車両後方撮影装置
【課題】 障害物の存在についての価値の高い画像情報をカメラ撮影によって的確に運転者に提供することができる。
【解決手段】 車両の後方の視界を撮影するカメラ22について、その撮影の向きが互いに異なる複数のカメラ位置を設定する。さらに、車両後方について互いに異なる検知エリア13L,13C,13Rを有する複数の障害物検知センサ12L,12C,12Rを備える。そして、いずれかのセンサがその検知エリア内に障害物を検知したときにその障害物を撮影するのに適したカメラ位置を判定し、その判定したカメラ位置に切換えるようにする。
【解決手段】 車両の後方の視界を撮影するカメラ22について、その撮影の向きが互いに異なる複数のカメラ位置を設定する。さらに、車両後方について互いに異なる検知エリア13L,13C,13Rを有する複数の障害物検知センサ12L,12C,12Rを備える。そして、いずれかのセンサがその検知エリア内に障害物を検知したときにその障害物を撮影するのに適したカメラ位置を判定し、その判定したカメラ位置に切換えるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後方運転の支援等を目的として車両後方の視界を撮影する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車庫入れ等における車両の後方運転を支援する手段として、車両後部にその後方視界を撮影するためのカメラを固定し、その撮影画像を運転室内に提供する装置が知られている。さらに、下記特許文献1では、前記カメラにより撮影可能となる角度範囲を拡大すべく、当該カメラを左右方向に回動可能となるように設置し、例えばステアリングホイールの操舵角に応じてカメラの向きを中央の基準位置から左右に振ることにより、その運転状態に適した撮影画像の提供を図るようにしたものが、開示されている。
【特許文献1】特開2004−274618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載された装置では、ステアリングホイールの操舵角に応じてカメラの位置が切換えられるので、そのカメラの撮影視野から外れた位置に障害物が存する場合、その障害物の存在に気がつくことなく後進操作が続けられるおそれがある。例えば、車庫入れ等においてステアリングホイールを左側に操作しながら後進している場合には、カメラは車両左側後方を撮影する向きに切換えられることになるが、このとき車両の右側後方に障害物がある場合、その障害物がカメラの撮影視野から完全に外れてしまう不都合がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑み、障害物の存在についての価値の高い画像情報をカメラ撮影によって的確に運転者に提供することができる車両後方撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、車両の後方の視界を撮影するカメラと、このカメラの位置をその撮影の向きが互いに異なる複数のカメラ位置に切換えるカメラ位置切換手段と、車両後方について互いに異なる検知エリアが設定され、その設定された検知エリア内での障害物の存否を検知する複数の障害物検知手段と、いずれかの障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときにその障害物を撮影するのに適したカメラ位置を判定し、その判定したカメラ位置に切換えるように前記カメラ位置切換手段を作動させる切換制御手段とを備えた車両後方撮影装置である。
【0006】
この構成によれば、障害物検知手段により障害物が検知されたときに、その障害物を撮影するのに適したカメラ位置が自動的に判定され、その判定されたカメラ位置に切換がなされるので、運転者に対して高い確率で障害物についての価値の高い画像情報を提供することができる。
【0007】
ここで、いずれの障害物検知手段も障害物を検知しないときには、カメラによる撮影を停止させるようにしてもよいが、前記カメラ位置に基準位置を含め、いずれの障害物検知手段も障害物を検知しないときは切換えるべきカメラ位置を前記基準位置と判定するようにすれば、障害物を存しない通常運転時にも前記基準位置での撮影画像の提供を続けることができる。
【0008】
より具体的に、前記カメラ位置として、車両の左側後方を撮影する左撮影位置と、車両の右側後方を撮影する右撮影位置とが設定され、かつ、これら左撮影位置と右撮影位置との間に前記基準位置が設定されるとともに、前記障害物検知手段として、車両の左側後方に検知エリアが設定された左側障害物検知手段と、車両の右側後方に検知エリアが設定された右側障害物検知手段とを含み、前記切換制御手段は、前記左側障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記左撮影位置と判定し、前記右側障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記右撮影位置と判定し、前記左側障害物検知手段及び右側障害物検知手段の双方がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記基準位置と判定するようにすれば、前記基準位置を中心としてその左右にカメラを振ることにより、広い撮影視野を確保することができる。
【0009】
すなわち、いずれの障害物検知手段も障害物を検知しない時にはカメラ位置を基準位置にして通常撮影を行いながら、左側障害物検知手段、右側障害物検知手段のいずれか一方が障害物を検知したときにはその検知した側にカメラ位置を切換えることにより、高い確率で障害物を撮影することが可能になる。
【0010】
ここで、前記障害物検知手段として、前記左側障害物検知手段及び前記右側障害物検知手段に加え、車両の直後方に検知エリアが設定された中央障害物検知手段を含めるようにしてもよい。その場合、前記切換制御手段は、前記右側障害物検知手段が障害物を検知せずに前記中央障害物検知手段と前記左側障害物検知手段とがその検知エリアに障害物を検知した場合には、前記基準位置及び前記左撮影位置のうち双方の障害物を撮影視野に入れる確率が高い側の位置を切換えるべきカメラ位置とし、前記左側障害物検知手段が障害物を検知せずに前記中央障害物検知手段と前記右側障害物検知手段とがその検知エリアに障害物を検知した場合には、前記基準位置及び前記右撮影位置のうち双方の障害物を撮影視野に入れる確率が高い側の位置を切換えるべきカメラ位置とするように構成すればよい。
【0011】
また、手動で前記カメラ位置を切換えるための切換スイッチが車室内に設けられるとともに、前記切換制御手段は、前記切換スイッチによりいずれかのカメラ位置が選択された場合には前記各障害物検知手段の検知結果にかかわらず切換えるべきカメラ位置を前記選択がなされたカメラ位置と判定するように構成すれば、運転者の意思を優先した車両後方撮影が可能になる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、障害物検知手段により障害物が検知されたときに、その障害物を撮影するのに適したカメラ位置が自動的に判定され、その判定されたカメラ位置に切換がなされるので、障害物が存する場合にその障害物についての画像情報をカメラ撮影によって運転者に高い確率で提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1(a)(b)に示す車両10の後部には、障害物検知手段として3つの障害物検知センサ(左側障害物検知センサ12L、中央障害物検知センサ12C、及び右側障害物検知センサ12R)が設けられるとともに、カメラユニット20が設けられている。
【0015】
前記各障害物検知センサ12L,12C,12Rは、超音波センサ等で構成されている。このうち中央障害物検知センサ12Cは、車両後部中央に配設され、その配設位置から直後方の検知エリア13C内に障害物が存在する場合に検知信号を出力する。同様に、中央障害物検知センサ12L,12Rは、車両後部の左右端にそれぞれ配設され、その配設位置から車両左側後方及び右側後方にそれぞれ設定された検知エリア13L,13Rに障害物が存在する場合にそれぞれ検知信号を出力する。
【0016】
前記カメラユニット20は、後に詳述する図3〜図11に示すように斜め後方向きに設置されるカメラ22を備え、このカメラ22は、水平方向については図1(a)に示す視野角θ、垂直方向については同図(b)に示す視野角φを有している。さらに、このカメラ22は左右方向中央の基準位置から左右にそれぞれ角度αずつ首振り(回動)した左撮影位置及び右撮影位置へ位置切換可能となっており、そのためのカメラ位置切換手段がカメラユニット20に内蔵されている(詳細後述)。
【0017】
このカメラ22の水平方向の視野角θと各障害物検知センサ12L,12C,12Rの検知エリア13L,13C,13Rとの関係について、図1に示す例では、次のように設定されている。
【0018】
1)カメラ22が基準位置にある状態でその視野角θ内に中央の検知エリア13Cが完全に含まれるとともに同視野角θから左右の検知エリア13L,13Rが外れる。
【0019】
2)カメラ22が左撮影位置にある状態でその視野角θ内に左側の検知エリア13Lの全域と中央の検知エリア13Cの半分以上の領域が含まれ、同視野角から右側の検知エリア13Rが外れる。
【0020】
3)カメラ22が右撮影位置にある状態でその視野角θ内に右側の検知エリア13Rの全域と中央の検知エリア13Cの半分以上の領域が含まれ、同視野角から左側の検知エリア13Lが外れる。
【0021】
各障害物検知センサ12L,12C,12Rの出力する検知信号は、図2に示すようなコントローラ(切換制御手段)16に入力される。このコントローラ16には、前記検知信号の他、運転室内に設けられた手動切換スイッチ14の出力する位置選択信号が入力される。この手動切換スイッチ14は、その操作によって運転者が前記カメラ位置を手動で選択するためのものである。
【0022】
前記コントローラ16は、カメラ位置判定手段17と、カメラ位置切換指令手段18とを備えている。カメラ位置判定手段17は、前記手動切換スイッチ14が出力する位置選択信号と、各障害物検知センサ12L,12C,12Rの出力信号とに基づき、切換えるべきカメラ位置を判定するものであり、カメラ位置切換指令手段18は、その判定されたカメラ位置に実際のカメラ位置を切換えるように、カメラユニット20に切換指令信号を出力するものである。
【0023】
次に、前記カメラユニット20の好適な例を図3〜図11を参照しながら説明する。ただし、本発明ではカメラ及びそのカメラ位置切換手段の具体的構造を問わない。
【0024】
図示のカメラユニット20は、前記カメラ22と、このカメラ22を収容するケース24とを備え、このケース24内には前記カメラ22を回動可能に支持する支持フレーム(支持部材)26が収容されている。そして、この支持フレーム26に、前記カメラ22の回動中心軸となる略垂直方向の支軸27と、カメラ22を回動させるための駆動源であるモータ28と、その駆動力をカメラ22を回動させる力に変換する駆動変換機構30と、前記カメラ22を前記基準位置に弾性的に保持する弾性保持機構40と、前記コントローラ16からの位置選択信号を受けて前記モータ28の駆動制御を行う制御回路基板50とが取付けられている。従って、前記モータ28、駆動変換機構30、制御回路基板50等により、カメラ22の位置を切換えるカメラ位置切換手段が構成されている。
