説明

車両ユニット及び携帯無線通信ユニット

【課題】本発明は、車両と携帯無線ユニットの距離や、車両の状態を車両自身や携帯無線ユニットへ効率的に報知する方法を提供するものである。
【解決手段】本発明の使用者Bの自転車650は、走行検出手段653で駐車していないと判断した場合には、使用者Aの無線キー630と通信することができ、使用者Aの無線キー630と通信を行なった際には、定期的に認証通信を行なった上で、使用者Bの自転車650と使用者Aの無線キー630間の距離を、演算手段655で行う。ここであらかじめ定められた距離以上はなれていると演算手段655で判断した場合には、報知手段654で報知処理を行い、使用者Bの自転車650に乗っている使用者に対して、使用者Aの無線キー630から離れたということを注意喚起するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車の解施錠を安全に、かつ確実に行う車両ユニット及び携帯無線通信ユニットを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題や個人の健康が重要視される中、自転車の利用が高まってきている。最近の自転車では、坂道を登る際のアシストを行う電動自転車も増えてきており、高価格化が進んでいる。このような中で、自転車の盗難件数も増えてきている。よって、利用者は、自転車に鍵をつけ、解施錠を行うことが一般的になっている。この場合、利用者は駐輪時に自転車の前輪または後輪に取り付けられている鍵を使って施錠し、施錠した鍵を持ち歩く。そして、自転車に乗る際には、所持している鍵を鍵穴に指して解錠する。
【0003】
ここで、従来の解施錠の方法では、自転車の前輪または後輪に取り付けられている鍵部のロック爪を押し込むことで施錠して鍵を抜き取り、解錠時は持ち歩いた鍵を鍵部に挿入してロック爪をはずすことにより解錠することとなるが、無理な体勢での解施錠を強いられると共に、手先や腕が車輪その他と接触する可能性が高く、衣服が汚れたりする場合が散見される。これに対して、遠隔から解施錠できるようなシステムが検討されている。これは、利用者が無線通信可能なキーを有し、キーに付属するボタン等を押下するだけで、遠隔で自転車の解施錠ができる仕組みである。
【特許文献1】特開平10−196188号公報
【特許文献2】特開2000−190885号公報
【特許文献3】特開2000−213217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の遠隔解施錠には、以下のような問題点がある。第1に、遠隔でキーのボタン等を押下して解施錠を行うが、走行中に誤ってキーのボタンを押下した場合、施錠機構が動作して、転倒等の重大事故を引き起こす可能性がある。よって、遠隔での操作は解錠のみに限定しているものもあるが、施錠は手動とすると従来の問題を解決することができない。第2に、キー側のボタン等を押下して自転車の解施錠を行う場合、利用者は解施錠時にキーを探す必要があるということである。例えば、自転車施錠後に、キーをカバン等に入れている場合、駐輪場に戻ってきた場合にカバンの中からキーを探すことになるが、どこに入れたか忘れる場合が考えられ、探すのに手間がかかる、特に、夜間は探すのが大変である。このように、せっかく解施錠を遠隔でできるようにしても、遠隔で行う為のキーを探す手間は、従来の手動で解施錠を行う場合と同様に発生する。以上にように、上記従来の遠隔解施錠には大きな問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、安全に施錠ができると共に、解施錠時のキーを探す手間を省きながら、かつ確実に利用者本人の認証を行う解施錠システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の解施錠システムは、車両の走行を不能にしたり、可能にしたりする解施錠部と、車両が走行中か否かを検知する走行検知部と、利用者の解施錠の意思を入力する入力部から構成される解施錠システムであって、前記車両は、解錠中に前記入力部からの施錠の旨の入力があった場合に、前記走行検知部によって車両が走行中と判断した場合には、前記解施錠部を動作させない構成とし、さらに前記携帯無線装置
からの信号に応じて前記車両の走行条件を可変とするものである。
【0007】
そして、車両が走行中である場合には施錠しない為、利用者が誤って施錠しようとした場合の事故を防ぐことができ、システムの安全性を高めることができる。また、個々人の嗜好や安全性に沿った最適制御を自動で行うことができ、利用者の利便性がいちじるしく向上する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の解施錠システムによれば、個々人の嗜好や安全性に沿った最適制御を自動で行うことができ、利用者の利便性がいちじるしく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、車両が走行中か否かを検知する走行検知部と、外部から操作入力を行う携帯無線装置と通信を行う無線通信部と、前記携帯無線装置と前記車両間の通信状況をもとに前記携帯無線装置と前記車両間の距離を判断する距離判断手段と、前記判断手段にて前記携帯無線装置と前記車両間の距離が規定以上離れた際に報知処理を行う報知手段とから構成される車両ユニットにおいて、前記走行検知部において車両が走行中でない場合には、前記携帯無線装置と前記車両間の距離が規定以上離れても前記報知手段で報知処理を行なわないことで、車両が走行中のときのみ携帯無線装置との距離を算出し、報知処理を行うことができ、たとえば子ども等が乗って移動している自転車を親が管理するようなことができる。
【0010】
第2の発明は、前記走行検出手段は傾斜検知手段から構成されており、前記傾斜検知手段で規定量以上の変位を検出した場合には、前記無線通信手段から報知電文を送信することで、車両が倒れたかどうかを検出することができ、たとえば子ども等が乗って移動している自転車が転倒した際に、携帯無線装置を持っている親へ直ちに報知することができる。
【0011】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明に記載の第1車両ユニットと、第1の発明または第2の発明に記載の第2車両ユニットと通信を行う携帯無線通信ユニットにおいて、第1車両から送信される車両の走行検知情報が駐車中であった場合には、第1車両から第2車両に通信を切り替えることを特徴とするものである。これによれば、無線通信ユニットが複数の車両と通信を行うことでき、車両の状態、車両の種類によって複数の機能を持たせて通信を行うことができる。
【0012】
第4の発明は、携帯無線通信ユニットが、第2の車両と通信を行なっている際に、第2の車両との通信距離があらかじめ定められた距離以上離れると報知を行なう報知手段を備えることで、たとえば、第2の車両に乗って移動している子どもと、携帯無線通信ユニットを持っている親との距離を把握し、子どもが親から離れていっている状態を親は察知することができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1のシステム構成図を示す。図1において、1は自転車である。2は走行検知部である。3は解施錠部である。4は入力部である。なお、図1において、(a)は自転車1が停止中の場合であり、(b)は自転車1が走行中の場合である。
