車両用クロスカービーム構造
【課題】異なる車種を生産する場合においても組付作業が容易となる車両用クロスカービーム構造を提供する。
【解決手段】車幅方向に沿って延設された長尺状のクロスカービーム本体3にブラケットを設けたクロスカービーム構造において、前記クロスカービーム本体3は、筒状に形成されて長尺状に延びる保持部材15と、該保持部材15に嵌合され、かつ、保持部材15に対して抜き差し可能に構成された第1及び第2の支持部材19,21とからなり、該支持部材19,21に、ブラケットを取り付ける雌ねじ部27を設けて、該雌ねじ部27を介してブラケットを支持部材19,21に取り付けたことを特徴とする。
【解決手段】車幅方向に沿って延設された長尺状のクロスカービーム本体3にブラケットを設けたクロスカービーム構造において、前記クロスカービーム本体3は、筒状に形成されて長尺状に延びる保持部材15と、該保持部材15に嵌合され、かつ、保持部材15に対して抜き差し可能に構成された第1及び第2の支持部材19,21とからなり、該支持部材19,21に、ブラケットを取り付ける雌ねじ部27を設けて、該雌ねじ部27を介してブラケットを支持部材19,21に取り付けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用クロスカービーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両を組み立てる際に、コックピットモジュールを車体に組み付けるモジュール工法が採用されている。このコックピットモジュールは、インストルメントパネルやクロスカービーム等の各種部品を予め組み付けたものであり、車体の車室前部に取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−324616公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のコックピットモジュールにおいては、クロスカービームにステアリングコラムブラケットなどの種々のブラケットが取り付けられる。従って、車両の仕様によって、クロスカービームに対する各ブラケットの取付位置等が異なる場合には、それぞれの仕様に応じた複数種類のクロスカービームを用いる必要があり、部品点数の増加を招くと共に、クロスカービームの組立作業が非常に繁雑になっていた。
【0005】
そこで、本発明は、異なる車種を生産する場合においても組付作業が容易となる車両用クロスカービーム構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載された車両用クロスカービーム構造は、車幅方向に沿って延設された長尺状のクロスカービーム本体にブラケットを設けたクロスカービーム構造において、前記クロスカービーム本体は、筒状に形成されて長尺状に延びる保持部材と、該保持部材に嵌合され、かつ、保持部材に対して抜き差し可能に構成された支持部材とからなり、該支持部材に、ブラケットを取り付ける取付手段を設けて、該取付手段を介してブラケットを支持部材に取り付けたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載された車両用クロスカービーム構造では、前記支持部材に、ブラケットの位置決めを行う位置決め手段を更に設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に記載された車両用クロスカービーム構造では、前記取付手段は、支持部材に設けられた雌ねじ部と該雌ねじ部に螺合されるボルトとからなり、前記位置決め手段は、支持部材から突設された突起部と該突起部に係止されるブラケットの位置決め用溝とからなることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に記載された車両用クロスカービーム構造では、前記保持部材と支持部材とを略同一長さに形成すると共に、この支持部材の車幅方向の側端にサイドブラケットを当接させ、該サイドブラケットを介してクロスカービーム本体を車体側面に取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載された車両用クロスカービーム構造によれば、各種ブラケットの取付位置等の仕様が異なる場合でも、支持部材のみを差し替えれば良いため、組付作業性の向上及び部品点数の削減を図ることができる。
【0011】
本発明の請求項2に記載された車両用クロスカービーム構造によれば、ブラケットの位置決めを正確かつ確実に行うことができる。
【0012】
