説明

車両用エアコン装置

【課題】空調の設定が意図しない動作をした(低頻度不具合)場合の原因を容易に推定可能な車両用エアコン装置を提供する。
【解決手段】車両用エアコン装置ACは、操作パネルCPの入力内容を、操作パネルCPが操作されたときの各種空調センサSEのセンサ値及び空調ユニットCUの出力内容と対応付けて記憶する不揮発性メモリ504と、不揮発性メモリ504に操作パネルCPの入力内容、各種空調センサSEのセンサ値及び空調ユニットCUの出力内容の書き込みを指示するCPU501(制御手段)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用エアコン装置に関し、特に操作パネルが操作されたとき各種空調センサのセンサ値に基づいて空調ユニットを制御する車両用エアコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用エアコン装置として、例えば下記特許文献1に記載されているように、車室内で求められる空調状態が乗員毎に異なることを考慮して、乗員の好む空調状態とするための補正情報を記憶したカード式メモリを乗員毎に用意しておき、乗員が異なる座席に着座した場合(例えば、助手席から運転席に席を替えた場合)でも、カード式メモリの補正情報に基づいて乗員の好みの空調状態を得るようにしたものが知られている。この特許文献1に記載された車両用エアコン装置では、空調状態に関する乗員の過去の設定履歴がカード式メモリに記憶されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−39543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、操作パネルを操作したという認識がユーザにないにもかかわらず、空調の設定が勝手に切り替わったというクレームがメーカー側に寄せられることがある(NTF:Non Trouble Fail)。このとき、操作パネルのスイッチの異常等、ハードの故障に因ることが明らかであれば、その原因の特定は容易であるが、ハードの故障に因らない場合は、その原因の特定は極めて困難である。この場合、上記特許文献1に記載されたカード式メモリに記憶された設定履歴を参照するようにすれば、原因推定の一助とはなる。しかしながら、上記カード式メモリには、乗員の好みの空調状態に関する設定履歴が記憶されるにすぎないので、上記した原因を推定するための情報としては十分でない。
【0005】
本発明の課題は、空調の設定が意図しない動作をした(低頻度不具合)場合の原因を容易に推定可能な車両用エアコン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、操作パネルが操作されたとき各種空調センサのセンサ値に基づいて空調ユニットを制御する車両用エアコン装置において、操作パネルの入力内容を、操作パネルが操作されたときの各種空調センサのセンサ値および空調ユニットの出力内容と対応付けて記憶する不揮発性メモリと、不揮発性メモリに操作パネルの入力内容、各種空調センサのセンサ値および空調ユニットの出力内容の書き込みを指示する制御手段と、を備えたことを特徴とする。この場合、操作パネルの入力内容は、例えば操作パネルが操作された日時情報を含み、空調ユニットの出力内容は、例えば操作パネルが操作されたときの空調ユニットの吹出温度、風量、吹出口および吸込口に関する情報を含んでなると好適である。
【0007】
これによれば、制御手段により、操作パネルの入力内容が、操作パネルが操作されたときの各種空調センサのセンサ値および空調ユニットの出力内容と対応付けて不揮発性メモリに記憶される。
【0008】
このため、操作パネルの入力内容と空調ユニットの出力内容等とを照合することにより、例えば実際にはユーザが操作パネルを操作していたにもかかわらず操作パネルを操作していないとの思い違いが原因であることを特定することができる。また、例えばどのような操作が、どのような環境下で、どのくらいの頻度で行われているかを後に確認することにより、所定の条件が揃った場合に発生する空調ユニットの誤動作が原因であることを容易に推定することができ、調査対象を絞り込むことが可能である。
【0009】
また、制御手段は、操作パネルの入力内容、各種空調センサのセンサ値および空調ユニットの出力内容を不揮発性メモリの書き換え用領域に書き込むように指示するとともに、書き込まれた内容の更新を指示する構成にするとよい。この場合、例えば書き込まれた内容の古いものから順に更新させるようにしてもよいし、書き込まれた内容を一括して更新させるようにしてもよい。
