説明

車両の操舵支援装置及び操舵支援方法

【課題】操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いが低下することを抑制可能な、車両の操舵支援装置及び操舵支援方法を提供する。
【解決手段】自車両が有する操舵輪の目標とする回転角度である目標操舵角を算出し、操舵輪の現在の回転角度である現在操舵角を検出し、目標操舵角と現在操舵角との差分である操舵角偏差を算出し、操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを算出し、自車両が走行する走行路上において、操舵輪の回転角度を目標操舵角とした状態で自車両が通過すると予測する目標経路上の点である目標点に自車両が到達した時点における、自車両の車幅方向右側及び車幅方向左側のうち少なくとも一方に存在する障害物と自車両との間の距離である余裕代を算出し、算出した余裕代が大きいほど小さい値に算出した操舵支援トルクを操舵輪へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵操作の支援となる情報を、操舵輪を介して運転者に提供する、車両の操舵支援装置及び操舵支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自車両に最適な走行経路を走行させることを目的として、運転者に、操舵輪(操舵輪)を介して、操舵操作の支援となる情報を提供する操舵支援装置がある。このような操舵支援装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。
特許文献1に記載されている操舵支援装置は、現在及び将来予測される障害物へ接触する可能性を、障害物と自車両との間の相対運動を考慮して設定することにより、障害物の回避に最適な走行経路を自車両が走行するための技術である。ここで、障害物の回避に最適な走行経路を自車両が走行するためには、操舵輪にトルクを出力する操舵制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−307951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の操舵支援装置では、障害物と自車両との間の余裕代を考慮せずに障害物の回避に最適な走行経路を設定し、この設定した走行経路を自車両が走行するような操舵支援トルクを、操舵輪へ出力する。なお、余裕代とは、走行経路上の目標点に自車両が到達した時点における、障害物と自車両との間の距離である。
【0005】
このため、運転者の意図する走行経路が、操舵支援装置が設定した走行経路から逸脱する経路である場合に、余裕代が大きい状況であっても、操舵支援装置が設定した走行経路を自車両が走行するような操舵支援トルクが、操舵輪へ出力されることとなる。したがって、操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いが低下するという問題が発生するおそれがある。なお、余裕代が大きい状況とは、例えば、自車両が走行路において障害物へ接触する可能性が低い状況である。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いが低下することを抑制可能な、車両の操舵支援装置及び操舵支援方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、自車両が走行する走行路において、自車両の車幅方向右側及び車幅方向左側のうち少なくとも一方に存在する障害物を検出する。さらに、走行路上において、操舵輪の回転角度を目標操舵角とした状態で自車両が通過すると予測する目標経路上の点である目標点に自車両が到達した時点における、障害物と自車両との間の距離である余裕代を算出する。そして、算出した余裕代が大きいほど、操舵支援トルクを小さく算出する。ここで、操舵支援トルクは、自車両が有する操舵輪の目標とする回転角度である目標操舵角と操舵輪の現在の回転角度である現在操舵角との差分である操舵角偏差を縮小させるために、操舵輪へ出力するトルクである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合において、余裕代が大きいほど、運転者が操舵輪を操舵する操舵トルクに対して、操舵支援トルクが干渉する割合が低下することとなる。このため、運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合であっても、余裕代の大きさに応じて、操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いが低下することを抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一実施形態の操舵支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】障害物と自車両との関係を示す図である。
【図3】バネ係数と余裕代との関係を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態の操舵支援装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図5】障害物と自車両との関係を示す図である。
