説明

車両用サイドランプ構造

【課題】車体の空気抵抗の低減をすることを可能にするとともに、車体の自由な位置にサイドランプを設けることを可能にする。
【解決手段】車体11側部の外表面となる車体パネルに設けられる車両用サイドランプ構造20であって、後方に向かうに連れて拡開して形成されるV字形状部23と、このV字形状部23の後方となるV字内に設けられるサイドランプ24とを有し、V字形状部23を、車体パネル13に設けられるV字状のガーニッシュ23とし、フロントフェンダ(車体パネル)13に形成された取付孔部21にサイドランプ24が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に設けられ車両の進行方向を表示する車両用サイドランプ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用サイドランプ構造として、前照灯内に一体的に組み込まれたものや車体の側方部位に設けられたものなどが知られている。
この種の車両用サイドランプ構造は、歩行者や相手車両の運転者が視認しやすいように設けられるとともに、車両のキャラクタを表す意匠的部品である側面も有するものでもあった。
【0003】
このような車両用サイドランプ構造として、車体の外表面にサイドランプを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−175268号公報
【0004】
特許文献1の車両用サイドランプ構造は、ホイールハウス(外板)の縁部に且つ前輪が臨める位置に切り欠きを設け、この切り欠きにサイドランプを設け、サイドランプのレンズ後部が車両後方から視認できるようにしたものである。
【0005】
上記の車両用サイドランプ構造は、視認性を向上させるために、ホイールハウスの縁部にサイドランプを設けたものである。
しかし、車両用サイドランプ構造では、取付位置が、例えば、ホイールハウスなどの外表面の切欠き形状部に限定されるという課題があった。
もっと、車体の自由な位置にサイドランプを設けることができる技術が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、車体の空気抵抗の低減を図ることができるとともに、車体の自由な位置にサイドランプを設けることができる車両用サイドランプ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体側部の外表面となる車体パネルに設けられる車両用サイドランプ構造であって、後方に向かうに連れて拡開して形成されるV字形状部と、このV字形状部の後方に設けられるサイドランプとを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、V字形状部が、車体パネルに設けられるV字状のガーニッシュであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、車体パネルに取付孔部が形成され、この取付孔部にサイドランプが設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、V字形状部とサイドランプとが隣接して配設され、それらの外表面は連続的に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、V字形状部とサイドランプとは隣接して配設され、サイドランプの一部に、V字形状部が車体外方から重なって設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、V字形状部が、V字の基端部から後方に向かうに連れて上方に延出する上側延出部と、基端部から後方に向かうに連れて下側に延出する下側延出部と、を備え、サイドランプが、下側延出部の上方に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、車体側部の外表面となる車体パネルにサイドランプが設けられる。後方に向かうに連れて拡開して形成されるV字形状部と、このV字形状部の後方に設けられるサイドランプとを有するので、走行時に、前方からの空気流がサイドランプに作用することを避け、空気抵抗の低減を図ることができるとともに風切り音の発生を抑制することができる。
また、V字形状部の後方に設けられるサイドランプを有する構造なので、例えば、車体パネルのエッジ部などに取付け場所が限定されることなく、車体の自由な位置にサイドランプを設けることができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、V字形状部が、車体パネルに設けられるV字状のガーニッシュであるので、V字形状部の製作が容易にできる。すなわち、所望の形状を得やすい構成とすることができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、車体パネルに取付孔部が形成され、この取付孔部にサイドランプが設けられたので、サイドランプを車体パネルの内方に配置することができる。この結果、フラットなボディ外表面を得ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、V字形状部とサイドランプとが隣接して配設され、それらの外表面は連続的に形成されているので、外表面を滑らかに形成することができる。この結果、さらに、空気抵抗の低減を図ることができるとともに風切り音の発生を抑制することができる。
