説明

車両用ガーニッシュ取付構造

【課題】車両の外観性を高めるために、サイドドアの縁とホイールハウスの開口の縁とを、ガーニッシュで覆う技術において、ガーニッシュの耐久性を高める。
【解決手段】車体を側方から見たときに、ホイールハウス31の一部が、サイドドア13における下辺部のコーナ側へ張り出した車両10である。車体のサイドアウタパネル21のうち、サイドドアを閉じたときに円弧部と重なり合う位置に、ホイールアーチ用ガーニッシュ70を取付けた。ホイールアーチ用ガーニッシュは、ホイールハウスのフランジ35の縁に沿って車幅方向の内側へ、この縁を覆う分だけ延びる第1のカバー部73を有する。ドア用ガーニッシュ80は、円弧部の縁に沿って車幅方向の内側へ、ホイールアーチ用ガーニッシュの近傍まで延びる第2のカバー部86を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のサイドドア及びドアの周囲にガーニッシュを取付けるようにした、ガーニッシュ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の中には、サイドドア及びドアの周囲に、外観部品であるガーニッシュを取付けた車種がある。ガーニッシュを備えることによって、車両の外観性を高めることができる。
このような車種において、サイドドアの下辺部にドア用ガーニッシュを取付けることにより、外観性を高めるようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3201563号公報
【0003】
以下、特許文献1に示される車両用ガーニッシュ取付構造の概要を、図5に基づいて説明する。図5は、従来の車両用ガーニッシュ取付構造の概要図である。図5(a)は、ドア用ガーニッシュを備えた車両を示す。図5(b)は、ドア用ガーニッシュの分解状態を示す。図5(c)は、図5(a)のc−c線に沿った断面を示す。
【0004】
図5に示すように、従来の車両100は、車体101を側方から見たときに、リヤ用ホイールハウス102の一部が、リヤドア103(サイドドア)における下辺部103aのコーナ側へ張り出したものである。
車体101は、側部における外表面の部材を構成するサイドアウタパネル104(サイドボデイアウタパネル)を有している。サイドアウタパネル104は、リヤドア103で開閉されるドア用開口部105(図5(c)参照)を有する。ホイールハウス102の縁部は、ドア用開口部105に隣接するとともに、半円状フランジ部102aを有している。半円状フランジ部102aとサイドアウタパネル104の縁部104aとは、接合されている。この接合された部分を接合部106と言う。
リヤドア103は、下辺部103aの後コーナに円弧部103bを有する。円弧部103bは、半円状フランジ部102aに沿った形状である。
【0005】
従来の車両用ガーニッシュ取付構造は、リヤドア103における下辺部103aから円弧部103bにかけて、ドア用ガーニッシュ107(スプラッシュガード)を設けたというものである。ドア用ガーニッシュ107は、リヤドア103の円弧部103bに沿う円弧状のカバー部107aを有している。カバー部107aは、サイドアウタパネル104の縁部104aと、ホイールハウス102の半円状フランジ部102aと、接合部106とを覆うものである。この結果、車両100の外観性は高まる。
【0006】
しかしながら、従来のカバー部107aは、ホイールハウス102の半円状フランジ部102a周りを広範囲にわたって覆うので、車幅方向の内側へ延びる長さ(奥行き)が、極めて大きくならざるを得ない。奥行きが大きいので、リヤドア103を開閉したときに、カバー部107aの先端は、車外に置かれた物品(車室に出し入れする荷物等)に当たり易くなる。一般に、ドア用ガーニッシュ107は、樹脂成形品なので強度が小さい。カバー部107aの先端が外部の物品に当たることに対する、対策が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、車両の外観性を高めるために、サイドドアの縁とホイールハウスの開口の縁とを、ガーニッシュで覆う技術において、ガーニッシュの耐久性を高めることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明では、車体を側方から見たときに、ホイールハウスの一部が、サイドドアにおける下辺部のコーナ側へ張り出し、前記サイドドアのコーナには、前記ホイールハウスの側部に設けられた開口における略半円状のフランジに沿うように、側面視で略円弧状に切り欠かれた円弧部を設け、前記サイドドアの外表面のうち、前記下辺部の周り及び前記円弧部の周りにドア用ガーニッシュを取付けた、車両用ガーニッシュ取付構造において、