【図6】本発明の変形例の操舵支援装置が行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の操舵支援装置1の構成を示すブロック図である。
図1中に示すように、本実施形態の操舵支援装置1は、目標操舵角算出装置2と、操舵角センサ4と、余裕代算出部6と、操舵角偏差算出部8と、操舵支援トルク算出部10と、操舵角速度センサ12と、トルク指令減衰回路14と、EPS16を備える。
目標操舵角算出装置2は、撮像回路18と、画像処理回路20と、目標経路算出回路22と、目標操舵角算出回路24を備える。
【0010】
撮像回路18は、例えば、CCDカメラ等の撮像部を備え、自車両の周囲(例えば、自車両の進行方向である車両前後方向前方)の環境を画像として取得する。そして、撮像回路18は、取得した画像を含む情報信号を、画像処理回路20へ出力する。
画像処理回路20は、撮像回路18が出力した情報信号に基づき、撮像回路18が取得した画像に対するエッジ検出等を行い、さらに、オブジェクトの認識を行うことにより、路上のうち、自車両が走行可能な領域を検出する。そして、画像処理回路20は、検出した領域を含む情報信号を、目標経路算出回路22及び余裕代算出部6へ出力する。
【0011】
ここで、認識するオブジェクトは、具体的に、走行車線の境界を示す路上の白線(車線区分線)や、走行路の側壁、ガードレール、路上(走行路上)に存在する障害物や他車両、歩行者等である。そして、これらのオブジェクトが存在しない領域が、路上のうち、自車両が走行可能な領域となる。
目標経路算出回路22は、画像処理回路20が出力した情報信号に基づき、画像処理回路20が検出した領域において、自車両が辿るべき(走行するべき)目標経路(走行路)を算出する。そして、目標経路算出回路22は、算出した目標経路を含む情報信号を、目標操舵角算出回路24及び余裕代算出部6へ出力する。
【0012】
目標経路を算出する際には、具体的に、まず、画像処理回路20が検出した、自車両が走行可能な領域から、走行可能な領域とその他の領域との境界(車幅方向左側の境界と車幅方向右側の境界)を検出する。そして、路上の走行可能な領域における、車幅方向左側の境界と車幅方向右側の境界とを結んだ直線の中点を複数求め、これらの中点の集合を、目標経路として算出する。なお、自車両が走行可能な領域と、その他の領域は、それぞれ、自車両の左右に存在する領域である。
【0013】
目標操舵角算出回路24は、目標経路算出回路22が出力した情報信号に基づき、目標経路算出回路22が算出した目標経路から、操舵輪(ステアリングホイール)の目標とする回転角度(操舵操作量)である目標操舵角を算出する。そして、目標操舵角算出回路24は、算出した目標操舵角を含む情報信号を、操舵角偏差算出部8へ出力する。なお、以下の説明では、目標操舵角を、「目標操舵角θ*」と記載する場合がある。
【0014】
目標操舵角θ*を算出する際には、具体的に、まず、自車両の走行路上において、自車両の現在位置からt秒後(例えば、1秒後)に通過すると予測される目標経路上の点を、目標点として設定する。すなわち、目標点は、操舵支援装置1が設定した走行経路を形成する複数の点の一つである。なお、上記の「t秒」は、予め設定しておく。
次に、走行路上における自車両の現在位置と、現在位置における操舵輪の回転角度から、設定した目標点に到達するために必要な操舵角を算出する。そして、算出した操舵角を、目標操舵角θ*とする。
【0015】
なお、上記の「t秒」は、車速に応じて設定してもよい。また、目標点を設定する際には、現在位置からt秒後に通過すると予測される目標経路上の点を、目標点として設定せずに、目標経路上の現在位置からt[m]先(例えば、10[m]先)の点を、目標点として設定してもよい。
ここで、本実施形態では、一例として、予め、目標操舵角算出回路24に、車両運動モデルを記憶させておき、この車両運動モデルを、目標操舵角θ*の算出に用いる場合を説明する。これにより、本実施形態の操舵支援装置1では、車両運動モデルを目標操舵角θ*の算出に用いない場合と比較して、より正確な目標操舵角θ*の算出が可能となる。
【0016】
なお、車両運動モデルとは、例えば、自車両の走行時における、操舵角と速度(車速)に応じて生じる車両の運動(ヨーレート等)を示すモデルであり、車両に個別のパラメータである。
以上により、目標操舵角算出装置2は、目標操舵角θ*を算出し、この算出した目標操舵角θ*を含む情報信号を、操舵角偏差算出部8へ出力する。
【0017】
操舵角センサ4は、例えば、操舵輪を回転可能に支持するステアリングコラムに設ける。また、操舵角センサ4は、運転者による、操舵輪の現在の回転角度(操舵操作量)である現在操舵角を検出する。そして、操舵角センサ4は、検出した操舵輪の現在操舵角を含む情報信号を、操舵角偏差算出部8へ出力する。なお、以下の説明では、現在操舵角を、「現在操舵角θ」と記載する場合がある。
【0018】
ここで、近年の車両は、操舵輪の操舵角を検出可能なセンサを、標準的に備えている場合が多い。このため、本実施形態では、操舵角センサ4として、自車両に既存のセンサである、操舵輪の操舵角を検出可能なセンサを用いた場合について説明する。