【0025】
前記ケース24は、前記カメラ22を収容した状態で車両後部に固定される。このケース24は車両後方に向かって開口しており、この開口を塞ぐように透明カバー25がケース24に装着されている。そして、このケース24内において、前記カメラ22は、そのレンズ23が車両後方に対して斜め下方を向く姿勢で収容されており、前記透明カバー25を通じて車両後方の主として下側領域を撮影することが可能となっている。
【0026】
前記支持フレーム26は、垂直方向に配せられる垂直壁26aと、この垂直壁26aの上端から車両後方に向かって水平に延びる天壁26bとを有し、この天壁26bに前記支軸27及びモータ28が固定されるとともに前記駆動変換機構30が取付けられ、前記垂直壁26aに前記弾性保持機構40及び制御回路基板50が取付けられている。
【0027】
前記駆動変換機構30は、前記モータ28の出力軸に固定されるウォーム31と、二重歯車32,33,34と、揺動歯車35とを備え、この揺動歯車35の下面にブラケット36を介して前記カメラ22が吊下げ状態で取付けられている。
【0028】
前記二重歯車32は、ウォームホイール32aと小径の平歯車32bとが互いに同軸となるように配列されたものであり、前記ウォームホイール32aが前記ウォーム31に噛合されている。二重歯車33は大径の平歯車33aと小径の平歯車33bとが互いに同軸となるように配列されたものであり、前記平歯車33aが前記平歯車32bに噛合されている。同様に二重歯車34は大径の平歯車34aと小径の平歯車34bとが互いに同軸となるように配列されたものであり、前記平歯車34aが前記平歯車33bに噛合され、前記平歯車34bが前記揺動歯車35に噛合されている。
【0029】
この揺動歯車35は、前記カメラ22の回動角度範囲すなわち左撮影位置から右撮影位置までの角度範囲(=2α)に対応する周長の円弧状の歯部を有し、その円弧中心に対応する箇所(図例では揺動歯車35の車両前側端部;図3では上側端部)が前記支軸27に回転可能に取付けられている。そして、この揺動歯車35に当該揺動歯車35と一体に回転するようにブラケット36が固定され、このブラケット36により前記カメラ22が前記支軸27よりも車両後側寄りの位置に吊下げ支持されている。
【0030】
従って、この駆動変換機構30では、前記モータ28の出力がウォーム31、二重歯車32,33,34、及び揺動歯車35を順に介して前記カメラ22に伝達され、同カメラ22を回動させる力として作用する。
【0031】
前記ブラケット36は前記支軸27を境として前記揺動歯車35及びカメラ22と反対側(車両前側;図3では上側)に突出しており、その回動方向の両端部にはそれぞれ径方向外側に突出する回動当接部36a,36bが形成されている。これに対し、前記支持フレーム26の垂直壁26aにはストッパ38が固定されており、このストッパ38に前記回動当接部36aが当接する位置(図8(a)(b)に示す位置)が前記カメラ22の右撮影位置に設定され、前記ストッパ38に前記回動当接部36bが当接する位置(図11(a)(b)に示す位置)が前記カメラ22の左撮影位置に設定されており、両回動端位置のちょうど中間位置が前記基準位置に設定されている。
【0032】
前記ブラケット36の車両前側端部(図3では上側の端部)からは下向きに被保持ピン37が突出しており、この被保持ピン37が前記カメラ22とは左右逆向きに回動するようになっている。そして、この被保持ピン37を弾性保持するように前記弾性保持機構40が構成されている。
【0033】
具体的に、この弾性保持機構40は、第1スライド部材41及び第2スライド部材42と、両スライド部材41,42同士を連結する弾性部材である引張コイルばね44とを備えている。
【0034】
両スライド部材41,42は、図例では板状をなし、その板厚方向に互いに重ねられた状態で、かつ、前記支持フレーム26の垂直壁26aに沿う立直姿勢で、当該垂直壁26aに取付けられ、かつ、車両幅方向(左右方向)にそれぞれスライド可能となるように支持されている。
【0035】
第1スライド部材41は、車両左右方向に延びる左右一対の貫通長孔41hを有し、これらの貫通長孔41hにそれぞれ前記垂直壁26aから突出するスライド部材支持ピン26cが挿通されることにより、当該垂直壁26aに前記第1スライド部材41がスライド可能に支持されるとともにそのスライドストロークが前記貫通長孔41hの長さに相当するストロークに制限されている。このスライドストロークは、前記カメラ22が前記基準位置から前記右撮影位置まで回動するストローク(=α)に対応するストロークよりも若干大きめに設定されている。
【0036】
この第1スライド部材41の本体部分からは車両後側に向けて第1当接部41a及び第1ばね取付部41bが突出している。前記第1当接部41aは、車両後方からみて前記被保持ピン37に対して左側(図4の左側)から当接可能な位置に形成され、前記第1ばね取付部41bは前記第1当接部41aと同じ側の端部(図4では左側端部)で前記第1当接部41bよりも一段低い位置に形成されている。そして、前記カメラ22が基準位置にあるときに前記被保持ピン37に対して前記第1当接部41aが前記被保持ピン37に車両後方から見て左側から当接した状態(図4の状態)で第1スライド部材41が車両後方から見て最も右端の位置(前記各貫通長孔41hの左側終端縁部が前記スライド部材支持ピン26cに当接する位置)に存するように、当該第1スライド部材41の取付位置が設定されている。
【0037】
同様に、第2スライド部材42も左右方向に延びる貫通長孔42hを有し、この貫通長孔42hに前記スライド部材支持ピン26cが挿通されることにより当該垂直壁26aにスライド可能に第2スライド部材42が支持されるとともに、そのスライドストロークが前記貫通長孔42hの長さに相当するストロークに制限されている。このスライドストロークは、前記カメラ22が前記基準位置から前記左撮影位置まで回動するストローク(=α)に対応するストロークよりも若干大きめに設定されている。
【0038】
この第2スライド部材42の本体部分からは車両後側に第2当接部42a及び第2ばね取付部42bが突出している。前記第2当接部42aは、車両後方からみて前記被保持ピン37に対して右側(図4の右側)から当接可能な位置に形成され、前記第2ばね取付部42bは前記第2当接部42aと同じ側の端部(図4では右側端部)で前記第2当接部42bよりも一段低い位置に形成されている。そして、前記カメラ22が基準位置にあるときに前記被保持ピン37に対して前記第2当接部42aが前記被保持ピン37に車両後方から見て右側から当接した状態(図4の状態)で第2スライド部材42が車両後方から見て最も左側の位置(前記各貫通長孔42hの右側終端縁部が前記スライド部材支持ピン26cに当接する位置)に存するように、当該第2スライド部材42の取付位置が設定されている。
【0039】
前記引張コイルばね44は、その両端が前記第1ばね取付部41bと第2ばね取付部42bとに取付けられている。よって、この引張コイルばね44の弾性復帰力は両ばね取付部41b,42b同士を引き寄せ合う力として作用し、図3〜図5に示すように前記カメラ22が基準位置にある状態では、前記被保持ピン37に対して前記第1当接部41a及び第2当接部42aが左右両側から同時に当接する(すなわち被保持ピン37を挟持する)状態が保持されるとともに、この状態で引張コイルばね44の弾性変形量は最小(すなわちばね長が最短)となる。
【0040】
さらに、このカメラユニット20では、前記両スライド部材41,42のスライド運動を利用して前記カメラ22の回動位置を検出する手段が組み込まれている。
【0041】
具体的に、前記第1スライド部材41及び第2スライド部材42の本体部分からはそれぞれ下方に第1被検出部41f及び第2被検出部42fが突出する一方、前記支持フレーム26の垂直壁26aに取付けられている前記制御回路基板50上には、前記被検出部41f,42fと同じ高さ位置に、右撮影位置センサ(第1の回動端位置センサ)53、第1の基準位置センサ51、第2の基準位置センサ52、及び左撮影位置センサ(第2の回動端位置センサ)54が車両後方から見て左から順に配列されている。
【0042】
これらの位置センサ51〜54は、反射型光センサにより構成され、前記被検出部41f,42fからの光の反射の有無によって当該センサの配設位置における当該被検出部41f,42fの存否を検出する。すなわち、反射光を検知したときにのみオン信号を出力する。
【0043】
このうち第1の基準位置センサ51は、図3〜図7及び図9,図10に示すようにカメラ22が基準位置にあって前記第1スライド部材41が車両後方から見て右端に位置するときの、当該第1スライド部材41における第1の被検出部41fを検出する位置に設けられ、同様に第2の基準位置センサ52は、前記カメラ22が基準位置にあって前記第2スライド部材42が車両後方から見て左端に位置するときの、当該第2スライド部材42における第2の被検出部42fを検出する位置に設けられている。
【0044】
また、右撮影位置センサ53は、図8(a)(b)に示すようにカメラ22が右撮影位置にあって前記第1スライド部材41が車両後方から見て左端に位置するときの、当該第1スライド部材41における第1の被検出部41fを検出する位置に設けられ、右撮影位置センサ54は、図11(a)(b)に示すようにカメラ22が左撮影位置にあって前記第2スライド部材42が車両後方から見て右端に位置するときの、当該第2スライド部材42における第2の被検出部42fを検出する位置に設けられている。
【0045】
制御回路基板50には、前記各位置センサ51〜54の他、前記モータ28の駆動を制御するモータ制御回路が組み込まれている。このモータ制御回路は、前記各位置センサ51〜54の出力信号に基づいてカメラ22の現在位置を判定するとともに、その現在位置が前記コントローラ16から入力される位置選択信号により指定されたカメラ位置と異なる場合には、両位置を近づける方向に前記モータ28を作動させ、両位置が合致した時点で前記モータ28の駆動を停止させる制御動作を行う。
【0046】
具体的に、このモータ制御回路は、前記各位置センサ51〜54の出力信号すなわち検出信号に基づいて、カメラ位置を次のように判定する。
【0047】
1)両基準位置センサ51,52がオンで両端位置センサ53,54がオフのときは、カメラ22が基準位置にあると判定する(図4,図9,図10)。
【0048】
2)第2基準位置センサ52及び右撮影位置センサ53がオンで第1基準位置センサ51及び左撮影位置センサ54がオフのときは、カメラ22が右撮影位置にあると判定する(図8)。
【0049】
3)第1基準位置センサ51及び左撮影位置センサ54がオンで第2基準位置センサ52及び右撮影位置センサ53がオフのときは、カメラ22が左撮影位置にあると判定する(図11)。
