説明

車両用インストルメントパネルの固定構造

【課題】インストルメントパネルの車両前後方向における長さが大きい場合であれ、簡易な構成により、インストルメントパネル全体としての剛性低下を抑制することのできる車両用インストルメントパネルの固定構造を提供する。
【解決手段】樹脂製のインストルメントパネルは、前側パネル10及び前側パネル10よりも車両後側に配置される後側パネル20を備える。前側パネル10及び後側パネル20がそれぞれの鉛直方向においてインストルメントパネルの最上部に位置する。前側パネル10及び後側パネル20の鉛直方向下方には車両本体に固定される空調用のダクト40が設けられる。前側パネル10及び後側パネル20はそれぞれダクト40に直接固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製のインストルメントパネルであって、前側パネル及び同前側パネルよりも車両後側に配置される後側パネルを備え、これら前側パネル及び後側パネルがそれぞれの鉛直方向にて同インストルメントパネルの最上部に位置する車両用インストルメントパネルの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、計器等を配置するためのインストルメントパネルが設けられている。また、インストルメントパネルの車両本体への固定作業を容易なものとするべく、従来、樹脂により一体成型されるインストルメントパネルが採用されている。こうしたインストルメントパネルとしては、その最上部に位置する上面部と、同上面部の車両後側部分に接続されて同接続部分から湾曲して車両前側に指向する曲面部等を備えているものがある。
【特許文献1】特開2007―269231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車両のレイアウトによって、インストルメントパネルの前後長が大きくなる場合、樹脂成型時における型抜きの制約に起因してインストルメントパネルを一体成型することが困難となる。また仮に、インストルメントパネルを一体成型することができたとしても、樹脂成型時における型抜きの制約等に起因してインストルメントパネルの裏面に適切な大きさの補強用リブを設けることが困難になり、インストルメントパネルの剛性低下を招くといった新たな問題が生じる。
【0004】
尚、こうした問題に対して、特許文献1に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造が提案されるに至っている。特許文献1に記載の構造では、インストルメントパネルを、前側パネルと、前側パネルよりも車両後側に配置される後側パネルと、後側パネルの下側に設けられる下側構成部とに分割している。また、クリップ等により後側パネルを下側構成部に固定し、下側構成部を更にその下側に設けられる空調用のダクトに固定することにより、後側パネルを車両本体に固定している。しかしながら、特許文献1に記載のものも含め従来のインストルメントパネルの固定構造にあっては、インストルメントパネルの構造が複雑となることや、後側パネルが下側構成部といった仲介部材を介してダクトに固定されていることに起因してインストルメントパネル全体としての剛性が低下すること等が問題となり、尚、改善の余地を残すものとなっている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インストルメントパネルの車両前後方向における長さが大きい場合であれ、簡易な構成により、インストルメントパネル全体としての剛性低下を抑制することのできる車両用インストルメントパネルの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、樹脂製のインストルメントパネルであって、前側パネル及び同前側パネルよりも車両後側に配置される後側パネルを備え、これら前側パネル及び後側パネルがそれぞれの鉛直方向において同インストルメントパネルの最上部に位置する車両用インストルメントパネルの固定構造において、前記前側パネル及び前記後側パネルの鉛直方向下方には車両本体に固定される空調用のダクトが設けられ、前記前側パネル及び前記後側パネルはそれぞれ前記ダクトに直接固定されることをその要旨としている。
【0007】
同構成によれば、前側パネル及び後側パネルはそれぞれダクトに直接固定されることから、例えば前側パネル及び後側パネルの少なくとも一方がダクトとは別部材である仲介部材を介してダクトに固定される場合、すなわちダクトに間接的に固定される場合に比べて、各パネルの剛性を好適に高めることができる。従って、インストルメントパネルの車両前後方向における長さが大きい場合であれ、簡易な構成により、インストルメントパネル全体としての剛性低下を抑制することができるようになる。
