説明

車両用イルミネーション装置

【課題】車両用イルミネーション装置において、ユーザが快適感を持つような色調の照射光を照射する。
【解決手段】外気温度を取得する外気温度取得手段と、照射用の多色発光器と、多色発光器の各発光色の強さを増減して照射光の色調を調整する制御部と、を備え、制御部の色調変化手段は、外気温度が所定の温度よりも高い場合には、照射光の色調を寒色系とし、外気温度が所定の温度よりも低い場合には、照射光の色調を暖色系となるように照射光の色調を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用イルミネーション装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転席と助手席との間の天井には、各種のホルダやマップランプ、カーナビケーションシステムの音声入力用マイクや、これら各機器の操作スイッチあるいはサンルーフ開閉用スイッチなどが取付けられたオーバーヘッドコンソールが設けられている。また、オーバーヘッドコンソールには前席のシート周りやシフトレバー周辺やコンソール周辺などの特定の部位に光を照射するイルミネーション装置が設けられているものも多い(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなイルミネーション装置は、夜間、前席周りの各部に光を照射することによって、前席に座る運転者の操作性を向上させることができるものである。また、イルミネーション装置は常時点灯するものもあり、また、乗降の際などに一時的に点灯するものもあるので、イルミネーション装置の照射光の色合いは他の車室内照明に合わせて電球色あるいは中性色が用いられることが多い。
【0004】
【特許文献1】特開2000−272409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一時的に点灯するようなイルミネーション装置でも、その照射光の色合いは車両内装品の色とあいまって車室内の意匠を構成する重要な要因となり、照射光の色合いによってユーザの感じる車室内の雰囲気、イメージは全く異なったものとなることがある。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザが快適感を持つような色調の照射光を照射する車両用イルミネーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用イルミネーション装置は、照射部位に向かって光を照射する車両用イルミネーション装置であって、外気温度を取得する外気温度取得手段と、照射用の多色発光器と、多色発光器の各発光色の強さを増減して照射光の色調を調整する制御部と、を備え、制御部は、外気温度に基づいて照射光の色調を変化させる色調変化手段を有すること、を特徴とする。
【0008】
本発明の車両用イルミネーション装置において、制御部の色調変化手段は、外気温度が所定の温度よりも高い場合には、照射光の色調を寒色系とし、外気温度が所定の温度よりも低い場合には、照射光の色調を暖色系とすること、としても好適である。
【0009】
本発明の車両用イルミネーション装置において、車室内温度を取得する車室内温度取得手段と、車室内温度を調整する空調装置から設定温度を取得する設定温度取得手段と、を備え、制御部の色調変化手段は、外気温度と車室内温度と設定温度に基づいて、照射光の色調を変化させること、としても好適であるし、制御部の色調変化手段は、車室内温度と設定温度との差が所定値より小さい場合には、照射光の色調を暖色系と寒色系との間の中性色とすること、としても好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ユーザが快適感を持つような色調の照射光を照射する車両用イルミネーション装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、車両100の運転席と助手席との間の天井101にはオーバーヘッドコンソール10が設けられ、オーバーヘッドコンソール10の内部には車両用イルミネーション装置20が設けられている。車両用イルミネーション装置20は、前席のシート周りやシフトレバー周辺やコンソール周辺などの特定の部位31に照射光30を照射する様構成されている。
【0012】
図2、図3(a)に示すように、オーバーヘッドコンソール10は筐体11と、筐体11の車室側面に設けられた意匠パネル12とを備えている。意匠パネル12には、運転者あるいは同乗者の手元近傍に光を照射するマップライト13と、マップライト13のオンオフを行うスイッチ14と、ムーンルーフスイッチ17と、ドア連動のオンオフスイッチ16と、サングラス用ホルダ18と、車両用イルミネーション装置20の出光レンズ21とが設けられている。そして、図3(a)に示すように、オーバーヘッドコンソール10の筐体11は、車両100の天井101の車室内側に設けられた車室内構造物102によって支持されている。
【0013】
図3(b)に示すように、車両用イルミネーション装置20は、意匠パネル12に取付けられた出光レンズ21と、筐体11に設けられた遮光リブ26の間に設けられ、周囲が反射部材24で覆われた導光レンズ25と、筐体11に取付けられた多色発光器23と、を備えている。多色発光器23は内部に赤、青、緑の三色のLED発光素子を備えており、各色の強度を調整することによって発光色を変化させることができるよう構成されている。多色発光器23から出光した照射光30は導光レンズ25によって出光レンズ21に導かれる。出光レンズ21は、出光された照射光30が前席のシート周りやシフトレバー周辺やコンソール周辺などの特定の部位31を照射するような角度に取付けられている。出光レンズ21から出光した照射光30は特定の部位31を照射する。
【0014】