余裕代算出部6は、自車両の走行路上において、自車両の現在位置からt秒後に通過すると予測される目標経路上の点を、目標点として設定する。なお、目標点の設定は、例えば、上述した目標操舵角θ*の算出と同様の手順で行う。
【0019】
そして、図2中に示すように、設定した目標点に自車両Vが到達した状況における、自車両Vの車幅方向右側における障害物Bと自車両Vとの右側距離drと、自車両の車幅方向左側における障害物Bと自車両Vとの左側距離dlを算出する。そして、この算出した右側距離dr及び左側距離dlを含む情報信号を、操舵支援トルク算出部10へ出力する。
【0020】
なお、図2は、障害物と自車両との関係を示す図である。また、図2中では、現在位置における自車両Vを、符号「Vs」で示し、現在位置からt秒後における自車両V、すなわち、設定した目標点に到達した時点における自車両Vの位置を、符号「Vt」で示している。
また、図2中では、障害物Bとして、路上に存在する二台の他車両(小型車両B1、大型車両B2)と、走行路の側壁(車幅方向右側の側壁B3、車幅方向左側の側壁B4)を示している。
【0021】
ここで、上記の右側距離dr及び左側距離dlは、設定した目標点に到達した状態における自車両Vの位置と、設定した目標点に到達した状態において自車両Vの車幅方向に存在する障害物Bとの距離に基づいて算出する。
すなわち、本実施形態では、余裕代算出部6は、自車両の走行路上の目標点に自車両が到達した時点における、障害物と自車両との間の距離である余裕代として、自車両Vの車幅方向右側における余裕代と、自車両の車幅方向左側における余裕代を算出する。
【0022】
操舵角偏差算出部8は、目標操舵角算出装置2及び操舵角センサ4が出力した情報信号に基づき、操舵角偏差を算出する。ここで、操舵角偏差とは、目標操舵角算出装置2が算出した目標操舵角θ*と操舵角センサ4が検出した現在操舵角θとの差分である。なお、以下の説明では、操舵角偏差を、「操舵角偏差δθ」と記載する場合がある。
ここで、操舵角偏差δθを算出する際には、現在操舵角θから目標操舵角θ*を減算する。したがって、操舵角偏差δθは、以下の式(1)により算出される。
δθ=θ−θ* … (1)
【0023】
また、操舵角偏差算出部8は、算出した操舵角偏差δθを含む情報信号を、操舵支援トルク算出部10へ出力する。
操舵支援トルク算出部10は、余裕代算出部6及び操舵角偏差算出部8が出力した情報信号に基づき、トルク指令信号を算出する。そして、操舵支援トルク算出部10は、算出したトルク指令信号を含む情報信号を、トルク指令減衰回路14へ出力する。
【0024】
ここで、トルク指令信号とは、操舵支援トルクの指令値である。具体的には、トルク指令信号は、操舵角偏差算出部8が算出した操舵角偏差δθを縮小させるための指令値である。なお、以下の説明では、トルク指令信号を、「トルク指令値To」と記載する場合がある。
ここで、操舵支援トルク算出部10は、トルク指令値Toを算出する際に、以下に説明する処理を行う。
【0025】
具体的には、まず、余裕代算出部6が出力した情報信号を参照し、上述した右側距離dr及び左側距離dlのうち短い距離を選択する。なお、右側距離drと左側距離dlが同値である場合は、右側距離drまたは左側距離dlの一方を選択する。
そして、操舵支援トルク算出部10は、選択した距離(drまたはdl)が長いほど、トルク指令値Toが小さくなるように、トルク指令値Toの算出に用いるバネ係数K(c)を演算する。
【0026】
ここで、バネ係数K(c)は、c=min(dr,dl)の係数、すなわち、右側距離dr及び左側距離dlのうち、最小の距離に基づく係数である。
すなわち、操舵支援トルク算出部10は、トルク指令値Toを、図3中に示す、バネ係数K(c)と余裕代との関係と、以下に示す式(2)を用いて算出する。ここで、余裕代は、障害物Bと自車両Vとの間の余裕代である。なお、図3は、バネ係数K(c)と余裕代との関係を示す図である。
【0027】
これにより、操舵支援トルク算出部10は、障害物Bと自車両Vとの間の余裕代が大きいほど、トルク指令値Toを小さい値に算出する。
o=K(c)×(θ−θ*) … (2)
すなわち、操舵支援トルク算出部10は、余裕代算出部6が算出した余裕代が大きいほど、操舵支援トルクが小さくなるように、トルク指令値Toを算出する。
【0028】
また、操舵支援トルク算出部10は、予め設定したトルク算出用時間間隔で、トルク指令値Toを算出する。ここで、上記のトルク算出用時間は、例えば、50[msec]や100[msec]として、予め設定する。なお、本実施形態では、一例として、操舵支援トルク算出部10がトルク指令値Toを算出するトルク算出用時間の間隔を、100[msec]と設定した場合を説明する。
【0029】
操舵角速度センサ12は、操舵角センサ4と同様、例えば、操舵輪を回転可能に支持するステアリングコラムに設ける。また、操舵角速度センサ12は、自車両の運転者による、操舵輪の現在の操舵時における回転角速度である操舵角速度を検出する。そして、操舵角速度センサ12は、検出した操舵角速度を含む情報信号を、トルク指令減衰回路14へ出力する。なお、以下の説明では、操舵角速度を、「操舵角速度θ’」と記載する場合がある。
【0030】
ここで、近年の車両は、操舵輪の操舵角速度を検出可能なセンサを、標準的に備えている場合が多い。このため、本実施形態では、操舵角速度センサ12として、自車両に既存のセンサである、操舵輪の操舵角速度を検出可能なセンサを用いた場合について説明する。