【0008】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、前記前側パネル及び前記後側パネルはそれぞれ前記インストルメントパネルの車幅方向全体にわたって一体に形成されることをその要旨としている。
【0009】
前側パネル及び後側パネルがそれぞれインストルメントパネルの車幅方向全体にわたって一体に形成されるものにあっては、各パネルの剛性が低くなりやすく、インストルメントパネル全体としての剛性も低くなりやすい。この点、請求項1に記載の発明を適用すれば、各パネルの剛性を好適に高めることができ、このように前側パネル及び後側パネルがそれぞれインストルメントパネルの車幅方向全体にわたって一体に形成される場合であっても、インストルメントパネル全体としての剛性を好適に高めることができるようになる。
【0010】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、前記前側パネルは前記車幅方向にて前記ダクトに直接固定される固定部を複数有することをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、前側パネルとダクトとが直接固定される固定部が車幅方向にて複数存在することから、前側パネルの車幅方向における剛性を好適に高めることができるようになる。
【0012】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、前記後側パネルは前記車幅方向にて前記ダクトに直接固定される固定部を複数有することをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、後側パネルとダクトとが直接固定される固定部が車幅方向にて複数存在することから、後側パネルの車幅方向における剛性を好適に高めることができるようになる。
【0014】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、前記前側パネルは、車幅方向において左右対称の形状を呈することをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、例えば各種計器の配設位置や形状が車種によって異なり、これに起因して後側パネルの形状が車種によって異なる場合であっても、前側パネルについては共通の部材を流用することができるようになる。
【0016】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、前記前側パネルは全体として略平板状をなすものであることをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、前側パネルは全体として略平板状をなすものであることから、前側パネルを樹脂成型するに際してその平面に対して垂直方向に沿った型抜きをすることとすれば、これを容易なものとすることができる。
【0018】
(7)請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明は、請求項7に記載の発明によるように、前記前側パネルは前記ダクトに溶着にて固定されるといった態様をもって具体化することができる。
【0019】
また、例えば前側パネルはダクトに締結部材により固定されるといった態様をもって具体化することもできる。
(8)請求項7に記載の発明は、請求項8に記載の発明によるように、前記前側パネルの前記ダクトに対向する面には同ダクトに向けて突出する突出部が形成されるとともに同突出部の先端部が前記ダクトに溶着される溶着代とされるといった態様をもって具体化することができる。この場合、特に、請求項6に記載の発明によるように、前側パネルが全体として略平板状をなすものとすれば、樹脂成型時の型抜きが容易なものとなることにより、前側パネルから突出する突出部を容易に形成することができるようにもなる。従って、前側パネルとダクトとを溶着するための溶着代を容易に形成することができるようになる。
【0020】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、前記突出部は前記前側パネルの面に沿って延びてこれを補強するためのリブであることをその要旨としている。
【0021】
同構成によれば、前側パネルの補強用のリブの先端部が溶着代とされることから、溶着代のための突出部をリブとは別に設ける必要がなく、前側パネルの構成を簡素なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図1〜図4を参照して、本発明に係る車両用インストルメントパネル(以下、「インストルメントパネル」)の固定構造の一実施形態について詳細に説明する。
図1に、本実施形態のインストルメントパネルの斜視構造を示す。
【0023】
