説明

車両用のバッテリーボックス搭載構造

【課題】車両の衝突等によって、バッテリーボックスが容易に脱落しないようにすると共に、バッテリーボックス支持装置の耐久性向上と重量及びコスト低減を両立させた車両用バッテリーボックス搭載装置を提供することを目的とする。
【解決手段】サイドフレーム4のウエブ部41に、開口部が車幅方向外側に位置した水平断面がコ字状の対向した屈曲部112を有し、車両前後方向に間隔を有して配置された複数のステー11と、複数のステー11の下部に固着された台座部14と、台座部14に載置され、バッテリー収納部の収納開口縁を形成するフランジ部32に、開口部111へ嵌入する突起部35を設けると共に、屈曲部112に形成された係合孔115と係合して車幅方向外方への移動が規制される係合突起351を突起部35に配設したバッテリーボックス3と、ステー11と台座部14間にバッテリーボックス3を固定バンドで緊締したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にバッテリーが収納された車両のバッテリーボックス搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の電気駆動の車両においては、内部に大容量のバッテリーが収納されたバッテリーボックスを、車両前後方向に延設されたサイドフレームの一側面にブラケット装置を介して取付けるようにした取付構造が一般に用いられている。
図6及び図8は、電気駆動車両において、バッテリーボックス01を車両前後方向に延設されたサイドフレーム010のウエブ面012にブラケット装置を介して取付けた取付構造の平面図であり、図7はバッテリーボックス01の(D)は通常走行時、(E)は衝突時を示す。
【0003】
図7において、01は内部にバッテリーが収納されたバッテリーボックス01であり、該バッテリーボックス01は車両前後方向へ間隔を有して2箇所にボルト(図示省略)によって締結される略L字状の支持ブラケット03と、該略L字状の支持ブラケット03の車幅方向外方向に延びた水平部に載置されたバッテリーボックス01を支持ブラケット03に固定する固定用バンド08とで構成されている。
【0004】
図7(D)は車両の一般走行状態を示すが、図7(E)の車両衝突時には、衝突による衝撃力Fがサイドフレーム010に作用したときのバッテリーボックス01の慣性力が、バッテリーボックス01をブラケット03へ緊締している固定用バンド08に慣性反力として大きな荷重が作用し、固定用バンド08の破断によるバッテリーボックス01がブラケット03から脱落するという事態発生が考えられる。
その対応策の先行技術として、特開2007−230459号公報(特許文献1)が開示されている。
【0005】
特許文献1は図8に示されているように、取付装置02は、サイドフレーム010のウエブ面012に車両前後方向へ間隔を有して2箇所にボルト(図示省略)によって締結される略L字状の支持ブラケット03と、該略L字状の支持ブラケット03の車幅方向外方向に延びた水平部にバッテリーボックス01が載置される支持台04と、該支持台04に載置されたバッテリーボックス01を支持ブラケット03に固定する固定用バンド08とで構成されている。
尚、支持台04に載置されたバッテリーボックス01は、略L字状の支持ブラケット03の基部上端部と略L字状の載置部の先端部とを架橋した固定用バンド08によって支持ブラケット03に緊締されている。
一方、バッテリーボックス01(図の説明を解り易くするため二点鎖線で図示)の底部の複数箇所にストッパ部材07(図の説明を解り易くするため実線で図示)を固定して、支持台04の前端縁042及び後端縁043とストッパ部材07との協働によりバッテリーボックス01の車両前後方向への移動を規制する技術が開示されている。
このような構造によって、重量の大きいバッテリーボックス01が車両の衝突等に伴う衝撃力によって、車両前後方向に移動するのを、バッテリーボックス01に固定したストッパ部材07が支持台04に係合して、移動を規制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−230459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、重量の大きいバッテリーボックス01の重心は、サイドフレーム010のウエブ面012から車両外方向の離れた位置にあり、車両の衝突等に伴うバッテリーボックス01の慣性力が大きいため、支持ブラケット03とサイドフレーム010のウエブ面012との取付部に車両前後方向の大きな曲げ力が作用するため、補強用の取付ブラケット031をウエブ面012と支持ブラケット03との間に介装しており、更に、バッテリーボックス01の底部の複数箇所にストッパ部材07を固定しており、構成部品点数が多くなり重量及び、コストが嵩む不具合を有している。