図4に示すように、車両用イルミネーション装置20は、多色発光器23の各色の発光素子の光の強さを増減する制御部40を備えている。制御部40は、内部のCPUとメモリとを備えるコンピュータで、制御部40と多色発光器23とは、赤、緑、青の各色の発光素子毎に信号線23R,23G,23Bで接続されている。また、制御部40には車両100に取付けられた外気温度センサ51からの温度信号が入力される信号線51aが接続されている。信号線51aは外気温度センサ51から直接接続されるように構成されていてもよいし、外気温度センサ51が車両100のエンジン制御装置に接続されているような場合には、エンジン制御装置と接続される信号線であってもよい。
【0015】
図5を参照しながら、本実施形態の車両用イルミネーション装置20の動作について説明する。図5のステップS101に示すように、制御部40は外気温度センサ51によって検出した外気温度データを取得する。そして、制御部40は図5のステップS102に示すように、取得した外気温度と所定の温度、例えば、20℃とを比較する。そして、外気温度が所定の温度よりも高い場合には、制御部40は、図5のステップS103に示すように多色発光器からの照射光30を寒色系の色調となるような信号を多色発光器23に出力する。具体的には、多色発光器23から発光される照射光30が青色、あるいは緑色などの寒色系の色となるよう、例えば、青の発光素子に対してその発光強度を最大にする信号を信号線23Bに出力し、緑と赤の発行強度をゼロとする信号を信号線23Gと23Rに出力したり、緑の発光素子に対してその発光強度を最大にする信号を信号線23Gに出力し、青と赤の発行強度をゼロとする信号を信号線23Bと23Rに出力したりする。また、制御部40の内部のメモリに多色発光器23から発光される照射光30を寒色系の色調である空色とか黄緑色などにするための各発光素子の発光強度を定めたマップを備え、温度が所定の値よりも高くなった場合にメモリから各発光素子の発光強度を読み出して、その発光強度となるような信号を各発光素子に出力するようにしてもよい。
【0016】
一方、図5のステップS104に示すように、制御部40は、取得した外気温度が所定の温度よりも低い場合には、多色発光器からの照射光30を暖色系の色調となるような信号を多色発光器23に出力する。具体的には、多色発光器23から発光される照射光30がオレンジ、あるいは黄色などの暖色系の色となるよう、例えば、青と緑の発光素子が等しい発光強度となる信号を信号線23Bと23Gに出力し、赤の発光強度をゼロとする信号を信号線23Rに出力して多色発光器23から出光される照射光30が黄色となるようにしたり、更に赤の発光素子を発光させて照射光30の色がオレンジ色となるようにしたりする。また、制御部40の内部のメモリに多色発光器23から発光される照射光30を暖色系の色調である他の色にするための各発光素子の発光強度を定めたマップを備え、温度が所定の値以下になった場合にメモリから各発光素子の発光強度を読み出して、その発光強度となるような信号を各発光素子に出力するようにしてもよい。
【0017】
以上述べたように、本実施形態は、外気温度が所定の温度よりも高い場合には、車両用イルミネーション装置20からの照射光30を寒色系とすることによって、ユーザが車室内部を涼しく感じ、快適感を持つようにすることができるという効果を奏する。また、外気温度が所定の温度以下の場合には、車両用イルミネーション装置20からの照射光30を暖色系とすることによって、ユーザが車室内部を暖かく感じ、快適感を持つようにすることができるという効果を奏する。
【0018】
以上説明した実施形態では、外気温度によって車両用イルミネーション装置20からの照射光30を寒色系または暖色系に色調を切り替えることとして説明したが、外気温度に基づいて、たとえば、青から赤まで、連続的に色調を変化させるようにしてもよい。この場合には制御部40はメモリに外気温度と各色の発光素子の発光強度信号の組み合わせを格納し、外気温度の変化に従ってメモリから各色の発光素子の発光強度信号を読み出して、各発光素子に出力するよう構成してもよい。
【0019】
図6及び7を参照しながら、本発明の他の実施形態について説明する。図1から図5を参照して説明した実施形態と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。
【0020】
図6に示すように、本実施形態の車両用イルミネーション装置20の制御部40は、外気温度センサ51からの外気温度信号の信号線51aと、車室内温度センサ52からの信号線52aと、空調装置53からの信号線53aとが接続されている。車室内温度センサ52はオーバーヘッドコンソール10に設けられており、車室内温度センサ52から信号線52aが直接制御部40に接続されるように構成されていてもよいし、例えば車室内温度センサ52がエンジン制御装置に接続されているような場合には、信号線52aはエンジン制御装置からの信号線であってもよい。
【0021】
図7を参照しながら、本実施形態の動作について説明する。図7のステップS201に示すように、制御部40は外気温度センサ51によって検出した外気温度データを取得し、図7のステップS202に示すように、車室内温度センサ52によって検出した車室内温度データを取得し、図7のステップS203に示すように、空調装置53から空調設定温度データを取得する。
【0022】
そして、制御部40は図7のステップS204に示すように、取得した外気温度と所定の温度とを比較し、外気温度が所定の温度よりも高い場合には、制御部40は、図7のステップS205に示すように、空調設定温度と車室内温度とを比較する。そして、外気温度が所定の温度よりも高く、空調設定温度と車室内温度との温度差が所定の値よりも大きい場合には、車室内部はユーザの希望する空調設定温度まで下がっていない状態と判断し、制御部40は、図7のステップS206に示すように、多色発光器からの照射光30を寒色系の色調となるような信号を多色発光器23に出力する。また、外気温度が所定の温度よりも高く、空調設定温度と車室内温度との温度差が所定の値よりも小さい場合には、車室内部はユーザの希望する空調設定温度まで下がった状態と判断し、制御部40は、図7のステップS209に示すように、多色発光器からの照射光30を例えば、白色のような寒色系と暖色系との中間の中性色の色調となるような信号を多色発光器23に出力する。具体的には、制御部40は各色の発光素子の発光強度が等しくなるような信号を各信号線23R,23G,23Bに出力する。