図1に示すように、樹脂製のインストルメントパネルは、前側パネル10と、前側パネル10よりも車両後側に配置される後側パネル20とを備えている。前側パネル10及び後側パネル20は、それぞれの鉛直方向においてインストルメントパネルの最上部に位置するものであり、それぞれインストルメントパネルの車幅方向全体にわたって一体に形成されている。前側パネル10は、全体として略平板状をなすとともに、車幅方向において左右対称の形状を呈するものである。尚、図1においては図示を割愛しているが、前側パネル10にはスピーカーガーニッシュや空調用のダクト40の吹出口が左右対称に適宜設けられている。また、後側パネル20は、車両後側に延びてインストルメントパネルの最上部に位置する上面部20Aと、上面部20Aの車両後側部分に接続されて同接続部分から湾曲して鉛直方向下方に指向する曲面部20Bとを有するものである。また、後側パネル20において車幅方向中央よりも右側には鉛直方向上方に突出するフード部25が設けられており、フード部25の開口部25Aを通じてその内部に設けられる計器類が視認できるようになっている。尚、図1においては図示を割愛しているが、後側パネル20にはステアリングホイールの取付部や空調用のダクトの吹出口等が適宜設けられている。
【0024】
次に、図2を参照して前側パネル10と後側パネル20との締結態様について説明する。
図2は、前側パネル10及び後側パネルの車両前後方向における断面構造を示している。
【0025】
図2に示すように、前側パネル10の車両後側端部には、鉛直方向下方に突出する締結部11が設けられている。また、後側パネル20の車両前側端部には、鉛直方向に突出する締結部21が設けられている。そして、これら締結部11、21にそれぞれ形成されたねじ孔11A、ねじ穴21Aには、ねじ31が挿入されている。そしてこれにより、前側パネル10と後側パネル20とが締結されるようになっている。尚、こうした締結部11、21は車幅方向に複数設けられている。
【0026】
次に、図3を参照して前側パネル10及び後側パネル20と空調用のダクト40とが直接固定される固定部の位置関係について図3を参照して説明する。
図3に破線にて示すように、前側パネル10及び後側パネル20の鉛直方向下方には空調用のダクト(以下、「ダクト40」)が設けられている。ダクト40は、前側パネル10及び後側パネル20にそれぞれ形成される複数の吹出口16C,26L,26R,27L,27R,28L,28Rと図示しないエアコンディショナユニットとをそれぞれ接続する複数のダクト41L,41R,42L,42R,43,44L,44Rを有している。
【0027】
具体的には、前側パネル10の車幅方向中央であって車両前側には、センタデフロスタ用の吹出口16Cが形成されており、吹出口16Cにはセンタデフロスタダクト43が接続されている。
【0028】
また、後側パネル20の車両左側であって車両前側には、左側デフロスタ用の吹出口26Lが形成されており、吹出口26Lには左側デフロスタダクト42Lが接続されている。左側デフロスタダクト42Lは、前側パネル10の車両前後方向中央において車両左側に延びるとともに、前側パネル10の左端において屈曲して車両後側に延びる態様にて設けられている。
【0029】
また、後側パネル20の車両右側であって車両前側には、右側デフロスタ用の吹出口26Rが形成されており、吹出口26Rには右側デフロスタダクト42Rが接続されている。右側デフロスタダクト42Rは、前側パネル10の車両前後方向中央において車両右側に延びるとともに、前側パネル10の右端において屈曲して車両後側に延びる態様にて設けられている。
【0030】
また、後側パネル20の車両左側であって車両後側には、左側レジスタ用の吹出口27Lが形成されており、吹出口27Lには左側レジスタダクト41Lが接続されている。左側レジスタダクト41Lは、前側パネル10の車両前後方向中央において車両左側に延びるとともに、前側パネル10の左端において屈曲して車両後側に延びる態様にて設けられている。
【0031】
また、後側パネル20の車両右側であって車両後側には、右側レジスタ用の吹出口27Rが形成されており、吹出口27Rには右側レジスタダクト41Rが接続されている。右側レジスタダクト41Rは、前側パネル10の車両前後方向中央において車両右側に延びるとともに、前側パネル10の右端において屈曲して車両後側に延びる態様にて設けられている。
【0032】
また、後側パネル20の車幅方向中央であって車両前後方向の中央には、センタレジスタ用の吹出口28L,28Lがそれぞれ形成されており、これら吹出口28L,28Rにはそれぞれセンタレジスタダクト44L,44Rが接続されている。
【0033】
ここで、前側パネル10は車幅方向にてダクト42L,42R,43に直接固定される複数の固定部F5〜F11を有している。また、後側パネル20は車幅方向にてダクト41L,41Rに直接固定される複数の固定部F1〜F4を有している。ここで、これら固定部F1〜F11は車幅方向において左右対称に設けられている。尚、エアコンディショナユニットはボルト等により車両本体に固定されている。
