説明

車両の速度表示装置

【課題】後付けが容易なフォークリフト用のスピード標示装置を提供する。
【解決手段】フォークリフト1の前輪31のホイール部23の外周縁に磁石体32を取り付ける。前輪31をカバーするカバー部材27の先端部28にパルスセンサ42を取り付ける。前輪31の回転に伴って変化する磁石体32からの磁界をパルスセンサ42で感知する。パルスセンサ42から前輪31の回転に同期したパルス信号を出力する。前輪31に臨んで離れた位置にパルスセンサ42を取り付けるだけで、前輪31の回転からフォークリフト1の走行速度を感知できる。パルスセンサ42のフォークリフト1への後付けによる取り付け作業が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両本体に走行輪が設けられた車両の速度を表示する車両の速度表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両の速度表示装置としてのデジタルスピードメータは、車両としてのフォークリフトの走行速度を表示する機能と、速度オーバーを検知して警報を発する機能とを併せ持っている。そして、このデジタルスピードメータには、高速度マイクロプロセッサが内蔵されている。また、このデジタルスピードメータには、フォークリフトの後輪タイヤのナックルプレートに近接スイッチブラケットを介して取り付けられている近接スイッチが電気的に接続されている。
【0003】
そして、このデジタルスピードメータの高速度マイクロプロセッサは、フォークリフト走行時に近接スイッチで検出した後輪タイヤの回転の検知信号に基づいて、このフォークリフトの後輪タイヤが1回転する時間を演算するとともに、この後輪タイヤの車軸の高さ設定値から後輪タイヤ径を算出してフォークリフトの走行速度を演算し、このフォークリフトの走行速度をデジタル表示させると同時に、パイロットランプを点灯させる。
【0004】
さらに、このデジタルスピードメーターは、高速度マイクロプロセッサにて演算したフォークリフトの走行速度が、予め設置された警報速度を超えた場合に、パイロットランプを消灯させてアラームランプを点灯させるとともに、警報ブザーから電子ブザー音を鳴らさせて、このフォークリフトの速度超過を作業者に伝達させる構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−75765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したデジタルスピードメータでは、フォークリフト走行時に後輪タイヤの回転を検出する近接スイッチを、このフォークリフトの後輪タイヤのナックルプレートに近接スイッチブラケットを介して取り付けている構成であるから、この後輪タイヤの内側から近接スイッチをナックルプレートに取り付けなければならないので、この近接スイッチの後輪タイヤへの取り付けが容易ではないという問題を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、取り付けが容易な車両の速度表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車両本体に走行輪が設けられた車両の速度を表示する車両の速度表示装置であって、前記車両の速度が表示可能な表示手段と、前記走行輪に臨んだ位置に取り付けられ、この走行輪の回転を感知する感知手段と、この感知手段にて感知した前記走行輪の回転に基づいて前記車両の速度を算出して前記表示手段に表示させる制御手段とを具備した車両の速度表示装置である。
【0008】
そして、車両の車両本体の走行輪に臨んだ位置に取り付けられた感知手段で走行輪の回転を感知する。次いで、この感知手段にて感知した走行輪の回転に基づいて制御手段が車両の速度を算出して表示手段に表示させる。したがって、取り付け作業が比較的容易な車両の車両本体に感知手段を取り付けて、この感知手段を走行輪に臨ませるだけで、この走行輪の回転から車両の速度を算出できるから、この感知手段の取り付けが容易になる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、感知手段は、車両の走行輪に取り付けられた磁性体を備え、この磁性体が形成する磁界の変化から前記走行輪の回転に応じたパルス信号を出力し、制御手段は、前記感知手段から出力されたパルス信号の間隔に基づいて前記車両の速度を算出する車両の速度表示装置である。
【0010】
そして、車両の走行輪に取り付けられている磁性体が形成する磁界の変化から走行輪の回転に応じたパルス信号を感知手段が出力する。そして、この感知手段から出力されたパルス信号の間隔に基づいて制御手段が車両の速度を算出する。このとき、感知手段へと作用する磁性体からの磁界が走行輪の回転に伴って確実かつ正確に変化する。したがって、この磁性体が形成する磁界の変化に基づいて走行輪の回転に応じたパルス信号を感知手段で出力させることにより、このパルス信号がより確実かつ正確に走行輪の回転に応じることとなる。このため、このパルス信号の間隔に基づいて制御手段で車両の速度を算出することにより、車両の速度をより確実かつ正確に制御手段にて算出できる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、磁性体は、操舵されない走行輪に取り付けられている車両の速度表示装置である。
【0012】
そして、操舵されない走行輪に磁性体を取り付けたので、操舵される走行輪に磁性体を取り付ける場合に比べ、磁性体が形成する磁界が走行輪の回転に応じて確実に変化する。したがって、この磁性体が形成する磁界の変化に基づいて感知手段からパルス信号を出力させることにより、制御手段にて算出される車両の速度がより正確になる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3いずれか記載の発明において、制御手段は、車両の走行輪の大きさに応じて、この車両の速度を算出する車両の速度表示装置である。
【0014】
そして、車両の走行輪の大きさに応じて、この車両の速度を制御手段が算出する。したがって、走行輪の大きさが異なる車両であっても、この車両の速度を制御手段にて正確に算出できるから、種々の車両に対応させて用いることができるので、汎用性をより向上できる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4いずれか記載の発明において、制御手段は、車両の走行輪の磨耗率に応じて、この車両の速度を算出する車両の速度表示装置である。
【0016】