前記車体の側部における外表面の部材を構成するサイドアウタパネルのうち、前記サイドドアを閉じたときに前記円弧部と重なり合う位置に、ホイールアーチ用ガーニッシュを取付け、このホイールアーチ用ガーニッシュは、前記フランジの縁に沿って車幅方向の内側へ、この縁を覆う分だけ延びる、第1のカバー部を一体に形成し、前記ドア用ガーニッシュは、前記円弧部の縁に沿って車幅方向の内側へ、前記ホイールアーチ用ガーニッシュの近傍まで延びる第2のカバー部を一体に形成し、この第2のカバー部は、前記第1のカバー部が延びる延長線に沿うように延びていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明では、前記車体のサイドシルにおける外表面に、シル用ガーニッシュを取付け、前記サイドアウタパネルの外表面に、前記ホイールハウスにおける前記開口の縁に沿うように形成されたオーバーフェンダガーニッシュを取付け、前記シル用ガーニッシュの色と、前記オーバーフェンダガーニッシュの色と、前記ドア用ガーニッシュの色と、前記ホイール用アーチガーニッシュの色とは、全て同一色に設定されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、ホイールハウスの側部における開口の縁をホイール用アーチガーニッシュの第1のカバー部によって覆い、サイドドアの縁をドア用ガーニッシュの第2のカバー部によって覆うことができる。つまり、第1のカバー部と第2のカバー部という、2つのカバー部に分離している。このため、ドア用ガーニッシュの第2のカバー部が車幅方向の内側へ延びる長さ(奥行き)を小さくすることができる。サイドドアを開閉したときに、サイドドアに設けられている第2のカバー部の先端は、車外に置かれた物品(車室に出し入れする荷物等)に当たり難い。
【0011】
また、第1及び第2のカバー部は、いずれも車幅方向の内側へ延びている。第2のカバー部は、第1のカバー部が延びる延長線に沿うように延び、しかも、ホイールアーチ用ガーニッシュの近傍まで延びている。
このため、サイドドアを閉じた状態の車両を側方から見たときに、ドア用ガーニッシュに対して、第1及び第2のカバー部が、概ね一体的に見えるので、一体感があり、車両の外観性が高い。特に、両方のガーニッシュの色を同一色に設定することにより、ドア用ガーニッシュに対して、第1及び第2のカバー部が、より一体的に見えるので、一体感を高めることができ、この結果、車両の外観性を一層高めることができる。
このように、サイドドアの縁とホイールハウスの開口の縁とをガーニッシュで覆う技術において、ガーニッシュの耐久性を高めるとともに、車両の外観性を高めることができる。
【0012】
また、サイドアウタパネルは、サイドドアを閉じたときに、サイドドアのコーナにある円弧部と重なり合う位置に、ホイールアーチ用ガーニッシュを取付けた構成である。このため、サイドドアを開けたときには、ホイールハウスの縁部に沿っているホイール用アーチガーニッシュが見える。例えば、ホイールハウスの色とホイール用アーチガーニッシュの色とを、同一色に設定することにより、両方が概ね一体的に見えるので、一体感があり、車両の外観性が高い。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、シル用ガーニッシュの色と、オーバーフェンダガーニッシュの色とドア用ガーニッシュの色と、ホイール用アーチガーニッシュの色とが、同一色に統一されているので、全てのガーニッシュが概ね一体的に見える。つまり、全てのガーニッシュの一体感を、より高めることによって、車両における下部が縁取りされているように見える。この結果、車両の外観性を、より一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、CLは車幅中心(車体中心)を示す。
図1は、本発明に係るガーニッシュを備えた車両を左側から見た斜視図である。図2は、図1に示されたリヤドアとホイールハウス周りの斜視図である。図3は、図2に示されたリヤドアを開けた状態におけるホイールハウス周りの斜視図である。図4は、図2の4−4線に沿った断面図である。
【0015】
