説明

車両用エアサスペンション式シート支持装置

【課題】X型リンク機構でシートを支持したエアサスペンション式シート支持装置において、操作部材を動かしてシートを上下動させる操作を違和感なく行う。
【解決手段】ダイヤル130を回転させるとワイヤ150が押し引きされてエアスプリング30のバルブ80が前後に移動してバルブ80の開閉がなされ、これに応じてX型のリンク機構20が伸張・縮小してシート高さが調節される構造において、ダイヤル130にカム120を一体に設け、カム120でリンクレバー110を揺動させてワイヤ150を押し引きする形態とし、カム120を、バルブ80の移動に応じたシートの上下動量とダイヤル130の回転量とが同じ割合になるカム面123を有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が備えるシートをエアスプリングを用いて支持する車両用エアサスペンション式シート支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中型・大型トラックやバス等の大型自動車のブレーキ装置としてエアブレーキ装置が用いられているが、このエアブレーキ装置に供給する空気を、運転席等のシートのクッションに利用したエアサスペンション式シート支持装置が知られている(特許文献1,2等参照)。
【0003】
公知のエアサスペンション式シート支持装置は、シャーシ等の固定部材に固定されるロアフレームの上方にリンク機構を介してアッパーフレームが上下動可能に支持され、アッパーフレームに車両用シートのシートクッションが固定される構成が多い。リンク機構としては2本のリンクバーをX状に組んだX型リンク機構を左右一対の状態で備えたものが一般的であり、ロアフレームとアッパーフレームとの間に、シートに着座した乗員の荷重をアッパーフレームを介して受けるエアスプリングが配されている。そして、シートに入力される上下方向の振動に応じて、エアスプリングに空気を供給したり、エアスプリングから空気を排出したりするバルブが設けられており、このバルブの作用によって、シート高さ(シートクッションの着座面の高さ)が一定に保たれながら振動が吸収され、快適な乗り心地が得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2597171号公報
【特許文献2】特開平5−131869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のエアサスペンション式シート支持装置は、上記のバルブとエアサスペンションの組み合わせにより、乗員の体重が変化しても空気圧を利用してシート高さを自動的に一定に保持する機能(シート高さ一定機能)や、体格に合わせてシート高さを変更して設定することのできる機能(シート高さ設定機能)を有している。シート高さの設定は、乗員が操作するレバーやダイヤル等を介してバルブを開閉させて、エアサスペンションへの空気の供給・排気を行う形式が一般的である。ここで、シートが上記のX型リンク機構で支持されている構造では、操作部材の操作量とリンク機構の上端部に支持されているシートの上下動量がリニアに比例しないため、操作部材の操作感覚と、実際のシートの上下動に違和感を感じるといった不満があった。
【0006】
よって本発明は、X型リンク機構でシートを支持した車両用エアサスペンション式シート支持装置において、操作部材を動かしてシートを上下動させる操作を違和感なく行うことができる構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用エアサスペンション式シート支持装置は、一対のリンク部材が、リンク軸を支点として回転自在に、かつ、X状に組まれ、各リンク部材の上端部にシート支持部が設けられ、一方のリンク部材の下端部が固定部、他方のリンク部材の下端部が水平方向に移動する可動部とされ、可動部が固定部に近接する方向に移動すると伸張し、可動部が固定部から離間する方向に移動すると縮小するように作動するX型リンク機構と、空気供給源から空気が供給され、前記シート支持部が上方から受ける荷重を受けるとともに、シート支持部の高さを調節するエアスプリングと、このエアスプリングの振動を吸収するダンパと、前記エアスプリングに対する空気の供給・排出を行うバルブ開閉部を有し、一の方向に沿って往復移動可能に設置されたバルブと、このバルブの前記バルブ開閉部に対向配置され、バルブの移動に応じてバルブ開閉部に作用し、該バルブを開閉するバルブ開閉部材と、前記バルブに連結された操作伝達部材と、操作部材を有し、この操作部材が動かされることにより、前記操作伝達部材を介して前記バルブが前記一の方向に移動し、これによって前記バルブ開閉部材が前記バルブ開閉部に作用してバルブを開閉させるバルブ移動機構とを備えた車両用エアサスペンション式シート支持装置において、前記バルブ移動機構は、前記操作部材と、この操作部材の動きに応じて作動する前記操作伝達部材との間に、操作部材の操作量に対する操作伝達部材の移動量を変位させることにより、前記バルブの移動に応じた前記シート支持部の上下動量と操作部材の操作量とを同じ割合に補正する補正手段を有することを特徴としている。
【0008】