【0015】
図1(a)において、動作を図3のフローチャートを用いながら説明する。利用者が自転車1を停めてスタンドを立てた状態でまだ施錠をしていない(解錠中)の場合、利用者は、その後、自転車1に施錠を行う。この場合、利用者は自転車1の入力部4を操作して自転車1を施錠する。具体的には、例えば、入力部4は押しボタン式のスイッチになっており、利用者は当該スイッチを押すことにより施錠を行う(図3のS31)。このようにして利用者が施錠操作を行った場合、入力部4は現在「解錠中」である状態で入力信号を受信したことで、施錠動作を行おうとする(図3のS32)。ここで、入力部4は、走行検知部2に問い合わせを行う。問い合わせ内容は、現在、自転車1が走行中か否かについてである。
【0016】
図1において、走行検知部2は自転車1のスタンドに取り付けられている。そして、走行検知部2は、自転車1のスタンドが立っているかいないかを検知している。これは、スタンドが立っている場合は、自転車1は停止中、すなわち走行していない状態であり、スタンドが立っていない場合は、自転車1は走行中の状態とみなすことができる為である。
【0017】
走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図1(a)の場合には、停止中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から停止中の旨の情報を得た場合(図3のS33)、施錠を行ってもよいと判断し、解施錠部3に施錠の指示を出す。解施錠部3は、入力部4から施錠の指示を受け取ると、自転車1の施錠を行う(図3のS34)。
【0018】
なお、図1では、解施錠部3は自転車1の後輪に取り付けられており、何らかの方法で自転車1の後輪をロック状態にして施錠する。これで、自転車1は「解錠中」から「施錠中」に遷移する。このようにして、利用者は自転車1に施錠されたことを確認し、その場を後にする。
【0019】
次に、利用者が自分の自転車1の場所に戻ってきて、これから自転車1に乗ろうとする場合について説明する。利用者が今から自転車1に乗ろうとする場合、先程と同じように、入力部4のスイッチを押す(図3のS31)。ここで、入力部4は、現在「施錠中」である状態で入力信号を受信したことで、解錠動作を行おうとする(図3のS32)。ここで、入力部4は、走行検知部2に問い合わせを行う。問い合わせ内容は、現在、自転車1が走行中か否かについてである。
【0020】
走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図1(a)の場合には、停止中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から停止中の旨の情報を得た場合(図3のS33)、解錠を行ってもよいと判断し、解施錠部3に解錠の指示を出す。解施錠部3は、入力部4から解錠の指示を受け取ると、自転車1の解錠を行う(図3のS34)。これで、自転車1は「施錠中」から「解錠中」に遷移する。このようにして、利用者は自転車1が解錠されたことを確認し、スタンドをはずして自転車に乗る。
【0021】
次に、利用者が走行中に誤って施錠ボタンを押下した場合について、図1(b)及び図3のフローチャートを用いながら説明する。入力部4は、現在「解錠中」である状態で入力信号を受信したことで(図3のS31)、施錠動作を行おうとする(図3のS32)。ここで、入力部4は、走行検知部2に問い合わせを行う。問い合わせ内容は、現在、自転車1が走行中か否かについてである。
【0022】
走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか
否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図1(b)の場合には、走行中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から走行中の旨の情報を得た場合、施錠を行ってはいけないと判断し(図3のS33)、解施錠部3に施錠の指示を出さない。結果として、自転車1は施錠されない。これにより、利用者が走行中に誤って施錠ボタンを押下した場合でも、自転車1が施錠されない為、図1では後輪がロックされることがなく、重大事故を防ぐことができる。
【0023】
以上のように、利用者は、自転車を1タッチで容易に施錠したり解錠したりすることができると共に、誤った操作による施錠の結果の重大事故を防ぐことができる。
【0024】
なお、上記実施の形態において、入力部4と走行検知部2、入力部4と解施錠部3の情報のやり取りは、それぞれを有線で接続して行ってもよいし、無線で接続して行ってもよい。
【0025】
また、上記実施の形態においては、入力部4が自転車1の現在の状態、すなわち「解錠中」か「施錠中」かの状態を有し、それに応じて入力部4に入力があった場合に、その入力が解錠要求なのか施錠要求なのかを判断する構成としたが、入力部4に、解錠スイッチと施錠スイッチを設け、どちらのスイッチが操作されたかによって解錠要求なのか施錠要求なのかを判断する構成としてもよいし、入力部4は、「解錠中」か「施錠中」かの状態を有せず、解施錠部3が有してもよい。
【0026】
さらに、上記実施の形態では、入力部4が走行検知部2に走行状態を問い合わせし、その結果を取得して解施錠部3に指示を出すか否かを判断する構成としたが、走行検知部2が常時、もしくは走行状態に変化があった時にその旨を入力部4または解施錠部3に送り、入力部4または解施錠部3で走行中か否かの状態を保持する方法でもよい。
【0027】
(実施の形態2)
図2に、本発明の実施の形態2のシステム構成図を示す。なお、図1と同じ役割のものは説明を省略する。図2において、5は無線キーである。
【0028】
図2において、動作を図4のフローチャートを用いながら説明する。自転車1の利用者は、無線キー5を常に携帯している。すなわち、自転車1の利用者は、カバンやポケット等に常に無線キー5を携帯しており、無線キー5は自転車1の所有者本人であることを証明するものとみなすことができる。
【0029】
ここで、実施の形態1と同様に、利用者が自転車1を停める場合を考える。図2において、利用者が自転車1を停めてスタンドを立てた状態でまだ施錠をしていない(解錠中)の場合、利用者は、その後、自転車1に施錠を行う。
【0030】
この場合、利用者は自転車1の入力部4を操作して自転車1を施錠する。具体的には、例えば、入力部4は押しボタン式のスイッチになっており、利用者は当該スイッチを押すことにより施錠を行う(図4のS41)。このようにして利用者が施錠操作を行った場合、入力部4は現在「解錠中」である状態で入力信号を受信したことで、施錠動作を行おうとする(図4のS42)。ここで、入力部4は、走行検知部2に問い合わせを行う。問い合わせ内容は、現在、自転車1が走行中か否かについてである。