本発明の請求項3に記載された車両用クロスカービーム構造によれば、雌ねじ部にボルトを螺合させることによってブラケットをクロスカービーム本体に組み付けることができるため、簡単な作業でブラケットの取付けを行うことができる。また、支持部材の突起部にブラケットの位置決め用溝を係止させることにより、ブラケットの取付位置の位置決め作業を簡単に行うことができる。
【0013】
本発明の請求項4に記載された車両用クロスカービーム構造によれば、支持部材の側単にサイドブラケットを当接させるため、支持部材の車幅方向の位置決め精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態によるクロスカービームを示す斜視図である。
【0016】
このクロスカービーム1は、車幅方向の中央側に配設されたクロスカービーム本体3と、該クロスカービーム本体3の左右両側に取り付けられたサイドブラケット43と、クロスカービーム本体3に取り付けられた各種のブラケットとから構成されている。
【0017】
前記クロスカービーム本体3は、車幅方向に沿って長尺状に延設されており、クロスカービーム本体3のうち、右端部の運転席側にはステアリングコラムブラケット5が取り付けられ、該ステアリングコラムブラケット5の左側には第1の支持ブラケット7が取り付けられている。また、クロスカービーム本体3の助手席側(左側)には、第1の支持ブラケット7から間隔をおいて第2の支持ブラケット9が取り付けられ、該第2の支持ブラケット9の左側には第3の支持ブラケット11が取り付けられている。
【0018】
前記ステアリングコラムブラケット5における車両後方側の部分は、図1,2に示すように、ステアリングコラムを搭載時に仮保持する為のステアリングコラム仮保持部13が形成され、車両前方側は図外のエアボックス付近に結合するように構成されている。
【0019】
また、第1及び第2の支持ブラケット7,9は、クロスカービーム本体3から下方に延びており、それぞれの下端部7a,9aはフロアトンネルの両側面に固定される。
【0020】
図3は図1のクロスカービームにおける右側部分を拡大した分解斜視図、図4は図1のクロスカービーム本体を示す斜視図、図5は図4のB−B線による拡大断面図、図6は本発明の実施形態による支持部材を示す斜視図である。
【0021】
これらの図に示すように、クロスカービーム本体3は、筒状に形成されて長尺状に延びる保持部材15と、該保持部材15に嵌合され、かつ、保持部材15に対して抜き差し可能に構成された支持部材17とからなる。
【0022】
支持部材は、図5,6に示すように、断面略T字状に形成されて長尺状に延びている。そして、支持部材17は、保持部材15の後方側に嵌合された第1の支持部材19と、保持部材15の前方側に嵌合された第2の支持部材21とからなる。
【0023】
保持部材15は、図5に示すように、断面の外形が略五角形に形成されており、上部後方側には第1の支持部材19を嵌合する第1の嵌合溝23が形成され、前方側には第2の支持部材21を嵌合する第2の嵌合溝25が形成されている。尚、保持部材15の断面は略五角形に限らず、少なくとも三面以上の面を有すればよい。そして、第1及び第2の嵌合溝23,25は、断面略T字状に形成されており、これらの嵌合溝23,25には、第1及び第2の支持部材19,21が嵌合されている。第1の支持部材19の凸部分は後方斜め上方に向けて配置されており、第2の支持部材21の凸部分は前方斜め下方に向けて配置されている。
【0024】
また、図4及び図6に示すように、第1及び第2の支持部材19,21には、ブラケットを取り付ける取付手段である雌ねじ部27と、ブラケットの位置決めを行う位置決め手段である突起部29とが一体に形成されている。
【0025】
なお、取付手段は、雌ねじ部27に限定されず、雄ねじ部を突設したものも適用することができる。この場合は、雄ねじ部にナットを螺合させることにより、支持部材にブラケットを取り付けることができる。
【0026】
図3を用いて、ブラケットのクロスカービーム本体3への組付状態を簡単に説明する。
【0027】
保持部材15に嵌合された第1の支持部材19には、突起部29及び雌ねじ部27が形成されている。これらの突起部29を右側から順に、第1突起部57、第2突起部58及び第3突起部59とする。また、図3に示された雌ねじ部27を右側から順に、第1雌ねじ部31、第2雌ねじ部32、第3雌ねじ部33及び第4雌ねじ部34とする。
【0028】
ステアリングコラムブラケット5、第1の支持ブラケット7、第2の支持ブラケット9には、支持部材の突起部29に係止される略V字状の位置決め用溝37と、支持部材の雌ねじ部27に対応して設けられたねじ孔39が穿設されている。
【0029】