【0017】
請求項5に係る発明では、V字形状部とサイドランプとは隣接して配設され、サイドランプの一部に、V字形状部が車体外方から重なって設けられるので、サイドランプを所定の大きさを確保することができ、所望の光量を得ることができる。すなわち、サイドランプの外観部を不必要に大きくすることを回避することができる。
【0018】
請求項6に係る発明では、V字形状部が、V字の基端部から後方に向かうに連れて上方に延出する上側延出部と、基端部から後方に向かうに連れて下側に延出する下側延出部と、を備え、サイドランプが、下側延出部の上方に設けられているので、斜め下方若しくは側方から視認しやすく、相手車両の運転者若しくは歩行者からサイドランプを視認しやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用サイドランプ構造を採用した車両の斜視図である。
図1に示されるように、車両10は、車体11側方のフロントフェンダ13と、前輪14を覆うホイールハウス15と、車体11側方に点灯させるサイドランプ24とが設けられている。
フロントフェンダ13は、車体11の側方前部を覆う車体パネルである。サイドランプ24は、ホイールハウス15の後方で且つフロントフェンダ13に設けられる。
【0020】
図2は本発明に係る車両用サイドランプ構造の分解斜視図であり、図3は図2に示された車両用サイドランプ構造の正面図であり、図4は図2に示された車両用サイドランプ構造の側面図であり、図5は図3の5−5線断面図であり、図6は図3の6−6線断面図である。
【0021】
図2に示されるように、車両用サイドランプ構造20は、フロントフェンダ13に設けられる取付孔部21と、フロントフェンダ13の裏面(内側)から取付孔部21に取付けるプロテクタ22と、このプロテクタ22にフロントフェンダ13を介してフロントフェンダ13の表面(外側)から取付けるガーニッシュ23と、このガーニッシュ23に設けられたサイドランプ24とから構成される。
【0022】
フロントフェンダ13の取付孔部21は、プロテクタ22を取付ける部分であるとともに、ガーニッシュ23を内部に臨ます部分である。
プロテクタ22は、樹脂にて形成された部材であり、車両用サイドランプ構造20のベースとなる部材である。
【0023】
ガーニッシュ23は、樹脂にてV字状に形成されるV字形状部である。すなわち、後方に向かうに連れて拡開して形成される。
また、ガーニッシュ(V字形状部)23は、V字の基端部31から後方に向かうに連れて上方に延出する上側延出部32と、基端部31から後方に向かうに連れて下側に延出する下側延出部33と、上側延出部32側に設けられる凹部36とが形成される。
【0024】
サイドランプ24は、ガーニッシュ(V字形状部)23の後方となるV字内に設けられる部材であり、詳細には、ガーニッシュ(V字形状部)23の下側延出部33の上方に設けられた点滅する夕ーンライトである。
【0025】
また、サイドランプ24は、ガーニッシュ23に取付けるランプハウジング41と、このランプハウジング41の表面に設けられるレンズ42と、ランプハウジング41の底からランプハウジング41に着脱自在に取付けられるソケット43と、このソケット43に着脱自在に取付けられるランプ44とから構成される。
【0026】
ランプハウジング41は、ガーニッシュ23の表面から取付孔部21に挿入され、固定される。
レンズ42は、投光性のある樹脂にて形成され、全周に渡ってランプハウジング41に超音波溶着される。また、全体に渡って光の拡散する凹凸面47が形成される。
ソケット43は、予めランプ44を取付けてからランプハウジング41に嵌合する。
【0027】
図3及び図4に示されるように、ガーニッシュ(V字形状部)23とサイドランプ24とが隣接して配設され、これらのガーニッシュ23の外表面とサイドランプ24の外表面は連続的に形成されている。詳細には、ガーニッシュ23の下側延出部33の外表面33aと、サイドランプ24のレンズ42の外表面42aとが連続的に形成される。
また、図6に示されるように、ガーニッシュ(V字形状部)23は、サイドランプ24の一部を覆うように、車体11外方から重なって設けられている。
【0028】
車両用サイドランプ構造20では、車体11側部の外表面となるフロントフェンダ(車体パネル)13にサイドランプ24が設けられる。後方に向かうに連れて拡開して形成されるV字形状部23と、このV字形状部23の後方となるV字内に設けられるサイドランプ24とを有するので、走行時に、前方からの空気流がサイドランプ24に作用することを避け、空気抵抗の低減を図ることができるとともに風切り音の発生を抑制することができる。
【0029】
また、V字形状部23の後方となるV字内に設けられるサイドランプ24を有する構造なので、例えば、車体パネルのエッジ部などに取付け場所が限定されることなく、車体11の自由な位置にサイドランプ24を設けることができる。
【0030】
車両用サイドランプ構造20では、V字形状部23が、車体パネル13に設けられるV字状のガーニッシュ23であるので、ガーニッシュ(V字形状部)23の製作が容易にできる。すなわち、所望の形状を得やすい構成とすることができる。
【0031】