【0050】
4)第2基準位置センサ52のみがオンのときは、カメラ22が基準位置と右撮影位置との間に位置していると判定する。
【0051】
5)第1基準位置センサ51のみがオンのときは、カメラ22が基準位置と左撮影位置との間に位置していると判定する。
【0052】
6)前記以外の場合は故障と判定する。
【0053】
このようなカメラユニット20において、カメラ22が基準位置で停止しているときは、このカメラ22が固定されているブラケット36の被保持ピン37も中央位置にあり、この被保持ピン37に対して第1スライド部材41の第1当接部41aと第2スライド部材42の第2当接部42aが左右両側から同時に当接するとともに、その当接状態が引張コイルばね44の弾性復帰力(引張力)によって保持される。すなわち、カメラ22は前記基準位置に弾性保持される。
【0054】
このとき、カメラ22は車両の後方視界中央領域を撮影する。また、両スライド部材41,42の被検出部41f,42fはそれぞれ第1基準位置センサ51の配設位置および第2基準位置センサ52の配設位置にそれぞれ存在しており、これら基準位置センサ51,52のみがオン信号を出力する状態となる。
【0055】
この状態で、前記コントローラ16からカメラ位置を右撮影位置に切換える旨の切換指令信号が制御回路基板50の制御回路に入力されると、この制御回路は、カメラ22を車両右側に回動させる向き(図3ではスライドギア35、ブラケット36及びカメラ22を反時計回りに回転させる向き)にモータ28を作動させる。このモータ28の駆動力は駆動変換機構30を介してブラケット36に伝達され、このブラケット36とカメラ22とが一体に右撮影位置へ回動し始める。
【0056】
このとき、前記ブラケット36に突設された被保持ピン37は、車両後方からみて図3等に示す中央位置から左側に移動し始める。このとき、第2スライド部材42はその貫通長孔42hの右側終端の縁部がスライド部材支持ピン26cに当接しているためにその位置に取り残され、よって当該第2スライド部材42の第2当接部42aは前記被保持ピン37から離間するが、第1スライド部材41はその第1当接部41aが引張コイルばね44の弾性引張力を受けて前記被保持ピン37に圧接する状態を維持しながら前記引張コイルばね44を伸ばすようにして当該被保持ピン37とともに左側へスライドする。すなわち、カメラ22は引張コイルばね44の弾性引張力による抵抗を受けながら右撮影位置に向かって回動する。
【0057】
そして、その右撮影位置、すなわち図8(a)(b)に示すようにブラケット36の回動当接部36aがストッパ38に当接する位置にカメラ22が到達すると、前記第1スライド部材41の被検出部41fが右撮影位置検出センサ53の配設位置に到達して当該センサ53がオンに切換わり、これに対応して制御回路はモータ28の駆動を停止させる。これにより、カメラ22は前記右撮影位置に固定され、車両の右斜め後方を撮影する状態となる。
【0058】
なお、モータ28の駆動を停止させる方法としては、前記右回動端位置検出センサ53がオンに切換わった時点で直ちにモータ28への電源供給を停止させるようにしてもよいし、当該センサ53がオンに切換わった時点からモータ28の電圧値を下げてトルクを低下させ、微小時間(例えば0.5秒間)だけモータ28を回して位置調整をした後に当該モータ28を完全停止させるようにしてもよい。
【0059】
次に、前記コントローラ16からカメラ位置を基準位置に切換える旨の位置選択信号が制御回路基板50の制御回路に入力されると、この制御回路は、カメラ22を今度は車両左側に回動させる向き(図3ではスライドギア35、ブラケット36及びカメラ22を時計回りに回転させる向き)にモータ28を作動させる。
【0060】
このとき、カメラ22は前記基準位置に戻る向きに回動するが、前記ブラケット36に突設された被保持ピン37は、車両後方からみて図8(a)(b)に示す左撮影位置から中央位置に逆行する。このとき、第1スライド部材41には引張コイルばね44の弾性引張力すなわち当該第1スライド部材41を基準位置側に戻そうとする付勢力が作用しているので、このときも第1スライド部材41はその第1当接部41aが前記被保持ピン37に圧接する状態を維持しながらこの被保持ピン37とともにスライドする。
【0061】
そして、図9(a)(b)に示すように前記第1スライド部材41の被検出部41fが第1基準位置検出センサ51の配設位置に到達して当該センサ51がオンに切換わると、制御回路はカメラ22が基準位置に復帰したと判断してモータ28の駆動を停止させる。これにより、カメラ22は前記基準位置に位置決めされる。
【0062】
この場合も、モータ28の駆動を停止させる方法としては、第1基準位置検出センサ51がオンに切換わった時点で直ちにモータ28への電源供給を停止させるようにしてもよいし、当該センサ53が基準位置よりも手前でオンに切換わるように予め設定しておき、そのオンに切換わった時点からモータ28の電圧を低下させてカメラ22の位置調整(例えば前記バックラッシュ領域の中央位置までカメラ22を進める調整)をした後に完全停止させるようにしてもよい。また、本発明ではカメラ22を各カメラ位置に停止させるための具体的な制御は何ら問わない。
【0063】
前記基準位置からカメラ位置を逆に左撮影位置に切換える旨の切換指令信号が制御回路基板50の制御回路に入力された場合には、この制御回路が図3の時計回り方向にスライドギア35、ブラケット36及びカメラ22を回転させる向きにモータ28を作動させてカメラ22をさらに車両左側に回動させる。
【0064】
このとき、前記ブラケット36に突設された被保持ピン37は、車両後方からみて図3等に示す中央位置から右側に移動し、前記とは逆に第1スライド部材41が取り残されて第2スライド部材42のみその第2当接部42aが被保持ピン37に圧接する状態を維持しながら当該被保持ピン37とともに右側へスライドする。そして、図11(a)(b)に示すようにブラケット36の回動当接部36bがストッパ38に当接する左撮影位置にカメラ22が到達すると、前記第2スライド部材42の被検出部42fが左撮影位置検出センサ54の配設位置に到達して当該センサ54がオンに切換わり、これに対応してモータ28の駆動が停止され、カメラ22は前記左撮影位置、すなわち、車両の左斜め後方を撮影する位置に固定される。
【0065】
次に、前記コントローラ16の行う切換制御動作を図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
初期設定がなされた後(図12のステップS1)、図2に示すコントローラ16のカメラ位置判定手段17は、手動切換スイッチ14によりカメラ位置が選択されているか否か、すなわち同スイッチ14がオンであるか否かを判定する(ステップS2)。手動切換スイッチ14がオンの場合には(ステップS2でYES)、各障害物検知センサ12L,12C,12Rの出力信号に関係なく、当該スイッチ14の操作位置に基づいて切換えるべきカメラ位置を判定する(ステップS3)。すなわち、前記手動切換スイッチ14で選択されたカメラ位置を切換えるべきカメラ位置とする。
【0067】
一方、前記手動切換スイッチ14によりカメラ位置が選択されていない場合、すなわち手動切換スイッチ14がオフのときには(ステップS2でNO)、各障害物検知センサ12L,12C,12Rの検知信号(オンオフ)に基づいて次の表1に示すルールでカメラ位置を判定する。
【0068】
【表1】
【0069】
すなわち、いずれの障害物検知センサ12L,12C,12Rも障害物を検知しない場合には、切換えるべきカメラ位置を基準位置と判定し(パターン1)、各障害物検知センサ12L,12C,12Rのうちのいずれか一つのセンサが障害物を検知した場合には、その検知センサに対応するカメラ位置(例えば左側障害物検知センサ12Lが障害物を検知した場合には左撮影位置)を切換えるべきカメラ位置とする(パターン2〜4)。
【0070】
また、複数の障害物検知センサが障害物を検知している場合において(パターン5〜8)、左側障害物検知センサ12L及び右側障害物検知センサ12Rのいずれか一方のみが障害物を検知しているときはその障害物を検知している側の撮影位置(例えば左側障害物検知センサ12Lが障害物を検知している場合には左撮影位置)を切換えるべきカメラ位置とし(パターン5,6)、左側障害物検知センサ12L及び右側障害物検知センサ12Rの双方が障害物を検知しているときは基準位置を切換えるべきカメラ位置とする(パターン7,8)。
【0071】
すなわち、この実施の形態では、中央障害物検知センサ12Cの出力信号に関係なく、左右の障害物検知センサ12L,12Rのうちのいずれか一方が障害物を検知している場合には(パターン2,4,5,6)、その検知している側の撮影位置が切換えるべきカメラ位置と判定され、左右の障害物検知センサ12L,12Rがいずれも障害物を検知している場合や(パターン1,3)同センサ12L,12Rがいずれも障害物を検知している場合(パターン7,8)には、基準位置が切換えるべきカメラ位置と判定される。
【0072】
なお、右側障害物検知センサ12Rが障害物を検知せずに左側障害物検知センサ12L及び中央障害物検知センサ12Cが障害物を検知した場合や(パターン5)、左側障害物検知センサ12Lが障害物を検知せずに右側障害物検知センサ12R及び中央障害物検知センサ12Cが障害物を検知した場合には(パターン6)、当該中央障害物検知センサ12Cが障害物を検知しているにもかかわらず左側障害物検知センサ12Lや右側障害物検知センサ12Rの検知信号を優先してカメラ位置の判定がなされることになるが、この実施の形態では、図1(a)に示すようにカメラ位置が左撮影位置や右撮影位置にあってもカメラ22の視野角θ内に中央障害物検知センサ12Cの検知エリア13Cの相当部分が含まれるので、当該検知エリア13C内の障害物を撮影できる確率は比較的高い。すなわち、この装置では、検知された障害物を撮影する確率が高い側のカメラ位置が選択されることになる。
【0073】
以上のようにして切換えるべきカメラ位置が判定された後、図2に示すコントローラ16のカメラ位置切換手段は、その判定カメラ位置と現在のカメラ位置が合致しているか否かを判定し(ステップS5)、合致している場合には(ステップS5でYES)現在のカメラ位置を維持する旨の切換指令信号をカメラユニット22に出力し(ステップS6)、合致していない場合には(ステップS5でNO)現在のカメラ位置から判定カメラ位置に切換える旨の切換指令信号を前記カメラユニット22に出力する(ステップS7)。
【0074】
このような車両後方撮影装置によれば、各障害物検知センサ12L,12C,12Rが障害物を検知したときにその障害物を高い確率でカメラ撮影することが可能であり、これにより運転者に後方運転に際して価値の高い画像情報を提供することが可能になる。
【0075】