トルク指令減衰回路14は、操舵支援トルク算出部10及び操舵角速度センサ12が出力した情報信号に基づき、減衰指令信号を算出する。
【0031】
ここで、減衰指令信号とは、操舵支援トルク算出部10が算出したトルク指令値Toを減衰させる指令を含む情報信号である。そして、トルク指令減衰回路14は、算出した減衰指令信号によりトルク指令値Toを減衰させたトルク減衰指令値を含む情報信号を、EPS16へ出力する。
なお、本実施形態では、一例として、トルク減衰指令値Tを、以下に示す式(3)を用いて算出する場合について説明する。
T=(θ−θ*)×θ’+To … (3)
【0032】
したがって、本実施形態のトルク指令減衰回路14は、操舵角速度θ’に応じて、トルク指令値To(トルク指令信号)の減衰度合いが変化するように、トルク減衰指令値Tを算出する。
トルク減衰指令値Tを算出したトルク指令減衰回路14は、この算出したトルク減衰指令値Tを含む指令信号を、EPS16へ出力する。
EPS16は、操舵輪へ操舵支援トルクを出力可能な電動モータを有する。したがって、EPS16は、例えば、公知の電動パワーステアリング(Electric Power Steering)を用いて形成する。
【0033】
また、EPS16は、トルク指令減衰回路14から入力された指令信号に基づき、電動モータを制御する。これにより、EPS16は、トルク指令減衰回路14が算出したトルク減衰指令値Tに応じた操舵支援トルクを、操舵輪へ出力する。
なお、EPS16が行なう電動モータの制御は、一般的に、電動モータへ供給する電流を制御して行う。したがって、本実施形態においても、電動モータへ供給する電流を制御して電動モータの制御を行い、トルク減衰指令値Tに相当する操舵支援トルクを、操舵輪へ出力する。
【0034】
以下、図1から図3を参照しつつ、図4を用いて、本実施形態の操舵支援装置1が行なう動作の一例について説明する。
図4は、本実施形態の操舵支援装置1が行う処理を示すフローチャートである。
図4中に示すフローチャートは、自車両Vが走行しており、自車両Vの運転者が、操舵支援装置1を作動させるスイッチを操作(ON)した状態からスタートする(図4中に示す「START」)。
【0035】
操舵支援装置1を作動させると、目標操舵角算出装置2は、例えば、10[msec]毎等、予め設定したサンプリング時間毎に、目標操舵角θ*を算出(ステップS100に示す「目標操舵角算出」)する(ステップS100)。そして、目標操舵角θ*を算出した目標操舵角算出装置2は、算出した目標操舵角θ*を含む情報信号を、操舵角偏差算出部8へ出力する。ステップS100において、目標操舵角θ*を算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS102へ移行する。
【0036】
ステップS102では、操舵角センサ4により、運転者による現在操舵角θを検出(ステップS102に示す「操舵角検出」)する。そして、現在操舵角θを検出した操舵角センサ4は、検出した操舵輪の現在操舵角を含む情報信号を、操舵角偏差算出部8へ出力する。ステップS102において、現在操舵角θを検出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS104の処理へ移行する。
【0037】
ステップS104では、操舵角偏差算出部8により、目標操舵角θ*と現在操舵角θとの差分である操舵角偏差δθを算出(ステップS104に示す「操舵角偏差算出」)する。そして、操舵角偏差δθを算出した操舵角偏差算出部8は、算出した操舵角偏差δθを含む情報信号を、操舵支援トルク算出部10へ出力する。ステップS104において、操舵角偏差δθを算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS106へ移行する。
【0038】
ステップS106では、余裕代算出部6により、上述した目標点に自車両Vが到達した状況における、自車両Vの車幅方向右側における障害物Bと自車両Vとの右側距離drを算出(ステップS106に示す「右側距離drの算出」)する。そして、右側距離drを算出した余裕代算出部6は、算出した右側距離drを含む情報信号を、操舵支援トルク算出部10へ出力する。ステップS106において、右側距離drを算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS108へ移行する。
【0039】
ステップS108では、余裕代算出部6により、上述した目標点に自車両Vが到達した状況における、自車両Vの車幅方向右側における障害物Bと自車両Vとの左側距離dlを算出(ステップS108に示す「左側距離dlの算出」)する。そして、左側距離dlを算出した余裕代算出部6は、算出した左側距離dlを含む情報信号を、操舵支援トルク算出部10へ出力する。ステップS108において、左側距離dlを算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS110へ移行する。
【0040】
なお、ステップS106の処理とステップS108の処理は、逆の順番(ステップS104→ステップS108→ステップS106→ステップS110)で行ってもよい。