本発明では、バルブ移動機構の操作部材を動かすと、操作伝達部材を介してバルブが一の方向に沿って移動し、バルブのバルブ開閉部にバルブ開閉部材が作用してバルブが開閉し、エアサスペンションに対し空気が供給あるいは排気され、シート支持部が上下動してシート高さが調節される。シート支持部が上下動する際には、X型リンク機構が伸張したり縮小したりするように作動するが、シート支持部が設けられたX型リンク機構の上端部の上下動は、従来は操作部材の移動量、すなわちバルブの移動量と比例しない構造であり、このため操作感覚に違和感を与えていた。しかしながら本発明では、操作部材と操作伝達部材との間に介在する補正手段によって、バルブの移動に応じたシート支持部の上下動量と操作部材の操作量とが同じ割合に補正され、これによって操作部材の移動量に対しシート支持部の上下動量、すなわちシートの上下動量がリニアな関係になる。その結果、シート高さ調節を違和感なく行うことができる。
【0009】
本発明は、前記操作伝達部材には、揺動することにより操作伝達部材が作動するレバーが連結され、前記操作部材は回転式のダイヤルであり、前記補正手段は、前記ダイヤルの回転と一体に回転し、カム面が前記レバーに当接してレバーの揺動による前記操作伝達部材の移動量を、ダイヤルの回転角度に応じて変位させるカム部材を有していることを具体的な形態例としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、X型リンク機構でシートを支持した車両用エアサスペンション式シート支持装置において、操作部材を動かしてシートを上下動させる操作を違和感なく行うことができ、操作感の向上が図られるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート支持装置の全体を示す斜視図である。
【図2】同装置の平面図である。
【図3】同装置の側面図である。
【図4】同装置が具備するシート高さ調節手段の斜視図である。
【図5】図4からバルブガイドを除いた状態を示す斜視図である。
【図6】シート高さ調節手段によるバルブ開閉作用を示す平面図である。
【図7】シート高さ調節手段のロックバーの作用を示す平面図である。
【図8】シート高さ調節手段のバルブとバルブ移動機構、およびこれらを連結するワイヤを示す平面図である。
【図9】シートのサイドフレームに設けられたバルブ移動機構をサイドフレームの外側から見た状態の斜視図である。
【図10】バルブ移動機構をサイドフレームの内側から見た状態の斜視図である。
【図11】バルブ移動機構をサイドフレームの内側から見た状態の側面図である。
【図12】バルブ移動機構をサイドフレームの外側から見た状態の側面図である。
【図13】バルブ移動機構のカムおよびリンクレバーを示す図であって、(a)平面図、(b)内側側面図、(c)後面図である。
【図14】図13(a)のA−A断面図である。
【図15】バルブ移動機構のリンクレバーを示す(a)の内側側面図、(b)後面図である。
【図16】シート高さを上昇させる際のバルブ移動機構の動作(カムによるリンクレバーの揺動作用)を(a)〜(d)の順に示す側面図である。
【図17】従来のバルブの位置とシート高さとの関係、および一実施形態のバルブの位置とダイヤルの回転角度との関係を示す線図である。
【図18】リニアに比例する一実施形態のダイヤルの回転角度とシート高さとの関係を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置(以下、シート支持装置)の一実施形態を説明する。
(1)基本構成
図1〜図3は一実施形態のシート支持装置の全体を示す図であって、それぞれ斜視図、平面図、側面図である。これら図中、符号10は長方形状の枠体からなるロアフレームである。ロアフレーム10は、車両に組み込まれた状態で、車両の前後方向(図1〜図3で矢印Fが前方、Rが後方を示している)に延びる左右一対のレールメンバー11と、レールメンバー11の前端どうし、および後端どうしを連結する左右方向に延びる前後一対の横メンバー12とから構成されている。ロアフレーム10は、車両のシャーシに対してほぼ水平な状態に固定される。なお、以下の説明で前後・左右・上下といった方向は、当該シート支持装置が車両に組み込まれた状態での方向と定義する。
【0013】
ロアフレーム10の上方には、リンク機構20を介してアッパーフレームが支持されており、このアッパーフレームに車両用シートのシートクッション(いずれも図示略)が固定される。リンク機構20は、2本のリンクバー(リンク部材)21,22がリンク軸23を介してX状に組まれた左右一対のXリンク24を備えている。リンクバー21,22はリンク軸23を支点として互いに回転自在とされている。
【0014】
図1および図3に示すように、各Xリンク24の、前方に向かうにつれて上方に延びるように傾斜する前上がり側の各リンクバー21の後端(下端)は、左右方向に延びる後下側固定軸(固定部)25に回転自在に取り付けられている。この後下側固定軸25は、ロアフレーム10の後側の横メンバー12の近傍に配設されており、両端が左右のレールメンバー11にそれぞれ固定されている。前上がり側の各リンクバー21の後端は後下側固定軸25を介して連結された状態となっている。また、前上がり側の各リンクバー21の前端(上端)には、左右方向に延びる前上側可動軸26が取り付けられており、前上がり側の各リンクバー21の前端は、この前上側可動軸26を介して連結された状態となっている。
【0015】