なお、この実施の形態では、右側障害物検知センサ12Rが障害物を検知せずに左側障害物検知センサ12L及び中央障害物検知センサ12Cが障害物を検知した場合や(パターン5)、左側障害物検知センサ12Lが障害物を検知せずに右側障害物検知センサ12R及び中央障害物検知センサ12Cが障害物を検知した場合に(パターン6)、中央障害物検知センサ12Cの検知信号ではなく左側障害物検知センサ12Lや右側障害物検知センサ12Rの検知信号を優先してカメラ位置の判定がなされているが、例えば基準位置にあるカメラ22の視野角θ内に左側検知エリア13Lや右側検知エリア13Rの相当部分が含まれる場合には中央障害物検知センサ12Cの検知信号を優先してカメラ位置を判定する(すなわち基準位置を切換えるべきカメラ位置とする)ようにしてもよい。
【0076】
また、前記実施の形態のように中央障害物検知センサ12Cの検知信号に関係なく左側障害物検知センサ12Lや右側障害物検知センサ12Rの検知信号を優先してカメラ位置の判定をする場合には、中央障害物検知センサ12Cの省略も可能である。
【0077】
その他、本発明は例えば次のような実施の形態をとるようにしてもよい。
【0078】
・本発明では、カメラ位置の数や障害物検知センサの数を特に問わない。例えば、カメラ位置及び障害物検知センサをそれぞれ左右に一つずつ設けるようにしてもよいし、逆に4つ以上のカメラ位置や障害物検知センサの配置を設定するようにしてもよい。いずれの場合も、障害物検知センサが障害物を検知した場合にその障害物を撮影できる確率が高いカメラ位置を選択することにより、価値の高い画像情報の提供が可能になる。
【0079】
・いずれの障害物検知センサも障害物を検知しない場合に、撮影を停止するようにしてもよい。換言すれば、障害物を検知した場合にのみ撮影を開始するようにしてもよい。ただし、前記実施の形態のように予め基準位置を定めておき、どの障害物検知センサも障害物を検知しないときにカメラ位置を基準位置に設定するようにすれば、障害物の検知の有無にかかわらず撮影画像の提供を続けることが可能になる。
【0080】
・前記手動切換スイッチ14は適宜省略が可能である。また、当該手動切換スイッチ14を設ける場合でも、同スイッチ14は必ずしも全てのカメラ位置を選択できるものでなくてもよく、例えば、自動モード(障害物検知センサの検知信号に基づいて自動的にカメラ位置を切換えるモード)と基準位置選択モード(障害物検知センサの検知信号に関係なくカメラ位置を強制的に基準位置に切換えるモード)とのみが選択できるようなものであってもよい。
【0081】
・前記実施の形態では、各障害物検知センサ12L,12C,12Rが左右方向に互いに離れた位置に設けられたものを示したが、本発明では各センサの検知エリアが分散しておればよく、必ずしも各障害物検知センサの配設位置が分散していなくてもよい。例えば、複数のセンサを特定箇所に集中配置してもよいし、センサ同士を組合わせて単一のセンサユニットとして構成するようにしてもよい。また、障害物検知手段の具体的な構成も特に問わず、前記の超音波センサの他、赤外線センサや電波を用いたセンサの利用も可能である。
【0082】
・本発明においてカメラを回動させる方向は必ずしも左右方向に限られない。例えば上下に並ぶ複数の位置に障害物検知センサの検知エリアを設定するとともに、カメラを上下方向に回動させるようにしてもよい。
【実施例】
【0083】
図13〜図16は、前記車両後方撮影装置を搭載した車両10の後方運転例として、壁Wと平行な方向に並ぶように車両10を横列駐車する場合を示したものである。
【0084】
図13に示すように、車両10を直進後退させながら他の車両同士の間の駐車スペースに近づくにあたり、いずれの障害物検知センサの検知エリア13L,13C,13Rにも障害物がない間は(同図二点鎖線)、カメラ位置は基準位置に保たれ、カメラ22は車両10の直後方の状況を撮影する。そして、駐車スペース付近で運転者がステアリングホイールを左に切ることにより車両10は左旋回をはじめるが、ここで駐車スペースの右隣の車両10′の左前部が右側障害物検知センサの検知エリア13R内に入ると(同図実線)、車両10は左旋回していてもカメラ位置は右旋回位置に切換えられ、カメラ22の撮影視野角θ内に前記車両10′の左前部が入る。
【0085】
運転者は、この車両右側後方の撮影画像を利用して前記車両10′との離間距離を見極めながらさらに僅かずつ後進を続けることができる。例えば図14に示す状況では、撮影画像における自らの車両10のリヤバンパー左端と隣の車両10′のフロントバンパー左端との隙間g等を目安として、車両10′に近接する位置まで後進を続けることができる。そして、その近接位置で一旦車両10を停止させ、少し前進させると(図15)、車両10′の左前部が右側障害物検知センサの検知エリア13Rから再び外れ、カメラ22は基準位置に復帰する。その後、運転者はカメラ位置が基準位置に保たれていること(すなわち左右障害物検知センサの検知エリア13L,13Rに障害物がないこと)を確認しながら、駐車を完了することができる(図16)。このように、右側障害物検知センサが障害物を検知しても右側後方撮影画像を利用してさらに左旋回を続ける(すなわち障害物に接近する)ようにすることにより、少ない切り返し回数(図例では1回)で駐車を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る車両後方撮影装置を装備した車両の平面図、(b)はその側面図である。
【図2】前記車両に装備されるコントローラの機能構成を示すブロック図である。
【図3】前記車両後方撮影装置の一部断面平面図である。
【図4】前記車両後方撮影装置のカバーを取り除いた状態を示す正面図である。
【図5】前記車両後方撮影装置の一部断面平面図である。
【図6】前記車両後方撮影装置の一部断面左側面図である。
【図7】前記車両後方撮影装置の一部断面右側面図である。
【図8】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが右撮影位置にある状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図9】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが右撮影位置から基準位置に到達した瞬間の状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図10】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが右撮影位置から基準位置に到達した瞬間からモータが駆動変換機構のバックラッシュ分だけ回転した状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図11】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが左撮影位置にある状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図12】前記車両後方撮影装置において行われるカメラ位置の切換制御動作を示すフローチャートである。
【図13】前記車両後方撮影装置を搭載した車両の後方運転の例を示す平面図である。
【図14】前記車両後方撮影装置を搭載した車両の後方運転の例を示す平面図である。
【図15】前記車両後方撮影装置を搭載した車両の後方運転の例を示す平面図である。
【図16】前記車両後方撮影装置を搭載した車両の後方運転の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0087】
10 車両
12L 左側障害物検知センサ
12C 中央障害物検知センサ
12R 右側障害物検知センサ
13L 左側障害物検知センサの検知エリア
13C 中央障害物検知センサの検知エリア
13R 右側障害物検知センサの検知エリア
14 手動切換スイッチ
16 コントローラ(切換制御手段)
17 カメラ位置判定手段
18 カメラ位置切換指令手段
20 カメラユニット
22 カメラ
28 モータ(カメラ位置切換手段)
30 駆動変換機構(カメラ位置切換手段)
50 制御回路基板(カメラ位置切換手段)
θ カメラの水平方向の視野角
【技術分野】
【0001】
本発明は、後方運転の支援等を目的として車両後方の視界を撮影する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車庫入れ等における車両の後方運転を支援する手段として、車両後部にその後方視界を撮影するためのカメラを固定し、その撮影画像を運転室内に提供する装置が知られている。さらに、下記特許文献1では、前記カメラにより撮影可能となる角度範囲を拡大すべく、当該カメラを左右方向に回動可能となるように設置し、例えばステアリングホイールの操舵角に応じてカメラの向きを中央の基準位置から左右に振ることにより、その運転状態に適した撮影画像の提供を図るようにしたものが、開示されている。
【特許文献1】特開2004−274618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載された装置では、ステアリングホイールの操舵角に応じてカメラの位置が切換えられるので、そのカメラの撮影視野から外れた位置に障害物が存する場合、その障害物の存在に気がつくことなく後進操作が続けられるおそれがある。例えば、車庫入れ等においてステアリングホイールを左側に操作しながら後進している場合には、カメラは車両左側後方を撮影する向きに切換えられることになるが、このとき車両の右側後方に障害物がある場合、その障害物がカメラの撮影視野から完全に外れてしまう不都合がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑み、障害物の存在についての価値の高い画像情報をカメラ撮影によって的確に運転者に提供することができる車両後方撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、車両の後方の視界を撮影するカメラと、このカメラの位置をその撮影の向きが互いに異なる複数のカメラ位置に切換えるカメラ位置切換手段と、車両後方について互いに異なる検知エリアが設定され、その設定された検知エリア内での障害物の存否を検知する複数の障害物検知手段と、いずれかの障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときにその障害物を撮影するのに適したカメラ位置を判定し、その判定したカメラ位置に切換えるように前記カメラ位置切換手段を作動させる切換制御手段とを備えた車両後方撮影装置である。
【0006】
この構成によれば、障害物検知手段により障害物が検知されたときに、その障害物を撮影するのに適したカメラ位置が自動的に判定され、その判定されたカメラ位置に切換がなされるので、運転者に対して高い確率で障害物についての価値の高い画像情報を提供することができる。
【0007】
ここで、いずれの障害物検知手段も障害物を検知しないときには、カメラによる撮影を停止させるようにしてもよいが、前記カメラ位置に基準位置を含め、いずれの障害物検知手段も障害物を検知しないときは切換えるべきカメラ位置を前記基準位置と判定するようにすれば、障害物を存しない通常運転時にも前記基準位置での撮影画像の提供を続けることができる。
【0008】