図1に示すように、車両10は、車体11に左右のフロントドア12と左右のリヤドア13と車体後面のテールゲート14とを備えた、5ドア形式の乗用車である。但し、車両10は5ドア形式に限定されるものではない。フロントドア12及びリヤドア13は、車体11の側面に設けられるサイドドアの一種である。
【0016】
図1〜図3は、左右側方の外表面の部材を構成するサイドアウタパネル21と、後輪用のホイールハウス31とを有した、車体11を示している。車体11を側方から見たときに、後部のホイールハウス31の一部は、リヤドア13における下辺部43のコーナ側へ張り出している。
【0017】
図2及び図4に示すように、ホイールハウス31は、車幅方向内側のホイールハウスインナパネル32と、ホイールハウスインナパネル32よりも外側のホイールハウスアウタパネル33とからなる。ホイールハウスアウタパネル33の外面は、サイドアウタパネル21で覆われている。
【0018】
サイドアウタパネル21は、リヤドア13で開閉されるドア用開口部22を有する。ホイールハウスインナパネル32とホイールハウスアウタパネル33とサイドアウタパネル21とは、ドア用開口部22の近傍において接合されるとともに、補強部材23によって、補強されている。なお、補強部材23の有無は任意である。
【0019】
一般的なことではあるが、ホイールハウス31は、下方が開放されているとともに、車幅方向外側の側部に大きさWiの開口34が設けられている。ホイールハウス31内に有している開口34から車輪が臨む。つまり、ホイールハウスアウタパネル33は、側部に略半円状の開口34を有する。
【0020】
本発明におけるホイールハウス31は、開口34の縁に略半円状のハウス用フランジ35を有している。ハウス用フランジ35は、開口34へ向かって延びている。ホイールハウス31の一部が、リヤドア13側へ張り出しているので、これに合わせて、開口34もドア用開口部22側へ張り出して、ドア用開口部22に隣接している。
サイドアウタパネル21は、ホイールハウス31の開口34に合わせて開放されるとともに、ハウス用フランジ35にスポット溶接等によって接合する、外面用フランジ24を有している。フランジ24,35同士の接合部分のことを、接合部36と言う。
【0021】
次に、リヤドア13(サイドドア13)の構成について説明する。
図4に示すように、リヤドア13は、車幅方向内側のドアインナパネル41と、ドアインナパネル41よりも外側のドアアウタパネル42とからなる。ドアインナパネル41とドアアウタパネル42とは、リヤドア13の全周囲における縁に形成されたフランジ41a,42a同士を接合することによって、一体に構成されている。
【0022】
図2及び図4に示すように、リヤドア13は、前端部がヒンジによって車体11に開閉可能に取り付けられている。このリヤドア13は、車体11のサイドシル16に沿っている概ね水平な下辺部43(下の縁43)と、後辺部44(後の縁44)との間の、コーナが、側面視で略円弧状に切り欠かれている。この円弧状に切り欠かれた部分を円弧部45と言う。円弧部45は、フランジ24,35(図4参照)に沿うように形成されている。
【0023】
図2及び図4に示すように、ドア用開口部22をリヤドア13で閉じたときに、ホイールハウス31の開口34の周辺において、リヤドア13の円弧部45(図2参照)周りの面46は、サイドアウタパネル21に重なり合う。
このように、互いに重なり合う面について定義すると、次の通りである。リヤドア13の内面のうち、円弧部45(図2参照)周りの面46のことを、「ドア側の重なり面46」と言う。サイドアウタパネル21のうち、ドア側の重なり面46に重なり合う面25のことを、「アウタパネル側の重なり面25」と言う。
【0024】
アウタパネル側の重なり面25に対して、ドア側の重なり面46が重なった状態において、リヤドア13の円弧部45(図2参照)におけるフランジ41a,42aの縁は、ホイールハウス31の開口34の縁(フランジ24,35の縁)よりも、車幅方向外寄りの位置に、且つ、若干前側の位置にある。
【0025】
ところで、図1に示すように、車体11は、後部に平面視略コ字状のリヤバンパ50(バンパフェース50とも言う。)を取付けたものである。リヤバンパ50は、左端及び右端から前方へ、ホイールハウス31の開口34(図3参照)の縁に沿って延びる延長部51を有している。
延長部51は、車体11の側方へ膨出した形状であって、車体11に臨む面が開放された、概ね樋形状(略コ字状断面、略U字状断面)に形成されている。
【0026】
次に、各種のガーニッシュの取付構造について説明する。