一方、各Xリンク24の、前方に向かうにつれて下方に延びるように傾斜する前下がり側の各リンクバー22の後端(上端)には、左右方向に延びる後上側可動軸27が取り付けられており、前下がり側の各リンクバー22の後端は、この後上側可動軸27を介して連結された状態となっている。また、前下がり側の各リンクバー22の前端部は、左右方向に延びる前下側ローラ軸(可動部)28に回転自在に取り付けられている。この前下側ローラ軸28は、両端に取り付けられたローラ28aを介して、ロアフレーム10の各レールメンバー11に沿って前後方向に移動自在に支持されている。前下側ローラ軸28が前後方向に移動する時、ローラ28aはレールメンバー11を転動し、これによって前下側ローラ軸28はレールメンバー11に沿って円滑に移動する。前下がり側の各リンクバー22の前端は、前下側ローラ軸28を介して連結された状態となっている。
【0016】
リンク機構20は、上記の左右一対のXリンク24、後下側固定軸25、前上側可動軸26、後上側可動軸27および前下側ローラ軸28から構成されている。図1に示すように、各Xリンク24にあっては、前上がり側のリンクバー21が、前下がり側のリンクバー22の内側に配されている。このリンク機構20は、後下側固定軸25を支点として、上側の前上側可動軸26と後上側可動軸27が互いに接近しながら上方に移動してXリンク24が立ち上がって伸張したり、これら前上側可動軸26と後上側可動軸27が互いに離間しながら下方に移動してXリンク24が折り畳まれ縮小したりするように作動する。Xリンク24が上方に伸張する際には、前下側ローラ軸28は、レールメンバー11に沿って後方に移動して後下側固定軸25に接近し、Xリンク24が縮小する際には、レールメンバー11を前方に移動して後下側固定軸25から離間する。
【0017】
ロアフレーム10内におけるリンク軸23の後方のスペースには、エアスプリング30が配設される。このエアスプリング30には、例えば車両のエアブレーキ装置を構成するエアコンプレッサ(空気供給源)から、圧縮された空気が供給されるようになっている。エアスプリング30は、空気が供給されると上方に膨出し、排気されると下方に縮小する。エアスプリング30の上方には、上記アッパーフレームに固定される受圧板31が設置されている。この受圧板31は、前方に延びる左右のステー部31aを有しており、これらステー部31aが、リンク軸23に外装されたスリーブ32に固定されている。このスリーブ32はリンク軸23と相対回転可能とされており、受圧板31はスリーブ32を介してリンク軸23に回転自在に支持されている。
【0018】
上記アッパーフレームは、受圧板31と、前上側可動軸26に載置されて支持されている。エアスプリング30には、上記空気供給源から送られる空気をエアスプリング30に供給したり、エアスプリング30内の空気を排出したりするバルブ80が接続されている。このバルブ80が給気状態になってエアスプリング30に空気が供給されると、受圧板31およびアッパーフレームが上昇してXリンク24が上方に伸張し、アッパーフレームに固定された車両用シートのシートクッション(以下、単にシートと言う)が上昇するようになっている。また、バルブ80が排気状態になると、シートに着座する乗員の荷重によりエアスプリング30から空気が排出され、これにより受圧板31およびアッパーフレームが下降してXリンク24が下方に縮小するように作動し、シートが下降するようになっている。
【0019】
図1および図3に示すように、一方(図1では手前側)のXリンク24の前上がり側のリンク21と前下側ローラ軸28との間には、オイルダンパ33が設けられている。このオイルダンパ33は、一端部が当該前上がりリンク21に固定された左右方向に延びるピン34に、また、他端部が前下側ローラ軸28に取り付けられたブラケット35に、それぞれ回転自在に装着されている。このオイルダンパ33により、エアスプリング30が作動した際に生じる振動が吸収され、リンク機構20の伸張・縮小の動作が緩衝されるようになっている。
【0020】
以上が、一実施形態のシート支持装置の基本構成である。このシート支持装置の上記ロアフレーム10の内側のスペースには、アッパーフレームの高さ位置を調節してシート高さを調節可能としたシート高さ調節手段40が装備されている。以下、このシート高さ調節手段について説明する。
【0021】
(2)シート高さ調節手段
図1および図2に示すように、ロアフレーム10内のスペースの前方、かつ、右側には、平面視L字状のフレーム板41が配設されている。このフレーム板41は、図4にも示すように、前後方向に延びる長板部42と、左右方向に延びる短板部43を有しており、長板部42の後端部には後方に三角形状に突出する突出部42aが形成されている。このフレーム板41は、前下側ローラ軸28の下方に水平に配され、長板部42の先端が前側の横メンバー12に固定され、短板部43の先端が右側のレールメンバー11に固定されている。
【0022】
図2に示すように、フレーム板41上の、長板部42に対する短板部43の基部付近には、前後方向に延びるアームガイド50が固定されている。図5に示すように、アームガイド50の内側の面(左側の面)には、前後方向に延びるガイド溝51が形成されている。図5に示すように、前下側ローラ軸28には、前後方向に延びるアーム52の前端が、回転自在に装着されている。アーム52の前端には、断面半円弧状の嵌合部53が形成されており、この嵌合部53が上方から前下側ローラ軸28に回転自在に嵌合されている。