【0034】
次に、図4を参照して、前側パネル10及び後側パネル20とダクト40との固定態様について説明する。尚、図4は、図3のA−A断面図である。
図4に示すように、前側パネル10の鉛直方向下側の面、すなわちダクト40に対向する面には、ダクト40に向けて突出するとともに上記面に沿って延びてこれを補強するためのリブ12Aが設けられている。リブ12Aは略平板状をなし、車両前後方向に延びるように設けられている。また、リブ12Aには鉛直方向に延びてリブ12Aを補強するための柱状部13Aが設けられている。柱状部13Aは、リブ12Aの両面からそれぞれ車幅方向に突出するように車両前後方向に複数設けられている。また、図4にて図示されるリブ12Aの他にも車幅方向にわたって複数のリブがリブ12Aと同様の態様にて設けられている。ちなみに、前側パネル10の樹脂成型時には、図4に矢印Bにて示す方向に同パネル10が型抜きされる。
【0035】
また、後側パネル20の内周面、すなわちダクト40に対向する面には、ダクト40に向けて突出するとともに上記内周面に沿って延びてこれを補強するためのリブ22Aが設けられている。リブ22Aは略平板状をなし、車両前後方向及び鉛直方向に延びるように設けられている。また、リブ22Aには、鉛直方向上方と車両後方との間の方向Cのうち鉛直方向下方側の方向に延びてリブ22Aを補強するための柱状部23Aが設けられている。柱状部23Aは、リブ22Aの両面からそれぞれ車幅方向に突出するように車両前後方向に複数設けられている。また、図4にて図示されるリブ22Aの他にも車幅方向にわたって複数のリブがリブ22Aと同様の態様にて設けられている。ちなみに、後側パネル20の樹脂成型時には、図4に矢印Cにて示す方向に同パネル20が型抜きされる。
【0036】
本実施形態では、前側パネル10のリブ12Aにおいて柱状部13Aの先端部14Aが他の部位よりも鉛直方向下方に突出するように形成されており、同先端部14Aが左側デフロスタダクト42Lの上面に溶着される溶着代とされる。これにより、前側パネル10と左側デフロスタダクト42Lとが直接固定されるようになっている。また、後側パネル20のリブ22Aにおいて柱状部13Aの先端部24Aが他の部位よりも矢印C方向のうち鉛直方向下方側の方向に突出するように形成されており、同先端部24Aが左側レジスタダクト41Lの上面に溶着される溶着代とされる。これにより、後側パネル20と左側レジスタダクト41Lとが直接固定されるようになっている。
【0037】
以上説明した本実施形態にかかる車両用インストルメントパネルの固定構造によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)前側パネル10及び後側パネル20の鉛直方向下方には車両本体に固定される空調用のダクト40が設けられ、前側パネル10及び後側パネル20はそれぞれダクト40に直接固定されることとした。これにより、例えば前側パネル及び後側パネルの少なくとも一方がダクトとは別部材である仲介部材を介してダクトに固定される場合、すなわちダクトに間接的に固定される場合に比べて、各パネル10,20の剛性を好適に高めることができる。従って、インストルメントパネルの車両前後方向における長さが大きい場合であれ、簡易な構成により、インストルメントパネル全体としての剛性低下を抑制することができるようになる。
【0038】
(2)前側パネル10及び後側パネル20はそれぞれインストルメントパネルの車幅方向全体にわたって一体に形成されることとした。前側パネル10及び後側パネル20がそれぞれインストルメントパネルの車幅方向全体にわたって一体に形成されるものにあっては、各パネル10,20の剛性が低くなりやすく、インストルメントパネル全体としての剛性も低くなりやすい。この点、本実施形態によれば、各パネル10,20の剛性を好適に高めることができ、このように前側パネル10及び後側パネル20がそれぞれインストルメントパネルの車幅方向全体にわたって一体に形成される場合であっても、インストルメントパネル全体としての剛性を好適に高めることができるようになる。
【0039】
(3)前側パネル10は車幅方向にてダクト40に直接固定される複数の固定部F5〜F11を有することとした。これにより、前側パネル10の車幅方向における剛性を好適に高めることができるようになる。
【0040】
(4)後側パネル20は車幅方向にてダクト40に直接固定される複数の固定部F1〜F4を有することとした。これにより、後側パネル20の車幅方向における剛性を好適に高めることができるようになる。
【0041】
(5)前側パネル10は、車幅方向において左右対称の形状を呈することとした。これにより、例えば各種計器の配設位置や形状が車種によって異なり、これに起因して後側パネル20の形状が車種によって異なる場合であっても、前側パネル10については共通の部材を流用することができるようになる。