【0010】
これによれば、制御手段により、過去の操作パネルの入力内容および空調ユニットの出力内容等が、新たな操作パネルの入力内容および空調ユニットの出力内容等に書き換えられる。このため、不揮発性メモリとして記憶容量の小さい安価なものを使用することができる。
【0011】
また、制御手段は、空調ユニットの出力内容が、予め設定されている空調ユニットの空調制御パターンに従っているかを判定し、空調ユニットの出力内容が空調制御パターンに従っていないと判定したとき、操作パネルの入力内容、各種空調センサのセンサ値および空調ユニットの出力内容を不揮発性メモリの非書き換え用領域に書き込むように指示する構成にするとよい。なお、空調ユニットの空調制御パターンとは、例えば夏用、冬用など季節に応じて設定されたオート空調設定時の吹出温度制御パターン、風量制御パターン、吹出口切替制御パターン、吸込口切替制御パターンなどを意味する。また、空調ユニットの出力内容が空調制御パターンに従っていないとは、例えば夏用に設定された空調制御パターンが冬場に実施されたり、これとは逆に冬用に設定された空調制御パターンが夏場に実施されるなど、空調ユニットの出力内容が現実の環境状況に則していないことが明らかな場合を意味する。
【0012】
これによれば、制御手段により、空調ユニットの出力内容が空調制御パターンに従っていないと判定されたとき、操作パネルの入力内容、各種空調センサのセンサ値および空調ユニットの出力内容が不揮発性メモリの非書き換え用領域に書き込まれる。このため、空調ユニットの異常時の内容を確実に履歴として残すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1は本発明を適用した車両用エアコン装置ACの全体を概略的に示したブロック図である。車両用エアコン装置ACは、車両に組み込まれた空調ユニットCUを備えている。空調ユニットCUはダクト1を備え、このダクト1には、車内の空気を循環させるための内気吸込口13と、車外の空気を導入するための外気吸込口14とが形成されている。内気吸込口13と外気吸込口14は、内外気切替用ダンパ15により切り替えられ、内気吸込口13又は外気吸込口14からの空気が、ブロワモータ23により駆動されるブロワ16によってダクト1内に吸い込まれる。
【0014】
ダクト1内には、吸い込まれた空気を冷却して冷気を発生させるためのエバポレータ17と、吸い込まれた空気を加熱して暖気を発生させるためのヒータコア2とが設けられている。冷気と暖気は、エアミックスダンパ3の角度位置に対応した比率で混合され、デフ吹出口(DEF)4、フェイス吹出口(FACE)5、フット吹出口(FOOT)6から吹き出される。
【0015】
デフ吹出口4は、フロントグラスの内面下縁に対応するインパネ上方奥に、フェイス吹出口5はインパネの正面中央に、フット吹出口6はインパネ下面奥に開口し、それぞれ吹出口切替用ダンパ7,8,9により開閉される。
【0016】
具体的には、吹出口切替用サーボモータ20からのダンパ制御用の回転入力位相に応じて、ダンパ駆動ギア機構10により、デフ吹出口4のみが開いた状態、フェイス吹出口5のみが開いた状態、フット吹出口6のみが開いた状態、フェイス吹出口5とデフ吹出口4が開いた状態、フット吹出口6とデフ吹出口4が開いた状態、フェイス吹出口5、デフ吹出口4及びフット吹出口6が開いた状態のうちの何れかの状態となるように開閉される。
【0017】
内外気切替用ダンパ15は内外気切替用サーボモータ21により、エアミックスダンパ3はエアミックス用サーボモータ19により、吹出口切替用ダンパ7,8,9は吹出口切替用サーボモータ20により駆動される。ブロワモータ23は、例えばブラシレスモータで構成され、PWM制御により回転速度が調整されてブロワ風量が調整される。各モータ19〜21,23は、エアコンECU50により駆動制御される。
【0018】
エバポレータ17には、気化した冷媒ガスを圧縮して液体に戻す前に液化し易いように加圧する可変コンプレッサ18が接続されている。可変コンプレッサ18は、例えば斜板の傾斜角を変化させるためのソレノイドバルブ18aを備えた周知のものである。ソレノイドバルブ18aは、エアコンECU50により駆動制御される。
【0019】
エアコンECU50は、CPU501、ROM502、RAM503、不揮発性メモリ504及び時計IC505、並びにこれらを接続する内部バスライン506を含んで構成されている。
【0020】