【0031】
走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図2の場合には、停止中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から停止中の旨の情報を得た場合(図4のS43)、次に無線キー5に対して無線通信を行う。
【0032】
ここで、利用者が自転車1の解錠中に施錠を行う場合、前述のように利用者が入力部4のスイッチを押下するので、利用者は自転車1の傍にいるはずである。よって、当該利用者が所持している無線キー5も自転車1の傍にあるはずである。
【0033】
ゆえに、自転車1の入力部4が無線キー5に対して無線通信を行おうとした場合、電波が十分届く範囲内に無線キー5は存在しているはずなので、入力部4と無線キー5の無線通信は成功する。ここで、入力部4は無線キー5との無線通信が成功した場合、先程入力部4のスイッチを押下したのが利用者本人であると認識する。すなわち、本人認証が成立したこととなる(図4のS44)。
【0034】
入力部4は、無線キー5との無線通信が成功し本人認証が成立した場合、施錠を行ってもよいと判断し、解施錠部3に施錠の指示を出す。解施錠部3は、入力部4から施錠の指示を受け取ると、自転車1の施錠を行う(図4のS45)。これで、自転車1は「解錠中」から「施錠中」に遷移する。このようにして、利用者は自転車1に施錠されたことを確認し、その場を後にする。
【0035】
一方、利用者が自分の自転車1の場所に戻ってきて、これから自転車1に乗ろうとする場合についても同様である。すなわち、利用者が今から自転車1に乗ろうとする場合、先程と同じように、入力部4のスイッチを押す(図4のS41)。ここで、入力部4は、現在「施錠中」である状態で入力信号を受信したことで、解錠動作を行おうとする(図4のS42)。ここで、入力部4は、走行検知部2に問い合わせを行う。問い合わせ内容は、現在、自転車1が走行中か否かについてである。
【0036】
走行検知部2は、入力部4から問い合わせがあった場合、現在スタンドが立っているか否かに応じて、走行中か停止中かを判断し、その結果を入力部4に送る。図2の場合には、停止中である旨を入力部4に送る。入力部4は、走行検知部2から停止中の旨の情報を得た場合(図4のS43)、次に無線キー5に対して無線通信を行う。入力部4は無線キー5との無線通信が成功した場合、先程入力部4のスイッチを押下したのが利用者本人であると認識する。すなわち、本人認証が成立したこととなる(図4のS44)。
【0037】
入力部4は、無線キー5との無線通信が成功し本人認証が成立した場合、解錠を行ってもよいと判断し、解施錠部3に解錠の指示を出す。解施錠部3は、入力部4から解錠の指示を受け取ると、自転車1の解錠を行う(図4のS45)。これで、自転車1は「施錠中」から「解錠中」に遷移する。このようにして、利用者は自転車1が解錠されたことを確認し、スタンドをはずして自転車に乗る。
【0038】
次に、悪意を持った人が、自転車1を盗もうとした場合を考える。自転車1が「施錠中」に、悪意を持った人が入力部4のスイッチを押下した場合(図4のS41)、走行検知部2は自転車1が停止中と判断する(図4のS43)が、入力部4と無線キー5との無線通信は成功しない。なぜなら、自転車1の利用者が傍にいない為で、その為本人認証ができないこととなる(図4のS44)。よって、解施錠部3が動作することはなく、結果として、自転車1は解錠されない。
【0039】
以上のように、無線キー5を使った本人認証の仕組みを構築することで、自転車1の停止中のみ可能な解施錠が、自転車1の所有者本人しか実現できないこととなり、解施錠の安全性に加え、盗難防止観点からのセキュリティ性の向上も実現することが可能となる。なお、自転車1を停めて施錠する場合においても、無線キー5との本人認証を行うこともできる。こうすることで、他人がいたずら目的で施錠するといったことを防ぐことができる。
【0040】
また、本実施の形態においては、自転車1の所有者が携帯している無線キー5には、ボタン等のスイッチがついておらず、自転車1の解施錠は、自転車1に付属している入力部4のスイッチ操作で実現できる。すなわち、無線キー5に付属しているスイッチで自転車1の解施錠を行う方式ではない。これは、自転車1の解施錠を行う場合に、利用者は無線キー5をカバンやポケット等から探す必要がないことを意味する。つまり、自転車1の所有者は、無線キー5をどこでもよいから携帯しているのみで、自転車1の解施錠が手軽にできることとなる。これは、鍵を探す手間や鍵を挿入したり抜いたりする手間が必要ないことを意味し、ユーザーの利便性を大幅に向上させることができる。
【0041】
以上、本実施の形態では、入力部4が走行検知部2の状態を把握した後、無線キー5と本人認証を行う方式で説明したが、入力部4に利用者スイッチ押下が発生した時点で、先に無線キー5と本人認証を行った後、本人認証が成功したら走行検知部2に対して走行状態を確認する手順としてもよい。
【0042】
また、実施の形態1で説明したように、入力部4と走行検知部2、入力部4と解施錠部3の情報のやり取りは、それぞれを有線で接続して行ってもよいし、無線で接続して行ってもよい。
【0043】
また、入力部4が自転車1の現在の状態、すなわち「解錠中」か「施錠中」かの状態を有し、それに応じて入力部4に入力があった場合に、その入力が解錠要求なのか施錠要求なのかを判断する構成としたが、入力部4に、解錠スイッチと施錠スイッチを設け、どちらのスイッチが操作されたかによって解錠要求なのか施錠要求なのかを判断する構成としてもよいし、入力部4は、「解錠中」か「施錠中」かの状態を有せず、解施錠部3が有してもよい。
【0044】
さらに、入力部4が走行検知部2に走行状態を問い合わせし、その結果と、無線キー5との本人認証の結果を合わせて、解施錠部3に指示を出すか否かを判断する構成としたが、走行検知部2が常時、もしくは走行状態に変化があった時にその旨を入力部4または解施錠部3に送り、入力部4または解施錠部3で走行中か否かの状態を保持する方法でもよい。また、無線キー5との本人認証を行うのが、入力部4でなくても、走行検知部2であったり、解施錠部3であったりしてもよい。
【0045】
ところで、入力部4と無線キー5間で無線で行われる本人認証であるが、具体的には、自転車1のIDや無線キー5のIDを無線通信し、当該IDの照合を用いて本人認証を行う、といった方式が考えられる。
【0046】
例えば、自転車1には、何らかの方法で事前に無線キー5のIDが記憶されており、無線キー5からの送信電波に搭載されている無線キー5のIDが、自ら記憶しているIDと一致した場合に、本人認証が成功とみなす方式や、逆に無線キー5には予め自転車1のIDが何らかの方法で事前に記憶されており、無線キー5は自転車1に対する送信電波に当該自転車1のIDを搭載し、自転車1は受信時に受信したIDと自らのIDを照合することで本人認証を行う方式もある。
【0047】