【0042】
(6)前側パネル10は全体として略平板状をなすものであることとした。これにより、前側パネル10を樹脂成型するに際してその平面に対して垂直方向に沿った型抜きをすることとすれば、これを容易なものとすることができる。
【0043】
(7)前側パネル10はダクト40に溶着にて固定されることとした。そして、前側パネル10のダクト40に対向する面には同ダクト40に向けて突出するリブ12Aが形成されるとともに同リブ12Aの先端部14Aがダクト40に溶着される溶着代とされることとした。上述したように、前側パネル10は全体として略平板状をなすものであることから、樹脂成型時の型抜きが容易なものとなり、前側パネル10から突出するリブを容易に形成することができるようになる。従って、前側パネル10とダクト40とを溶着するための溶着代を容易に形成することができるようになる。しかも、前側パネル10の補強用のリブ12Aの先端部14Aが溶着代とされることから、溶着代のための突出部をリブ12Aとは別に設ける必要がなく、前側パネル10の構成を簡素なものとすることができる。
【0044】
尚、本発明にかかる車両用インストルメントパネルの固定構造は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
【0045】
・上記実施形態では、前側パネル10に形成される補強用のリブ12Aの先端部14Aをダクト40に溶着される溶着代としたが、このような溶着代をリブ12Aとは別に設けるようにしてもよい。すなわち、前側パネル10のダクト40に対向する面にダクト40に向けて突出する突出部をリブ12Aとは別に設け、同突出部の先端部を溶着代としてもよい。また、後側パネル20についても、前側パネル10と同様の変更を行うことができる。
【0046】
・上記実施形態では、前側パネル10のみに溶着代を設けるようにしているが、前側パネル10に溶着代を設けることに加えて、ダクト40に溶着代を設けるようにすることもできる。また、前側パネル10に溶着代を設けることに代えて、ダクト40に溶着代を設けるようにすることもできる。また、後側パネル20についても、前側パネル10と同様の変更を行うことができる。
【0047】
・上記実施形態では、前側パネル10がダクト40に溶着にて固定されるものについて例示したが、前側パネル10とダクト40との固定態様は溶着に限られるものではなく、他に例えば、図5に示すように、ねじ32による締結にて前側パネル10とダクト40とを固定するようにしてもよい。この場合、前側パネル10の下面に左側デフロスタダクト42Lに向けて突出する突出部19を形成するとともに、同ダクト42Lの外周面に車両後方に向けて延びる取付片142を設ける。そして、突出部19及び取付片142をねじ32により締結するようにすればよい。また、ねじ33による締結にて後側パネル20とダクト40とを固定するようにしてもよい。この場合、後側パネル20の下面に左側レジスタダクト41Lに向けて突出する突出部29を形成するとともに、左側レジスタダクト41Lの外周面に車両後方に向けて延びる取付片141を設ける。そして、突出部29及び取付片141をねじ33により締結するようにすればよい。
【0048】
・上記実施形態では、前側パネル10が全体として略平板状をなすものとしたが、前側パネルの形状はこれに限られるものではなく、車両のレイアウトやインストルメントパネルのデザインに応じてこれを適宜変更することができる。
【0049】
・上記実施形態によるように、前側パネル10を、車幅方向において左右対称の形状を呈することとすることが、後側パネル20の形状が車種によって異なる場合であれ前側パネル10については共通の部材を流用することができるようにする上では望ましい。しかしながら、車両のレイアウトやインストルメントパネルのデザインを優先するために、前側パネルを車幅方向において左右非対称とすることもできる。
【0050】
・後側パネル20とダクト40との固定部F1〜F4の位置は上記実施形態にて例示したものに限られるものではなく、ダクトの形状等に応じてこれを適宜変更することができる。
【0051】
・前側パネル10とダクト40との固定部F5〜F11の位置は上記実施形態にて例示したものに限られるものではなく、ダクトの形状等に応じてこれを適宜変更することができる。
【0052】
・上記実施形態では、前側パネル10及び後側パネル20がそれぞれインストルメントパネルの車幅方向全体にわたって一体に形成されるものについて例示したが、本発明にかかる前側パネル及び後側パネルはこれに限られるものではなく、前側パネル及び後側パネルの少なくとも一方がインストルメントパネルの車幅方向において複数に分割されるものであってもよい。
【0053】