【0008】
また、バッテリーボックス01の車両前後方向への慣性力により、2本の略L字状の支持ブラケット03は車両前後方向に変形するため、帯板状の固定用バンド08には帯板の幅全域に不均等の引張力が作用して、固定用バンド08は所定の強度を維持できなくなる不具合が考えられる。
【0009】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み成されたもので、車両の衝突等によって、バッテリーボックスが容易に脱落しないようにすると共に、バッテリーボックス支持装置の耐久性向上と重量及びコスト低減を両立させた車両のバッテリーボックス搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はかかる目的を達成するもので、内部にバッテリーが収納されたバッテリーボックスを車両前後方向に延設されたサイドフレームに取付ける車両のバッテリーボックス搭載構造において、前記サイドフレームのウエブ部に装着され、上下方向に延在し、開口部が車幅方向外側に位置し、水平断面がコ字状の対向した屈曲部を有し、車両前後方向に間隔を有して配置された複数の支持部材と、該支持部材の前記屈曲部に形成された第1係合部と、一辺が前記複数の支持部材の下部に固着され、他辺が車幅方向外方へ延在した台座部と、該台座部に載置され、前記バッテリーボックスの外周部に外方へ延出したフランジ部に、前記コ字状の開口部へ嵌入する突起部を設けると共に、前記第1係合部に対向した位置に、前記第1係合部と係合する第2係合部を前記突起部に配設したバッテリーボックスと、前記支持部材の上部と前記台座部の前記他辺間を架橋して、前記支持部材と前記台座部間に前記バッテリーボックスを緊締する緊締部材とを備え、前記第1係合部と前記第2係合部との係合により、車両衝突時に前記バッテリーボックスが車両外方への移動を規制することを特徴とする。
【0011】
かかる発明において、車両衝突時、バッテリーボックスの突起部が支持部材の屈曲部によって、車両前後方向の移動を規制するが、バッテリーボックスの重心は突起部より車幅方向外側にあるため、バッテリーボックスには突起部を中心にして外側に回転するモーメントが発生するが、第1係合部と第2係合部との車幅方向外側方向への係合により、バッテリーボックスが車両外方へ移動するのを規制する。規制により、緊締部材へ作用するバッテリーボックスのモーメント負荷を小さくして、車体のバッテリーボックス保持力を向上させると共に、緊締部材に作用する引張力を低減させるので、緊締部材の不要な強度補強をなくし、重量及びコスト低減の効果を有する。
【0012】
本願発明において好ましくは、前記第1係合部と、第2係合部は前記複数の支持部材の最後部に配設して、車両の前方衝突時に、前記バッテリーボックスの慣性力により前記突起部を中心に車幅方向外方へ回転するモーメントを規制するとよい。
【0013】
このような構成にすることにより、車両の前方衝突時に、バッテリーボックスの慣性力により車幅方向外方へ回転するモーメントの規制をバッテリーボックスの車両前後方向後部にて行うので、モーメント規制が効率よくでき、車体のバッテリーボックス保持力を向上させると共に、緊締部材に作用する引張力を低減させる。
【0014】
本願発明において好ましくは、前記第1係合部と、第2係合部は前記複数の支持部材の最前部に配設して、車両が後方衝突時に、前記バッテリーボックスの慣性力により前記突起部を中心に車幅方向外方へ回転するモーメントを規制するとよい。
【0015】
このような構成にすることにより、車両が追突された時、又は後進急激停車時にバッテリーボックスの慣性力により車幅方向外方へ回転するモーメントを規制して車体のバッテリーボックス保持力を向上させると共に、緊締部材に作用する引張力を低減させる。
【0016】