図1及び図2に示すように、サイドシル16は、外表面にシル用ガーニッシュ61を取付けたものである。シル用ガーニッシュ61は、サイドシル16に沿って前後に延びる、概ね一定幅の細長い部材である。
【0027】
図1及び図3に示すように、サイドアウタパネル21は、ホイールハウス31における開口34の縁(フランジ24,35の縁)に沿って、外表面にオーバーフェンダガーニッシュ62を取付けたものである。オーバーフェンダガーニッシュ62の後端部62aは、延長部51の前端部51aに取り付けられている。
円弧状の細長いオーバーフェンダガーニッシュ62を長手方向から見たときに、断面形状及び大きさは、延長部51の前端部51aの断面形状及び大きさと概ね同一である。つまり、図3に示すように、オーバーフェンダガーニッシュ62は、車体11の側方へ膨出した形状であって、車体11に臨む面が開放された、概ね樋形状(略コ字状断面、略U字状断面)に形成されている。
【0028】
図3及び図4に示すように、サイドアウタパネル21は、リヤドア13を閉じたときに円弧部45と重なり合う位置、つまり、「アウタパネル側の重なり面25」に、ホイールアーチ用ガーニッシュ70を取付けたものである。例えば、ホイールアーチ用ガーニッシュ70は、結合部材71,72によってサイドアウタパネル21に取り付けられる。
【0029】
ホイールアーチ用ガーニッシュ70は、アウタパネル側の重なり面25に沿った、側面視略円弧状(図3参照)であって、外表面が平坦面に形成されている。さらに、ホイールアーチ用ガーニッシュ70は、第1のカバー部73を一体に形成することによって、図4に示すように、略L字状の断面形状を呈している。第1のカバー部73は、ホイールアーチ用ガーニッシュ70の後端70aから車幅方向の内側へ延びて、ホイールハウス31における開口34の縁(フランジ24,35の縁)に沿うように形成されている。この第1のカバー部73は、図4に示すように、ホイールアーチ用ガーニッシュ70の後端70aから車幅方向の内側へ延びるにつれて、フランジ24,35の縁から若干離れる方向に傾斜している。
【0030】
ここで、図4に示すように、車幅方向の内側へ延びる第1のカバー部73の面73aに対して沿う線Lexのことを、「第1のカバー部73が延びる延長線Lex」または、単に「延長線Lex」と言う。延長線Lexは、車幅方向へ延びる直線である。
【0031】
第1のカバー部73が車幅方向の内側へ延びる延出長さ(奥行き)は、L1である。このようにして、第1のカバー部73は、ホイールハウス31の開口34の縁を覆う分だけ延びている。つまり、第1のカバー部73の延出端73bは、ハウス用フランジ35の縁から車幅方向の内側へ、延出量L2だけ延びた位置にある。この結果、車体11を側方から見たときに、ホイールハウス31の開口34の縁を第1のカバー部73によって目隠しすることができる。
【0032】
図1及び図2に示すように、リヤドア13は、下辺部43及び円弧部45における外表面に、ドア用ガーニッシュ80を取付けたものである。例えば、図4に示すように、ドア用ガーニッシュ80は、結合部材81,82によってリヤドア13に取り付けられる。
【0033】
図1及び図2に示すように、ドア用ガーニッシュ80は、リヤドア13の側方へ膨出した形状であって、リヤドア13に臨む面が開放された、概ね樋形状(略コ字状断面、略U字状断面)に形成されている。このドア用ガーニッシュ80は、下辺部43に沿って配置された下辺部用ガーニッシュ83と、円弧部45に沿って配置された円弧部用ガーニッシュ84とからなる、一体成形品である。
【0034】
下辺部用ガーニッシュ83は、リヤドア13の下辺部43に沿って前後に延びる、一定幅の細長い部材である。
【0035】
円弧状の細長い円弧部用ガーニッシュ84を長手方向から見たときに、断面形状及び大きさは、オーバーフェンダガーニッシュ62の断面形状及び大きさと概ね同一である。円弧部用ガーニッシュ84の後端部84aは、オーバーフェンダガーニッシュ62の前端部62bに対向する位置まで延びている。つまり、円弧部用ガーニッシュ84の後端面は、若干の隙間(リヤドア13が開閉可能な程度の隙間)を有して、オーバーフェンダガーニッシュ62の前端面に対向している。
【0036】
さらに、ドア用ガーニッシュ80は、図2及び図4に示すように、リヤドア13における円弧部45の縁に沿って車幅方向の内側へ、ホイールアーチ用ガーニッシュ70の近傍まで延びる第2のカバー部86を一体に形成したものである。
【0037】