そして、車両の走行輪の磨耗率に応じて、この車両の速度を制御手段が算出する。したがって、走行輪が車両の使用によって磨耗して小さくなった場合であっても、この車両の速度を走行輪の磨耗率に応じて算出するので、この車両の速度を制御手段にてより正確に算出できる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5いずれか記載の発明において、表示手段は、低速度点灯部、中速度点灯部および高速度点灯部を有するシグナル装置を備え、制御手段には、中速境界速度とこの中速境界速度より大きい高速境界速度とが記憶され、この制御手段は、算出した車両の速度が前記中速境界速度以下の場合に前記低速度点灯部を点灯させ、算出した前記車両の速度が前記中速境界速度以上前記高速境界速度以下の場合に前記中速度点灯部を点灯させ、算出した前記車両の速度が前記高速境界速度以上の場合に前記高速度点灯部を点灯させる車両の速度表示装置である。
【0018】
そして、制御手段にて算出した車両の速度が予め記憶された中速境界速度以下の場合には、シグナル装置の低速度点灯部を点灯させる。また、この制御手段にて算出した車両の速度が中速境界速度以上で予め記憶された高速境界速度以下の場合には、シグナル装置の中速度点灯部を点灯させる。さらに、この制御手段にて算出した車両の速度が高速境界速度以上の場合には、シグナル装置の高速度点灯部を点灯させる。この結果、車両を操作する操作者のみならず、この車両の周囲で作業する作業者がシグナル装置を目視することによって、これら操作者および作業者のそれぞれに車両の速度が低速度、中速度および高速度のいずれであるか確認できる。したがって、これら操作者および作業者によって車両の速度を容易かつ確実に認識できる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6いずれか記載の発明において、表示手段は、車両の速度を表示する速度メータを備え、制御手段は、算出した前記車両の速度を前記速度メータに表示させる車両の速度表示装置である。
【0020】
そして、制御手段にて算出した車両の速度を速度メータに表示させることにより、この車両の速度がより詳細に認識できるようになる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7いずれか記載の発明において、車両は、フォークリフトである車両の速度表示装置である。
【0022】
そして、車両がフォークリフトであるから、フォークリフトの車両本体に感知手段を取り付けて、この感知手段をフォークリフトの走行輪に臨ませるだけで、このフォークリフトの速度を算出できるので、このフォークリフトへの感知手段の取り付けが容易になる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明によれば、取り付け作業が比較的容易な車両の車両本体に感知手段を取り付けて、この感知手段を走行輪に臨ませるだけで、この走行輪の回転から車両の速度を算出できるので、この感知手段の取り付けを容易にできる。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、感知手段へと作用する磁性体からの磁界が走行輪の回転に伴って確実かつ正確に変化するので、この磁性体が形成する磁界の変化に基づいて走行輪の回転に応じたパルス信号を感知手段から出力させることによって、このパルス信号がより確実かつ正確に走行輪の回転に応じるため、このパルス信号の間隔に基づいて制御手段で車両の速度を算出することにより、この車両の速度をより確実かつ正確に制御手段にて算出できる。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、操舵される走行輪に磁性体を取り付ける場合に比べ、磁性体が形成する磁界が走行輪の回転に応じて確実に変化するから、この磁性体が形成する磁界の変化に基づいて感知手段からパルス信号を出力させることにより、制御手段にて算出される車両の速度をより正確にできる。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、走行輪の大きさが異なる車両でも、この車両の速度を制御手段にて正確に算出できるから、種々の車両に対応させて用いることができるので、汎用性をより向上できる。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、走行輪が車両の使用によって磨耗して小さくなっても、この車両の速度を走行輪の磨耗率に応じて算出できるから、この車両の速度を制御手段にてより正確に算出できる。
【0028】
請求項6記載の発明によれば、制御手段にて算出した車両の速度が、中速境界速度以下の場合にシグナル装置の低速度点灯部を点灯させ、中速境界速度以上高速境界速度以下の場合にシグナル装置の中速度点灯部を点灯させ、高速境界速度以上の場合にシグナル装置の高速度点灯部を点灯させるので、車両を操作する操作者、およびこの車両の周囲で作業する作業者それぞれのシグナル装置の目視によって、これら操作者および作業者のそれぞれに車両の速度が低速度、中速度および高速度のいずれであるか確認できるから、これら操作者および作業者によって車両の速度を容易かつ確実に認識できる。
【0029】
請求項7記載の発明によれば、制御手段にて算出した車両の速度を速度メータに表示させることにより、この車両の速度をより詳細に認識できる。
【0030】
請求項8記載の発明によれば、フォークリフトの車両本体に感知手段を取り付けて、この感知手段をフォークリフトの走行輪に臨ませるだけで、このフォークリフトの速度を算出できるので、このフォークリフトへの感知手段の取り付けを容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を図1乃至図4に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図1は、車両としての荷役装置であるフォークリフト1である。このフォークリフト1は、カウンタバランス型の荷役車両であって、作業機械本体としての車両本体である車体2を備えている。この車体2の前側には、フォーク3が昇降可能かつ前後傾斜可能に取り付けられている。このフォーク3は、車体2の前側に設けられているリフトブラケット4に取り付けられて固定されている。このリフトブラケット4は、車体2の前側に立設されて固定された一対のマスト5に昇降可能に支持されている。
【0033】
そして、これら一対のマスト5には、リフトブラケット4を昇降させてフォーク3を昇降操作させるリフトシリンダ6がそれぞれ取り付けられている。さらに、これらマスト5と車体2との間には、これらマスト5を前傾あるいは後傾させて、フォーク3を前傾あるいは後傾させるティルトシリンダ7がそれぞれ取り付けられている。ここで、これらリフトシリンダ6およびティルトシリンダ7のそれぞれは、流体圧アクチュエータとしての油圧シリンダにて構成されている。
【0034】