ステップS110では、操舵支援トルク算出部10により、上述した右側距離dr及び左側距離dlのうち、短い距離を選択する。これにより、ステップS110では、操舵支援トルク算出部10により、トルク減衰指令値Tの算出に用いる余裕代を決定(ステップS110に示す「余裕代の決定 min(dr,dl)」)する。ステップS110において、余裕代を決定すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS112へ移行する。
【0041】
ステップS112では、操舵支援トルク算出部10により、トルク指令値Toを算出(ステップS112に示す「トルク指令値To算出」)する。そして、トルク指令値Toを算出した操舵支援トルク算出部10は、算出したトルク指令値Toを含む情報信号を、トルク指令減衰回路14へ出力する。ステップS112において、トルク指令値Toを算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS114へ移行する。
【0042】
ここで、トルク指令値Toを算出する際には、ステップS110で決定した距離(drまたはdl)が長いほど、トルク指令値Toが小さくなるように、上述したバネ係数K(c)を演算する。
ステップS114では、操舵角速度センサ12により、操舵角速度θ’を検出(ステップS114に示す「操舵角速度検出」)する。そして、操舵角速度θ’を検出した操舵角速度センサ12は、検出した操舵角速度θ’を含む情報信号を、トルク指令減衰回路14へ出力する。ステップS114において、操舵角速度θ’を検出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS116へ移行する。
【0043】
ステップS116では、トルク指令減衰回路14により、EPS16へ出力する指令信号に含むトルク減衰指令値Tを算出(ステップS116に示す「トルク減衰指令値T算出」)する。そして、トルク減衰指令値Tを算出したトルク指令減衰回路14は、算出したトルク減衰指令値Tを含む指令信号を、EPS16へ出力する。
ステップS116において、トルク減衰指令値Tを含む指令信号をEPS16へ出力すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS118へ移行する。
【0044】
ステップS118では、EPS16において、トルク指令減衰回路14が出力した指令信号に基づいて、電動モータに供給する電流を制御する。これにより、ステップS122では、トルク指令減衰回路14が算出したトルク減衰指令値Tに相当する操舵支援トルクを操舵輪へ出力するように、EPS16を制御(ステップS118に示す「EPSを制御」)する。
ここで、操舵支援トルク算出部10は、余裕代算出部6が算出した余裕代(右側距離drまたは左側距離dl)が大きいほど、操舵支援トルク(トルク指令値To)を小さい値に算出している。
【0045】
このため、運転者の意図する走行経路が、設定した走行経路から逸脱する経路である場合において、余裕代が大きいほど、運転者が操舵輪を操舵する操舵トルクに対して、操舵支援トルク(トルク指令値To)が干渉する割合が低下することとなる。
これにより、運転者の意図する走行経路が、設定した走行経路から逸脱する経路である場合において、余裕代が大きいほど、小さく算出した操舵支援トルクが操舵輪へ出力されることとなる。
【0046】
ここで、「運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合」とは、運転者の意図する走行経路のうち、自車両の現在位置からt秒後に通過する点が、上述した目標経路上から逸脱した点である場合を示す。具体的には、図2中において、小型車両B1と側壁B3との間を走行する自車両Vの位置が、位置Vtよりも小型車両B1に近い側の位置または側壁B3に近い側の位置となる場合である。
ステップS118においてEPS16を制御し、トルク指令減衰回路14が算出したトルク減衰指令値Tに応じた操舵支援トルクを、操舵輪へ出力すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS100の処理に復帰(図5中に示す「RETURN」)する。
【0047】
(動作)
次に、図1から図4を参照して、本実施形態の操舵支援装置1が行なう動作の一例について説明する。
上述したように、自車両Vの走行時に、運転者が操舵支援装置1を作動させると、操舵支援装置1が、目標操舵角θ*の算出、現在操舵角θの検出、操舵角偏差δθの算出を行う。そして、自車両Vが、例えば、小型車両B1と側壁B3との間を走行する状況(図2参照)等において、操舵支援装置1が、右側距離dr及び左側距離dlの算出を行う。
【0048】
右側距離dr及び左側距離dlの算出を行った後、操舵支援トルク算出部10が、上述した右側距離dr及び左側距離dlのうち、短い距離を選択して、トルク減衰指令値Tの算出に用いる余裕代を決定する。
余裕代を決定した操舵支援トルク算出部10は、トルク指令値Toを算出し、この算出したトルク指令値Toを含む情報信号を、トルク指令減衰回路14へ出力する。
また、操舵角速度センサ12が、操舵角速度θ’を検出し、この検出した操舵角速度θ’を含む情報信号を、トルク指令減衰回路14へ出力する。
【0049】