従って、ステアリングコラムブラケット5をクロスカービーム本体3に組み付ける場合には、ステアリングコラムブラケット5の位置決め用溝37を支持部材の第1突起部29に係止させたのち、ねじ孔39を第1雌ねじ部27、第2雌ねじ部27に合致するように配置し、ボルトを螺合させる。
【0030】
また、第1の支持ブラケット7や第2の支持ブラケット9についても、位置決め用溝37を支持部材の第2突起部29及び第3突起部29に係止させたのち、ねじ孔39を第3雌ねじ部33、第4雌ねじ部34に対応させて配置し、ボルト41を螺合させれば良い。
【0031】
なお、図4,6に示すように、第1及び第2の支持部材19,21の長さは、保持部材15の長さと略同一に形成されている。
【0032】
次いで、図7〜図10を用いて、本実施形態によるクロスカービーム1の組付手順を簡単に説明する。
【0033】
図7は本発明の実施形態によるクロスカービームの分解斜視図である。
【0034】
まず、第1の支持部材19と第2の支持部材21を、保持部材15における第1の嵌合溝23と第2の嵌合溝25にそれぞれ挿入する。
【0035】
次に、前述したように、第1及び第2の支持部材19,21に、ステアリングコラムブラケット5、第1の支持ブラケット7、第2の支持ブラケット9、及び第3の支持ブラケット11を取り付ける。
【0036】
こののち、クロスカービーム本体3の左右両側にサイドブラケット43を組み付ける。
【0037】
図8に示すように、サイドブラケット43の側面には、車幅方向内側に向けて突出する係止部45が形成されており、該係止部45にクロスカービーム本体3の両端部を挿入して、サイドブラケット43の突き当て面47に当接させる。
【0038】
ここで、図9に示すように、第1及び第2の支持部材19,21の側端には、雌ねじ部27が形成されており、これらの雌ねじ部27は、サイドブラケット43のねじ孔39に対応して穿設されている。そして、図10に示すように、サイドブラケット43のねじ孔39にボルト41を挿入して、第1及び第2の支持部材19,21の雌ねじ部27に螺合させることにより、サイドブラケット43に支持部材19,21が固定される。尚、サイドブラケット43とクロスカービーム本体3との締結は、サイドブラケット43の係止部45に形成されているねじ挿通孔50と、挿通孔に対応して形成されている支持部材19,21の雌ねじ部27にボルト等にて螺合締結される。
【0039】
また、図9及び図10に示すように、サイドブラケット43の車幅方向外側の側面には、車体側面に取り付けられる基準面49が形成されている。そして、このサイドブラケット43の基準面49を図外の車体側面に取り付けることによって、クロスカービーム1を車体に組み付ける。
【0040】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、本発明の技術思想に基づいて種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、図11に示すように、支持部材の左右両端に突出部51を形成する一方、サイドブラケット55に突出部51が挿入可能な貫通口53を形成し、前記突出部51をサイドブラケット55の貫通口53に挿入して保持部材15の側端をサイドブラケット55の突き当て面47に突き当てるようにしても良い。ここで、突出部51をサイドブラケット55にブッシュナット止め等することによって、クロスカービーム本体3をサイドブラケット55に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態によるクロスカービームを示す斜視図である。
【図2】図1のA部を拡大した斜視図である。
【図3】図1のクロスカービームにおける右側部分を拡大した分解斜視図である。
【図4】図1のクロスカービーム本体を示す斜視図である。
【図5】図4のB−B線による拡大断面図である。
【図6】本発明の実施形態による支持部材を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態によるクロスカービームの分解斜視図である。
【図8】クロスカービーム本体の端部にサイドブラケットを取り付ける状態を示す斜視図である。
【図9】クロスカービーム本体の端部にサイドブラケットを取り付ける状態を示す斜視図である。
【図10】クロスカービームの端部を示す斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態によるクロスカービームの端部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…クロスカービーム
3…クロスカービーム本体