要するに、前側パネル10及び後側パネル20の鉛直方向下方には車両本体に固定される空調用のダクトが設けられ、前側パネル及び後側パネルはそれぞれダクトに直接固定されるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る車両用インストルメントパネルの固定構造の一実施形態について、インストルメントパネルの概略構成を示す斜視図。
【図2】同実施形態における前側パネル及び後側パネルの車両前後方向における断面構造を概略的に示す断面図。
【図3】同実施形態における前側パネル及び後側パネルと、空調用のダクトとの位置関係を示す概略図。
【図4】図3のA−A断面図。
【図5】本発明に係る車両用インストルメントパネルの固定構造の変形例について、前側パネル及び後側パネルの車両前後方向における断面構造を概略的に示す断面図。
【符号の説明】
【0055】
1…インストルメントパネル、10…前側パネル、11…締結部、11A…ねじ孔、12A…リブ、13A…柱状部、14A…先端部、16C…吹出口、19…突出部、20…後側パネル、20A…上面部、20B…曲面部、21…締結部、21A…ねじ穴、22A…リブ、23A…柱状部、24A…先端部、25…フード部、25A…開口部、26L,26R,27L,27R、28L,28R…吹出口、29…突出部、31,32,33…ねじ、40…ダクト、41L…左側レジスタダクト、41R…右側レジスタダクト、42L…左側デフロスタダクト、42R…右側デフロスタダクト、43A…センタデフロスタダクト、44L,44R…センタレジスタダクト、141,142…取付片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のインストルメントパネルであって、前側パネル及び同前側パネルよりも車両後側に配置される後側パネルを備え、これら前側パネル及び後側パネルがそれぞれの鉛直方向において同インストルメントパネルの最上部に位置する車両用インストルメントパネルの固定構造において、
前記前側パネル及び前記後側パネルの鉛直方向下方には車両本体に固定される空調用のダクトが設けられ、
前記前側パネル及び前記後側パネルはそれぞれ前記ダクトに直接固定される
ことを特徴とする車両用インストルメントパネルの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、
前記前側パネル及び前記後側パネルはそれぞれ前記インストルメントパネルの車幅方向全体にわたって一体に形成される
ことを特徴とする車両用インストルメントパネルの固定構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、
前記前側パネルは前記車幅方向にて前記ダクトに直接固定される固定部を複数有する
ことを特徴とする車両用インストルメントパネルの固定構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、
前記後側パネルは前記車幅方向にて前記ダクトに直接固定される固定部を複数有する
ことを特徴とする車両用インストルメントパネルの固定構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、
前記前側パネルは、車幅方向において左右対称の形状を呈する
ことを特徴とする車両用インストルメントパネルの固定構造。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、
前記前側パネルは全体として略平板状をなすものである
ことを特徴とする車両用インストルメントパネルの固定構造。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、
前記前側パネルは前記ダクトに溶着にて固定される
ことを特徴とする車両用インストルメントパネルの固定構造。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、
前記前側パネルの前記ダクトに対向する面には同ダクトに向けて突出する突出部が形成されるとともに同突出部の先端部が前記ダクトに溶着される溶着代とされる
ことを特徴とする車両用インストルメントパネルの固定構造。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用インストルメントパネルの固定構造において、
前記突出部は前記前側パネルの面に沿って延びてこれを補強するためのリブである
ことを特徴とする車両用インストルメントパネルの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−83155(P2010−83155A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250931(P2008−250931)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】