より具体的に、前記カメラ位置として、車両の左側後方を撮影する左撮影位置と、車両の右側後方を撮影する右撮影位置とが設定され、かつ、これら左撮影位置と右撮影位置との間に前記基準位置が設定されるとともに、前記障害物検知手段として、車両の左側後方に検知エリアが設定された左側障害物検知手段と、車両の右側後方に検知エリアが設定された右側障害物検知手段とを含み、前記切換制御手段は、前記左側障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記左撮影位置と判定し、前記右側障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記右撮影位置と判定し、前記左側障害物検知手段及び右側障害物検知手段の双方がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記基準位置と判定するようにすれば、前記基準位置を中心としてその左右にカメラを振ることにより、広い撮影視野を確保することができる。
【0009】
すなわち、いずれの障害物検知手段も障害物を検知しない時にはカメラ位置を基準位置にして通常撮影を行いながら、左側障害物検知手段、右側障害物検知手段のいずれか一方が障害物を検知したときにはその検知した側にカメラ位置を切換えることにより、高い確率で障害物を撮影することが可能になる。
【0010】
ここで、前記障害物検知手段として、前記左側障害物検知手段及び前記右側障害物検知手段に加え、車両の直後方に検知エリアが設定された中央障害物検知手段を含めるようにしてもよい。その場合、前記切換制御手段は、前記右側障害物検知手段が障害物を検知せずに前記中央障害物検知手段と前記左側障害物検知手段とがその検知エリアに障害物を検知した場合には、前記基準位置及び前記左撮影位置のうち双方の障害物を撮影視野に入れる確率が高い側の位置を切換えるべきカメラ位置とし、前記左側障害物検知手段が障害物を検知せずに前記中央障害物検知手段と前記右側障害物検知手段とがその検知エリアに障害物を検知した場合には、前記基準位置及び前記右撮影位置のうち双方の障害物を撮影視野に入れる確率が高い側の位置を切換えるべきカメラ位置とするように構成すればよい。
【0011】
また、手動で前記カメラ位置を切換えるための切換スイッチが車室内に設けられるとともに、前記切換制御手段は、前記切換スイッチによりいずれかのカメラ位置が選択された場合には前記各障害物検知手段の検知結果にかかわらず切換えるべきカメラ位置を前記選択がなされたカメラ位置と判定するように構成すれば、運転者の意思を優先した車両後方撮影が可能になる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、障害物検知手段により障害物が検知されたときに、その障害物を撮影するのに適したカメラ位置が自動的に判定され、その判定されたカメラ位置に切換がなされるので、障害物が存する場合にその障害物についての画像情報をカメラ撮影によって運転者に高い確率で提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1(a)(b)に示す車両10の後部には、障害物検知手段として3つの障害物検知センサ(左側障害物検知センサ12L、中央障害物検知センサ12C、及び右側障害物検知センサ12R)が設けられるとともに、カメラユニット20が設けられている。
【0015】
前記各障害物検知センサ12L,12C,12Rは、超音波センサ等で構成されている。このうち中央障害物検知センサ12Cは、車両後部中央に配設され、その配設位置から直後方の検知エリア13C内に障害物が存在する場合に検知信号を出力する。同様に、中央障害物検知センサ12L,12Rは、車両後部の左右端にそれぞれ配設され、その配設位置から車両左側後方及び右側後方にそれぞれ設定された検知エリア13L,13Rに障害物が存在する場合にそれぞれ検知信号を出力する。
【0016】
前記カメラユニット20は、後に詳述する図3〜図11に示すように斜め後方向きに設置されるカメラ22を備え、このカメラ22は、水平方向については図1(a)に示す視野角θ、垂直方向については同図(b)に示す視野角φを有している。さらに、このカメラ22は左右方向中央の基準位置から左右にそれぞれ角度αずつ首振り(回動)した左撮影位置及び右撮影位置へ位置切換可能となっており、そのためのカメラ位置切換手段がカメラユニット20に内蔵されている(詳細後述)。
【0017】
このカメラ22の水平方向の視野角θと各障害物検知センサ12L,12C,12Rの検知エリア13L,13C,13Rとの関係について、図1に示す例では、次のように設定されている。
【0018】
1)カメラ22が基準位置にある状態でその視野角θ内に中央の検知エリア13Cが完全に含まれるとともに同視野角θから左右の検知エリア13L,13Rが外れる。
【0019】
2)カメラ22が左撮影位置にある状態でその視野角θ内に左側の検知エリア13Lの全域と中央の検知エリア13Cの半分以上の領域が含まれ、同視野角から右側の検知エリア13Rが外れる。
【0020】
3)カメラ22が右撮影位置にある状態でその視野角θ内に右側の検知エリア13Rの全域と中央の検知エリア13Cの半分以上の領域が含まれ、同視野角から左側の検知エリア13Lが外れる。
【0021】
各障害物検知センサ12L,12C,12Rの出力する検知信号は、図2に示すようなコントローラ(切換制御手段)16に入力される。このコントローラ16には、前記検知信号の他、運転室内に設けられた手動切換スイッチ14の出力する位置選択信号が入力される。この手動切換スイッチ14は、その操作によって運転者が前記カメラ位置を手動で選択するためのものである。
【0022】
前記コントローラ16は、カメラ位置判定手段17と、カメラ位置切換指令手段18とを備えている。カメラ位置判定手段17は、前記手動切換スイッチ14が出力する位置選択信号と、各障害物検知センサ12L,12C,12Rの出力信号とに基づき、切換えるべきカメラ位置を判定するものであり、カメラ位置切換指令手段18は、その判定されたカメラ位置に実際のカメラ位置を切換えるように、カメラユニット20に切換指令信号を出力するものである。
【0023】
次に、前記カメラユニット20の好適な例を図3〜図11を参照しながら説明する。ただし、本発明ではカメラ及びそのカメラ位置切換手段の具体的構造を問わない。
【0024】
図示のカメラユニット20は、前記カメラ22と、このカメラ22を収容するケース24とを備え、このケース24内には前記カメラ22を回動可能に支持する支持フレーム(支持部材)26が収容されている。そして、この支持フレーム26に、前記カメラ22の回動中心軸となる略垂直方向の支軸27と、カメラ22を回動させるための駆動源であるモータ28と、その駆動力をカメラ22を回動させる力に変換する駆動変換機構30と、前記カメラ22を前記基準位置に弾性的に保持する弾性保持機構40と、前記コントローラ16からの位置選択信号を受けて前記モータ28の駆動制御を行う制御回路基板50とが取付けられている。従って、前記モータ28、駆動変換機構30、制御回路基板50等により、カメラ22の位置を切換えるカメラ位置切換手段が構成されている。
【0025】
前記ケース24は、前記カメラ22を収容した状態で車両後部に固定される。このケース24は車両後方に向かって開口しており、この開口を塞ぐように透明カバー25がケース24に装着されている。そして、このケース24内において、前記カメラ22は、そのレンズ23が車両後方に対して斜め下方を向く姿勢で収容されており、前記透明カバー25を通じて車両後方の主として下側領域を撮影することが可能となっている。
【0026】
前記支持フレーム26は、垂直方向に配せられる垂直壁26aと、この垂直壁26aの上端から車両後方に向かって水平に延びる天壁26bとを有し、この天壁26bに前記支軸27及びモータ28が固定されるとともに前記駆動変換機構30が取付けられ、前記垂直壁26aに前記弾性保持機構40及び制御回路基板50が取付けられている。
【0027】
前記駆動変換機構30は、前記モータ28の出力軸に固定されるウォーム31と、二重歯車32,33,34と、揺動歯車35とを備え、この揺動歯車35の下面にブラケット36を介して前記カメラ22が吊下げ状態で取付けられている。
【0028】
前記二重歯車32は、ウォームホイール32aと小径の平歯車32bとが互いに同軸となるように配列されたものであり、前記ウォームホイール32aが前記ウォーム31に噛合されている。二重歯車33は大径の平歯車33aと小径の平歯車33bとが互いに同軸となるように配列されたものであり、前記平歯車33aが前記平歯車32bに噛合されている。同様に二重歯車34は大径の平歯車34aと小径の平歯車34bとが互いに同軸となるように配列されたものであり、前記平歯車34aが前記平歯車33bに噛合され、前記平歯車34bが前記揺動歯車35に噛合されている。
【0029】
この揺動歯車35は、前記カメラ22の回動角度範囲すなわち左撮影位置から右撮影位置までの角度範囲(=2α)に対応する周長の円弧状の歯部を有し、その円弧中心に対応する箇所(図例では揺動歯車35の車両前側端部;図3では上側端部)が前記支軸27に回転可能に取付けられている。そして、この揺動歯車35に当該揺動歯車35と一体に回転するようにブラケット36が固定され、このブラケット36により前記カメラ22が前記支軸27よりも車両後側寄りの位置に吊下げ支持されている。
【0030】
従って、この駆動変換機構30では、前記モータ28の出力がウォーム31、二重歯車32,33,34、及び揺動歯車35を順に介して前記カメラ22に伝達され、同カメラ22を回動させる力として作用する。
【0031】
前記ブラケット36は前記支軸27を境として前記揺動歯車35及びカメラ22と反対側(車両前側;図3では上側)に突出しており、その回動方向の両端部にはそれぞれ径方向外側に突出する回動当接部36a,36bが形成されている。これに対し、前記支持フレーム26の垂直壁26aにはストッパ38が固定されており、このストッパ38に前記回動当接部36aが当接する位置(図8(a)(b)に示す位置)が前記カメラ22の右撮影位置に設定され、前記ストッパ38に前記回動当接部36bが当接する位置(図11(a)(b)に示す位置)が前記カメラ22の左撮影位置に設定されており、両回動端位置のちょうど中間位置が前記基準位置に設定されている。
【0032】
前記ブラケット36の車両前側端部(図3では上側の端部)からは下向きに被保持ピン37が突出しており、この被保持ピン37が前記カメラ22とは左右逆向きに回動するようになっている。そして、この被保持ピン37を弾性保持するように前記弾性保持機構40が構成されている。
【0033】
具体的に、この弾性保持機構40は、第1スライド部材41及び第2スライド部材42と、両スライド部材41,42同士を連結する弾性部材である引張コイルばね44とを備えている。
【0034】
両スライド部材41,42は、図例では板状をなし、その板厚方向に互いに重ねられた状態で、かつ、前記支持フレーム26の垂直壁26aに沿う立直姿勢で、当該垂直壁26aに取付けられ、かつ、車両幅方向(左右方向)にそれぞれスライド可能となるように支持されている。