同様のことが無線キー5側でも実現でき、自転車1から無線キー5に送信される送信電波に搭載されている自転車1のID、もしくは無線キー5のIDを、無線キー5は受信時に照合することもできる。このようにすることで、自転車1と無線キー5間の無線通信の信頼性が高まり、本人認証精度が向上する。
【0048】
また、自転車1は無線キー5からの電波を受信する際の受信電界強度を測定し、その結
果で本人認証の成功可否を判断することもできる。具体的には、自転車1には予め決められた受信電界強度閾値が記憶されており、無線キー5から電波を受信する際に受信電界強度を測定して、その結果が予め記憶されている閾値を上回った場合に本人認証を成功とみなすといった方法である。これは、受信電界強度をベースに距離検知を行う考え方であり、受信電界強度が低ければ、自転車1と無線キー5との距離が離れており、逆に受信電界強度が高ければ、自転車1と無線キー5との距離が近いという判断である。これにより、自転車1の所有者が自転車1の近傍にいるかいないかを判別することができ、本人認証の確実性を高めると共に、例えば、悪意を持った人物が、自転車1を盗もうとした場合に、所有者が自転車1から離れる微妙なタイミングで解錠をするといった手口を防ぐことができる。ここで、受信電界強度の判断は、1度の測定で判断をしてもよいし、複数回測定してその中央値や平均値で判断してもよい。複数回測定することで、フェージングによる受信電界強度変動の影響を排除し、判断精度を高めることができる。
【0049】
さらに、自転車1と無線キー5間の無線通信においては、通信データに暗号化を施すこともできる。例えば、予め自転車1と無線キー5双方に共通した鍵(暗号鍵)を持たせ、当該暗号鍵を使って、無線通信の暗号化や復号化を行うことで、データの秘匿性が高まり、それによって、他人が悪意を持ってデータを操作するといったことができにくくなる。しいては、本人認証の精度を大きく高めることができる。
【0050】
なお、自転車1と無線キー5間の無線通信に用いる電波は、例えば、400MHz帯に代表されるような特定小電力無線を用いて行うことも可能である。それ以外にも、微弱電波、赤外線、無線LAN、無線タグ、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)と言ったような通信媒体を利用してもよい。
【0051】
以上、実施の形態1、実施の形態2において、走行検知部2は自転車のスタンドが立っているか否かを利用して判断する説明をしたが、他の方法で走行中か否かを検出してもよい。例えば、自転車1の車輪部にセンサーを設けて、車輪が回転しているか否かを検知するような方法でもよい。
【0052】
(実施の形態3)
図5に、第3の実施の形態のシステム概要図を示す。図5において、自転車1には無線装置が搭載されており、当該自転車を複数の使用者でシェアして使用しているとする。そして、各個人が無線キー5を所有している。この無線キー5は、各個人が自転車に乗降する場合に無線通信を利用して、手動で自転車の解施錠を行わなくても、自動で解施錠が実現される。いわゆる、スマートエントリー機能の自転車版である。
【0053】
ここで、この4人の使用者は、それぞれ年齢も体格も異なる。そして、趣味嗜好も異なり、それぞれが、自分の好みに合ったスタイルで1台の共用自転車に乗車したいと考えている。ここで、例えば、自転車1にサドル高の自動調整機能が付加されているとする。ここで、ある使用者が自転車に乗車したい場合を考える。その使用者は、自らの無線キー5を有して自転車1に近づく。そうすると、自転車1と使用者が有する無線キー5間で無線通信を行い、自転車1は使用者が近づいた(乗車しようとしている)と認識する。そうすると、自転車1はサドル高の自動調整機能を動作させ、サドル高を高くする(使用者の体格に合わせた最適なサドル高にする)。
【0054】
一方、他の使用者が同様に自転車1に乗車しようとした時は、サドル高を低くする(他の使用者の体格に合わせた最適なサドル高にする)。このように、乗車する人に合わせた最適なサドル高を自動的に調整することで、利用者の使い勝手が非常に向上する。
【0055】
同様のことが、サドル高のみならず、他の制御にも応用できる。すなわち、電動自転車
の場合のアシスト量の制御(例えば、ある使用者の乗車時は「アシストなし」、別の使用者の乗車時は「アシスト量最大」)とか、最高速度制限値制御(例えば、ある使用者は「制限なし」、別の使用者は「最高速:20km」)といった具合に個々人の嗜好や安全性に沿った最適制御を自動で行うことができ、利用者の利便性がいちじるしく向上する。
【0056】
(実施の形態4)
図6に、第4の実施の形態のシステム概要図を示す。図6において、使用者Aの自転車600には無線装置が搭載されており、使用者Aが有する無線キー630との間で無線通信を行い、使用者Aが自転車600に乗降する場合に無線通信を利用して、手動で自転車の解施錠を行わなくても、自動で解施錠が実現される。いわゆる、スマートエントリー機能の自転車版である。
【0057】
一方、使用者Bの自転車650にも無線装置が搭載されている。ここで、使用者Bも無線キー670を有して、自分の自転車650に乗降する場合のスマートエントリーとして使っている場合を考えてもよいし、単純に、使用者Bの自転車650にのみ無線装置が搭載されている場合でもよい。
【0058】
ここで、使用者Aが有する無線キー630と使用者Bの自転車650の無線装置間で予め、登録作業が施されている場合、使用者Aが有する無線キー630と使用者Bの自転車650の無線装置間は、定期的に距離検知通信を行う。これは、無線受信時の電界強度測定によって実現される。
【0059】
以上のようなシステム構成において、使用者Bが自転車650に乗って外出した場合を考える。この時、使用者Bの自転車650の無線装置の電源が投入されている。この場合において、使用者Aは、何らかの理由で、使用者Bと離れているとする。この時、使用者Aは、自分の自転車A1のスマートエントリー用の無線キー630の電源を投入する。そうすると、使用者Aの自転車用の無線キー630と使用者Bの自転車650の無線装置間で無線通信が開始される。
【0060】
ここで、使用者Bの自転車650の無線装置は、使用者Aの自転車用の無線キー630からの電波を受信した際に、電界強度を測定する。電界強度は、使用者Bの自転車650が使用者Aの無線キー630から距離が離れるに従って、小さくなる。そして、測定した電界強度が、予め使用者Bの自転車650の無線装置に設定されている閾値を下回った場合、使用者Bの自転車650に付属しているベルやブザーから音を鳴らす。この時、使用者Bは、この音を聞いて、使用者Aから離れたことを知り、それ以上遠くに行かないようになる。つまり、使用者Bが、使用者Aから一定距離以上離れた場合に、ブザー等の警報音が鳴ることで、使用者Bに対し注意喚起を与えることができる。
【0061】
このように、本来自分の自転車のスマートエントリー用の無線キーの機能を、別の自転車と連携させることで、このような、簡易的な使用者B見守り機能を実現させることができる。
【0062】