また、車体2には、この車体2の進行方向である走行方向を操作するステアリングハンドル11が取り付けられている。さらに、この車体2には、フォーク3を上昇あるいは下降させたり前傾あるいは後傾させたりする一対の操作レバー12が取り付けられている。これら一対の操作レバー12は、一方がフォーク3を昇降させる昇降用で、他方がフォーク3を傾動させる傾動用である。すなわち、これら一対の操作レバー12は、これら一対の操作レバー12の操作によってリフトシリンダ6およびティルトシリンダ7を、図示しない油圧ポンプを介して駆動させて、フォーク3を昇降させたり前後傾斜させたりする。
【0035】
さらに、この車体2の走行方向の中央部には、内部に油圧ポンプなどが収納された機台13が設けられている。この機台13上には、バッテリ収容部14が設けられている。このバッテリ収容部14には、フォークリフト1を駆動させるバッテリ10が内蔵されている。さらに、このバッテリ収容部14の上部は、上方に向けて開口している。そして、このバッテリ収容部14の上部には、このバッテリ収容部14の上部を開閉可能に覆ってカバーするバッテリカバー15が取り付けられている。このバッテリカバー15上には、フォークリフト1を操作するオペレータとしての運転手が着座するシート16が取り付けられている。このシート16の上方には、このシート16に着座している運転手を落下物から保護するヘッドカバー17が取り付けられている。このヘッドカバー17は、機台13上の各角部に立設された細長角柱状の支柱であるピラー18にて支持されて取り付けられている。ここで、これらピラー18のうち、車体2の前側に取り付けられているピラー18には、フォークリフト1の走行方向を変更させる際に点滅するウインカ25がそれぞれ取り付けられている。
【0036】
また、フォークリフト1のシート16に着座した運転手が目視可能な位置には、このフォークリフト1の走行速度を表示させる表示パネル部19が取り付けられている。この表示パネル部19は、機台13より前側であるとともにステアリングハンドル11より前側の車体2上に立設されたフード部20上に後付けされて取り付けられている。このフード部20は、マスト5より後側である車体2の前端縁に幅方向の全体に亘って立設されている。また、表示パネル部19は、フード部20の幅方向の中央部上に取り付けられている。
【0037】
一方、機台13の後側には、車体2の前後の重量バランスをとるためのカウンタウエイト21が取り付けられている。このカウンタウエイト21の下方には、走行輪としての従動輪である一対の後輪22がそれぞれ回転可能に取り付けられている。これら一対の後輪22は、機台13の後側の両側部に取り付けられて鉛直方向に沿って回転可能に軸支されている。さらに、これら一対の後輪22は、水平方向に沿って揺動可能に取り付けられている。すなわち、これら一対の後輪22は、操舵輪であって、ステリアリングハンドル11の操作に同期して、これら一対の後輪22が連動して水平方向に揺動して、車体2の走行方向を変更させる。
【0038】
そして、これら一対の後輪22は、これら一対の後輪22を回転可能に軸支する軸支部としての円筒状のホイール部23を備えている。これらホイール部23は、各後輪22の中央部に取り付けられている。また、このホイール部23の外周部には、円環状のゴム製であるタイヤ部24が嵌合されて取り付けられて後輪22が構成されている。
【0039】
また、機台13の前側の両側部には、前側および下側に向けて開口した収容凹部26がそれぞれ設けられている。これら収容凹部26には、細長平板状の板体を長手方向に沿って凹弧面状に湾曲させた形状のカバー部材27が取り付けられている。これらカバー部材27の長手方向の先端部28は、車体2の前面よりも前方に向けて水平に突出している。また、これらカバー部材27の先端部28は、マスト5の後側の面より後方の位置まで突出している。
【0040】
そして、このカバー部材27内である収容凹部26には、走行輪としての駆動輪である一対の前輪31が回転可能に取り付けられている。これら一対の前輪31は、車体2の前後方向に沿って回転可能に軸支されている。すなわち、これら一対の前輪31は、操舵輪ではなく、ステリアリングハンドル11を操作しても、これら一対の前輪31が水平方向に揺動しないように軸支されて固定されている。
【0041】
ここで、これら一対の前輪31は、一対の後輪22と同様に構成されている。すなわち、これら一対の前輪31は、ホイール部23の外周部にゴム製のタイヤ部24が嵌合されて構成されている。さらに、これら一対の前輪31のうち、走行方向右側に位置する前輪31のホイール部23には、外部に磁界を形成させる磁性体としての磁石体32が取り付けられている。この磁石体32は、永久磁石としてのマグネットであって、ホイール部23の外周縁の内側に合計2個ほど取り付けられている。そして、これら磁石体32は、ホイール部23の外周縁の周方向に沿って所定距離ほど離間されて取り付けられている。
【0042】
一方、フォークリフト1には、このフォークリフト1の走行速度を表示させる速度表示装置としてのフォークリフト用スピード標示装置41が後付けされて取り付けられている。このスピード標示装置41は、フォークリフト1に簡単に装着可能に構成されており、このフォークリフト1のシート16に着座する運転手に正確な走行速度を知らしめ、安全速度を認識させる。
【0043】
そして、このスピード標示装置41は、前輪31の回転を感知する感知手段としての速度センサユニットであるパルスセンサ42を備えている。このパルスセンサ42は、3ピンコネクタであって、前輪31のホイール部23に取り付けられている磁石体32の磁界の変化から前輪31に回転に対応したパルス信号を出力する。言い換えると、このパルスセンサ42は、磁石体32にて形成される磁界の変化から前輪31の回転を感知する。すなわち、このパルスセンサ42は、フォークリフト1の走行速度に応じた磁石体32からの磁界の変化から図4に示すパルス信号を出力する。ここで、このパルスセンサ42には、図示しないセンサユニットが組み込まれている。また、このパルスセンサ42は、非磁性体であるアルミニウムによって形成されている。
【0044】
さらに、このパルスセンサ42は、このパルスセンサ42と磁石体32との間に厚めの鉄板などの磁性体が存在すると正常にパルス信号を検出できない可能性があるから、これらパルスセンサ42と磁石体32との間に磁性体が存在しない個所に取り付けられている。また、このパルスセンサ42は、このパルスセンサ42を取り付けた位置の周辺にバッテリ10、ウインカ25および図示しないハザードランプなどの配線が存在すると、このパルスセンサ42が誤作動する可能性があるので、これら配線から離れた位置に設置されて取り付けられている。
【0045】
