説明

車両用の燈体

【課題】ドアミラーに組込まれるような燈体において、少ない電源を用いるものでありながら、視認性、意匠性の高い燈体を構成する。
【解決手段】アウターレンズ4に、後方に突出し、後面に集光手段が設けられた左右方向長尺状の三本の凸レンズ状部4dを形成する一方、前記インナーハウジング6の凸レンズ状部4d対向部位に、左右方向複数に分割された前方を向く第一〜第四の前向き片6d、6e、6f、6gを、左右方向外方のものほど後方に偏寄するよう段差状に設けて、隣接する前向き片6d、6e、6f、6g同士の間に左右方向外方を向く第一、第二、第三空隙部S1、S2、S3を形成し、これら空隙部S1、S2、S3から第一、第二、第三光源9、10、11を臨ませるとともに、各前向き片6d、6e、6f、6gの前面に反射面を形成する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに取付けられるドアミラー等に設けられる車両用の燈体の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用の燈体のなかには、車両(車体)のドアに左右方向外方に向けて突出状に設けられるドアミラーのボディーにターンランプ(方向指示器)として組込まれ、車両の前後に単独で設けられるターンランプとともに点灯させることにより、車両の左右方向外方から前方に向けて光を放射して、周囲の人に対して一層強くアピールするようにしたものが知られている。
このようなものとしては、例えば、ドアミラーのボディーの突出側端部から前方に至る部位に向けて光を放射するための放射体がターンランプのハウジングの外側面に沿って左右方向に長く配設され、この放射体の外側面を発光膜で覆い、該発光膜を電気エネルギーによって光らせることにより、長尺状の光を放射するようにしたものが知られている。このものでは、発光膜の外側にさらに外板が積層状に設けられており、発光膜の保護が図られているとともに、発光膜の光が外板を透過して外部に放射されるように構成されている(特許文献1)。しかるに、このものでは、構造が複雑であるばかりでなく、発光膜が放射体の外表面側を被覆するように設けられて平面的なものとなっているため、視覚的に奥行き感のない光の放射状態となって意匠性に劣るという問題がある。
これに対し、ターンランプにインナーハウジングを設け、該インナーハウジングに、車両の左右方向外方と前方を照射するための光源を露出させて設けるとともに、インナーハウジングの光源取付け面を三次元的に凹凸形状とし、さらに、インナーハウジングの前面を反射面に形成することにより、奥行き感のある光の放射状態としたターンランプが提唱されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−103287号公報
【特許文献2】特開2004−276768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献2のものは、光の放射状態に奥行き感があるものとなって意匠性に優れたものとなるが、各光源がインナーハウジングに点在して設けられていて、これら光源の配設部位が周囲よりも明るくなって光りムラがある点在的な放射状態となって、左右方向に均一な長尺状の意匠性の高い光とすることができないという問題がある。そのうえ、このものでは、多くの光源を用いるが故に、構造が複雑になって生産性に劣るばかりでなく、コスト高になるという問題もあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、車両後方のベースハウジングと、該ベースハウジングに突当て状に一体化される車両前方のアウターレンズと、光源が支持されベースハウジングとアウターレンズとの間に介装されるインナー部材とを備えてなる車両用の燈体を構成するにあたり、前記アウターレンズに、後方に突出し、後面に集光手段が設けられた左右方向長尺状の凸レンズ状部を形成する一方、前記インナー部材の凸レンズ状部対向部位に、左右方向複数に分割された前方を向く前向き片を、左右方向外方のものほど後方に偏寄するよう段差状に設けて、隣接する前向き片同士の間に左右方向外方を向く空隙部を形成し、前記空隙部から光源を臨ませるとともに、前向き片の前面に反射面を形成したことを特徴とする車両用の燈体である。