図7に実施の形態4における使用者Aが保持する使用者Aの自転車用無線キー630と使用者Bの自転車650の内部構成図を示す。図7を用いて無線キー630と自転車650内の構成要素について説明をしていく。
【0063】
無線キー630は、使用者Aの自転車600と使用者Bの自転車650と無線通信を行なうキー無線通信手段631と、自転車600と自転車650と無線通信を行なう際のプロトコルや電文仕様、送受信周波数、送信出力、周波数偏移量、伝送レート、送受信時に使用するフィルタ情報を記憶するキー記憶手段632と、キー記憶手段632に記憶され
ている情報を基にキー無線通信手段631を介して通信を行なう際の電文を生成するキー演算手段633から構成されている。
【0064】
キー無線通信手段631は、アンテナを介してRFID(Radio Frequency Identification:無線周波数識別)で使用されている短距離用電波やUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線)、微弱、特定小電力無線等を用いてペアリング処理による使用者Bの自転車650や使用者Aの自転車と対に設定した識別コードが含まれる信号の送受信を所定のプロトコルに基づき制御する。また、キー無線通信手段631は、増幅回路、変調回路、復調回路、位相同期回路、振幅制限回路、フィルタ回路、発振回路、位相比較回路、計数回路、分周回路、アナログ・ディジタル変換回路、ディジタル変換回路、ミクサ、レベル検波回路などの回路から構成される。
【0065】
キー記憶手段632は、フラッシュメモリ、不揮発性メモリ等の半導体素子で構成される。キー演算手段633は、マイクロコンピュータ等の演算回路、論理回路などで構成される。
【0066】
使用者Bの自転車650は、使用者Bの自転車用無線キー670の他、使用者Aの自転車600の無線キー630と通信する無線通信手段651、使用者Bの自転車、使用者Aの自転車600と通信する際のプロトコルや電文構成、暗号化方法、送信出力、変調方式、伝送レート、通信周波数、周波数偏移量、受信時のフィルタ構成、復調方式、復号化方法等の情報を記憶する記憶手段652、使用者Bの自転車650の走行状態を検出する走行検出部653、使用者Aの自転車用無線キー630と使用者Bの自転車650との距離があらかじめ定められた距離以上に離れたことを報知する報知手段654と、使用者Aの自転車600の無線キー630から送信されてきた電文を記憶手段652に記憶されているプロトコルにしたがって、送受信処理を行う演算手段655と、使用者Bの自転車650の解施錠手段656から構成されている。
【0067】
無線通信手段651は、アンテナを介してRFID(Radio Frequency
Identification:無線周波数識別)で使用されている短距離用電波やUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線)、微弱、特定小電力無線等を用いてペアリング処理による使用者Bの自転車用無線キーや、使用者Aの自転車用無線キー630と対に設定した識別コードが含まれる信号の送受信を所定のプロトコルに基づき制御を行う。また、無線通信手段651は、増幅回路、変調回路、復調回路、位相同期回路、振幅制限回路、フィルタ回路、発振回路、位相比較回路、計数回路、分周回路、アナログ・ディジタル変換回路、ディジタル変換回路、ミクサ、レベル検波回路などの回路から構成される。
【0068】
記憶手段652は、フラッシュメモリ、不揮発性メモリ等の半導体素子で構成される。走行検出手段653は、自転車650が走行状態であるか否かを判断する。判断方法としては、たとえば、使用者Bの自転車650の後輪に取り付けられている車両固定手段の位置情報によって使用者Bの自転車650が地面に固定されているかで走行状態を判断する方法や、使用者Bの自転車の車輪に磁気を発する素子を、車輪を固定するフォークにリードスイッチを取り付け、車輪が回転することで速度を検知し走行を検知する方法、車軸に発電装置を取り付け、車輪が回転すると電圧検知ができる仕組にし、使用者Bの自転車が走行しているか否かを判断する方法をとる。
【0069】
報知手段654は、使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650の距離があらかじめ定められた値以上になったとき、あるいは、使用者Aの無線キー630のキー無線通信手段631から送信される電文の電界強度があらかじめ定められた値以下になった際に、使用者Bにそのことを報知する。報知手段654は、ランプやLED等の発光素子、
LCD、蛍光表示管、有機薄膜を用いた有機EL表示デバイス、エレクトロクロミックデバイスなどの表示デバイスや、電磁ブザー、圧電ブザー、あるいはスピーカ、セラミック素子で構成された発音デバイス、モータ、圧電素子で構成された振動デバイス等で構成される。演算手段655は、マイクロコンピュータ等の演算回路、論理回路などで構成される。
【0070】
解施錠手段656は、使用者Bの自転車650の後輪または前輪を回転できないように固定するもので、妨害するようなバーを車輪に通すような構成にしたり、車軸を油圧で固定するような構成、あるいは自転車650のペダルを回転できないような構成とする。
【0071】
続いて、実施の形態4における使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650の制御フローについて説明をしていく。まず、使用者Aの無線キー630が使用者Bの自転車650と通信を行なう際の制御フローについて図8を用いて説明を行なう。
【0072】
はじめに、使用者Aの無線キー630は、あらかじめ定められた周波数帯でかつ、ペアリング処理により紐付けされた使用者Aの自転車600から無線キー630の識別IDが含まれている電文が送信されていないか確認を行う(キャリアセンス確認)。
【0073】
そして、キー無線通信手段631において、受信される電文の電界強度を算出した上で、あらかじめ定められた閾値以上の値を確認した際に、電文が送信されたと判断し、以後同無線通信手段631内で、無線キー630の識別IDおよび、使用者Aの自転車600の識別IDが含まれているかを復調した上で確認を行う(S801)。
【0074】
S801で無線キー650宛に使用者Aの自転車600から電文が送信されてきた場合には、使用者Aの自転車600と通信を行なうために別フローへ遷移する(S804)。S804の別フローとは、具体的には実施の形態1または2で説明した解施錠の制御例になる。
【0075】
一方、S801で使用者Aの自転車600から電文が送信されてこなかった場合には、使用者Bの自転車650から使用者Aの無線キー630宛に電文が送信されてきていないかキャリアセンスを行い判断する(S802)。
【0076】
S802で適当なキャリアを確認できなかった場合には、S801のステップへ戻る。また、S802において、使用者Bの自転車650から無線キー630宛に電文が送信されてきたと判断した場合には、あらかじめ定められたプロトコルに従って認証通信を行ない(S803)、使用者Bの自転車650と使用者Aの無線キー630との間で認証が成立した場合には、S802へ戻る。