【0023】
嵌合部53から後方に向かって延びるアーム52の先端部(後端部)54は、水平方向に平坦な矩形状に形成されており、この先端部54の右側の側部が、上記アームガイド50のガイド溝51に摺動自在に嵌合されている。したがって、リンク機構20の伸張・縮小に伴って前下側ローラ軸28が前後に移動すると、アーム52はアームガイド50に案内されて前下側ローラ軸28と一体的に自身の長手方向、すなわち前後方向に移動する。図6に示すように、アームガイド50の先端部54の左側(図6で下側)の側部には、上下方向、かつ、左側に開放する矩形状の切欠き55が形成されている。そしてこの切欠き55には、ローラ56が回転自在に装着されている。ローラ56は、軸部の上下に鍔部を有し、軸部が切欠き55内に収容され、上下の鍔部がアーム52の先端部54を挟み込むことにより脱落しないようになされている。ローラ56の軸部は、ある程度の距離を前後方向に移動可能に、切欠き55内に遊嵌状態で収容されている。
【0024】
図2に示すように、フレーム板41上の、アームガイド50の左側(図2で下側)にはバルブガイド60が固定されている。このバルブガイド60は、図4に示すように、フレーム板41に固定されたベース61と、このベース61上に固定されたカバー62とから構成されている。
【0025】
ベース61の右端部には、前後方向に延び、かつ、上方に突出する段部61aが形成されており、また、ベース61の左端部の上には、前後方向に延びるラックギヤ70が固定されている。ラックギヤ70の内側の側面(右側の側面)には、前後方向に並ぶギヤ歯70aが形成されている。段部61aとラックギヤ70の高さは同じで、カバー62はこれら段部61aとラックギヤ70の上に載置され固定されている。これにより、ベース61とカバー62との間には、段部61aおよびラックギヤ70の高さ分の上側スリット63が形成されている。この上側スリット63は、前後方向に開放している。また、ベース61の下面とフレーム板41との間には、ベース61の下面に形成された前後方向に延びる凹所により、下側スリット64が形成されている。この下側スリット64も、前後方向に開放している。
【0026】
バルブガイド60のベース61およびカバー62の左右方向中間部には、前後方向に延び、かつ、上下方向に貫通するガイド孔61b,62bがそれぞれ形成されており、さらにフレーム板41には、ガイド孔61b,62bと一致するガイド孔41bが形成されている。以降の説明では、これらガイド孔61b,62b,41bを1つのガイド孔65と総称する場合がある。
【0027】
図4に示すように、バルブガイド60の下方には、フレーム板41を挟んで上記バルブ80が配設されている。このバルブ80は外観が矩形の箱状を呈するもので、図5に示すように、バルブホルダ85に固定されている。バルブホルダ85は、バルブ80を上下方向および左右方向に挟持する構成のもので、このバルブホルダ85の右側の端部には、上下方向に延び、上記ガイド孔65を貫通する軸86が設けられている。この軸86には、矩形板状のスライダ87が水平な状態に係合されている。軸86は、スライダ87の中心を貫通しており、このスライダ87は、ベース61とフレーム板41との間の下側スリット64内に、前後方向に移動可能に収容されている。
【0028】
また、上記軸86の、スライダ87より上側には、図4および図7に示す円板ギヤ71が回転自在に装着されている。この円板ギヤ71は、バルブガイド60のベース61とカバー62との間の上側スリット63内に収容されている。円板ギヤ71の外周面のギヤ歯71aは、上記ラックギヤ70のギヤ歯70aに噛み合っている。また、円板ギヤ71の上面中心にはボス71bが形成されており、このボス71bは、カバー62のガイド孔62bに挿入されている。
【0029】
このような構成により、バルブ80は、スライダ87がフレーム板41に、また、円板ギヤ71がベース61に上側から係合することにより、脱落不能に支持されている。そしてバルブ80は、円板ギヤ71のボス71bがカバー62のガイド孔62bに沿って移動することにより、バルブガイド60に対し前後方向に移動可能に支持されている。バルブ80が前後方向に移動する際には、円板ギヤ71のギヤ歯71aがラックギヤ70のギヤ歯70aに噛み合いながら、円板ギヤ71は転動する。
【0030】
バルブ80は、後述するバルブ移動機構100によって前後方向に移動させられるようになっている。このバルブ移動機構100は本発明に係るものであって、後で詳述する。バルブ80は、図4および図5に示す引っ張り状態のコイルスプリング88によって、常に前方に付勢されている。このコイルスプリング88は、一端がバルブ80に、他端がフレーム板41の長板部42から下方に突出するフック42bにそれぞれ係合されている。
【0031】
バルブ80は、常閉式の給気弁および排気弁を内蔵したものであり、図6に示すように、右側の側面の前側には、給気弁を開く給気弁棒81が突出しており、後側には、排気弁を開く排気弁棒82が突出している。これら弁棒81,82は、常に突出する方向に付勢されており、バルブ80側に押し込まれることにより給気弁および排気弁は開状態となる。また、バルブ80の左側の側面の前側には、上記空気供給源から圧縮された空気をバルブ80内に導入する配管が接続される給気口83が設けられており、後側には、上記エアスプリング30に空気を送出する配管が接続される送出口84が設けられている。なお、給気弁棒81および排気弁棒82が、本発明のバルブ開閉部を構成している。