CPU501(制御手段)は、ROM502に記憶されたエアコン制御ファームウェア(図示せず)の実行に応じて、可変コンプレッサ18のソレノイドバルブ18aを駆動するソレノイドバルブ駆動回路(図示省略)、ブロワモータ23を駆動するブロワモータ駆動回路(図示省略)、各種リレー(例えばブロワ風量をH又はLレベルに保持する)を駆動するリレー駆動回路(図示省略)へ制御信号を出力する。
【0021】
ROM502には、エアコン制御のための各種制御プログラムに加えて、図3の書き込み指示プログラムが記憶されている。RAM503は、CPU501が取得した各種センサ信号や、スイッチ信号、駆動信号、通信データ、ダイアグコードなどを一時的に記憶したり、プログラムの実行に使用されたりするワーク用のメモリとして機能する。
【0022】
不揮発性メモリ504は、車両用エアコン装置ACが非動作時或いはエアコンECU50の電源がオフ状態の場合にも、記憶内容を保持可能なものであり、例えばEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)で構成されていて、各種空調センサSEのセンサ信号や、スイッチ信号、時計IC505からの日時データなどが、書き換え用の記憶領域に書き込まれるようになっている。不揮発性メモリ504については、後述する。
【0023】
時計IC505は、リアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU501からの要求に応じてカレンダー・時刻を設定し、必要に応じてそのデータをCPU501に送る。
【0024】
エアコンECU50には、各種空調センサSEが接続されている。各種空調センサSEは、エバポレータ17を通過した直後の空気の温度TEを検出するエバ温度センサ51、車室内の内気温TRを検出する内気センサ52、外気温TAMを検出する外気センサ53、エンジン冷却水温TWを検出する水温センサ54、日射量TSを検出する日射センサ55などで構成されている。各種空調センサSEのセンサ信号は、エアコンECU50へ入力される。
【0025】
また、エアコンECU50には、操作パネルCPが接続されている。操作パネルCPには、ブロワレベルを設定する風量設定スイッチ61、吹出モードを設定する(吹出口を切り替える)モードスイッチ62、室温を設定する温度設定スイッチ63、可変コンプレッサ18を作動させるA/Cスイッチ64、内気モードまたは外気モードを設定する(吸込口を切り替える)内外気切替スイッチ65、送風を停止する送風オフスイッチ66、デフロスタを作動させるDEFスイッチ67、ブロワモータ23及び可変コンプレッサ18を自動的に作動させるオート切替スイッチ68、およびリアデフォッガ(図示せず)を作動させるリアデフスイッチ69が、それぞれ設定時に点灯するインジケータ用光源INDと共に組み込まれている。また、コントロールパネルCPには、設定温度、ブロワレベル、吹出モード、時刻などのエアコン動作に関する各種情報を表示する液晶ディスプレイ71が組み込まれている。また、エアコンECU50は、CANバス31を介して各種ECU100と通信可能に接続されている。
【0026】
図2に、エアコンECU50における不揮発性メモリ504のメモリマップを示す。不揮発性メモリ504は、スペースの決められた多くの記憶領域(ボックス)で構成されており、各ボックスがアドレス(例えば1〜10)で管理されている。1つのアドレスには、操作パネルCPの入力内容に対応して、操作パネルCPが操作されたときの各種空調センサSEのセンサ値及び空調ユニットCUの出力内容が格納されるようになっている。
【0027】
具体的に、操作パネルCPの入力内容としては、各種スイッチ61〜69のスイッチ信号(オン・オフ信号、設定温度データ、設定ブロワレベルデータなど)、時計IC505からの操作パネルCPが操作された日時データなどがある。各種空調センサSEのセンサ値としては、操作パネルCPが操作されたときの各種空調センサSEのセンサ信号(電圧値、電流値、抵抗値など)などがある。
【0028】
空調ユニットCUの出力内容としては、操作パネルCPが操作されたときの吹出温度(ユーザの希望温度に早く近づけるために所定の計算式に基づいて算出された計算値(TAO))、ブロワモータ23の風量(ブロワレベル)、吹出口(FACE、BI−LEVEL、FOOT、DEF)、吸込口(外気導入、内気循環)、可変コンプレッサ18の回転数、エアミックスダンパ3の目標開度(計算値)、エアミックスダンパ3の実際の開度などがある。
【0029】
次に、上記のように構成した第1実施形態の作動について説明する。エアコンECU50のCPU501は、操作パネルCPの各スイッチ操作に応じてエアコン制御のための各種制御プログラムを実行するとともに、図3の書き込み指示プログラムを実行する。