7…第1の支持ブラケット(ブラケット)
9…第2の支持ブラケット(ブラケット)
11…第3の支持ブラケット(ブラケット)
15…保持部材
17…支持部材
19…第1の支持部材(支持部材)
21…第2の支持部材(支持部材)
27…雌ねじ部(取付手段)
29…突起部(位置決め手段)
31…第1雌ねじ部(取付手段、雌ねじ部)
32…第2雌ねじ部(取付手段、雌ねじ部)
33…第3雌ねじ部(取付手段、雌ねじ部)
34…第4雌ねじ部(取付手段、雌ねじ部)
37…位置決め用溝(位置決め手段)
41…ボルト(取付手段)
43,55…サイドブラケット
57…第1突起部(突起部)
58…第2突起部(突起部)
59…第3突起部(突起部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用クロスカービーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両を組み立てる際に、コックピットモジュールを車体に組み付けるモジュール工法が採用されている。このコックピットモジュールは、インストルメントパネルやクロスカービーム等の各種部品を予め組み付けたものであり、車体の車室前部に取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−324616公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のコックピットモジュールにおいては、クロスカービームにステアリングコラムブラケットなどの種々のブラケットが取り付けられる。従って、車両の仕様によって、クロスカービームに対する各ブラケットの取付位置等が異なる場合には、それぞれの仕様に応じた複数種類のクロスカービームを用いる必要があり、部品点数の増加を招くと共に、クロスカービームの組立作業が非常に繁雑になっていた。
【0005】
そこで、本発明は、異なる車種を生産する場合においても組付作業が容易となる車両用クロスカービーム構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載された車両用クロスカービーム構造は、車幅方向に沿って延設された長尺状のクロスカービーム本体にブラケットを設けたクロスカービーム構造において、前記クロスカービーム本体は、筒状に形成されて長尺状に延びる保持部材と、該保持部材に嵌合され、かつ、保持部材に対して抜き差し可能に構成された支持部材とからなり、該支持部材に、ブラケットを取り付ける取付手段を設けて、該取付手段を介してブラケットを支持部材に取り付けたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載された車両用クロスカービーム構造では、前記支持部材に、ブラケットの位置決めを行う位置決め手段を更に設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に記載された車両用クロスカービーム構造では、前記取付手段は、支持部材に設けられた雌ねじ部と該雌ねじ部に螺合されるボルトとからなり、前記位置決め手段は、支持部材から突設された突起部と該突起部に係止されるブラケットの位置決め用溝とからなることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に記載された車両用クロスカービーム構造では、前記保持部材と支持部材とを略同一長さに形成すると共に、この支持部材の車幅方向の側端にサイドブラケットを当接させ、該サイドブラケットを介してクロスカービーム本体を車体側面に取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載された車両用クロスカービーム構造によれば、各種ブラケットの取付位置等の仕様が異なる場合でも、支持部材のみを差し替えれば良いため、組付作業性の向上及び部品点数の削減を図ることができる。
【0011】
本発明の請求項2に記載された車両用クロスカービーム構造によれば、ブラケットの位置決めを正確かつ確実に行うことができる。
【0012】
本発明の請求項3に記載された車両用クロスカービーム構造によれば、雌ねじ部にボルトを螺合させることによってブラケットをクロスカービーム本体に組み付けることができるため、簡単な作業でブラケットの取付けを行うことができる。また、支持部材の突起部にブラケットの位置決め用溝を係止させることにより、ブラケットの取付位置の位置決め作業を簡単に行うことができる。
【0013】