【0032】
上記軸86の、スライダ87より下側には、図5および図6に示すシーソー式のカム90が回転自在に支持されている。このカム90は、前後方向に延びる断面T字状の真っ直ぐな板材でできており、中央の凸条91が右側に向けられている。カム90の中間部には左側に膨出するボス92が形成されており、このボス92に、軸86が貫通されている。カム90は、上記各弁棒81,82が突出するバルブ80の右側の側面と上記ローラ56との間に挟まれ、軸86が貫通するボス92が各弁棒81,82の間に位置するように配設されており、軸86を支点としてシーソー状に揺動可能となっている。
【0033】
カム90の右側に突出する凸条91は、ローラ56の内部(上下の鍔部の間の溝部)に嵌り込んでおり、ローラ56はこの凸条91に案内されて前後方向に転動しながら移動可能とされている。ローラ56は、図5に示す引っ張り状態のコイルスプリング57によって常にカム90側に付勢されており、このコイルスプリング57によって常にカム90に接触するようになされている。コイルスプリング57は、バルブホルダ85の左側の側面に固定されたブラケット89とローラ56との間にわたって架け渡されている。
【0034】
カム90は、軸86およびバルブホルダ85を介してバルブ80と一体的に前後方向に移動可能とされており、換言すると、バルブ80およびカム90と、アーム52およびローラ56とは、前後方向に相対移動可能とされている。そして、図6(a)に示すように、バルブ80とアーム52とが、互いに離間する方向に相対移動すると、ローラ56はカム90の軸86よりも前方に移動し、カム90はそのローラ56に押されて前端が左側に向くように斜めに揺動する。すると、バルブ80の給気弁棒81が押されてバルブ80は給気状態となり、エアスプリング30に空気が供給され、シートは上昇する。
【0035】
一方、図6(c)に示すように、バルブ80とアーム52とが、互いに接近する方向に相対移動すると、ローラ56はカム90の軸86よりも後方に移動し、カム90はそのローラ56に押されて後端が左側に向くように斜めに揺動する。すると、バルブ80の排気弁棒82が押されてバルブ80は排気状態となり、エアスプリング30内の空気はバルブ80から排出され、シートは下降する。
【0036】
また、図6(b)に示すように、ローラ56の前後方向位置が軸86とほぼ一致した時には、カム90は前後方向に真っ直ぐに延びた状態となり、この時には、バルブ80の給気弁棒81および排気弁棒82はいずれもカム90により押されず、エアスプリング30に対する給排気は行われない中立状態となる。
【0037】
上記バルブ80は、給気弁および排気弁がカム90を挟んでローラ56と対向する状態で、バルブガイド60に、前後方向に移動可能に支持されており、さらにバルブ80は、上記バルブ移動機構100によって任意の位置に停止させられる。
【0038】
図2および図4に示すように、アーム52の上方には、前後方向に延びるロックバー72が配設されている。このロックバー72の前端には、アーム52の嵌合部53と同様の半円弧状の嵌合部73が形成されており、この嵌合部73が、アーム52の嵌合部53に上方から回転自在に嵌合されている。ロックバー72は、後端部が上記バルブガイド60の上側スリット63に前後方向に移動自在に挿入されており、その後端面には、上記円板ギヤ71のギヤ歯71aに噛合可能なラック状のギヤ歯72aが形成されている。
【0039】
上側スリット63に挿入されたロックバー72の後方には円板ギヤ71が配されているが、通常は、図7(a)に示すように、ロックバー72の後端と円板ギヤ71との間には所定の間隙が空くように設定されている。そして、リンク機構20が伸張するに伴って前下側ローラ軸28が前方に移動すると、図7(b)に示すように、ロックバー72の後端のギヤ歯72aが円板ギヤ71に噛み合う。ロックバー72のギヤ歯72aが円板ギヤ71に噛み合うと、前下側ローラ軸28はそれ以上の前進が規制され、リンク機構20は上方への伸張が阻止され、シートの上昇動作が停止させられる。このロックバー72と円板ギヤ71とによって、前下側ローラ軸28がバルブ80に接近する方向に後退して所定距離移動した時にその移動を規制してリンク機構20の作動をロックするサスペンションアッパー方向ロック機構が構成されている。
【0040】
上記バルブ80、アーム52、ローラ56、カム90、サスペンションアッパー方向ロック機構(ロックバー72と円板ギヤ71)等を主体として、シート高さ調節手段40が構成されている。次に、上記バルブ移動機構100を説明する。
【0041】
(3)バルブ移動機構
図8に示すように、上記バルブ80の後端部には、後方に延びるワイヤ(操作伝達部材)150の一端部が接続されている。ワイヤ150は、シース151内に摺動可能に挿入されており、一端部および他端部がシース151から露出している。シース151に挿入されたワイヤ150は図示せぬガイド部材によって一旦後方に延ばされてからシートの右側にUターン状に引き回され、他端部が前方に向かうように配設されている。そしてワイヤ150の他端は、上記シートクッションの右側のサイドフレーム160に設けられたバルブ移動機構100を構成するリンクレバー110に係止されている。バルブ移動機構100は、図9〜図12に示すように、リンクレバー110と、カム(補正手段、カム部材)120と、ダイヤル(操作部材)130と、ブレーキユニット140により構成されている。