【0030】
この書き込み指示プログラムは、ステップS10にてその実行が開始される。操作パネルCPが操作されると(ステップS11:YES)、CPU501は、不揮発性メモリ504に対して同一アドレスに操作パネルCPの入力内容、操作パネルCPが操作された日時、操作パネルCPが操作されたときの各種空調センサSEのセンサ値及び空調ユニットCUの出力内容を書き込む指示を与え、書き込むデータを渡す(ステップS12)。
【0031】
ステップS12の処理の実行後、ステップS13にて、この書き込み指示プログラムの実行を一旦終了する。以後、ステップS10〜S13の処理が繰り返し実行され、不揮発性メモリ504のアドレス1から順にデータが書き込まれる。データの書き込まれたアドレスが所定数(例えば10)に達した場合には、CPU501はアドレス1から順にデータを書き換える指示を与え、書き込むデータを渡す。
【0032】
なお、不揮発性メモリ504に格納されたデータは、ディーラー或いは整備工場に設置されている外部故障診断装置200(図1参照)が、所定のコネクタを介してCANバス31に接続され、かつイグニッションスイッチがオンされたとき、CPU501が読み出して外部故障診断装置200へ出力する。
【0033】
以上の説明からも明らかなように、この第1実施形態では、CPU501による図3のステップS11,S12の処理により、操作パネルCPの入力内容が、操作パネルCPが操作された日時、操作されたときの各種空調センサSEのセンサ値及び空調ユニットCUの出力内容と対応付けて不揮発性メモリ504に記憶される。
【0034】
その結果、操作パネルCPの入力内容と空調ユニットCUの出力内容等とを照合することにより、例えば実際にはユーザが操作パネルCPを操作していたにもかかわらず操作パネルCPを操作していないとの思い違いが原因であることを特定することができる。また、例えばどのような操作が、どのような環境下で、どのくらいの頻度で行われているかを確認することにより、所定の条件が揃った場合に発生する空調ユニットCUの誤動作が原因であることを容易に推定することができ、調査対象を絞り込むことが可能である。
【0035】
また、この第1実施形態では、過去の操作パネルCPの入力内容及び空調ユニットCUの出力内容等が、新たな操作パネルCPの入力内容及び空調ユニットCUの出力内容等に書き換えられる。これにより、不揮発性メモリとして記憶容量の小さい安価なものを使用することができる。
【0036】
b.第2実施形態
上記第1実施形態では、不揮発性メモリ504が書き換え用の記憶領域のみを備えるように構成したが、この第2実施形態では、例えば図4に示すように、不揮発性メモリ504’が書き換え用の記憶領域504aに加えて、非書き換え用の記憶領域504bを備えている。また、ROM502’には、夏用空調テーブル502aと冬用空調テーブル502bとが記憶されるとともに、図3の書き込み指示プログラムに代えて、図5の書き込み指示プログラムが記憶されている。なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同じである。
【0037】
夏用空調テーブル503aは、夏場にてオート空調設定時に実行される空調制御パターンを記憶している。具体的には、例えば図6(a)に示すような吹出温度制御パターン、図7(a)に示すような風量制御パターン、図8(a)に示すような吹出口切替制御パターン、図9(a)に示すような吸込口切替制御パターンを記憶している。
【0038】
同様に、冬用空調テーブル503bは、冬場にてオート空調設定時に実行される空調制御パターンを記憶している。具体的には、例えば図6(b)に示すような吹出温度制御パターン、図7(b)に示すような風量制御パターン、図8(b)に示すような吹出口切替制御パターン、図9(b)に示すような吸込口切替制御パターンを記憶している。
【0039】
次に、上記のように構成した第2実施形態の作動について説明する。エアコンECU50のCPU501は、操作パネルCPの各スイッチ操作に応じてエアコン制御のための各種制御プログラムを実行することに加えて、図5の書き込み指示プログラムを実行する。
【0040】