操舵支援トルク算出部10及び操舵角速度センサ12から情報信号の入力を受けたトルク指令減衰回路14は、トルク減衰指令値Tを算出し、この算出したトルク減衰指令値Tを含む指令信号を、EPS16へ出力する。
指令信号の入力を受けたEPS16は、トルク指令減衰回路14が算出したトルク減衰指令値Tに相当する操舵支援トルクを操舵輪へ出力するように、EPS16を制御する。これにより、運転者が操舵輪を操舵する操舵トルクに対して、操舵支援トルクが干渉する。
【0050】
このとき、運転者の意図する走行経路が、設定した走行経路から逸脱する経路である場合において、余裕代が大きいほど、小さく算出した操舵支援トルクが操舵輪へ出力される。
このため、例えば、小型車両B1と側壁B3との間が広い場合では、小型車両B1と側壁B3との間が狭い場合と比較して、操舵トルクに対して操舵支援トルクが干渉する割合が低下する。
これにより、運転者の意図する走行経路が、設定した走行経路から逸脱する経路である場合であっても、余裕代の大きさに応じて、操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いを変化させることが可能となる。
【0051】
なお、上述したように、本実施形態の操舵支援装置1の動作で実施する操舵支援方法は、操舵角偏差を算出する操舵角偏差算出ステップと、操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを算出する操舵支援トルク算出ステップを有する。これに加え、操舵支援方法は、操舵支援トルクを操舵輪へ出力する操舵支援トルク出力ステップと、余裕代を算出する余裕代算出ステップを有する。そして、操舵支援方法は、操舵支援トルク算出ステップにおいて、余裕代算出ステップで算出した余裕代が大きいほど、操舵支援トルクを小さく算出する。
【0052】
以上により、目標操舵角算出装置2は、目標操舵角算出部、走行路検出部及び障害物検出部に対応する。また、操舵角センサ4は、現在操舵角検出部に対応する。また、EPS16は、操舵支援トルク出力部に対応する。また、トルク指令減衰回路14は、操舵支援トルク減衰部に対応する。
同様に、ステップS104は、操舵角偏差算出ステップに対応する。また、ステップS106からS110は、余裕代算出ステップに対応する。また、ステップS112は、操舵支援トルク算出ステップに対応する。また、ステップS118は、操舵支援トルク出力ステップに対応する。
【0053】
(第一実施形態の効果)
(1)操舵支援トルク算出部10が、余裕代算出部6が算出した余裕代が大きいほど、操舵支援トルク(トルク指令値To)を小さい値に算出する。
このため、運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合において、余裕代算出部6が算出した余裕代が大きいほど、運転者が操舵輪を操舵する操舵トルクに対して、操舵支援トルクが干渉する割合が低下することとなる。
その結果、運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合であっても、余裕代算出部6が算出した余裕代の大きさに応じて、操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いが低下することを抑制可能となる。
【0054】
(2)余裕代算出部6が、右側距離dr(自車両Vの車幅方向右側における余裕代)と、左側距離dl(自車両Vの車幅方向左側における余裕代)を算出する。これに加え、操舵支援トルク算出部10が、余裕代算出部6が算出した右側距離dr及び左側距離dlのうち短い距離(小さい余裕代)を用いて、操舵支援トルクを算出する。
その結果、全体的な余裕代が大きい場合であっても、自車両Vが側壁等の障害物に接近する傾向が増加している状況では、障害物へ接触・到達する可能性が増加していることを、操舵支援トルクの大きさの変化により、運転者へ伝達することが可能となる。
【0055】
(3)操舵支援トルク算出部10が、予め設定したトルク算出用時間間隔(例えば、50[msec]間隔、100[msec]間隔)で、操舵支援トルクを算出する。
その結果、時間の経過に伴って変化する状況の変化(例えば、余裕代の大きさの変化)を、操舵支援トルクの大きさの変化により、運転者へ伝達することが可能となる。
【0056】
(4)本実施形態の操舵支援方法では、ステップS106からS110で算出した余裕代が大きいほど、ステップS112において、操舵支援トルクを小さい値に算出する。
このため、運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合において、余裕代算出部6が算出した余裕代が大きいほど、運転者が操舵輪を操舵する操舵トルクに対して、操舵支援トルクが干渉する割合が低下することとなる。
その結果、運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合であっても、余裕代算出部6が算出した余裕代の大きさに応じて、操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いが低下することを抑制可能となる。
【0057】
(変形例)
(1)本実施形態の操舵支援装置1では、余裕代算出部6の構成を、余裕代として、右側距離drと左側距離dlを算出する構成としたが、余裕代算出部6の構成は、これに限定するものではない。
