延びており、その両端部は左右の下側側壁トリム18,18のケース用凹所に嵌合保持されている。収容ケース31内には、トノカバー部材32の前側部分のカバー本体部分35を巻き取る方向に付勢する巻取り機構が配設され、巻取り機構にトノカバー部材32の前端部が回動可能に軸支されている。この収納ケース11及び巻取り機構がトノカバー部材32を巻き取る巻取り装置33を構成している。そして、巻取り機構の付勢力によりカバー本体部分35に付与された張力によって、カバー本体部分35が車両前後方向に展張される。
【0037】
収納ケース11の車両前側近傍で且つシートバック6の上端部の車両後側近傍には、荷室4内に収納される荷物を覆うボード部材34が設けられている。このボード部材34は、左右後部側壁13,13間を跨ぐように車幅方向に延びており、その両端部は左右の下側側壁トリム18,18のボード用凹所に嵌合保持されている。
【0038】
トノカバー部材32は、伸縮性を有する生地で構成されたカバー本体部分35と、カバー本体部分35の後端に車幅方向に延びる軸(後述する棒部材36)周りに回動可能に可能に連結され、トノカバー部材32が巻取り装置33に巻き取られた状態のときにおいて巻取り装置33から下方に垂下した合成樹脂製のボード部材37などを有し、トノカバー部材32の車幅方向寸法が、車体後面開口部2の上辺部の車幅方向寸法よりも長く且つ車体後面開口部2の下部と略同じになるように構成されている。
【0039】
カバー本体部分35の後部には、車幅方向に延びる棒部材36を介して略円弧状のボード部材37が連結されている。ボード部材37において車幅方向両端部分には、係合部材38がそれぞれ設けられ、バックドア3において車幅方向両端部分の中段部に設けた被係合部3aに係合部材38がそれぞれ係合連結され、バックドア3の開閉に応じてトノカバー部材32が上下動するように連係されている。
【0040】
カバー本体部分35の車幅方向両端部には、バックドア3が開状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32が車体後面開口部2の周縁部と干渉しないように略三角形状の切欠き部35aがそれぞれ形成されている。上述のように、荷室4の車両前後方向長さは比較的長いので、各切欠き部35aは、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて前半分が巻取り装置33内に位置し且つ後半分が巻取り装置33外に位置することになっている。一方、後述のように、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で、バックドア3を開くと、トノカバー部材32の後端部が車両後方へ斜めに上昇することで、カバー本体部分35の後端部が車両後方且つ上方に引っ張られるので、各切欠き部35aは巻取り装置33外に位置することになっている。
【0041】
また、上述のように、トノカバー部材32は、カバー本体部分35の後端に連結されたボード部材37を有するので、トノカバー部材32の後側部分の強度を高めることができる。そのため、バックドア3にトノカバー部材32を連結するための係合部材38をボード部材37に取り付けることができ、バックドア3を開いたときにトノカバー部材32の後端部が車両後方に引っ張られた場合にも、トノカバー部材32に対して十分な強度を確保することができる。
【0042】
左右の下側側壁トリム18,18の上面18a,18aにおける巻取り装置33の車両後側近傍には、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて各カバー本体部分35の切欠き部35aにおける巻取り装置33外に位置する後半分を覆って埋める略台形板状の遮蔽部材39がそれぞれ配設されている。各遮蔽部材39は、各下側側壁トリム18の上面18aにコ字状のブラケット40を介して車両前後方向に延びる軸(後述する軸部39a)周りに回動可能に支持されている。各ブラケット40は、ボルト及びナットを利用して各下側側壁トリム18の上面18aに取り付けられている。各ブラケット40の前後壁部には、車両前後方向に延びる軸部39aを介して遮蔽部材39が連結されている。各遮蔽部材39の車幅外側縁部の車両前後方向中央部には、矩形状の切欠き部39bが形成されている。
【0043】
各遮蔽部材39は、その回動により水平になり且つ各カバー本体部分35の切欠き部35aの後半分を上方から覆う使用状態と下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成されている。各軸部39aの車両前後方向中央部には、各遮蔽部材39を非使用状態側、すなわち、図4の反時計回り側に付勢するねじりコイルばね41が外挿されている。各ねじりコイルばね41のコイル部分は各遮蔽部材39の切欠き部39bに収容されており、その一端部は各遮蔽部材39に、他端部は各ブラケット40にそれぞれ係止されている。
【0044】
各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32の上方に位置するように配設されている。各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で且つ各遮蔽部材39が使用状態のときにおいて、車体後方に向かうに従って車体内方に向かうように傾斜されている車幅方向内側縁部が、車両平面視でカバー本体部分35の、車体後方に向かうに従って車体内方に向かうように傾斜されている各切欠き部35aの車幅方向内側縁部と重なるように配設されている。このとき、各遮蔽部材39の車幅方向内側縁部は、各ねじりコイルばね41の付勢力により各切欠き部35aの車幅方向内側縁部に押し付けられている。
【0045】