【0042】
リンクレバー110は、図10に示すように、サイドフレーム160の内側(左側:シートの内部側)に、上下方向に延びる状態に配設され、上端部がレバー軸111を支点として回転自在とされることにより、前後方向に揺動するようになされている。ワイヤ150は、このリンクレバー110の前後方向に揺動する下端部に係止されている。
【0043】
また、サイドフレーム160の内側には、ブラケット板161が固定されている。上記レバー軸111はブラケット板161に支持されている。このブラケット板161とサイドフレーム160との間に形成された空間には、図13に示すカム120が配設されている。一方、サイドフレーム160の外側(右側:シートの外部側)には、図9に示すようにダイヤル130が配設されている。このダイヤル130とカム120は、サイドフレーム160およびブラケット板161に、左右方向に延びる回転軸131を介して回転可能に支持されている。回転軸131はダイヤル130およびカム120の軸心に同心状に固定されており、このように回転軸131によって連結されたダイヤル130とカム120は一体に回転する。
【0044】
また、ダイヤル130とサイドフレーム160との間に形成された空間には、回転軸131の回転を停止させるブレーキユニット140が配設されている。このブレーキユニット140はサイドフレーム160に固定されており、回転軸131が貫通している。ダイヤル130は双方向(図9〜図12でC−D方向)に回転させることができるが、回転力を解除するとブレーキユニット140の作用で回転軸131が制動させられるようになっている。
【0045】
カム120は、図13に示すように、円盤状の本体部121の片面(左側の面)に半月状のカム部122が一体に形成されたものであって、カム部122の外周面にカム面123が形成されている。カム面123は、図14に示すように、カム120の軸心Oに対し最も近いA点から、軸心Oよりしだいに遠ざかり、軸心Oから最も遠いB点までの楕円状の曲面で構成されている。本体部121の外周面は、小径部124と、大径部125とがおよそ半周ずつ形成されており、両者の境目である2つの段部が、それぞれ第1段部126a、第2段部126bとして形成されている。
【0046】
リンクレバー110は、図15に示すように、長手方向中間部の外側の側面(サイドフレーム160への対向面)に、外側に膨出するカム受け部112が形成されている。このカム受け部112は、リンクレバー110の長手方向に延びており、下端部が後方に若干屈曲しながら先細り状に形成され、その下端部の先端113が、カム120のカム面123が当たる部分とされている。
【0047】
リンクレバー110は、ダイヤル130を回転させると、ダイヤル130と一体に回転するカム120によって揺動させられ、リンクレバー110が揺動することによりワイヤ150が引っ張られたり押し戻されたりする。これによって上記バルブ80が前後方向に移動するようになされている。
【0048】
図16は、カム120によって規制されるリンクレバー110の揺動状況を示している。図16(a)はリンクレバー110が最も後方にある状態で、この時、カム受け部112の先端には図14に示したカム面123のA点が当接している。この状態からダイヤル130をD方向に回転させると、カム受け部112の先端113がカム面123によって前方に押され、図16(a)〜(c)に示すようにリンクレバー110は前方(図16で左方)に回転する。そしてさらにダイヤル130をD方向に回転させ、カム面123の図14に示したB点がカム受け部112の先端に当接した時が、図16(d)に示すようにリンクレバー110が最も前方に揺動した状態となる。これとは逆に、ダイヤル130をC方向に回転させると、逆の動作でリンクレバー110は後方に揺動する。
【0049】
リンクレバー110が前方に揺動するとワイヤ150に引っ張られてバルブ80は後方に移動し、リンクレバー110が後方に揺動するとワイヤ150に押し戻されてバルブ80は前方に移動する。図16(a)で示すカム面123のA点がリンクレバー110に作用してワイヤ150がバルブ80側に最も押し戻される位置は、カム120の第1段部126aが、サイドフレーム160に設けられたストッパ162(図10参照)に当接することにより規定される。また、図16(d)で示すカム面123のB点がリンクレバー110に作用してワイヤ150が最も引っ張られる位置は、カム120の第2段部126bが、サイドフレーム160に設けられたストッパ162に当接することにより規定される。
【0050】
(4)シート高さ調節手段の作用
次に、上記シート高さ調節手段40の作用を説明する。
本実施形態のシート高さ調節手段40によると、シートの高さが自動的に一定高さに保たれる“シート高さ一定機能”と、シートを所望の高さに設定することができる“シート高さ設定機能”を有している。
【0051】
(4−1)シート高さ一定機能