したがって、このパルスセンサ42は、磁石体32が取り付けられている前輪31の上方に位置するカバー部材27の先端部28に取り付けられて固定されている。すなわち、このパルスセンサ42は、磁石体32が取り付けられている前輪31に臨んだ位置であるとともに、この前輪31から所定の間隔を介した位置に取り付けられている。また、このパルスセンサ42は、このパルスセンサ42の長手方向の中央部が、磁石体32が取り付けられている前輪31のホイール部23の外周縁上に位置するように取り付けられている。
【0046】
また、スピード標示装置41は、フォークリフト1の走行速度が表示手段としての外部標示ライトであるランプ表示可能なシグナルタワー43を備えている。このシグナルタワー43は、シグナル装置としての速度表示用の速度シグナル表示ランプである。さらに、このシグナルタワー43は、標準で搭載されているシグナルランプとしてのシグナルタワーユニットである。また、このシグナルタワー43は、表示機能としてフォークリフト1の走行速度を3段階に分けて表示する表示手段としてのLEDランプである。また、このシグナルタワー43は、4ピンコネクタであって、図1に示すように、フォークリフト1後部のピラー18の上側に搭載されて取り付けられている。具体的に、このシグナルタワー43は、細長円筒状に形成された積層式タワーライトである。
【0047】
そして、このシグナルタワー43には、フォークリフト1の走行速度が低速度の場合に緑色に点灯する低速表示ランプとしての低速度点灯部44が設けられている。この低速度点灯部44の下側には、フォークリフト1の走行速度が中速度の場合に黄色に点灯する中速表示ランプとしての中速度点灯部45が設けられている。この中速度点灯部45の下側には、フォークリフト1の走行速度が高速度の場合に赤色に点灯する高速表示ランプとしての高速度点灯部46が設けられている。したがって、これら低速度点灯部44、中速度点灯部45および高速度点灯部46のそれぞれは、この順にシグナルタワー43の上側から同心状に積層されて設けられている。
【0048】
さらに、スピード標示装置41は、速度メータとしての速度表示用のスピードメータ47を備えている。このスピードメータ47は、フォークリフト1の走行速度がアナログ表示可能な表示手段である。また、このスピードメータ47は、フォークリフト1のシート16に着座した運転手が目視可能な位置、すなわち車体2上の表示パネル部19の内側面に取り付けられている。そして、このスピードメータ47は、スピード標示装置41のオプションとして搭載されるリニア表示可能なオプションメータである。また、このスピードメータ47は、図2に示すように、時速0km/hから30km/hまでの速度を10km/h単位の目盛、すなわち10km/hステップで表示するアナログメータである。
【0049】
そして、これらパルスセンサ42、シグナルタワー43およびスピードメータ47のそれぞれは、制御手段としての車両値設定ユニットであるコントローラユニット48に配線を介して電気的に接続されている。このコントローラユニット48は、フォークリフト1のバッテリ収容部14内に収容されているバッテリ10に電気的に接続されて、このバッテリ収容部14内に収容されている。なお、このコントローラユニット48は、太陽熱の影響を極力避けるように白色系に塗装されている。また、このコントローラユニット48には、図示しない電源ユニット、CPUおよび周辺回路のそれぞれが搭載された基板が組み込まれている。
【0050】
さらに、このコントローラユニット48は、パルスセンサ42にて感知した前輪31の回転に基づいてフォークリフト1の走行速度を算出してシグナルタワー43およびスピードメータ47に表示させる。具体的に、このコントローラユニット48は、フォークリフト1の走行時にパルスセンサ42から出力されたパルス信号の間隔を計測して、このパルス信号の間隔からフォークリフト1の走行速度を内部のテーブルデータに基づいて算出し、フォークリフト1の走行速度をシグナルタワー43にランプ表示させるとともにスピードメータ47に速度として表示させる。
【0051】
また、このコントローラユニット48の表面には、カバー体としての蓋体である矩形平板状のアクリルパネル51が取り外し可能に取り付けられている。このアクリルパネル51にて覆われた部分であるコントローラユニット48の表面には、図3に示すように、このコントローラユニット48による制御状態を表示する表示部52と、このコントローラユニット48による制御を操作して設定する各種の設定用スイッチとして操作部53とのそれぞれが設けられている。
【0052】
表示部52としては、コントローラユニット48に電源が投入されると緑色に点灯するパワー発光ダイオード(POWER LED)としての電源点灯部54が設けられている。また、この表示部52としては、パルスセンサ42から出力される信号に同期して赤色に点灯あるいは消灯を繰り返して点滅するセンサ発光ダイオード(SENSOR LED)としてのセンサ点灯部55が設けられている。このセンサ点灯部55は、フォークリフト1の走行時にオン・オフが繰り返されて点滅状態となり、このフォークリフト1の走行速度が速くなるに連れて点灯周期が早くなるように設置されている。
【0053】
また、この表示部52としては、フォークリフト1の走行速度が低速度の場合に点灯するロー発光ダイオード(LOW LED)としての低速点灯部56が設けられている。この低速点灯部56は、シグナルタワー43の低速度点灯部44に同期して緑色に点灯するように構成されている。さらに、この表示部52としては、フォークリフト1の走行速度が中速度の場合に点灯するミッド発光ダイオード(MID LED)としての中速点灯部57が設けられている。この中速点灯部57もまた、シグナルタワー43の中速度点灯部45に同期して黄色に点灯するように構成されている。また、この表示部52としては、フォークリフト1の走行速度が高速度の場合に点灯するハイ発光ダイオード(HIGH LED)としての高速点灯部58が設けられている。この高速点灯部58もまた、シグナルタワー43の高速度点灯部46に同期して赤色に点灯するように構成されている。ここで、これら電源点灯部54、センサ点灯部55、低速点灯部56、中速点灯部57および高速点灯部58のそれぞれは、コントローラユニット48の長手方向に沿って並列されて、このコントローラユニット48の表面に設けられている。
【0054】
一方、コントローラユニット48の操作部53としては、パルス設定スイッチとしてのパルス設定機能用のセレクトスイッチ61が設けられている。このセレクトスイッチ61は、このセレクトスイッチ61の操作によってフォークリフト1の前輪31一回転あたりのパルスセンサ42から出力されるパルス信号数が設定できるように構成されている。
【0055】