【0035】
第1スライド部材41は、車両左右方向に延びる左右一対の貫通長孔41hを有し、これらの貫通長孔41hにそれぞれ前記垂直壁26aから突出するスライド部材支持ピン26cが挿通されることにより、当該垂直壁26aに前記第1スライド部材41がスライド可能に支持されるとともにそのスライドストロークが前記貫通長孔41hの長さに相当するストロークに制限されている。このスライドストロークは、前記カメラ22が前記基準位置から前記右撮影位置まで回動するストローク(=α)に対応するストロークよりも若干大きめに設定されている。
【0036】
この第1スライド部材41の本体部分からは車両後側に向けて第1当接部41a及び第1ばね取付部41bが突出している。前記第1当接部41aは、車両後方からみて前記被保持ピン37に対して左側(図4の左側)から当接可能な位置に形成され、前記第1ばね取付部41bは前記第1当接部41aと同じ側の端部(図4では左側端部)で前記第1当接部41bよりも一段低い位置に形成されている。そして、前記カメラ22が基準位置にあるときに前記被保持ピン37に対して前記第1当接部41aが前記被保持ピン37に車両後方から見て左側から当接した状態(図4の状態)で第1スライド部材41が車両後方から見て最も右端の位置(前記各貫通長孔41hの左側終端縁部が前記スライド部材支持ピン26cに当接する位置)に存するように、当該第1スライド部材41の取付位置が設定されている。
【0037】
同様に、第2スライド部材42も左右方向に延びる貫通長孔42hを有し、この貫通長孔42hに前記スライド部材支持ピン26cが挿通されることにより当該垂直壁26aにスライド可能に第2スライド部材42が支持されるとともに、そのスライドストロークが前記貫通長孔42hの長さに相当するストロークに制限されている。このスライドストロークは、前記カメラ22が前記基準位置から前記左撮影位置まで回動するストローク(=α)に対応するストロークよりも若干大きめに設定されている。
【0038】
この第2スライド部材42の本体部分からは車両後側に第2当接部42a及び第2ばね取付部42bが突出している。前記第2当接部42aは、車両後方からみて前記被保持ピン37に対して右側(図4の右側)から当接可能な位置に形成され、前記第2ばね取付部42bは前記第2当接部42aと同じ側の端部(図4では右側端部)で前記第2当接部42bよりも一段低い位置に形成されている。そして、前記カメラ22が基準位置にあるときに前記被保持ピン37に対して前記第2当接部42aが前記被保持ピン37に車両後方から見て右側から当接した状態(図4の状態)で第2スライド部材42が車両後方から見て最も左側の位置(前記各貫通長孔42hの右側終端縁部が前記スライド部材支持ピン26cに当接する位置)に存するように、当該第2スライド部材42の取付位置が設定されている。
【0039】
前記引張コイルばね44は、その両端が前記第1ばね取付部41bと第2ばね取付部42bとに取付けられている。よって、この引張コイルばね44の弾性復帰力は両ばね取付部41b,42b同士を引き寄せ合う力として作用し、図3〜図5に示すように前記カメラ22が基準位置にある状態では、前記被保持ピン37に対して前記第1当接部41a及び第2当接部42aが左右両側から同時に当接する(すなわち被保持ピン37を挟持する)状態が保持されるとともに、この状態で引張コイルばね44の弾性変形量は最小(すなわちばね長が最短)となる。
【0040】
さらに、このカメラユニット20では、前記両スライド部材41,42のスライド運動を利用して前記カメラ22の回動位置を検出する手段が組み込まれている。
【0041】
具体的に、前記第1スライド部材41及び第2スライド部材42の本体部分からはそれぞれ下方に第1被検出部41f及び第2被検出部42fが突出する一方、前記支持フレーム26の垂直壁26aに取付けられている前記制御回路基板50上には、前記被検出部41f,42fと同じ高さ位置に、右撮影位置センサ(第1の回動端位置センサ)53、第1の基準位置センサ51、第2の基準位置センサ52、及び左撮影位置センサ(第2の回動端位置センサ)54が車両後方から見て左から順に配列されている。
【0042】
これらの位置センサ51〜54は、反射型光センサにより構成され、前記被検出部41f,42fからの光の反射の有無によって当該センサの配設位置における当該被検出部41f,42fの存否を検出する。すなわち、反射光を検知したときにのみオン信号を出力する。
【0043】
このうち第1の基準位置センサ51は、図3〜図7及び図9,図10に示すようにカメラ22が基準位置にあって前記第1スライド部材41が車両後方から見て右端に位置するときの、当該第1スライド部材41における第1の被検出部41fを検出する位置に設けられ、同様に第2の基準位置センサ52は、前記カメラ22が基準位置にあって前記第2スライド部材42が車両後方から見て左端に位置するときの、当該第2スライド部材42における第2の被検出部42fを検出する位置に設けられている。
【0044】
また、右撮影位置センサ53は、図8(a)(b)に示すようにカメラ22が右撮影位置にあって前記第1スライド部材41が車両後方から見て左端に位置するときの、当該第1スライド部材41における第1の被検出部41fを検出する位置に設けられ、右撮影位置センサ54は、図11(a)(b)に示すようにカメラ22が左撮影位置にあって前記第2スライド部材42が車両後方から見て右端に位置するときの、当該第2スライド部材42における第2の被検出部42fを検出する位置に設けられている。
【0045】
制御回路基板50には、前記各位置センサ51〜54の他、前記モータ28の駆動を制御するモータ制御回路が組み込まれている。このモータ制御回路は、前記各位置センサ51〜54の出力信号に基づいてカメラ22の現在位置を判定するとともに、その現在位置が前記コントローラ16から入力される位置選択信号により指定されたカメラ位置と異なる場合には、両位置を近づける方向に前記モータ28を作動させ、両位置が合致した時点で前記モータ28の駆動を停止させる制御動作を行う。
【0046】
具体的に、このモータ制御回路は、前記各位置センサ51〜54の出力信号すなわち検出信号に基づいて、カメラ位置を次のように判定する。
【0047】
1)両基準位置センサ51,52がオンで両端位置センサ53,54がオフのときは、カメラ22が基準位置にあると判定する(図4,図9,図10)。
【0048】
2)第2基準位置センサ52及び右撮影位置センサ53がオンで第1基準位置センサ51及び左撮影位置センサ54がオフのときは、カメラ22が右撮影位置にあると判定する(図8)。
【0049】
3)第1基準位置センサ51及び左撮影位置センサ54がオンで第2基準位置センサ52及び右撮影位置センサ53がオフのときは、カメラ22が左撮影位置にあると判定する(図11)。
【0050】
4)第2基準位置センサ52のみがオンのときは、カメラ22が基準位置と右撮影位置との間に位置していると判定する。
【0051】
5)第1基準位置センサ51のみがオンのときは、カメラ22が基準位置と左撮影位置との間に位置していると判定する。
【0052】
6)前記以外の場合は故障と判定する。
【0053】
このようなカメラユニット20において、カメラ22が基準位置で停止しているときは、このカメラ22が固定されているブラケット36の被保持ピン37も中央位置にあり、この被保持ピン37に対して第1スライド部材41の第1当接部41aと第2スライド部材42の第2当接部42aが左右両側から同時に当接するとともに、その当接状態が引張コイルばね44の弾性復帰力(引張力)によって保持される。すなわち、カメラ22は前記基準位置に弾性保持される。
【0054】
このとき、カメラ22は車両の後方視界中央領域を撮影する。また、両スライド部材41,42の被検出部41f,42fはそれぞれ第1基準位置センサ51の配設位置および第2基準位置センサ52の配設位置にそれぞれ存在しており、これら基準位置センサ51,52のみがオン信号を出力する状態となる。
【0055】
この状態で、前記コントローラ16からカメラ位置を右撮影位置に切換える旨の切換指令信号が制御回路基板50の制御回路に入力されると、この制御回路は、カメラ22を車両右側に回動させる向き(図3ではスライドギア35、ブラケット36及びカメラ22を反時計回りに回転させる向き)にモータ28を作動させる。このモータ28の駆動力は駆動変換機構30を介してブラケット36に伝達され、このブラケット36とカメラ22とが一体に右撮影位置へ回動し始める。
【0056】
このとき、前記ブラケット36に突設された被保持ピン37は、車両後方からみて図3等に示す中央位置から左側に移動し始める。このとき、第2スライド部材42はその貫通長孔42hの右側終端の縁部がスライド部材支持ピン26cに当接しているためにその位置に取り残され、よって当該第2スライド部材42の第2当接部42aは前記被保持ピン37から離間するが、第1スライド部材41はその第1当接部41aが引張コイルばね44の弾性引張力を受けて前記被保持ピン37に圧接する状態を維持しながら前記引張コイルばね44を伸ばすようにして当該被保持ピン37とともに左側へスライドする。すなわち、カメラ22は引張コイルばね44の弾性引張力による抵抗を受けながら右撮影位置に向かって回動する。
【0057】
そして、その右撮影位置、すなわち図8(a)(b)に示すようにブラケット36の回動当接部36aがストッパ38に当接する位置にカメラ22が到達すると、前記第1スライド部材41の被検出部41fが右撮影位置検出センサ53の配設位置に到達して当該センサ53がオンに切換わり、これに対応して制御回路はモータ28の駆動を停止させる。これにより、カメラ22は前記右撮影位置に固定され、車両の右斜め後方を撮影する状態となる。
【0058】
なお、モータ28の駆動を停止させる方法としては、前記右回動端位置検出センサ53がオンに切換わった時点で直ちにモータ28への電源供給を停止させるようにしてもよいし、当該センサ53がオンに切換わった時点からモータ28の電圧値を下げてトルクを低下させ、微小時間(例えば0.5秒間)だけモータ28を回して位置調整をした後に当該モータ28を完全停止させるようにしてもよい。
【0059】
次に、前記コントローラ16からカメラ位置を基準位置に切換える旨の位置選択信号が制御回路基板50の制御回路に入力されると、この制御回路は、カメラ22を今度は車両左側に回動させる向き(図3ではスライドギア35、ブラケット36及びカメラ22を時計回りに回転させる向き)にモータ28を作動させる。
【0060】
このとき、カメラ22は前記基準位置に戻る向きに回動するが、前記ブラケット36に突設された被保持ピン37は、車両後方からみて図8(a)(b)に示す左撮影位置から中央位置に逆行する。このとき、第1スライド部材41には引張コイルばね44の弾性引張力すなわち当該第1スライド部材41を基準位置側に戻そうとする付勢力が作用しているので、このときも第1スライド部材41はその第1当接部41aが前記被保持ピン37に圧接する状態を維持しながらこの被保持ピン37とともにスライドする。
【0061】