シート高さ一定機能は、シートに乗員が着座した状態でシートが一定高さに保たれる機能である。すなわち、シートに乗員が着座すると、アッパーフレームからリンク機構20に荷重がかかるため、リンク機構20は下方に縮小し、これに伴って前下側ローラ軸28が前進し、アーム52もバルブ80から離間する前方に移動する。すると、図6(a)に示すように、ローラ56はカム90の軸86よりも前方に移動し、カム90はそのローラ56に押されて前端が左側に向くように斜めに揺動する。これによりバルブ80は給気弁棒81が押されて給気状態となり、エアスプリング30に空気が供給され、リンク機構20が上方に伸張してシートが上昇する。
【0052】
シートが上昇したら前下側ローラ軸28は後退するので、アーム52はバルブ80に接近する。すると、図6(c)に示すように、ローラ56はカム90の軸86よりも後方に移動し、カム90はそのローラ56に押されて前端が右側に向くように斜めに揺動する。これによりバルブ80は排気弁棒82が押されて排気状態となり、エアスプリング30内の空気はバルブ80から排出され、リンク機構20が下方に縮小してシートが下降する。
【0053】
このようにリンク機構20の伸縮に追従してエアスプリング30に対する空気の供給/排出が繰り返されることにより、シートは上下に振動しながら自動的に一定高さに保たれる。シートが一定高さに保たれている時には、図6(b)に示すように、カム90は前後方向に真っ直ぐ延びてローラ56の前後方向位置が軸86とほぼ一致した状態となり、バルブ80は、給気弁棒81および排気弁棒82がいずれもカム90により押されず、エアスプリング30に対する給排気は行われない中立状態となる。
【0054】
また、本実施形態では、シートから乗員が立ち上がって負荷が無くなった時、エアスプリング30の力でリンク機構20は上方に伸張してシートが上昇するが、ロックバー72が円板ギヤ71に噛合することにより、シートの上昇高さが規制される。このため、シートから乗員が立ち上がる際に急激にシートが上昇して乗員に当たるといった不快感が防止される。
【0055】
(4−2)シート高さ設定機能
次に、シート高さ設定機能は、上記バルブ移動機構100のダイヤル130を操作してバルブ80を前後方向に移動させることにより遂行させることができる。今、リンク機構20が最も縮小してシートが最も低く設定されているとすると、この時のバルブ移動機構100は、図16(a)に示すようにリンクレバー110が最も後方に位置しており、バルブ80はコイルスプリング88により最も前方に引っ張られ、ワイヤ150はバルブ80側に最も押し戻された状態になっている。
【0056】
ここからシートを高く設定する時には、ダイヤル130をD方向に回転させる。すると、カム120に押されたリンクレバー110が前方に揺動し、バルブ80はコイルスプリング88の引っ張り力に抗してワイヤ150により後方に引っ張られ、後退する。バルブ80が後退するとバルブ80はアーム52から離間し、図6(a)に示したようにバルブ80が給気状態になる。これによりエアスプリング30に空気が供給され、リンク機構20が上方に伸張してシートが上昇する。
【0057】
ダイヤル130の回転を停止させると、ブレーキユニット140が働いてダイヤル130が制動される。そして、上記シート高さ一定機能が働いてシートの上昇は停止し、設定高さに保持される。カム120の第2段部126bがストッパ162に当接するまでダイヤル130をD方向に回転させると、リンクレバー110が最も前方に揺動した図16(d)の状態になり、この時、リンク機構20は最も伸張してシートが最も高い位置に設定される。
【0058】
一方、シートを低くしたい時には、ダイヤル130をC方向に回転させる。すると、バルブ80はコイルスプリング88に引っ張られて前進し、アーム52に接近する。これにより図6(c)に示すようにバルブ80が排気状態になり、エアスプリング30から空気が排気され、リンク機構20が縮小してシートが下降する。ダイヤル130の回転を停止させるとシートの下降は停止し、上記シート高さ一定機能が働いてシートは設定高さに保持される。カム120の第1段部126aがストッパ162に当接するまでダイヤル130をC方向に回転させると、リンクレバー110が最も後方に揺動した図16(a)の状態になり、この時、リンク機構20は最も縮小してシートが最も低い位置に設定される。
【0059】
(4−3)バルブ移動機構の作用
上記シート高さ一定機能を働かせてシート高さを調節、設定する時においては、バルブ移動機構100は次のように作用する。
【0060】
バルブ移動機構100によれば、ダイヤル130を回転させると、ワイヤ150が押し引きされてバルブ80が前後に移動し、これによってシートが上下動するが、シートの上下動はリンク機構20の伸張・縮小といった動作に追従してなされる。リンク機構20はリンクバー21,22をX状に組んだXリンク24から構成されるため、バルブ80の前後移動量(これは前下側ローラ軸28の前後移動量に相当する)に対するシートの上下動量(リンク機構20の上端部の上下動量)の割合がリニアに比例せず、シートの高さ位置によって異なる。
【0061】
図17の実線はバルブ位置とシート高さの関係の一例を示しており、これによると、シート上昇時の場合、シートが最も低い位置からバルブ80が後方に移動してシートが上昇し始める時に、シートの上昇の度合いが最も大きく、上昇するにつれてしだいに上昇割合が少なくなっている。
【0062】