【0077】
S803で認証が確立できた場合には、S802〜S803の処理をあらかじめ定められた間隔で繰り返し行い、通信状態を維持する。
【0078】
一方、S803で認証が確立できなかった場合には、S801のステップへ戻り、当該フローをはじめからやり直す。
【0079】
以上に示した無線キー630の制御フローを行なうことで使用者Bの自転車650と間欠通信を行ない、通信状態の変化を使用者Bの自転車650で把握することが可能になる。
【0080】
続いて図9の制御フローを用いて、使用者Bの自転車650と使用者Aの無線キー630との通信について説明を行なう。
【0081】
はじめに、使用者Bの自転車650の走行検出手段650において、自転車650が駐車中なのか、走行中あるいは停車中かを判断する(S901)。なお、駐車中とは、使用者Bが自転車650を駐車してすぐに自転車Bを走行させない状態を指している。
【0082】
S901で、駐車中と判断した場合には、解施錠通信シーケンスのフローへ遷移する(S909)。S909の別フローとは、具体的には実施の形態1または2で説明した解施錠の制御例になる。
【0083】
S901において、駐車中でない状態(走行中あるいは停車中)であることを確認した場合には、あらかじめ定められたサーチ電文を無線通信手段651から送信を行なう(S902)。サーチ電文には、あらかじめペアリング処理を行なって記憶した使用者Aの無線キー630の識別IDや使用者Bの自転車650の識別ID等が含まれている。
【0084】
次に、所定のプロトコルにしたがって使用者Bの自転車650と使用者Aの無線キー630との間で認証通信を行なう(S903)。
【0085】
S903で、認証通信が不成立の場合には、S901のステップへ戻る。また、S903で、認証通信が成立した場合には、使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650間の距離演算を行なう(S904)。距離演算は、使用者Aの無線キー630から送信されてくる電文を、アンテナを介し無線通信手段651で受信した後、電文の信号レベル(電界強度)の検出を行い、演算手段655において信号レベルから距離への換算を行なう。
【0086】
S904のステップで算出した使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650の距離に応じて、報知処理を行なうか演算手段655で判断する(S905)。
【0087】
S905で、使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650の距離があらかじめ定められた距離未満の場合、報知処理を行なわないと判断し、S903のステップへ戻る。
【0088】
また、S905で、無線キー630と自転車650の距離があらかじめ定められた距離以上の場合は、走行検知手段653において、再度使用者Bの自転車650が走行しているか否かを判断する(S906)。S906において、使用者Bの自転車650が走行していないと判断した場合にS903へ遷移する。一方、S906において使用者の自転車650が走行していると判断した場合には、発光デバイス、表示デバイス、発音デバイス、振動デバイス等のハードウェアで構成された報知手段954で報知処理を行なう(S907)。当該ステップでは、使用者Bの自転車650において、使用者Bに向けて、使用者A(使用者Aの無線キー630)と離れたことを報知することと、使用者Aのところへ戻る、あるいは近づくよう促すような報知を行なう。
【0089】
以上、図8と図9に示した使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650の制御フローを処理することで、両者の距離があらかじめ定められた距離以上離れた場合に報知を行なうことができ、親(使用者A)の目の届かない範囲へ子ども(使用者B)が行かないよう処置をすることができる。
【0090】
次に図10を用いて、使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650間の認証通信および報知処理について説明していく。
【0091】
使用者Aの無線キー630使用者Bの自転車650間では、チャレンジアンドレスポン
ス方式を用い周期的に認証通信をおこなっている。使用者Bの自転車650はあらかじめ定められた周期でサーチ電文を送信する(S1001)。
【0092】
無線キー630では、S1001の電文を受信するとあらかじめ識別IDを含む電文を自転車650へ送信する(S1002)。
【0093】
自転車650では、あらかじめ無線キー630と縁組された際の識別IDと一致した際には、識別IDが一致した旨を通信する信号を無線キー630へ送信する(S1003)。
【0094】
無線キー630では、S1003で送信された電文を受信するとチャレンジリクエストを自転車650へ送信する(S1004)。
【0095】
チャレンジリクエストを受信した自転車650は、乱数を発生させ生成したチャレンジ信号を無線キー630へ返し(S1005)、チャレンジ信号を受信した無線キー630は、この信号に対して暗号化処理を行なって生成したレスポンス信号を自転車650へ送信する(S1006)。
【0096】
続いて、レスポンス信号を受信した自転車650は、復号化したレスポンス信号とチャレンジ信号とが一致するか確認し、一致すれば認証に成功したと判断しその旨を無線キー650へ送信する(S1007)。
【0097】
認証が成立した際には、無線キー630から距離測定用データを含んだ電文を自転車630へ送信する(S1008)。
【0098】
自転車650では距離測定用データを含んだ電文を無線通信手段651で受信し、電文の電界強度を算出し、演算手段655において距離に換算する。そして、算出した距離があらかじめ定められた閾値以上だった場合には、報知手段654にて報知処理を行なう。
【0099】
一方、認証に失敗した場合には、自転車650はサーチ電文を送信するモードへ待ち受けモードに移行する。なお、無線キー630−自転車650間でのチャレンジアンドレスポンス方式を用いた認証中に、上述の信号の送受が途絶えた場合でも、無線キー630は待ち受けモードに移行して識別IDの送信を開始することになる。
【0100】
以上のことから、使用者Aの無線キー630に対し使用者Bの自転車650の距離が離れた場合には、使用者Bの自転車650において報知処理を行なうことができる。また、図10の通信フローを繰り返すことで、無線キー630と自転車650の距離関係を常に監視することができ、子ども(使用者Bの自転車650)が親(使用者Aの無線キー630)から離れることを防ぐことができる。
【0101】
なお、上記説明においては、使用者Bの自転車650が離れた場合に、使用者Bの自転車650でブザー等の注意喚起を行う例で説明したが、使用者Aが有する無線キー630からブザー音等の出力を行ってもよい。これは、使用者Aが有する無線キー630が使用者Bの自転車650の無線装置から送信される電波の電界強度を測定し、閾値と比較することで、実現することができる。これにより、使用者Aが、使用者Bから離れていることに気づくことができ、危険予防を含めた使用者Bの見守りが実現できる。