また、操作部53としては、コントローラユニット48の設定モードが切り替え可能なモード切替スイッチ62が設けられている。このモード切替スイッチ62は、複数、例えば16段階の切替スイッチであって、前輪31のタイヤ部24の直径を設置する機能と、コントローラユニット48の内部設定状態を確認させる機能とを備えている。具体的に、このモード切替スイッチ62の0から9までのモードは、フォークリフト1の前輪31のタイヤ部24のサイズを設定するタイヤサイズ設定用として割り当てられている。また、このモード切替スイッチ62の10〜15までのモードは、AからFまでのモードとされており、これらAからFまでのモードが特殊モードとして割り当てられている。すなわち、このモード切替スイッチ62は、前輪31のタイヤ部24のタイヤサイズの設定と各設定値とを確認できるように構成されている。ここで、このモード切替スイッチ62の4〜Aまでのモードは、何ら設定されていない未使用の予備モードとされている。
【0056】
具体的に、このモード切替スイッチ62の0から3までのモードは、前輪31のタイヤ部24として一般的に使用されるタイヤサイズに合わせて設定されている。したがって、このモード切替スイッチ62は、このモード切替スイッチ62のモードを0から3までのいずれかに切り替えて前輪31のタイヤ部24の大きさであるタイヤサイズを設定した場合に、この前輪31のタイヤサイズに応じてフォークリフト1の走行速度をコントローラユニット48にて算出するように構成されている。
【0057】
また、このモード切替スイッチ62のBモードは、中速検出速度表示モードとされている。そして、このモード切替スイッチ62は、このモード切替スイッチ62を操作してBモードとした場合に、コントローラユニット48の中速点灯部57およびシグナルタワー43の中速度点灯部45のそれぞれが点滅するとともに、現在設定されている低速度と中速度との閾値速度としての境界速度である中速境界速度がスピードメータ47に表示されるように構成されている。また、このモード切替スイッチ62のCモードは、高速検出速度表示モードとされている。そして、このモード切替スイッチ62は、このモード切替スイッチ62を操作してCモードとした場合に、コントローラユニット48の高速点灯部58およびシグナルタワー43の高速度点灯部46のそれぞれが点滅するとともに、現在設定されている中速度と高速度との閾値速度としての境界速度である高速境界速度がスピードメータ47に表示されるように構成されている。
【0058】
さらに、このモード切替スイッチ62のDモードは、磨耗率設定値表示モードとされている。そして、このモード切替スイッチ62は、このモード切替スイッチ62を操作してDモードとした場合に、コントローラユニット48の低速点灯部56およびシグナルタワー43の低速度点灯部44のそれぞれが点滅するとともに、現在設定されている前輪31のタイヤ部24の磨耗率がスピードメータ47に表示されるように構成されている。また、このモード切替スイッチ62のFモードは、外部テスト表示モードとされている。そして、このモード切替スイッチ62は、このモード切替スイッチ62を操作してFモードとした場合に、コントローラユニット48の低速点灯部56、中速点灯部57および高速点灯部58とシグナルタワー43の低速度点灯部44、中速度点灯部45および高速度点灯部46とのそれぞれが順次点滅するとともに、このコントローラユニット48の動作状態が確認、例えばコントローラユニット48の電圧をスピードメータ47に表示させるように構成されている。
【0059】
さらに、操作部53としては、フォークリフト1の前輪31のタイヤ部24の磨耗率を設定する磨耗率設定用の磨耗率設定手段としての磨耗率設定ボリューム63が設けられている。この磨耗率設定ボリューム63は、一般にフォークリフト1の前輪31のタイヤ部24の磨耗率が最高で80%までであるから、この前輪31のタイヤ部24の磨耗率が80%以上100%以下の範囲で設定できるように構成されている。具体的に、この磨耗率設定ボリューム63には、前輪31のタイヤ部24の初期状態の直径に対して、フォークリフト1の走行によって徐々に磨耗した現在の直径の割合である磨耗率を設定の際に指定させる。すなわち、この磨耗率設定ボリューム63には、前輪31のタイヤ部24の初期状態の直径が650mmで現在の実測の直径が600mmの場合に600/650=92%となるから、この場合に磨耗率を92%に設定させる。
【0060】
このとき、この磨耗率設定ボリューム63は、1目盛あたり2%に刻まれて設定されている。また、この磨耗率設定ボリューム63は、予め磨耗率が90%に設定されている磨耗率設定ボリューム63を右隣りの目盛に設定することによって、磨耗率が92%に設定されるように構成されている。さらに、この磨耗率設定ボリューム63は、この磨耗率設定ボリューム63に前輪31のタイヤ部24の磨耗率を設定した場合に、この前輪31の磨耗率に応じてフォークリフト1の走行速度をコントローラユニット48が算出するように構成されている。
【0061】
また、操作部53としては、フォークリフト1の走行速度の中速境界速度を設定するための中速度設定手段としての中速検出設定用ボリューム64が設けられている。この中速検出設定用ボリューム64は、コントローラユニット48の低速点灯部56およびシグナルタワー43の低速度点灯部44にて緑色に表示されるフォークリフト1の走行速度が低速度の場合から、コントローラユニット48の中速点灯部57およびシグナルタワー43の中速度点灯部45にて黄色に表示されるフォークリフト1の走行速度が中速度の場合となる中速境界速度を設定してコントローラユニット48に記憶させる。ここで、この中速検出設定用ボリューム64は、フォークリフト1の中速境界速度が、例えば10±5km/hの範囲内で調整できるように構成されている。すなわち、この中速検出設定用ボリューム64は、例えば5km/h以上15km/h以下の範囲で中速境界速度が設定可能とされている。
【0062】
さらに、操作部53としては、フォークリフト1の走行速度の高速境界速度を設定するための高速度設定手段としての高速検出設定用ボリューム65が設けられている。この高速検出設定用ボリューム65は、コントローラユニット48の中速点灯部57およびシグナルタワー43の中速度点灯部45にて黄色に表示されるフォークリフト1の走行速度が中速度の場合から、コントローラユニット48の高速点灯部58およびシグナルタワー43の高速度点灯部46にて赤色に表示されるフォークリフト1の走行速度が高速度の場合となる高速境界速度を設定してコントローラユニット48に記憶させる。ここで、この高速検出設定用ボリューム65は、フォークリフト1の高速境界速度が、例えば20±5km/hの範囲内で調整できるように構成されている。すなわち、この高速検出設定用ボリューム65は、例えば15km/h以上25km/h以下の範囲で高速境界速度が設定可能とされている。
【0063】