本発明の請求項4に記載された車両用クロスカービーム構造によれば、支持部材の側単にサイドブラケットを当接させるため、支持部材の車幅方向の位置決め精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態によるクロスカービームを示す斜視図である。
【0016】
このクロスカービーム1は、車幅方向の中央側に配設されたクロスカービーム本体3と、該クロスカービーム本体3の左右両側に取り付けられたサイドブラケット43と、クロスカービーム本体3に取り付けられた各種のブラケットとから構成されている。
【0017】
前記クロスカービーム本体3は、車幅方向に沿って長尺状に延設されており、クロスカービーム本体3のうち、右端部の運転席側にはステアリングコラムブラケット5が取り付けられ、該ステアリングコラムブラケット5の左側には第1の支持ブラケット7が取り付けられている。また、クロスカービーム本体3の助手席側(左側)には、第1の支持ブラケット7から間隔をおいて第2の支持ブラケット9が取り付けられ、該第2の支持ブラケット9の左側には第3の支持ブラケット11が取り付けられている。
【0018】
前記ステアリングコラムブラケット5における車両後方側の部分は、図1,2に示すように、ステアリングコラムを搭載時に仮保持する為のステアリングコラム仮保持部13が形成され、車両前方側は図外のエアボックス付近に結合するように構成されている。
【0019】
また、第1及び第2の支持ブラケット7,9は、クロスカービーム本体3から下方に延びており、それぞれの下端部7a,9aはフロアトンネルの両側面に固定される。
【0020】
図3は図1のクロスカービームにおける右側部分を拡大した分解斜視図、図4は図1のクロスカービーム本体を示す斜視図、図5は図4のB−B線による拡大断面図、図6は本発明の実施形態による支持部材を示す斜視図である。
【0021】
これらの図に示すように、クロスカービーム本体3は、筒状に形成されて長尺状に延びる保持部材15と、該保持部材15に嵌合され、かつ、保持部材15に対して抜き差し可能に構成された支持部材17とからなる。
【0022】
支持部材は、図5,6に示すように、断面略T字状に形成されて長尺状に延びている。そして、支持部材17は、保持部材15の後方側に嵌合された第1の支持部材19と、保持部材15の前方側に嵌合された第2の支持部材21とからなる。
【0023】
保持部材15は、図5に示すように、断面の外形が略五角形に形成されており、上部後方側には第1の支持部材19を嵌合する第1の嵌合溝23が形成され、前方側には第2の支持部材21を嵌合する第2の嵌合溝25が形成されている。尚、保持部材15の断面は略五角形に限らず、少なくとも三面以上の面を有すればよい。そして、第1及び第2の嵌合溝23,25は、断面略T字状に形成されており、これらの嵌合溝23,25には、第1及び第2の支持部材19,21が嵌合されている。第1の支持部材19の凸部分は後方斜め上方に向けて配置されており、第2の支持部材21の凸部分は前方斜め下方に向けて配置されている。
【0024】
また、図4及び図6に示すように、第1及び第2の支持部材19,21には、ブラケットを取り付ける取付手段である雌ねじ部27と、ブラケットの位置決めを行う位置決め手段である突起部29とが一体に形成されている。
【0025】
なお、取付手段は、雌ねじ部27に限定されず、雄ねじ部を突設したものも適用することができる。この場合は、雄ねじ部にナットを螺合させることにより、支持部材にブラケットを取り付けることができる。
【0026】
図3を用いて、ブラケットのクロスカービーム本体3への組付状態を簡単に説明する。
【0027】
保持部材15に嵌合された第1の支持部材19には、突起部29及び雌ねじ部27が形成されている。これらの突起部29を右側から順に、第1突起部57、第2突起部58及び第3突起部59とする。また、図3に示された雌ねじ部27を右側から順に、第1雌ねじ部31、第2雌ねじ部32、第3雌ねじ部33及び第4雌ねじ部34とする。
【0028】
ステアリングコラムブラケット5、第1の支持ブラケット7、第2の支持ブラケット9には、支持部材の突起部29に係止される略V字状の位置決め用溝37と、支持部材の雌ねじ部27に対応して設けられたねじ孔39が穿設されている。
【0029】
従って、ステアリングコラムブラケット5をクロスカービーム本体3に組み付ける場合には、ステアリングコラムブラケット5の位置決め用溝37を支持部材の第1突起部29に係止させたのち、ねじ孔39を第1雌ねじ部27、第2雌ねじ部27に合致するように配置し、ボルトを螺合させる。
【0030】
また、第1の支持ブラケット7や第2の支持ブラケット9についても、位置決め用溝37を支持部材の第2突起部29及び第3突起部29に係止させたのち、ねじ孔39を第3雌ねじ部33、第4雌ねじ部34に対応させて配置し、ボルト41を螺合させれば良い。