そして、図9(a)(b)に示すように前記第1スライド部材41の被検出部41fが第1基準位置検出センサ51の配設位置に到達して当該センサ51がオンに切換わると、制御回路はカメラ22が基準位置に復帰したと判断してモータ28の駆動を停止させる。これにより、カメラ22は前記基準位置に位置決めされる。
【0062】
この場合も、モータ28の駆動を停止させる方法としては、第1基準位置検出センサ51がオンに切換わった時点で直ちにモータ28への電源供給を停止させるようにしてもよいし、当該センサ53が基準位置よりも手前でオンに切換わるように予め設定しておき、そのオンに切換わった時点からモータ28の電圧を低下させてカメラ22の位置調整(例えば前記バックラッシュ領域の中央位置までカメラ22を進める調整)をした後に完全停止させるようにしてもよい。また、本発明ではカメラ22を各カメラ位置に停止させるための具体的な制御は何ら問わない。
【0063】
前記基準位置からカメラ位置を逆に左撮影位置に切換える旨の切換指令信号が制御回路基板50の制御回路に入力された場合には、この制御回路が図3の時計回り方向にスライドギア35、ブラケット36及びカメラ22を回転させる向きにモータ28を作動させてカメラ22をさらに車両左側に回動させる。
【0064】
このとき、前記ブラケット36に突設された被保持ピン37は、車両後方からみて図3等に示す中央位置から右側に移動し、前記とは逆に第1スライド部材41が取り残されて第2スライド部材42のみその第2当接部42aが被保持ピン37に圧接する状態を維持しながら当該被保持ピン37とともに右側へスライドする。そして、図11(a)(b)に示すようにブラケット36の回動当接部36bがストッパ38に当接する左撮影位置にカメラ22が到達すると、前記第2スライド部材42の被検出部42fが左撮影位置検出センサ54の配設位置に到達して当該センサ54がオンに切換わり、これに対応してモータ28の駆動が停止され、カメラ22は前記左撮影位置、すなわち、車両の左斜め後方を撮影する位置に固定される。
【0065】
次に、前記コントローラ16の行う切換制御動作を図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
初期設定がなされた後(図12のステップS1)、図2に示すコントローラ16のカメラ位置判定手段17は、手動切換スイッチ14によりカメラ位置が選択されているか否か、すなわち同スイッチ14がオンであるか否かを判定する(ステップS2)。手動切換スイッチ14がオンの場合には(ステップS2でYES)、各障害物検知センサ12L,12C,12Rの出力信号に関係なく、当該スイッチ14の操作位置に基づいて切換えるべきカメラ位置を判定する(ステップS3)。すなわち、前記手動切換スイッチ14で選択されたカメラ位置を切換えるべきカメラ位置とする。
【0067】
一方、前記手動切換スイッチ14によりカメラ位置が選択されていない場合、すなわち手動切換スイッチ14がオフのときには(ステップS2でNO)、各障害物検知センサ12L,12C,12Rの検知信号(オンオフ)に基づいて次の表1に示すルールでカメラ位置を判定する。
【0068】
【表1】
【0069】
すなわち、いずれの障害物検知センサ12L,12C,12Rも障害物を検知しない場合には、切換えるべきカメラ位置を基準位置と判定し(パターン1)、各障害物検知センサ12L,12C,12Rのうちのいずれか一つのセンサが障害物を検知した場合には、その検知センサに対応するカメラ位置(例えば左側障害物検知センサ12Lが障害物を検知した場合には左撮影位置)を切換えるべきカメラ位置とする(パターン2〜4)。
【0070】
また、複数の障害物検知センサが障害物を検知している場合において(パターン5〜8)、左側障害物検知センサ12L及び右側障害物検知センサ12Rのいずれか一方のみが障害物を検知しているときはその障害物を検知している側の撮影位置(例えば左側障害物検知センサ12Lが障害物を検知している場合には左撮影位置)を切換えるべきカメラ位置とし(パターン5,6)、左側障害物検知センサ12L及び右側障害物検知センサ12Rの双方が障害物を検知しているときは基準位置を切換えるべきカメラ位置とする(パターン7,8)。
【0071】
すなわち、この実施の形態では、中央障害物検知センサ12Cの出力信号に関係なく、左右の障害物検知センサ12L,12Rのうちのいずれか一方が障害物を検知している場合には(パターン2,4,5,6)、その検知している側の撮影位置が切換えるべきカメラ位置と判定され、左右の障害物検知センサ12L,12Rがいずれも障害物を検知している場合や(パターン1,3)同センサ12L,12Rがいずれも障害物を検知している場合(パターン7,8)には、基準位置が切換えるべきカメラ位置と判定される。
【0072】
なお、右側障害物検知センサ12Rが障害物を検知せずに左側障害物検知センサ12L及び中央障害物検知センサ12Cが障害物を検知した場合や(パターン5)、左側障害物検知センサ12Lが障害物を検知せずに右側障害物検知センサ12R及び中央障害物検知センサ12Cが障害物を検知した場合には(パターン6)、当該中央障害物検知センサ12Cが障害物を検知しているにもかかわらず左側障害物検知センサ12Lや右側障害物検知センサ12Rの検知信号を優先してカメラ位置の判定がなされることになるが、この実施の形態では、図1(a)に示すようにカメラ位置が左撮影位置や右撮影位置にあってもカメラ22の視野角θ内に中央障害物検知センサ12Cの検知エリア13Cの相当部分が含まれるので、当該検知エリア13C内の障害物を撮影できる確率は比較的高い。すなわち、この装置では、検知された障害物を撮影する確率が高い側のカメラ位置が選択されることになる。
【0073】
以上のようにして切換えるべきカメラ位置が判定された後、図2に示すコントローラ16のカメラ位置切換手段は、その判定カメラ位置と現在のカメラ位置が合致しているか否かを判定し(ステップS5)、合致している場合には(ステップS5でYES)現在のカメラ位置を維持する旨の切換指令信号をカメラユニット22に出力し(ステップS6)、合致していない場合には(ステップS5でNO)現在のカメラ位置から判定カメラ位置に切換える旨の切換指令信号を前記カメラユニット22に出力する(ステップS7)。
【0074】
このような車両後方撮影装置によれば、各障害物検知センサ12L,12C,12Rが障害物を検知したときにその障害物を高い確率でカメラ撮影することが可能であり、これにより運転者に後方運転に際して価値の高い画像情報を提供することが可能になる。
【0075】
なお、この実施の形態では、右側障害物検知センサ12Rが障害物を検知せずに左側障害物検知センサ12L及び中央障害物検知センサ12Cが障害物を検知した場合や(パターン5)、左側障害物検知センサ12Lが障害物を検知せずに右側障害物検知センサ12R及び中央障害物検知センサ12Cが障害物を検知した場合に(パターン6)、中央障害物検知センサ12Cの検知信号ではなく左側障害物検知センサ12Lや右側障害物検知センサ12Rの検知信号を優先してカメラ位置の判定がなされているが、例えば基準位置にあるカメラ22の視野角θ内に左側検知エリア13Lや右側検知エリア13Rの相当部分が含まれる場合には中央障害物検知センサ12Cの検知信号を優先してカメラ位置を判定する(すなわち基準位置を切換えるべきカメラ位置とする)ようにしてもよい。
【0076】
また、前記実施の形態のように中央障害物検知センサ12Cの検知信号に関係なく左側障害物検知センサ12Lや右側障害物検知センサ12Rの検知信号を優先してカメラ位置の判定をする場合には、中央障害物検知センサ12Cの省略も可能である。
【0077】
その他、本発明は例えば次のような実施の形態をとるようにしてもよい。
【0078】
・本発明では、カメラ位置の数や障害物検知センサの数を特に問わない。例えば、カメラ位置及び障害物検知センサをそれぞれ左右に一つずつ設けるようにしてもよいし、逆に4つ以上のカメラ位置や障害物検知センサの配置を設定するようにしてもよい。いずれの場合も、障害物検知センサが障害物を検知した場合にその障害物を撮影できる確率が高いカメラ位置を選択することにより、価値の高い画像情報の提供が可能になる。
【0079】
・いずれの障害物検知センサも障害物を検知しない場合に、撮影を停止するようにしてもよい。換言すれば、障害物を検知した場合にのみ撮影を開始するようにしてもよい。ただし、前記実施の形態のように予め基準位置を定めておき、どの障害物検知センサも障害物を検知しないときにカメラ位置を基準位置に設定するようにすれば、障害物の検知の有無にかかわらず撮影画像の提供を続けることが可能になる。
【0080】
・前記手動切換スイッチ14は適宜省略が可能である。また、当該手動切換スイッチ14を設ける場合でも、同スイッチ14は必ずしも全てのカメラ位置を選択できるものでなくてもよく、例えば、自動モード(障害物検知センサの検知信号に基づいて自動的にカメラ位置を切換えるモード)と基準位置選択モード(障害物検知センサの検知信号に関係なくカメラ位置を強制的に基準位置に切換えるモード)とのみが選択できるようなものであってもよい。
【0081】
・前記実施の形態では、各障害物検知センサ12L,12C,12Rが左右方向に互いに離れた位置に設けられたものを示したが、本発明では各センサの検知エリアが分散しておればよく、必ずしも各障害物検知センサの配設位置が分散していなくてもよい。例えば、複数のセンサを特定箇所に集中配置してもよいし、センサ同士を組合わせて単一のセンサユニットとして構成するようにしてもよい。また、障害物検知手段の具体的な構成も特に問わず、前記の超音波センサの他、赤外線センサや電波を用いたセンサの利用も可能である。
【0082】
・本発明においてカメラを回動させる方向は必ずしも左右方向に限られない。例えば上下に並ぶ複数の位置に障害物検知センサの検知エリアを設定するとともに、カメラを上下方向に回動させるようにしてもよい。
【実施例】
【0083】
図13〜図16は、前記車両後方撮影装置を搭載した車両10の後方運転例として、壁Wと平行な方向に並ぶように車両10を横列駐車する場合を示したものである。
【0084】
図13に示すように、車両10を直進後退させながら他の車両同士の間の駐車スペースに近づくにあたり、いずれの障害物検知センサの検知エリア13L,13C,13Rにも障害物がない間は(同図二点鎖線)、カメラ位置は基準位置に保たれ、カメラ22は車両10の直後方の状況を撮影する。そして、駐車スペース付近で運転者がステアリングホイールを左に切ることにより車両10は左旋回をはじめるが、ここで駐車スペースの右隣の車両10′の左前部が右側障害物検知センサの検知エリア13R内に入ると(同図実線)、車両10は左旋回していてもカメラ位置は右旋回位置に切換えられ、カメラ22の撮影視野角θ内に前記車両10′の左前部が入る。
【0085】