また、ボード部材37の車幅方向両端部における各係合部材38の車幅方向外側には、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいてその引出し動作に伴って各遮蔽部材39を非使用状態から使用状態へと切り換える棒部材42(切換手段)がそれぞれ配設されている。各棒部材42は、ボード部材37にカバー本体部分35とは反対側に突起するようにそれぞれ配設され、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいてボード部材37の上方への回動動作に伴って各遮蔽部材39と各下側側壁トリム18の側面18bとの間の隙間に入って、各遮蔽部材39を押し上げて非使用状態から使用状態へと切り換える。尚、各棒部材42は、トノカバー部材32が巻取り装置33に巻き取られた状態のときにおいて非使用状態の各遮蔽部材39に干渉しないことになっている。
【0046】
次に、トノカバー装置30の作用、効果について図1、図2及び図4〜図12に基づいて説明する。
【0047】
トノカバー部材32を巻取り装置33に巻き取ると、図4、図7及び図8に示すように、各遮蔽部材39が各ねじりコイルばね41の付勢力により非使用状態にされる。
【0048】
一方、巻取り装置33から下方に垂下したボード部材37を上方に持ち上げて、トノカバー部材32を巻取り装置33から車両後方に引き出すと、図2、図5、図9及び図10に示すように、各棒部材42が各遮蔽部材39と各下側側壁トリム18の側面18bとの間の隙間に入って各遮蔽部材39を押し上げ、各遮蔽部材39が非使用状態から使用状態にされる。その後、トノカバー部材32がバックドア3に連結される。
【0049】
また、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で、バックドア3を開くと、トノカバー部材32の後端部が車両後方へ斜めに上昇することで、カバー本体部分35の後端部が車両後方且つ上方に引っ張られて、図1において2点鎖線で示すように、カバー本体部分35が巻取り装置33から引き出され、トノカバー部材32が上昇位置に到達したとき、荷室4の上方に開口が開放される。
【0050】
このとき、上述のように、各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で且つ各遮蔽部材39が使用状態のときにおいて、トノカバー部材32の上方に位置し且つ車幅方向内側縁部が車両平面視でカバー本体部分35の各切欠き部35aの車幅方向内側縁部と重なるように配設されているので、カバー本体部分35の後端部が車両後方且つ上方に引っ張られることで、図6、図11及び図12に示すように、カバー本体部分35の各切欠き部35aの車幅方向内側縁部が各遮蔽部材39を各ねじりコイルばね41の付勢力に抗して押し上げ、各遮蔽部材39が使用状態から上方に起立した起立状態にされる。
【0051】
一方、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で、バックドア3を閉じると、トノカバー部材32が下降位置に移動し、図1において実線で示すように、トノカバー部材32が水平展張されるので、荷室4の上方の開口が覆われる。
【0052】
このように、トノカバー部材32が下降位置に移動することで、図5、図9及び図10に示すように、各遮蔽部材39が各ねじりコイルばね41の付勢力により起立状態から使用状態にされる。
【0053】
上述のように、バックドア3が開状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のとき、カバー本体部分35が車体後面開口部2の周縁部と干渉しないように、カバー本体部分35には切欠き部35aが形成されたので、バックドア3の開時に、カバー本体部分35が車体後面開口部2の周縁部に干渉することなく、トノカバー装置30の開閉をスムーズに行うことができる。しかも、このときにカバー本体部分35が車体後面開口部2の周縁部と干渉しないので、トノカバー装置30が破損するのを防止できる。
【0054】
−効果−
以上より、本実施形態によれば、トノカバー部材32の車幅方向両端部に、バックドア3が開状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32が車体後面開口部2の周縁部と干渉しないように切欠き部35aをそれぞれ形成しているため、バックドア3を開いたときにトノカバー部材32が車体後面開口部2の周縁部と干渉しない。
【0055】
また、車体後部の左右の下側側壁トリム18には、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて各切欠き部35aにおける巻取り装置33外に位置する後半分を覆う遮蔽部材39をそれぞれ配設しているため、バックドア3を閉めたときに荷室4内の荷物をトノカバー部材32及び遮蔽部材39で十分に覆うことができる。
【0056】
以上により、バックドア3を開いたときにトノカバー部材32が車体後面開口部2の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドア3を閉めたときに荷室4内の荷物を十分に覆うことができる。
【0057】
また、各遮蔽部材39は、各下側側壁トリム18に車両前後方向に延びる軸周りに回動可能に支持され、この回動により水平になり且つ各切欠き部35aにおける巻取り装置33外に位置する後半分を覆う使用状態と下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成されているため、トノカバー部材32を巻取り装置33に巻き取ったときに各遮蔽部材39を下方に垂下した非使用状態に切り換えることで、荷物を荷室4内に積むときに各遮蔽部材39がその邪魔になることを抑制することができる。
【0058】
さらに、各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で且つ各遮蔽部材39が使用状態のときにおいて、車両平面視でトノカバー部材32と重なるように配設されているため、バックドア3を開いたときにトノカバー部材32の後端部が車両後方へ斜めに上昇することに連動して、各遮蔽部材39を上方に起立した状態に切り換えることができる。