【0102】
(実施の形態5)
図11に実施の形態5における使用者Bの自転車650および使用者Aの無線キー630内部ブロック図を示す。ここでは、実施の形態4と同様の機能を有する構成に関する説
明は省略し説明を行う。
【0103】
図11に使用者Aの無線キー630には、使用者Bの自転車650との距離が離れた際に報知処理を行なうキー報知手段634が組み込まれている。このキー報知手段634は、ランプやLED等の発光素子、LCD、蛍光表示管、有機薄膜を用いた有機EL表示デバイス、エレクトロクロミックデバイスなどの表示デバイスや、電磁ブザー、圧電ブザー、あるいはスピーカ、セラミック素子で構成された発音デバイス、モータ、圧電素子で構成された振動デバイス等と、これらデバイスを駆動するための駆動回路から構成されている。
【0104】
また、使用者Bの自転車650内には、自転車650が走行できる状態か否かを判断する走行検出手段653と自転車650が走行している際の速度を検出する速度検出手段657が組み込まれている。これらの情報を用いて、演算手段655は、使用者Bの自転車650が走行状態にあるのか、停止しているのか、倒れているのかを判断する。
【0105】
走行検出手段653は、たとえば、使用者Bの自転車650の後輪に取り付けられている車両固定手段の位置情報によって使用者Bの自転車650が地面に固定されているかで走行できる状態なるか否かを判断したり、加速度計や、傾斜センサ、重力センサ、圧力センサ等で構成され車両の傾斜や地面対する位置情報を判断した上で、走行できる状態にあるか判断する。
【0106】
走行検出手段653が車両を地面に固定するスタンドで構成されている場合であれば、スタンドが地面に設置されている場合は、走行できないと判断する。また加速度センサで構成されている場合には、車両が地面に対しあらかじめ定められた変動量を超えて動いた場合には、車両が倒れている可能性があると判断する。
【0107】
速度検出手段657は、使用者Bの自転車の車輪に磁気を発する素子を、車輪を固定するフォークにリードスイッチを取り付け、車輪が回転することで速度を検知し走行を検知する方法、車軸に発電装置を取り付け、車輪が回転すると電圧検知ができる仕組にし、使用者Bの自転車が走行しているか否かを判断するような構成をとる。
【0108】
次に図12を用いて、使用者Bの自転車650の状態判断例を説明する。図12のフローは使用者Bの自転車650内の演算手段655で判断される。
【0109】
はじめに、使用者Bの自転車650の走行検出手段653の一つである車両スタンドの状態を検出する(S1201)。S1201で、車両スタンドが地面に対して固定する状態に設定されていれば自転車650は駐車中と判断する。
【0110】
S1201で、車両スタンドが地面に対して固定されていない状態だと判断すれば、走行検出手段653の傾斜センサの出力を確認する(S1202)。
【0111】
S1202において、傾斜センサの出力が、あらかじめ定められた範囲内で収まり傾斜していないと判断した場合には、自転車650は走行状態と判断する。
【0112】
また、S1202において、あらかじめ定められた範囲外で傾斜している場合には、速度検出手段657にて自転車650の速度を検出する(S1203)。
【0113】
S1203において、速度を検出できれば、自転車650は走行状態であると判断し、速度を検出できなければ自転車は転倒状態であると判断する。
【0114】
続いて、実施の形態5における使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650の制御フローについて説明をしていく。まず、使用者Aの無線キー630が使用者Bの自転車650と通信を行なう際の制御フローについて図13を用いて説明を行なう。
【0115】
はじめに、使用者Aの無線キー630は、あらかじめ定められた周波数帯でかつ、ペアリング処理により紐付けされた使用者Aの自転車600から無線キー630の識別IDが含まれている電文が送信されていないか確認を行う(キャリアセンス確認)。
【0116】
そして、キー無線通信手段631において、受信される電文の電界強度を算出した上で、あらかじめ定められた閾値以上の値を確認した際に、電文が送信されたと判断し、以後同無線通信手段631内で、無線キー630の識別IDおよび、使用者Aの自転車600の識別IDが含まれているかを復調した上で確認を行う(S1301)。
【0117】
S1301で、無線キー650宛に使用者Aの自転車600から電文が送信されてきた場合には、使用者Aの自転車600と通信を行なうために別フローへ遷移する(S1306)。S1306の別フローとは、具体的には実施の形態1または2で説明した解施錠の制御例になる。
【0118】
一方、S1301で使用者Aの自転車600から電文が送信されてこなかった場合には、使用者Bの自転車650から使用者Aの無線キー630宛に電文が送信されてきていないかキャリアセンスを行い判断する(S1302)。
【0119】
S1302で、適当なキャリアを確認できなかった場合には、S1301のステップへ戻る。またS1302において、使用者Bの自転車650から無線キー630宛に電文が送信されてきたと判断した場合には、あらかじめ定められたプロトコルに従って認証通信を行なう(S1303)。
【0120】
S1303で、使用者Bの自転車650と使用者Aの無線キー630との間で認証が確立できなかった場合にはS1301へ遷移する。一方、認証が確立できた場合には、使用者Bの自転車650から送信されてくる報知処理に関する電文を受信し、報知処理が必要か否かをキー演算手段633で判断を行なう(S1304)。
【0121】
S1304で報知処理が不要でると判断されればS1302へ遷移し、報知処理が必要であると判断された場合にはキー報知手段634において報知処理を行ない、使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650の距離が離れたか、使用者Bの自転車650が転倒するなど異常が発生していることを知らせる(S1305)。
【0122】
続いて図14を用いて使用者Bの自転車650の制御フローについて説明を行なう。はじめに、使用者Bの自転車650の走行検出手段650において、自転車Bが駐車中なのか、走行中あるいは停車中かを判断する(S1401)。ここで、駐車中とは、使用者Bが自転車650を駐車してすぐに自転車Bを走行させない状態を指している。
【0123】
S1401で、駐車中と判断された場合には、解施錠通信シーケンスのフローへ遷移する(S1409)。S1409のフローは、具体的には実施の形態1または2で説明した解施錠の制御例になる。
【0124】
また、S1401のステップにおいて、駐車中でない状態、走行中あるいは停車中であることを確認した場合には、あらかじめ定められたサーチ電文を無線通信手段651から送信を行なう(S1402)。ここで、サーチ電文には、あらかじめペアリング処理を行なって記憶した使用者Aの無線キー630の識別IDや使用者Bの自転車650の識別I