請求項2の発明において、インナー部材は、複数の前向き片を溝底片とする凹溝部が形成されたインナーハウジングと、複数の光源とこれら光源を電気的に接続するバスバーとを備え、インナーハウジングの後方に組込まれれる光源ユニットとにより構成されるものとし、インナーハウジングに形成される凹溝部は、溝内面全体が反射面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用の燈体である。
請求項3の発明において、前向き片は、前面に上下方向に長い突リブが複数形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用の燈体である。
請求項4の発明において、インナー部材の凹溝部は、角溝形状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用の燈体である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、4の発明とすることにより、少ない光源を用いるものでありながら、法定要件で定められた照度を満足できるばかりでなく、意匠性に優れたターンランプとすることができる。
請求項2の発明とすることにより、複数の凸レンズ状部から左右方向に均一で、しかも、ムラのない放射状態とすることができる。
請求項3の発明とすることにより、さらに明るく、かつ、均一な放射状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ドアミラーの斜視図である。
【図2】ターンランプの分解斜視図である。
【図3】図3(A)、(B)、(C)はそれぞれアウターレンズの正面図、背面図、斜視図である。
【図4】図4(A)、(B)はそれぞれインナーハウジングの斜視図、斜視図である。
【図5】図5(A)、(B)はそれぞれ光源ユニットの正面図、斜視図である。
【図6】図6(A)、(B)は第一、第二、第三光源の反射状態を説明する断面図、図6(A)におけるX−X断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は乗用車のドアに配設されるドアミラーであって、該ドアミラー1を構成するミラーボディー1aは後方(車両の進行方向後方)部位にミラー用の開口部が形成され、該ミラー用の開口部に、図示しないミラーが位置調整自在に嵌め込まれている。前記ミラーボディー1aの前方(車両の進行方向前方)部位は前方に向けて膨出状に形成されており、該膨出部の上下方向中間部には、前方部位から左右方向外方にわたって横長状に開口する開口部1bが形成され、該開口部1bに、本発明の燈体に相当するターンランプ2が一体的に組込まれている。
ここで、前記ドアミラー1は左右対称状のものが車両の左右のドア体に取付けられるが、本実施の形態では、図1に示すように、車両に乗車した運転手の視点を基準として左側に設けられたドアミラー1について説明をし、右側に設けられるドアミラー1についての説明は省略する。
【0009】
前記ターンランプ2は、ミラーボディー1aに一つの組立て部品として組込まれるように構成されており、ミラーボディー1aの開口部1bの内側(奥側、車両後方)に位置して組込まれるベースハウジング3と、車両前方に位置して設けられ、ベースハウジング3に突き当て状に一体化されるアウターレンズ4と、これらのあいだに設けられるインナー部材5とを備えて構成されている。
【0010】
前記ベースハウジング3は、非透明部材(非透光性樹脂材)により一体型成形されており、ミラーボディー1aの膨出部に形成される開口部1bの形状に対応して左右方向長尺状で、かつ、ドアミラー1の左右方向外方となる左端部位が後方に向けて折曲することにより前方に膨出する湾曲形状に形成されている。そして、ベースハウジング3は、底片部3aと、該底片部3aの外周縁部から前方に突出する側片部3bとにより、前方から左方に向けて開口する凹溝状に形成されたものとなっており、側片部3bの左側部位を除く前端縁部には、溝外方向に延出する突当て片3cが一体形成されている。また、前記底片部3aの左右方向内端部(右端部)には、外部電源を接続するための筒状のカプラ3dが左右方向内方(右方)に向けて突出状に一体形成されている。
【0011】