【0023】
また、制御部40は、外気温度が所定の温度以下の場合には、図7のステップS207に示すように、空調設定温度と車室内温度とを比較する。そして、外気温度が所定の温度以下で、空調設定温度と車室内温度との温度差が所定の値よりも大きい場合には、車室内部はユーザの希望する空調設定温度まで上がっていない状態と判断し、制御部40は、図7のステップS208に示すように、多色発光器からの照射光30を暖色系の色調となるような信号を多色発光器23に出力する。また、外気温度が所定の温度以下で、空調設定温度と車室内温度との温度差が所定の値よりも小さい場合には、車室内部はユーザの希望する空調設定温度まで上がっている状態と判断し、制御部40は、図7のステップS209に示すように、多色発光器からの照射光30を寒色系と暖色系との中間の中性色の色調となるような信号を多色発光器23に出力する。
【0024】
以上述べた本実施形態は、先に説明した実施形態と同様の効果を奏するとともに、車室内の温度がユーザの好む温度となっている場合には、車両用イルミネーション装置20から照射される照射光の色調を中性色とすることによって、よりユーザが快適感を持つようにすることができるという効果を奏する。
【0025】
以上説明した本発明の車両用イルミネーション装置は、例えば空調装置などの夜間照明にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】車両用イルミネーション装置を備えるオーバーヘッドコンソールが取付けられた車両を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における車両用イルミネーション装置が取付けられたオーバーヘッドコンソールの意匠パネルを示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態における車両用イルミネーション装置が取付けられたオーバーヘッドコンソールの断面とイルミネーション装置の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態における車両用イルミネーション装置の制御系統を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態における車両用イルミネーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態における車両用イルミネーション装置の制御系統を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態における車両用イルミネーション装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
10 オーバーヘッドコンソール、11 筐体、12 意匠パネル、13 マップライト、14,16,17 スイッチ、18 サングラス用ホルダ、20 車両用イルミネーション装置、21 出光レンズ、23 多色発光器、23R,23G,23B,51a,52a,53a 信号線、24 反射部材、25 導光レンズ、26 遮光リブ、30 照射光、31 照射部位、40 制御部、51 外気温度センサ、52 車室内温度センサ、53 空調装置、100 車両、101 天井、102 車室内構造物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射部位に向かって光を照射する車両用イルミネーション装置であって、
外気温度を取得する外気温度取得手段と、
照射用の多色発光器と、
多色発光器の各発光色の強さを増減して照射光の色調を調整する制御部と、を備え、
制御部は、
外気温度に基づいて照射光の色調を変化させる色調変化手段を有すること、
を特徴とする車両用イルミネーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用イルミネーション装置であって、
制御部の色調変化手段は、
外気温度が所定の温度よりも高い場合には、照射光の色調を寒色系とし、外気温度が所定の温度よりも低い場合には、照射光の色調を暖色系とすること、
を特徴とする車両用イルミネーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用イルミネーション装置であって、
車室内温度を取得する車室内温度取得手段と、
車室内温度を調整する空調装置から設定温度を取得する設定温度取得手段と、を備え、
制御部の色調変化手段は、
外気温度と車室内温度と設定温度に基づいて、照射光の色調を変化させること、
を特徴とする車両用イルミネーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用イルミネーション装置であって、
制御部の色調変化手段は、
車室内温度と設定温度との差が所定値より小さい場合には、照射光の色調を暖色系と寒色系との間の中性色とすること、
を特徴とする車両用イルミネーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−90929(P2009−90929A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265854(P2007−265854)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】