本願発明において好ましくは、前記第1係合部は前記フランジ部に車両前後方向へ穿設された上下方向に第1平面部分を有した長孔であり、前記第2係合部は前記長孔に嵌入可能であり、且つ、前記第1平面部分に対向した第2平面部分を有し、前記第1平面部と前記第2平面部が当接して車幅方向外方に係合させることを特徴とする。
【0017】
このような構成にすることにより、係合時、第1係合部の第1平面部分と、第2係合部の第2平面部分とを面接触の係合とすることにより、当接部の発生応力を低減させると共に、係合部の変形を防止する。
【0018】
本願発明において好ましくは、前記突起部と、前記第2係合部との接続部は滑らかに変化させた形状にするとよい。
【0019】
このような構成にすることにより、接続部を滑らかに変化させたので、第1係合部と第2係合部とが係合して、接続部に引張力が作用しても、断面剛性変化が滑らかになり、発生応力集中を防止して、当該部の強度向上が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バッテリーボックスの突起部と支持部材の屈曲部によって、バッテリーボックスの車両前後方向の移動を規制し、突起部を中心にして外側に回転するモーメントを、第1係合部と第2係合部との係合により、バッテリーボックスが車両外方へ移動するのを規制することにより、緊締部材へのバッテリーボックスのモーメント負荷を小さくして、車体のバッテリーボックス保持力を向上させると共に、緊締部材に作用する引張力を低減させることにより、緊締部材の不要な強度補強をなくして、重量及びコスト低減の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態にかかるバッテリーボックスを車両のサイドフレームに装着した搭載構造の斜視図を示す。
【図2】本発明の実施形態にかかるバッテリーボックス取付装置の概略構造図を示す。
【図3】図1のX矢視図を示す。
【図4】図3のY部詳細で、(A)は車両通常搭載状態、(B)は車両衝突時の状態図を示す。
【図5】本発明の実施形態にかかる(A)はステーAの上端部拡大斜視図、(B)はステーAの係合孔に係合する係合突起の拡大図、(C)は(B)の詳細構造図を示す。
【図6】バッテリーボックス取付状況外観図を示す。
【図7】従来技術のバッテリーボックス取付状況図で、(D)は通常走行時、(E)は前面衝突時を示す。
【図8】従来技術のバッテリーボックス取付装置概略構造図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。
但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0023】
(第1実施形態)
本願発明による、バッテリーボックスと、バッテリーボックスをトラック用のシャシフレームに取付けるバッテリーボックス取付装置の構造について説明する。
図1は本発明の実施形態にかかるバッテリーボックス搭載構造の斜視図を示す。
1は車両のサイドフレーム4のウエブ部41に締結部材であるボルト116(図2参照)によって固着されたバッテリーボックス取付装置(以後、バッテリーブラケットと記載する)である。
図2及び図3に示すように、バッテリーブラケット1は車両のサイドフレーム4のウエブ部41に車両後方側から前後方向に間隔を有して、支持部材であるAステー11、Bステー12及びCステー13の順に装着されている。
各ステー11、12及び13は水平断面がコ字状断面をなし、夫々の開口部111、121及び131が車幅方向外側に位置し、前後方向に対向して配置される屈曲部112、122及び132を連結するコ字状断面の底部113、123及び133がサイドフレーム4のウエブ部41に取付ボルト116によって取付けられている。
【0024】
各ステー11、12及び13の上下方向中間部には上下方向へ階段状に屈曲され、車両後方側が下方へ位置して、バッテリーボックス3が載置される台座部14が配設されている。台座部14のサイドフレーム4側の辺である一辺の階段状のウエブ部143、144及び145(図2参照)から車幅方向内側に延出した取付部146(図4(A))が、各ステー11、12及び13の底部113、123及び133と共に、サイドフレーム4のウエブ41に取付ボルト116によって共締めされる。
【0025】