一方、前記アウターレンズ4は、透明樹脂材(透光性樹脂材)により一体型成形することにより、ベースハウジング3の凹溝を覆蓋するよう左右方向長尺状で、かつ、ミラーハウジング1aの膨出形状に沿うよう前方に膨出する湾曲形状に形成されている。そして、アウターレンズ4は、後方が開口し、左右方向外端側(左端側)ほど深溝となる凹溝形状に形成されており、湾曲状の底片部が前方に光を放射するレンズ部4aとなっている。前記レンズ部4aの外周縁部には後方に突出する側片部4bが一体形成されており、該側片部4bの左側部位を除く後端縁部には、溝外方向に延出し、ベースハウジング3の突当て片3cに突当てられて一体化される突当て片4cが一体形成されている。
そして、前記レンズ部4aの上下方向中間部の後面には、後方に突出することにより凸レンズ状となった左右方向に長い凸レンズ状部4dが、上下方向に三本並列する状態で一体形成されている。前記三本の凸レンズ状部4dの突出状の後面には、それぞれ集光手段として非平滑面を形成するべくしぼ加工が施されている。また、側片部4bのうち左右方向外端(左端)の側片部4bの内側面には、前記凸レンズ状部4dに続く状態で溝内側に突出する突出部4eが形成されており、該突出部4eには、それぞれ光拡散手段としての三次元的なカット面が形成されている。
【0012】
一方、ベースハウジング3とアウターレンズ4との間に内装されるように設けられるインナー部材5は、非透明、透明の何れかの樹脂材を一体型成形することにより構成されるインナーハウジング6と、該インナーハウジング6の後方から組込まれる光源ユニット7とにより構成されている。
前記インナーハウジング6は、非透明部材(非透光性樹脂材)により一体型成形されており、ベースハウジング3と同様に前方に膨出する湾曲形状の上下一対のベース片部6aと、該ベース片部6aの外周縁部から後方に突出する側片部6bと、上下のベース片部6aとの間の後方に退避する凹溝部6cとを備えて構成されており、前記凹溝部6cは、アウターレンズ4の凸レンズ状部4dに対向しており、左端側ほど深溝となるように形成されている。そして、凹溝部6cを構成する底片部は、左右方向複数(本実施の形態では四つ)に分割されて前方を向く第一、第二、第三、第四の前向き片6d、6e、6f、6gに形成されており、これら第一〜第四前向き片6d、6e、6f、6gが左側のものほど後方に偏寄するよう段差状に配設されており、これによって、凹溝部6cは、第一、第二、第三前向き片6d、6e、6fを溝底とし、左側が開放された都合三つの第一、第二、第三凹部R1、R2、R3が区画形成されている。そして、各前向き片6d、6e、6f、6g同士の間であって、各第一、第二、第三凹部R1、R2、R3を構成する右側の溝側片部位、即ち、第一、第二前向き片6d、6e同士の間の段差部、第二、第三前向き片6e、6f同士の間の段差部、第三、第四前向き片6f、6g同士の間の段差部には、それぞれ左右方向に貫通する第一、第二、第三空隙部S1、S2、S3が形成されている。
ここで、左右方向中間部に位置する第三前向き片6fは、他の前向き片6d、6e、6gよりも長く形成され、これによって、第一、第二空隙部S1、S2はインナーハウジング6の左端側に近接して形成され、第三空隙部S3は第一、第二空隙部S1、S2とは離れて右端側に近接して形成されている。
また、左右方向中間部に位置する第二、第三前向き片6e、6fの前面には、前方に突出する上下方向に長い突リブ6hが複数形成されている。さらに、インナー部材6は前方を向く面、即ち、ベース片6aの前面、さらには、第一〜第四前向き片6d、6e、6f、6gと凹溝部6cの上下の溝側片6i、6jで構成される凹溝部6cの溝内面全体に、金属を蒸着させる等の手段により金属膜からなる反射面が形成されている。
【0013】