ここで、これら中速検出設定用ボリューム64および高速検出設定用ボリューム65のそれぞれは、1目盛あたり1km/hに刻まれて設定されている。さらに、セレクトスイッチ61、モード切替スイッチ62、磨耗率設定ボリューム63、中速検出設定用ボリューム64および高速検出設定用ボリューム65のそれぞれは、表示部52より下方においてコントローラユニット48の長手方向に沿って並列されて、このコントローラユニット48の表面に設けられている。
【0064】
次に、図1乃至図4に示した一実施の形態の作用を説明する。
【0065】
まず、スピード標示装置41のイニシャル動作としての初期動作は、フォークリフト1の電源スイッチとしての図示しないキースイッチをオンした場合に、このスピード標示装置41のコントローラユニット48に電源が投入されると、このコントローラユニット48内のCPUが動作を開始し、通常の初期動作が終了した後に、フォークリフト1が運転操作可能な運転モードとなって速度表示が可能な状態となる。
【0066】
このとき、このコントローラユニット48に電源を投入した際の通常の初期動作としては、このコントローラユニット48のCPU起動後に、このCPUの内部を確認する。また、このCPUの内部を確認した後には、モード切替スイッチ62にて設定された前輪31の直径に基づいて1パルス間隔の速度変換係数を求めてから、この速度変換係数をコントローラユニット48のCPUのレジスタに記憶して保持する。
【0067】
この後、このコントローラユニット48の表示部52が、低速点灯部56、中速点灯部57および高速点灯部58の順に0.5秒間隔で点灯する。このとき、中速点灯部57および高速点灯部58の点灯時には、現在設定されている中速境界速度および高速境界速度のそれぞれがスピードメータ47に表示される。
【0068】
このとき、このコントローラユニット48の表示部52の点灯と同時に、シグナルタワー43の低速度点灯部44、中速度点灯部45および高速度点灯部46の順に0.5秒間隔で点灯してから、フォークリフト1が運転可能な運転モードへと移行される。
【0069】
ここで、コントローラユニット48のセレクトスイッチ61を押しながらキースイッチをオンして、このコントローラユニット48に電源を投入させることによって、前輪31一回転あたりにパルスセンサ42が検出する検出パルス数を設定できる。この検出パルス数は、モード切替スイッチ62のモードを1から15までの範囲に設定した後に、セレクトスイッチ61を押しながらキースイッチをオンしてコントローラユニット48に電源を投入させることによって設定される。
【0070】
このとき、コントローラユニット48の表示部52のうち、低速点灯部56、中速点灯部57および高速点灯部58のすべてが同時に点灯した場合には、検出パルス数の設定が完了となる。そして、この検出パルス数の設定が完了した後には、キースイッチをオフしてコントローラユニット48への電源の投入を一度遮断させる。
【0071】
この後、このコントローラユニット48のモード切替スイッチ62を指定の前輪31のタイヤ部24のタイヤサイズに設定してから、キースイッチをオンしてコントローラユニット48に電源を再投入させる。
【0072】
なお、このコントローラユニット48の初期動作にて内部異常が検出された場合や、上記確認動作中にパルスセンサ42にてパルスが検出された場合は異常と判定される。この場合、このコントローラユニット48の高速点灯部58とシグナルタワー43の高速度点灯部46とのそれぞれが点滅して、このコントローラユニット48の初期動作あるいは確認動作が異常であることが運転手に通知される。この通知は、運転手にコントローラユニット48を始動させる時のチェックを促すためのものである。
【0073】
そして、このコントローラユニット48の初期動作が完了した段階で、フォークリフト1が運転可能な運転モードとなる。
【0074】
次いで、このフォークリフト1の運転モードでのスピード標示装置41の動作は、このスピード標示装置41のコントローラユニット48の初期動作が正常に完了して終了した場合に、このコントローラユニット48のモードが運転モードに移行する。
【0075】
そして、この運転モードでは、フォークリフト1の走行時の前輪31の回転に伴った磁石体32にて形成される磁界の変化をパルスセンサ42が感知して、この磁石体32の磁界の変化に応じて前輪31の一回転に対応したパルス信号がパルスセンサ42から出力される。
【0076】
この後、このパルスセンサ42から出力されたパルス信号は、コントローラユニット48へと入力される。このとき、このコントローラユニット48のCPUが、図4に示すように、パルスセンサ42から出力されたパルス信号中のパルスを1MHzのクロックで刻んで、このパルス間のカウントを計測する。
【0077】
そして、このCPUは、パルス信号中のパルスの立ち上りを割り込みで検出するとともに、このパルス数のカウントである内部カウンタを保存して、次のパルスの立ち上りまでの差分カウント数を算出する。
【0078】
このとき、1カウントあたり1μSの場合には、カウントした数値そのものが時間データとなる。すなわち、このカウントが15400であった場合には、15400×1μS=0.0154秒となって、前輪が一回転するのに0.0154秒を要したことになる。そして、この0.0154秒が時間データとなる。
【0079】
さらに、コントローラユニット48のCPUでは、上記時間データから速度データを求める処理がなされる。
【0080】
このとき、この速度データを求める処理の前に、外来ノイズなどによってパルスセンサ42が誤作動してしまう可能性が考えられるから、前回取り込んで算出したカウント数と今回取り込んで算出したカウント数が極端に異なる場合には、時間データを補正するとともに、移動平均法によって時間データを平坦化して、この時間データの確度を向上させる。
【0081】
そして、この平坦化された時間データをもとにして、{前輪のタイヤ部の直径(cm)×円周率}/カウント数(μS)=速度(cm/μS)の式に基づいてフォークリフト1の走行速度を算出してから速度の単位をkm/hに変換した速度データを、コントローラユニット48のCPUのレジスタに記憶させて格納させる。
【0082】
この後、このCPUのレジスタに格納させた速度データを基にして、このCPUからパルス幅変調(PWM)出力とフィルタ回路によって走行速度に対応した直流電圧を出力させて、スピードメータ47にフォークリフト1の走行速度をリニア表示させる。
【0083】
このとき、コントローラユニット48の表示部52およびシグナルタワー43に関しては、算出した速度データが中速検出設定用ボリューム64にて設定した中速境界速度より小さい場合、このコントローラユニット48の低速点灯部56およびシグナルタワー43の低速度点灯部44のそれぞれを点灯させる。
【0084】