【0059】
また、各遮蔽部材39を非使用状態側に付勢するねじりコイルばね41をさらに設けているため、トノカバー部材32を巻取り装置33に巻き取ったときに各遮蔽部材39を自動で非使用状態に切り換えることができる。
【0060】
さらに、ボード部材37の車幅方向両端部に、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいてボード部材37の上方への回動動作に伴って各遮蔽部材39を押し上げて非使用状態から使用状態へと切り換える左右の棒部材42をそれぞれ配設しているため、簡単な構造で、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すのと同時に各遮蔽部材39を使用状態に切り換えることができる。
【0061】
尚、本実施形態では、トノカバー部材32には、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいてその引出し動作に伴って各遮蔽部材39を非使用状態から使用状態へと切り換える切換手段として棒部材42が設けられているが、この切換手段はこれに限定されない。例えば、切換手段は棒部材36であってもよい。この場合、各遮蔽部材39は可撓性を有するものとする。また、図13に示すように、各遮蔽部材39の前縁部は、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいて各遮蔽部材39が非使用状態から使用状態へと確実に切り換わるように車体後方に向かうに従って車幅方向内方に向かうように傾斜されてもよい。さらに、図14に示すように、ボード部材37の車幅方向両端部には、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいて各遮蔽部材39がボード部材37と干渉しないように切欠き部37aをそれぞれ形成する。そして、巻取り装置33から下方に垂下したボード部材37を上方に持ち上げることなく、トノカバー部材32を巻取り装置33から車両後方に引き出すと、棒部材36が各遮蔽部材39に当接して各遮蔽部材39が撓み、棒部材36が各遮蔽部材39の下側に潜り込んで各遮蔽部材39を押し上げ、各遮蔽部材39が非使用状態から使用状態にされる。
【0062】
(実施形態2)
本実施形態は、遮蔽部材39の非使用状態やトノカバー部材32と遮蔽部材39の位置関係などが実施形態1と相違するものである。尚、以下の図では、図を見易くするため、部材の図示を適宜省略したり簡略したりしている。
【0063】
図15〜図17に示すように、各遮蔽部材39は、その回動により水平になり且つ各カバー本体部分35の切欠き部35aの後半分を下方から覆う使用状態と上方に起立した非使用状態とに切換可能に構成されている。また、各軸部39aの車両前後方向中央部には、各遮蔽部材39を非使用状態側、すなわち、図16の時計回り側に付勢するねじりコイルばね41が外挿されている。さらに、各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32の下方に位置するように配設されている。各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で且つ各遮蔽部材39が使用状態のときにおいて、車幅方向内側縁部が車両平面視でカバー本体部分35の各切欠き部35aの車幅方向内側縁部と重なるように配設されている。このとき、各遮蔽部材39の車幅方向内側縁部は、各ねじりコイルばね41の付勢力により各切欠き部35aの車幅方向内側縁部に押し付けられている。尚、トノカバー部材32には、トノカバー部材32を巻取り装置33から引き出すときにおいてその引出し動作に伴って各遮蔽部材39を非使用状態から使用状態へと切り換える切換手段が設けられていない。
【0064】
その他の点に関しては、実施形態1とほぼ同様の構成である。
【0065】
次に、トノカバー装置30の作用、効果について説明する。
【0066】
トノカバー部材32を巻取り装置33に巻き取ると、図16に示すように、各遮蔽部材39が各ねじりコイルばね41の付勢力により非使用状態にされる。
【0067】
一方、トノカバー部材32を巻取り装置33から車両後方に引き出し、トノカバー部材32をバックドア3に連結するときには、図15及び図17に示すように、各遮蔽部材39が手動で非使用状態から使用状態にされる。
【0068】
また、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で、バックドア3を開くと、トノカバー部材32の後端部が車両後方へ斜めに上昇することで、カバー本体部分35の後端部が車両後方且つ上方に引っ張られて、カバー本体部分35が巻取り装置33から引き出され、トノカバー部材32が上昇位置に到達したとき、荷室4の上方に開口が開放される。
【0069】
このとき、上述のように、各遮蔽部材39は、バックドア3が閉状態で、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で且つ各遮蔽部材39が使用状態のときにおいて、トノカバー部材32の下方に位置し且つ車幅方向内側縁部が車両平面視でカバー本体部分35の各切欠き部35aの車幅方向内側縁部と重なるように配設されているので、各遮蔽部材39がトノカバー部材32の下方に位置し且つ車両平面視でカバー本体部分35に重なったまま、各ねじりコイルばね41の付勢力により使用状態から上方に起立した起立状態にされる。
【0070】
一方、トノカバー部材32がバックドア3に連結された状態で、バックドア3を閉じると、トノカバー部材32が下降位置に移動し、トノカバー部材32が水平展張されるので、荷室4の上方の開口が覆われる。
【0071】