X型のリンク機構20がこのような挙動を示すため、ダイヤル130のみで単にワイヤ150を押し引きした場合には、ダイヤル130の回転量とバルブ80の前後移動量がリニアに比例し、したがってシート高さの上下動量は、図17の実線のようにシート高さ位置によって異なる。これは、ダイヤル130の操作量(回転量)と実際のシートの上下動量の割合がシート高さによって異なることになり、ダイヤル130の操作感覚に違和感を与えることになる。
【0063】
しかしながら本実施形態のバルブ移動機構100では、ダイヤル130と一体に回転するカム120がリンクレバー110を揺動させることによりワイヤ150を押し引きする構成であり、カム120によってワイヤ150の移動量がダイヤル130の回転角度に応じて変位し、これによってダイヤル130の回転量と実際のシートの上下動量の割合が同じくなるように設定されている。
【0064】
すなわち、図16(a)〜(d)に示したように、カム120のカム面123がリンクレバー110のカム受け部112の先端113に摺動してリンクレバー110が揺動し、シートが上昇する間においては、カム面123が先端113に当接する部分とカム120の軸心Oとの間の距離は、ダイヤル130が回転するにつれて、すなわちシートが上昇するにつれてしだいに長くなる。したがって、リンクレバー110の揺動量すなわちワイヤ150が引っ張られることによるバルブ80の後退量は、ダイヤル130の回転量には比例せずしだいに大きくなる。
【0065】
一方、バルブ80が後退して上昇するシートは、X型のリンク機構20の特性により、上昇するにつれて上昇量は小さくなる。ところが、バルブ80の後退量がしだいに大きくなることによりシートの上昇率は高くなる。また、シートを下降させる時には、上昇時とは逆の動作が生じる。
【0066】
図17の二点鎖線は、上記のようなカム120の作用によるバルブ80の前後位置に応じた移動量の割合を示している。この移動量の割合は、実線で示したシート上下動量の割合を破線のように相殺するものであり、このようにバルブ80の前後移動量の割合がバルブ80の位置によって変位することにより、図18に示すように、シート高さの上下動量とダイヤル130の回転角度は同じ割合で推移する。このため、ダイヤル130の回転量とシートの上下動量がリニアに比例し、結果としてダイヤル130の操作によるシート高さの調節を違和感なく行うことができるとともに、操作感の向上が図られる。
【符号の説明】
【0067】
20…リンク機構、21,22…リンクバー(リンク部材)、25…後下側固定軸(固定部)、28…前下側ローラ軸(可動部)、30…エアスプリング、33…オイルダンパ、40…シート高さ調節手段、80…バルブ、81…給気弁棒(バルブ開閉部)、82…排気弁棒(バルブ開閉部)、100…バルブ移動機構、110…リンクレバー(レバー)、111…リンク軸、120…カム(補正手段、カム部材)、123…カム面、130…ダイヤル(操作部材)、150…ワイヤ(操作伝達部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のリンク部材が、リンク軸を支点として回転自在に、かつ、X状に組まれ、各リンク部材の上端部にシート支持部が設けられ、一方のリンク部材の下端部が固定部、他方のリンク部材の下端部が水平方向に移動する可動部とされ、可動部が固定部に近接する方向に移動すると伸張し、可動部が固定部から離間する方向に移動すると縮小するように作動するX型リンク機構と、
空気供給源から空気が供給され、前記シート支持部が上方から受ける荷重を受けるとともに、シート支持部の高さを調節するエアスプリングと、
このエアスプリングの振動を吸収するダンパと、
前記エアスプリングに対する空気の供給・排出を行うバルブ開閉部を有し、一の方向に沿って往復移動可能に設置されたバルブと、
このバルブの前記バルブ開閉部に対向配置され、バルブの移動に応じてバルブ開閉部に作用し、該バルブを開閉するバルブ開閉部材と、
前記バルブに連結された操作伝達部材と、
操作部材を有し、この操作部材が動かされることにより、前記操作伝達部材を介して前記バルブが前記一の方向に移動し、これによって前記バルブ開閉部材が前記バルブ開閉部に作用してバルブを開閉させるバルブ移動機構とを備えた車両用エアサスペンション式シート支持装置において、
前記バルブ移動機構は、前記操作部材と、この操作部材の動きに応じて作動する前記操作伝達部材との間に、操作部材の操作量に対する操作伝達部材の移動量を変位させることにより、前記バルブの移動に応じた前記シート支持部の上下動量と操作部材の操作量とを同じ割合に補正する補正手段を有する
ことを特徴とする車両用エアサスペンション式シート支持装置。
【請求項2】
前記操作伝達部材には、揺動することにより操作伝達部材が作動するレバーが連結され、
前記操作部材は回転式のダイヤルであり、
前記補正手段は、前記ダイヤルの回転と一体に回転し、カム面が前記レバーに当接してレバーの揺動による前記操作伝達部材の移動量を、ダイヤルの回転角度に応じて変位させるカム部材を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用エアサスペンション式シート支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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