また、算出した速度データが中速検出設定用ボリューム64にて設定した中速境界速度より大きく、かつ高速検出設定用ボリューム65にて設定した高速境界速度より小さい場合には、コントローラユニット48の中速点灯部57およびシグナルタワー43の中速度点灯部45のそれぞれを点灯させる。
【0085】
さらに、算出した速度データが高速検出設定用ボリューム65にて設定した高速境界速度より大きい場合には、コントローラユニット48の高速点灯部58およびシグナルタワー43の高速度点灯部46のそれぞれを点灯させる。
【0086】
上述したように、上記一実施の形態によれば、フォークリフト1の一方の前輪31のホイール部23の外周縁に磁石体32を取り付けるとともに、この磁石体32が取り付けられている前輪31をカバーするカバー部材27の先端部28にパルスセンサ42を取り付ける。そして、この前輪31の回転に伴って変化する磁石体32からの磁界をパルスセンサ42で感知して、このパルスセンサ42から前輪31の回転に同期したパルス信号を出力させる構成とした。このとき、磁石体32が取り付けられている前輪31に臨んだ位置であるとともに、この前輪31から離れた位置であるカバー部材27の先端部28にパルスセンサ42を取り付けるだけで、この前輪31の回転からフォークリフト1の走行速度を感知できるので、このパルスセンサ42の取り付け作業が容易になる。
【0087】
また、このパルスセンサ42から出力されるパルス信号からフォークリフト1の走行速度を算出するコントローラユニット48を、フォークリフト1のバッテリ収容部14内に収容させて、このバッテリ収容部14内に収容されているバッテリ10に電気的に接続させる構成とした。したがって、このコントローラユニット48の取り付ける作業や、このコントローラユニット48に電源を供給させるための配線作業などが容易になる。
【0088】
さらに、このコントローラユニット48にて算出したフォークリフト1の走行速度をランプ表示させるシグナルタワー43を、フォークリフト1の後部のピラー18の上側に搭載させて取り付けるとともに、このコントローラユニット48にて算出したフォークリフト1の走行速度をアナログ表示させるスピードメータ47を、このフォークリフト1の車体2上に後付けされた表示パネル部19の内側面に取り付ける構成とした。この結果、これらシグナルタワー43やスピードメータ47のそれぞれをフォークリフト1の車体2の外部位置に取り付けて、コントローラユニット48に電気的に接続させるだけで、これらシグナルタワー43やスピードメータ47のそれぞれをフォークリフト1に取り付けることができるから、これらシグナルタワー43やスピードメータ47のそれぞれのフォークリフト1への後付け作業が容易になる。
【0089】
したがって、フォークリフト1の走行速度を表示させるスピード標示装置41を構成する磁石体32、パルスセンサ42、シグナルタワー43、スピードメータ47およびコントローラユニット48のそれぞれのフォークリフト1への取り付けが容易であるので、このスピード標示装置41をフォークリフト1に後付けで装着させる作業が容易であるから、このスピード標示装置41の使い勝手を向上できる。
【0090】
また、このスピード標示装置41のパルスセンサ42で、フォークリフト1の走行速度に応じた磁石体32からの磁界の変化からパルス信号を出力させる構成とした。したがって、このフォークリフト1の走行時における前輪31の回転によって、この前輪31に取り付けられた磁石体32の磁界が確実に周期的に変化するから、この磁界の変化からパルスセンサ42にて感知するパルス信号が正確かつ確実に前輪の回転に応じることとなる。このため、このパルス信号の間隔に基づいてコントローラユニット48にてフォークリフト1の走行速度を算出することにより、このフォークリフト1の走行速度を近接センサなどを用いて算出する場合に比べ、このフォークリフト1の走行速度をより確実かつ正確にコントローラユニット48にて算出できる。
【0091】
このとき、操舵輪ではない前輪31に磁石体32を取り付けて、この磁石体32が形成する磁界の変化をパルスセンサ42にて感知させて、この磁石体32の磁界の変化に応じたパルス信号をパルスセンサ42から出力させる構成とした。したがって、操舵輪である後輪22に磁石体32を取り付けて、この後輪22の回転に伴う磁界の変化をパルスセンサ42で感知させる場合に比べ、前輪31は左右方向に揺動することがないので、フォークリフト1の走行速度をコントローラユニット48にてより正確に算出できる。
【0092】
さらに、このコントローラユニット48のモード切替スイッチ62を操作して、このモード切替スイッチ62のモードをフォークリフト1の前輪31のタイヤサイズに合わせて設定する。この結果、このモード切替スイッチ62にて設定された前輪31のタイヤサイズと、パルスセンサ42から出力されたパルス信号の間隔とのそれぞれに基づいて、コントローラユニット48がフォークリフト1の走行速度を算出する。したがって、前輪31のタイヤサイズが異なる種々のフォークリフト1であっても、コントローラユニット48のモード切替スイッチ62を操作して、フォークリフト1の前輪31のタイヤサイズを設定するだけで、これら前輪31のタイヤサイズの異なる種々のフォークリフト1の走行速度を正確に算出できる。よって、スピード標示装置41を種々のフォークリフト1に対応させて用いることができるので、このスピード標示装置41の汎用性を向上できる。
【0093】
また、コントローラユニット48の磨耗率設定ボリューム63を操作して、フォークリフト1の前輪31のタイヤ部24の磨耗率を設定する。この結果、モード切替スイッチ62にて設定された前輪31のタイヤサイズと、磨耗率設定ボリューム63にて設定された前輪31の磨耗率と、パルスセンサ42から出力されたパルス信号の間隔とのそれぞれに基づいて、コントローラユニット48がフォークリフト1の走行速度を算出する。したがって、フォークリフト1の長期間に亘る使用によって、このフォークリフト1の前輪31のタイヤ部24が磨耗して、この前輪31のタイヤ部24の径寸法が小さくなった場合であっても、このフォークリフト1の走行速度が前輪31の磨耗率に応じて算出できるので、このフォークリフト1の走行速度をコントローラユニット48にて常に正確に算出できる。このため、このフォークリフト1の前輪31の磨耗を補正できるので、このフォークリフト1の走行速度を常時正確にシグナルタワー43やスピードメータ47に表示できる。
【0094】
さらに、コントローラユニット48の中速検出設定用ボリューム64にて中速境界速度を設定するとともに、このコントローラユニット48の高速検出設定用ボリューム65にて高速境界速度を設定してから、このコントローラユニット48にて算出したフォークリフト1の走行速度が中速境界速度以下の場合には、シグナルタワー43の低速度点灯部44が点灯して、このシグナルタワー43が緑色に点灯する。