このように、トノカバー部材32が下降位置に移動することで、図15及び図17に示すように、各遮蔽部材39が各ねじりコイルばね41の付勢力に抗して起立状態から使用状態にされる。
【0072】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、実施形態1とほぼ同様の効果が得られる。
【0073】
また、各遮蔽部材39は、使用状態と上方に起立した非使用状態とに切換可能に構成され、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいてトノカバー部材32の下方に位置するように配設されているため、各遮蔽部材39を回動するときに各遮蔽部材39が荷室4内の荷物と干渉することを抑制することができる。
【0074】
(その他の実施形態)
前記各実施形態では、各切欠き部35aは、バックドア3が閉状態で且つトノカバー部材32がバックドア3に連結された状態のときにおいて後半分が巻取り装置33外に位置するが、少なくとも一部が巻取り装置33外に位置すればよい。例えば、全部が巻取り装置33外に位置してもよい。
【0075】
また、前記各実施形態では、各遮蔽部材39を非使用状態側に付勢する付勢部材としてねじりコイルばね41が設けられているが、これに限らず、例えば、圧縮ばねや引張りばね、板ばねなどが設けられてもよい。
【0076】
さらに、本発明の趣旨を逸脱しない限り、前記各実施形態の構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0077】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0078】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、本発明に係る車両の後部車体構造は、バックドアを開いたときにトノカバー部材が車体後面開口部の周縁部と干渉しないようにしながら、バックドアを閉めたときに荷室内の荷物を十分に覆うことが必要な用途等に適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
2 車体後面開口部
3 バックドア
4 荷室
5 後部シート
6 シートバック
13 後部側壁(車体後部の左右の側壁)
18 下側側壁トリム(車体後部の左右の側壁)
19 後部ピラートリム(車体後部の左右の側壁)
32 トノカバー部材
33 巻取り装置
35 カバー本体部分
35a 切欠き部
37 ボード部材
39 遮蔽部材
41 ねじりコイルばね(付勢部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部の荷室と、車体後面開口部と、該車体後面開口部の上縁近傍部に軸支され、該車体後面開口部を開閉自在に覆うバックドアと、後端部が該バックドアの内面部に連結可能に構成され、幅が前記車体後面開口部の上縁部よりも長いトノカバー部材と、後部シートのシートバックの車両後側に配設され、前記トノカバー部材を巻き取る巻取り装置とを備えている車両の後部車体構造であって、
前記トノカバー部材の車幅方向両端部には、前記バックドアが開状態で且つ該トノカバー部材が前記バックドアに連結された状態のときにおいて該トノカバー部材が前記車体後面開口部の周縁部と干渉しないように切欠き部がそれぞれ形成され、
前記各切欠き部は、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて少なくとも一部が前記巻取り装置外に位置し、
車体後部の左右の側壁には、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記各切欠き部における前記巻取り装置外に位置する部分を覆う遮蔽部材がそれぞれ配設されていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両の後部車体構造において、
前記各遮蔽部材は、前記各側壁に車両前後方向に延びる軸周りに回動可能に支持され、該回動により水平になり且つ前記各切欠き部における前記巻取り装置外に位置する部分を覆う使用状態と上方に起立した又は下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成されていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項3】
請求項2記載の車両の後部車体構造において、
前記各遮蔽部材は、前記バックドアが閉状態で、前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態で且つ前記各遮蔽部材が使用状態のときにおいて、車両平面視で前記トノカバー部材と重なるように配設されていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項4】
請求項3記載の車両の後部車体構造において、
前記各遮蔽部材を非使用状態側に付勢する付勢部材をさらに備えていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1つに記載の車両の後部車体構造において、
前記各遮蔽部材は、使用状態と上方に起立した非使用状態とに切換可能に構成され、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記トノカバー部材の下方に位置するように配設されていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1つに記載の車両の後部車体構造において、
前記トノカバー部材には、該トノカバー部材を前記巻取り装置から引き出すときにおいて該引出し動作に伴って前記各遮蔽部材を非使用状態から使用状態へと切り換える切換手段が設けられていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項7】