本実施形態の場合、重量の大きいバッテリーを収納したバッテリーボックス3を搭載するので、各ステー11、12及び13と台座部14とを溶接接合すると、バッテリーブラケット1の剛性が高くなりすぎて、サイドフレーム4が捩れた際に、溶接端部に高応力が発生し易いので、ボルト結合とすることでバッテリーブラケット1の構造に柔軟性を持たせて、部分的に高応力が発生するのを抑制し、耐久性の向上を図っている。
【0026】
また、各ステー11、12及び13の下端部にサイドフレーム4と平行に保持部材16(図2参照)が配設されている。保持部材16はバッテリーブラケット1を車体に取付ける際、バッテリーブラケット1の形状を保持して、サイドフレーム4への取付作業性を良くすると共に、サイドフレーム4が捩れた際に、バッテリーブラケット1の変形を抑制する効果を有している。
更に、台座部14の車幅方向外側の辺である他辺には後述する冷却装置を収納する収納部を保護するカバー部材17(図1又は2参照)が締結部材によって装着されている。カバー部材17も保持部材16と協働して、サイドフレーム4が捩れた際に、バッテリーブラケット1の変形を抑制する効果を有している。
【0027】
図1に示すように、台座部14の下側にはバッテリーボックス3内のバッテリー(図示省略)の電力充放電により発生する熱を冷却する冷却装置が配設され、71は冷却媒体を補充する補給液注入部で、72はその配管の一部である。
【0028】
図5(C)(車両中心側からバッテリーボックス後部を示す)に示すように、台座部14に載置されるバッテリーボックス3は、バッテリーが収納される凹部313とその開口部から外方へ延在した下側フランジ部311を有した下側ボックス31と、下側ボックス31の開口部と対向した同形状の開口部と、下側フランジ部311に当接する同形状の上側フランジ部331とを有し、上方向へ若干の凹部333を有して、下側ボックス31の蓋部材となる上側ボックス33とで構成されている。
【0029】
図3及び図5(C)に示すように、各ステー11、12及び13夫々の開口部111、121及び131に対向した下側ボックス31及び上側ボックス33夫々のフランジ部311、331の部分が、夫々の開口部111、121及び131に嵌入したA突起部35、B突起部36及び、C突起部37を有している。各突起部35、36及び37は各ステーの屈曲部112、122及び132によって、車両前後方向の移動を規制される状態になる。
尚、各突起部35、36及び37は夫々下側フランジ部311及び、上側フランジ部331と一体的に形成されている。
(以後、突起部は構造説明が複雑になるので、各突起部は下側フランジ部311及び、上側フランジ部331の両方のフランジ部から突出した部分を含んだ状態を総称する。)
【0030】
台座部14に載置されたバッテリーボックス3は、図2に示すようにA固定用バンド5と、B固定用バンド6とで各ステー11、12及び13と台座部14との間に緊締されている。A固定用バンド5は、一端をAステー11の上部に係合し、中間部が帯状の緊締部材であり、他端に固着されたボルト117を台座部14の他辺142側に穿設された締結孔に嵌入してナット118で台座部14に締結する。一方、B固定用バンド6は、Cステー13の上部に係合し、中間部が帯状の緊締部材であり、他方に固着されたボルト117を台座部14の他辺142側に穿設された締結孔に嵌入してナット118で台座部14に締結する。
【0031】
また、図4は図3のY部を拡大したもので、図4(A)に示すように、Aステー11の開口部111に嵌入しているA突起部35の車両前後方向前端に、Aステー11の前側のフランジ112側へ矩形状に突出した第2係合部である係合突起351がA突起部35と一体的に形成されている。
一方、図4(B)は車両が前方衝突した場合、バッテリーボックス3の車両前方向への移動に伴い、A突起部35の係合突起351はフランジ112の係合孔115に嵌入して、係合突起351と係合孔115が係合した状態を示している。
【0032】
そして、図5(A)に示すように、係合突起351と対向したAステー11の前側のフランジ112には、係合突起351と対向した位置に、上下方向に直線部を有した長円形状の第1係合部である係合孔115が穿設されている。
一方、係合突起351は、図5(B)に示すように、A突起部35との接続部は図示において、上辺353がA突起部35の上端縁354と略一直線状に接続され、A突起部35の下辺355がA突起部35の前側端縁352とが略直交し、その接続部Z1が半円状(断面剛性変化が滑らか)の滑らかな形状に変化して形成されている。