D等が含まれている。
【0125】
次に、所定のプロトコルにしたがって使用者Bの自転車650と使用者Aの無線キー630との間で認証通信を行なう(S1403)。
【0126】
S1403で、認証通信が不成立の場合には、S1401のステップへ戻る。また、S1403で認証通信が成立した場合には、図12を用いて説明したように車両検出手段653および速度検出手段657を用いて使用者Bの自転車650の状態を検出し、演算手段655で判断を行なう(S1404)。
【0127】
S1404で、自転車650が転倒していると判断した場合には、使用者Aの無線キー630にて報知処理を行なうためにS1407へ遷移する。一方、自転車650が転倒せず、正常に走行していると判断した場合には、使用者Aの無線キー650と使用者Bの自転車650間の距離演算を行なう(S1405)。この距離演算は、使用者Aの無線キー630から送信されてくる電文を、アンテナを介し無線通信手段651で受信した後、電文の信号レベル(電界強度)の検出を行い、演算手段655において信号レベルから距離への換算を行なう。
【0128】
次にS1405のステップで算出した使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650の距離に応じて、報知処理を行なうか否かの判断を行なう(S1406)。ここで使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650の距離が閾値未満だった場合には、その旨を無線キー630へ伝えるために演算手段655で電文を生成し、無線通信手段651を介して送信をする(S1408)。
【0129】
またS1406のステップで、無線キー630と自転車650の距離が閾値以上あると判断した場合には、無線キー630にて報知処理を行なうように、演算手段655で報知要求電文を生成、無線通信手段651を介して送信する(S1407)。S1407、S1408のステップ処理を抜けると、再びS1403へ遷移する。
【0130】
以上、図13と図14に示した使用者Aの無線キー630と使用者Bの自転車650の制御フローを処理することで、両者の距離があらかじめ定められた距離以上離れた場合や、自転車650が転倒したなど異常事態が発生した場合に、使用者Aの無線キー630へ報知することができる。
【0131】
また、親(使用者A)の目の届かない範囲へ子ども(使用者B)が行かないよう処置できたたり、縦列で車両走行している際に、後ろからついてくる子どもの様子を振り向かずに確認することができる。つまり使用者Aを親、使用者Bと使用者Aの子供とすると、子供の見守りシステムとして機能し、発明の効果を得ることができる。
【0132】
なお、本実施の形態で説明した内容は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明の鍵施錠システム、及びプログラムによれば、車両の解施錠に、車両が走行中か否かを連携させることで、安全な解施錠を実現することができる。さらに、車両の所有者が携帯する無線キーを利用した本人認証を行うことで、利用者の煩わしさを大幅に軽減で
きると共に、解施錠の信頼性を向上させるという効果を奏し、無線通信を利用して認証を行う車両の携帯無線装置、認証対象装置、及び認証制御方法の分野に関して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】(a)本発明の実施の形態1の解施錠システムの状態図(b)本発明の実施の形態1の解施錠システムの状態図
【図2】本発明の実施の形態2の解施錠システムの状態図
【図3】本発明の実施の形態2の解施錠システムの動作フローチャート
【図4】本発明の実施の形態2の解施錠システムの動作フローチャート
【図5】本発明の実施の形態3のシステム外略図
【図6】本発明の実施の形態4のシステム外略図
【図7】本発明の実施の形態4における使用者Aの無線キーと使用者Bの自転車の内部構成図
【図8】本発明の実施の形態4における使用者Aの無線キーの制御フローチャート
【図9】本発明の実施の形態4における使用者Bの自転車の制御フローチャート
【図10】本発明の実施の形態4における使用者Aの無線キーと使用者Bの自転車間の通信フローチャート
【図11】本発明の実施の形態5における使用者Aの無線キーと使用者Bの自転車の内部構成図
【図12】本発明の実施の形態5における使用者Bの自転車の状態検知フローチャート
【図13】本発明の実施の形態5における使用者Bの自転車の状態検知フローチャート
【図14】本発明の実施の形態5における使用者Bの自転車の状態検知フローチャート
【符号の説明】
【0135】
1 自転車
2 走行検知部
3 解施錠部
4 入力部
5 無線キー
600 使用者Aの自転車
630 使用者Aの有する無線キー
631 キー無線通信手段
632 キー記憶手段
633 キー演算手段
634 キー報知手段
650 使用者Bの自転車
651 無線通信手段
652 記憶手段
653 走行検出手段
654 報知手段
655 演算手段
656 解施錠手段
657 速度検出手段
670 使用者Bの有する無線キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行中か否かを検知する走行検知部と、
外部から操作入力を行う携帯無線装置と通信を行う無線通信部と、
前記携帯無線装置と前記車両間の通信状況をもとに前記携帯無線装置と前記車両間の距離を判断する距離判断手段と、
前記判断手段にて前記携帯無線装置と前記車両間の距離が規定以上離れた際に報知処理を行う報知手段とから構成される車両ユニットにおいて、
前記走行検知部において車両が走行中でない場合には、前記携帯無線装置と前記車両間の距離が規定以上離れても前記報知手段で報知処理を行なわないことを特徴とする車両ユニット。
【請求項2】
走行検出手段は傾斜検知手段から構成されており、
前記傾斜検知手段で規定量以上の変位を検出した場合には、無線通信手段から報知電文を送信することを特徴とした請求項1記載の車両ユニット。
【請求項3】
請求項1または2記載の第1車両ユニットと、請求項1または2記載の第2車両ユニットと通信を行う携帯無線通信ユニットにおいて、
前記第1車両から送信される車両の走行検知情報が駐車中であった場合には、前記第1車両から前記第2車両に通信を切り替えることを特徴とする携帯無線通信ユニット。
【請求項4】
第2車両と通信を行なっている際に、前記第2車両との通信距離があらかじめ定められた距離以上離れると報知を行なう報知手段を備える請求項3の携帯無線通信ユニット。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−143457(P2010−143457A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323707(P2008−323707)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】