【0031】
なお、図4,6に示すように、第1及び第2の支持部材19,21の長さは、保持部材15の長さと略同一に形成されている。
【0032】
次いで、図7〜図10を用いて、本実施形態によるクロスカービーム1の組付手順を簡単に説明する。
【0033】
図7は本発明の実施形態によるクロスカービームの分解斜視図である。
【0034】
まず、第1の支持部材19と第2の支持部材21を、保持部材15における第1の嵌合溝23と第2の嵌合溝25にそれぞれ挿入する。
【0035】
次に、前述したように、第1及び第2の支持部材19,21に、ステアリングコラムブラケット5、第1の支持ブラケット7、第2の支持ブラケット9、及び第3の支持ブラケット11を取り付ける。
【0036】
こののち、クロスカービーム本体3の左右両側にサイドブラケット43を組み付ける。
【0037】
図8に示すように、サイドブラケット43の側面には、車幅方向内側に向けて突出する係止部45が形成されており、該係止部45にクロスカービーム本体3の両端部を挿入して、サイドブラケット43の突き当て面47に当接させる。
【0038】
ここで、図9に示すように、第1及び第2の支持部材19,21の側端には、雌ねじ部27が形成されており、これらの雌ねじ部27は、サイドブラケット43のねじ孔39に対応して穿設されている。そして、図10に示すように、サイドブラケット43のねじ孔39にボルト41を挿入して、第1及び第2の支持部材19,21の雌ねじ部27に螺合させることにより、サイドブラケット43に支持部材19,21が固定される。尚、サイドブラケット43とクロスカービーム本体3との締結は、サイドブラケット43の係止部45に形成されているねじ挿通孔50と、挿通孔に対応して形成されている支持部材19,21の雌ねじ部27にボルト等にて螺合締結される。
【0039】
また、図9及び図10に示すように、サイドブラケット43の車幅方向外側の側面には、車体側面に取り付けられる基準面49が形成されている。そして、このサイドブラケット43の基準面49を図外の車体側面に取り付けることによって、クロスカービーム1を車体に組み付ける。
【0040】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、本発明の技術思想に基づいて種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、図11に示すように、支持部材の左右両端に突出部51を形成する一方、サイドブラケット55に突出部51が挿入可能な貫通口53を形成し、前記突出部51をサイドブラケット55の貫通口53に挿入して保持部材15の側端をサイドブラケット55の突き当て面47に突き当てるようにしても良い。ここで、突出部51をサイドブラケット55にブッシュナット止め等することによって、クロスカービーム本体3をサイドブラケット55に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態によるクロスカービームを示す斜視図である。
【図2】図1のA部を拡大した斜視図である。
【図3】図1のクロスカービームにおける右側部分を拡大した分解斜視図である。
【図4】図1のクロスカービーム本体を示す斜視図である。
【図5】図4のB−B線による拡大断面図である。
【図6】本発明の実施形態による支持部材を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態によるクロスカービームの分解斜視図である。
【図8】クロスカービーム本体の端部にサイドブラケットを取り付ける状態を示す斜視図である。
【図9】クロスカービーム本体の端部にサイドブラケットを取り付ける状態を示す斜視図である。
【図10】クロスカービームの端部を示す斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態によるクロスカービームの端部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…クロスカービーム
3…クロスカービーム本体
7…第1の支持ブラケット(ブラケット)
9…第2の支持ブラケット(ブラケット)
11…第3の支持ブラケット(ブラケット)
15…保持部材
17…支持部材
19…第1の支持部材(支持部材)
21…第2の支持部材(支持部材)
27…雌ねじ部(取付手段)
29…突起部(位置決め手段)
31…第1雌ねじ部(取付手段、雌ねじ部)
32…第2雌ねじ部(取付手段、雌ねじ部)
33…第3雌ねじ部(取付手段、雌ねじ部)