この書き込み指示プログラムは、ステップS20にてその実行が開始される。操作パネルCPが操作され(ステップS21:YES)、その操作がオート切替スイッチ68のオン操作でない場合には(ステップS22:NO)、上記第1実施形態と同様、CPU501は、不揮発性メモリ504に対して書き換え用の記憶領域504aの同一アドレスに操作パネルCPの入力内容、操作パネルCPが操作された日時、操作パネルCPが操作されたときの各種空調センサSEのセンサ値及び空調ユニットCUの出力内容を書き込む指示を与え、書き込むデータを渡す(ステップS23)。
【0041】
ステップS23の処理の実行後、ステップS26にて、この書き込み指示プログラムの実行を一旦終了する。以後、オート切替スイッチ68のオフ状態が続けば、ステップS20〜S23,S26の処理が繰り返し実行され、不揮発性メモリ504における書き換え用の記憶領域504aのアドレス1から順にデータが書き込まれる。データの書き込まれたアドレスが所定数(例えば10)に達した場合には、CPU501はアドレス1から順にデータを書き換える指示を与え、書き込むデータを渡す。
【0042】
一方、操作パネルCPが操作され(ステップS21:YES)、その操作がオート切替スイッチ68のオン操作である場合、或いはステップS20〜S23,S26の処理の実行中にオート切替スイッチ68がオン操作された場合には(ステップS22:YES)、空調ユニットCUの出力内容が空調テーブルの各制御パターンに従っているか否かを判定する(ステップS24)。
【0043】
具体的には、オート切替スイッチ68がオン操作されたときからの吹出温度が、夏場では例えば図6(a)に示す吹出温度制御パターンに従っているかを判定し、冬場では例えば図6(b)に示す吹出温度制御パターンに従っているかを判定する。また、必要吹出温度(TAO)に対応するブロワレベルが、夏場では例えば図7(a)に示す風量制御パターンに従っているかを判定し、冬場では例えば図7(b)に示す風量制御パターンに従っているかを判定する。
【0044】
また、必要吹出温度(TAO)に対応する吹出口が、夏場では例えば図8(a)に示す吹出口切替制御パターンに従っているかを判定し、冬場では例えば図8(b)に示す吹出口切替制御パターンに従っているかを判定する。さらに、必要吹出温度(TAO)に対応する吸込口が、夏場では例えば図9(a)に示す吸込口切替制御パターンに従っているかを判定し、冬場では例えば図9(b)に示す吸込口切替制御パターンに従っているかを判定する。
【0045】
そして、空調ユニットCUの出力内容の何れか一つでも、参照された制御パターンに従っていないと判定した場合には(ステップS24:NO)、CPU501は、不揮発性メモリ504に対して非書き換え用領域504bの同一アドレスに、操作パネルCPの入力内容、その日時、そのときの各種空調センサSEのセンサ値及び空調ユニットCUの出力内容を書き込む指示を与え、書き込むデータを渡す(ステップS25)。
【0046】
以上の説明からも明らかなように、この第2実施形態では、CPU501による図5のステップS24の処理により、空調ユニットCUの出力内容が、ROM502に記憶されている判定テーブル502a,502bの各空調制御パターンに従っているかが判定される。空調ユニットCUの出力内容が各空調制御パターンに従っていないと判定されたとき、CPU501によるステップS25の処理により、不揮発性メモリ504の非書き換え用領域504bに、操作パネルCPの入力内容、その日時、そのときの各種空調センサSEのセンサ値及び空調ユニットCUの出力内容が書き込まれる。これにより、空調ユニットCUの異常時の内容を確実に履歴として残すことができる。
【0047】
なお、上記第1及び第2実施形態では、不揮発性メモリ504として例えばEEPROMを使用して、アドレスに記憶されたデータを個別(ボックス毎)に更新するように構成したが、不揮発性メモリ504として例えばフラッシュメモリを使用して、アドレスに記憶されたデータを一括して(ボックス全体を)更新するように構成してもよい。
【0048】
また、上記第2実施形態では、図5の書き込み指示プログラムの実行に際して、操作パネルCPが操作され、その操作がオート切替スイッチ68のオン操作でない場合に、上記第1実施形態と同じステップS23の処理が実行されるように構成したが、図5の書き込み指示プログラムにおいてステップS21,S23の処理を省略し、オート切替スイッチ68がオンされない場合は、この書き込み指示プログラムの実行を終了させる構成としてもよい。
【0049】
また、上記第2実施形態では、ROM502’に夏用空調テーブル502aと冬用空調テーブル502bとを設けるように構成したが、これらに加えて、例えば春用、秋用の空調テーブルを設けてもよい。
【0050】