【0095】
また、コントローラユニット48にて算出したフォークリフト1の走行速度が中速境界速度以上高速境界速度以下の場合には、シグナルタワー43の中速度点灯部45が点灯して、このシグナルタワー43が黄色に点灯する。さらに、コントローラユニット48にて算出したフォークリフト1の走行速度が高速境界速度以上の場合には、シグナルタワー43の高速度点灯部46が点灯して、このシグナルタワー43が赤色に点灯する。
【0096】
したがって、フォークリフト1のシート16に着座して、このフォークリフト1を運転する運転手のみならず、このフォークリフト1の周囲で作用する作業者が、フォークリフト1のシグナルタワー43を目視することによって、これら運転手および作業者のそれぞれに対して、フォークリフト1の走行速度が、低速度、中速度および高速度の3段階のいすれであるかを確認できる。このため、これら運転手および作業者がフォークリフト1の走行速度を容易かつ確実に認識できる。
【0097】
また、コントローラユニット48にて算出したフォークリフト1の走行速度を、このフォークリフト1の車体2上に後付けした表示パネル部19に取り付けたスピードメータ47にアナログ表示させる構成とした。この結果、このフォークリフト1の走行速度をシグナルタワー43で3段階に分けてランプ表示のみさせる場合に比べ、このフォークリフト1の走行速度を運転手がより詳細かつ正確に認識できるようになる。したがって、このフォークリフト1にて公道を走行する際などに、このフォークリフト1の走行速度をより正確かつ確実に確認できるので、このフォークリフト1の使い勝手をより向上できる。
【0098】
なお、上記一実施の形態では、フォークリフト1の車体2上に表示パネル部19を後付けし、この表示パネル部19にスピードメータ47を取り付けて、コントローラユニット48にて算出したフォークリフト1の走行速度をアナログ表示させる構成としたが、このフォークリフト1の走行速度を低速度、中速度および高速度の3段階に分けてシグナルタワー43でランプ表示させるだけで足りる場合には、これら表示パネル部19およびスピードメータ47のそれぞれをフォークリフト1に対して後付けして取り付けなくても良い。
【0099】
また、フォークリフト1の走行速度を正確に算出するために、このフォークリフト1の走行方向変更時に揺動しない前輪31にスピード標示装置41の磁石体32およびパルスセンサ42を取り付けて、この前輪31の回転から走行速度を算出する構成としたが、走行方向変更時に後輪22が揺動するフォークリフト1の場合には、このフォークリフト1の後輪22にスピード標示装置41の磁石体32およびパルスセンサ42を取り付けて、この後輪22の回転から走行速度を算出すればよい。
【0100】
さらに、フォークリフト1にスピード標示装置41を後付けしして、このフォークリフト1を速度表示可能としたが、このフォークリフト1以外の走行速度を表示する機構が設けられていない車両、例えば建設機械などの作業機械であっても対応させて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る車両の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同上車両に取り付けられる速度表示装置を示す説明図である。
【図3】同上速度表示装置の制御手段を示す説明図である。
【図4】同上速度標示装置の制御手段による車両の速度の算出方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0102】
1 車両としてのフォークリフト
2 車両本体としての車体
31 走行輪としての前輪
32 磁性体としての磁石体
41 速度表示装置としてのスピード標示装置
42 感知手段としてのパルスセンサ
43 表示手段としてのシグナル装置であるシグナルタワー
44 低速度点灯部
45 中速度点灯部
46 高速度点灯部
47 表示手段としての速度メータであるスピードメータ
48 制御手段としてのコントローラユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体に走行輪が設けられた車両の速度を表示する車両の速度表示装置であって、
前記車両の速度が表示可能な表示手段と、
前記走行輪に臨んだ位置に取り付けられ、この走行輪の回転を感知する感知手段と、
この感知手段にて感知した前記走行輪の回転に基づいて前記車両の速度を算出して前記表示手段に表示させる制御手段と
を具備したことを特徴とした車両の速度表示装置。
【請求項2】
感知手段は、車両の走行輪に取り付けられた磁性体を備え、この磁性体が形成する磁界の変化から前記走行輪の回転に応じたパルス信号を出力し、
制御手段は、前記感知手段から出力されたパルス信号の間隔に基づいて前記車両の速度を算出する
ことを特徴とした請求項1記載の車両の速度表示装置。
【請求項3】
磁性体は、操舵されない走行輪に取り付けられている
ことを特徴とした請求項2記載の車両の速度表示装置。
【請求項4】
制御手段は、車両の走行輪の大きさに応じて、この車両の速度を算出する
ことを特徴とした請求項1乃至3いずれか記載の車両の速度表示装置。
【請求項5】
制御手段は、車両の走行輪の磨耗率に応じて、この車両の速度を算出する
ことを特徴とした請求項1乃至4いずれか記載の車両の速度表示装置。
【請求項6】
表示手段は、低速度点灯部、中速度点灯部および高速度点灯部を有するシグナル装置を備え、
制御手段には、中速境界速度とこの中速境界速度より大きい高速境界速度とが記憶され、
この制御手段は、算出した車両の速度が前記中速境界速度以下の場合に前記低速度点灯部を点灯させ、算出した前記車両の速度が前記中速境界速度以上前記高速境界速度以下の場合に前記中速度点灯部を点灯させ、算出した前記車両の速度が前記高速境界速度以上の場合に前記高速度点灯部を点灯させる
ことを特徴とした請求項1乃至5いずれか記載の車両の速度表示装置。
【請求項7】
表示手段は、車両の速度を表示する速度メータを備え、
制御手段は、算出した前記車両の速度を前記速度メータに表示させる
ことを特徴とした請求項1乃至6いずれか記載の車両の速度表示装置。
【請求項8】
車両は、フォークリフトである
ことを特徴とした請求項1乃至7いずれか記載の車両の速度表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−71604(P2006−71604A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258752(P2004−258752)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】