詳しく述べると、図4に示すように、円弧部用ガーニッシュ84は、ドアアウタパネル42の外表面に概ね平行な横板85と、横板85の一端から車幅方向の内側へ延びる一方の縦板86と、横板85の他端から車幅方向の内側へ延びる他方の縦板87とによって、上述した略コ字状の断面体に形成されている。一方の縦板86のことを「第2のカバー部86」と言うことにする。
【0038】
第2のカバー部86は、第1のカバー部73が延びる延長線Lexに沿うように延びている。第2のカバー部86の延出端86aは、ホイールアーチ用ガーニッシュ70の後端70a(第1のカバー部73の基端)に若干の隙間88を有して対向している。隙間88の大きさδは、車体11を側方から見たときに、第1のカバー部73と第2のカバー部86とが、一体的に見えるように設定されることが好ましい。車両10の外観性を高めることができるからである。
【0039】
横板85の外表面のうち、最も膨出されている面から、第2のカバー部86の延出端86aまでの延出長さ(奥行き)は、L3である。この結果、横板85の外表面のうち、最も膨出されている面から、第1のカバー部73の延出端73bまでの延出長さ(奥行き)は、L4である。
車体11を側方から見たときに、ホイールハウス31の開口34の縁及びリヤドア13の縁を、第1及び第2のカバー部73,86によって目隠しすることができる。
【0040】
図1に示すように、フロントドア12は、下辺部における外表面に、フロント側のドア用ガーニッシュ91を取付けたものである。フロント側のドア用ガーニッシュ91は、シル用ガーニッシュ61に沿って前後に延びる、一定幅の細長い部材である。
細長いドア用ガーニッシュ91を長手方向から見たときに、断面形状及び大きさは、リヤ側の下辺部用ガーニッシュ83の断面形状及び大きさと概ね同一である。つまり、ドア用ガーニッシュ91は、フロントドア12の側方へ膨出した形状であって、フロントドア12に臨む面が開放された、概ね樋形状(略コ字状断面、略U字状断面)に形成されている。
【0041】
ところで、ホイールハウス31の内面と、リヤバンパ50と、各ガーニッシュ61,62,70,80,91は、全て樹脂の成形品からなり、しかも、全て同一の色に設定されている。
【0042】
以上の説明をまとめると、次の通りである。
本発明の車両用ガーニッシュ取付構造によれば、ホイールハウス31のハウス用フランジ35の縁をホイール用アーチガーニッシュ70の第1のカバー部73によって覆い、リヤドア13(サイドドア13)の縁をドア用ガーニッシュ80の第2のカバー部86によって覆うようにしたものである。つまり、第1のカバー部73と第2のカバー部86という、2つのカバー部に分離している。このため、第2のカバー部86が車幅方向の内側へ延びる長さL3(奥行きL3)を小さくすることができる。このため、リヤドア13を開閉したときに、リヤドア13に設けられている第2のカバー部86の延出端86a(先端86a)は、車外に置かれた物品(車室に出し入れする荷物等)に当たり難い。
【0043】
また、第1及び第2のカバー部73,86は、いずれも車幅方向の内側へ延びている。第2のカバー部86は、第1のカバー部73が延びる延長線Lexに沿うように延び、しかも、ホイールアーチ用ガーニッシュ70の近傍まで延びている。
このため、リヤドア13を閉じた状態の車両10を側方から見たときに、ドア用ガーニッシュ80に対して、第1及び第2のカバー部73,86が、概ね一体的に見えるので、一体感があり、車両10の外観性が高い。特に、両方のガーニッシュ70,80の色を同一色に設定することにより、ドア用ガーニッシュ80に対して、第1及び第2のカバー部73,86が、より一体的に見えるので、一体感を高めることができ、この結果、車両10の外観性を一層高めることができる。
このように、リヤドア13の縁とホイールハウス31の開口34の縁とをガーニッシュ70,80で覆う技術において、ガーニッシュ70,80の耐久性を高めるとともに、車両10の外観性を高めることができる。
【0044】
また、サイドアウタパネル21は、リヤドア13を閉じたときに、リヤドア13のコーナにある円弧部45と重なり合う位置25(アウタパネル側の重なり面25)に、ホイールアーチ用ガーニッシュ70を取付けた構成である。このため、リヤドア13を開けたときには、ホイールハウス31の開口34の縁に沿っているホイール用アーチガーニッシュ70が見える。例えば、ホイールハウス31の色とホイール用アーチガーニッシュ70の色とを、同一色に設定することにより、両方が概ね一体的に見えるので、一体感があり、車両10の外観性が高い。
【0045】