前記光源ユニット7は、外部電源に接続するための接続端子部8aが一体形成され、適宜形状に折曲形成された複数のプレート状のバスバー8と、該バスバー8に、互いに直列接続となる関係で左右方向三箇所において接続支持される発光ダイオードからなる第一、第二、第三光源9、10、11と、該バスバー8の後方においてバスバー8に接続され、第一、第二、第三光源9、10、11に必要な電源供給をするための電子制御部品が接続される制御基板12とによりユニット化されたものに構成されている。そして、光源ユニット7はインナーハウジング6の後方から前方に向けて組込まれるが、このとき、第一、第二、第三光源9、10、11は、それぞれ第一、第二、第三空隙部S1、S2、S3の右方から左方に向けて遊嵌させるように組込まれるように構成されており、この組込み状態でインナーハウジング6に一体化されてインナー部材5を構成している。この一体化状態において、第一、第二、第三光源9、10、11の各ランプ部9a、10a、11aからの光は、各空隙部S1、S2、S3の左側に位置する前向き片6d、6e、6fを溝底片として区画され、反射面が形成された各第一、第二、第三凹部R1、R2、R3の溝内面に向けてそれぞれ照射するように構成されている。
【0014】
そして、このように組込まれたインナー部材5(インナーハウジング6、光源ユニット7)はベースハウジング3の溝内に内装されるが、このとき、インナー部材5(光源ユニット7)の端子部8aは、ベースハウジング3のカプラ3d筒内の図示しない仕切り片に開設された挿通孔に挿し込まれ、端子部8aの右端部がカプラ3dの筒内において外部に露出するように構成されている。そして、このものに対し、アウターレンズ4を前方から組込むことでインナー部材5がベースハウジング3とアウターレンズ4とのあいだに内装、支持され、この状態において、ベースハウジング3の突当て片3cをアウターレンズ4の突当て片4cに突当てられ、左側部位の側片部3b、4b同士が突当てられて、これら突当て部同士を封止状に一体化することによりターンランプ2が形成されるように構成されている。
【0015】
前記ターンランプ2の組込み状態において、第一、第二、第三光源9、10、11は、それぞれインナーハウジング凹溝部6cに段差状に形成される第一〜第三凹部R1、R2、R3の右側部に形成され、互いに前後方向、左右方向に位置ズレする第一、第二、第三空隙部S1、S2、S3に設けられており、図6に示すように、左端部に設けられる第一光源9はアウターレンズ4の左側の側片部4bのカット面が形成された突出部4eを含む部位を照射し、第一光源9に近接して左側部位に設けられる第二光源10はアウターレンズ4の凸レンズ状部4dの左側部位を含む部位を照射し、第一、第二光源9、10とは離れて右側部位に設けられる第三光源11は、アウターレンズ4の突レンズ状部4dの右側部位を含む部位を照射するように設けられている。そして、左端側部位の第一、第二光源9、10は、アウターレンズ4の左端部位から左側前方部位を照射することにより法定要件を満たす光源となり、右側部位の第三光源11は、アウターレンズ4の左右方向中間部から右側部位を照射することにより、アウターレンズ4の意匠性を高める光源となるように構成されている。
【0016】
そして、カプラ3dを介して外部電源を接続することで光源ユニット7に電源供給され、第一、第二、第三光源9、10、11がそれぞれ点灯した場合に、第一光源9が照射する光は、アウターレンズ4左側の側片部4bを透過して外部に放射されるように構成されている。これに対し、前記アウターレンズ4左側の側片部4bにはカット面が形成された上下方向に並列する三本の突出部4eが形成されているため、該部位においては光が拡散されて広角に放射されるように構成されている。さらに、第一光源9は、第一前向き片6dを溝底片とする第一凹部R1の右側の溝側片部位において照射するように構成されており、これによって、アウターレンズ4左側の側片部4b、特に、第一光源9に対向する突出部4eには、第一光源9から直接入光する光と、反射面が設けられた第一前向き片6d、上下の溝側片6i、6jにより多重に反射して入光する光との両者により照射されることになって、該部位から多くの光が、しかも、広角に放射されて、高い照度となるように構成されている。
【0017】
また、第二光源10が照射する光は、アウターレンズ4のレンズ部4aの左側部位を透過して外部に放射されるように構成されている。これに対し、前記左側部位のレンズ部4aには後面に集光手段としてのしぼ加工が施された上下に三本の凸レンズ状部4dが形成されているため、これら凸レンズ状部4dに光が集光されて、左側部位のレンズ部4aにおける他の部位よりも際立つ光となって放射するように構成されている。さらに、第二光源10は、第二前向き片6eを溝底片とする第二凹部R2の右側の溝側片部位において照射するように構成されており、これによって、レンズ部4aの左側部位、特に、第二光源10が対向する凸レンズ状部4dには、第二光源10から直接入光する光と、突リブ6hが複数形成されるとともに反射面が設けられた第二前向き片6e、上下の溝側片6i、6jにより多重に反射して入光する光との両者により照射されることになって、レンズ部4aの左側部位から多くの光が放射されて、レンズ部4aの左側部位全域においてムラなく光が放射されて高い照度となるとともに、上下三本の凸レンズ状部4dがレンズ部4aの他の部位よりも明るく際立った状態となるように構成されている。