更に、突起部35と、フランジ部311(331)との接続部Z2及びZ3も半円状の滑らかな形状に形成されている。
これは、係合孔115に係合突起351が係合すると、バッテリーボックス3には外方向のモーメントが発生した際に、係合突起351の接続部Z1にM矢印方向へ引張応力が発生する。その引張応力を半円状にすることで、Z1部分の剛性変化を和らげ、Z1部分全体で分担することにより、応力集中を避けるためである。(応力低減)
Z2及びZ3部分も同様の効果を得ることを目的に半円状に形成されている。
【0033】
上述の構造にしたので、車両が前方衝突した際に、バッテリーボックス3は自身の慣性力によって、各屈曲部112、122及び、132と各突起部35、36及び、37との隙間分だけ前方へ移動するが、各突起部35、36及び37が各ステー11、12及び13の屈曲部112、122及び132に当接して、前方への移動を規制される。
【0034】
その結果、バッテリーボックス3の重心は各突起部35、36及び37より車幅方向外側にあるため、バッテリーボックス3には車両外方向へC突起部37を中心とする回転モーメントMが発生するが、係合突起351と係合孔115との係合により、発生するモーメントMが規制され、固定用バンド5に作用するモーメントの負荷を減少でき、A固定用バンド5に特別な補強をしなくても、車両が前衝突した場合に、A固定用バンド5が切断されて、バッテリーボックス3が脱落するような不具合を未然に防ぐことが可能となる。
また、バッテリーボックス3がバッテリーブラケット1に対し傾斜しないので、A固定用バンド5の帯板状の幅全域に均等の引張力が作用するので、A固定用バンド5は本来の強度が維持でき、A固定用バンド5に特別な補強をしなくてもすむと共に、係合突起351はA突起35に一体的に形成され、係合孔115はAステー11の屈曲部に穿設しただけなので、部品点数の増加が無く、重量及びコスト上昇を抑制できる。
【0035】
更に、係合孔115の形状を上下方向に直線部を有した長円形状にしたので、該上下方向の直線部の面(板厚による面が形成される)と、係合突起351の板厚の面(バッテリーボックス3の下側ボックス31のフランジ部311と、上側ボックス33のフランジ部331の板厚との合計)とが面あたりするので、当該部の面圧が低くなり、係合孔115の形状変形を防止する効果を有している。
【0036】
尚、本実施形態において、バッテリーボックス3の車両前衝突時の移動により、係合突起351と係合孔115とが係合する構造としたが、バッテリーボックス3を台座部14に搭載する際に、予め係合突起351と係合孔115とを係合させた状態にしてもよい。
但し、予め係合突起351と係合孔115とを係合させた状態に組付ける組付け構造は
バッテリーボックス3を台座部14に載置後、車両前方側へ移動させなければならず、係合は確実になるが、重量の大きいバッテリーボックス3の移動は工数を余計に要する。
一方、本実施形態のバッテリーボックス3を車両前衝突時の移動によって係合突起351と係合孔115とを係合させるようにした場合はフォークリフト等で車両横方向から容易に搭載できるので、本実施形態では採用した。
尚、この場合でも、固定用バンド5、6で、各ステー11、12、及び13に固定されているので、係合は確実に行われる。
従って、車両前衝突時の移動により、係合突起351と係合孔115とが係合する場合と、予め係合突起351と係合孔115とを係合させた状態の場合と、どちらの方法を用いても、本発明の効果を得ることができる。
【0037】
(第2実施形態)
車両の後進を急激にとめる場合について、図3に基づいて説明する。
ダンプトラック、又は塵芥車等は荷台を傾斜させた状態で後進させて、車止に車輪を当て、その慣性力によって、荷台の粘性のある荷物を荷台から一気に排出するような車両の使われ方もあり、又は、後方から追突された場合について説明する。
本実施例は第1実施形態に対し、第1係合部と、第2係合部がバッテリーボックス3の中心に対し前後方向対象形状に配置されるので、第2実施形態では第1係合部と、第2係合部の部分だけを説明する。
Cステー13の開口部131に嵌入しているC突起部37の車両前後方向後端に、Cステー13のフランジ112側(車両後方側)へ矩形状に突出した第2係合部である係合突起371がC突起部37と一体的に形成されている。