また、上記第1及び第2実施形態では、操作パネルCPが操作された日時データを時計IC505から取得するように構成したが、例えば各種ECU100の一つであるナビECUから取得する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1及び第2実施形態に係る車両用エアコン装置を概略的に示すブロック図。
【図2】本発明の第1実施形態に係り、図1のエアコンECUにおける不揮発性メモリのメモリマップを模式的に示す説明図。
【図3】本発明の第1実施形態に係り、図1のエアコンECUのCPUにより実行される書き込み指示プログラムを示すフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態に係り、図1のエアコンECUにおける不揮発性メモリのメモリマップと、ROMに記憶された空調テーブルを模式的に示す説明図。
【図5】本発明の第2実施形態に係り、図1のエアコンECUのCPUにより実行される書き込み指示プログラムを示すフローチャート。
【図6】(a)は図4の夏用空調テーブルに記憶された吹出温度制御パターンを示す説明図。(b)は図4の冬用空調テーブルに記憶された吹出温度制御パターンを示す説明図。
【図7】(a)は図4の夏用空調テーブルに記憶された風量制御パターンを示す説明図。(b)は図4の冬用空調テーブルに記憶された風量制御パターンを示す説明図。
【図8】(a)は図4の夏用空調テーブルに記憶された吹出口切替制御パターンを示す説明図。(b)は図4の冬用空調テーブルに記憶された吹出口切替制御パターンを示す説明図。
【図9】(a)は図4の夏用空調テーブルに記憶された吸込口切替制御パターンを示す説明図。(b)は図4の冬用空調テーブルに記憶された吸込口切替制御パターンを示す説明図。
【符号の説明】
【0052】
AC 車両用エアコン装置
SE 各種空調センサ
CP 操作パネル
50 エアコンECU
501 CPU(制御手段)
502,502’ ROM
503 RAM
504,504’ 不揮発性メモリ
504a 書き換え用領域
504b 非書き換え用領域
505 時計IC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作パネルが操作されたとき各種空調センサのセンサ値に基づいて空調ユニットを制御する車両用エアコン装置において、
前記操作パネルの入力内容を、該操作パネルが操作されたときの前記各種空調センサのセンサ値および前記空調ユニットの出力内容と対応付けて記憶する不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに前記操作パネルの入力内容、前記各種空調センサのセンサ値および前記空調ユニットの出力内容の書き込みを指示する制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用エアコン装置。
【請求項2】
前記操作パネルの入力内容は、該操作パネルが操作された日時情報を含み、前記空調ユニットの出力内容は、前記操作パネルが操作されたときの該空調ユニットの吹出温度、風量、吹出口および吸込口に関する情報を含んでなる請求項1に記載の車両用エアコン装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記操作パネルの入力内容、前記各種空調センサのセンサ値および前記空調ユニットの出力内容を前記不揮発性メモリの書き換え用領域に書き込むように指示するとともに、前記書き込まれた内容の更新を指示する請求項1または2に記載の車両用エアコン装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記空調ユニットの出力内容が、予め設定されている前記空調ユニットの空調制御パターンに従っているかを判定し、前記空調ユニットの出力内容が前記空調制御パターンに従っていないと判定したとき、前記操作パネルの入力内容、前記各種空調センサのセンサ値および前記空調ユニットの出力内容を前記不揮発性メモリの非書き換え用領域に書き込むように指示する請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用エアコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−196395(P2009−196395A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37216(P2008−37216)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】