これによって、ターンランプ2の左側部位は、第一、第二光源9、10により車両の走行方向指示器として機能するための法定要件を満足する照度を確実に確保された光を放射するように構成されている。
【0018】
さらに、第三光源11が照射する光は、アウターレンズ4のレンズ部4aの右側部位から左右方向中間部に至る部位を透過して外部に放射されるように構成されている。これに対し、前記部位のレンズ部4aには後面に集光手段としてのしぼ加工が施された上下に三本の凸レンズ状部4dが形成されているため、これら凸レンズ状部4dに光が集光されて、右側部位から左右方向中間部位に至るレンズ部4aにおける他の部位よりも際立つ光となって放射するように構成されている。さらに、第三光源11は、第三前向き片6fを溝底片とする第三凹部R3の右側の溝側片部位において照射するように構成されており、これによって、レンズ部4aの右側部位から左右方向中間部位、特に、第三光源11が対向する凸レンズ状部4dには、第三光源11から直接入光する光と、突リブ6fが複数形成されるとともに反射面が設けられた第三前向き片6f、上下の溝側片6i、6jにより多重に反射して入光する光との両者により照射されることになって、レンズ部4aの右側部位から左右方向中間部位に至る部位から多くの光が放射されて、レンズ部4aの右側部位から左右方向中間部に至る全域においてムラなく光を放射して高い照度となるとともに、上下三本の左右方向に長い凸レンズ状部4dがレンズ部4aの他の部位よりも明るく際立った状態となるように構成されている。
これによって、前記第二光源10とともに、ターンランプ2の前方を向く部位、即ち、レンズ部4aの左右方向全域を明るく光らせ、しかも、左右方向に長い上下三本の凸レンズ状部4dにより構成される光のラインが際立つ意匠性の高いターンランプ2とすることができるように構成されており、三つの第一、第二、第三光源10、11が点灯するものでありながら、法定要件が要求されるターンランプ2の左側端部だけでなく、前方部位についてもムラがなく、左右方向に長いラインが際立つ光が放射される意匠性の優れたターンランプ2となるように構成されている。
【0019】
叙述の如く構成された本形態において、車両用のドアミラー1のミラーボディー1aに、組立て部品として組込まれるターンランプ2は、アウターレンズ4に集光手段が設けられた凸レンズ状部4dが設けられる一方、インナー部材5を構成するインナーハウジング6には、前記凸レンズ状部4dに対向する部位に、反射面となった前面を備えた第一、第二、第三の前向き片6d、6e、6fを溝底片とする階段状の第一、第二、第三凹部R1、R2、R3が形成されていて、各凹部R1、R2、R3の左右方向内側(右側)の溝側片部位に、左右方向外方(左方)に向けて光を照射する第一、第二、第三光源9、10、11が設けられている。この結果、アウターレンズ4には、各第一、第二、第三光源9、10、11から直接照射される光だけでなく、前面に反射面が形成された第一、第二、第三前向き片6d、6e、6fに照射して反射した光が照射されることになって、ターンランプ2は、少ない三つの第一、第二、第三光源9、10、11を用いるものでありながら、法定要件で定められた照度が要求される左右方向外端部の視認性を高めるばかりでなく、前方を向く部位についてもムラなく均一な光を放射することができる。しかも、アウターレンズ4には、第二、第三光源10、11に対向する部位に集光手段が施された左右方向に長い凸レンズ状部4dが形成されていて、際立つライン状の光りを前方に向けて放射することができて、意匠性に優れたターンランプ2とすることができる。
【0020】