すなわち、例えば、操舵支援装置1の構成を、自車両Vの車両前後方向の前面に配置して、自車両Vの車両前後方向前方に対してレーザーを照射する複数のレーザーセンサを備えた構成とする。そして、複数のレーザーセンサにより、それぞれ、レーザーの照射と、レーザーの照射後に走行経路上の障害物等により反射されたレーザーの受信を行い、レーザーを照射及び受信した時間と、レーザーを受信した方向を含む情報信号を、余裕代算出部6へ出力する。
【0058】
これにより、例えば、図5中に示すように、自車両Vの進行方向(車両前後方向前方)に対し、予め設定した照射範囲で進行方向から車幅方向へ複数本のレーザーを照射し、これらの照射したレーザーを受信する。そして、レーザーを照射及び受信した時間と、レーザーを受信した方向に基づき、以下に示す式(4)〜(7)を用いて、余裕代を算出する。なお、図5は、障害物と自車両との関係を示す図である。
【0059】
【数1】

【0060】
なお、上式(4)において、「v」は、自車両Vの車速である。また、上式(4)において、「di」は、図5中に示すように、複数のレーザーセンサのうち、i番目のレーザーセンサが照射したレーザーが壁B3に反射した際の、自車両Vと壁B3との距離である。また、上式(4)において、「θi」は、図5中に示すように、i番目のレーザーセンサが照射したレーザーと壁B3が上面視でなす角度のうち、自車両Vに近い側の角度である。
【0061】
また、上式(5)において、「φi」は、自車両Vの進行方向とi番目のレーザーセンサが照射したレーザーが上面視でなす角度である。
また、上式(6)で算出する「Cright」は、図5中に示すように、自車両Vの車幅方向右側に障害物Bである壁B3が存在し、この壁B3にi番目のレーザーセンサが照射したレーザーが反射している場合の、障害物Bと自車両Vとの余裕代である。なお、以降の説明では、余裕代Crightを、「Cr」と記載する場合がある。
【0062】
また、上式(7)で算出する「Cleft」は、特に図示しないが、自車両Vの車幅方向左側に壁等の障害物Bが存在し、この障害物Bにi番目のレーザーセンサが照射したレーザーが反射している場合の、障害物Bと自車両Vとの余裕代である。なお、以降の説明では、余裕代Cleftを、「Cl」と記載する場合がある。
なお、予め設定した照射範囲とは、例えば、自車両Vの車幅方向中心から車両前後方向前方へ向けて延在し、且つ車幅方向と直交する軸を基準として、左右60[°]とする。
【0063】
このような構成の操舵支援装置1が行なう動作の一例を、図1から図5を参照しつつ、図6を用いて、以下に説明する。なお、図6は、変形例の操舵支援装置1が行う処理を示すフローチャートである。
図6中に示すフローチャートは、自車両Vが走行しており、自車両Vの運転者によって、操舵支援装置1を作動させるスイッチが操作(ON)された状態からスタートする(図6中に示す「START」)。
【0064】
なお、ステップS200〜S204の処理は、上述したステップS100〜S104の処理と同様であるため、その説明を省略する。ステップS204において、操舵角偏差δθを算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS206へ移行する。
ステップS206では、余裕代算出部6により、自車両Vの車幅方向右側における障害物Bと自車両Vとの余裕代Crを算出(ステップS206に示す「右側余裕代Crの算出」)する。そして、右側余裕代Crを算出した余裕代算出部6は、算出した右側余裕代Crを含む情報信号を、操舵支援トルク算出部10へ出力する。ステップS206において、右側余裕代Crを算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS208へ移行する。
【0065】
ステップS208では、余裕代算出部6により、自車両Vの車幅方向左側における障害物Bと自車両Vとの余裕代Clを算出(ステップS208に示す「左側余裕代Clの算出」)する。そして、左側余裕代Clを算出した余裕代算出部6は、算出した左側余裕代Clを含む情報信号を、操舵支援トルク算出部10へ出力する。ステップS208において、左側余裕代Clを算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS210へ移行する。
なお、ステップS206の処理とステップS208の処理は、逆の順番(ステップS204→ステップS208→ステップS206→ステップS210)で行ってもよい。
【0066】
ステップS210では、操舵支援トルク算出部10により、上述した右側余裕代Cr及び左側余裕代Clのうち、大きい余裕代を選択する。これにより、ステップS210では、操舵支援トルク算出部10により、トルク減衰指令値Tの算出に用いる余裕代を決定(ステップS210に示す「余裕代の決定 max(Cr,Cl)」)する。ステップS210において、余裕代を決定すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS212へ移行する。
ステップS212〜S218の処理は、上述したステップS112〜S118の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0067】