運転者は、この車両右側後方の撮影画像を利用して前記車両10′との離間距離を見極めながらさらに僅かずつ後進を続けることができる。例えば図14に示す状況では、撮影画像における自らの車両10のリヤバンパー左端と隣の車両10′のフロントバンパー左端との隙間g等を目安として、車両10′に近接する位置まで後進を続けることができる。そして、その近接位置で一旦車両10を停止させ、少し前進させると(図15)、車両10′の左前部が右側障害物検知センサの検知エリア13Rから再び外れ、カメラ22は基準位置に復帰する。その後、運転者はカメラ位置が基準位置に保たれていること(すなわち左右障害物検知センサの検知エリア13L,13Rに障害物がないこと)を確認しながら、駐車を完了することができる(図16)。このように、右側障害物検知センサが障害物を検知しても右側後方撮影画像を利用してさらに左旋回を続ける(すなわち障害物に接近する)ようにすることにより、少ない切り返し回数(図例では1回)で駐車を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る車両後方撮影装置を装備した車両の平面図、(b)はその側面図である。
【図2】前記車両に装備されるコントローラの機能構成を示すブロック図である。
【図3】前記車両後方撮影装置の一部断面平面図である。
【図4】前記車両後方撮影装置のカバーを取り除いた状態を示す正面図である。
【図5】前記車両後方撮影装置の一部断面平面図である。
【図6】前記車両後方撮影装置の一部断面左側面図である。
【図7】前記車両後方撮影装置の一部断面右側面図である。
【図8】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが右撮影位置にある状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図9】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが右撮影位置から基準位置に到達した瞬間の状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図10】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが右撮影位置から基準位置に到達した瞬間からモータが駆動変換機構のバックラッシュ分だけ回転した状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図11】(a)は前記車両後方撮影装置のカメラが左撮影位置にある状態を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図12】前記車両後方撮影装置において行われるカメラ位置の切換制御動作を示すフローチャートである。
【図13】前記車両後方撮影装置を搭載した車両の後方運転の例を示す平面図である。
【図14】前記車両後方撮影装置を搭載した車両の後方運転の例を示す平面図である。
【図15】前記車両後方撮影装置を搭載した車両の後方運転の例を示す平面図である。
【図16】前記車両後方撮影装置を搭載した車両の後方運転の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0087】
10 車両
12L 左側障害物検知センサ
12C 中央障害物検知センサ
12R 右側障害物検知センサ
13L 左側障害物検知センサの検知エリア
13C 中央障害物検知センサの検知エリア
13R 右側障害物検知センサの検知エリア
14 手動切換スイッチ
16 コントローラ(切換制御手段)
17 カメラ位置判定手段
18 カメラ位置切換指令手段
20 カメラユニット
22 カメラ
28 モータ(カメラ位置切換手段)
30 駆動変換機構(カメラ位置切換手段)
50 制御回路基板(カメラ位置切換手段)
θ カメラの水平方向の視野角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方の視界を撮影するカメラと、このカメラの位置をその撮影の向きが互いに異なる複数のカメラ位置に切換えるカメラ位置切換手段と、車両後方について互いに異なる検知エリアが設定され、その設定された検知エリア内での障害物の存否を検知する複数の障害物検知手段と、いずれかの障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときにその障害物を撮影するのに適したカメラ位置を判定し、その判定したカメラ位置に切換えるように前記カメラ位置切換手段を作動させる切換制御手段とを備えたことを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両後方撮影装置において、前記カメラ位置には基準位置が含まれており、前記切換制御手段は、いずれの障害物検知手段も障害物を検知しないときは切換えるべきカメラ位置を前記基準位置と判定することを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両後方撮影装置において、前記カメラ位置として、車両の左側後方を撮影する左撮影位置と、車両の右側後方を撮影する右撮影位置とが設定され、かつ、これら左撮影位置と右撮影位置との間に前記基準位置が設定されるとともに、前記障害物検知手段として、車両の左側後方に検知エリアが設定された左側障害物検知手段と、車両の右側後方に検知エリアが設定された右側障害物検知手段とを含み、前記切換制御手段は、前記左側障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記左撮影位置と判定し、前記右側障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記右撮影位置と判定し、前記左側障害物検知手段及び右側障害物検知手段の双方がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記基準位置と判定するものであることを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両後方撮影装置において、前記障害物検知手段として、前記左側障害物検知手段及び前記右側障害物検知手段に加え、車両の直後方に検知エリアが設定された中央障害物検知手段を含み、前記切換制御手段は、前記右側障害物検知手段が障害物を検知せずに前記中央障害物検知手段と前記左側障害物検知手段とがその検知エリアに障害物を検知した場合には、前記基準位置及び前記左撮影位置のうち双方の障害物を撮影視野に入れる確率が高い側の位置を切換えるべきカメラ位置とし、前記左側障害物検知手段が障害物を検知せずに前記中央障害物検知手段と前記右側障害物検知手段とがその検知エリアに障害物を検知した場合には、前記基準位置及び前記右撮影位置のうち双方の障害物を撮影視野に入れる確率が高い側の位置を切換えるべきカメラ位置とすることを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の車両後方撮影装置において、手動で前記カメラ位置を切換えるための切換スイッチが車室内に設けられるとともに、前記切換制御手段は、前記切換スイッチによりいずれかのカメラ位置が選択された場合には前記各障害物検知手段の検知結果にかかわらず切換えるべきカメラ位置を前記選択がなされたカメラ位置と判定することを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項1】
車両の後方の視界を撮影するカメラと、このカメラの位置をその撮影の向きが互いに異なる複数のカメラ位置に切換えるカメラ位置切換手段と、車両後方について互いに異なる検知エリアが設定され、その設定された検知エリア内での障害物の存否を検知する複数の障害物検知手段と、いずれかの障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときにその障害物を撮影するのに適したカメラ位置を判定し、その判定したカメラ位置に切換えるように前記カメラ位置切換手段を作動させる切換制御手段とを備えたことを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両後方撮影装置において、前記カメラ位置には基準位置が含まれており、前記切換制御手段は、いずれの障害物検知手段も障害物を検知しないときは切換えるべきカメラ位置を前記基準位置と判定することを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両後方撮影装置において、前記カメラ位置として、車両の左側後方を撮影する左撮影位置と、車両の右側後方を撮影する右撮影位置とが設定され、かつ、これら左撮影位置と右撮影位置との間に前記基準位置が設定されるとともに、前記障害物検知手段として、車両の左側後方に検知エリアが設定された左側障害物検知手段と、車両の右側後方に検知エリアが設定された右側障害物検知手段とを含み、前記切換制御手段は、前記左側障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記左撮影位置と判定し、前記右側障害物検知手段がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記右撮影位置と判定し、前記左側障害物検知手段及び右側障害物検知手段の双方がその検知エリア内に障害物を検知したときには切換えるべきカメラ位置を前記基準位置と判定するものであることを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両後方撮影装置において、前記障害物検知手段として、前記左側障害物検知手段及び前記右側障害物検知手段に加え、車両の直後方に検知エリアが設定された中央障害物検知手段を含み、前記切換制御手段は、前記右側障害物検知手段が障害物を検知せずに前記中央障害物検知手段と前記左側障害物検知手段とがその検知エリアに障害物を検知した場合には、前記基準位置及び前記左撮影位置のうち双方の障害物を撮影視野に入れる確率が高い側の位置を切換えるべきカメラ位置とし、前記左側障害物検知手段が障害物を検知せずに前記中央障害物検知手段と前記右側障害物検知手段とがその検知エリアに障害物を検知した場合には、前記基準位置及び前記右撮影位置のうち双方の障害物を撮影視野に入れる確率が高い側の位置を切換えるべきカメラ位置とすることを特徴とする車両後方撮影装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の車両後方撮影装置において、手動で前記カメラ位置を切換えるための切換スイッチが車室内に設けられるとともに、前記切換制御手段は、前記切換スイッチによりいずれかのカメラ位置が選択された場合には前記各障害物検知手段の検知結果にかかわらず切換えるべきカメラ位置を前記選択がなされたカメラ位置と判定することを特徴とする車両後方撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−123834(P2006−123834A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317468(P2004−317468)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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