そのうえ、本発明が実施されたターンランプ2において、インナー部材5を構成するインナーハウジング6は、第一、第二、第三前向き片6d、6e、6fを溝底とする凹溝部6cに形成されていて、第一、第二、第三光源9、10、11が段差状の第一、第二、第三凹部R1、R2、R3の左右方向内端側の溝側片部に設けられていて、第一、第二、第三光源9、10、11からの光が反射面が設けられた第一、第二、第三前向き片6d、6e、6f、さらには、上下の溝側片6i、6jを照射するため、アウターレンズ4は、第一、第二、第三光源9、10、11により直接照射される光と、前記各前向き片6d、6e、6f、上下の溝側片6i、6jにより多重に反射した光とに照射されることになって、左右方向に長いターンランプ2を、少ない光源9、10、11を用いるものでありながら、一層均一で、ムラのない放射状態とすることができ、上下三本の凸レンズ状部4dも左右方向に長く際立つ光りを放つ優れた意匠のターンランプ2とすることができる。
【0021】
さらに、このものにおいて、第二、第三前向き片6e、6fには上下に長い突リブ6hが形成されているので、第二、第三前向き片6e、6fに入光した光をさらに複雑な反射状態にすることができて、アウターレンズ4から放射される光を多くすることができて、一層明るく、かつ、均一な放射状態とすることができる。
【0022】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、前向き片を凹溝部の溝底片とする場合に、凹溝部の形状は必ずしも前記第一の実施の形態のように底片と上下の溝側片との三側面を備えたコ字形状である必要はなく、たとえば底片がV字形状となっているもの等、多側面を備えた角溝形状としてもよい。さらには、前向き片が円弧面を備えたU字状の凹溝形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、乗用車等の車両に設けられるドアミラーに組込まれる燈体として利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 ドアミラー
1a ミラーボディー
1b 開口部
2 ターンランプ
3 ベースハウジング
4 アウターレンズ
4d 凸レンズ状部
4e 突出部
5 インナー部材
6 インナーハウジング
6e 第二前向き片
6h 突リブ
6i 上溝側片
7 光源ユニット
8 バスバー
9 第一光源
12 制御基板
S1 第一空隙部
R1 第一凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方のベースハウジングと、該ベースハウジングに突当て状に一体化される車両前方のアウターレンズと、光源が支持されベースハウジングとアウターレンズとの間に介装されるインナー部材とを備えてなる車両用の燈体を構成するにあたり、前記アウターレンズに、後方に突出し、後面に集光手段が設けられた左右方向長尺状の凸レンズ状部を形成する一方、前記インナー部材の凸レンズ状部対向部位に、左右方向複数に分割された前方を向く前向き片を、左右方向外方のものほど後方に偏寄するよう段差状に設けて、隣接する前向き片同士の間に左右方向外方を向く空隙部を形成し、前記空隙部から光源を臨ませるとともに、前向き片の前面に反射面を形成したことを特徴とする車両用の燈体。
【請求項2】
インナー部材は、複数の前向き片を溝底片とする凹溝部が形成されたインナーハウジングと、複数の光源とこれら光源を電気的に接続するバスバーとを備え、インナーハウジングの後方に組込まれれる光源ユニットとにより構成されるものとし、インナーハウジングに形成される凹溝部は、溝内面全体が反射面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用の燈体。
【請求項3】
前向き片は、前面に上下方向に長い突リブが複数形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用の燈体。
【請求項4】
インナー部材の凹溝部は、角溝形状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用の燈体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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