一方、Cステー13の後側フランジ134には、係合突起371と対向した位置に、上下方向に平面部を有した長円形状の第1係合部である係合孔135が穿設されている。
【0038】
そして、車両が後進急激停車した際に、バッテリーボックス3は自身の慣性力によって、各屈曲部112と各突起部35との隙間分だけ後方へ移動するが、各突起部35、36及び37が各ステー11、12及び13のフランジ112、122及び132に当接して、前方への移動を規制される。
一方、バッテリーボックス3の移動に伴い、C突起部37の係合突起371は後側のフランジ132の係合孔135に嵌入する。
その結果、第1実施形態と同様な効果を有することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
車両のサイドフレームに重量の大きい装置を搭載する場合、重量及びコスト削減を図る搭載装置に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 バッテリーブラケット(取付装置)
3 バッテリーボックス
4 サイドフレーム
5 固定用バンドA(緊締部材)
6 固定用バンドB(緊締部材)
7 冷却装置
11 Aステー
12 Bステー
13 Cステー
14 台座部
35 A突起
37 C突起
111 開口部
112、132 フランジ
115 係合孔(第1係合部)
351 係合突起(第2係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にバッテリーが収納されたバッテリーボックスを車両前後方向に延設されたサイドフレームに取付ける車両のバッテリーボックス搭載構造において、
前記サイドフレームのウエブ部に装着され、上下方向に延在し、開口部が車幅方向外側に位置し、水平断面がコ字状の対向した屈曲部を有し、車両前後方向に間隔を有して配置された複数の支持部材と、
該支持部材の前記屈曲部に形成された第1係合部と、
一辺が前記複数の支持部材の下部に固着され、他辺が車幅方向外方へ延在した台座部と、
該台座部に載置され、前記バッテリーボックスの外周部に外方へ延出したフランジ部に、
前記コ字状の開口部へ嵌入する突起部を設けると共に、前記第1係合部に対向した位置に、前記第1係合部と係合する第2係合部を前記突起部に配設したバッテリーボックスと、
前記支持部材の上部と前記台座部の前記他辺間を架橋して、前記支持部材と前記台座部間に前記バッテリーボックスを緊締する緊締部材とを備え、
前記第1係合部と前記第2係合部との係合により、車両衝突時に前記バッテリーボックスが車両外方への移動を規制することを特徴とする車両のバッテリーボックス搭載構造。
【請求項2】
前記第1係合部と、第2係合部は前記複数の支持部材の最後部に配設して、車両の前方衝突時に、前記バッテリーボックスの慣性力により前記突起部を中心に車幅方向外方へ回転するモーメントを規制することを特徴とする請求項1記載の車両のバッテリーボックス搭載構造。
【請求項3】
前記第1係合部と、第2係合部は前記複数の支持部材の最前部に配設して、車両が後方衝突時に、前記バッテリーボックスの慣性力により前記突起部を中心に車幅方向外方へ回転するモーメントを規制することを特徴とする請求項1記載の車両のバッテリーボックス搭載構造。
【請求項4】
前記第1係合部は前記フランジ部に車両前後方向へ穿設された上下方向に第1平面部分を有した長孔であり、前記第2係合部は前記長孔に嵌入可能であり、且つ、前記第1平面部分に対向した第2平面部分を有し、前記第1平面部と前記第2平面部が当接して車幅方向外方に係合することを特徴とする請求項1記載の車両のバッテリーボックス搭載構造。
【請求項5】
前記突起部と、前記第2係合部との接続部は滑らかに変化させた形状であることを特徴とする請求項1記載の車両のバッテリーボックス搭載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−91726(P2012−91726A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242033(P2010−242033)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】