請求項6記載の車両の後部車体構造において、
前記トノカバー部材は、カバー本体部分と、該カバー本体部分の後端に車幅方向に延びる軸周りに回動可能に連結され、前記トノカバー部材が前記巻取り装置に巻き取られた状態のときにおいて下方に垂下したボード部材とを有し、
前記各遮蔽部材は、使用状態と下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成され、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記トノカバー部材の上方に位置するように配設され、
前記切換手段は、前記ボード部材の車幅方向両端部にそれぞれ配設され、前記トノカバー部材を前記巻取り装置から引き出すときにおいて前記ボード部材の上方への回動動作に伴って前記各遮蔽部材を押し上げて非使用状態から使用状態へと切り換える左右の棒部材であることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項1】
車体後部の荷室と、車体後面開口部と、該車体後面開口部の上縁近傍部に軸支され、該車体後面開口部を開閉自在に覆うバックドアと、後端部が該バックドアの内面部に連結可能に構成され、幅が前記車体後面開口部の上縁部よりも長いトノカバー部材と、後部シートのシートバックの車両後側に配設され、前記トノカバー部材を巻き取る巻取り装置とを備えている車両の後部車体構造であって、
前記トノカバー部材の車幅方向両端部には、前記バックドアが開状態で且つ該トノカバー部材が前記バックドアに連結された状態のときにおいて該トノカバー部材が前記車体後面開口部の周縁部と干渉しないように切欠き部がそれぞれ形成され、
前記各切欠き部は、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて少なくとも一部が前記巻取り装置外に位置し、
車体後部の左右の側壁には、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記各切欠き部における前記巻取り装置外に位置する部分を覆う遮蔽部材がそれぞれ配設されていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両の後部車体構造において、
前記各遮蔽部材は、前記各側壁に車両前後方向に延びる軸周りに回動可能に支持され、該回動により水平になり且つ前記各切欠き部における前記巻取り装置外に位置する部分を覆う使用状態と上方に起立した又は下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成されていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項3】
請求項2記載の車両の後部車体構造において、
前記各遮蔽部材は、前記バックドアが閉状態で、前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態で且つ前記各遮蔽部材が使用状態のときにおいて、車両平面視で前記トノカバー部材と重なるように配設されていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項4】
請求項3記載の車両の後部車体構造において、
前記各遮蔽部材を非使用状態側に付勢する付勢部材をさらに備えていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1つに記載の車両の後部車体構造において、
前記各遮蔽部材は、使用状態と上方に起立した非使用状態とに切換可能に構成され、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記トノカバー部材の下方に位置するように配設されていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1つに記載の車両の後部車体構造において、
前記トノカバー部材には、該トノカバー部材を前記巻取り装置から引き出すときにおいて該引出し動作に伴って前記各遮蔽部材を非使用状態から使用状態へと切り換える切換手段が設けられていることを特徴とする車両の後部車体構造。
【請求項7】
請求項6記載の車両の後部車体構造において、
前記トノカバー部材は、カバー本体部分と、該カバー本体部分の後端に車幅方向に延びる軸周りに回動可能に連結され、前記トノカバー部材が前記巻取り装置に巻き取られた状態のときにおいて下方に垂下したボード部材とを有し、
前記各遮蔽部材は、使用状態と下方に垂下した非使用状態とに切換可能に構成され、前記バックドアが閉状態で且つ前記トノカバー部材が該バックドアに連結された状態のときにおいて前記トノカバー部材の上方に位置するように配設され、
前記切換手段は、前記ボード部材の車幅方向両端部にそれぞれ配設され、前記トノカバー部材を前記巻取り装置から引き出すときにおいて前記ボード部材の上方への回動動作に伴って前記各遮蔽部材を押し上げて非使用状態から使用状態へと切り換える左右の棒部材であることを特徴とする車両の後部車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図6】
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【図15】
【図16】
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【公開番号】特開2012−121376(P2012−121376A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271816(P2010−271816)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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