34…第4雌ねじ部(取付手段、雌ねじ部)
37…位置決め用溝(位置決め手段)
41…ボルト(取付手段)
43,55…サイドブラケット
57…第1突起部(突起部)
58…第2突起部(突起部)
59…第3突起部(突起部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に沿って延設された長尺状のクロスカービーム本体(3)にブラケット(5,7,9,11)を設けたクロスカービーム構造において、
前記クロスカービーム本体(3)は、筒状に形成されて長尺状に延びる保持部材(15)と、該保持部材(15)に嵌合され、かつ、保持部材(15)に対して抜き差し可能に構成された支持部材(19,21)とからなり、
該支持部材(19,21)に、ブラケット(5,7,9,11)を取り付ける取付手段(27,41)を設けて、該取付手段(27,41)を介してブラケット(5,7,9,11)を支持部材(19,21)に取り付けたことを特徴とする車両用クロスカービーム構造。
【請求項2】
前記支持部材(19,21)に、ブラケット(5,7,9,11)の位置決めを行う位置決め手段(29,37)を更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用クロスカービーム構造。
【請求項3】
前記取付手段は、支持部材に設けられた雌ねじ部(27)と該雌ねじ部(27)に螺合されるボルト(41)とからなり、前記位置決め手段は、支持部材(19,21)から突設された突起部(29)と該突起部(29)に係止されるブラケット(5,7,9,11)の位置決め用溝(37)とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用クロスカービーム構造。
【請求項4】
前記保持部材(15)と支持部材(19,21)とを略同一長さに形成すると共に、この支持部材(19,21)の車幅方向の側端にサイドブラケット(43,55)を当接させ、該サイドブラケット(43,55)を介してクロスカービーム本体(3)を車体側面に取り付けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用クロスカービーム構造。
【請求項1】
車幅方向に沿って延設された長尺状のクロスカービーム本体(3)にブラケット(5,7,9,11)を設けたクロスカービーム構造において、
前記クロスカービーム本体(3)は、筒状に形成されて長尺状に延びる保持部材(15)と、該保持部材(15)に嵌合され、かつ、保持部材(15)に対して抜き差し可能に構成された支持部材(19,21)とからなり、
該支持部材(19,21)に、ブラケット(5,7,9,11)を取り付ける取付手段(27,41)を設けて、該取付手段(27,41)を介してブラケット(5,7,9,11)を支持部材(19,21)に取り付けたことを特徴とする車両用クロスカービーム構造。
【請求項2】
前記支持部材(19,21)に、ブラケット(5,7,9,11)の位置決めを行う位置決め手段(29,37)を更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用クロスカービーム構造。
【請求項3】
前記取付手段は、支持部材に設けられた雌ねじ部(27)と該雌ねじ部(27)に螺合されるボルト(41)とからなり、前記位置決め手段は、支持部材(19,21)から突設された突起部(29)と該突起部(29)に係止されるブラケット(5,7,9,11)の位置決め用溝(37)とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用クロスカービーム構造。
【請求項4】
前記保持部材(15)と支持部材(19,21)とを略同一長さに形成すると共に、この支持部材(19,21)の車幅方向の側端にサイドブラケット(43,55)を当接させ、該サイドブラケット(43,55)を介してクロスカービーム本体(3)を車体側面に取り付けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用クロスカービーム構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−37402(P2008−37402A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218371(P2006−218371)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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