(2)本実施形態の操舵支援装置1では、操舵支援トルク算出部10が、予め設定したトルク算出用時間間隔で、操舵支援トルクを算出するが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、操舵支援トルク算出部10が、自車両Vの走行中において、連続して操舵支援トルクを算出してもよい。
【0068】
(3)本実施形態の操舵支援装置1では、トルク指令減衰回路14が、操舵角速度センサ12が検出した操舵角速度θ’に応じて、トルク指令値Toの減衰度合いが変化するように、減衰指令信号を算出したが、これに限定するものではない。すなわち、トルク指令値Toを操舵支援トルクとして用いてもよい。この場合、操舵支援装置1の構成を、操舵角速度センサ12及びトルク指令減衰回路14を備えていない構成としてもよい。
【0069】
(4)本実施形態の操舵支援装置1では、自車両の走行中において、運転者が操舵支援装置1を作動させるスイッチを操作することにより、操舵支援装置1を作動させたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、自車両の周囲の環境を撮像した画像を参照して、自車両が走行する道路(走行路)が、操舵支援装置1を作動させることが好ましい道路であるか否かを判定し、運転者の操作に因らず、操舵支援装置1を作動させてもよい。この場合、自車両の周囲の環境を撮像した画像は、例えば、撮像回路18が有するCCDカメラ等を用いて取得する。
【符号の説明】
【0070】
1 操舵支援装置
2 目標操舵角算出装置
4 操舵角センサ
6 余裕代算出部
8 操舵角偏差算出部
10 操舵支援トルク算出部
12 操舵角速度センサ
14 トルク指令減衰回路
16 EPS
18 撮像回路
20 画像処理回路
22 目標経路算出回路
24 目標操舵角算出回路
V 自車両
B 障害物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が有する操舵輪の目標とする回転角度である目標操舵角を算出する目標操舵角算出部と、
前記操舵輪の現在の回転角度である現在操舵角を検出する現在操舵角検出部と、
前記目標操舵角算出部が算出した前記目標操舵角と前記現在操舵角検出部が検出した前記現在操舵角との差分である操舵角偏差を算出する操舵角偏差算出部と、
前記操舵角偏差算出部が算出した操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを算出する操舵支援トルク算出部と、
前記操舵支援トルク算出部が算出した前記操舵支援トルクを前記操舵輪へ出力する操舵支援トルク出力部と、
前記自車両が走行する走行路を検出する走行路検出部と、
前記走行路検出部が検出した走行路において前記自車両の車幅方向右側及び車幅方向左側のうち少なくとも一方に存在する障害物を検出する障害物検出部と、
前記走行路検出部が検出した走行路上において、前記操舵輪の回転角度を前記目標操舵角とした状態で前記自車両が通過すると予測する目標経路上の点である目標点に自車両が到達した時点における、前記障害物検出部が検出した障害物と前記自車両との間の距離である余裕代を算出する余裕代算出部と、を備え、
前記操舵支援トルク算出部は、前記余裕代算出部が算出した余裕代が大きいほど、前記操舵支援トルクを小さく算出することを特徴とする車両の操舵支援装置。
【請求項2】
前記余裕代算出部は、前記自車両の車幅方向右側における余裕代と、前記自車両の車幅方向左側における余裕代と、を算出し、
前記操舵支援トルク算出部は、前記余裕代算出部が算出した前記車幅方向右側における余裕代及び前記車幅方向左側における余裕代のうち小さい余裕代を用いて、前記操舵支援トルクを算出することを特徴とする請求項1に記載した車両の操舵支援装置。
【請求項3】
前記操舵支援トルク算出部は、予め設定したトルク算出用時間間隔で前記操舵支援トルクを算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した車両の操舵支援装置。
【請求項4】
自車両が有する操舵輪の目標とする回転角度である目標操舵角と前記操舵輪の現在の回転角度である現在操舵角との差分である操舵角偏差を算出する操舵角偏差算出ステップと、
前記操舵角偏差算出ステップで算出した操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを算出する操舵支援トルク算出ステップと、
前記操舵支援トルク算出ステップで算出した前記操舵支援トルクを前記操舵輪へ出力する操舵支援トルク出力ステップと、
前記自車両が走行する走行路上において、前記操舵輪の回転角度を前記目標操舵角とした状態で前記自車両が通過すると予測する目標経路上の点である目標点に自車両が到達した時点における、前記自車両の車幅方向右側及び車幅方向左側のうち少なくとも一方に存在する障害物と自車両との間の距離である余裕代を算出する余裕代算出ステップと、を有し、
前記操舵支援トルク算出ステップでは、前記余裕代算出ステップで算出した余裕代が大きいほど、前記操舵支援トルクを小さく算出することを特徴とする車両の操舵支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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