さらに、本発明の車両用ガーニッシュ取付構造によれば、図2に示すように、シル用ガーニッシュ61の色と、オーバーフェンダガーニッシュ62の色と、ホイール用アーチガーニッシュ70の色と、ドア用ガーニッシュ80の色と、ドア用ガーニッシュ91の色とが、同一色に統一されているので、全てのガーニッシュ61,62,70,80,91が概ね一体的に見える。つまり、全てのガーニッシュ61,62,70,80,91の一体感を、より高めることによって、車両10における下部が縁取りされているように見える。この結果、車両10の外観性を、より一層高めることができる。
【0046】
さらに、本発明の車両用ガーニッシュ取付構造によれば、ホイールハウス31の内面の色も、各ガーニッシュ61,62,70,80,91の色と同一色に統一されている。図3に示すように、リヤドア13(図2参照)を開いたときに、シル用ガーニッシュ61とホイール用アーチガーニッシュ70とオーバーフェンダガーニッシュ62とホイールハウス31の内面とは、概ね一体的に見える。従って、リヤドア13を開いた場合であっても、車両10における下部が縁取りされているように見える。この結果、車両10の外観性を、より一層高めることができる。
【0047】
なお、本発明の実施の形態において、車体11を側方から見たときに、前側のホイールハウスの一部が、フロントドア12における下辺部のコーナ側へ張り出した車両にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の車両用ガーニッシュ取付構造は、乗用車において、サイドドア12,13及びサイドドア12,13の周囲に各種のガーニッシュを取付けるようにした技術に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るガーニッシュを備えた車両を左側から見た斜視図である。
【図2】図1に示されたリヤドアとホイールハウス周りの斜視図である。
【図3】図2に示されたリヤドアを開けた状態におけるホイールハウス周りの斜視図である。
【図4】図2の4−4線に沿った断面図である。
【図5】従来の車両用ガーニッシュ取付構造の概要図である。
【符号の説明】
【0050】
10…車両、11…車体、13…サイドドア(リヤドア)、16…サイドシル、21…サイドアウタパネル、31…ホイールハウス、34…開口、35…フランジ、43…下辺部、45…円弧部、61…シル用ガーニッシュ、62…オーバーフェンダガーニッシュ、70…ホイールアーチ用ガーニッシュ、73…第1のカバー部、80…ドア用ガーニッシュ、86…第2のカバー部、Lex…第1のカバー部が延びる延長線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を側方から見たときに、ホイールハウスの一部が、サイドドアにおける下辺部のコーナ側へ張り出し、
前記サイドドアのコーナには、前記ホイールハウスの側部に設けられた開口における略半円状のフランジに沿うように、側面視で略円弧状に切り欠かれた円弧部を設け、
前記サイドドアの外表面のうち、前記下辺部の周り及び前記円弧部の周りにドア用ガーニッシュを取付けた、車両用ガーニッシュ取付構造において、
前記車体の側部における外表面の部材を構成するサイドアウタパネルのうち、前記サイドドアを閉じたときに前記円弧部と重なり合う位置に、ホイールアーチ用ガーニッシュを取付け、
このホイールアーチ用ガーニッシュは、前記フランジの縁に沿って車幅方向の内側へ、この縁を覆う分だけ延びる、第1のカバー部を一体に形成し、
前記ドア用ガーニッシュは、前記円弧部の縁に沿って車幅方向の内側へ、前記ホイールアーチ用ガーニッシュの近傍まで延びる第2のカバー部を一体に形成し、
この第2のカバー部は、前記第1のカバー部が延びる延長線に沿うように延びている、
ことを特徴とする車両用ガーニッシュ取付構造。
【請求項2】
前記車体のサイドシルにおける外表面に、シル用ガーニッシュを取付け、
前記サイドアウタパネルの外表面に、前記ホイールハウスにおける前記開口の縁に沿うように形成されたオーバーフェンダガーニッシュを取付け、
前記シル用ガーニッシュの色と、前記オーバーフェンダガーニッシュの色と、前記ドア用ガーニッシュの色と、前記ホイール用アーチガーニッシュの色とは、全て同一色に設定されている、
ことを特徴とした請求項1記載の車両用ガーニッシュ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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