車両用サイドランプ構造20では、フロントフェンダ(車体パネル)13に形成された取付孔部21にサイドランプ24が設けられる。これにより、サイドランプ24をV字形状部23に且つ車体パネル13の内方に配置することができる。この結果、フラットなボディ外表面を得ることができる。
【0032】
車両用サイドランプ構造20では、ガーニッシュ(V字形状部)23とサイドランプ24とが隣接して配設され、それらの外表面は連続的に形成されているので、外表面を滑らかに形成することができる。この結果、さらに、空気抵抗の低減を図ることができるとともに風切り音の発生を抑制することができる。
【0033】
車両用サイドランプ構造20では、ガーニッシュ(V字形状部)23とサイドランプ24とは隣接して配設されたものとも言え、サイドランプ24の一部に、V字形状部23が車体11外方から重なって設けられるので、サイドランプ24を所定の大きさを確保することができ、所望の光量を得ることができる。すなわち、サイドランプ24の外観部を不必要に大きくすることを回避することができる。
【0034】
V字形状部23が、V字の基端部31から後方に向かうに連れて上方に延出する上側延出部32と、基端部31から後方に向かうに連れて下側に延出する下側延出部33と、を備え、サイドランプ24が、下側延出部33の上方に設けられているので、斜め下方若しくは側方から視認しやすく、相手車両の運転者若しくは歩行者からサイドランプ24を視認しやすくすることができる。
【0035】
尚、本発明に係る車両用サイドランプ構造20は、図3に示すように、V字形状部23は、フロントフェンダ13に取付けたガーニッシュ23であったが、これに限るものではなく、車体パネル自体であってもよい。
【0036】
本発明に係る車両用サイドランプ構造20は、サイドランプ24は、車体パネル13の取付孔部21に取付けられたが、これに限るものではなく、ガーニッシュや車体パネルに形成された段差部に支持されるものであってもよい。
【0037】
本発明に係る車両用サイドランプ構造20は、図3に示すように、サイドランプ24が点滅する夕ーンライトであったが、これに限るものではなく、常時点灯可能な車幅灯であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る車両用サイドランプ構造は、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る車両用サイドランプ構造を採用した車両の斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用サイドランプ構造の分解斜視図である。
【図3】図2に示された車両用サイドランプ構造の正面図である。
【図4】図2に示された車両用サイドランプ構造の側面図である。
【図5】図3の5−5線断面図である。
【図6】図3の6−6線断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10…車両、11…車体、13…車体パネル(フロントフェンダ)、20…車両用サイドランプ構造、21…取付孔部、23,…V字形状部(ガーニッシュ)、24…サイドランプ、31…基端部、32…上側延出部、33…下側延出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部の外表面となる車体パネルに設けられる車両用サイドランプ構造であって、
後方に向かうに連れて拡開して形成されるV字形状部と、このV字形状部の後方に設けられるサイドランプとを有することを特徴とする車両用サイドランプ構造。
【請求項2】
前記V字形状部は、前記車体パネルに設けられるV字状のガーニッシュであることを特徴とする請求項1記載の車両用サイドランプ構造。
【請求項3】
前記車体パネルに取付孔部が形成され、この取付孔部に前記サイドランプが設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用サイドランプ構造。
【請求項4】
前記V字形状部と前記サイドランプとは隣接して配設され、それらの外表面は連続的に形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車両用サイドランプ構造。
【請求項5】
前記V字形状部と前記サイドランプとは隣接して配設され、前記サイドランプの一部に、前記V字形状部が車体外方から重なって設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用サイドランプ構造。
【請求項6】
前記V字形状部は、V字の基端部から後方に向かうに連れて上方に延出する上側延出部と、前記基端部から後方に向かうに連れて下側に延出する下側延出部と、を備え、
前記サイドランプは、前記下側延出部の上方に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両用サイドランプ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−149588(P2010−149588A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327825(P2008−327825)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】